スプリングの巻き方向判別装置およびスプリングの巻き方向判別方法
【課題】 安価な構成で、比較的高精度にコイルスプリングの巻き方向を判別することができるスプリングの巻き方向判別装置を提供すること。
【解決手段】 判別装置1は、コイルスプリングが載置される円弧状溝部31aが形成された第1プレート31と、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングの側周からコイルスプリングに係合する引掛ピン40と、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングを、コイルスプリングに係合している引掛ピンに対して、コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させるために第1プレート31に振動を与える加振器11と、を備える。コイルスプリングが引掛ピンに係合したまま相対回転することにより、コイルスプリングが軸方向に移動する。この移動方向の違いに基づいて、コイルスプリングの巻き方向が判別される。
【解決手段】 判別装置1は、コイルスプリングが載置される円弧状溝部31aが形成された第1プレート31と、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングの側周からコイルスプリングに係合する引掛ピン40と、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングを、コイルスプリングに係合している引掛ピンに対して、コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させるために第1プレート31に振動を与える加振器11と、を備える。コイルスプリングが引掛ピンに係合したまま相対回転することにより、コイルスプリングが軸方向に移動する。この移動方向の違いに基づいて、コイルスプリングの巻き方向が判別される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルスプリングなどの螺旋状に形成されたスプリングの巻き方向を判別するための巻き方向判別装置および巻き方向判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルスプリングは、端面から見た巻き方向が時計周り方向である右巻きコイルスプリングと、反時計周り方向である左巻きコイルスプリングに分類される。
【0003】
コイルスプリングを何らかの製品(例えば自動車のエンジン部品としてのバルブ開閉装置)に用いる場合、右巻きコイルスプリングであるか左巻きコイルスプリングであるかによって、その製品の特性が異なる。よって、ある製品に組み込むコイルスプリングの巻き方向は一定の方向でなければならない。
【0004】
しかし、例えば右巻きコイルスプリングをある製品に組み付ける過程で、供給されるコイルスプリングに左巻きコイルスプリングが混入する場合がある。したがって、コイルスプリングを製品に組み付ける前に、コイルスプリングの巻き方向を判別する必要がある。
【0005】
特許文献1は、不等ピッチスプリングの向きを判別するための装置を開示する。この判別装置によれば、CCDカメラにより撮像された不等ピッチスプリングの端部形状が粗巻部の正規端部形状および密巻部の正規端部形状と比較され、その比較結果に基づいて不等ピッチスプリングの向きが判別される。
【0006】
特許文献1に示されたCCDカメラによる向きの判別方法を応用することにより、カメラでコイルスプリングの巻き方向を判別することができる。図13は、カメラでコイルスプリングの巻き方向を判別する装置を示す図である。この図に示す装置によれば、載置台Dに載置されたコイルスプリングSの側周部が照明Lで照らされるとともにカメラCAで撮像される。そして、撮像された画像が2値化される。
【0007】
図14は、CCDカメラによる右巻きコイルスプリングの撮像画像、図15はコイルスプリングの2値化画像である。図15(a)は右巻きコイルスプリングの2値化画像、図15(b)は左巻きコイルスプリングの2値化画像である。図15(a)と図15(b)とを比較してわかるように、右巻きコイルスプリングの2値化画像と左巻きコイルスプリングの2値化画像は異なる。したがって、2値化処理されたコイルスプリングの画像から、そのコイルスプリングの巻き方向を判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−24481号公報
【発明の概要】
【0009】
(発明が解決しようとする課題)
カメラでコイルスプリングの巻き方向を判別する場合、コイルスプリングを撮像するカメラの位置のずれ、撮像時に余分な陰影を除去するための照明の位置のずれ、コイルスプリングの撮像環境の変化(外乱光の入り込み等)等により、2値化画像からコイルスプリングの巻き方向を判別することができないことが起こり得る。すなわち、カメラによるコイルスプリングの巻き方向の判別方法は、カメラでコイルスプリングを撮像する環境によっては判別精度が低下する。また、撮像環境を良好にするための作業工数を要する。さらに、カメラや撮像画像を解析するためのコントローラが必要であるので、判別装置の製造コストが増大する。このように、従来におけるコイルスプリングの巻き方向の判別には、種々の問題があった。
【0010】
本発明は、安価な構成で、比較的高精度に巻き方向を判別することができる、コイルスプリングの巻き方向判別装置、および、コイルスプリングの巻き方向判別方法を提供することを目的とする。
【0011】
(課題を解決するための手段)
本発明は、螺旋状に形成されたコイルスプリングが載置されるスプリング載置部と、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの側周から前記コイルスプリングに係合するように、前記スプリング載置部に突出可能に構成される突起部と、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングと前記コイルスプリングに係合している前記突起部のいずれか一方を、いずれか他方に対して、前記コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させる回転発生部と、を備える、スプリングの巻き方向判別装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、螺旋状に形成されたコイルスプリングをスプリング載置部に載置する載置工程と、前記スプリング載置部に突起部を突出させることにより、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの側周から前記コイルスプリングに前記突起部を係合させる突出工程と、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングと前記コイルスプリングに係合している前記突起部のいずれか一方を、いずれか他方に対して、前記コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させる回転工程と、を含み、前記コイルスプリングと前記突起部とを係合させた状態で前記コイルスプリングと前記突起部とのいずれか一方をいずれか他方に対して前記相対回転させることにより前記コイルスプリングが移動する方向に基づいて、スプリングの巻き方向を判別する、スプリングの巻き方向判別方法を提供する。
【0013】
本発明によれば、スプリング載置部に載置されたコイルスプリングに突起部がその側周から係合した状態で、コイルスプリングと突起部のいずれか一方がいずれか他方に対し、コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転する。コイルスプリングは螺旋状に形成されているため、コイルスプリングが突起部に係合したまま一方向に相対回転することにより、コイルスプリングは軸方向に移動する。
【0014】
相対回転方向が定められている場合、右巻きコイルスプリングか左巻きコイルスプリングかによって、コイルスプリングが移動する方向が異なる。例えば、右巻きコイルスプリングが上記相対回転により一方の軸方向に移動した場合、左巻きコイルスプリングは上記相対回転により他方の軸方向(一方の軸方向とは反対の方向)に移動する。この移動方向の違いに基づいて、コイルスプリングの巻き方向が判別される。したがって、本発明によれば、巻き方向を判別するためのカメラや照明等を要せず、且つ撮像画像から巻き方向を判別するためのコントローラ等も必要ない。故に、安価な構成で、比較的高精度にコイルスプリングの巻き方向を判別することができる。
【0015】
前記スプリング載置部は、水平方向に対して傾斜した傾斜面を有するのがよい。そして、前記回転発生部は、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に跳ね上げられる跳ね上げ動作と、跳ね上げられた前記コイルスプリングが前記傾斜面を転がり落ちる回転動作とが繰り返されるように前記コイルスプリングの動作を制御することにより、前記コイルスプリングを前記突起部に対して前記一方向に相対回転させるものであるのがよい。なお、水平方向とは、重力の作用方向が下方向と定義される上下方向と垂直な方向である。
【0016】
この場合、前記スプリング載置部は、前記傾斜面によって構成される側壁を有する溝部であり、前記コイルスプリングはその軸方向が前記溝部の軸方向と一致するように前記溝部に載置されているのがよい。そして、前記回転発生部は、前記溝部に載置された前記コイルスプリングをその軸方向に垂直な方向であり且つ前記側壁に向かう方向である斜め上方(つまり上方成分と側壁に向かう方向への水平成分(後述の実施形態では前方成分)とを有する方向)に跳ね上げて、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に着地するように、前記跳ね上げ動作を制御するのがよい。
【0017】
これによれば、コイルスプリングを傾斜面のより高い位置に跳ね上げる動作と、そうして跳ね上げられたコイルスプリングが傾斜面を転がり落ちる動作とが繰り返されることにより、コイルスプリングは傾斜面の同じ部分を何度も転がり落ちる。転がり落ちる動作が繰り返されることにより、突起部に対するコイルスプリングの一方向への相対回転が励起される。こうして回転するコイルスプリングに突起部が係合することによりコイルスプリングがいずれかの軸方向に移動する。移動する方向に基づいて、コイルスプリングの巻き方向が判別される。
【0018】
前記回転発生部は、前記溝部に載置されたコイルスプリングが前記斜め上方に跳ね上げられるように、前記スプリング載置部に振動を加える加振装置であるのがよい。これによれば、加振装置によってスプリング載置部が加振されることにより、溝部に載置されたコイルスプリングが斜め上方に跳ね上げられる。この跳ね上げが繰り返されることによって、コイルスプリングの一方向への相対回転が励起される。この場合、加振装置は、スプリング載置部を上方に対して傾斜した斜め方向に加振するのがよい。スプリング載置部を斜め方向に加振する装置として、例えば部品を整列させるために利用されるパーツフィーダ(直進フィーダ)の加振装置を用いることができる。直進フィーダは市販されているので、市販されている直進フィーダを改良することによって、本発明の加振装置をより安価に構成することができる。
【0019】
前記突起部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って複数設けられているのがよい。そして、本発明のスプリングの巻き方向判別装置は、前記複数の突起部が、前記スプリング載置部に突出する突出状態と、前記スプリング載置部から退避する退避状態とを繰り返すように、前記複数の突起部の動作を制御する突起制御部をさらに備えるものであるのがよい。
【0020】
この場合、前記突起制御部は、前記複数の突起部のうち一部の突起部における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングが、前記一部の突起部以外の突起部における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングと異なるように、前記複数の突起部の動作を制御するのがよい。より好ましくは、前記突起制御部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って隣接する前記突起部同士における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングが異なるように、前記複数の突起部の動作を制御するのがよい。
【0021】
一般にコイルスプリングの端部における巻き線ピッチは狭められており、この狭められたピッチに突起部が係合した場合、突起部がコイルスプリングに挟み込まれるおそれがある。突起部がコイルスプリングに挟み込まれた場合、コイルスプリングの相対回転が停止するため、コイルスプリングの軸方向移動が阻害される。コイルスプリングの軸方向移動が阻害された場合、コイルスプリングの巻き方向を判別することができない。
【0022】
これに対し、本発明によれば、スプリング載置部に載置されたコイルスプリングの軸方向に沿って複数設けられた突起部は、スプリング載置部への突出とスプリング載置部からの退避を繰り返す。したがって、スプリング載置部に突出してコイルスプリングに挟み込まれた突起部がスプリング載置部から退避することにより挟み込みが解除される。また、複数の突起部のうちの一部における突出・退避の切り換えタイミングと、その他における突出・退避の切り換えタイミングが異なっているので、退避状態に切り換えられて挟み込みが解除されたときに、挟み込みが解除された突起部とは異なる他の突起部が突出状態に切り換えられてコイルスプリングに係合する。このためコイルスプリングの軸方向移動が継続される。このように、本発明によれば、突起部の挟み込みの発生による不具合を防止することができる。
