説明

スピゴット端部が備わったパイプパーツ

内部に封止リングを有するソケット端部へ挿入するように設計されているスピゴット端部を備えるパイプパーツであって、スピゴット端部は外側端部構造を備え、外側端部構造は、円周方向において、交互となる形で、半径方向内側に配置された部分と、これらの内側に配置された部分に対して、半径方向外側を向いた突起部(5)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第2のパイプパーツのソケット端部へ挿入するように設計されたスピゴット端部を備えるパイプパーツに関する。ソケット端部は、その内側上に、ガスケットまたは封止リング等の封止手段が通常備わる。スピゴット端部は、その端部上に、そのスピゴット端部をソケット端部へと挿入する間に封止リングを変形させるために外側上に面取りが施された部分が通常備わる。
【0002】
本発明はまた、そのようなパイプパーツを製造するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、裁頭錐体の形状において、面取りされたパーツの外部表面を有するパイプパーツを示す。これは、スピゴットの端部を封止リングが備わったソケット端部に挿入する間、その挿入力がしばしば望ましくない程度に大きいとみなされる不利点を有する。こうした大きな挿入力は、スピゴット端部を挿入する間、封止リングがその周囲全体に亘って均一に変形される必要があるという事実の結果である。このプロセスの間、封止リングの内径が、弾性力に対抗する形で広がる。このことはその挿入力に大いに起因するものであり、その挿入力はその挿入が前進するにつれて大きくなる。これは、変形が進むにつれて、さらなる変形に対してさらに強く抵抗する封止リングの反応の結果である。こうしたスピゴット端部の錐体形状の外側表面により、挿入力が確実に増加してしまい、それによって挿入することが厄介で扱いにくい処理となってしまう。
【0004】
特許文献2はまた、外側に提供された面取りされた部分を有するパイプパーツを開示する。この面取りされた部分は、円周において等間隔で配置され、外側表面が半径方向内側に存在する、少なくとも2つの領域を備える。このように、スピゴット端部を挿入する間、封止リングは、特許文献2によれば、セクターごとに変形され、その結果、この変形に必要とされる力が、経時的に分散される方法で加えられて、必要とされる挿入力が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第2002/0038952号
【特許文献2】欧州特許第1589272号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ソケット端部へと挿入可能であり、かつ、さらに扱い易く挿入可能ではないにせよ、上述で検討したスピゴット端部と少なくとも同様にソケット端部へと容易に挿入可能であるスピゴット端部が備わった代替のパイプパーツを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は特許請求の範囲の請求項1に規定されたパイプパーツにより満たされる。このようなパイプパーツは、内部に封止リングを有するソケット端部へ挿入するように設計されているスピゴット端部を備える。上記スピゴット端部は外側端部構造を備え、上記外側端部構造は、円周方向において、交互となる形で、半径方向内側に配置された部分と、これらの内側に配置された部分に対して、少なくとも軸方向において角度的な遷移がない半径方向外側を向いた突起部を備える。上記突起部のうちの少なくとも1つは、各々の仮想の錐体の形状と一致しない突起形状を有し、上記各々の仮想の錐体は、上記パイプパーツの軸を仮想の錐体の軸として共有し、上記パイプパーツを横断するベース部を有し、かつ上記突起部の各々は少なくとも1つの点において、上記各々の仮想の錐体と一致する。
【0008】
言い換えれば、円錐の形状に全体として一致しない突起形状を有する少なくとも1つの突起部が存在する。多くの実施形態において、突起部のいずれもが、全体として、円錐の形状と一致しない。
【0009】
以下において、挿入方向は遠位方向として言及される。反対方向は、近位方向として言及される。
【0010】
