説明

スピーカー用部材およびその製造方法

【課題】軽量で、かつ、優れた内部損失、耐熱性、耐湿熱性、耐候性などの品質安定性および成形性を有するスピーカー振動板、および、その簡便安価な製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のスピーカー用部材は、基材と、該基材に接着剤層を介して積層された樹脂フィルム層とを有し、該接着剤層の熱収縮率が0.5〜1.0%であり、該樹脂フィルム層の熱収縮率が0.8〜1.3%であり、該接着剤層の熱収縮率が該樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカー用部材およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、軽量で、かつ、優れた内部損失と強度を有し、さらに、耐熱性、耐湿熱性、耐候性などの品質安定性や優れた成形性を有するスピーカー用部材、および、その簡便安価な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ツィータ用振動板に使用されている材料としては、代表的には、金属箔、高分子フィルム、コーティング布等が挙げられる。しかし、これらの材料は、それぞれ問題を有している。金属箔は高い剛性を有するが、内部損失が小さいため金属特有の固有音が発生しやすく、結果としてS/N比が悪くなる。高分子フィルムは、エンジニアリングプラスチックのフィルムが用いられることが多くなっている。エンジニアリングプラスチックは、汎用プラスチックに比べて剛性が大きく、かつ、金属箔およびコーティング布に比べて軽量であるからである。エンジニアリングプラスチック(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI))のフィルムは、優れた剛性および耐熱性を有するが、内部損失が小さい。その結果、S/N比が劣悪となり、歪の多いスピーカーしか得られない。さらに、エンジニアプラスチックは一般的に比重が大きくなるので、音圧が低下するという問題も生じる。
【0003】
エンジニアリングプラスチックフィルムから得られる振動板の内部損失を向上させる手段として、当該フィルムの少なくとも片面に、ポリエステル系樹脂またはアクリル系樹脂をバインダーとして含む塗料をコーティングする技術が提案されている。この技術は、コーティングによって、振動時の内部摩擦を生じさせることを意図している。しかし、この技術によれば、重量がさらに増大して音圧低下の問題が大きくなり得るだけでなく、コーティングの厚みのばらつきに起因して、品質が安定しないという問題がある。
【0004】
コーティング布とは、代表的には、基材(例えば、綿または合成繊維の織布)に熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂)を含浸し、その表面にアクリル樹脂またはウレタン樹脂等をコーティングしたものである。このようなコーティング布は、剛性および内部損失のいずれにも優れるが、通気を防止するために何層ものコーティングを施す必要があるので、重量が増大し、かつ、音圧が低下する。この問題を解決するために、基材の両面および片面に熱可塑性ウレタン樹脂フィルムをラミネートして軽量化を図ったものが提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、一般的なポリウレタン樹脂は主成分にポリエステル系やポリエーテル系の樹脂が用いられており、湿度による加水分解の進行や、紫外線による炭素主鎖の酸化分解による劣化などの問題を生じている。さらには、ポリエーテル系樹脂は、ポリエステル系樹脂と比べても熱分解温度が低く耐熱性に劣るといった欠点がある。
【0005】
一方、コーティング布の製造方法は、基材に溶剤型接着剤を塗布し粘着状態にした後、熱可塑性ウレタン樹脂フィルムを貼り合わせ、フィルムを加熱融着してラミネートするドライラミネート方式を採用していることが多い。この方式を用いる場合であって基材が織布または不織布である場合、溶剤型接着剤が基材裏面より滲み出し、厚みの調節が困難となるので、スピーカー用部材やエッジとの離型性が悪くなり成形不良が生じている。さらに、ラミネートフィルムとの密着性も悪くなる。この密着性を改善するためにフィルムを軟化点以上の温度でラミネートする方法も提案されているが、基材の賦形のために含浸された熱硬化性樹脂が完全硬化しない温度でラミネートしなければならない。このため、軟化点が低いフィルム、すなわち耐熱性が不十分であるフィルムを用いなければならない。さらに、熱可塑性ウレタン樹脂フィルムと接着剤の熱収縮率が大きく異なると、加熱時(例えば成形時)に層間剥離を起こすといった問題がある。
【0006】
上質紙やPPC用紙などの離型材上に熱可塑性ウレタン樹脂フィルムを形成し、その上に接着剤を塗布し、ドライラミネート方式やウェットラミネート方式で繊維基材を貼り合わせる方法もある。ドライラミネート方式の場合、加熱した加圧ロールによりラミネートされるのでフィルムや接着剤の耐熱性が求められている。ウェットラミネート方式の場合、繊維基材を貼り合わせる工程で加圧ロールを介する際に該繊維基材の裏面から接着剤が滲み出す恐れがあり、成形不良を引き起こす可能性がある。
