説明

スピーカ装置用支持脚

【課題】スピーカ装置の高さを調整可能であるとともに、支持脚間の幅を調整することが可能であるスピーカ装置用支持脚を提供する。
【解決手段】図4(A)に示すように、筐体10の背面には、ねじ穴53が複数(同図の例では5つ)設けられている。図4(B)のように最も下方のねじ穴53にねじ穴102を重ねてねじ止めすると、支持脚11の高さが最も高くなり、かつ左右の支持脚11間の幅が最も狭くなる。ここで、いったんねじを外し、図4(C)に示すように、支持脚11を外側に回動させ、他のねじ穴53にねじ穴102を重ねてねじ止めすると、支持脚11の高さが低くなり、かつ左右の支持脚間の幅が広がる。したがって、支持脚11間の幅を広くしたり、狭くしたりすることが可能になり、テレビの大きさに合わせて支持脚間の幅を調整することができるため、テレビ側の支持脚とスピーカ装置の支持脚が干渉しないように調整することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スピーカ装置の高さを調整するスピーカ装置用支持脚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1に示すように、横長の筐体を備えたスピーカ装置を、テレビ画面の下方に設置することが多くなっている。このような横長の筐体を備えたスピーカ装置は、テレビとは別に、当該テレビの前方に設置されて使用される場合がある(以下、このようなスピーカ装置をバースピーカと呼ぶ)。
【0003】
一般に、スピーカ装置等のオーディオ機器では、特許文献2に示すように、ねじ結合方式による高さ調整可能な支持脚が用いられている。上記のようなバースピーカであれば、ねじ結合方式の支持脚を左右両端付近に2つ接続すれば筐体を支持することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−267956号公報
【特許文献2】特開2007−32756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、バースピーカは、テレビの前方、かつテレビの直近に設置されるため、テレビおよびバースピーカの大きさによっては、当該バースピーカの支持脚がテレビの支持脚と干渉する場合があった。特に、特許文献2のようなねじ結合方式の支持脚は、スピーカ装置の高さを調整することができても、支持脚間の幅を調整することができず、様々な大きさのテレビに対応することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、スピーカ装置の高さを調整可能であるとともに、支持脚間の幅を調整することが可能であるスピーカ装置用支持脚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のスピーカ装置用支持脚は、スピーカ装置の筐体に回動可能に接続され、前記スピーカ装置の放音面と直交する方向に回動軸を有する支点部材と、前記支点部材に接続され、前記支点部材が回動することにより、前記スピーカ装置の放音面と平行な面で回動する脚部と、前記脚部に接続され、前記スピーカ装置の放音面と直交する方向に厚みを有する支持部と、を備えている。
【0008】
このように、脚部および支持部が、放音面と直交する方向に回動軸を有する支点部材の回動にともなって回動することにより、支持脚間の幅を広くしたり、狭くしたりすることが可能になる。例えば、筐体の外側へ向けて支持脚を回動させると、支持脚間の幅が広がる。したがって、テレビの大きさに合わせて支持脚間の幅を調整することができ、テレビの支持脚と干渉しないように調整することが可能となる。
【0009】
なお、脚部は、前記支点部材との接続箇所とは別の位置において、前記スピーカ装置の筐体に接続されることが好ましい。例えば、ねじ等によりスピーカ装置に接続して支持脚を固定することで、より強固に固定することができる。
【0010】
また、前記支持部は、前記スピーカ装置の筐体下辺に沿って回動することが好ましい。例えば、スピーカ装置が、円形状のスピーカユニットに沿うように丸みを帯びた筐体形状であれば、当該丸みを帯びた筐体に沿って支持部が回動することにより、外観上すっきりとしたものとなる。
【0011】
さらに、支持部は、前記スピーカ装置の放音面と直交する方向に軸を有する円柱形状であり、前記円柱側面が前記スピーカ装置の設置面と接することが好ましい。円柱側面が設置面に接することで、どのような回動角でも常に同じ設置面積とすることができる。
【0012】
なお、スピーカ装置用支持脚は、より具体的には、前記支点部材、前記脚部、および前記支持部は、一体成型されてなり、前記支点部材は、前記スピーカ装置の放音面と直交する方向に軸を有する円柱状突起であり、前記突起がスピーカ装置の筐体に設けられた孔部に挿入されることにより、前記筐体に回動可能に接続され、前記脚部は、前記スピーカ装置の筐体にねじ止めされることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、スピーカ装置の高さを調整可能であるとともに、支持脚間の幅を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】スピーカ装置の外観図である。
