説明

スネアドラムのストレイナーシステム及びそのストレイナーシステムを備えたスネアドラム

【課題】ドラムヘッドに対するスネアワイヤの位置を変更する際の操作性が向上するスネアドラムのストレイナーシステム及びそのストレイナーシステムを備えたスネアドラムを提供することにある。
【解決手段】スネアドラム10は、スネアワイヤ13の位置を裏面ヘッド12bから離間したオフ位置と裏面ヘッド12bと接するオン位置とに切り替えるストレイナーシステム15を備えている。ストレイナーシステム15は、スネアワイヤ13が取り付けられるフレーム14と、フレーム14の各端部に連結され、フレーム14の各端部をスネアドラム10のシェル11にそれぞれ取り付けるための一対のリンク機構31,41とを備えている。スネアワイヤ13の位置をオン位置に切り替えた後、第2リンク機構41の調整ネジを操作することにより、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の位置が調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スネアドラムのストレイナーシステム及びそのストレイナーシステムを備えたスネアドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スネアドラムは、円筒状のシェルと、シェルの上下の開口端にそれぞれ装着された一対のドラムヘッドと、下方のドラムヘッドの表面に沿って張設されるスネアワイヤとを備えている。スネアワイヤは、ドラムヘッドに当接した状態で、ドラムヘッドが叩打されたときに振動する。このスネアワイヤをシェルに保持するための構造として、ベルトや紐などを用いたものが知られている。この保持構造の欠点として、スネアワイヤの張力とドラムヘッドに対するスネアワイヤの接触圧とを別々に調節できないことや、スネアワイヤの張力によってストレイナーの操作がし難くなることが挙げられる。また、ドラムヘッドからスネアワイヤを離間させるとスネアワイヤの張力が維持できなくなり、スネアワイヤによるノイズが発生し易くなることも挙げられる。これらの欠点を解消するため、スネアワイヤをフレームに取り付け、そのフレームをシェルに装着する方法が提案されている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。しかしながら、特許文献1又は2に開示の方法によれば、ベルトや紐などを用いてフレームをシェルに保持することから、ドラムヘッドに対しスネアワイヤを均一に接触させることができる一方、例えばドラムヘッドの交換のためフレームをシェルから外したり、シェルに装着したりする際の作業が面倒であった。この問題を解消するため、フレームをシェルに保持するためのフレーム保持機構を備えたストレイナーシステムも提案されている(例えば、特許文献3〜特許文献5参照)。
【特許文献1】実公昭43−22073号公報
【特許文献2】米国特許第3981220号明細書
【特許文献3】実開昭60−163499号公報
【特許文献4】実開昭60−163500号公報
【特許文献5】特許第3902213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スネアドラムの演奏時、スネアワイヤによる音の応答性や響きを良くするには、ドラムヘッドの表面に対しスネアワイヤを均一に接触させることが好ましい。しかしながら、特許文献3〜5に開示のストレイナーシステムの場合、ドラムヘッドの表面に対しスネアワイヤを平行にすることができず、ドラムヘッドの表面に対しスネアワイヤを均一に接触させることができない場合がある。このため、フレームの第1端部及び第2端部のドラムヘッドに対する位置を調整する調整機構が、フレームの各端部に対応してそれぞれ設けられている。この種のストレイナーシステムによれば、ドラムヘッドに対するスネアワイヤの接触圧を調節するため、2箇所で各調整機構を操作してフレームの位置を調整する必要がある。しかしながら、演奏者にとってはその操作が面倒であり、かつフレームの位置が調節し難いという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドラムヘッドに対するスネアワイヤの位置を変更する際の操作性が向上するスネアドラムのストレイナーシステム及びそのストレイナーシステムを備えたスネアドラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、スネアワイヤの位置をドラムヘッドの表面から離間したオフ位置とドラムヘッドの表面と接するオン位置とに切り替えるスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、スネアワイヤが取り付けられ、ドラムヘッドの表面に沿って延びると共に一対の端部を有するフレームと、フレームの各端部に連結され、フレームの各端部をスネアドラムのシェルにそれぞれ取り付けるための一対のリンク機構と、スネアワイヤの位置をオフ位置とオン位置とに切り替えるとき操作される操作部とを備え、操作部は、一対のリンク機構のうちの一方に設けられていることを要旨とする。
【0006】
スネアドラムの演奏時、スネアワイヤによる音の応答性や響きを良くするには、ドラムヘッドの表面に対しスネアワイヤを均一に接触させることが好ましい。その点、この構成によれば、一対のリンク機構のうちの一方に設けられた操作部を操作することによって、ドラムヘッドの表面に対しスネアワイヤを均一に接触させることができる。よって、ドラムヘッドに対するスネアワイヤの位置を変更する際の操作性が向上する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、オン位置に配置されたスネアワイヤのドラムヘッドに対する位置を調整する調整機構を備えていることを要旨とする。