本発明に係るパイプパーツにより、封止リングの局所的な変形のために、ソケット端部へのスピゴット端部の挿入が可能となり、その結果、封止リングは、初期に、一部の位置において、他の位置においてその封止リングが変形する程度よりも、より大きく変形する。封止リングのより大きな変形は、突起部との接触位置において生じ易い。封止リングは、それゆえ、スピゴット端部の間で、かつソケット端部の内側において単に均一に圧迫されるのではなく、不均一に圧迫され、その結果、封止リングの様々な材料的な特性が、様々な方向において注意深く精査される。これにより、封止リングは、ソケット端部にスピゴット端部を挿入することに対して柔軟に応えることができる。
【0011】
さらに、封止リングは、ソケット端部の内側およびスピゴット端部の外側端部構造によって規定される円環形に適合する形状に適合する。異なる位置で異なっている封止リングの局所的な変形により、ソケット端部にスピゴット端部を挿入する人に対してフィードバックを提供し得るので、その結果、特に、人がソケット端部へスピゴット端部を挿入する経験が増えると、その扱いが順応される必要があるのか、または既に実行されたものとして継続可能であるのかどうかが、その人に対して明らかとなる。これは挿入の処理を容易にするものである。
【0012】
異なる位置でのこれらの異なる変形は、必ずしも経時的に割り振られる必要はない。しかし、挿入時に、封止リングに対する変形もまた経時的に割り振られて、ソケット端部へのスピゴット端部の挿入を行う人に対してさらなるフィードバックを提供するように外側端部構造がさらになされることももちろん可能である。挿入を進めるために必要とされる挿入力は、到達した段階についての情報を明らかにする。
【0013】
突起形状と仮想の錐体との形状の不一致は、その突起部にさらなる特徴を提供するものであり、この特徴は、さらなるフィードバックを提供し得るものであり、したがってソケット端部にスピゴット端部を挿入する人にさらなるガイダンスを提供し得るものである。必要とされる挿入力は、突起形状に由来する「情報を含み」、封止リングを介したスピゴット端部の挿入の段階を「監視する」ことを可能にする。
【0014】
スピゴット端部についての設計の実現性は、本発明に起因して、大いに改善していることが理解される。さらに早い段階において、従来技術を基にして、スピゴット端部の設計に利用できる物理的空間(半径方向においては、パイプの壁の厚さによって小さく、そして制限されており、軸方向においては、連結を小さく維持する通常の所望に起因して小さく、そして制限されていた)は、スピゴット端部の形状にそのまま規定されるものであったとして考えられていた。本発明によって提供された洞察に従って、パイプパーツのために他の設計が可能となり、使用において有利であるだけでなく、そのようなパイプパーツを製造することについてもまた有利である。
【0015】
本発明に従ったパイプパーツの好ましい実施形態は特許請求の範囲の従属の請求項において規定されている。
【0016】
本発明は、図面を参照しつつ、2つの限定を付さない実施形態の以下の記載において詳細に説明がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明に係るスピゴット端部を備えるパイプの第1の実施形態の概略的な斜視図を提供する。
【図2】図2は図1に示す実施形態の側面図を概略的に示す。
【図3】図3は図1に示す実施形態の上面図を概略的に示す。
【図4】図4は図3に示す線A−Aに沿った断面の図を概略的に示す。
【図5】図5は、図3に示す線B−Bに沿った断面の図を概略的に示す。
【図6】図6は、図2に示すパーツパイプが備わった挿入スリーブの側面図を示す。
【図7】図7は、図4に示すパイプパーツを有する挿入スリーブの断面の図を概略的に示す。
【図8】図8は、図5に示すパイプパーツを有する挿入スリーブの一部の断面の図を概略的に示す。
【図9】図9は、本発明に係るスピゴット端部が備わったパイプパーツの第2の実施形態の概略的な斜視図を提供する。
【図10】図10は、図9に示す実施形態の側面図を概略的に示す。
【図11】図11は、図9に示す実施形態の上面図を概略的に示す。
【図12】図12は、図11に示す線A−Aに沿った断面の図を概略的に示す。
【図13】図13は図11に示す線B−Bに沿った断面の図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の記載において同様の特徴には同じ参照符号が付けられている。
【0019】
図1は、内側に封止リング(図示せず)を有するソケット端部(図示せず)へ挿入するように設計されたスピゴット端部2が備わったパイプパーツ1の斜視図を示す。スピゴット端部2は外側端部構造3を有し、この外側端部構造3は、円周方向において、半径方向内側に配置された部分4、および半径方向外側に向いた突起部5を備える。突起部5は、内側に配置された部分4と比較して、半径方向外側に向けられている。外側端部構造3は、円周方向において、内側に配置された部分4および外側に向いた突起部5を交互となるようにして備える。突起部5は、少なくとも軸方向において、角度的な遷移がないようになだらかに示されている。
