説明

スプーン

【課題】汁物に使用するスプーンで汁を飲んだ後一旦スプーンを置き再度使用する時のスプーンの置場に困っていた。スプーンを汁に浸けたままで柄まで汁に浸かったり、外の皿などに置いても汁が垂れて周りを汚すことがあった。
【解決手段】スプーンの掬い部と柄部の接合部を色々な側面勾配の深皿や丼鉢等の縁に確実に置く事が出来ると共に、小皿などに起立状態で置くことができることを併せ持ち、収納時には横臥状態にでき引き出し等に収納できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汁物等の内容物を掬う際に使用するスプーンの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からスプーンは用途にあわせ色々な形状の物が使用されている。深皿や丼鉢に入った汁物を掬う場合、柄が掬い部後方より斜め上方に突出してなる形状を有している。汁物を飲んだ後、そのスプーンの置き場に困り、汁の中に入れておいたり、別の小皿に置いたりしている。汁の中に浸けているとスプーンの大半が汁の中に入ったりし、また小皿に置くとスプーンに付着した汁が小皿の外に流出したりしました。
【0003】
たとえば、特許文献1に記載されているようなレンゲの場合、掬い部と柄部との接続部分の表面に引掛部を設け、丼鉢の縁に引掛部を引掛け、レンゲを保持することができる。またレンゲを表向きに立たせて置く事も底が平らな構成なので出来る。
【0004】
また、特許文献2に記載のお玉は、起立状態を保つことも横臥する事もできるうような重心位置と形状を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実登第3055432号公報
【特許文献2】特許第4585349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来からレンゲの柄部に切欠きを入れたり、突起を付け、その切欠きや突起が深皿や丼鉢の縁に引掛りレンゲが安定する方法は良く知られている。また上記のようなレンゲのように掬い部を表向きに皿などに起立状態で置くができる物もある。表向きに起立させて置くためには掬い部を重たく構成しなくてはならず、起き上がりこぼしの形状となり、常時柄部が浮いた状態となる。収納時、場所を取るとともに、引出収納時、柄が引っ掛かって詰まることも考えられる。
【0007】
また、上記レンゲは掬い部の外底部が平坦であり、そのため安定して置くことができる構成であるが、外底部が湾曲した形状のスプーンの場合、スプーンの外底部と載置部との接触部の垂線上より掬い部先端側に重心が来ないとスプーンは起立保持できない。そのため平坦なレンゲに比べ、掬い部に重量をかけなければ立つことができない。反対に掬い部を重くし過ぎると、起き上がりこぼしのように倒れても起き上がる構成となる。また掬い部が重くなるので使いにくくなる。
【0008】
本発明はこのような問題を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、色々な深さや側面勾配の深皿や丼鉢の縁にスプーンを置く事ができると共に、小皿などに自立して置くことができ、また横臥できる、スプーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明のスプーンは、請求項1に記載したように、掬い部とその後部外周縁から後方に向かってななめ後方に突設した柄部とからなるスプーンにおいて、スプーンを起立させた状態における全体の重心が掬い部側となるように掬い部と柄部とをそれぞれ所定の重量割合に形成しており、柄部を所定の角度に倒すと掬い部側にあった重心が柄部側に移動しスプーンは横臥するとともに、スプーンを伏せた状態において掬い部と柄部との接続部を深皿や丼鉢の縁に置くことができ、その接続部が柄部より括れて段差があるように形成しており、その括れが深皿や丼鉢の縁と接触する部分を支点としてスプーンの重心がその垂直下方向に向かうので深皿や丼鉢の内側面勾配にスプーン掬い部の縁が接触し安定することを特徴とする。
【0010】
