説明

ストレーナ

【課題】排水口へ向けて流れ込む水などによってゴミを捕集する受け部の位置が変わることを防止できるストレーナを提供する。
【解決手段】シンク10または洗面ボウルの底部11に形成された凹部12に収容され、凹部12に形成された開口に端部を接続された排水管へゴミが流入することを防ぐストレーナ40であって、複数の穴を備え皿状に形成された受け部と、受け部の周縁に設けられ凹部に当接する上部外縁部と、受け部の下面に設けられた脚部45を備え、凹部に流れ込む水の力によって上部外縁部と凹部の表面との間にゴミが流れ込む隙間が上部外縁部周りの何れの箇所にも発生しないよう、脚部を排水管の端部に形成された排水口の内周壁面に当接させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクや洗面ボウルにおける排水口の上に設けられ、排水口を経て排水トラップへゴミが流入することを防ぐストレーナに関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のシンクの排水構造100の断面図であり、排水口周辺だけを表している。従来のシンクの排水構造100は、シンク110の底部111に形成された開口112に排水管120が接続され、その下流には、屋内へ悪臭、ガス、害虫などの浸入を防止する排水トラップが接続されている。排水管120の端部にはフランジ121が形成されており、このフランジ121と排水管120の端部寄りに着脱自在に装着されたリング状の固定部材130とでシンク110の開口112の周縁部分を挟んで、排水管120をシンク110に固定している。シンク110とフランジ121との間にはパッキン140が装着される。なお、図示例では、排水管の端部周辺だけを表し、害虫などの侵入を防止する機能を果たす排水トラップの表示を省略している。シンクも開口周辺だけを部分的に表している。
【0003】
排水トラップ120の端部に形成された排水口122の内周壁面123には、目皿150が着脱自在に固定されており、排水口122から排水管120へスプーンや箸などの落下を防止する。
【0004】
さらに、図に示すように、シンク110の開口周辺領域は底部111よりさらに深くなるよう凹陥して形成され、この窪んだ領域(以下、凹部113と呼ぶ。)に、排水管120へ残飯などのゴミが流れ込むことを防止するストレーナ160が収容されている。
【0005】
ストレーナ160は、複数の開口を有し皿状に形成された受け部161と、受け部161の環状の上縁の全周に亘って設けられた鍔部162と、受け部161の下面から下方へ突出する脚部163と、を備えている。
【0006】
図に示すように、ストレーナ160は、脚部163を凹部113の底に載せ、鍔部162を凹部113の湾曲面に当接させた状態で用いられる。食器類を洗浄した際に流れ落ちる残飯などのゴミがシンク110の底部111から凹部113に流れ込むと、ストレーナ160によって当該残飯が捕集される。
【0007】
このように、シンク110の底部111に形成された凹部113内に載置して残飯などのゴミを捕集するストレーナが、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−274598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のストレーナ160は、例えば洗い桶に溜めた水を一度に流し、その水がシンク奥側の受け部161の端部(図7で符号αで示す破線の円の領域)に局所的に流れ込むと、その水の勢いで、ストレーナ160が図7に二点鎖線で示すように本来の使用位置から大きくずれる虞がある。この場合、ストレーナ160の鍔部162とシンク110の凹部113との間に隙間Sが生じ、食器などの洗浄の際に流れ落ちた残飯などのゴミが、矢印Aで示すように、隙間Sから凹部113の湾曲面を辿って直接排水口122に流れ込んでしまう。これでは、ストレーナ160がその役割を果たすことができない。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、排水口へ向けて流れ込む水によってゴミを捕集する受け部の位置が大きくずれて、受け部の上縁と凹部との間にゴミが流れ込んでしまう隙間が発生することを防止できるストレーナを提供することを目的とする。ここで、ゴミが流れ込んでしまう隙間とは、ストレーナに設けられる穴の直径よりも大きい隙間をいう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、シンク又は洗面ボウルの底部に形成した凹部に収容され、凹部に形成した開口に接続された排水管へゴミが流入することを防ぐストレーナであって、複数の穴を備え皿状に形成された受け部と、受け部の周縁に設けられ凹部に当接する上部外縁部と、受け部の下面に設けられた脚部と、を備え、凹部に流れ込む水の勢いによって上部外縁部と凹部との間にゴミが流れ込んでしまう隙間が上部外縁部の周りの何れの箇所にも発生しないよう、脚部が排水管の端部に形成した排水口の内周壁面に当接できることを特徴としている。