この構成によれば、調整機構を操作することによって、オン位置に配置されたスネアワイヤのドラムヘッドに対する接触圧を調節することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明において、操作部及び調整機構は、フレームの第2端部に装着されるリンク部材を共有し、操作部の操作に伴い、リンク部材は、オフ位置に対応する第1位置とオン位置に対応する第2位置との間で移動し、調整機構の操作に伴い、リンク部材は、第2位置を基準として上下方向に移動することを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、リンク部材を上下方向に移動させることによって、スネアワイヤのオン又はオフの切り替えと、ドラムヘッドに対するスネアワイヤの接触圧の調整とを行うことができる。つまり、調整機構と操作部とで部品の共通化を図ることができ、ストレイナーシステムの構成を簡素化することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の発明において、操作部は、操作スイッチ、及びリンク部材に連結されたカムを備え、操作スイッチの操作に伴う動作がカムを介して上下運動に変換されることにより、リンク部材が第1位置と第2位置との間で移動することを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、カムの使用により、第1位置と第2位置との間でリンク部材を移動させるための構成を簡素化することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、調整機構は、シェルに固定されるベースと、ベースに調整ネジを介して支持され、かつカムに連結されるスライダとを備え、スライダに対する調整ネジの螺合量を変更することにより、ベースに対してスライダ及びカムが上下方向に移動することによって、リンク部材が第2位置を基準として上下方向に移動することを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、調整ネジ及びスライダからなるネジ機構の使用により、第2位置を基準としてリンク部材を上下方向に移動させるための構成を簡素化することができる。また、ネジを回してスネアワイヤの位置を調節することにより、ドラムヘッドに対するスネアワイヤの接触圧を容易に、かつ小さい変化幅で調整することができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の発明において、フレームの各端部は、各リンク機構に連結された状態で、シェルに対し弾性的に保持されていることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、フレームの両端がシェルに対し弾性的に保持されることによって、ドラムヘッドの表面に対しフレームを平行にしたまま上昇又は下降させることができる。これにより、スネアワイヤの位置をオフ位置からオン位置に切り替えるとき、ドラムヘッドに対しスネアワイヤを擦らないようにすることができる。よって、ドラムヘッドとスネアワイヤとの接触によるノイズの発生を極力抑えることができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の発明において、フレームの各端部をそれぞれドラムヘッドの表面から離間する方向に付勢する一対の付勢手段を備えていることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、付勢手段によって、フレームの両端をシェルに対し弾性的に、かつ安定的に保持することができる。なお、付勢手段の具体的な構成として、例えば、安価で、かつ入手し易いコイルばねなどが挙げられる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の発明において、各リンク機構は、フレームの対応する端部に対し係脱可能であることを要旨とする。
この構成によれば、ドラムヘッドの交換やチューニングのため、スネアドラムのシェルからスネアワイヤを着脱する際の作業性が向上する。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の発明において、スネアワイヤは、複数の響線と、各響線の各端部を互いに連結する一対の取付具とを有し、フレームは、各取付具に設けられた孔にそれぞれ係止される一対の突起を有していることを要旨とする。
【0019】
この構成によれば、スネアワイヤの両端の孔にフレームの突起を係止させるだけで、スネアワイヤをフレームに取り付けることができる。また、スネアワイヤの両端はフレームの一対の突起により点で支持されるため、スネアワイヤはドラムヘッドの表面に対し追従するように接触する。これにより、ドラムヘッドに対してスネアワイヤをより確実に接触させることができる。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の発明において、フレームは、フレームに取り付けられたスネアワイヤの張力を変更可能な張力変更手段を備えていることを要旨とする。
【0021】
この構成によれば、張力変更手段によって、フレームに取り付けられたスネアワイヤの張力を調節することができる。つまり、ドラムヘッドに対するスネアワイヤの接触圧とスネアワイヤの張力とを別々に調節することのできるストレイナーシステムを提供することができる。
