説明

スポットライト

【課題】器具本体を薄型にするとともに被照射面における輝度均斉度を向上することのできるスポットライトを提供する。
【解決手段】長尺の箱体から成り、前面に開口部1aを有する器具本体1と、器具本体1内部の後端部に配設される光源部Aと、光源部Aの前方に配設されて光源部Aから照射される光を通過させるスリット3aを有する遮蔽板3と、遮蔽板3を挟んだ光源部Aの反対側に設けられて光源部Aから照射される光を集光する集光レンズ5と、集光レンズ5の前方に設けられて集光レンズ5を通過した光を開口部1aを介して被照射面にて結像させる結像レンズ4とから構成され、光源部Aを、透光性を有する材料から成る基板20と、基板20に積層される有機材料から成る有機発光層21と、有機発光層21を挟んで設けられる第1の電極層22及び第2の電極層23とから成る発光素子2で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポットライトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、写真撮影又は舞台照明等に使用するスポットライトが提供されている。このようなスポットライトの従来例としては、器具本体と、器具本体の内部に固定されて白熱電球やハロゲン電球等の光源を装着するソケットと、光源の前方に設けられて光源から照射される光を通過させるスリットを有する遮蔽板と、遮蔽板を挟んだ光源の反対側に設けられて光源から照射される光を集光して被照射面に向けて照射する集光レンズとから構成されるものがある。また、白熱電球を使用したスポットライトでは、高輝度の照明を必要とする場合に器具本体が高熱となり消費電力が大きくなるので、これを解決すべく白熱電球の代わりに複数の発光ダイオードを光源として利用したスポットライトが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−161198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、光源に白熱電球を用いた従来例では、光源のサイズが大きいために器具本体も大型化し、本来存在感が無い方が望ましいにも関わらず、使用時・未使用時を問わずに存在感が大きくなってしまうという問題があった。また、特許文献1記載のような光源に発光ダイオードを用いた従来例では、発光ダイオードが中心部と周辺部との輝度差が一般的な光源に比べて大きいことから、発光部分の輝度むらが非常に大きく、被照射面において高い輝度均斉度を得ることが非常に難しいという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、器具本体を薄型にするとともに被照射面における輝度均斉度を向上することのできるスポットライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、一面に開口部を有する有底筒状の器具本体と、器具本体の内部に配設される光源部と、光源部から照射される光を通過させるスリットを有する遮蔽板と、遮蔽板を挟んで光源部の反対側に設けられて光源部から照射される光を開口部を介して被照射面にて結像させる結像レンズとを備え、光源部は、透光性を有する材料から成る基板と、基板に積層される有機材料から成る有機発光層と、有機発光層を挟んで設けられる第1の電極層及び第2の電極層とから成る発光素子で構成されることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、発光素子を同一平面上に複数個敷き詰めて並べて成る光源部と、各発光素子を互いに独立して点滅させる点灯手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、光源部を、透光性を有する材料から成る基板と、基板に積層される有機材料から成る有機発光層と、有機発光層を挟んで設けられる第1の電極層及び第2の電極層とから成る発光素子で構成したので、白熱電球を用いる場合と比べて光源部を薄型にすることができ、したがって器具本体を薄型にすることできる。また、発光ダイオードを用いる場合と比べて発光部分の輝度むらを低減することができるので、被照射面における輝度均斉度を向上することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、遮蔽板によって光が遮られる部位に対応する発光素子が点灯しないように制御することができるので、消費電力を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、本発明に係るスポットライトの実施形態1について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、図1における右側を前方向、図1における左側を後方向と定める。本実施形態は、図1に示すように、前面に開口部1aを有する有底角筒状に形成された器具本体1と、器具本体1内部の後端部に配設される光源部Aと、光源部Aの前方に配設されて光源部Aから照射される光を通過させるスリット3aを有する遮蔽板3と、遮蔽板3を挟んだ光源部Aの反対側に設けられて光源部Aから照射される光を集光する集光レンズ5と、集光レンズ5の前方に設けられて集光レンズ5を通過した光を開口部1aを介して被照射面にて結像させる結像レンズ4とから構成される。
【0010】
遮蔽板3は、平板状であって、所望の形状から成るスリット3aを有する。而して、光源部Aから照射される光はスリット3aのみを通過し、スリット3aを除いた部位では光の通過が妨げられる。集光レンズ5は、両凸レンズから成り、スリット3aを通過した光を焦点(図示せず)に集光する。結像レンズ4は、集光レンズ5と同様に両凸レンズから成り、前記焦点に集光された光を前後方向と略平行な光にして被照射面に向けて照射する。尚、本実施形態では集光レンズ5及び結像レンズ4の2枚のレンズを用いているが、結像レンズ4のみで構成しても構わない。また、両凸レンズの代わりに凹レンズやフレネルレンズを用いても構わない。