【0020】
図1に示す実施形態の側面図である図2から、仮想の錐体6が図に示すように視覚化可能であることが明らかである。この錐体6は、パイプパーツ1の軸Aと軸を共有している。仮想の錐体6のベース部7はパイプパーツ1を横断する。
【0021】
図3のB−B線に沿った断面図である図5においてさらに明確に示されるように、突起部5の各々は、少なくとも1点において、仮想の錐体6と一致する。多くの仮想の錐体は、前述の3つの条件、すなわち、パイプパーツ1の軸Aと軸を共有すること、それらのベース部をパイプパーツ1全体に横断させること、および各突起部5を少なくとも1点において一致させることを満たすことは明らかである。簡便性のため、仮想の錐体6、6’の2つのみを示す。しかしながら、本明細書における記載において、「当該仮想の錐体」または「1つの仮想の錐体」に言及する場合に、前述の3つの条件を満たしている全ての仮想の錐体にも同様のことが当てはまることは当業者には明らかである。
【0022】
仮想の錐体と一致する位置の数は、その位置と寸法、特に、仮想の錐体の先端、ならびに、突起部の形状に依存する。
【0023】
突起部5の位置を仮想の錐体6に単に一致させるよりもむしろ、突起部5の少なくとも1つが、仮想の錐体6と共通して、少なくとも1つの部分(すなわち、1点以上)を有するということがしばしば当てはまる。このような部分は、共に合わされる複数の点であってもよい。共に合わされる複数の点は1つの領域を形成してもよい。あるいはそれらの複数の点は線を形成してもよい。多くの実施形態において、このような線が、最も多くの場合において、突起部5の少なくとも1つが各仮想の錐体6と共通して有するものであってよい。
【0024】
図5の断面図では、突起部5が、その特定の図において、図示された仮想の錐体6と2つの点で一致することが明らかに示されているが、一部が破線6’で概略的に示される仮想の錐体と、突起部5が1つの点において一致することが可能であるとみなすことは困難ではないだろう。突起部5の形状は、容易に想到できるように、仮想の錐体6と一致する点の数をさらに決定する。例えば、突起部は、半径方向外側の方向を向く波状の表面を有してもよい。このような波状の突起部表面は、仮想の円錐表面を何度も横断する。
【0025】
図5に示す突起部5は、仮想の円錐6(6’)の形状と不一致である突起形状を有する。言い換えれば、図5に示す突起部5は、図に示す仮想の錐体6(または、前述の3つの条件を満たす他の仮想の錐体6’の1つ)と一致しない部分を少なくとも有する。仮想の錐体6(6’)との突起形状のこうした不一致のみが突起部5のうちの1つに適用されることも可能であるが、好ましい実施形態において、突起部5の各々は、仮想の錐体6(または6’)の形状に不一致である突起形状を有する。
【0026】
図3のA−Aの線に沿った断面の図である図2、さらには図4から、示される実施形態において、部分4は、半径方向外側に向いた突起部5に対して、半径方向内側に配置されているが、その部分4はまた、仮想の錐体6、6’の1つ以上と一致する1つ以上の点を有することもまた明らかに可能である。しかしながら、部分4は、仮想の錐体6の1つ以上に対して半径方向内側に配置されており、仮想の錐体と一致する点を有さないこともまた等しく可能である。
【0027】
例えば、仮想の錐体が、図5において、破線6’により示されるように、一つの錐体を含む場合、内側に配置された部分4は、いかなる点においても錐体6と一致しない。この場合、部分4は、円錐6’に対して内側に配置される。
【0028】
突起形状の一部は、図5に示すように、円筒形の表面CSを有してもよい。図4から、内側に配置された部分4からも近接して、スピゴット端部2は、円筒形の表面CSの一部を含んでもよいことは半径方向断面において明らかである。この表面は円筒の一部であってもよい。
【0029】
図3(上面図)から、パイプパーツの軸方向に亘ってとられた突起部5の断面が円の一部を含んでもよいことは明らかである。これは図3における矢印RRにより示される。図1から図5の各々において好適でありかつ可視化されているように、外側端部構造3から隣接して、スピゴット端部2は、パイプパーツが一部を形成し得る長いパイプの外側表面と一致する円筒形の表面CSを有する。あるいは、パイプパーツ1は、その長いパイプの円形端部の挿入を容易にし、かつそれを維持するために、長いパイプへの挿入のためのサポートスリーブの一部を形成してもよい。完全なサポートスリーブの図は図6から図8に示す。この円筒形の表面CSは、挿入時に封止リングを通過する円筒の一部であってもよい。