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項10記載の発明において、張力変更手段は、ドラムヘッドの表面に沿って延びる一対のロッドと、両ロッドに対し摺動可能に支持され、スネアワイヤの各端部がそれぞれ取り付けられる一対の移動部材とを備え、両ロッドに対する各移動部材の位置が調節可能であることを要旨とする。
【0023】
この構成によれば、両ロッドに対する各移動部材の位置を調節することによって、両移動部材に取着されたスネアワイヤの張力を調節することができる。
請求項12に記載の発明は、円筒状のシェルと、シェルの上下の開口端をそれぞれ閉塞する一対のドラムヘッドと、スネアワイヤの位置をドラムヘッドの表面から離間したオフ位置とドラムヘッドの表面と接するオン位置とに切り替えるストレイナーシステムとを備えたスネアドラムであって、ストレイナーシステムは、スネアワイヤが取り付けられ、ドラムヘッドの表面に沿って延びると共に一対の端部を有するフレームと、フレームの各端部に連結され、フレームの各端部をスネアドラムのシェルにそれぞれ取り付けるための一対のリンク機構と、スネアワイヤの位置をオフ位置とオン位置とに切り替えるとき操作される操作部とを備え、操作部は、一対のリンク機構のうちの一方に設けられていることを要旨とする。
【0024】
この構成によれば、請求項1に係る発明と同等の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ドラムヘッドに対するスネアワイヤの位置を変更する際の操作性が向上するスネアドラムのストレイナーシステム及びそのストレイナーシステムを備えたスネアドラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係るスネアドラムのストレイナーシステムを具体化した一実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
図1に示すように、スネアドラム10は、円筒形のシェル11と、シェル11の上開口端を塞ぐ打面ヘッド12aと、シェル11の下開口端を塞ぐ裏面ヘッド12bと、裏面ヘッド12bの表面に沿って張設されるスネアワイヤ13と、スネアワイヤ13の位置を裏面ヘッド12bから離間したオフ位置と裏面ヘッド12bと接するオン位置とに切り替えるストレイナーシステム15とを備えている。スネアワイヤ13の位置がオン位置に切り替えられた状態で打面ヘッド12aが叩打されると、打面ヘッド12a及び裏面ヘッド12bと共にスネアワイヤ13が振動して、スネアドラム10に特有の振動音が発生する。
【0027】
シェル11の両開口端には、環状のフープ16がそれぞれ設けられている。各ドラムヘッド12a,12bは、フープ16を介して、シェル11の各開口端に支持されている。シェル11の外周面には、各フープ16を固定するための複数のラグ17と、複数のラグボルト18とがそれぞれ設けられている。各ラグ17の孔に挿入された各ラグボルト18を締め付けたり、緩めたりすることにより、各ドラムヘッド12a,12bの張力が変更されて、スネアドラム10の音調が調節される。
【0028】
図1及び図2に示すように、スネアワイヤ13は、複数の金属製の響線20と、各響線20の両端部を互いに連結する一対の取付具21とを備えている。スネアワイヤ13の各取付具21には、丸い孔21aが設けられている。ストレイナーシステム15は、上記のように構成されたスネアワイヤ13が取り付けられるフレーム14を備えている。フレーム14は、裏面ヘッド12bの表面に沿って延びると共に一対の端部を有している。フレーム14は、平行に配置される一対のロッド23と、両ロッド23の各端部に固定された一対のブラケット24と、両ロッド23に対し摺動可能に装着された一対の移動部材25と、両ロッド23に対する移動部材25の位置を調節する一対の調節ネジ26と、両ロッド23に対し固定された一対のフック27とを備えている。本実施形態において、一対のロッド23、一対の移動部材25、及び調節ネジ26によって、フレーム14に取り付けられたスネアワイヤ13の張力を変更可能な張力変更手段と、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の横方向の位置を変更可能な位置変更手段とが構成されている。
【0029】
各ブラケット24は、断面逆L字状を有し、別のブラケット24と対向する向きに配置されている。各移動部材25には、両ロッド23が挿通される一対の孔25aが設けられている。また、各移動部材25の上面には、スネアワイヤ13の各取付具21の孔21aに係止される突起25bと、スネアワイヤ13の各取付具21を下方から支持する支持突起25cとが設けられている。各移動部材25の端面には、ブラケット24の外面から挿通された調節ネジ26が螺合されるネジ穴(図示せず)が設けられている。調節ネジ26を回して移動部材25に対する螺合量を変更することにより、移動部材25が両ロッド23の軸線に沿って移動する。また、各フック27は、断面コ字状をなし、両ロッド23の端部よりも中央に近い位置に設けられている。各フック27の両側壁には、下方に開口した半円形状の係止穴27aが設けられている。
【0030】
ストレイナーシステム15は、上記のように構成されたフレーム14の両端をシェル11に連結する一対のリンク機構31,41を備えている。第1リンク機構31は、フレーム14の第1端部(図1に示す左端)をシェル11に取り付ける。第2リンク機構41は、フレーム14の第2端部(図1に示す右端)をシェル11に取り付ける。第1及び第2リンク機構31,41は、シェル11の外周面において、裏面ヘッド12bの中心に対し対称となる位置に設けられている。