【0007】
以上のように、軽量で、かつ、優れた内部損失を有し、耐熱性、耐湿熱性、耐候性などの品質安定性や優れた成形性をも有するスピーカー用部材、および、その簡便安価な製造方法が強く望まれている。
【特許文献1】特開平07−284194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、軽量で、かつ、優れた内部損失と強度を有し、耐熱性、耐湿熱性、耐候性などの品質安定性および成形性を有するスピーカー用部材、および、その簡便安価な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスピーカー用部材は、基材と、該基材に接着剤層を介して積層された樹脂フィルム層とを有し、該接着剤層の熱収縮率が0.5〜1.0%であり、該樹脂フィルム層の熱収縮率が0.8〜1.3%であり、該接着剤層の熱収縮率が該樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さい。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記樹脂フィルム層がポリカーボネート系ポリウレタンから形成されている。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記接着剤層がポリカーボネート系ポリウレタン接着剤から形成されている。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記接着剤層が、上記基材側から順に第1の接着剤層と第2の接着剤層とを有し、該第1の接着剤層の熱収縮率が0.5〜0.8%であり、該第2の接着剤層の熱収縮率が0.6〜1.0%であり、該第1の接着剤層の熱収縮率が該第2の接着剤層の熱収縮率よりも小さく、該第2の接着剤層の熱収縮率が上記樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さい。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記第1の接着剤層がドライラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤から形成され、上記第2の接着剤層がウェットラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤から形成されている。
【0014】
好ましい実施形態においては、上記基材が、天然繊維、再生繊維または合成繊維の織布または不織布からなる。
【0015】
本発明の別の局面においては、スピーカー用部材の製造方法が提供される。この製造方法は、所定の樹脂組成物を離型材上に塗布する工程と;該樹脂組成物を乾燥して、該離型材上に樹脂フィルム層を形成する工程と;該樹脂フィルム層上に所定の接着剤を塗布して接着剤層を形成する工程と;該接着剤層を介して、該離型材上に形成された樹脂フィルム層と基材とを貼り合わせて積層体を形成する工程と;
該積層体をエージングする工程と;該エージングされた積層体を、所定の形状を有する金型を用いて成形する工程とを含む。
【0016】
好ましい実施形態においては、上記接着剤層の熱収縮率が0.5〜1.0%であり、上記樹脂フィルム層の熱収縮率が0.8〜1.3%であり、該接着剤層の熱収縮率が該樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さい。
【0017】
好ましい実施形態においては、上記積層体がロール状態でエージングされる。
【0018】
本発明のさらに別の局面においては、上記スピーカー用部材を含むスピーカーが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、基材と、該基材に接着剤層を介して積層された樹脂フィルム層とを有し、該接着剤層および該樹脂フィルム層が所定の熱収縮率を有し、該接着剤層の熱収縮率を該樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さくすることで、優れた耐湿熱性、耐光性、耐熱性を有するスピーカー用部材を得ることができる。このような効果は、樹脂フィルム層と接着剤層との間で熱による層間剥離が生じにくくなる結果、得ることができると推定される。さらに、接着剤層にポリカーボネート系ポリウレタンを用いることで、基材裏面からの接着剤の滲み出しを抑制することができ、スピーカー用部材やエッジを所定形状に成形する際、離型性は良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のスピーカー用部材は、基材と、該基材に接着剤層を介して積層された樹脂フィルム層とを有し、該接着剤層の熱収縮率が0.5〜1.0%であり、該樹脂フィルム層の熱収縮率が0.8〜1.3%であり、該接着剤層の熱収縮率が該樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さい。図1は、本発明の好ましい実施形態の一例であるスピーカー用部材の概略断面図である。このスピーカー用部材100は樹脂フィルム層20と接着剤層30と基材40とを音波放射側からこの順に有する。接着剤層30は単一層であってもよく、図1に示すような積層構造を有していてもよい(詳細は後述する)。