【0023】
突起部の突出状態と退避状態との切り換えタイミングを異ならせるためには、周期的に切り換えられる突出状態と退避状態の位相を異ならせるのがよい。特に、位相を180°ずらす(つまり、ある突起部が突出状態から退避状態に切り換えられたときに、他の突起部が退避状態から突出状態に切り換えられる)のがよい。また、突出状態と退避状態との切り換え周期を異ならせることにより、切り換えタイミングを異ならせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るコイルスプリングの巻き方向判別装置の斜視図である。
【図2】第1プレートの上面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】円弧状溝部内に投入されたコイルスプリングを、円弧状溝部の軸方向側から見た図である。
【図5】ペンシリンダユニットと選別ブロックとの組み付け体を示す部分断面概略図である。
【図6】第1状態である場合における、ペンシリンダユニットと選別ブロックとの組み付け体を示す部分断面概略図である。
【図7】第2状態である場合における、ペンシリンダユニットと選別ブロックとの組み付け体を示す部分断面概略図である。
【図8】第1プレートに与えられる振動の方向を示す図である。
【図9】第1プレートに斜め振動が与えられた場合に、円弧状溝部に載置されたコイルスプリングCが示す挙動を表す図である。
【図10】右巻きコイルスプリングが円弧状溝部内で一定方向に回転している場合に、引掛ピンとの係合によって右巻きコイルスプリングが移動する方向を示す図である。
【図11】左巻きコイルスプリングが円弧状溝部内で一定方向に回転している場合に、引掛ピンとの係合によって左巻きコイルスプリングが移動する方向を示す図である。
【図12】右巻きコイルスプリングが円弧状溝部内を回転しながら軸方向移動する状態を、この円弧状溝部に突出する引掛ピンの進退動作と合わせて示した図である。
【図13】カメラでコイルスプリングの巻き方向を判別する装置を示す図である。
【図14】右巻きコイルスプリングの撮像画像である
【図15】コイルスプリングの2値化画像である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るコイルスプリングの巻き方向判別装置の斜視図である。図1に示すように、この判別装置1は、振動付与部10と、ペンシリンダユニット20と、選別ブロック30とを備える。なお、この判別装置1について表わされる方向を、図1に示すように定義しておく。図において、上下方向は、重力が作用する方向に平行である。前後方向および幅方向は、上下方向に直交する方向であり、前後方向は幅方向に直交する方向である。
【0026】
振動付与部10は、加振器11と、加振器11の上部に配設された振動プレート12とを備えて構成される。加振器11は、例えば、電磁石と複数個の板バネとを含んで構成される。そして、電磁石のオン及びオフにより発生する駆動力を、板バネを利用して増幅して加振力を発生させる。なお、電磁石にかえて圧電素子を用いてもよい。発生された加振力により、加振器11の上部に配設された振動プレート12が振動させられる。なお、市販の直進フィーダ装置を改良することによって、このような加振器11を安価に構成することができる。
【0027】
ペンシリンダユニット20は振動プレート12の上部に載置される。ペンシリンダユニット20は直方体形状をなしたハウジング21と、ハウジング21内に配設されている5本のペンシリンダとを備える。
【0028】
ペンシリンダユニット20のハウジング21の上面に選別ブロック30が固定される。この選別ブロック30は、4枚の分割プレート(第1プレート31、第2プレート32、第3プレート33、第4プレート34)を上下に積層して固定することにより略直方体状に形成される。そして、最上部の第1プレート31の上方を向いた面にコイルスプリングが載置される。
【0029】
図2は、第1プレート31の上面図であり、図3は図2のA−A断面図である。図1乃至図3に示すように、第1プレート31の上面には、円弧状溝部31aと投入路31bとが形成されている。円弧状溝部31aは図2に示すように幅方向(図示上下方向)に沿って形成される。また、円弧状溝部31aの軸方向に垂直な断面形状は、図3に示すように略半円形状である。投入路31bは第1プレート31の上面の略中央に形成されている。この投入路31bは前後方向に傾斜した面により構成される。投入路31bの端部のうち低い側の端部が円弧状溝部31aの側方に連結される。
【0030】
コイルスプリングは第1プレート31の投入路31bに投入される。なお、投入路31bの幅K(図2参照)は、この投入路31bに投入されるコイルスプリングの長さ(自然長)よりもわずかに長い。そして、コイルスプリングの軸方向が投入路31bの幅方向に平行になるようにコイルスプリングが投入路31bに投入される。したがって、投入路31bに投入されたコイルスプリングは、図3に示すように投入路31bを転がり落ちて、円弧状溝部31aに載置される。
【0031】
また、図2からわかるように、円弧状溝部31aの軸方向(幅方向)に沿って5個の貫通孔351,352,353,354,355(これらの貫通孔を総称する場合は貫通孔35と呼ぶ)の開口部が、円弧状溝部31aに形成されている。隣接する開口部間の間隔はほぼ等しい。また、隣接する開口部間の距離は、円弧状溝部31aに載置されるコイルスプリングCの長さよりも短い。
【0032】
図4は、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCを、円弧状溝部31aの軸方向側から見た図である。図4に示すように、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCの外径rは、円弧状溝部31aの径Rよりもわずかに小さい。また、図2からわかるように、円弧状溝部31aの軸方向長さP(つまり第1プレート31の幅)は、コイルスプリングCの軸方向長さよりもわずかに長い投入路31bの幅Kよりも大きい。したがって、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCは、円弧状溝部31a内で径方向にわずかに移動でき、且つ軸方向にも移動可能である。
【0033】
また、円弧状溝部31aのうち、図4において斜線で示された部分Wが、本発明における傾斜面に相当する。この傾斜面Wは、水平方向(図4においては前後方向)に対して傾斜した面である。また、この傾斜面Wは、円弧状溝部31aの側壁を構成する。つまり、コイルスプリングCは、側壁が傾斜面Wで構成された円弧状溝部31aに載置される。
【0034】
図5は、ペンシリンダユニット20と選別ブロック30との組み付け体を、第1プレート31の円弧状溝部31aに開口した5個の貫通孔35を通り且つ図1の幅方向に沿った平面で切断した部分断面概略図である。
【0035】
図5に示すように、各プレート31,32,33,34に、それぞれ貫通孔351,352,353,354,355が形成されている。貫通孔35は、それぞれのプレートの上下面を貫通している。各プレート31,32,33,34に形成されている各貫通孔351,352,353,354,355は、各プレート31,32,33,34が上下に積層された状態で同軸的に配置される。このため、上下に隣接するプレートに形成されている貫通孔同士が連通する。その結果、図において上下に貫通する5本の直線状の通路が選別ブロック30内に形成される。
【0036】
また、ペンシリンダユニット20のハウジング21の上面に、5個の孔211,212,213,214,215が形成されている。各孔211,212,213,214,215は、選別ブロック30がペンシリンダユニット20に組みつけられたときに、第4プレート34の下面に開口する各貫通孔351,352,353,354,355にそれぞれ同軸的に配置する位置に形成されている。したがって、図からわかるように、各貫通孔351,352,353,354,355および各孔211,212,213,214,215とによって、ハウジング21の内部空間と第1プレート31の円弧状溝部31a内の空間とをつなぐ5本の直線状の通路が形成される。
【0037】
また、ペンシリンダユニット20のハウジング21内に、5本のペンシリンダ221,222,223,224,225(これらのペンシリンダを総称する場合にはペンシリンダ22と呼ぶ)が配設されている。ペンシリンダ22は、シリンダボディとシリンダロッドとを備え、エア圧によりシリンダロッドがシリンダボディに対して軸方向に伸縮するように構成されている。
【0038】
ペンシリンダ221のシリンダロッドが貫通孔351および孔211により形成される通路内で伸縮するように、ペンシリンダ222のシリンダロッドが貫通孔352および孔212により形成される通路内で伸縮するように、ペンシリンダ223のシリンダロッドが貫通孔353および孔213により形成される通路内で伸縮するように、ペンシリンダ224のシリンダロッドが貫通孔354および孔214により形成される通路内で伸縮するように、ペンシリンダ225のシリンダロッドが貫通孔355および孔215により形成される通路内で伸縮するように、それぞれのペンシリンダ22がハウジング21内に配置される。
【0039】
また、各ペンシリンダ22は、第1エア供給ポートaおよび第2エア供給ポートbを備える。これらのポートにはエア(空気)が供給される。第1エア供給ポートaにエアが供給された場合にシリンダロッドが伸び、第2エア供給ポートbにエアが供給された場合にシリンダロッドが縮む。
【0040】
また、ハウジング21には、第1共通ポート21aと、第2共通ポート21bと、第3共通ポート21cと、第4共通ポート21dが形成される。これらの共通ポートは、ソレノイドバルブユニット等により構成される切り換え装置50に外部で接続される。切り換え装置50にエア供給源が接続される。切り換え装置50は、エア供給源から供給されるエアを、各共通ポートに分配する。
【0041】
また、図5からわかるように、ペンシリンダ222および224の第2エア供給ポートbがハウジング21内にて第1共通ポート21aに接続され、ペンシリンダ221,223および225の第1エア供給ポートaがハウジング21内にて第2共通ポート21bに接続される。また、ペンシリンダ221,223および225の第2エア供給ポートbは、ハウジング21内にて第3共通ポート21cに接続され、ペンシリンダ222および224の第1エア供給ポートaが、ハウジング21内にて第4共通ポート21dに接続される。
【0042】
切り換え装置50は、第1共通ポート21aと第2共通ポート21bとに同時にエアが供給され、第3共通ポート21cと第4共通ポート21dとに同時にエアが供給されるように、エアの供給先を制御する。さらに、切り換え装置50は、第1共通ポート21aと第2共通ポート21bにエアが供給されているときに第3共通ポート21cと第4共通ポート21dにエアが供給されない第1状態と、第3共通ポート21cと第4共通ポート21dにエアが供給されているときに第1共通ポート21aと第2共通ポート21bにエアが供給されない第2状態が、交互に繰り返されるように、エアの供給先を切り換え制御する。
【0043】
したがって、図6に示す第1状態である場合には、第2共通ポート21bに供給されるエアによってペンシリンダ221,223および225のシリンダロッドが伸び、第1共通ポート21aに供給されるエアによってペンシリンダ222および224のシリンダロッドが縮む。一方、図7に示す第2状態である場合には、第4共通ポート21dに供給されるエアによってペンシリンダ222および224のシリンダロッドが伸び、第3共通ポート21cに供給されるエアによってペンシリンダ221,223および225のシリンダロッドが縮む。
【0044】
図5に示すように、各ペンシリンダ221,222,223,224,225のシリンダロッドの先端には、ニードル状の引掛ピン41,42,43,44,45(以下、引掛ピンを総称するときは、引掛ピン40と呼ぶ)がそれぞれ取り付けられている。引掛ピン40は、シリンダロッドが伸びたときに円弧状溝部31a内(円弧状溝部31aの上面空間)に突出し、シリンダロッドが縮んだときに円弧状溝部31a内(円弧状溝部31aの上面空間)から退避するように、その長さが調節されている。
【0045】
以上のように構成された判別装置1には、図示しない供給ホッパーからコイルスプリングが第1プレート31の投入路31bに投入される。投入されたコイルスプリングは投入路31bを転がって、円弧状溝部31aに載置される(載置工程)。このとき円弧状溝部31aの軸方向とコイルスプリングの軸方向が一致するように、円弧状溝部31aにコイルスプリングが載置される。円弧状溝部31aにコイルスプリングが載置されているときに、加振器11を作動させて、振動プレート12に振動を与える。すると、この振動がペンシリンダユニット20と選別ブロック30との組み付け体に伝達される。その結果、第1プレート31(円弧状溝部31a)が振動する。
【0046】
図8は、第1プレート31に与えられる振動の方向を示す図である。図8に示すように、第1プレート31が重力方向に対して傾斜した方向に往復振動するように、加振器11により振動が第1プレート31に与えられる。具体的には、重力が作用する方向が下方向と定義される上下方向に平行な振動成分と、上下方向および幅方向に直交する前後方向に平行な振動成分とを有する振動が、第1プレート31に与えられる。より具体的には、上下方向のうち上方向への第1プレート31の変位と前後方向のうち前方向(図8の左方向)への第1プレート31の変位を同時に引き起こすことにより発生する斜め上方振動と、上下方向のうち下方向への第1プレート31の変位と前後方向のうち後方向(図7の右方向)への第1プレート31の変位を同時に引き起こすことにより発生する斜め下方振動とを、交互に生じさせる。これにより、重力の作用方向に対して傾斜した一方向に指向した振動(斜め振動)が第1プレート31に与えられる。ちなみに、このような斜め振動は、直進フィーダにより部品を整列させる際に振動ボウルに与えられる振動である。振動ボウル内の部品は、振動ボウルが斜め振動することにより斜め上方に飛び跳ねながら一定の方向に進む。