請求項2は請求項1のスプーンであって、外底面を凸円弧状の湾曲面に形成しており、起立状態から柄部を傾動させ、重心の位置が掬い部と柄部と釣り合った際のスプーンの支点がスプーンの外底面の後部側にあり、この支点を分岐点として柄部をそれ以上傾動させて該支点を後方に連続的に移動させると共にスプーンの重心をこの支点の垂線上より後方に移動させることにより、釣り合いが解消されて柄部が横倒し状態となるように構成していると共に、上記分岐点部分の外底面部を該分岐点部分から前側の外底面よりも曲率半径の小さい急カーブな曲面に形成し、この曲面の後端から柄部の下端に向かって急勾配の傾斜面に形成している事を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のスプーンの構造によれば、起立状態で重心位置が掬い部側にあるため起立の状態を保つことができ小皿などに置いても掬い部に付いた汁などが広がらず小皿から汁が出て周りを汚すことも無く場所もとらない。また収納するときは起立状態では引出しに入らないので横臥させて収納できる。さらに、伏せた状態で掬い部と柄部との接続部の括れ部の段差を深皿や丼鉢の縁に置くことができ、括れ部と深皿や丼鉢の縁との接触部が支点となり掬い部側にある重心が支点の垂直下方向に向かうので深皿や丼鉢の内側面勾配にスプーンの掬い部縁部が接触し安定し保持する。そのためラーメンなどの汁をスプーンで飲んで縁に置けるので周りを汚さず、スプーンが汁の中に沈む事もない。上記のように重心が支点垂直下方向に向かうので、色々な深皿や丼鉢の深さや内側面勾配の角度に対応できるとともに食事のはじめは食材にスプーンの縁部が接触し安定し食べ終わる時には深皿や丼鉢の内側面と接触して安定する。内側面勾配が垂直で掬い部の縁が深皿や丼鉢の内側面に触れない場合でも括れ部と深皿や丼鉢の縁との接触部分を支点として釣り合い、やじろべいのように保持される。括れ部は柄部との段差があるので、深皿や丼鉢の縁に置いていて、振動や衝撃を受けても安定して保持される。
【0012】
請求項2は請求項1のスプーンであって起立状態で柄部を下方に傾動させて掬い部にあった重心を掬い部外底部にある移動する支点を分岐点として柄部側に重心が移動することにより横臥状態になるように構成していると共に上記分岐点部分の外底面部を該分岐点部分から前側外底面部よりも曲率半径の小さい急カーブな曲面に形成し、この曲面の後端から柄部の下端に向って急勾配の傾斜面に形成しているので立つ状態と横臥する状態を確実に作ることができ、引出しに収納できる。また、起立方向に対しては該曲面が障壁面となって安定した横臥状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】スプーンを起立させた使用状態を示す側面図。
【図2】スプーンが分岐点で釣り合った状態を示す側面断面図。
【図3】スプーンを鉢の縁に置いた斜視図。
【図4】スプーンを急勾配内側面の鉢の縁に置いた側面断面図。
【図5】スプーンを緩勾配内側面の鉢の縁に置いた側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1において、スプーンAが楕円形に形成された掬い部1とその後部周縁部から後方に向かって斜め上部に突設した柄部2とからなり、掬い部1の外底面を緩やかな曲面状に湾曲した下向き凸円弧状面1aに形成している。一方、柄部2はその下端部を掬い部1の後部外周縁の一部にこの外周部における円弧状面に対して接線方向に向けた状態で一体に連設されてあり、さらに、掬い部1の上端面に対するこの柄部2の長さ方向の角度は110〜160度に成形されている。
【0015】
このスプーンは、アルミやステンレス等の金属製であってもABS樹脂、メラミン樹脂、ナイロン、ポリプロピレンなどの樹脂や木製、陶製であっても良いが全体の重量が使用に適するように5g〜60gにしておくのが望ましい。
【0016】
そして、スプーン全体の重心位置Oが起立時掬い部側にあると図1に示すとおり起立状態を保持する。載置面Bに支持された掬い部1の外底面部を支点Xとし、起立状態からスプーンAが前後方向に柄側に所定角度だけ傾動し図2に示すように重心が移動した支点X上にあると釣り合い、それよりも後方に移動すると、スプーンAは横臥する。従って、移動する支点X上より重心が掬い部側にあると起立し柄側にあるとご横臥する。支点Xの垂線上に重心が来る支点Xの位置を分岐点X1としている。
【0017】