【0021】
A.樹脂フィルム層
上記樹脂フィルム層の熱収縮率は、上記のように0.8〜1.3%であり、好ましくは0.9〜1.2%である。樹脂フィルム層が所定の範囲の熱収縮率を有することにより、乾燥工程や成形工程などで加えられる熱による層間剥離(すなわち樹脂フィルム層と接着剤層間の剥離)を抑制できる。
【0022】
上記樹脂フィルム層を形成する樹脂は、好ましくはポリウレタンであり、さらに好ましくは、ポリカーボネート系ポリウレタンである。該ポリカーボネート系ポリウレタンは、例えば、ポリカーボネートとイソシアネート化合物および鎖伸長剤とにより構成されている。
【0023】
上記ポリカーボネートとしては、任意の適切なポリカーボネートが採用される。好ましくはポリカーボネートジオールである。ポリカーボネートジオールを用いることで、優れた耐熱性や耐湿性を有するスピーカー用部材を得ることができる。ポリカーボネートジオールとしては、ポリエチレンカーボネートジオール、ポリブチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどが挙げられる。
【0024】
上記イソシアネート化合物としては、任意の適切なイソシアネート化合物が採用される。好ましくはジイソシアネート化合物である。具体例としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートを挙げることができる。好ましくは脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートである。これらのイソシアネート化合物を用いることで、耐候性に優れ、上記ポリカーボネートとの反応性に富むことで成形性に優れた、スピーカー用部材を得ることができる。
【0025】
上記鎖伸長剤としては、活性水素を有する任意の適切な低分子化合物が採用される。好ましくは、ジオールまたはジアミンである。具体例としては、2−メチルプロパンジオール、ペンタンジオール、エチレンジアミン、プロピレンジアミンが挙げられる。
【0026】
上記ポリカーボネート系ポリウレタンの製造方法としては、任意の適切な方法が採用される。具体例としては、(a)ポリカーボネートと活性水素原子を有する鎖伸長剤とを混合して40〜100℃に加熱し、得られた混合物に、該混合物における活性水素原子とイソシアネート基のモル比が1:1〜1:1.5になる量のイソシアネート化合物を添加して短時間攪拌した後に、例えば50〜160℃に加熱してポリウレタンを製造する方法;(b)ポリカーボネート、活性水素原子を有する鎖伸長剤およびイソシアネート化合物の混合物を例えば180〜260℃の高温で混練してポリウレタンを製造する方法;(c)多軸スクリュー型押出し機等の押出し機にポリカーボネート、活性水素原子を有する鎖伸長剤およびイソシアネート化合物等を連続的に供給し、例えば180℃〜260℃の高温で連続溶融重合してポリウレタンを製造する方法;(d)ポリカーボネート、活性水素原子を有する鎖伸長剤およびイソシアネート化合物からなるポリウレタン形成反応を有機溶媒中で行う方法;などが挙げられる。
【0027】
上記樹脂フィルム層に用いるポリカーボネート系ポリウレタンの分子量は、目的に応じて適宜選択される。分子量は、好ましくは10,000以上であり、さらに好ましくは20,000〜300,000である。分子量が10,000以下であると樹脂フィルムの成形が困難となり、得られたフィルムの機械的性質が不十分である場合が多い。また、分子量が300,000以上になると粘度が増加するので、均一なフィルムを成形することが困難である場合が多い。
【0028】
上記樹脂フィルム層の厚みとしては、目的に応じて任意の適切な厚みが採用され得る。例えば、樹脂溶液を塗布乾燥する方法から樹脂フィルム層を成形した場合、樹脂フィルム層の厚みは1〜40μmが好ましく、さらに好ましくは10〜30μmである。
【0029】
B.接着剤層
接着剤層30は、基材40と上記樹脂フィルム層20との間に配置される。上記のように、接着剤層30は単一層であってもよく、図1に示すように積層構造を有していてもよい。以下、それぞれの場合について説明する。
【0030】
B−1 単一層で構成される接着剤層;
接着剤層の熱収縮率は、0.5〜1.0%であり、好ましくは、0.6〜0.9%であり、該接着剤層の熱収縮率は上記樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さい。このような熱収縮率の関係を有し、全体の熱収縮率を所定の範囲に設定することで、樹脂フィルム層と接着剤層との間で熱による層間剥離が生じにくくなる。さらに、積層板の乾燥工程またはスピーカー用部材の成形時に生じる熱によって引き起こされるカーリングを抑制できる。また、接着剤層の厚みは、目的に応じて適宜設計される。接着剤層の厚みは、好ましくは10〜50μmであり、さらに好ましくは20〜40μmである。