【0012】
本発明のストレーナにおいて、脚部は、前記排水口の内周壁面を当該排水口の中心まわりに等角度間隔で3つ以上に区分した各領域で内周壁面に当接できるよう形成されている。例えば、脚部は、内周壁面に当接できる下記(a1)〜(a4)の何れかの当接部を備えている。
(a1)円又は円の一部を欠いたC字型の環状に形成された当接部。
(a2)弧状に形成された少なくとも2箇所の当接部。
(a3)前記内周壁面に点接触或いは線接触する少なくとも3箇所の当接部。
(a4)弧状に形成された第1の当接部と前記内周壁面に点接触或いは線接触する第2の当接部。
ここでいう、内周壁面に当接できる当接部とは、通常内周壁面に当接していない部位であっても受け部がずれることによって内周壁面に当接する部位も含まれるものとする。また、排水口とは、シンクまたは洗面ボウルの凹部に形成した開口部に接続された排水管の流入側開口部およびその近傍の排水路をいう。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば洗い桶に溜めた水を一度に流したときの水の勢いで受け部が所定の位置から大きくずれることを抑制できる。これにより、受け部とシンクの凹部との間に生じる隙間から残飯などのゴミが排水口へ流れ込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るシンク排水構造の平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿ったシンク排水構造の断面図である。
【図3】(A)は本発明の実施形態に係るストレーナの正面図、(B)はストレーナの平面図、(C)はストレーナの底面図、(D)はストレーナの左側面図、(E)は図3(B)のC−C線に沿ったストレーナの断面図である。
【図4】(A)及び(B)は本発明の実施形態に係るストレーナの脚部と排水口の内周壁面との係合関係を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係るストレーナの機能を説明するためのシンクの開口の周辺の平面図である。
【図6】(A)〜(K)は本発明の実施形態の変形例に係るストレーナの脚部の構造を示す図である。
【図7】従来のシンク排水構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施形態に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る排水構造1の平面図であり、図2は図1のA−A線に沿った排水構造1の断面図である。なお、図面及び説明中、上下方向及び水平方向とは、ストレーナを排水口上に設置した状態における排水構造を基準とした上下方向及び水平方向である。また、シンク手前側はシンク使用者の正面と対向する方向とし、シンク奥側はシンク使用者の正面方向、左右方向はシンク使用者の左右方向とする。
【0016】
排水構造1は、シンク10の底部11を凹設して形成された凹部12と、凹部12の最深部に開設された開口13に端部を接続された排水管20と、排水管20の端部に形成された排水口21と、排水口21に取り付けられる目皿30と、凹部12に収容されるストレーナ40と、ストレーナ40上に配置され凹部12を部分的に覆う蓋50と、を備えている。図1では、ストレーナ40を破線で、蓋50を二点鎖線で表している。図2はシンク10の排水口21周辺だけを表している。
【0017】
凹部12は、図1に示すように、表面形状が平面視で回転非対称である。具体的には、凹部12の外縁は直線状の辺部12Aとこの辺部12Aの両端を結ぶ円弧部12Bとから略D字状に形成されている。このような外縁を成す凹部12の縁部14とそれより下方に配置される開口13との間の部分は図2に示すように曲面15を成して、凹部12は椀型に形成されている。ここでいう、凹部12の縁部14とは、平面視したときの凹部の外縁であって、断面視したときの上縁を指す。
【0018】
凹部12の縁部14とシンク10の底部11とは、断面形状が略円弧状に形成された境界部16を介してつながっている。例えば、シンク10の底部11と凹部12とは一体に製造される。
【0019】
凹部12の開口13の周縁には、後述する排水管20のフランジ22を配置するために平坦に形成されたフランジ当接部17を有する。
【0020】
