説明

ストロボ発光装置

【課題】 安定した発光を行うために、キセノン管の端子に対し給電回路との確実な電気的接触を実現する固定手段を備えたストロボ発光装置を提供する。
【解決手段】 ストロボ発光装置1は、発光に必要な電力が供給される端子を有するキセノン管2と、正面側が開口して、前記端子を含むキセノン管2全体を収納したケース3とを備える。ケース3内には、背面側にキセノン管2の端子に接触する金属反射板41で反射面が形成されると共に、キセノン管2に電力を供給する給電回路が設けられる。この給電回路の接続部43と金属反射板41との間に導電性を有する弾性部材42a,42bが配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロボ発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デジタルカメラのフラッシュ部に用いられているストロボ発光装置は、キセノン管を光源とし、これを、撮影に適した配光を得るために任意形状の反射面を形成したリフレクタと称されるケース内に配置して構成されている。
【0003】
この装置でキセノン管を発光させるためには、キセノン管の両端の電極に電力を供給することに加えて、キセノン管の放電発光領域のガラス外周部に数kVのトリガ電圧を印加することが必要である。この放電発光領域のガラス外周部には、透明電極(トリガ電極)が塗布されており、これにトリガ電圧を印加することによって放電発光領域のキセノンガスが励起される結果、電子なだれ現象による放電発光が起こる。
【0004】
この発光を安定して行うためには、キセノン管に対して確実にトリガ電圧を印加することが必要である。例として、デジタルカメラのストロボでは、キセノン管に金属製のリフレクタを介してトリガ電圧を印加するが、電気的導通を確実にするために、リフレクタから突出したキセノン管の両端部分にゴムバンドを掛けることで、キセノン管をリフレクタに接触固定している。
【0005】
このようなキセノン管の接触固定手段としては、ゴムバンドの他に、成形品の爪構造やゴムシートなど種々の手段が採られているが、いずれもキセノン管がリフレクタから突出した部位を利用して接触固定するようにしている。こうして接触固定されたキセノン管とリフレクタは、接続端子を介して回路部に電気的に接合される。
【0006】
しかしながら、リフレクタの内部にゴムバンドや爪構造等の光学的に障害物となる構造を設けることは、光効率の点から好ましくない。また、リフレクタ部はカメラや携帯電話などの製品の外観部となるため、リフレクタの内部に設置できる構造物にも制限が生じやすい。
【0007】
更に、リフレクタ内部にキセノン管を設置する場合でも、キセノン管の発光に関わる3つの電気的接合点を設けることが必要であるが、安定した発光の目的から、キセノン管の両端電極の半田接合位置のずれや各部品寸法のばらつきがあっても、電気的接合点となる端子、特にトリガ電圧を印加するトリガ電極は、確実な接触をすることが要求される。
【0008】
このような弾性部材によってキセノン管をリフレクタに押し付ける手段の例として、下記特許文献1には、光学部材(ライトガイド)に爪部を設け、発光管(キセノン管)と反射笠(リフレクタ)からなる光源手段を収納する筐体(ケース)に設けられた孔部に前記爪部を嵌合し、前記光源手段と光学部材と筐体とを一体的に構成するとともに、前記光学部材と発光管の間に弾性部材を配置し、発光管を反射笠に押し付ける構造が提案されている。
【0009】
しかしながら、リフレクタからキセノン管が突出しない構造、すなわちリフレクタ内に端子を含むキセノン管全体が収納されるような構造では、リフレクタの内部にゴムバンドや爪構造等の固定手段を設けることは極めて困難であり、新たに接触固定手段が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−12490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、リフレクタ内部にキセノン管全体を設置する場合でも、安定した発光を行うために、キセノン管の端子に対し給電回路との確実な電気的接触を実現する固定手段を備えたストロボ発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、発光に必要な電力が供給される端子を有するストロボ光源と、正面側が開口して、前記端子を含むストロボ光源全体を収納したケースとを備えたストロボ発光装置であって、前記ケース内の背面側に、前記ストロボ光源の端子に接触する導電部材で光反射面を形成すると共に前記ストロボ光源に電力を供給する給電回路を設け、該導電部材と該給電回路との間に導電性を有する弾性部材を接触させて配置したことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、ストロボ光源の端子に接触する導電部材で形成された光反射面に導電性を有する弾性部材を介して給電回路を接触させるように構成したので、光反射面がアルミニウム等の金属板で形成されていても、ストロボ光源の端子に対する給電回路の電気的接続が確実で、発光が安定化する。
【0014】
また、ストロボ光源の端子に接続する導電部材に弾性部材を接触させる構造であるから、本装置に外部から衝撃が加えられても、キセノン管への衝撃を緩和することができる。従って、特にキセノン管の端子部の変形や損傷を防止できる。
【0015】
本発明の実施態様では、前記端子は、ストロボ光源の放電発光領域に設けられたトリガ電極であり、これに前記給電回路から前記導電部材を介してトリガ電圧が印加される。
【0016】
また、前記給電回路は、前記ケースの底面上にパターン化した導電体で構成されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は実施形態のストロボ発光装置の構成を示す図、(b)は(a)のB−B断面図。
【図2】図1のストロボ発光装置の長さ方向断面図。
【図3】実施形態のストロボ発光装置を構成する部材を示す分解斜視図。
【図4】(a)は実施形態のケースの内部構成を示す斜視図、(b)は当該ケースの底面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜図4を参照して実施形態のストロボ発光装置について説明する。
【0019】