【0047】
本実施形態においても、第1プレート31が斜め振動することにより、円弧状溝部31a内のコイルスプリングCは、斜め上方振動により表わされる上方成分および前方成分を有する方向に飛び跳ねながら図8に示す前方向に移動する。しかし、前方向にわずかに飛び跳ねたコイルスプリングは円弧状溝部31aの傾斜面Wのより高い位置に着地し、傾斜面Wを転がり落ちることにより再び元の位置に戻る。そして再度第1プレートの斜め振動により飛び跳ねて前方向に位置をずらす。このようなことの繰り返しによって、コイルスプリングは円弧状溝部31a内で回転する(回転工程、スプリング回転工程)。
【0048】
図9は、第1プレート31(円弧状溝部31a)に斜め振動が与えられた場合に、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCが示す挙動を表す図である。まず、図9(a)に示すように、投入路31bから転がり落ちて円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCが、円弧状溝部31a内の最下部に接する位置(初期位置)で静止する。このような初期位置で静止したコイルスプリングCは、第1プレート31が斜め振動することによって跳ね上げられる(図8(b))。この場合において、コイルスプリングCは、第1プレート31の斜め振動によって、その軸方向に垂直な方向であって、且つ上方向に対して前方に傾斜した方向、すなわち、傾斜面Wに向かう方向に跳ね上げられる。
【0049】
その後、重力の影響によってコイルスプリングCが円弧状溝部31a内に着地する(図8(c))。この場合において、コイルスプリングCは図8(b)に示す状態においてその軸方向に垂直な方向であって傾斜面Wに向かう方向に跳ね上げられているので、コイルスプリングCは傾斜面Wのより高い位置(初期位置にてコイルスプリングCが円弧状溝部31aに接している位置よりも高い位置)に着地する。したがって着地したコイルスプリングCは、すぐに傾斜面Wの傾斜方向に沿って回転して転がり落ちる(図8(d))。そして、再び初期位置に復帰する(図8(e))。初期位置に復帰した後に、コイルスプリングCは再度第1プレート31の斜め振動によって跳ね上げられる(図8(b))。このようなコイルスプリングCの挙動が微小時間ごとに繰り返されることにより、円弧状溝部31a内でのコイルスプリングCの一定の方向への軸周り回転が励起される。すなわち、コイルスプリングCが円弧状溝部31a内で傾斜面Wのより高い位置に跳ね上げられる跳ね上げ動作と、跳ね上げられたコイルスプリングCが傾斜面Wに着地した後にその傾斜面Wに沿って転がり落ちる回転動作とが繰り返され、この繰り返しによってコイルスプリングCが軸周りに回転するように、第1プレート31(円弧状溝31a)に加える振動の方向や振幅、周波数が加振器11により制御される。
【0050】
このような制御によって、コイルスプリングCが円弧状溝部31aでその軸周り方向に回転する。なお、転がり動作を連続的に行わせることによりコイルスプリングが回転するため、実際には転がりにより回転軸位置が移動するが、円弧状溝部31aの径をコイルスプリングの外径よりわずかに小さい値に設定することにより、実質的にコイルスプリングの一方向への自転を励起することができる。
【0051】
また、第1プレート31への加振により円弧状溝部31a内でコイルスプリングCがその軸周りに回転し続けているときに、切り換え装置50によって、ペンシリンダユニット20のハウジング21に形成されている第1共通ポート21aおよび第2共通ポート21bにエアを供給する第1状態と、第3共通ポート21cおよび第4共通ポート21dにエアを供給する第2状態とが交互に切り換えられる。第1状態であるときには、ペンシリンダ221,223および225のシリンダロッドが伸びるので、これらのシリンダロッドの先端に取り付けられた引掛ピン41,43および45が円弧状溝部31a内に突出する(突出工程)。また、第1状態であるときには、ペンシリンダ222および224のシリンダロッドが縮むので、これらのシリンダロッドの先端に取り付けられた引掛ピン42および44が円弧状溝部31a内から退避する(退避工程)。一方、第2状態であるときには、ペンシリンダ222および224のシリンダロッドが伸びるので、これらのシリンダロッドの先端に取り付けられた引掛ピン42および44が円弧状溝部31a内に突出する(突出工程)。また、第2状態であるときは、ペンシリンダ221,223および225のシリンダロッドが縮むので、これらのシリンダロッドの先端に取り付けられた引掛ピン41,43および45が円弧状溝部31a内から退避する(退避工程)。
【0052】
したがって、各引掛ピンは、円弧状溝部31aに突出する状態と、円弧状溝部31aから退避する状態が交互に繰り返されるように、その進退動作が切り換え装置50により制御される。また、円弧状溝部31a内に引掛ピン41,43および45が突出し且つ引掛ピン42および44が退避する状態(第1状態)と、円弧状溝部31a内に引掛ピン42および44が突出し且つ引掛ピン41,43および45が退避する状態(第2状態)とが、交互に繰り返される。つまり、引掛ピン41,43,45における突出状態と退避状態との切り換えタイミングと、引掛ピン42,44における突出状態と退避状態との切り換えタイミングが異なるように、各引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御される。
【0053】
なお、貫通孔351,352,353,354,355は、円弧状溝部31aの軸方向に沿ってこの順に一列に整列して開口しており、各開口部から引掛ピン40が突出可能に設けられている。したがって、第1状態と第2状態が繰り返されることにより、隣接する引掛ピンが交互に円弧状溝部31a内への突出および円弧状溝部31a内からの退避を繰り返す。つまり、隣接する引掛ピン同士における突出状態と退避状態との切り換えタイミングが異なるように(位相が180°ずれるように)、各引掛ピンの突出・退避状態が切り換え装置50により制御される。
【0054】
以上よりわかるように、本実施形態の判別装置1によれば、円弧状溝部31a内でのコイルスプリングCの一定方向への軸周り回転動作と、円弧状溝部31aの軸方向に沿って設けられている複数の引掛ピン40の突出・退避動作が同時に行われる。
【0055】
コイルスプリングCは螺旋状に形成されているので、回転しているコイルスプリングCをその側方から見た場合、コイルスプリングを構成する巻き線が順次軸方向に移動していく。これに対し、円弧状溝部31a内に突出する引掛ピンの突出位置は、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングの軸方向に対して変化しない。つまり、コイルスプリングの軸方向に対して常に同じ位置から引掛ピンが突出する。このため、コイルスプリングCは、円弧状溝部31aに突出した引掛ピンに対して軸周りの一方向に相対回転する。また、コイルスプリングCが円弧状溝部31a内で回転し続けていれば、円弧状溝部31a内に突出している引掛ピンは、コイルスプリングCの側周からコイルスプリングCを構成するいずれかの巻き線部分に係合する。
【0056】
コイルスプリングCが回転したままいずれかの引掛ピンに係合した場合、コイルスプリングCを構成する巻き線の軸方向移動がその引掛ピンに妨げられる。巻き線の移動が妨げられることによって、コイルスプリング全体がその巻き線の移動方向とは反対の軸方向に移動する。この場合において、コイルスプリングCの巻き方向が右巻きであるか左巻きであるかにより、コイルスプリングの進行方向が異なる。
【0057】
図10は、右巻きコイルスプリング(端面から見て時計周り方向に巻回されているコイルスプリング)CRが円弧状溝部31a内で一定方向に回転している場合に、引掛ピン40との係合によって右巻きコイルスプリングCRが移動する方向を示す図である。図9(a)は、右巻きコイルスプリングCRと引掛ピン40との係合状態を側方から見た図であり、図9(b)は、右巻きコイルスプリングCRと引掛ピン40との係合状態を上方から見た図である。
【0058】
右巻きのコイルスプリングCRが図10に示す矢印A方向(以下、この方向(図の右側から見て右周りに回転している方向)を、右方向という)に回転した場合、右巻きコイルスプリングCRの巻き線Mは、図において右方に進む。したがって、引掛ピン40は、図10(b)に示すように、巻き線Mの右側に係合する。この係合状態を維持したまま右巻きコイルスプリングCRが右方向に回転し続けた場合、巻き線Mの移動が引掛ピン40により妨げられることによって、右巻きコイルスプリングCR全体が回転しながら図の左方向に軸方向移動する。この現象は、右螺子が螺子孔に係合した状態で右方向に回されることにより、右螺子が締まる方向に軸方向移動する現象と同一である。
【0059】
図11は、左巻きコイルスプリング(端面から見て反時計周り方向に巻回されているコイルスプリング)CLが円弧状溝部31a内で一定方向に回転している場合に、引掛ピン40との係合によって左巻きコイルスプリングCLが移動する方向を示す図である。図11(a)は、左巻きコイルスプリングCLと引掛ピン40との係合状態を側方から見た図であり、図10(b)は、左巻きコイルスプリングCLと引掛ピン40との係合状態を上方から見た図である
【0060】
左巻きコイルスプリングCLが、図10に示す回転方向と同一の方向(右方向)に回転した場合、左巻きコイルスプリングCLの巻き線Mは、図11において左方に進む。したがって、引掛ピン40は、図11(b)に示すように、巻き線Mの左側に係合する。この係合状態を維持したまま左巻きコイルスプリングCLが右方向に回転し続けた場合、巻き線Mの移動が引掛ピン40により妨げられることによって、左巻きコイルスプリングCL全体が回転しながら図の右方向に軸方向移動する。この現象は、左螺子が螺子孔に係合した状態で右回転方向に回されることにより、左螺子が緩む方向に軸方向移動する現象と同一である。
【0061】
このように、第1プレート31の円弧状溝部31a内で一定の方向に回転しているコイルスプリングCが右巻きであるか左巻きであるかによって、引掛ピン40に係合したコイルスプリングCの移動方向が異なる。この移動方向の差異により、そのコイルスプリングCが右巻きであるか左巻きであるかを判別することができるのである。
【0062】
したがって、図1に示す判別装置1において、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングが軸方向のうちの一方の方向に移動した場合に、そのコイルスプリングの巻き方向が例えば右巻きであり、他方の方向に移動した場合に、そのコイルスプリングの巻き方向が例えば左巻きであると、判別できる。
【0063】
図12は、右巻きコイルスプリングCRが円弧状溝部31a内を回転しながら軸方向移動する状態を、この円弧状溝部31a内に突出する引掛ピンの進退動作と合わせて示した図である。まず図12(a)に示すように、円弧状溝部31a内で右巻きコイルスプリングCRが図の矢印方向に回転しているときに円弧状溝部31a内に引掛ピン40Bが突出し、この引掛ピン40Bが右巻きコイルスプリングに係合する(突出工程)。この係合状態が維持されたまま右巻きコイルスプリングCRが回転し続けることにより、右巻きコイルスプリングCRが図の左方向に移動する。
【0064】
次に図11(b)に示すように、突出していた引掛ピン40Bが退避することにより右巻きコイルスプリングCRとの係合が離脱される(退避工程)。その代わり、引掛ピン40Bに隣接する引掛ピン40Aおよび40Cが突出することにより、引掛ピン40Aおよび40Cに右巻きコイルスプリングCRが係合する。このとき、最も右側の引掛ピン40Cが、右巻きコイルスプリングCRの端部のピッチが狭い部分に挟み込まれることにより、右巻きコイルスプリングCRの回転が規制される。これにより右巻きコイルスプリングCRの軸方向移動も規制される。
【0065】
この場合において、本実施形態によれば、各引掛ピンが円弧状溝部31a内への突出および円弧状溝部31aからの退避を交互に繰り返すように、各引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御されている。したがって、引掛ピン40Cと右巻きコイルスプリングCRとの挟み込みが発生しても、その後に図11(c)に示すように引掛ピン40Cが円弧状溝部31aから退避することにより、右巻きコイルスプリングCRとの係合が離脱される。これに伴い挟み込みも解除される。挟み込みが解除された結果、右巻きコイルスプリングCRは回転を再開する。また、本実施形態によれば、隣接する引掛ピン同士の突出・退避の切り換えタイミングが異なるように各引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御されている。したがって、退避した引掛ピン40Cに隣接する引掛ピン40Bが円弧状溝部31aに突出することにより、右巻きコイルスプリングCRはこの引掛ピン40Bに係合する。右巻きコイルスプリングCRが引掛ピン40Bに係合しながら回転することにより、右巻きコイルスプリングCRの軸方向移動が再開される。
【0066】