排水管20はシンク10側に取り付ける端部にフランジ22を有する。このフランジ22を凹部12のフランジ当接部17に当て、さらに反対側から排水管20の端部寄りに装着したリング状の固定部材25とで開口13の周縁部分を挟むことで、排水管20がシンク10に固定される。シンク10とフランジ22との間にはパッキン60が装着される。排水管20の端部には、洗浄時などに使用した水を流し込む排水口21が形成されている。なお、図示例では排水管20の端部周辺だけを表し、害虫、悪臭などの屋内への侵入防止機能を果たす排水トラップの表示を省略している。
【0021】
排水管20の端部に形成された排水口21の内周壁面23には、目皿30が着脱自在に取り付けられる。具体的には、排水管20の内周壁面23には、端部寄りの壁面に段部24が形成されており、この段部24に目皿30が載置される。この目皿30によって、ストレーナ40を凹部12から外して、凹部12を清掃するときに、排水口21から排水管20内へ清掃用具などが落下することを防止する。
【0022】
蓋50は、図1に示すように、平面視においてその外形が、直線状の第1辺部50Aと、この第1辺部50Aの両端に接続された第1円弧部50B及び第2円弧部50Cと、これらの第1円弧部50B及び第2円弧部50Cの各端部に接続された略直線状の第2辺部50Dと、から構成されている。ここで、図1に示すように、第1辺部50A,第1円弧部50B及び第2円弧部50Cはシンク10の凹部12の外形に沿っているが、第2辺部50Dはシンク10の凹部12の外形に沿うようには形成されていない。また、第2辺部50Dは、第1円弧部50Bの端と第2円弧部50Cの端とを結ぶが、その中間部が内側に入り込むように形成されている。このように、蓋50の第2辺部50Dとシンク10の凹部12の円弧部12Bとが異なる形に構成されているため、それらの間に隙間、つまりシンク10の底部11から凹部12内へ水が流れ込むことができる流入部70が画成される。この流入部70は、シンク10の底部11の奥側に画成される。凹部12の辺部12Aは、流入部70よりシンク手前側に配置される。
【0023】
図3に示すように、ストレーナ40は、複数の穴41を備えゴミ捕集部として機能する受け部42と、受け部42の下面に設けられた脚部45と、を備えている。また、受け部42の周縁には、上部外縁部が設けられている。本実施形態では鍔部44が設けられている。なお、図において受け部42を貫通する穴41を一部のみ示し、他の部分については図示省略しているが、実際には受け部42の全面に穴41が設けられている。
【0024】
受け部42は、薄いステンレス板に複数の穴41を穿設し、これを例えばシンク10の凹部12に比べて底の浅い皿状に加工したもので成る。受け部42は、図3(B)に示すように、シンクの凹部と同様に、全体として凹部12に沿った回転非対称な平面視形状、つまり直線状の辺部42Aと、この辺部42Aの両端を結ぶ円弧部42Bとからなる略D字状の外縁形状を有する。この受け部42の外形は、凹部12の外形よりも小さくなるように寸法が選定されている。穴41は、直径1.4mm程度の穴が中心間隔1.8mm程度の間隔をあけて穿設される。この穴41を通過して受け部42の上方から流れ込んだ水が受け部42の下方へ流れ出る。
【0025】
上部外縁部としての鍔部44は、受け部42の平面視略D字状の周縁部43を包み込むように例えば樹脂で形成されている。ストレーナ40がシンク10の凹部12に収容された状態で、鍔部44全体が凹部12の曲面15に隙間を生じないように当接する。
【0026】
鍔部44は、図3(B)に示すように、受け部42の中央側へ突出した把手44Aを備える。把手44Aは、図1及び図2に示すように、流入部70と反対側の蓋50で覆われる領域に配置される。このように、流入部70とは異なる位置に把手44Aを設けることで、排水口21へ向けて流れ込む水との接触を回避して、ゴミの付着を防止できる。
【0027】
脚部45は、排水管20の上縁部に形成された排水口21の内周壁面23に当接して受け部42の姿勢を規制、つまり所定の位置から大きくずれることを規制する。脚部45は例えば一本の針金状部材を折り曲げて形成される。具体的には、脚部45は、受け部42の下面に接着或いは溶接される一対の取付部45A(図3(B)及び図3(D))と、各取付部45Aの端部から下方へ延出した鉛直部45B(図3(A)及び図3(D))と、一対の鉛直部45Bの下端部同士に接続する弧状の当接部45C(図3(A)及び図3(C))と、から構成されている。当接部45Cの形状は、排水口21の内周壁面23に沿った形状である。なお、複数本の針金状部材を用いて脚部45を構成してもよいことは勿論である。
【0028】
ここで、図4(A)は本発明の実施形態に係るストレーナ40の脚部45と排水口21の内周壁面23との係合関係を説明する図である。図中の二点鎖線の円は排水口21の内周壁面23、具体的には図2のB−B線に沿った排水口21の内周壁面23の概略断面を表している。
【0029】