【図2】左側スピーカユニット付近の正面拡大図、および左側面拡大図である。
【図3】支持脚の部品図である。
【図4】左側スピーカユニット付近の背面拡大図である。
【図5】応用例に係る左側スピーカユニット付近の背面拡大図である。
【図6】応用例に係る左側スピーカユニット付近の背面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(A)は本発明の実施形態に係るスピーカ装置の正面図、図1(B)は左側面図、図1(C)は背面図、図1(D)は上面図である。図1(E)は、スピーカ装置をテレビ前方に設置した場合の正面図である。
【0016】
本実施形態では、スピーカ装置の正面方向(放音方向)をY方向、背面方向を−Y方向とし、放音方向に沿って右方向をX方向、左方向を−X方向とする。また、上面方向をZ方向、下面方向を−Z方向とする。
【0017】
本実施形態のスピーカ装置は、左右方向(X,−X方向)に長く、高さ方向(Z,−Z方向)に短い直方体形状の筐体10を有するバースピーカである。筐体10には、3つのスピーカユニット12が設置されている。中央のスピーカユニット12Cは、長方形状の振動板を備えたスピーカユニットであり、左右のスピーカユニット12Lおよびスピーカユニット12Rは、円状の振動板を備えたスピーカユニットである。ただし、本発明において中央のスピーカユニットの振動板が長方形状であることは必須ではない。
【0018】
図2(A)および図2(B)は、左側スピーカユニット12L付近の正面拡大図であり、図2(C)および図2(D)は、左側スピーカユニット12L付近の左側面拡大図である。
【0019】
筐体10は、左右のスピーカユニット12Lおよびスピーカユニット12Rが設置される位置において、これらのスピーカユニットに沿うように筐体下辺が張り出して丸みを帯びた形状になっている。丸みを帯びた箇所には、支持脚11が設けられ、この丸みに沿って支持脚11が回動するようになっている。支持脚11は、左右2カ所設けられ、スピーカ装置の筐体10を2点で支持する。
【0020】
図3は、支持脚11の部品図であり、図4は、左側スピーカユニット付近の背面拡大図である。支持脚11は、一体成型されてなり、支点部材101、脚部103、および支持部104からなる。支点部材101、脚部103、および支持部104は、一体成型とせずに個別の部品として接着剤等で接続するようにしてもよいが、一体成型とすることで剛性が高くなるため、一体成型とすることが望ましい。
【0021】
支点部材101は、スピーカ装置の放音面(XZ平面)と直交する方向(Y,−Y方向)に軸を有する円柱状突起であり、板状部材である脚部103の一面のうち、一方の端部付近に接続されている。この突起がスピーカ装置の筐体背面に設けられた孔部52に挿入されることにより、支点部材が筐体に回動可能に接続される。なお、筐体側の孔部52を円柱状突起とし、支点部材101を孔部とする態様であっても、支点部材101を筐体10に回動可能に接続することができる。
【0022】
また、脚部103は、ねじ穴102を有し、スピーカ装置の筐体背面に設けられたねじ穴53とともにねじ止めされる。支持脚11は、ねじ穴102でねじ止めされることにより、筐体10に強固に固定される。ただし、本発明としてはねじ止めによる固定は必須ではなく、他の手法で固定するようにしてもよい。
【0023】
また、脚部103の他方の端部には、支持部104が接続されている。支持部104は、スピーカ装置の放音面と直交する方向に厚みを有する形状であり、この例では、スピーカ装置の放音面と直交する方向(Y,−Y方向)に軸を有する円柱形状となっている。図1および図2の側面図に示したように、円柱の高さは筐体10のY,−Y方向の厚みとほぼ同じである。支持部104は、四角柱等の他の形状であってもよいが、円柱形状とすることで、円柱側面がスピーカ装置の設置面と接することになり、支持脚11は、どのような回動角でも常に同じ面積で設置面と接することができる。また、丸みを帯びた筐体に沿って円柱形状の支持部104が回動するため、外観上もすっきりとしたものとなる。
【0024】
なお、支持部104の円柱側面は、エラストマ等のゴムで覆われており、スピーカユニットの振動が設置面に伝わり難いようになっている。また、支持部104の円柱側面は、筐体10には接触せず、ある程度離れた位置で回動することが望ましい。支持部104が筐体10からある程度離れた位置で回動することで、スピーカユニットの振動が伝わり難くなり、音質への影響を抑えることができる。
【0025】
図4(A)に示すように、筐体10の背面には、ねじ穴53が複数(同図の例では5つ)設けられている。図4(B)に示すように最も下方のねじ穴53にねじ穴102を重ねてねじ止めすると、筐体10の高さが最も高くなり、かつ左右の支持脚11間の幅が最も狭くなる。
【0026】
ここで、いったんねじを外し、図4(C)に示すように、支持脚11を外側に回動させ、他のねじ穴53にねじ穴102を重ねてねじ止めすると、筐体10の高さが低くなり、かつ左右の支持脚11間の幅が広がる。したがって、支持脚11間の幅を広くしたり、狭くしたりすることが可能になり、テレビの大きさに合わせて支持脚11間の幅を調整することができるため、テレビ側の支持脚とスピーカ装置の支持脚が干渉しないように調整することが可能となる。例えば、図1(E)の例では、テレビの支持脚の幅が広く、図4(B)に示した支持脚11間の幅が最も狭い態様では、当該支持脚11とテレビの支持脚が干渉してしまうが、図4(C)のように、支持脚11を筐体の外側に回動させた態様では、図1(E)のように支持脚11とテレビの支持脚が干渉することがない。