【0030】
したがって近位方向において、スピゴット端部2は、徐々に、円筒形であり、かつ好ましくは円形である外側表面を有する。応力ひずみ状態は、その外側表面が円筒の形状を有する場合、封止リング内において均一に分散される。
【0031】
図に示されるように、スピゴット端部2はまた、いわゆるサポートまたは挿入スリーブの一部であってよく、これはパイプの端部に挿入でき、そのようにしてパイプにスピゴット端部を提供することができることは理解されるだろう。しかしながら、パイプパーツは、パイプの端部において、スピゴット端部を「彫る(sculpture)」ことによってスピゴット端部を備えることが可能である。図1、図2、図4、および図5において、破線Tは、このような変形例において、パイプ(またはチューブ)の外側壁がある場所を示す。この実施形態において、スピゴット端部はパイプと一体化した部分であってよい。
【0032】
図1〜図5に示すように、本発明に係るパイプパーツ1のこの実施形態において、各突起部5は形状が同じである。これは、封止リングのいかなる部分も、突起部5と接触したときに、他の突起部のいずれかが封止リングと接触する位置よりもさらに激しい機械的な応力歪み状態を被らないことを意味する。しかしながら、突起部5の少なくとも2つは互いに形が異なることもまた可能である。このような実施形態について、封止リングの1つの位置において、機械的な応力歪み状態は独特のものであり、その位置において、ソケットの端部にスピゴット端部を挿入する人によって感じることができる、そのスピゴット端部の挿入に対して異なる抵抗を提供することを適用する。このことは、そうした挿入の進行(またはその進行がないこと)について、そのような人にフィードバックを提供する。
【0033】
図1〜図4によって示されるスピゴット端部の実施形態は、半径方向内側に配置した部分4の各々が平坦な表面を備えることを示す。これを半径方向内側に配置された部分4の1つまたは複数にのみ適用することもまた当然可能である。
【0034】
半径方向内側に配置された部分4は平坦な表面が必ずしも備わっているわけではない。例えば、1つまたは複数のこれらの部分4、またはこれらの部分4の全てが、周囲方向において観た場合、および/または軸方向において観た場合、半径方向内側または外側に湾曲した表面を備えることが可能である。
【0035】
さらなる実施形態において、1つ以上の半径方向内側に配置された部分が貫通開口部を備える。これは、貫通開口部において、封止材料が擦れる材料が存在しないという事実に起因して、外側端部構造3と封止リングとの間の摩擦が、少なくともこれらの位置において、減少することを意味する。
【0036】
図1〜図4に観ることができるように、図示された実施形態において、半径方向内側に配置された部分4の各々は、遠位方向において、半径方向内側に延びる表面を備える。これは、少なくとも、内側に配置された部分4の1つの位置において、挿入力が初期において最小であるので、スピゴット端部2をソケット端部へ挿入することを容易にする。これにより、また、スピゴット端部が自ずから中心に移動し(self−centering)、その結果、スピゴット端部が封止リングと同心円状に移動して到達し、その封止リングが外れないという意味において、ソケット端部内でスピゴット端部の「小刻みした動き」が可能となる。
【0037】
図5から明らかに理解されるように、パイプパーツ1の軸方向Aに沿ってとられた突起形状の断面は円形の一部を備える。これは図5における矢印Rによって示される。これにより、初期において封止リングと接触する突起部の一部が、封止リングの材料を貫通せず、むしろ、摺動リングに沿って摺動し、同時に封止リングを変形させることを保証する。また、内側に配置された部分4の1つの位置において、パイプパーツの軸方向に沿ってとられた断面は、図4に示すように、円形の一部を備えてもよい。これは矢印R’によって図4に示される。したがって、封止リングに沿って移動し、同時に封止リングをわずかに変形するよりもむしろ、この位置においてスピゴット端部が封止リングを貫通することもまた回避できる。好ましくは、図4における矢印R’および図5における矢印Rによって示される位置における湾曲は、徐々にであるがしかし平滑に、円周方向において互いに遭遇し合って、その結果、数値には僅かにバラツキがあるにせよ、完結した外周に沿って半径が存在する。