説明の便宜上、図4(A)に示すようにX軸とY軸を設定する。ここで、X軸はシンク10の左側から右側へ向けて水平に延びる軸であり、Y軸はシンク10の手前側から奥側へ向けて水平に延びる軸である。これらの軸の原点Oを排水口の中心Cとする。このXY平面で中心C周りの角度θに関して、θが0度〜90度の領域を第1象限、90度〜180度の領域を第2象限、180度〜270度の領域を第3象限、270度〜360度の領域を第4象限とする。このように、排水口21の中心Cまわりに90度間隔に領域を4つに区分した場合、脚部45は各領域、つまり第1象限〜第4象限で排水口21の内周壁面23に当たるように構成される。図4(A)では、説明の便宜上、内周壁面23に当たる脚部45の当接部45Cを黒丸(●)のマークで表している。
【0030】
脚部45は排水口21に遊嵌している。つまり、ストレーナ40の使用時、脚部45が排水口21内で若干動くことができるように、脚部45と内周壁面23との間には僅かなクリアランスが設定されている。
【0031】
この脚部45を下側に配設した受け部42が、例えば洗い桶に溜めた水を一度に流したときの水の勢いで所定の位置、つまり適正な使用位置から大きくずれることを規制するように、各第1象限〜第4象限で当接部45Cが内周壁面23に接する位置や当接部45Cの形状が選定される。
【0032】
なお、上記で説明したように蓋50をシンク10の凹部12にセットした状態では水が流入部70から凹部12内へ流れ込み、受け部42のシンク奥側の端部に水流の力が作用する場合に限らず、蓋50を外した状態などで図5に示すように、受け部42のシンク左側の端部領域H1、受け部42のシンク手前側の端部領域H2及び受け部42のシンク右側の端部領域H3など、受け部42の周縁部のいずれの箇所に例えば局所的に水の力が作用した場合にも、受け部42の位置が変わることを規制するよう、当接部45Cの位置や形状が選定される。
【0033】
本実施形態に係る脚部45は、図4(B)に示すように、二つの弧状の当接部45Cを備え、これらの当接部45Cはシンク左側からシンク右側へ向けて延び所定の距離を置いた位置で対向するように設けられ、X軸を含む仮想鉛直面に対称に形成されている。シンク手前側の当接部45Cは第3象限から第4象限に亘った内周壁面23、具体的には図4(B)に示すように2つの象限に属する内周壁面23の半分程度に当たり、同様に、シンク奥側の当接部45Cも第1象限から第2象限に亘った内周壁面23の半分程度に当たっている。
【0034】
ストレーナ40をシンク10の凹部12に収容するとき、脚部45を排水口21の内周壁面23に差し込むと共に、受け部42に設けられた鍔部44を凹部12との間に隙間が生じないよう曲面15に当てる。このように装着することで、受け部42がシンク10の凹部12内に位置決めされる。ストレーナ40が排水口21の上に設置された状態で、受け部42の最下点が排水口21の中心上方に位置するように配置される。
【0035】
本実施形態に係るストレーナ40によれば、例えば洗い桶に溜めた水を一度に流したときの水の勢いで受け部42が所定の位置からずれることを抑制できる。
例えば、蓋50を装着した状態で流入部70に水が流れ込んで受け部42のシンク奥側の上縁部分410(図3(B)で破線の楕円で囲った部分参照)が下がり、さらに受け部42のシンク手前側の上縁部分420(図3(B)で破線の楕円で囲った部分参照)が持ち上がろうとした場合には、脚部45を構成する一対の当接部45Cの内、シンク手前側の当接部45Cが排水口21の内周壁面23に当たることで、受け部42の適正な使用位置からの大きなずれを規制する。
これとは逆に、蓋50を外した状態で例えば図5に示す領域H2に集中して水が流れ込んで受け部42のシンク手前側の上縁部分420(図3(B)で破線の楕円で囲った部分参照)が下がり、さらに受け部42のシンク奥側の上縁部分410(図3(B)で破線の楕円で囲った部分参照)が持ち上がろうとした場合には、脚部45を構成する一対の当接部45Cの内、シンク奥側の当接部45Cが排水口21の内周壁面23に当たることで、受け部42の適正な使用位置からの大きなずれを規制する。
また、蓋50を外した状態で例えば図5に示す領域H1に集中して水が流れ込んで受け部42のシンク左側の上縁部分430(図3(B)で破線の楕円で囲った部分参照)が下がり、さらに受け部42のシンク右側の上縁部分440(図3(B)で破線の楕円で囲った部分参照)が持ち上がろうとした場合には、脚部45を構成する一対の当接部45Cのシンク右側の各端が排水口21の内周壁面23に当たることで、受け部42が適正な使用位置から大きくずれることを規制する。これとは逆に、蓋50を外した状態で例えば図5に示す領域H3に集中して水が流れ込んで受け部42のシンク右側の上縁部分440(図3(B)で破線の楕円で囲った部分参照)が下がり、さらに受け部42のシンク左側の上縁部分430(図3(B)で破線の楕円で囲った部分参照)が持ち上がろうとした場合には、脚部45を構成する一対の当接部45Cのシンク左側の各端が排水口21の内周壁面23に当たることで、受け部42が適正な使用位置から大きくずれることを規制する。