【0031】
該接着剤層を形成する樹脂は、好ましくは上記樹脂フィルム層と同一または同類の樹脂である。本明細書における「同類の樹脂」とは、例えば、類似した化学的性質や物理的性質(特に熱収縮率)を有している樹脂を意味する。同一または同類の樹脂を用いることにより、熱収縮率の違いに起因する樹脂フィルムと接着剤層の熱による層間剥離を防ぐことができる。さらに好ましくは、ポリウレタン樹脂であり、特に好ましくはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂である。ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の詳細については上記A項に記載した通りである。
【0032】
B−2.積層構造を有する接着剤層;
上記接着剤層は、積層構造を有してもよい。例えば、接着剤層は、図1に示すように基材側から順に第1の接着剤層31と第2の接着剤層32とを有し得る。接着剤層が積層構造を有することにより、着剤層が単一層の場合に比べて、接着剤層が優れた接着力を有し、かつ、基材裏面からの接着剤の滲み出しをさらに抑制することができる。さらに、スピーカー用部材の熱収縮率を厚み方向に段階的に制御することができるので、温度変化(たとえば、乾燥工程)による積層体のカーリングを抑制することができる。加えて、基材側より、第1の接着剤層(好ましくはドライラミネート用接着剤層)、第2の接着剤層(好ましくはウェット用接着剤層)の順に積層することで、厚み方向に所望の熱収縮率分布を有する接着剤層の形成が容易になり、かつ、基材裏面からの接着剤の滲み出しを抑制できる。
【0033】
上記第1の接着剤層の熱収縮率は、好ましくは0.5〜0.8%であり、さらに好ましくは0.6〜0.7%である。一方、第2の接着剤層の熱収縮率は、好ましくは0.6〜1.0%であり、さらに好ましくは0.7〜0.9%である。
【0034】
好ましくは、上記第1の接着剤層の熱収縮率は上記第2の接着剤層の熱収縮率よりも小さく、該第2の接着剤層の熱収縮率は上記樹脂フィルム層の熱収縮率より小さい。このような熱収縮率の関係を有し、全体の熱収縮率を所定の範囲に設定することで、上記樹脂フィルム層と接着剤層との間で熱による層間剥離が生じにくくなる。さらに、積層板の乾燥工程またはスピーカー用部材の成形時等に生じる熱によって引き起こされるカーリングを抑制することが出来る。
【0035】
上記第1の接着剤層または第2の接着剤層を形成する樹脂は、好ましくは、第1の接着剤層と第2の接着剤層が同類の樹脂であり、かつ、上記樹脂フィルム層を構成する樹脂と同一または同類の樹脂である。具体例としては、ポリウレタン樹脂(好ましくは、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)が挙げられる。さらに好ましくは、該第1の接着剤層は、ドライラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤から形成され、該第2の接着剤層は、ウェットラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤から形成される。接着剤層が2層になることで、基材裏面からの接着剤の滲み出しを抑制することができる。
【0036】
上記ドライラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤は、乾燥させてから接着させる接着剤である。ドライラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤は、目的に応じてシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、消泡剤、増粘剤、硬化剤などを有し得る。さらに、架橋剤および/または架橋促進剤を添加しても良い。ドライラミネート用接着剤におけるポリカーボネート系ポリウレタンの分子量は目的に応じて適宜設計され得るが、20,000〜50,000程度が好ましい。
【0037】
一方、上記ウェットラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤は、溶媒が残った状態で(即ち、湿潤状態で)接着させる接着剤である。ウェットラミネート用接着剤におけるポリカーボネート系ポリウレタンの分子量は目的に応じて適宜設計され得る。分子量は、好ましくは50,000〜100,000程度である。ウェットラミネート用接着剤の分子量をドライラミネート用接着剤の分子量より大きくすることで、低粘度のドライラミネート用接着剤が湿潤状態のウェットラミネート用接着剤におけるポリカーボネート系ポリウレタンと反応し、接着剤層全体の粘度を増加させる。接着剤層の粘度増加によって基材裏面から接着剤の滲み出しを抑制することができるので、スピーカー用部材またはエッジを所定の形状にて成形する場合、離型性が良好となる。
【0038】
上記第1の接着剤層または第2の接着剤層の厚みは、目的に応じて適宜設計される。第1の接着剤層の厚みは、好ましくは10〜50μmであり、さらに好ましくは20〜40μmである。一方、第2の接着剤層の厚みは、好ましくは10〜50μmであり、さらに好ましくは20〜40μmである。