【0031】
図3、図5,図6に示すように、第1リンク機構31は、シェル11の外周面に固定されるベース32と、下面が閉塞された四角筒状のガイド部材33と、フレーム14の第1端部に接続される第1リンク部材34とを備えている。ベース32は、上下に延びる四角筒状の保持部32aを備えている。保持部32a内には、ガイド部材33が収容されている。ガイド部材33の両側壁には、上下に延びるガイド溝33aがそれぞれ設けられている。両ガイド溝33aには、横方向の延びる支持軸35が貫通して配置されている。この支持軸35を介して、ガイド部材33は、ベース32の保持部32aに対し摺動可能に支持されている。また、ガイド部材33内には、コイルばね36が、支持軸35とガイド部材33の下壁とにより圧縮された状態で配置されている。このコイルばね36によって、ガイド部材33は下方に常時付勢されている。
【0032】
支持軸35の両端は、保持部32aの両側面から横方向にそれぞれ突出している。そして、支持軸35の両端には、第1リンク部材34が回動可能に連結されている。第1リンク部材34は、略L字状をなす一対のアーム34aと、両アーム34aの先端を繋ぐ係止バー34bとを備えている。両アーム34aの上端は、支持軸35の両端に対し回動可能にそれぞれ連結されている。係止バー34bは、フレーム14の第1端部付近のフック27の係止穴27aに対し係脱される。フレーム14の第1端部は、ガイド部材33により下方に付勢されると共に、フック27に係止バー34bを係止させることによって、第1リンク機構31から外れないように保持される。
【0033】
図4〜図7に示すように、第2リンク機構41は、第1ベース42、第2ベース43、ガイド部材44、リンク組立体45、スイッチレバー46、及び調整ネジ47を備えている。第1ベース42は、断面略C字状をなし、第1ベース42の上端及び下端が内側に折り曲げられている。第1ベース42の上下各端部は、シェル11の内側から挿入されたボルトによってシェル11の外周面に固定されている。第1ベース42は、その両側縁の中央に、横方向に突出した一対の取付部42aを有している。
【0034】
第2ベース43は、略箱状をなしている。第2ベース43は、両側壁の側縁に横方向に突出した一対の取付部43aを有している。第2ベース43は、各取付部43aの前面から挿入された一対のボルトによって、第1ベース42の両取付部42aに取り付けられる。第2ベース43の上面には、調整ネジ47のネジ部が挿通される挿通孔43bが設けられている。第2ベース43の両側壁の先端には、横方向に延びる支持軸48が支持されている。また、第2ベース43において、スイッチレバー46と面する側壁には、四角形状のゴム板49が固着されている。
【0035】
ガイド部材44は、下面が閉塞された四角筒状をなしている。ガイド部材44の両側壁には、上下に延びるガイド溝44aがそれぞれ設けられている。両ガイド溝44aには、支持軸48が貫通して配置されている。この支持軸48を介して、ガイド部材44は、第2ベース43の両側壁間に対し摺動可能に支持されている。また、ガイド部材44内には、コイルばね50が、支持軸48とガイド部材44の下壁とにより圧縮された状態で配置されている。第1リンク機構31のガイド部材33と同様に、コイルばね50によって、ガイド部材44は下方に常時付勢されている。なお、第2リンク機構41のコイルばね50は、第1リンク機構31のコイルばね36と同じ弾性係数を有している。
【0036】
リンク組立体45は、スライダ54と、一対のカムプレート55と、フレーム14の第2端部に接続される第2リンク部材56とを備えている。スライダ54は、下面が開口された略箱状をなしている。スライダ54の上面には、調整ネジ47の先端が螺合されるネジ孔54bが設けられている。スライダ54の両側壁には、斜めに延びるスライド溝54aと、スイッチレバー46との連結に用いられる連結孔54cとが設けられている。両スライド溝54aには、横方向に延びる連結軸58が貫通して配置されている。連結軸58の両端は、スライダ54の両側壁から横方向にそれぞれ突出している。
【0037】
連結軸58の両端には、カムプレート55の上端が回動可能にそれぞれ連結されている。各カムプレート55は、略V字状をなしている。各カムプレート55の中央部分は、第2ベース43の支持軸48に対し連結されている。また、各カムプレート55の下端は、支持軸60を介して、第2リンク部材56の上端に対し回動可能に連結されている。つまり、各カムプレート55は、上端、中央部分及び下端の3箇所において、スライダ54、第2ベース43及び第2リンク部材56に対しそれぞれ回動可能に連結されている。第2リンク部材56は、略L字状をなす一対のアーム56aと、両アーム56aの先端を繋ぐ一本の係止バー56bとを備えている。両アーム56aの上端は、支持軸60の両端に対し回動可能にそれぞれ連結されている。係止バー56bは、フレーム14の第2端部付近のフック27の係止穴27aに対し係脱される。フレーム14の第2端部は、ガイド部材44により下方に付勢されると共に、フック27に係止バー56bを係止させることによって、第2リンク機構41から外れないように保持される。
【0038】