【0027】
また、さらに支持脚11を外側に回動させ、最も外側のねじ穴53にねじ穴102を重ねてねじ止めすると、支持脚11ではなく、筐体10の下面が設置面と接することになる。この場合、筐体10の高さが最も低くなり、かつ図4(B)に示した支持脚間の幅と同じ幅で設置面と接することなる。ただし、筐体10のうち、スピーカユニットが設置されている箇所の下面にはエラストマ等のゴム51が設けられており、このゴム51が設置面と接するため、スピーカユニットの振動が設置面に伝わり難いようになっている。
【0028】
なお、筐体10の背面には丸印54が設けられており、脚部103の端部に設けられた凸部105がこれら丸印54のいずれかと対向するようになるため、支持脚11の回動角を把握することができるようになっている。本実施形態の例では、5カ所のねじ穴53が設けられているため、丸印54も5カ所設けられている。
【0029】
このように、支持脚11を筐体10の下面に沿って回動させることで、支持脚11間の幅を広くしたり狭くしたりすることができ、かつ、左右の筐体10を水平にすることができる。一般的なねじ結合方式による高さ調整可能な支持脚は、左右のねじ込み量をまったく同一にしなければ支持脚の長さが均一にならず、筐体を水平に設置することができないが、本実施形態では、筐体10の背面に設けられた複数のねじ穴53に支持脚11のねじ穴102を重ねてねじ止めするため、左右の支持脚の長さを容易に均一とすることができ、筐体10を容易に水平に設置することができる。
【0030】
なお、脚部103を伸縮可能にする、あるいは、図5(A)のように筐体側の孔部52および支持脚側のねじ穴102を複数設け、図5(B)のように支点部材101を異なる孔部52に挿入して、ねじ止めするねじ穴102を変更することで高さを変更する態様も可能である。
【0031】
また、図6(A)のように筐体側の孔部52およびねじ穴53を複数設け、図6(B)のように支持脚11の孔部52を支点部材101に近い位置に設ける態様も可能である。この場合、上方向(Z方向)の孔部52に支点部材101を挿入してねじ止めすると、筐体10の高さは低くなり、図6(C)のように下方向(−Z方向)の孔部52に支点部材101を挿入してねじ止めすると、筐体10の高さは高くなる。
【符号の説明】
【0032】
10…筐体
11…支持脚
12C,12L,12R…スピーカユニット
51…ゴム
52…孔部
53…ねじ穴
54…丸印
101…支点部材
102…ねじ穴
103…脚部
104…支持部
105…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカ装置の筐体に回動可能に接続され、前記スピーカ装置の放音面と直交する方向に回動軸を有する支点部材と、
前記支点部材に接続され、前記支点部材が回動することにより、前記スピーカ装置の放音面と平行な面で回動する脚部と、
前記脚部に接続され、前記スピーカ装置の放音面と直交する方向に厚みを有する支持部と、
を備えたスピーカ装置用支持脚。
【請求項2】
前記脚部は、前記支点部材との接続箇所とは別の位置において、前記スピーカ装置の筐体に接続されることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置用支持脚。
【請求項3】
前記スピーカ装置は、筐体下辺が張り出した丸みを帯びた形状であって、
前記支持部は、前記スピーカ装置の筐体下辺の丸みに沿って回動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスピーカ装置用支持脚。
【請求項4】
前記支持部は、前記スピーカ装置の放音面と直交する方向に軸を有する円柱形状であり、前記円柱側面が前記スピーカ装置の設置面と接することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のスピーカ装置用支持脚。
【請求項5】
前記支点部材、前記脚部、および前記支持部は、一体成型されてなり、
前記支点部材は、前記スピーカ装置の放音面と直交する方向に軸を有する円柱状突起であり、前記突起がスピーカ装置の筐体に設けられた孔部に挿入されることにより、前記筐体に回動可能に接続され、
前記脚部は、前記スピーカ装置の筐体にねじ止めされることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のスピーカ装置用支持脚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−239097(P2012−239097A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107982(P2011−107982)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】