【0039】
C.基材
上記基材は、目的に応じて適宜選択され得る。織布または不織布が好ましい。該基材は、織布または不織布の単一層であってもよく、織布および/または不織布の積層体であってもよい。
【0040】
上記基材が織布である場合には、織布の織構造としては、任意の適切な構造(例えば、平織、綾織、朱子織、これらの組み合わせ)が採用され得る。好ましくは、平織である。織布の繊維軸方向における機械的特性が優れているので、優れた剛性を有することができるからである。平織の場合の面密度は、用いる繊維の性質(例えば、機械的特性、繊維径、繊維長)などにより適宜選択されるが、代表的には60〜300g/mである。このような範囲の面密度は、強度の増大効果が大きく、成形性にも優れているからである。このような面密度は、例えば、縦97本/inch×横97本/inchの織密度を包含する。
【0041】
上記基材が不織布である場合には、当該不織布は任意の適切な方法により形成され得る。不織布の形成方法の代表例としては、水などの流体を用いる湿式製法、機械的に短繊維をランダムに絡ませる乾式製法などが挙げられる。湿式製法が好ましい。機械的特性の異方性を小さく抑えることができ、成形性が良好な不織布が得られるからである。不織布の面密度(目付け)は目的に応じて変化し得るが、代表的には30〜150g/mである。
【0042】
基材に用いられる織布または不織布を構成する繊維は、長繊維であってもよく、短繊維であってもよい。さらに、織布または不織布を構成する繊維は任意の適切な繊維が採用され得る。合成繊維、天然繊維および再生繊維が好ましい。合成繊維の具体例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。天然繊維の具体例としては、綿、麻などが挙げられる。再生繊維の具体例としては、レーヨン、アセテートなどが挙げられる。好ましくは、ポリエステル繊維である。ポリエステル繊維は、優れた機械的特性、寸法安定性、耐久性、耐熱性等を有しているので、熱収縮がほとんど生じない。その結果、熱によるスピーカー用部材のカーリングを抑制できる。
【0043】
D.スピーカー用部材の製造方法
次に、本発明のスピーカー用部材の製造方法の好ましい一例について説明する。図2は、接着剤層が単一層である場合のスピーカー用部材の製造方法である。なお、符号210、220、230、240は各積層体を捲回するロールである。まず、表面がフラットな上質紙あるいはPPC用紙などの離型材10上に、固形分が好ましくは10〜30%の樹脂フィルム層形成用溶液および/または分散液を塗布することで、積層体110(離型材10/樹脂フィルム層20)を得ることができる。ここで、樹脂フィルム層形成用溶液とは、任意の適切な溶媒に、上記A項に記載の樹脂(好ましくは、ポリカーボネート系ポリウレタン)を溶解させた溶液を意味する。樹脂フィルム層形成用分散液とは、任意の適切な分散媒に、上記A項に記載の樹脂(好ましくは、ポリカーボネート系ポリウレタン)を分散させた分散液を意味する。該樹脂フィルム層形成用溶液および分散液は、上記A項に記載の樹脂(固形分)を好ましくは10〜30%含む。なお、これらの溶液および分散液は、必要に応じて各種添加剤等を有してもよい。また、これらの溶液および分散液は必要に応じて組み合わせて用いてもよい。上記樹脂フィルム層形成用溶液および/または分散液の塗布方法は、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、ドクター法、スプレー法、転写法などが挙げられる。塗布装置も任意の適切な装置が選択され、ドクターナイフコーター、コンマドクター、ロールコーターなどが挙げられる。ドクターナイフコーターを用いた場合、ドクターナイフ50は積層体110の厚みを均一にすると同時に、表面をフラットにする役割を有する。このドクターナイフ50と積層体110とのクリアランスは目的とする樹脂フィルム層の厚みに応じて適宜設計され得る。例えば、0.1〜1.5mmである。積層体110を矢印方向に送り出し、目的に応じて適切な温度で乾燥する。乾燥温度は、好ましくは50〜100℃である。乾燥時間も目的に応じて任意の適切な時間が採用される。乾燥時間は、好ましくは5〜15分である。
【0044】
次いで、積層体110の樹脂フィルム層20側に接着剤層30を形成する接着剤組成物(好ましくは、ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤)を塗布する。塗布方法または塗布装置は、任意の適切な方法または装置が採用され得る。ドクター法とドクターナイフコーターを用いた場合、ドクターナイフ51と積層体120のクリアランスは目的とする接着剤層の厚みに応じて適宜設計され得る。例えば、0.1〜1.5mmである。得られた積層体120(離型材10/樹脂フィルム層20/接着剤層30)を矢印方向に送り出し、目的に応じて適切な温度で乾燥する。乾燥温度は、好ましくは50〜100℃である。乾燥時間も目的に応じて任意の適切な時間が採用される。乾燥時間は、好ましくは5〜15分である。上記乾燥工程を終えることで、積層体120に接着剤層30が形成される。この時点での該接着剤層は、目的に応じて適切な状態(例えば、ドライ、セミウェット、ウェット状)をとり得る。好ましくはセミウェット状である。接着剤層が単一層の場合、セミウェット状になることで接着剤層は適度な粘度を有するので、基材裏面からの滲み出しを抑制し、かつ、易成形性を有するためである。