【0038】
図4及び図5にもまた示されるように、同様のことが、スピゴット端部の内部の縁にも当てはまるが、こうした部分が封止リングを貫通することはできない。
【0039】
封止リングに当る構造の第1の部分となる外側端部構造の部分を平滑化またはそれに丸みを付けることは、スピゴット端部が挿入中に詰まってしまう確率を低減するので有利である。また、外側端部構造の部分が平滑化されるか、または丸みが付けられる場合、封止リングの所望されない配置はほぼ生じない。角度的な遷移が原因で、封止リング材料を貫通する、スピゴット端部の挿入を妨害する、そして、場合によっては、そうした封止が保証され得なくなる程度にまで封止リングを破損してしまうといったことを生じる場合がある。
【0040】
任意の理論によって拘束されることを望まなければ、本発明に係るスピゴット端部の第1の実施形態の挿入は、以下のようにおよそ特徴付けられ得る挿入力を必要とする。まず、半径Rを有する突起部5の一部は、封止リングがまず最も大きな変形を被ることになるこれらの位置において、最も多く、挿入力に寄与する。半径R’を有する内側に配置された部分4の一部において、封止リングの変形は、可能な限り、比較的小さい。それゆえ、挿入力は、初期において、スピゴット端部の円周に沿って様々である。半径Rを有する突起部5の部分がいったん、封止リングを通過すると、突起部5と封止リングとの間の接触領域はそれ以上形状変化しない。次いで、突起部5と接触する封止リングの局所的な適合は、もはや必要なくなる。
【0041】
しかしながら、内側に配置された部分4は、さらなる挿入時に、その前進時に、封止リングのさらなる適合を必要とする。それゆえ、この段階において、挿入力全体が、スピゴット端部の円周に沿った位置において増加する力の結果に感じられる。しかし、力が増加する位置は、最も強い力が挿入の初期の段階において適用可能である位置と比較して異なる。
【0042】
ある段階において、さらなる挿入において、封止リングと接触するスピゴット端部の一部は、その円周に沿って、ばらつきをもはや有しない。また、これにより、場合によっては、最終的な実質的に一定の値に向けて、挿入力が変化する。
【0043】
それゆえ、図1〜図5に従ったスピゴット端部2の挿入の間、時間および位置に関して力が異なる3つの異なる段階が存在する。さらなる異なる段階が挿入時に知覚可能であるように突起部5を生成することが、例えば可能であることを容易に想定することができる。突起部5の「波状の」外側表面により、例えば、スピゴット端部を挿入する人は、必要とされる挿入力において「それらの波の数を数え」、それにより、挿入がどの段階にまで達しているのかを知ることができる。情報を生成する設計構造が延びる、有利には限定される軸の長さを保持しながら、図5および図13において示すように、「1つの波」が、半径Rによって提供されてよい。
【0044】
多くの実施形態において明らかとなるように、仮想の錐体の各々を有する突起部の少なくとも1つの一致が、多くても、1つの線によって構成されることが適用される。このような線は、実質的に、円周方向に延びていてよい。
【0045】
図9は、本発明に係るスピゴット端部2が備わったパイプパーツ1の第2の実施形態の斜視図を示す。この場合、外側端部構造3は、ソケット(図示せず)へのスピゴット端部2の挿入が最終段階に到達した場合に、触知性および/または可聴式のフィードバックを人に提供するための4つの最終段階インジケータ9が備わっている。図9に示す実施形態において、最終段階インジケータ9の各々は、軸方向に向いた突出部9を備える。図示するように、最終段階インジケータ9は、半径方向外側に向いた突起部5もまた配置されている円周方向に沿った位置において配置されることが好ましい。しかしながら、挿入インジケータ9は、内側に配置された部分4が配置される位置において、円周方向に沿って配置されることが想定できなくはない。
【0046】
図10は、図9に示す実施形態の側面図を概略的に示す。図2と比較した場合、図10は、図2に対応しているものに加えて、軸方向に向けられた突出部によって具体化されている最終段階インジケータ9を有することは明らかである。図9に示す実施形態の概略的な上面図である図11を参照すると、図3を検討した際に上述した特徴が等しく図11に適用されることは明らかである。同様に、図12と図4との間の比較から、図4の記載は、図12の記載に等しく適用されることは明らかである。最後に、図13と図5との間の比較から、図5の記載は、図13を記載するのに等しく有用であることは明らかである。