このように本発明の実施形態に係るストレーナ40によれば、シンク10の凹部12に流れ込む水の勢いによって、受け部42が動こうとすると、受け部42の下面に設けられた脚部45が排水口内壁23に当接し、脚部45の水平方向への移動が阻止される。すなわち、脚部45が排水口内周壁面23に当接することで、受け部42の動きが制限される。受け部42の動きを制限することで、受け部42の周囲、つまりD字型(環状)の上縁の周りの領域に、ゴミが流れ込んでしまう隙間の発生を防止できる。これにより、受け部42とシンク10の凹部12との間に生じる隙間から残飯などのゴミが排水口21へ流れ込むことを防止できる。
【0036】
次に、本発明の実施形態の変形例について説明する。
図6(A)〜(K)は本発明の実施形態のストレーナの脚部の変形例を示す図である。特に、図1〜図4に示すストレーナの脚部と図6(A)〜(K)の変形例とを比較すると、当接部の形状が異なる。なお、図6(A)〜(K)は各脚部の当接部が排水口内に配置された状態を示している。図中の二点鎖線は排水口21の内周壁面23を表している。
以下、各脚部の当接部の具体的構造について説明する。
【0037】
図6(A)に示す当接部451は円形に形成されている。この当接部451を成す円の外形は、内周壁面23より若干小さめに形成される。この環状の当接部451によれば、受け部42を確実に一定の位置に維持することができる。この当接部451は、図1〜図4に示すストレーナ40と同様に、受け部42の底面に設けられた取付部45Aに図示省略する鉛直部45Bを介してつながっている。以下の他の当接部も同様である。
【0038】
図6(B)に示す当接部452は円形の一部を切り欠いたC字型の環状に形成されている。具体的には、当接部452は図6(A)に示す真円形の当接部451の一部分を備えずに形成されている。
【0039】
図6(C)に示す構成では、二つの弧状の当接部453A,453Bを備え、これらの当接部453A,453Bはシンク手前側からシンク奥側へ向けて延び所定の距離を置いた位置で対向するように設けられ、Y軸を含む仮想鉛直面に対称に形成されている。
【0040】
図6(D)に示す構成では、二つの弧状の当接部454A,454Bを備え、これらの当接部454A,454Bはシンク手前側からシンク奥側へ向けて延び所定の距離を置いた位置で対向するように設けられ、Y軸を含む仮想鉛直面に対称に形成されている。左右の当接部454A,454Bにおいて、シンク奥側の端部同士の間隔D1がシンク手前側の端部同士の間隔D2よりも狭くなっているため、装着時に幅の狭い端部側を排水口21内へ差し込み易い。
【0041】
図6(E)に示す構成では、二箇所の弧状の当接部455A,455Bとこれらの当接部455A,455Bの一端部をつなぐ連結部455Cとを備え、二つの当接部はシンク手前側からシンク奥側へ向けて延び所定の距離を置いた位置で対向するように設けられ、Y軸を含む仮想鉛直面に対称に形成されている。連結部455Cは、内周壁面23に接触しないように配置される。
【0042】
図6(F)に示す構成では、二箇所の弧状の当接部456A,456Bとこれらの当接部456A,456Bの一端部をつなぐ連結部456Cとを備える。当接部456Aと456Bは排水口中心Cを基準点として点対称に形成される。連結部456Cは、当接部456Aの端部と、当接部456Aの端部と排水口中心Cに点対称に位置する456Bの端部を連結するよう形成される。
【0043】
図6(G)に示す構成では、内周壁面23に点接触或いは線接触する4つの当接部457A〜457Dを備えている。このように当接部457A〜457D同士を分離配置する構造では、脚部45を構成する材料の使用量を低減できる。
【0044】
図6(H)に示す構成では、内周壁面23に点接触或いは線接触する4つの当接部458A〜458Dと、各当接部458A〜458Dを連結する連結部458E〜458Gと、を備えている。この連結部458E〜458Gは、内周壁面23に接触しないように配置される。このように当接部458A〜458D同士を連結部458E〜458Gで固定することで、図6(F)に示す構成に比べて脚部45の剛性を高めることができる。
【0045】
このように、図6(A)〜図6(H)に示す当接部も、図1〜図4に示すストレーナ40の当接部45Cと同様に、排水口21の中心Cまわりに90度間隔に領域を4つに区分した場合、脚部45が各領域、つまり第1象限〜第4象限で排水口21の内周壁面23に当たるように構成されている。
【0046】