【0045】
次いで、積層体120の接着剤層30側に任意の適切な基材40を、加圧ロール230を用いて貼り合わせる。貼り合わせ圧力は、目的に応じて適宜設計され得る。貼り合わせ圧力は、好ましくは3〜6kg/cmである。さらに、貼り合わせ温度も目的に応じて適宜設計され得る。貼り合わせ温度は、好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは50℃以下である。積層体120を矢印方向に送り出し、目的に応じて適切な温度で乾燥する。乾燥温度は、好ましくは50〜100℃である。乾燥時間も目的に応じて任意の適切な時間が採用される。乾燥時間は、好ましくは2〜10分である。
【0046】
次いで、積層体130(離型材10/樹脂フィルム層20/接着剤層30/基材40)をロール240にて巻き取る。巻き取り速度は目的に応じて適宜選択され得る。上記加圧ロールと同程度の速度が好ましい。積層体130が巻き取り時に延伸されることを防ぐためである。巻き取られた積層体130は、目的に応じて適切な温度範囲で接着剤のエージング(反応硬化)に供される。エージング温度は、50〜60℃が好ましい。さらに、エージング時間は目的に応じて任意の適切な時間が採用され得る。エージング時間は、60時間以上が好ましく、さらに好ましくは72時間以上である。エージング時間が60時間より短いと接着剤の硬化が十分になされず、離型紙をはがした時およびスピーカー成形時に樹脂フィルム層と基材が層間剥離する可能性がある。一方、エージング時間は、120時間以下が好ましい。それ以上エージングしても効果は変わらないので、生産効率を考慮すると意味がない場合が多いからである。接着剤層30が硬化した後、離型材10を取り除く。
【0047】
上記の離型材10を取り除いた積層体から、ドーム部とエッジ部が一体となった所定の形状を有する金型を用いてスピーカー用部材を成形する。金型温度は目的に応じて適切な温度が採用され得る。基材側の温度は、好ましくは200〜250℃である。さらに、樹脂フィルム側の温度は、好ましくは170〜210℃である。金型のプレス圧力は目的に応じて適宜設計され得る。プレス圧力は、好ましくは0.8〜2.5kg/cmである。プレス時間は目的に応じて任意の適切な時間が採用される。プレス時間は、好ましくは5〜25秒である。
【0048】
一方、上記接着剤層が積層構造を有する場合には、例えば、図3で示す接着剤層の積層方法が採用され得る。上記と同様にして得られた積層体110(離型材10/樹脂フィルム層20)の樹脂フィルム層20側に、前記の工程と同様にして第2の接着剤層32を形成する接着剤組成物(好ましくは、ウェットラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤)を塗布し、積層体121(離型材10/樹脂フィルム層20/第2の接着剤層32)を得る。積層体121を矢印方向に送り出し、目的に応じて適切な温度で乾燥する。乾燥温度は、好ましくは50〜100℃である。乾燥時間も目的に応じて任意の適切な時間が採用される。乾燥時間は、好ましくは5〜15分である。次いで、第2の接着剤層32側に第1の接着剤層31を形成する接着剤組成物(好ましくは、ドライラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤)を塗布する。上記第2の接着剤層32と同様にして、第1の接着剤層31を形成し、積層体122(離型材10/樹脂フィルム層20/第2の接着剤層32/第1の接着剤層31)を得る。その後の工程は上記図2で示した場合と同様にして行われ積層体131(離型材10/樹脂フィルム層20/第2の接着剤層32/第1の接着剤層31/基材40)を得る。その後は上記の工程と同様にしてスピーカー用部材が成形される。
【0049】
以上のようにして、本発明のスピーカー用部材が得られる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
a.樹脂フィルム層の形成
表面がフラットな離型材上にポリカーボネート系ウレタン樹脂溶液(固形分20%)を乾燥後の厚みが20μmとなるようドクターナイフコーター装置(ドクターナイフ刃のクリアランス0.1mm)にて塗布した。その積層体を80℃で10分間加熱乾燥し、ポリカーボネート系ウレタン樹脂フィルム(熱収縮率0.8〜1.3%)を得た。
【0052】
b.接着剤層の形成
前工程で得られたポリカーボネート系ウレタン樹脂フィルム上に、ポリカーボネート系ウレタン接着剤を乾燥後の厚みが30μmとなるようドクターナイフコーター装置(ドクターナイフ刃のクリアランス0.1mm)にて塗布した。その後、80℃で10分間加熱乾燥し、セミウェット接着剤層(熱収縮率0.5〜1.0%)を形成した。
【0053】
c.基材の積層