【0047】
以下で説明されるように、最終段階インジケータ9自体は、ソケットへのスピゴット端部2の挿入が挿入の最終段階に到達した場合に、触知性および/または可聴式のフィードバックを人に提供することがまさに可能である。しかしながら、挿入の特定の最終段階をより良く規定し、かつ、触知性および/または可聴式のフィードバックを最適化するために、ソケット内に複数のある配置構成を有することが好ましい。好ましい実施形態において、本発明に係るパイプパーツ1は、その目的のために、特定のソケットに付随される。このようなソケットは、そのソケットのソケット端部へのスピゴット端部の挿入のために設計されている。内側において、そのようなソケット端部は、封止リングが備わっている。ソケットの内側はまた、その動作を最適化するために、最終段階インジケータ9を機械的に妨げるように適合されていてよい。スピゴット端部が最終段階インジケータを用いてそのソケット内に十分に挿入されるときを判断することができるように設計されたスピゴット端部およびソケット端部のアセンブリの例は、国際公開第96/17200号に記載されており、この文献は、挿入インジケータに関して最終段階インジケータ9を言及している。
【0048】
付随するソケットと接触する最終段階インジケータの可能な方法のさらなる詳細な記載について、読者は国際公開第96/17200号を参照し、この文献もまた、以前のものであるが、本出願の出願人のものである。
【0049】
我々はここで本発明に戻り、さらには、特に、第2の実施形態がどのようにして機能するかに戻る。上述で示したように、示される例において、第2の実施形態は、基本的に第1の実施形態と同じであるが、ただし、第2の実施形態が、さらに、軸方向に延びる突出部9に具体化されているように、最終段階インジケータを有する点において、第1の実施形態と異なる。示される例において、突起部5が半径RRを有する部分を有する位置まで突出部9が半径方向に延びているとすれば、突出部9の位置および寸法は、一部の妨害が、挿入の初期段階内で生じ得るものである。言い換えれば、この例において、突出部9の位置および寸法は、これらがまたソケット内において封止リングのわずかな変形を必要とするものである。それゆえ、必要とされる挿入力は、最終段階インジケータ9の存在により影響を受けてもよい。これは、さらに初期の挿入段階に、必要とされる挿入力に反映されたさらなる段階を提供してよい。
【0050】
しかしながら、封止リングへの著しい妨害が生じず、突出部9が事実上挿入力に影響を及ぼさないように、突出部9を有することもまた可能である。
【0051】
パイプパーツのソケットが通常は、挿入の継続を妨げるように設定された内部の「ストッパー構造」を有することに留意されたい。この構造は、ソケットの内側に1つ以上の隣接平面(abutment planes)を有してよい。ソケットは、内部に、漏斗様の形状をした構造物を有し、その結果、(急な、または徐々の)ソケット端部の偏狭に起因して、スピゴット端部のさらなる挿入が不可能になることが想定できなくもない。
【0052】
突出部9は、挿入の最終段階において、ソケットのこの内側の「ストッパー構造」に達して接触する。突出部9は、この接触にまでいったん到達すると、特に、ソケットへスピゴット端部2を挿入する人がソケットに対してスピゴット端部を回転させる場合、音を生じてよい。ソケットの内部「ストッパー構造」を用いた突出部9のこのような相互作用が、軸方向へのさらなる挿入が可能ではなく、挿入の最終段階にまで達した、すなわち挿入が完了したという合図として認識可能に感じることができるか、識別できることもまた可能である。突出部9は、ソケット内でスピゴット端部を回転させるときに生じる「スティックスリップ」現象に起因して振動を生じてもよい。また、このような現象は、触知性および/または可聴式のフィードバックを提供してもよい。
【0053】
興味深いことに、最終段階インジケータ9はまた、突出部9の代わりに、またはそれに加える形で、凹部(図示せず)によって具体化されてもよい。このような凹部はまた、軸方向を向いていてもよく、かつ、互いに接触することなく、円周方向において、より長い程度に延びた突出部9によって効果的に形成されていてもよく、その結果、凹部はこのような突出部の間に形成される。また、そうした凹部は実際に、図1〜図8に示す第1の実施形態において、特に、それらの突起部の1つ以上において形成され、スピゴット端部2のさらに近位方向に延びているものであってもよい。ソケット端部内の「ストッパー構造」に到達した後、凹部の存在は、触知性および/または可聴式のフィードバックを生じてもよい。凹部および/または、挿入が完了した場合にフィードバックを与えるこのような凹部内の音の反響の結果として、例えば、ソケット内での回転時に摩擦が存在しない場合がある。
