説明

スナップディスクを製造する方法

【課題】本発明は、サーモバイメタルからなる複数のスナップ要素の2つのスナップ温度を安定化するための方法に関する。
【解決手段】機械的なステップは熱処理によって中断されないで、型押しされたスナップ要素が高い時効温度で数度平らにプレスされる。これらのスナップ要素は、この工程中に、自動製造装置内に残っており、自動装置内で更に処理されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーモバイメタルからなる複数のスナップ要素の2つのスナップ温度を安定化するための方法であって、機械的な作業ステップを熱処理によって中断しない方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスナップ要素は、サーモバイメタルストリップから打ち抜かれ、好ましくは円形を有する。しかし、他の形状も可能であり、通常である。例えば、正方形、矩形、平行四辺形および中央に舌部を有する形状である。以下の特許明細書でスナップディスクに言及するときは、これらすべての形状を意味することができる。
【0003】
サーモバイメタルストリップからなる複数のスナップ要素は、熱工程を制御しかつ制限するための大きな用途範囲を有する。ディスクの湾曲を急激に唐突に変える2つの温度を、「下方のスナップ温度および上方のスナップ温度」と呼ぶ。
【0004】
ディスクの、強さを変えて型押しされた湾曲が、これらの2つの温度の状態の尺度であることは周知である。この湾曲は、両面からの、強さを変えた型押しによって付けられる。湾曲が非常に平らな球冠の形状を有することは好ましい。しかし、他の形状、例えば、非常に平らな切頭錐体の形状も可能である。
【0005】
図1は温度と湾曲の関連を示す。横座標には、温度が記載され、縦座標にはスナップディスクの湾曲が記載されている。上方のおよび下方のスナップ温度に達すると、湾曲は、突然、反対側にスナップ動作をする。後で述べるつもりの時効温度は、上方のスナップ温度よりはるかに高く、しかし、バイメタルの軟化をもたらす温度よりも低い。
【0006】
型押し(embossing)の後に、複数のスナップディスクはまだ余りに少ない熱的安定性を有する。すなわち、スナップ温度は、スナップ要素の動きの回数により変化する。型押し工程後にスナップディスクを熱的にエージングさせることは、必要かつ典型的である。この場合、スナップディスクは、数分間から1時間の期間の間に、上方のスナップ温度の上にあり、しかしまた、バイメタルの軟化をもたらす温度範囲の下にある高温に、晒される。
【0007】
この熱処理の期間は、自動製造工程の早めの中断を必要とする。まだなされていない作業工程、すなわち、試験、選択、打ち抜きを再度自動的に終了させることは、ほとんど不可能である。従って、極端に短い作用期間によって1秒から2秒までの機械周期に分類される温度安定化方法に対する正当な要望がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この課題の解決が本発明の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の思想は、型押しされたディスクを高い時効温度(で平らにプレスすることにある。この工程を、数度、例えば、2度ないし6度繰り返すことができる。
【0010】
スナップディスクを機械的に製造する最中に、複数のディスクを或る作業位置から次の作業位置へ着実に案内しなければならない。この目的のために、打ち抜きの済んだディスク、あるいは1つまたは2つのウェブによってまだ打ち抜きストリップに結合されているディスクを、周期的に更に搬送するための一連の方法がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に例として記載された製造方法では、1つまたは2つの細いウェブによってまだ複数のディスクが吊るされてある打ち抜きストリップの、最後に挙げた搬送方法を選択した。
【0012】
図2はこのような方法を示す。
【0013】
複数の作業位置に亘って延びている、U字形のファーネスの下部には、参照符号1が付されている。必要な加熱器は符号2で示されている。U字形の溝の底部には、打ち抜かれかつ型押しされたバイメタル・ストリップ3が摺動する。U字形の溝の底部が加熱可能である故に、底部に載っているサーモバイメタルストリップ3が、時効温度、すなわち、上方のスナップ温度より上にあるが、バイメタル・ストリップ3の軟化温度よりも下にある温度に即座に加熱される。溝の中では、ファーネスの下部の底部と同一の寸法を有するプレッシャ・バー4が垂直方向に動く。このバーは、U字形のファーネスにあるすべての型押しされたディスクが平らにプレスされるほどに強く、力要素5によって、型押しされたディスクへ(空気圧式に、圧液式に、カムによってまたは磁気式に)プレスされる。従って、複数のスナップ要素を平らにプレスするプレス工程は、上方のスナップ温度より上にあるが、複数のスナップ要素の軟化温度よりも下にある、複数のスナップ要素の温度で、なされる。2つの工程、すなわち、加熱およびプレスは、クランピング・ファーネス(Klemmofen)1でなされる。プレスの工程は、自動型押し装置のサイクル時間に応じて、1ないし1.5秒よりも短く続く。次いで、打ち抜きストリップがまさしく1つの位置だけ先に引っ張られてなる搬送サイクルが続く。このサイクル的になされる工程は、複数のディスクを自動装置から取り出す必要なしに、各々のサイクルに応じて、エージングされたディスクを提供する。
【0014】
従って、これらのディスクは自動装置の中に留まり、熱時効が、自動装置内で、しかも自動装置の作業サイクルで実行される。
【0015】
クランピング・ファーネス1内で、複数のディスクのプレスによって、ファーネスからこれらのディスクへの出来る限り速い熱伝達が得られることは、有益な副効果である。このことは、作業工程の素早い実行に寄与する。
【0016】
図2は、ファーネスのU字形の下部およびプレッシャ・バー4が、互いに係合する櫛歯状の噛合わせを示す。この噛合わせは、プレッシャ・バーの別個の加熱が不要なほどに内的な、ファーネスからプレッシャ・バーへの熱伝達を得るために用いられる。
【0017】
上記図2には、U字形のクランピング・ファーネスの前後に必要な複数の作業位置が示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は温度と湾曲の関連を示す。
【図2】複数のディスクが1つまたは2つの細いウェブによってまだ複数のディスクが吊るされてある打ち抜きストリップの搬送方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーモバイメタルからなる複数のスナップ要素の2つのスナップ温度を安定化するための方法において、
前記複数の型押しされたスナップ要素を、上方のスナップ温度より上にある時効温度で、平らにプレスすることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記平らなプレスの工程を1度または数度行なうことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記時効温度に加熱する目的でかつ複数のディスクを平らにプレスするために、クランピング・ファーネスを用い、加熱された金属製のU字形の型で、1つまたは複数のスナップ要素を、同様に加熱されたメタル・バーによって平らにプレスすることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記メタル・バーは、前記クランピング・ファーネスのU字形の下部と、前記バーの別個の加熱を必要としないほどに内的な熱接触を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
打ち抜きストリップに保持用ウェブによってまだ結合されている複数のスナップ要素を、1つの作業位置だけサイクル的に先に引っ張ることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
サイクル的な搬送運動を自動装置の作業サイクルで行なうことを特徴とする請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−505469(P2008−505469A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519791(P2007−519791)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053202
【国際公開番号】WO2006/003204
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(507006330)エレクトロニック・ベルクシュテッテ・インジェニエーア・ブルムブ・ゲゼルシャフト・エム・ベー・ハー (1)
【Fターム(参考)】