接着剤層を形成した積層体にポリエステル繊維の織布(面密度70g/m、糸番手75×75D、織密度97本/inch×97本/inch)を加圧ロール(貼り合わせ圧力4kg/cm)にて常温で貼り合わせ、80℃で5分間加熱乾燥し、ロールを用い巻き取った。
【0054】
e.スピーカー用部材の成形
巻取りを行った積層体を50℃で72時間以上エージングし、接着剤を反応硬化させた。次いで、離型材を剥離した積層体を、ドーム部とエッジ部が一体となった金型(ボイスコイル径φ25)を用い、金型温度は基材側を230℃、ウレタン樹脂フィルム側を190℃に設定し、プレス圧力1.0kg/cm、プレス時間18秒の条件下でスピーカー用部材を成形した。
【0055】
得られたスピーカー用部材の周波数特性を測定した。結果を図4(a)に示す。耐湿熱劣化試験は、80℃、95%RHの条件化における破断引張強度保持率の変化を測定した。結果を後述の比較例1および2の結果と併せて図5に示す。耐光劣化試験は、キセノンフェドメーター装置を用い、BP63℃雰囲気中の破断引張強度保持率の変化を測定した。結果を後述の比較例1および2の結果と併せて図6に示す。耐熱劣化試験は、110℃の条件化における破断引張強度保持率の変化を測定した。結果を後述の比較例1および2の結果と併せて図7に示す。
【0056】
(比較例1)
樹脂フィルム層にポリエステル系ウレタン樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にしてスピーカー用部材を成形した。得られたスピーカー用部材の性質を実施例1と同様の評価に供した。実施例1と同様に行い、周波数特性を図4(b)に、耐湿熱劣化試験の結果を図5に、耐光劣化試験の結果を図6に、耐熱劣化試験の結果を図7にそれぞれ示す。
【0057】
(比較例2)
樹脂フィルム層にポリエーテル系ウレタン樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にしてスピーカー用部材を成形した。得られたスピーカー用部材について、実施例1と同様にして耐湿熱劣化、耐光劣化、耐熱劣化を測定した。耐湿熱劣化試験の結果を図5に、耐光劣化試験の結果を図6に、耐熱劣化試験の結果を図7にそれぞれ示す。
【0058】
(実施例2)
実施例1で得られたウレタン樹脂フィルム層に、ウェットラミネート用ポリカーボネート系ウレタン接着剤(分子量50000〜100000程度)を乾燥後の厚みが30μmとなるようにドクターナイフコーター装置(ドクターナイフ刃のクリアランス0.1mm)にて塗布した。その後、80℃で10分間加熱乾燥し、湿潤状態の第2の接着剤層(熱収縮率0.6〜1.0%)を形成した。さらに、ドライラミネート用ポリカーボネート系ウレタン接着剤(分子量20000〜50000程度)を乾燥後の厚みが30μmとなるようにドクターナイフコーター装置(ドクターナイフ刃のクリアランス0.1mm)にて塗布し、80℃で10分間加熱乾燥し、第1の接着剤層(熱収縮率0.5〜0.8%)を形成した。これらの接着剤層を用いたこと以外は実施例1と同様にしてスピーカー用部材を成形した。得られたスピーカー用部材について、実施例1と同様にして耐湿熱劣化、耐熱劣化を測定した。耐湿熱劣化試験の結果を図8に、耐熱劣化試験の結果を図9にそれぞれ示す。
【0059】
(比較例3)
樹脂フィルム層にポリエステル系ウレタン樹脂を用いたこと以外は実施例2と同様にしてスピーカー用部材を成形した。得られたスピーカー用部材について、実施例1と同様にして耐湿熱劣化、耐熱劣化を測定した。耐湿熱劣化試験の結果を図8に、耐熱劣化試験の結果を図9にそれぞれ示す。
【0060】
(比較例4)
樹脂フィルム層にポリエーテル系ウレタン樹脂を用いたこと以外は実施例2と同様にしてスピーカー用部材を成形した。得られたスピーカー用部材について、実施例1と同様にして耐湿熱劣化、耐熱劣化を測定した。耐湿熱劣化試験の結果を図8に、耐熱劣化試験の結果を図9にそれぞれ示す。
【0061】
(比較例5)
実施例1で得られたウレタン樹脂フィルム層に、ポリエステル系ウレタン接着剤を乾燥後の厚みが30μmとなるようにドクターナイフコーター装置(ドクターナイフ刃のクリアランス0.1mm)にて塗布した。その後、80℃で10分間加熱乾燥し、接着剤層を形成した。次いで、実施例1と同様にして基材の積層およびスピーカー用部材の成形を行った。得られたスピーカー用部材について、実施例1と同様にして耐湿熱劣化、耐熱劣化を測定した。耐湿熱劣化試験の結果を図8に、耐熱劣化試験の結果を図9にそれぞれ示す。
【0062】