【0054】
もちろん、上述で示したように、スピゴット端部2が挿入され得るソケットは、挿入の最終段階をより良く規定し、かつ触知性および/または可聴式のフィードバックを最適化するために、内部構造を有することが好ましい。国際公開第96/17200号は、最終段階インジケータ9のそのような構造およびその動作を最適化するそのような方法の例を提供する。
【0055】
本発明に係るスピゴット端部の第2の実施形態において示される突出部9が好ましいように形成されてよい。さらに角度の付いた突出部9およびさらにドーム形の突出部9が可能である。突出部9の寸法、位置、および数は示される実施形態とは異なっていてもよい。突起部5のわずか1つまたは2〜3に、突出部9が備わっていることもまた可能である。さらなる説明について、読者は国際公開第96/17200号を再度参照されたい。
【0056】
パイプパーツを機械加工することによって本発明に係るスピゴット端部2を作製することが可能である。しかしながら、驚くべきことに、折り畳まれるか、または曲げられたシートメタルの外側端部構造3を作製することもまた可能であることが分かっている。このようなシートメタルは、金属チューブ等の無端のシートであってもよい。このようなシートメタルを成形プレスすることによってこのような外側端部構造3を製造することもまた可能である。一般に、外側端部構造2は、シートメタルを成形することによって製造可能である。
【0057】
完全なスピゴット端部2は、シートメタルを成形することによって製造可能であり、本発明に係る完全なパイプパーツ1または図6〜図8に示すサポートスリーブは、シートメタルを成形することによって製造可能である。これにより、比較的容易にかつ安価な製造方法が可能になる。
【0058】
有利にも、このような成形方法は、外側端部構造3に、当然にも丸みが付けられた縁を提供する。機械加工処理を用いてこのような丸みが付けられた縁を取得することは、追加の注意およびさらなるコストが必要となる。
【0059】
本発明は上述の実施形態に限定されない。多くの変形が可能である。パイプパーツは、プラスチック、または金属、あるいはそれらの組合せの材料からできていてよい。セラミック材料も排除されない。外側端部構造はシート状の材料からできていることが可能であり、かつ好ましいものであるが、機械加工、成型、鋳造、またはそれらの技術の任意の組み合わせに基づく他の技術が本発明に従ったパイプパーツを製造するために用いられることが想定できなくはない。
【0060】
突起部5および内側に配置された部分4の数は自由に選択可能である。寸法は、所定の工学的な検討事項に基づき、各々の目的に対して最適化可能である。説明として、完全な挿入スリーブの一部としてのパイプパーツを示す図6〜図8に参照がなされる。好ましい寸法が図において提供される。特定の応用に対しては、提供された寸法、または特定の寸法の比が好適であってもよい。
【0061】
しかしながら、パイプ端部、すなわち挿入スリーブが挿入されるパイプ壁の厚さ、およびソケット端部の寸法は、好ましい寸法においてばらつきが生じてもよい。
【0062】
一般に、半径方向外側に向いた突起部は、少なくとも軸方向において、角度的な遷移がないことが適用される。半径方向外側に向いた突起部5から外側端部構造の別の一部への遷移は、角度が付いていてもよい。内側に配置された部分4から突起部5への遷移は、図1から、角度が付けられている、すなわち、幾分かは切り立っているように見える。しなしながらこのような遷移はまた、徐々のもの、かつ平滑であってもよい。
【0063】
突起部自体は、図に示されるものと異なる形状を有していてもよい。角度が付けられていないステップが突起形状に組み合わされて、その結果、さらにはっきりとしたフィードバックが、そのスピゴット端部をソケット端部へと手動で挿入する人に与えられることもまた例えば可能である。
【0064】
これらの変更および変形の各々は添付の特許請求の範囲の請求項の範囲内にあるものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に封止リングを有するソケット端部へ挿入するように設計されているスピゴット端部(2)を備えるパイプパーツ(1)であって、