以上のように、本実施形態の判別装置1は、螺旋状に形成されたコイルスプリングが載置される円弧状溝部31aが形成された第1プレート31と、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングの側周からコイルスプリングに係合するように、円弧状溝部31aに突出可能に構成される引掛ピン40と、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングを、コイルスプリングに係合している引掛ピンに対して、コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させるために第1プレート31に振動を与える加振器11と、を備える。したがって、コイルスプリングが引掛ピンに係合したまま円弧状溝部31a内で相対回転することにより、コイルスプリングが軸方向に移動する。この移動の方向が右巻きコイルスプリングか左巻きコイルスプリングかによって異なるので、この移動方向の違いに基づいて、コイルスプリングの巻き方向が判別される。このように、本実施形態の判別装置1によれば、安価な構成で、比較的高精度にコイルスプリングの巻き方向を判別することができる。
【0067】
また、第1プレート31の円弧状溝部31aの側壁のうちの少なくとも一方の側壁は、水平方向(重力の作用方向に垂直な平面に沿った方向)に対して傾斜した傾斜面Wにより構成されている。そして、加振器11は、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングを、コイルスプリングの軸方向に垂直な方向であって且つ上方向に対して傾斜面Wにより構成される一方の側壁に向かう方向(斜め上方)に跳ね上げることにより、コイルスプリングを傾斜面Wのより高い位置に跳ね上げる。さらに、加振器11は、コイルスプリングの跳ね上げ動作と、跳ね上げられたコイルスプリングが傾斜面Wを転がり落ちる回転動作とが繰り返されるように、第1プレート31(円弧状溝部31a)に与える振動を制御する。
【0068】
跳ね上げ動作と回転動作が繰り返されることにより、コイルスプリングは傾斜面Wを何度も転がり落ちる。転がり落ちる動作が繰り返されることにより、円弧状溝部31aに突出している引掛ピンに対するコイルスプリングの相対回転を生じさせることができる。
【0069】
また、こうしたコイルスプリングの相対回転を生じさせるために、第1プレート31に斜め振動を与える加振器11が用いられている。このような加振器として直進フィーダを利用することができる。直進フィーダは市販されているので、市販されているパーツフィーダを改良することによって、本発明の加振器11を安価に構成することができる。
【0070】
また、複数の引掛ピンが、円弧状溝部31a内に突出する突出状態と、円弧状溝部31a内から退避する退避状態とを繰り返すように、複数の引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御される。また、隣接する引掛ピン同士における突出状態と退避状態の繰り返しタイミングが異なるように、複数の引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御される。このため、突出状態であるときにコイルスプリングに挟み込まれた引掛ピンが退避状態に切り換えられることにより、上記挟み込みが解除される。また、退避状態に切り換えられて挟み込みが解除された引掛ピンとは異なる引掛ピンが突出状態に切り換えられてコイルスプリングに係合するので、コイルスプリングの軸方向移動を継続させることができる。
【0071】
また、隣接する引掛ピン間の距離(すなわち円弧状溝部31aに形成された隣接する貫通孔35の開口部間の距離)は、円弧状溝部31aに載置されるコイルスプリングの長さよりも短い。このため、コイルスプリングがいずれかの引掛ピンに係合して軸方向移動することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、断面半円状の円弧状溝部31a内にコイルスプリングを載置する例について説明したが、コイルスプリングが転がることにより回転運動が励起されるような傾斜面が設けられていれば、コイルスプリングが載置される部位の形状はどのような形状であってもよい。また、上記実施形態では、コイルスプリングを引掛ピンに対して回転させる例について説明したが、引掛ピンをコイルスプリングに対してコイルスプリングの軸周りに回転させてもよい。さらに、上記実施形態では、隣接する引掛ピン同士における突出状態と退避状態との切り換えタイミングが異なるように、各引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御される例について示した。しかし、複数の引掛ピンのうちの一部の引掛ピンにおける突出状態と退避状態との切り換えタイミングと他の引掛ピンにおける突出状態と退避状態との切り換えタイミングが異なるように構成されていればよい。すなわち2系統の切り換えタイミングで複数の引掛ピンが突出と退避を繰り返すように構成されていればよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…判別装置、10…振動付与部、11…加振器(回転発生部)、12…振動プレート、20…ペンシリンダユニット、221,222,223,224,225…ペンシリンダ、30…選別ブロック、31…第1プレート、31a…円弧状溝部(スプリング載置部)、31b…投入路、40,40A,40B,40C,…引掛ピン(突起部)、41,42,43,44,45…引掛ピン(突起部)、50…切り換え装置(突起制御部)、C…コイルスプリング、CL…右巻きコイルスプリング、CR…左巻きコイルスプリング、W…傾斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルスプリングなどの螺旋状に形成されたスプリングの巻き方向を判別するための巻き方向判別装置および巻き方向判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルスプリングは、端面から見た巻き方向が時計周り方向である右巻きコイルスプリングと、反時計周り方向である左巻きコイルスプリングに分類される。
【0003】
コイルスプリングを何らかの製品(例えば自動車のエンジン部品としてのバルブ開閉装置)に用いる場合、右巻きコイルスプリングであるか左巻きコイルスプリングであるかによって、その製品の特性が異なる。よって、ある製品に組み込むコイルスプリングの巻き方向は一定の方向でなければならない。
【0004】
しかし、例えば右巻きコイルスプリングをある製品に組み付ける過程で、供給されるコイルスプリングに左巻きコイルスプリングが混入する場合がある。したがって、コイルスプリングを製品に組み付ける前に、コイルスプリングの巻き方向を判別する必要がある。
【0005】
特許文献1は、不等ピッチスプリングの向きを判別するための装置を開示する。この判別装置によれば、CCDカメラにより撮像された不等ピッチスプリングの端部形状が粗巻部の正規端部形状および密巻部の正規端部形状と比較され、その比較結果に基づいて不等ピッチスプリングの向きが判別される。
【0006】
特許文献1に示されたCCDカメラによる向きの判別方法を応用することにより、カメラでコイルスプリングの巻き方向を判別することができる。図13は、カメラでコイルスプリングの巻き方向を判別する装置を示す図である。この図に示す装置によれば、載置台Dに載置されたコイルスプリングSの側周部が照明Lで照らされるとともにカメラCAで撮像される。そして、撮像された画像が2値化される。
【0007】
図14は、CCDカメラによる右巻きコイルスプリングの撮像画像、図15はコイルスプリングの2値化画像である。図15(a)は右巻きコイルスプリングの2値化画像、図15(b)は左巻きコイルスプリングの2値化画像である。図15(a)と図15(b)とを比較してわかるように、右巻きコイルスプリングの2値化画像と左巻きコイルスプリングの2値化画像は異なる。したがって、2値化処理されたコイルスプリングの画像から、そのコイルスプリングの巻き方向を判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−24481号公報
【発明の概要】
【0009】
(発明が解決しようとする課題)
カメラでコイルスプリングの巻き方向を判別する場合、コイルスプリングを撮像するカメラの位置のずれ、撮像時に余分な陰影を除去するための照明の位置のずれ、コイルスプリングの撮像環境の変化(外乱光の入り込み等)等により、2値化画像からコイルスプリングの巻き方向を判別することができないことが起こり得る。すなわち、カメラによるコイルスプリングの巻き方向の判別方法は、カメラでコイルスプリングを撮像する環境によっては判別精度が低下する。また、撮像環境を良好にするための作業工数を要する。さらに、カメラや撮像画像を解析するためのコントローラが必要であるので、判別装置の製造コストが増大する。このように、従来におけるコイルスプリングの巻き方向の判別には、種々の問題があった。
【0010】
本発明は、安価な構成で、比較的高精度に巻き方向を判別することができる、コイルスプリングの巻き方向判別装置、および、コイルスプリングの巻き方向判別方法を提供することを目的とする。
【0011】
(課題を解決するための手段)
本発明は、螺旋状に形成されたコイルスプリングが載置されるスプリング載置部と、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの側周から前記コイルスプリングに係合するように、前記スプリング載置部に突出可能に構成される突起部と、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングと前記コイルスプリングに係合している前記突起部のいずれか一方を、いずれか他方に対して、前記コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させる回転発生部と、を備える、スプリングの巻き方向判別装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、螺旋状に形成されたコイルスプリングをスプリング載置部に載置する載置工程と、前記スプリング載置部に突起部を突出させることにより、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの側周から前記コイルスプリングに前記突起部を係合させる突出工程と、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングと前記コイルスプリングに係合している前記突起部のいずれか一方を、いずれか他方に対して、前記コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させる回転工程と、を含み、前記コイルスプリングと前記突起部とを係合させた状態で前記コイルスプリングと前記突起部とのいずれか一方をいずれか他方に対して前記相対回転させることにより前記コイルスプリングが移動する方向に基づいて、スプリングの巻き方向を判別する、スプリングの巻き方向判別方法を提供する。
【0013】
本発明によれば、スプリング載置部に載置されたコイルスプリングに突起部がその側周から係合した状態で、コイルスプリングと突起部のいずれか一方がいずれか他方に対し、コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転する。コイルスプリングは螺旋状に形成されているため、コイルスプリングが突起部に係合したまま一方向に相対回転することにより、コイルスプリングは軸方向に移動する。
【0014】
相対回転方向が定められている場合、右巻きコイルスプリングか左巻きコイルスプリングかによって、コイルスプリングが移動する方向が異なる。例えば、右巻きコイルスプリングが上記相対回転により一方の軸方向に移動した場合、左巻きコイルスプリングは上記相対回転により他方の軸方向(一方の軸方向とは反対の方向)に移動する。この移動方向の違いに基づいて、コイルスプリングの巻き方向が判別される。したがって、本発明によれば、巻き方向を判別するためのカメラや照明等を要せず、且つ撮像画像から巻き方向を判別するためのコントローラ等も必要ない。故に、安価な構成で、比較的高精度にコイルスプリングの巻き方向を判別することができる。
【0015】
前記スプリング載置部は、水平方向に対して傾斜した傾斜面を有するのがよい。そして、前記回転発生部は、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に跳ね上げられる跳ね上げ動作と、跳ね上げられた前記コイルスプリングが前記傾斜面を転がり落ちる回転動作とが繰り返されるように前記コイルスプリングの動作を制御することにより、前記コイルスプリングを前記突起部に対して前記一方向に相対回転させるものであるのがよい。なお、水平方向とは、重力の作用方向が下方向と定義される上下方向と垂直な方向である。
【0016】
この場合、前記スプリング載置部は、前記傾斜面によって構成される側壁を有する溝部であり、前記コイルスプリングはその軸方向が前記溝部の軸方向と一致するように前記溝部に載置されているのがよい。そして、前記回転発生部は、前記溝部に載置された前記コイルスプリングをその軸方向に垂直な方向であり且つ前記側壁に向かう方向である斜め上方(つまり上方成分と側壁に向かう方向への水平成分(後述の実施形態では前方成分)とを有する方向)に跳ね上げて、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に着地するように、前記跳ね上げ動作を制御するのがよい。
【0017】