図4から明らかなように、樹脂フィルム層にポリカーボネート系ウレタン樹脂を用いることで、高音域での歪が比較例と比べ抑制されていることが分かる。図5〜7から明らかなように、樹脂フィルム層にポリカーボネート系ウレタン樹脂を用いることで、耐湿熱性、耐光性、耐熱性ともに優れたスピーカー用部材を得ることができる。図8および9から明らかなように、樹脂フィルム層および接着剤層にポリカーボネート系ウレタン樹脂を用いることで耐湿熱性、耐熱性ともに優れたスピーカー用部材を得ることができる。さらに、実施例2および比較例5の結果から明らかなように、樹脂フィルム層と接着剤層が同一(同類)の樹脂を有することで、耐湿熱性、耐熱性ともに優れたスピーカー用部材を得ることができる。上記のように、本発明によれば、軽量で、かつ、優れた内部損失と強度を有し、耐湿熱性、耐光性、耐熱性、などの品質安定性および成形性を有するスピーカー用部材、および、その簡便安価な製造方法が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のスピーカー用部材は、任意の適切なスピーカー(特に、ツィータ)に好適に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の好ましい実施形態の一例であるスピーカー用部材の概略断面図である。
【図2】本発明のスピーカー用部材の製造方法の一例における工程の概略を示す模式図である。
【図3】本発明のスピーカー用部材の製造方法の別の一例における工程の概略を示す模式図である。
【図4】(a)は実施例1における周波数特性のグラフであり、(b)は比較例1における周波数特性のグラフである。
【図5】本発明の実施例1、比較例1および2について耐湿熱劣化試験結果を比較して示すグラフである。
【図6】本発明の実施例1、比較例1および2について耐光劣化試験結果を比較して示すグラフである。
【図7】本発明の実施例1、比較例1および2について耐熱劣化試験結果を比較して示すグラフである。
【図8】本発明の実施例2、比較例3、4および5について耐湿熱劣化試験結果を比較して示すグラフである。
【図9】本発明の実施例2、比較例3、4および5について耐熱劣化試験結果を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
【0065】
10 離型材
20 樹脂フィルム層
30 接着剤層
40 基材
50 ドクターナイフ
100 積層体
200 ロール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材に接着剤層を介して積層された樹脂フィルム層とを有し、該接着剤層の熱収縮率が0.5〜1.0%であり、該樹脂フィルム層の熱収縮率が0.8〜1.3%であり、該接着剤層の熱収縮率が該樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さい、スピーカー用部材。
【請求項2】
前記樹脂フィルム層がポリカーボネート系ポリウレタンから形成されている、請求項1に記載のスピーカー用部材。
【請求項3】
前記接着剤層がポリカーボネート系ポリウレタン接着剤から形成されている、請求項2に記載のスピーカー用部材。
【請求項4】
前記接着剤層が、前記基材側から順に第1の接着剤層と第2の接着剤層とを有し、該第1の接着剤層の熱収縮率が0.5〜0.8%であり、該第2の接着剤層の熱収縮率が0.6〜1.0%であり、該第1の接着剤層の熱収縮率が該第2の接着剤層の熱収縮率よりも小さく、該第2の接着剤層の熱収縮率が前記樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さい、請求項1または2に記載のスピーカー用部材。
【請求項5】
前記第1の接着剤層がドライラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤から形成され、前記第2の接着剤層がウェットラミネート用ポリカーボネート系ポリウレタン接着剤から形成されている、請求項4に記載のスピーカー用部材。
【請求項6】
前記基材が、天然繊維、再生繊維または合成繊維の織布または不織布からなる、請求項1から5のいずれかに記載のスピーカー用部材。
【請求項7】
所定の樹脂組成物を離型材上に塗布する工程と;
該樹脂組成物を乾燥して、該離型材上に樹脂フィルム層を形成する工程と;
該樹脂フィルム層上に所定の接着剤を塗布して接着剤層を形成する工程と;
該接着剤層を介して、該離型材上に形成された樹脂フィルム層と基材とを貼り合わせて積層体を形成する工程と;
該積層体をエージングする工程と;
該エージングされた積層体を、所定の形状を有する金型を用いて成形する工程と
を含む、スピーカー用部材の製造方法。
【請求項8】
前記接着剤層の熱収縮率が0.5〜1.0%であり、前記樹脂フィルム層の熱収縮率が0.8〜1.3%であり、該接着剤層の熱収縮率が該樹脂フィルム層の熱収縮率よりも小さい、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記積層体がロール状態でエージングされる、請求項7または8に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1から6のいずれかに記載のスピーカー用部材を含む、スピーカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−20139(P2007−20139A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315875(P2005−315875)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】