スイッチレバー46は、一対のリンク部品62を介して、スライダ54の連結軸58に対し回動可能に連結されている。また、スイッチレバー46は、連結軸63を介して、スライダ54の両連結孔54cに対し回動可能に連結されている。スイッチレバー46は、スネアワイヤ13の位置を裏面ヘッド12bから離間したオフ位置と裏面ヘッド12bと接するオン位置とに切り替えるときに操作される。具体的には、スイッチレバー46の上端を図5に示すように押し下げると、フレーム14が第1位置に配置されると共に、スネアワイヤ13が裏面ヘッド12bの表面から離間したオフ位置に配置される。一方、スイッチレバー46の上端を図6に示すように押し上げると、フレーム14が第2位置に配置されると共に、スネアワイヤ13が裏面ヘッド12bの表面と接するオン位置に配置される。なお、本実施形態において、スネアワイヤ13の位置をオン位置又はオフ位置に切り替える操作部は、スイッチレバー46、カムプレート55、及び第2リンク部材56を備えている。
【0039】
ストレイナーシステム15の作用について図2、図5及び図6を参照して説明する。
まず、図2に示すように、スネアワイヤ13をフレーム14に取り付ける。具体的には、スネアワイヤ13の各取付具21をフレーム14の各移動部材25に取り付ける。
【0040】
次に、スネアワイヤ13が取り付けられたフレーム14をスネアドラム10のシェル11に装着する。具体的には、図5に示すように、第1リンク機構31側では、フレーム14の一方のブラケット24をガイド部材33の下面に当接させる。そして、その状態で、第1リンク部材34を図5に示す反時計回りに回動させて、係止バー34bをフレーム14のフック27に係止させる。また、第2リンク機構41側では、フレーム14の他方のブラケット24をガイド部材44の下面に当接させる。そして、その状態で、第2リンク部材56を図5に示す時計回りに回動させて、係止バー56bをフレーム14の他方のフック27に係止させる。このような操作により、第1及び第2リンク機構31、41を介して、フレーム14の各端部がスネアドラム10のシェル11にそれぞれ取り付けられる。この状態で、フレーム14は第1位置に配置され、スネアワイヤ13は裏面ヘッド12bの表面から離れたオフ位置に配置されている。
【0041】
次に、スイッチレバー46の上端を図6に示すように押し上げて、フレーム14上のスネアワイヤ13の位置を裏面ヘッド12bの表面と接するオン位置に切り替える。具体的には、スイッチレバー46をその裏面が第2ベース43のゴム板49と接する位置まで回動させる。スイッチレバー46の回動に伴い、スイッチレバー46にリンク部品62を介して連結された連結軸58がスライド溝54a内を上方に移動する。連結軸58の上昇に伴い、連結軸58に連結されたカムプレート55が支持軸48を中心に反時計回りに回動する。カムプレート55の回動に伴い、カムプレート55の下端に連結された第2リンク部材56が上方に移動し、それにより、第2リンク部材56に保持されたフレーム14の第2端部が持ち上げられる。このとき、第2リンク部材56によるフレーム14の上昇と共に、第1リンク部材34に保持されたフレーム14の第1端部も持ち上げられる。こうして、フレーム14は第1位置から第2位置に配置されると共に、スネアワイヤ13はオフ位置からオン位置に配置される。
【0042】
フレーム14を第1位置から第2位置に移動させる際、第1リンク機構31では、フレーム14の第1端部がコイルばね36により下方に付勢され、第2リンク機構41では、フレーム14の第2端部がコイルばね50より下方に付勢されている。このように、フレーム14の両端がコイルばね36,50により付勢されているため、両リンク機構31,41によりフレーム14が持ち上げられるとき、フレーム14が裏面ヘッド12bの表面に対し平行にされ、スネアワイヤ13も裏面ヘッド12bの表面に対し平行にされている。
【0043】
スネアワイヤ13をオン位置に配置した後、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の接触圧を調整するため、第2リンク機構41の調整ネジ47を回して、第2リンク部材56により保持されたフレーム14を上昇又は下降させる。具体的には、調整ネジ47を回してスライダ54に対する螺合量を変更することにより、第2ベース43に対してスライダ54が上昇又は下降する。これに伴い、スライダ54に連結された両カムプレート55、両カムプレート55に連結された第2リンク部材56が共に上昇又は下降し、第2リンク部材56に保持されたフレーム14が上昇又は下降する。こうして、フレーム14が第2位置を基準として上昇又は下降することにより、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の接触圧が調整される。スネアワイヤ13の接触圧の調整に加え、フレーム14の両端にある調節ネジ26を操作することにより、両移動部材25間の距離を変更してスネアワイヤ13の張力を調節したり、両移動部材25の位置を変更してスネアワイヤ13の横方向の位置を調節したりする。なお、本実施形態において、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の接触圧を調整する調整機構は、第1及び第2ベース42,43、調整ネジ47、スライダ54、カムプレート55、第2リンク部材56を備えている。
【0044】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)スネアドラム10の演奏時、スネアワイヤ13による音の応答性や響きを良くするには、裏面ヘッド12bの表面に対しスネアワイヤ13を均一に接触させることが好ましい。その点、本実施形態によれば、一対のリンク機構31,41のうちの一方をストレイナーとしての機能させることにより、シェル11の外径やフレーム14の長さなどの寸法誤差に関係なく、裏面ヘッド12bの表面に対しスネアワイヤ13を均一に接触させることができる。よって、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の位置を変更する際の操作性が向上する。