これによれば、コイルスプリングを傾斜面のより高い位置に跳ね上げる動作と、そうして跳ね上げられたコイルスプリングが傾斜面を転がり落ちる動作とが繰り返されることにより、コイルスプリングは傾斜面の同じ部分を何度も転がり落ちる。転がり落ちる動作が繰り返されることにより、突起部に対するコイルスプリングの一方向への相対回転が励起される。こうして回転するコイルスプリングに突起部が係合することによりコイルスプリングがいずれかの軸方向に移動する。移動する方向に基づいて、コイルスプリングの巻き方向が判別される。
【0018】
前記回転発生部は、前記溝部に載置されたコイルスプリングが前記斜め上方に跳ね上げられるように、前記スプリング載置部に振動を加える加振装置であるのがよい。これによれば、加振装置によってスプリング載置部が加振されることにより、溝部に載置されたコイルスプリングが斜め上方に跳ね上げられる。この跳ね上げが繰り返されることによって、コイルスプリングの一方向への相対回転が励起される。この場合、加振装置は、スプリング載置部を上方に対して傾斜した斜め方向に加振するのがよい。スプリング載置部を斜め方向に加振する装置として、例えば部品を整列させるために利用されるパーツフィーダ(直進フィーダ)の加振装置を用いることができる。直進フィーダは市販されているので、市販されている直進フィーダを改良することによって、本発明の加振装置をより安価に構成することができる。
【0019】
前記突起部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って複数設けられているのがよい。そして、本発明のスプリングの巻き方向判別装置は、前記複数の突起部が、前記スプリング載置部に突出する突出状態と、前記スプリング載置部から退避する退避状態とを繰り返すように、前記複数の突起部の動作を制御する突起制御部をさらに備えるものであるのがよい。
【0020】
この場合、前記突起制御部は、前記複数の突起部のうち一部の突起部における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングが、前記一部の突起部以外の突起部における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングと異なるように、前記複数の突起部の動作を制御するのがよい。より好ましくは、前記突起制御部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って隣接する前記突起部同士における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングが異なるように、前記複数の突起部の動作を制御するのがよい。
【0021】
一般にコイルスプリングの端部における巻き線ピッチは狭められており、この狭められたピッチに突起部が係合した場合、突起部がコイルスプリングに挟み込まれるおそれがある。突起部がコイルスプリングに挟み込まれた場合、コイルスプリングの相対回転が停止するため、コイルスプリングの軸方向移動が阻害される。コイルスプリングの軸方向移動が阻害された場合、コイルスプリングの巻き方向を判別することができない。
【0022】
これに対し、本発明によれば、スプリング載置部に載置されたコイルスプリングの軸方向に沿って複数設けられた突起部は、スプリング載置部への突出とスプリング載置部からの退避を繰り返す。したがって、スプリング載置部に突出してコイルスプリングに挟み込まれた突起部がスプリング載置部から退避することにより挟み込みが解除される。また、複数の突起部のうちの一部における突出・退避の切り換えタイミングと、その他における突出・退避の切り換えタイミングが異なっているので、退避状態に切り換えられて挟み込みが解除されたときに、挟み込みが解除された突起部とは異なる他の突起部が突出状態に切り換えられてコイルスプリングに係合する。このためコイルスプリングの軸方向移動が継続される。このように、本発明によれば、突起部の挟み込みの発生による不具合を防止することができる。
【0023】
突起部の突出状態と退避状態との切り換えタイミングを異ならせるためには、周期的に切り換えられる突出状態と退避状態の位相を異ならせるのがよい。特に、位相を180°ずらす(つまり、ある突起部が突出状態から退避状態に切り換えられたときに、他の突起部が退避状態から突出状態に切り換えられる)のがよい。また、突出状態と退避状態との切り換え周期を異ならせることにより、切り換えタイミングを異ならせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るコイルスプリングの巻き方向判別装置の斜視図である。
【図2】第1プレートの上面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】円弧状溝部内に投入されたコイルスプリングを、円弧状溝部の軸方向側から見た図である。
【図5】ペンシリンダユニットと選別ブロックとの組み付け体を示す部分断面概略図である。
【図6】第1状態である場合における、ペンシリンダユニットと選別ブロックとの組み付け体を示す部分断面概略図である。
【図7】第2状態である場合における、ペンシリンダユニットと選別ブロックとの組み付け体を示す部分断面概略図である。
【図8】第1プレートに与えられる振動の方向を示す図である。
【図9】第1プレートに斜め振動が与えられた場合に、円弧状溝部に載置されたコイルスプリングCが示す挙動を表す図である。
【図10】右巻きコイルスプリングが円弧状溝部内で一定方向に回転している場合に、引掛ピンとの係合によって右巻きコイルスプリングが移動する方向を示す図である。
【図11】左巻きコイルスプリングが円弧状溝部内で一定方向に回転している場合に、引掛ピンとの係合によって左巻きコイルスプリングが移動する方向を示す図である。
【図12】右巻きコイルスプリングが円弧状溝部内を回転しながら軸方向移動する状態を、この円弧状溝部に突出する引掛ピンの進退動作と合わせて示した図である。
【図13】カメラでコイルスプリングの巻き方向を判別する装置を示す図である。
【図14】右巻きコイルスプリングの撮像画像である
【図15】コイルスプリングの2値化画像である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るコイルスプリングの巻き方向判別装置の斜視図である。図1に示すように、この判別装置1は、振動付与部10と、ペンシリンダユニット20と、選別ブロック30とを備える。なお、この判別装置1について表わされる方向を、図1に示すように定義しておく。図において、上下方向は、重力が作用する方向に平行である。前後方向および幅方向は、上下方向に直交する方向であり、前後方向は幅方向に直交する方向である。
【0026】
振動付与部10は、加振器11と、加振器11の上部に配設された振動プレート12とを備えて構成される。加振器11は、例えば、電磁石と複数個の板バネとを含んで構成される。そして、電磁石のオン及びオフにより発生する駆動力を、板バネを利用して増幅して加振力を発生させる。なお、電磁石にかえて圧電素子を用いてもよい。発生された加振力により、加振器11の上部に配設された振動プレート12が振動させられる。なお、市販の直進フィーダ装置を改良することによって、このような加振器11を安価に構成することができる。
【0027】
ペンシリンダユニット20は振動プレート12の上部に載置される。ペンシリンダユニット20は直方体形状をなしたハウジング21と、ハウジング21内に配設されている5本のペンシリンダとを備える。
【0028】
ペンシリンダユニット20のハウジング21の上面に選別ブロック30が固定される。この選別ブロック30は、4枚の分割プレート(第1プレート31、第2プレート32、第3プレート33、第4プレート34)を上下に積層して固定することにより略直方体状に形成される。そして、最上部の第1プレート31の上方を向いた面にコイルスプリングが載置される。
【0029】
図2は、第1プレート31の上面図であり、図3は図2のA−A断面図である。図1乃至図3に示すように、第1プレート31の上面には、円弧状溝部31aと投入路31bとが形成されている。円弧状溝部31aは図2に示すように幅方向(図示上下方向)に沿って形成される。また、円弧状溝部31aの軸方向に垂直な断面形状は、図3に示すように略半円形状である。投入路31bは第1プレート31の上面の略中央に形成されている。この投入路31bは前後方向に傾斜した面により構成される。投入路31bの端部のうち低い側の端部が円弧状溝部31aの側方に連結される。
【0030】
コイルスプリングは第1プレート31の投入路31bに投入される。なお、投入路31bの幅K(図2参照)は、この投入路31bに投入されるコイルスプリングの長さ(自然長)よりもわずかに長い。そして、コイルスプリングの軸方向が投入路31bの幅方向に平行になるようにコイルスプリングが投入路31bに投入される。したがって、投入路31bに投入されたコイルスプリングは、図3に示すように投入路31bを転がり落ちて、円弧状溝部31aに載置される。
【0031】
また、図2からわかるように、円弧状溝部31aの軸方向(幅方向)に沿って5個の貫通孔351,352,353,354,355(これらの貫通孔を総称する場合は貫通孔35と呼ぶ)の開口部が、円弧状溝部31aに形成されている。隣接する開口部間の間隔はほぼ等しい。また、隣接する開口部間の距離は、円弧状溝部31aに載置されるコイルスプリングCの長さよりも短い。
【0032】
図4は、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCを、円弧状溝部31aの軸方向側から見た図である。図4に示すように、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCの外径rは、円弧状溝部31aの径Rよりもわずかに小さい。また、図2からわかるように、円弧状溝部31aの軸方向長さP(つまり第1プレート31の幅)は、コイルスプリングCの軸方向長さよりもわずかに長い投入路31bの幅Kよりも大きい。したがって、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCは、円弧状溝部31a内で径方向にわずかに移動でき、且つ軸方向にも移動可能である。
【0033】
また、円弧状溝部31aのうち、図4において斜線で示された部分Wが、本発明における傾斜面に相当する。この傾斜面Wは、水平方向(図4においては前後方向)に対して傾斜した面である。また、この傾斜面Wは、円弧状溝部31aの側壁を構成する。つまり、コイルスプリングCは、側壁が傾斜面Wで構成された円弧状溝部31aに載置される。
【0034】
図5は、ペンシリンダユニット20と選別ブロック30との組み付け体を、第1プレート31の円弧状溝部31aに開口した5個の貫通孔35を通り且つ図1の幅方向に沿った平面で切断した部分断面概略図である。
【0035】
図5に示すように、各プレート31,32,33,34に、それぞれ貫通孔351,352,353,354,355が形成されている。貫通孔35は、それぞれのプレートの上下面を貫通している。各プレート31,32,33,34に形成されている各貫通孔351,352,353,354,355は、各プレート31,32,33,34が上下に積層された状態で同軸的に配置される。このため、上下に隣接するプレートに形成されている貫通孔同士が連通する。その結果、図において上下に貫通する5本の直線状の通路が選別ブロック30内に形成される。
【0036】
また、ペンシリンダユニット20のハウジング21の上面に、5個の孔211,212,213,214,215が形成されている。各孔211,212,213,214,215は、選別ブロック30がペンシリンダユニット20に組みつけられたときに、第4プレート34の下面に開口する各貫通孔351,352,353,354,355にそれぞれ同軸的に配置する位置に形成されている。したがって、図からわかるように、各貫通孔351,352,353,354,355および各孔211,212,213,214,215とによって、ハウジング21の内部空間と第1プレート31の円弧状溝部31a内の空間とをつなぐ5本の直線状の通路が形成される。
【0037】
また、ペンシリンダユニット20のハウジング21内に、5本のペンシリンダ221,222,223,224,225(これらのペンシリンダを総称する場合にはペンシリンダ22と呼ぶ)が配設されている。ペンシリンダ22は、シリンダボディとシリンダロッドとを備え、エア圧によりシリンダロッドがシリンダボディに対して軸方向に伸縮するように構成されている。
【0038】
ペンシリンダ221のシリンダロッドが貫通孔351および孔211により形成される通路内で伸縮するように、ペンシリンダ222のシリンダロッドが貫通孔352および孔212により形成される通路内で伸縮するように、ペンシリンダ223のシリンダロッドが貫通孔353および孔213により形成される通路内で伸縮するように、ペンシリンダ224のシリンダロッドが貫通孔354および孔214により形成される通路内で伸縮するように、ペンシリンダ225のシリンダロッドが貫通孔355および孔215により形成される通路内で伸縮するように、それぞれのペンシリンダ22がハウジング21内に配置される。
【0039】
また、各ペンシリンダ22は、第1エア供給ポートaおよび第2エア供給ポートbを備える。これらのポートにはエア(空気)が供給される。第1エア供給ポートaにエアが供給された場合にシリンダロッドが伸び、第2エア供給ポートbにエアが供給された場合にシリンダロッドが縮む。
【0040】
また、ハウジング21には、第1共通ポート21aと、第2共通ポート21bと、第3共通ポート21cと、第4共通ポート21dが形成される。これらの共通ポートは、ソレノイドバルブユニット等により構成される切り換え装置50に外部で接続される。切り換え装置50にエア供給源が接続される。切り換え装置50は、エア供給源から供給されるエアを、各共通ポートに分配する。