図1に示すストロボ発光装置1は、ストロボ光源としてキセノン管2を備える。キセノン管2は、発光に必要な電力が供給される端子として、両端の電極端子21a,21bと、管の外周面に形成されたトリガ電極(図示省略)とを有する。これらの電極端子を含むキセノン管2全体が、正面側(図では、上面側)が開口したケース3内に収納されている。
【0020】
キセノン管2は、円柱状のガラス管で構成され、内部にキセノンガスが封入されている。ガラス管の外周表面には、発光のためのトリガ電圧を印加するトリガ電極を構成する透明電極が塗布されている。このように構成されるキセノン管2は、後述の給電回路から1対の端子21a,21b(両電極間)に高い電位差(例えば、50V以上)が生じた状態でトリガ電極にトリガ電圧が印加されることでストロボ発光する。
【0021】
ケース3は、内面がリフレクタとしても機能するような形状で高反射率の樹脂部材でその外形が直方体形状に形成され、キセノン管2を収納可能なように正面側が開口しており、この開口からキセノン管2が発光した光を照射する。以下、ケース3の開口部の面を「ケース3の正面」とし、ケース3の正面とは反対側の面を「ケース3の背面」とする。
【0022】
図2乃至図4に示すように、ケース3の内部には、背面側(図では、底面側)に、キセノン管2の両端の電極端子21a,21bをそれぞれ固定支持する一対の端子接続部40a,40bが、長さ方向両端側に設けられている。
【0023】
また、キセノン管2のトリガ電極に接触する導電部材である金属反射板41で光反射板が形成されると共に、キセノン管2に電力を供給する給電回路の端子接続部43が形成されている。金属反射板41によって、キセノン管2の発光を反射することで、照射方向に対して、より強い光を照射することができる。
【0024】
更に、金属反射板41と給電回路の端子接続部43との間に,長さ方向に平行に延びた一対の導電性弾性部材42a,42bが配置される。各弾性部材は、導電加工された樹脂からなる。
【0025】
従って、ケース3に収納されたキセノン管2に対して、トリガ電圧は、給電回路の接続部43から弾性部材42a,42b及び金属反射板41を介して、トリガ電極に印加される。
【0026】
ケース3は、白色の樹脂でリフレクタを形成する。また、金属反射板41には、高反射率のアルミ板を使用できる。更に、導電性弾性部材42a,42bとして金属細線入りのゴムコネクタを用いることができる。これは、例えば、弾性部材であるゴムの内部に導電性を有するスプリングが埋め込まれるか、或いは鉄粉を混ぜることで導電性を有するものとなる。これら金属反射板41、導電性弾性部材42a,42b及び接続部43は、蒸着や接着によって、ケース3に固定される。
【0027】
更に、本実施形態では、図においてケース3の底面の長さ方向両端及び中央部に、それぞれキセノン管2の両端電極端子21a,21b及びトリガ電極と電気的に接続する給電回路の導電部50a,50b,50cが形成され、各導電部は、それぞれケース3の底面上から両側面まで延びた延長導電部51a,51b,51cを有する。
【0028】
図1(b)及び図2に示すように、これらの導電部のうち、ケース3の両端側の導電部50a,50bは、各々の延長導電部51a,51bからケース3の両側壁を貫通する線状の導電体(図では、導電線52bのみ示す)を介して、前記一対の端子接続部40a,40bに接続している。
【0029】
また、ケース3の底面中央の導電部50cは、その延長導電部51cからケース3の底面壁を貫通する線状の導電体(導電線)52cを介して、前記接続部43bに接続している。これらのパターン化された導電部により、ケース3の外部電源からキセノン管2へ電力を供給する給電回路が構成されている。
【0030】
本実施形態のように、キセノン管全体がリフレクタであるケース内に収納される構造の場合、キセノン管の位置固定は、両端の電極端子をケース内の接続部に半田で接合することで行う。このとき、半田接合位置のずれや部品寸法のばらつきなどの要因で、キセノン管の電圧印加部位がばらついたり、接触が不安定になったりするが、本実施形態によれば、キセノン管2に接触する金属反射板41を導電性の弾性部材42a,42bで支持することにより、ばらつきを吸収し電気的接触を確実にすることができる。
【0031】
また、従来のストロボ発光部の構成では、キセノン管と金属板の接触固定を行った後に、キセノン管の両側端子の接続を行っていたが、本実施形態では、両側端子が固定されたキセノン管に対して確実に金属板が接触固定できるような構造となっている。
【0032】
更に、キセノン管2の端子に接続する金属製の反射板41に弾性部材42a,42bが接触する構造であるから、本装置に外部から衝撃が加えられても、キセノン管2への衝撃を緩和し、キセノン管の端子部の変形や損傷を防止できる。
【0033】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、構造のストロボ発光装置に用いてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…ストロボ発光装置、2…キセノン管(ストロボ光源)、3…ケース、21a,21b・・・電極端子、40a,40b・・・端子接続部、41…金属反射板、42a,42b…導電性弾性部材、43…接続部、50a,50b,50c…導電部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光に必要な電力が供給される端子を有するストロボ光源と、正面側が開口して、前記端子を含むストロボ光源全体を収納したケースとを備え、前記ケース内の背面側に、前記ストロボ光源の端子に接触する導電部材で光反射面を形成すると共に前記ストロボ光源に電力を供給する給電回路を設け、該導電部材と該給電回路との間に導電性を有する弾性部材を接触させて配置したことを特徴とするストロボ発光装置。
【請求項2】
前記端子は、前記ストロボ光源の放電発光領域に設けられたトリガ電極であることを特徴とする請求項1記載のストロボ発光装置。
【請求項3】
前記給電回路は、前記ケースの底面上に導電体をパターン化して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のストロボ発光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−58325(P2012−58325A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199079(P2010−199079)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】