図1に示したスプーンにおいては掬い部1の外底面1aは全面的に緩やかな凸状曲面に形成しているが、掬い部1の外底面1aにおける後方部を上記分岐点部X1から柄部下端に向かって急勾配の傾斜面にしておくことが望ましい。即ち、このスプーンAは図2に示すように、上記分岐点X1部分の掬い部1の外底面を、該分岐点X1より前側の外底面部よりも曲率半径が小さい急カーブな曲面1a’に形成し曲面1a'の後端から柄部2の下端に向かって掬い部1の後面部を水平面に対して急勾配の傾斜面1a’’に形成し、柄部2の下端に面一状に連続させた構造としている。このようにしておくと支点の移動距離が小さく起立と横臥の境目を作る働きがある。
【0018】
従って、このように構成しておくと、掬い部1を載置面B上に立設させた状態から後方に傾動してスプーンAの重心が上記分岐点X1上を超えたときに急激に傾動させることができ確実に収納可能な横臥状態にすることができると共に、この状態からスプーンAに起立する方向の外力が不測に付勢されても、急なカーブ1a’によって起立するのを確実に阻止し、横臥状態を維持させておくことができる。
【0019】
なお掬い部1には穴を開けもよく、或いは、フォーク形状の突起を掬い部先端に設けても良い。
【0020】
スプーンAを伏せた状態で丼鉢Cの縁C1に置く場合、図4のように掬い部1と柄部2との接続部に括れ部3を設けその部分が段差になり、丼鉢Cの縁C1に接触するように置くと、括れ部3と接触する丼鉢Cの縁C1との接触部を支点Yとして、その垂直下方向にスプーンAの重心Oが向かうので、丼鉢Cの内側面勾配C2にスプーンAの縁部1bが接触し安定し保持される。スプーンAの重心OはスプーンAの縁部1bより少し外側に設定している。垂直の内側面勾配の丼の場合はスプーンAの縁部1bと内側面勾配が接触せず、やじろべえ状態になる。また内側面勾配C2が色々な角度でも対応できるとともに、内容物の量の変化にも対応できる。食品が一杯の場合スプーンAの縁1bが食物と接触して止まり、食するうちに食物が減って行くがスプーンAの重心Oが支点Yの垂直下方向に向かうので、それに対応し安定して保持できる。
【0021】
掬い部1と柄部2の接続部分に設けた括れ部3の段差は振動や衝撃を受けても支点Yがずれ難い作用があり安定して丼Cの縁部C1に保持できる。
【0022】
上記のようにスプーンAは構成されているので、起立でき、横臥でき、深皿や丼鉢の内側面勾配角度が急でも緩くても縁に置く事ができ、置いた状態で振動や衝撃があっても安定してその状態を保持出来る。
【符号の説明】
【0023】
A スプーン
B 載置面
C 側面勾配が急な鉢
1 掬い部
2 柄部
3 括れ部
O 重心
X 支点
X1 分岐点
Y 支点
1a 掬い部外底面
1a' 曲率半径の小さい曲面
1b 掬い部縁部
C1 内側面勾配急な鉢の縁部
C2 内側面勾配急な鉢の側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掬い部とその後部外周縁から後方に向かってななめ後方に突設した柄部とからなるスプーンにおいて、スプーンを起立させた状態における全体の重心が掬い部側となるように掬い部と柄部とをそれぞれ所定の重量割合に形成していると共に柄部を下方に傾動させてスプーンの重心を柄部側にすると横倒し状態となるように形成し、スプーンを伏せた状態において掬い部と柄部との接続部を深皿や丼鉢の縁に置け、その接続部分が柄部より括れており段差が有るように形成していることを特徴とするスプーン。
【請求項2】
掬い部外底面が湾曲しており、起立状態で柄部を下方に傾動させて掬い部側と柄部側が釣り合った時の外底面の載置面との接触部を分岐点とし、この分岐点部分の外底面部を該分岐点部分から前側外底面部よりも曲率半径の小さい急カーブな曲面に形成し、この曲面の後端から柄部の下端に向って急勾配の傾斜面に形成している請求項1のスプーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−223210(P2012−223210A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90528(P2011−90528)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(399045570)
【Fターム(参考)】