【0041】
また、図5からわかるように、ペンシリンダ222および224の第2エア供給ポートbがハウジング21内にて第1共通ポート21aに接続され、ペンシリンダ221,223および225の第1エア供給ポートaがハウジング21内にて第2共通ポート21bに接続される。また、ペンシリンダ221,223および225の第2エア供給ポートbは、ハウジング21内にて第3共通ポート21cに接続され、ペンシリンダ222および224の第1エア供給ポートaが、ハウジング21内にて第4共通ポート21dに接続される。
【0042】
切り換え装置50は、第1共通ポート21aと第2共通ポート21bとに同時にエアが供給され、第3共通ポート21cと第4共通ポート21dとに同時にエアが供給されるように、エアの供給先を制御する。さらに、切り換え装置50は、第1共通ポート21aと第2共通ポート21bにエアが供給されているときに第3共通ポート21cと第4共通ポート21dにエアが供給されない第1状態と、第3共通ポート21cと第4共通ポート21dにエアが供給されているときに第1共通ポート21aと第2共通ポート21bにエアが供給されない第2状態が、交互に繰り返されるように、エアの供給先を切り換え制御する。
【0043】
したがって、図6に示す第1状態である場合には、第2共通ポート21bに供給されるエアによってペンシリンダ221,223および225のシリンダロッドが伸び、第1共通ポート21aに供給されるエアによってペンシリンダ222および224のシリンダロッドが縮む。一方、図7に示す第2状態である場合には、第4共通ポート21dに供給されるエアによってペンシリンダ222および224のシリンダロッドが伸び、第3共通ポート21cに供給されるエアによってペンシリンダ221,223および225のシリンダロッドが縮む。
【0044】
図5に示すように、各ペンシリンダ221,222,223,224,225のシリンダロッドの先端には、ニードル状の引掛ピン41,42,43,44,45(以下、引掛ピンを総称するときは、引掛ピン40と呼ぶ)がそれぞれ取り付けられている。引掛ピン40は、シリンダロッドが伸びたときに円弧状溝部31a内(円弧状溝部31aの上面空間)に突出し、シリンダロッドが縮んだときに円弧状溝部31a内(円弧状溝部31aの上面空間)から退避するように、その長さが調節されている。
【0045】
以上のように構成された判別装置1には、図示しない供給ホッパーからコイルスプリングが第1プレート31の投入路31bに投入される。投入されたコイルスプリングは投入路31bを転がって、円弧状溝部31aに載置される(載置工程)。このとき円弧状溝部31aの軸方向とコイルスプリングの軸方向が一致するように、円弧状溝部31aにコイルスプリングが載置される。円弧状溝部31aにコイルスプリングが載置されているときに、加振器11を作動させて、振動プレート12に振動を与える。すると、この振動がペンシリンダユニット20と選別ブロック30との組み付け体に伝達される。その結果、第1プレート31(円弧状溝部31a)が振動する。
【0046】
図8は、第1プレート31に与えられる振動の方向を示す図である。図8に示すように、第1プレート31が重力方向に対して傾斜した方向に往復振動するように、加振器11により振動が第1プレート31に与えられる。具体的には、重力が作用する方向が下方向と定義される上下方向に平行な振動成分と、上下方向および幅方向に直交する前後方向に平行な振動成分とを有する振動が、第1プレート31に与えられる。より具体的には、上下方向のうち上方向への第1プレート31の変位と前後方向のうち前方向(図8の左方向)への第1プレート31の変位を同時に引き起こすことにより発生する斜め上方振動と、上下方向のうち下方向への第1プレート31の変位と前後方向のうち後方向(図7の右方向)への第1プレート31の変位を同時に引き起こすことにより発生する斜め下方振動とを、交互に生じさせる。これにより、重力の作用方向に対して傾斜した一方向に指向した振動(斜め振動)が第1プレート31に与えられる。ちなみに、このような斜め振動は、直進フィーダにより部品を整列させる際に振動ボウルに与えられる振動である。振動ボウル内の部品は、振動ボウルが斜め振動することにより斜め上方に飛び跳ねながら一定の方向に進む。
【0047】
本実施形態においても、第1プレート31が斜め振動することにより、円弧状溝部31a内のコイルスプリングCは、斜め上方振動により表わされる上方成分および前方成分を有する方向に飛び跳ねながら図8に示す前方向に移動する。しかし、前方向にわずかに飛び跳ねたコイルスプリングは円弧状溝部31aの傾斜面Wのより高い位置に着地し、傾斜面Wを転がり落ちることにより再び元の位置に戻る。そして再度第1プレートの斜め振動により飛び跳ねて前方向に位置をずらす。このようなことの繰り返しによって、コイルスプリングは円弧状溝部31a内で回転する(回転工程、スプリング回転工程)。
【0048】
図9は、第1プレート31(円弧状溝部31a)に斜め振動が与えられた場合に、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCが示す挙動を表す図である。まず、図9(a)に示すように、投入路31bから転がり落ちて円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングCが、円弧状溝部31a内の最下部に接する位置(初期位置)で静止する。このような初期位置で静止したコイルスプリングCは、第1プレート31が斜め振動することによって跳ね上げられる(図8(b))。この場合において、コイルスプリングCは、第1プレート31の斜め振動によって、その軸方向に垂直な方向であって、且つ上方向に対して前方に傾斜した方向、すなわち、傾斜面Wに向かう方向に跳ね上げられる。
【0049】
その後、重力の影響によってコイルスプリングCが円弧状溝部31a内に着地する(図8(c))。この場合において、コイルスプリングCは図8(b)に示す状態においてその軸方向に垂直な方向であって傾斜面Wに向かう方向に跳ね上げられているので、コイルスプリングCは傾斜面Wのより高い位置(初期位置にてコイルスプリングCが円弧状溝部31aに接している位置よりも高い位置)に着地する。したがって着地したコイルスプリングCは、すぐに傾斜面Wの傾斜方向に沿って回転して転がり落ちる(図8(d))。そして、再び初期位置に復帰する(図8(e))。初期位置に復帰した後に、コイルスプリングCは再度第1プレート31の斜め振動によって跳ね上げられる(図8(b))。このようなコイルスプリングCの挙動が微小時間ごとに繰り返されることにより、円弧状溝部31a内でのコイルスプリングCの一定の方向への軸周り回転が励起される。すなわち、コイルスプリングCが円弧状溝部31a内で傾斜面Wのより高い位置に跳ね上げられる跳ね上げ動作と、跳ね上げられたコイルスプリングCが傾斜面Wに着地した後にその傾斜面Wに沿って転がり落ちる回転動作とが繰り返され、この繰り返しによってコイルスプリングCが軸周りに回転するように、第1プレート31(円弧状溝31a)に加える振動の方向や振幅、周波数が加振器11により制御される。
【0050】
このような制御によって、コイルスプリングCが円弧状溝部31aでその軸周り方向に回転する。なお、転がり動作を連続的に行わせることによりコイルスプリングが回転するため、実際には転がりにより回転軸位置が移動するが、円弧状溝部31aの径をコイルスプリングの外径よりわずかに小さい値に設定することにより、実質的にコイルスプリングの一方向への自転を励起することができる。
【0051】
また、第1プレート31への加振により円弧状溝部31a内でコイルスプリングCがその軸周りに回転し続けているときに、切り換え装置50によって、ペンシリンダユニット20のハウジング21に形成されている第1共通ポート21aおよび第2共通ポート21bにエアを供給する第1状態と、第3共通ポート21cおよび第4共通ポート21dにエアを供給する第2状態とが交互に切り換えられる。第1状態であるときには、ペンシリンダ221,223および225のシリンダロッドが伸びるので、これらのシリンダロッドの先端に取り付けられた引掛ピン41,43および45が円弧状溝部31a内に突出する(突出工程)。また、第1状態であるときには、ペンシリンダ222および224のシリンダロッドが縮むので、これらのシリンダロッドの先端に取り付けられた引掛ピン42および44が円弧状溝部31a内から退避する(退避工程)。一方、第2状態であるときには、ペンシリンダ222および224のシリンダロッドが伸びるので、これらのシリンダロッドの先端に取り付けられた引掛ピン42および44が円弧状溝部31a内に突出する(突出工程)。また、第2状態であるときは、ペンシリンダ221,223および225のシリンダロッドが縮むので、これらのシリンダロッドの先端に取り付けられた引掛ピン41,43および45が円弧状溝部31a内から退避する(退避工程)。
【0052】
したがって、各引掛ピンは、円弧状溝部31aに突出する状態と、円弧状溝部31aから退避する状態が交互に繰り返されるように、その進退動作が切り換え装置50により制御される。また、円弧状溝部31a内に引掛ピン41,43および45が突出し且つ引掛ピン42および44が退避する状態(第1状態)と、円弧状溝部31a内に引掛ピン42および44が突出し且つ引掛ピン41,43および45が退避する状態(第2状態)とが、交互に繰り返される。つまり、引掛ピン41,43,45における突出状態と退避状態との切り換えタイミングと、引掛ピン42,44における突出状態と退避状態との切り換えタイミングが異なるように、各引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御される。
【0053】
なお、貫通孔351,352,353,354,355は、円弧状溝部31aの軸方向に沿ってこの順に一列に整列して開口しており、各開口部から引掛ピン40が突出可能に設けられている。したがって、第1状態と第2状態が繰り返されることにより、隣接する引掛ピンが交互に円弧状溝部31a内への突出および円弧状溝部31a内からの退避を繰り返す。つまり、隣接する引掛ピン同士における突出状態と退避状態との切り換えタイミングが異なるように(位相が180°ずれるように)、各引掛ピンの突出・退避状態が切り換え装置50により制御される。
【0054】
以上よりわかるように、本実施形態の判別装置1によれば、円弧状溝部31a内でのコイルスプリングCの一定方向への軸周り回転動作と、円弧状溝部31aの軸方向に沿って設けられている複数の引掛ピン40の突出・退避動作が同時に行われる。
【0055】
コイルスプリングCは螺旋状に形成されているので、回転しているコイルスプリングCをその側方から見た場合、コイルスプリングを構成する巻き線が順次軸方向に移動していく。これに対し、円弧状溝部31a内に突出する引掛ピンの突出位置は、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングの軸方向に対して変化しない。つまり、コイルスプリングの軸方向に対して常に同じ位置から引掛ピンが突出する。このため、コイルスプリングCは、円弧状溝部31aに突出した引掛ピンに対して軸周りの一方向に相対回転する。また、コイルスプリングCが円弧状溝部31a内で回転し続けていれば、円弧状溝部31a内に突出している引掛ピンは、コイルスプリングCの側周からコイルスプリングCを構成するいずれかの巻き線部分に係合する。
【0056】
コイルスプリングCが回転したままいずれかの引掛ピンに係合した場合、コイルスプリングCを構成する巻き線の軸方向移動がその引掛ピンに妨げられる。巻き線の移動が妨げられることによって、コイルスプリング全体がその巻き線の移動方向とは反対の軸方向に移動する。この場合において、コイルスプリングCの巻き方向が右巻きであるか左巻きであるかにより、コイルスプリングの進行方向が異なる。
【0057】
図10は、右巻きコイルスプリング(端面から見て時計周り方向に巻回されているコイルスプリング)CRが円弧状溝部31a内で一定方向に回転している場合に、引掛ピン40との係合によって右巻きコイルスプリングCRが移動する方向を示す図である。図9(a)は、右巻きコイルスプリングCRと引掛ピン40との係合状態を側方から見た図であり、図9(b)は、右巻きコイルスプリングCRと引掛ピン40との係合状態を上方から見た図である。
【0058】
右巻きのコイルスプリングCRが図10に示す矢印A方向(以下、この方向(図の右側から見て右周りに回転している方向)を、右方向という)に回転した場合、右巻きコイルスプリングCRの巻き線Mは、図において右方に進む。したがって、引掛ピン40は、図10(b)に示すように、巻き線Mの右側に係合する。この係合状態を維持したまま右巻きコイルスプリングCRが右方向に回転し続けた場合、巻き線Mの移動が引掛ピン40により妨げられることによって、右巻きコイルスプリングCR全体が回転しながら図の左方向に軸方向移動する。この現象は、右螺子が螺子孔に係合した状態で右方向に回されることにより、右螺子が締まる方向に軸方向移動する現象と同一である。
【0059】
図11は、左巻きコイルスプリング(端面から見て反時計周り方向に巻回されているコイルスプリング)CLが円弧状溝部31a内で一定方向に回転している場合に、引掛ピン40との係合によって左巻きコイルスプリングCLが移動する方向を示す図である。図11(a)は、左巻きコイルスプリングCLと引掛ピン40との係合状態を側方から見た図であり、図10(b)は、左巻きコイルスプリングCLと引掛ピン40との係合状態を上方から見た図である
【0060】