前記スピゴット端部は外側端部構造(3)を備え、前記外側端部構造(3)は、円周方向において、交互となる形で、半径方向内側に配置された部分(4)と、これらの内側に配置された部分(4)に対して、半径方向外側を向いた突起部(5)とを備え、
前記突起部(5)のうちの少なくとも1つは、各々の仮想の錐体(6)の形状と一致しない突起形状を有し、前記各々の仮想の錐体(6)は、前記パイプパーツ(1)の軸を前記仮想の錐体(6)の軸として共有し、前記パイプパーツ(1)を横断するベース部を有し、かつ前記突起部(5)の各々は少なくとも1つの点において、前記各々の仮想の錐体(6)と一致する、パイプパーツ(1)。
【請求項2】
前記突起部(5)の各々は、前記仮想の錐体(6)の各々の形状と一致しない突起形状を有する、請求項1に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項3】
前記突起形状の一部は円筒形の表面(CS)の一部と一致する、請求項1または請求項2に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項4】
前記パイプパーツ(1)の軸方向に沿ってとられた、前記突起形状の断面は、湾曲、好ましくは円形の一部を含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項5】
前記パイプパーツ(1)の軸方向に沿って半径方向にとられた、前記突起形状の断面は、湾曲、好ましくは円形の一部を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項6】
前記外側端部構造(3)の近位にある前記スピゴット端部(2)は、円筒の形状を有する外側表面を含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項7】
各々の前記突起部(5)は形状が同じである、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項8】
前記半径方向内側に配置された部分(4)のうちの少なくとも1つは貫通開口部を備える、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項9】
前記半径方向内側に配置された部分(4)のうちの少なくとも1つは、遠位方向において半径方向内側に延びる表面を含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項10】
前記半径方向内側に配置された部分(4)のうちの少なくとも1つは平坦な表面を備える、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項11】
前記半径方向内側に配置された部分(4)のうちの少なくとも1つは湾曲した表面を備える、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項12】
前記外側端部構造(3)は、前記ソケットへの前記スピゴット端部(2)の挿入が最終段階に到達したとき、人に触知性および/または可聴式のフィードバックを提供するための少なくとも1つの最終段階インジケータ(9)が備わっている、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項13】
前記挿入インジケータ(9)は少なくとも1つの軸方向に向いた突出部または凹部を備える、請求項12に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項14】
前記外側端部構造(3)は、折り畳まれるか、または曲げられたシートメタルでできている、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のパイプパーツ(1)を製造するための方法であって、前記方法は、前記外側端部構造(3)を作製するためのシートメタルを成形する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−515299(P2012−515299A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544888(P2011−544888)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050259
【国際公開番号】WO2010/079231
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511106226)
【Fターム(参考)】