【0045】
(2)ストレイナーとして機能する第2リンク機構41は、オン位置に配置されたスネアワイヤ13の裏面ヘッド12bに対する位置を調整する調整機構を備えている。この構成によれば、スネアワイヤ13の位置をオン位置又はオフ位置に切り替える操作と、スネアワイヤ13の位置をオン位置に切り替えた後、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の接触圧を調節する操作とを、第2リンク機構側41のみの1箇所で行うことができる。よって、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の位置を変更する際の操作性が一層向上する。
【0046】
(3)第2リンク機構41は、フレーム14の第2端部に装着される第2リンク部材56を備えている。この第2リンク部材56を上下方向に移動させることによって、スネアワイヤ13のオン又はオフの切り替えと、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の接触圧の調整とを行うことができる。このように、第2リンク機構41を構成する一つの部品を用いて、スネアワイヤ13のオン・オフ操作とスネアワイヤ13の接触圧の調整とを行うことができる。これにより、部品の共通化を図ることができ、ひいてはストレイナーシステム全体の構成を簡素化することができる。
【0047】
(4)ストレイナーは、スイッチレバー46、及び第2リンク部材56に連結されたカムプレート55を備えている。そして、スイッチレバー46の操作に伴う回動動作がカムプレート55を介して上下運動に変換されて、第2リンク部材56が第1位置と第2位置との間で移動する。この場合、カムプレート55の使用により、第1位置と第2位置との間で第2リンク部材56を上下方向に移動させるための構成を簡素化することができる。
【0048】
(5)調整機構は、第1及び第2ベース42,43と、第2ベース43に調整ネジ47を介して支持され、かつカムプレート55に連結されるスライダ54とを備えている。この場合、調整ネジ47及びスライダ54からなるネジ機構の使用により、第2位置を基準として第2リンク部材56を上下方向に移動させるための構成を簡素化することができる。また、調整ネジ47を回してスネアワイヤ13の位置を調節することにより、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の接触圧を容易に、かつ小さい変化幅で調整することができる。
【0049】
(6)両リンク機構31,41によりフレーム14の両端がシェル11に対し弾性的に保持されているため、裏面ヘッド12bの表面に対しフレーム14を平行にして上昇又は下降させることができる。これにより、裏面ヘッド12bに対しスネアワイヤ13を平行にして接触させることができ、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の接触圧を均一にすることができる。よって、スネアワイヤ13の音の応答性や響きを良くすることもできる。また、スネアワイヤ13の位置をオフ位置からオン位置に切り替えるとき、裏面ヘッド12bに対しスネアワイヤ13を擦らないようにすることができる。よって、裏面ヘッド12bとスネアワイヤ13との接触によるノイズの発生を極力抑えることができる。
【0050】
(7)第1リンク機構31では、フレーム14の第1端部がコイルばね36によって下方に付勢され、第2リンク機構41では、フレーム14の第2端部がコイルばね50よって下方に付勢されている。この構成によれば、両コイルばね36,50の付勢力によりフレーム14の両端がシェル11に対し弾性的に、かつ安定的に保持されるため、裏面ヘッド12bに対しスネアワイヤ13を平行にして接触させることが容易になる。また、コイルばね36,50は安価で、かつ入手しやすいため、製造コストの上昇を抑制することもできる。
【0051】
(8)第1リンク機構31では、第1リンク部材34の係止バー34bがフレーム14の第1端部付近のフック27に対し係脱され、第2リンク機構41では、第2リンク部材56の係止バー56bがフレーム14の第2端部付近のフック27に対し係脱される。この構成によれば、裏面ヘッド12bの交換やチューニングのため、シェル11からスネアワイヤ13を着脱する際の作業性が向上する。
【0052】
(9)フレーム14の各移動部材25の上面には、スネアワイヤ13の各取付具21の孔21aに係止される突起25bが設けられている。この構成によれば、スネアワイヤ13の両端の孔21aにフレーム14の一対の突起25bを係止させるだけで、スネアワイヤ13をフレーム14に取り付けることができる。また、スネアワイヤ13の両端はフレーム14の一対の突起25bにより点で支持されため、スネアワイヤ13は裏面ヘッド12bの表面に対し追従するように接触する。これにより、裏面ヘッド12bに対してスネアワイヤ13をより確実に接触させることができる。
【0053】
(10)フレーム14は、一対のロッド23と、両ロッド23に対し摺動可能に装着された一対の移動部材25と、両ロッド23に対する移動部材25の位置を調節する調節ネジ26とを備えている。この構成によれば、調節ネジ26により両ロッド23に対する各移動部材25の位置を変更することによって、両移動部材25間の距離を調節することができ、両移動部材25に取着されたスネアワイヤ13の張力を調節することができる。つまり、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の接触圧とスネアワイヤ13の張力とを別々に調節することができる。また、両ロッド23に対する各移動部材25の位置を変更することによって、シェル11の口径やスネアワイヤ13の寸法などに応じて、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の横方向の位置を調節することができる。