このように、排水口21の中心Cまわりに90度間隔に領域を4つに区分する代わりに、3つの領域に区分して脚部45が各領域で内周壁面23に当たるように構成する場合、製造コストの低減が期待できる。
【0047】
例えば、図6(I)に示す構成では、内周壁面23に点接触或いは線接触する3つの当接部459A〜459Cを備えている。この構成は、図6(G)の構成に比べて、さらに脚部45を構成する材料の使用量を低減できる。
【0048】
図6(J)に示す構成では、内周壁面23に点接触或いは線接触する3箇所の当接部460A〜460Cと、各当接部460A〜460Cを連結する連結部460D,460Eと、を備えている。連結部460D,460Eは、内周壁面23に接触しないように配置される。このように当接部460A〜460C同士を連結部460D,460Eで固定することで、図6(I)に示す構成に比べて脚部45の剛性を高めることができる。
【0049】
図6(K)に示す構成では、一つの弧状の第1当接部461Aと、内周壁面23に点接触或いは線接触する1つの第2当接部461Bと、から構成されている。シンク奥側の第2当接部461Bが平面視で点状に配置されるため、装着時に第2当接部461B側を排水口21内へ差し込み易い。
【0050】
以上説明したが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施することができる。
【0051】
例えば、ストレーナの寸法や収容容量は適宜設定することができる。また、受け部には、薄いステンレスの板に複数の穴を穿設したパンチングメタルの代わりに、金網を利用することもできる。また、穴は受け部の一部のみに設けられていてもよい。ストレーナの素材はステンレスなどの金属に限らず、ポリプロピレンなどの樹脂材料で構成されてもよい。また、フッ素やフッ素含有樹脂等で撥水処理をしてもよい。
上記説明では、上部外縁部としての鍔部を受け部と別部材に構成した場合を説明したが、鍔部のような上部外縁部は受け部の周縁として同じ材料で一体に構成してもよい。
【0052】
また、上記説明ではシンクの排水構造用のストレーナを説明したが、本発明は、洗面所の洗面ボウルの排水構造で髪などを捕集するストレーナとして利用することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1 排水構造
10 シンク
11 シンクの底部
12 シンクの凹部
13 シンクの開口
15 凹部の曲面
16 境界部
17 フランジ当接部
20 排水管
21 排水口
22 排水管のフランジ
23 排水口の内周壁面
25 固定部材
30 目皿
40 ストレーナ
41 受け部の穴
42 受け部
43 受け部の周縁部
44 鍔部
44A 把手
45 脚部
45A 取付部
45B 鉛直部
45C,451〜461B 当接部
50 蓋
60 パッキン
70 流入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク又は洗面ボウルの底部に形成した凹部に収容され、
上記凹部に形成した開口に端部が接続された排水管へゴミが流入することを防ぐストレーナであって、
複数の穴を備え皿状に形成された受け部と、
上記受け部の周縁に設けられ上記凹部に当接する上部外縁部と、
上記受け部の下面に設けられた脚部と、を備え、
上記凹部に流れ込む水の勢いによって上記上部外縁部と上記凹部との間にゴミが流れ込むんでしまう隙間が上記上部外縁部の周りの何れの箇所にも発生しないよう、上記脚部が上記排水管の端部に形成された排水口の内周壁面に当接できることを特徴とする、ストレーナ。
【請求項2】
前記脚部が、前記排水口の内周壁面を当該排水口の中心まわりに等角度間隔で3つ以上に区分した各領域に当接できるよう形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のストレーナ。
【請求項3】
前記脚部は、前記内周壁面に当接できる下記(a1)〜(a4)の何れかの当接部を備えていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のストレーナ。
(a1)円又は円の一部を欠いたC字型の環状に形成された当接部。
(a2)弧状に形成された少なくとも2箇所の当接部。
(a3)前記内周壁面に点接触或いは線接触する少なくとも3箇所の当接部。
(a4)弧状に形成された第1の当接部と前記内周壁面に点接触或いは線接触する第2の当接部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113045(P2013−113045A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262290(P2011−262290)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】