左巻きコイルスプリングCLが、図10に示す回転方向と同一の方向(右方向)に回転した場合、左巻きコイルスプリングCLの巻き線Mは、図11において左方に進む。したがって、引掛ピン40は、図11(b)に示すように、巻き線Mの左側に係合する。この係合状態を維持したまま左巻きコイルスプリングCLが右方向に回転し続けた場合、巻き線Mの移動が引掛ピン40により妨げられることによって、左巻きコイルスプリングCL全体が回転しながら図の右方向に軸方向移動する。この現象は、左螺子が螺子孔に係合した状態で右回転方向に回されることにより、左螺子が緩む方向に軸方向移動する現象と同一である。
【0061】
このように、第1プレート31の円弧状溝部31a内で一定の方向に回転しているコイルスプリングCが右巻きであるか左巻きであるかによって、引掛ピン40に係合したコイルスプリングCの移動方向が異なる。この移動方向の差異により、そのコイルスプリングCが右巻きであるか左巻きであるかを判別することができるのである。
【0062】
したがって、図1に示す判別装置1において、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングが軸方向のうちの一方の方向に移動した場合に、そのコイルスプリングの巻き方向が例えば右巻きであり、他方の方向に移動した場合に、そのコイルスプリングの巻き方向が例えば左巻きであると、判別できる。
【0063】
図12は、右巻きコイルスプリングCRが円弧状溝部31a内を回転しながら軸方向移動する状態を、この円弧状溝部31a内に突出する引掛ピンの進退動作と合わせて示した図である。まず図12(a)に示すように、円弧状溝部31a内で右巻きコイルスプリングCRが図の矢印方向に回転しているときに円弧状溝部31a内に引掛ピン40Bが突出し、この引掛ピン40Bが右巻きコイルスプリングに係合する(突出工程)。この係合状態が維持されたまま右巻きコイルスプリングCRが回転し続けることにより、右巻きコイルスプリングCRが図の左方向に移動する。
【0064】
次に図11(b)に示すように、突出していた引掛ピン40Bが退避することにより右巻きコイルスプリングCRとの係合が離脱される(退避工程)。その代わり、引掛ピン40Bに隣接する引掛ピン40Aおよび40Cが突出することにより、引掛ピン40Aおよび40Cに右巻きコイルスプリングCRが係合する。このとき、最も右側の引掛ピン40Cが、右巻きコイルスプリングCRの端部のピッチが狭い部分に挟み込まれることにより、右巻きコイルスプリングCRの回転が規制される。これにより右巻きコイルスプリングCRの軸方向移動も規制される。
【0065】
この場合において、本実施形態によれば、各引掛ピンが円弧状溝部31a内への突出および円弧状溝部31aからの退避を交互に繰り返すように、各引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御されている。したがって、引掛ピン40Cと右巻きコイルスプリングCRとの挟み込みが発生しても、その後に図11(c)に示すように引掛ピン40Cが円弧状溝部31aから退避することにより、右巻きコイルスプリングCRとの係合が離脱される。これに伴い挟み込みも解除される。挟み込みが解除された結果、右巻きコイルスプリングCRは回転を再開する。また、本実施形態によれば、隣接する引掛ピン同士の突出・退避の切り換えタイミングが異なるように各引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御されている。したがって、退避した引掛ピン40Cに隣接する引掛ピン40Bが円弧状溝部31aに突出することにより、右巻きコイルスプリングCRはこの引掛ピン40Bに係合する。右巻きコイルスプリングCRが引掛ピン40Bに係合しながら回転することにより、右巻きコイルスプリングCRの軸方向移動が再開される。
【0066】
以上のように、本実施形態の判別装置1は、螺旋状に形成されたコイルスプリングが載置される円弧状溝部31aが形成された第1プレート31と、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングの側周からコイルスプリングに係合するように、円弧状溝部31aに突出可能に構成される引掛ピン40と、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングを、コイルスプリングに係合している引掛ピンに対して、コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させるために第1プレート31に振動を与える加振器11と、を備える。したがって、コイルスプリングが引掛ピンに係合したまま円弧状溝部31a内で相対回転することにより、コイルスプリングが軸方向に移動する。この移動の方向が右巻きコイルスプリングか左巻きコイルスプリングかによって異なるので、この移動方向の違いに基づいて、コイルスプリングの巻き方向が判別される。このように、本実施形態の判別装置1によれば、安価な構成で、比較的高精度にコイルスプリングの巻き方向を判別することができる。
【0067】
また、第1プレート31の円弧状溝部31aの側壁のうちの少なくとも一方の側壁は、水平方向(重力の作用方向に垂直な平面に沿った方向)に対して傾斜した傾斜面Wにより構成されている。そして、加振器11は、円弧状溝部31aに載置されたコイルスプリングを、コイルスプリングの軸方向に垂直な方向であって且つ上方向に対して傾斜面Wにより構成される一方の側壁に向かう方向(斜め上方)に跳ね上げることにより、コイルスプリングを傾斜面Wのより高い位置に跳ね上げる。さらに、加振器11は、コイルスプリングの跳ね上げ動作と、跳ね上げられたコイルスプリングが傾斜面Wを転がり落ちる回転動作とが繰り返されるように、第1プレート31(円弧状溝部31a)に与える振動を制御する。
【0068】
跳ね上げ動作と回転動作が繰り返されることにより、コイルスプリングは傾斜面Wを何度も転がり落ちる。転がり落ちる動作が繰り返されることにより、円弧状溝部31aに突出している引掛ピンに対するコイルスプリングの相対回転を生じさせることができる。
【0069】
また、こうしたコイルスプリングの相対回転を生じさせるために、第1プレート31に斜め振動を与える加振器11が用いられている。このような加振器として直進フィーダを利用することができる。直進フィーダは市販されているので、市販されているパーツフィーダを改良することによって、本発明の加振器11を安価に構成することができる。
【0070】
また、複数の引掛ピンが、円弧状溝部31a内に突出する突出状態と、円弧状溝部31a内から退避する退避状態とを繰り返すように、複数の引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御される。また、隣接する引掛ピン同士における突出状態と退避状態の繰り返しタイミングが異なるように、複数の引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御される。このため、突出状態であるときにコイルスプリングに挟み込まれた引掛ピンが退避状態に切り換えられることにより、上記挟み込みが解除される。また、退避状態に切り換えられて挟み込みが解除された引掛ピンとは異なる引掛ピンが突出状態に切り換えられてコイルスプリングに係合するので、コイルスプリングの軸方向移動を継続させることができる。
【0071】
また、隣接する引掛ピン間の距離(すなわち円弧状溝部31aに形成された隣接する貫通孔35の開口部間の距離)は、円弧状溝部31aに載置されるコイルスプリングの長さよりも短い。このため、コイルスプリングがいずれかの引掛ピンに係合して軸方向移動することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、断面半円状の円弧状溝部31a内にコイルスプリングを載置する例について説明したが、コイルスプリングが転がることにより回転運動が励起されるような傾斜面が設けられていれば、コイルスプリングが載置される部位の形状はどのような形状であってもよい。また、上記実施形態では、コイルスプリングを引掛ピンに対して回転させる例について説明したが、引掛ピンをコイルスプリングに対してコイルスプリングの軸周りに回転させてもよい。さらに、上記実施形態では、隣接する引掛ピン同士における突出状態と退避状態との切り換えタイミングが異なるように、各引掛ピンの進退動作が切り換え装置50により制御される例について示した。しかし、複数の引掛ピンのうちの一部の引掛ピンにおける突出状態と退避状態との切り換えタイミングと他の引掛ピンにおける突出状態と退避状態との切り換えタイミングが異なるように構成されていればよい。すなわち2系統の切り換えタイミングで複数の引掛ピンが突出と退避を繰り返すように構成されていればよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…判別装置、10…振動付与部、11…加振器(回転発生部)、12…振動プレート、20…ペンシリンダユニット、221,222,223,224,225…ペンシリンダ、30…選別ブロック、31…第1プレート、31a…円弧状溝部(スプリング載置部)、31b…投入路、40,40A,40B,40C,…引掛ピン(突起部)、41,42,43,44,45…引掛ピン(突起部)、50…切り換え装置(突起制御部)、C…コイルスプリング、CL…右巻きコイルスプリング、CR…左巻きコイルスプリング、W…傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に形成されたコイルスプリングが載置されるスプリング載置部と、
前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの側周から前記コイルスプリングに係合するように、前記スプリング載置部に突出可能に構成される突起部と、
前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングと前記コイルスプリングに係合している前記突起部のいずれか一方を、いずれか他方に対して、前記コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させる回転発生部と、
を備える、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記スプリング載置部は、水平方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記回転発生部は、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に跳ね上げられる跳ね上げ動作と、跳ね上げられた前記コイルスプリングが前記傾斜面を転がり落ちる回転動作とが繰り返されるように前記コイルスプリングの動作を制御することにより、前記コイルスプリングを前記突起部に対して前記一方向に相対回転させる、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記スプリング載置部は、前記傾斜面によって構成される側壁を有する溝部であり、
前記コイルスプリングはその軸方向が前記溝部の軸方向と一致するように前記溝部に載置され、
前記回転発生部は、前記溝部に載置された前記コイルスプリングをその軸方向に垂直な方向であり且つ前記側壁に向かう方向である斜め上方に跳ね上げて、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に着地するように、前記跳ね上げ動作を制御する、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項4】
請求項3に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記回転発生部は、前記溝部に載置されたコイルスプリングが前記斜め上方に跳ね上げられるように、前記スプリング載置部に振動を加える加振装置である、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記突起部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って複数設けられており、
前記複数の突起部が、前記スプリング載置部に突出する突出状態と、前記スプリング載置部から退避する退避状態とを繰り返すように、前記複数の突起部の動作を制御する突起制御部をさらに備える、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項6】
請求項5に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記突起制御部は、前記複数の突起部のうち一部の突起部における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングが、前記一部の突起部以外の突起部における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングと異なるように、前記複数の突起部の動作を制御する、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項7】
請求項6に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記突起制御部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って隣接する前記突起部同士における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングが異なるように、前記複数の突起部の動作を制御する、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項8】
螺旋状に形成されたコイルスプリングをスプリング載置部に載置する載置工程と、