【0054】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態において、フレーム14に代えて、図8に示すフレーム80を用いてもよい。フレーム80は、一対のロッド83と、両ロッド83の各端部に固定された一対のブラケット84と、両ロッド23に対し摺動可能に装着された一つのヘッド85と、両ロッド83に対するヘッド85の位置を調節する調節ネジ86と、両ロッド23に対し固定された一対のフック87と、スネアワイヤ13の各端部が支持される一対の支持板88a,88bとを備えている。第1支持板88aは、ベルト89を介してブラケット84の下部に固定され、第2支持板88bは、ベルト89を介してヘッド85に固定されている。調節ネジ86を回してヘッド85に対する螺合量を変更することにより、ヘッド85が両ロッド83の軸線に沿って移動する。このように、調節ネジ86により両ロッド83に対するヘッド85の位置を変更することによって、両支持板88a,88b間の距離が調節され、両支持板88a,88bに取着されたスネアワイヤ13の張力が調節される。
【0055】
・本実施形態において、両リンク機構31,41からコイルばね36,50を省略してもよい。この場合、裏面ヘッド12bに対しフレーム14の第1端部側のスネアワイヤ13を接触させたまま、フレーム14の第2端部を上昇させることにより、裏面ヘッド12bに対しスネアワイヤ13の全体を接触させることができる。
【0056】
・本実施形態において、コイルばね36,50に代えて、例えば、板ばね、ゴム、ウレタンなどの弾性部材を用いてもよい。
・本実施形態において、ボルトなどを用いて各リンク部材34,56をフレーム14の対応する端部に固定してもよい。
【0057】
・本実施形態において、スネアワイヤ13の両端の孔21aにフレーム14の一対の突起25bを係止させていたが、ボルトなどを用いてスネアワイヤ13をフレーム14に固定したり、スネアワイヤ13をフレーム14と一体に形成したりしてもよい。
【0058】
・本実施形態において、フレーム14上に取り付けられたスネアワイヤ13の張力を変更可能であったが、このような機能をフレーム14から省略してもよい。
・本実施形態において、フレーム14の第1及び第2端部のうちの一方から、スネアワイヤ13の張力を変更する張力変更手段、及びスネアワイヤ13の横方向の位置を変更する位置変更手段を削除してもよい。
【0059】
・本実施形態において、各リンク部材34,56の先端を延長すると共に、延長された各リンク部材34,56の係止バー34b,56bと対応する位置にフック27をそれぞれ設けることによって、フレーム14をその各端部よりも中央に近い位置で支持するようにしてもよい。
【0060】
・本実施形態において、裏面ヘッド12bに対するスネアワイヤ13の接触圧を調整する調整機構を、フレーム14の第1端部を保持する第1リンク機構31に設けてもよい。
・本実施形態において、第1及び第2リンク機構31,41は、シェル11の外周面において対応する2箇所にそれぞれ着脱可能であってもよい。このようにすれば、スネアドラム10を床や机などに載置する場合、裏面ヘッド12bの下側に配置されたリンク部材34,56により裏面ヘッド12bが損傷を受けたり、破損したりするといった不具合を防止できる。
【0061】
・本実施形態において、ストレイナーとして機能する第2リンク機構41に、第2リンク部材56を上下に移動させる構成として、カム機構以外の任意の機構を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態のストレイナーシステムを備えたスネアドラムを裏側から見た斜視図。
【図2】スネアワイヤ及びフレームを示す斜視図。
【図3】ストレイナーシステムの第1リンク機構を拡大して示す部分正面図。
【図4】ストレイナーシステムの第2リンク機構を拡大して示す部分正面図。
【図5】スネアワイヤの位置がオン位置に切り替えられた状態を示す断面図。
【図6】スネアワイヤの位置がオフ位置に切り替えられた状態を示す断面図。
【図7】第2リンク機構の分解斜視図。
【図8】別例のフレームを示す側面図。
【符号の説明】
【0063】
10…スネアドラム、11…シェル、12a…打面ヘッド(ドラムヘッド),12b…裏面ヘッド(ドラムヘッド)、13…スネアワイヤ、14…フレーム、15…ストレイナーシステム、20…響線、21…取付具、21a…孔、23…ロッド、24…ブラケット、25…移動部材、25b…突起、26…調節ネジ、31…第1リンク機構、34…第1リンク部材、36,50…コイルばね(付勢手段)、41…第2リンク機構、42…第1ベース、43…第2ベース、46…スイッチレバー、47…調整ネジ、54…スライダ、55…カムプレート、56…第2リンク部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スネアワイヤの位置をドラムヘッドの表面から離間したオフ位置と前記ドラムヘッドの表面と接するオン位置とに切り替えるスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記スネアワイヤが取り付けられ、前記ドラムヘッドの表面に沿って延びると共に一対の端部を有するフレームと、
前記フレームの各端部に連結され、前記フレームの各端部を前記スネアドラムのシェルにそれぞれ取り付けるための一対のリンク機構と、