前記スプリング載置部に突起部を突出させることにより、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの側周から前記コイルスプリングに前記突起部を係合させる突出工程と、
前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングと前記コイルスプリングに係合している前記突起部のいずれか一方を、いずれか他方に対して、前記コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させる回転工程と、
を含み、
前記コイルスプリングと前記突起部とを係合させた状態で前記コイルスプリングと前記突起部とのいずれか一方をいずれか他方に対して前記相対回転させることにより前記コイルスプリングが移動する方向に基づいて、スプリングの巻き方向を判別する、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項9】
請求項8に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記スプリング載置部は、水平方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記回転工程は、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に跳ね上げられる跳ね上げ動作と、跳ね上げられた前記コイルスプリングが前記傾斜面を転がり落ちる回転動作とを、前記コイルスプリングが繰り返すように、前記コイルスプリングを前記突起部に対して前記一方向に相対回転させるスプリング回転工程である、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項10】
請求項9に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記スプリング載置部は、前記傾斜面によって構成される側壁を有する溝部であり、
前記載置工程では前記溝部の軸方向と前記コイルスプリングの軸方向が一致するように前記溝部に前記コイルスプリングが載置され、
前記スプリング回転工程では、前記溝部に載置された前記コイルスプリングをその軸方向に垂直な方向であり且つ前記側壁に向かう方向である斜め上方に跳ね上げて、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に着地するように前記跳ね上げ動作を制御することにより、前記コイルスプリングを前記突起部に対して前記一方向に相対回転させる、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項11】
請求項10に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記スプリング回転工程では、前記スプリング載置部に振動を加えることにより、前記溝部に載置されたコイルスプリングを前記斜め上方に跳ね上げる、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか1項に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記突出工程にて前記コイルスプリングに係合した前記突起部を、前記スプリング載置部から退避させることにより、前記コイルスプリングとの係合を離脱させる退避工程をさらに備え、
前記突出工程と前記退避工程とが繰り返されている、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項13】
請求項12に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記突起部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って複数設けられており、
前記複数の突起部のうち一部の突起部における前記突出工程と前記退避工程との切り換えタイミングが、前記一部の突起部以外の突起部における前記突出工程と前記退避工程との切り換えタイミングと異なっている、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項14】
請求項13に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って隣接する前記突起部同士における前記突出工程と前記退避工程との切り換えタイミングが異なっている、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項1】
螺旋状に形成されたコイルスプリングが載置されるスプリング載置部と、
前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの側周から前記コイルスプリングに係合するように、前記スプリング載置部に突出可能に構成される突起部と、
前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングと前記コイルスプリングに係合している前記突起部のいずれか一方を、いずれか他方に対して、前記コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させる回転発生部と、
を備える、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記スプリング載置部は、水平方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記回転発生部は、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に跳ね上げられる跳ね上げ動作と、跳ね上げられた前記コイルスプリングが前記傾斜面を転がり落ちる回転動作とが繰り返されるように前記コイルスプリングの動作を制御することにより、前記コイルスプリングを前記突起部に対して前記一方向に相対回転させる、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記スプリング載置部は、前記傾斜面によって構成される側壁を有する溝部であり、
前記コイルスプリングはその軸方向が前記溝部の軸方向と一致するように前記溝部に載置され、
前記回転発生部は、前記溝部に載置された前記コイルスプリングをその軸方向に垂直な方向であり且つ前記側壁に向かう方向である斜め上方に跳ね上げて、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に着地するように、前記跳ね上げ動作を制御する、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項4】
請求項3に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記回転発生部は、前記溝部に載置されたコイルスプリングが前記斜め上方に跳ね上げられるように、前記スプリング載置部に振動を加える加振装置である、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記突起部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って複数設けられており、
前記複数の突起部が、前記スプリング載置部に突出する突出状態と、前記スプリング載置部から退避する退避状態とを繰り返すように、前記複数の突起部の動作を制御する突起制御部をさらに備える、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項6】
請求項5に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記突起制御部は、前記複数の突起部のうち一部の突起部における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングが、前記一部の突起部以外の突起部における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングと異なるように、前記複数の突起部の動作を制御する、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項7】
請求項6に記載のスプリングの巻き方向判別装置において、
前記突起制御部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って隣接する前記突起部同士における前記突出状態と前記退避状態との切り換えタイミングが異なるように、前記複数の突起部の動作を制御する、スプリングの巻き方向判別装置。
【請求項8】
螺旋状に形成されたコイルスプリングをスプリング載置部に載置する載置工程と、
前記スプリング載置部に突起部を突出させることにより、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの側周から前記コイルスプリングに前記突起部を係合させる突出工程と、
前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングと前記コイルスプリングに係合している前記突起部のいずれか一方を、いずれか他方に対して、前記コイルスプリングの軸周り方向のうちの一方向に相対回転させる回転工程と、
を含み、
前記コイルスプリングと前記突起部とを係合させた状態で前記コイルスプリングと前記突起部とのいずれか一方をいずれか他方に対して前記相対回転させることにより前記コイルスプリングが移動する方向に基づいて、スプリングの巻き方向を判別する、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項9】
請求項8に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記スプリング載置部は、水平方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記回転工程は、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に跳ね上げられる跳ね上げ動作と、跳ね上げられた前記コイルスプリングが前記傾斜面を転がり落ちる回転動作とを、前記コイルスプリングが繰り返すように、前記コイルスプリングを前記突起部に対して前記一方向に相対回転させるスプリング回転工程である、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項10】
請求項9に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記スプリング載置部は、前記傾斜面によって構成される側壁を有する溝部であり、
前記載置工程では前記溝部の軸方向と前記コイルスプリングの軸方向が一致するように前記溝部に前記コイルスプリングが載置され、
前記スプリング回転工程では、前記溝部に載置された前記コイルスプリングをその軸方向に垂直な方向であり且つ前記側壁に向かう方向である斜め上方に跳ね上げて、前記コイルスプリングが前記傾斜面のより高い位置に着地するように前記跳ね上げ動作を制御することにより、前記コイルスプリングを前記突起部に対して前記一方向に相対回転させる、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項11】
請求項10に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記スプリング回転工程では、前記スプリング載置部に振動を加えることにより、前記溝部に載置されたコイルスプリングを前記斜め上方に跳ね上げる、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか1項に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記突出工程にて前記コイルスプリングに係合した前記突起部を、前記スプリング載置部から退避させることにより、前記コイルスプリングとの係合を離脱させる退避工程をさらに備え、
前記突出工程と前記退避工程とが繰り返されている、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項13】
請求項12に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記突起部は、前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って複数設けられており、
前記複数の突起部のうち一部の突起部における前記突出工程と前記退避工程との切り換えタイミングが、前記一部の突起部以外の突起部における前記突出工程と前記退避工程との切り換えタイミングと異なっている、スプリングの巻き方向判別方法。
【請求項14】
請求項13に記載のスプリングの巻き方向判別方法において、
前記スプリング載置部に載置された前記コイルスプリングの軸方向に沿って隣接する前記突起部同士における前記突出工程と前記退避工程との切り換えタイミングが異なっている、スプリングの巻き方向判別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−176463(P2012−176463A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41050(P2011−41050)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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