前記スネアワイヤの位置を前記オフ位置と前記オン位置とに切り替えるとき操作される操作部とを備え、
前記操作部は、前記一対のリンク機構のうちの一方に設けられていることを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項2】
請求項1記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記オン位置に配置されたスネアワイヤの前記ドラムヘッドに対する位置を調整する調整機構を備えていることを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項3】
請求項2記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記操作部及び前記調整機構は、前記フレームの第2端部に装着されるリンク部材を共有し、前記操作部の操作に伴い、前記リンク部材は、前記オフ位置に対応する第1位置と前記オン位置に対応する第2位置との間で移動し、
前記調整機構の操作に伴い、前記リンク部材は、前記第2位置を基準として上下方向に移動することを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項4】
請求項3記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記操作部は、操作スイッチ、及び前記リンク部材に連結されたカムを備え、前記操作スイッチの操作に伴う動作が前記カムを介して上下運動に変換されることにより、前記リンク部材が前記第1位置と前記第2位置との間で移動することを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項5】
請求項4記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記調整機構は、前記シェルに固定されるベースと、前記ベースに調整ネジを介して支持され、かつ前記カムに連結されるスライダとを備え、前記スライダに対する前記調整ネジの螺合量を変更することにより、前記ベースに対して前記スライダ及び前記カムが上下方向に移動することによって、前記リンク部材が前記第2位置を基準として上下方向に移動することを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記フレームの各端部は、前記各リンク機構に連結された状態で、前記シェルに対し弾性的に保持されていることを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項7】
請求項6記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記フレームの各端部をそれぞれ前記ドラムヘッドの表面から離間する方向に付勢する一対の付勢手段を備えていることを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記各リンク機構は、前記フレームの対応する端部に対し係脱可能であることを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記スネアワイヤは、複数の響線と、前記各響線の各端部を互いに連結する一対の取付具とを有し、
前記フレームは、前記各取付具に設けられた孔にそれぞれ係止される一対の突起を有していることを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか一項に記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記フレームは、前記フレームに取り付けられたスネアワイヤの張力を変更可能な張力変更手段を備えていることを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項11】
請求項10記載のスネアドラムのストレイナーシステムにおいて、
前記張力変更手段は、前記ドラムヘッドの表面に沿って延びる一対のロッドと、前記両ロッドに対し摺動可能に支持され、前記スネアワイヤの各端部がそれぞれ取り付けられる一対の移動部材とを備え、前記両ロッドに対する前記各移動部材の位置が調節可能であることを特徴とするスネアドラムのストレイナーシステム。
【請求項12】
円筒状のシェルと、前記シェルの上下の開口端をそれぞれ閉塞する一対のドラムヘッドと、スネアワイヤの位置を前記ドラムヘッドの表面から離間したオフ位置と前記ドラムヘッドの表面と接するオン位置とに切り替えるストレイナーシステムとを備えたスネアドラムであって、前記ストレイナーシステムは、
前記スネアワイヤが取り付けられ、前記ドラムヘッドの表面に沿って延びると共に一対の端部を有するフレームと、
前記フレームの各端部に連結され、前記フレームの各端部を前記スネアドラムのシェルにそれぞれ取り付けるための一対のリンク機構と、
前記スネアワイヤの位置を前記オフ位置と前記オン位置とに切り替えるとき操作される操作部とを備え、
前記操作部は、前記一対のリンク機構のうちの一方に設けられていることを特徴とするスネアドラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−133887(P2009−133887A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307532(P2007−307532)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(502009761)星野楽器製造 株式会社 (11)