【0011】
光源部Aは、全体として平板状の発光素子2であって、図2に示すように、透光性を有する材料から成る基板20と、基板20に積層される有機材料から成る有機発光層21と、有機発光層21を挟んで設けられる陽極となる第1の電極層22及び陰極となる第2の電極層23と、第1の電極層22及び第2の電極層23を覆うように設けられて有機発光層21を封止する封止層24と、第1の電極層22及び第2の電極層23に各々接続されて外部の直流電源(図示せず)から電圧を供給するための接続用導体25とから成る。
【0012】
基板20は、有機発光層21を支持するための平板状の部材であって、例えばガラス等の透光性を有する材料から成る。有機発光層21は、蛍光物質の有機材料又は蛍光物質を含む有機材料から成る発光層を少なくとも含んで構成され、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を備える。
【0013】
第1の電極層22は、透光性を有する材料から成る導電性の薄膜であって、例えばイリジウム・すず酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)等で形成される。尚、第1の電極層22は、その一部が基板20の長手方向における一方の端部側に後述する封止層24から露出するように引き出され、陽極端子部22aを形成している。
【0014】
第2の電極層23は、有機発光層21で発光する光を反射する材料から成る導電性の薄膜であって、例えば、アルミニウム(Al)、アルミリチウム(Al:Li)、マグネシウム銀(Mg:Ag)等の金属や合金などで形成される。本実施形態では、導電性、反射率及びコスト等の観点から、第2の電極層23はアルミニウムで形成されている。第2の電極層23は、その一部が基板20の長手方向における他方の端部側に後述する封止層24から露出するように引き出され、陰極端子部23aを形成している。
【0015】
封止層24は、基板20と併せて有機発光層21を気密に封止するための絶縁性を有する薄膜であって、例えばシリコン樹脂等から形成される。封止層24は、第2の電極層23の図2における上面及び右側面を覆うとともに、有機発光層21の左側面を覆うように形成される。
【0016】
直流電源は、例えば商用電源の交流出力を全波整流するダイオードブリッジから成る整流回路と、整流された脈流電圧を平滑化するコンデンサと、平滑化された直流電圧を発光素子2の定格に応じた電圧に変換するDC−DCコンバータ回路とから構成される。尚、このような直流電源は周知であるので、ここでは図示及び詳細な説明を省略する。
【0017】
接続用導体25は、例えばクロムめっきから形成され、一端が陽極端子部22a若しくは陰極端子部23aと接続される幅寸法の短い細幅部25aと、細幅部25aの他端と一体に形成されて直流電源からの電線(図示せず)が接続される幅寸法の長い太幅部25bとから成る。尚、接続用導体25は何れも封止層24の外側に形成される。
【0018】
而して、各接続用導体25に直流電源からの電線を接続し、陽極端子部22aと陰極端子部23aとの間に直流電圧を印加することで有機発光層21が可視光を発光する。この有機発光層21で発光した光は、直接或いは第2の電極層22で反射することにより、基板20の図2における下面、即ち、光源部Aの前面から取り出されるため、光源部Aの前面が面状発光する。光源部Aから照射される光は、遮蔽板3のスリット3aを通過するとともに、集光レンズ5を通過して集光レンズ5の焦点に集光される。前記焦点を通過した光は、結像レンズ4を通過して前後方向と略平行な平行光となり、開口部1aを介して被照射面にて結像する。例えば、スリット3aの形状がL字状であるならば、被照射面にはL字状の像が映し出される。
【0019】
上述のように、光源部Aを成す発光素子2を、透光性を有する材料から成る基板20と、基板20に積層される有機材料から成る有機発光層21と、有機発光層21を挟んで設けられる第1の電極層22及び第2の電極層23とから成る、所謂有機EL素子で構成したので、白熱電球を用いる場合と比べて光源部Aを薄型にすることができ、したがって器具本体1を薄型にすることできる。また、本実施形態の発光素子2は有機EL素子であることから、発光ダイオードを用いる場合と比べて、発光部分の輝度むらを低減することができるので、被照射面における輝度均斉度を向上することができる。
【0020】
(実施形態2)
以下、本発明に係るスポットライトの実施形態2について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態1と共通であるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態は、光源部Aが実施形態1と比べて小型に設計された複数の略正方形状の発光素子2から成り、光源部Aは、図3(a)に示すように、その発光面が全体として略矩形状となるように発光素子2を同一平面上に隙間無く敷き詰めて形成されている。また、各発光素子2は、点灯手段によって互いに独立して点灯可能となっている。尚、このような点灯手段は周知であるので、ここでは図示及び詳細な説明は省略する。
【0021】
ここで、例えば図3(b)に示すように、スリット3aの形状がL字状である場合、光源部Aから照射される光はスリット3aのみを通過することから、スリット3aを除いた遮蔽板3によって光が遮られる部位に対応する発光素子2を点灯させても電力を無駄に消費するだけである。そこで、図3(c)に示すように、スリット3aに対応する発光素子2のみを点灯させ、遮蔽板3によって光が遮られる部位に対応する発光素子2を点灯させないように点灯手段で制御することで、消費電力を抑えることができる。
【0022】
尚、発光素子2の形状及び光源部Aの発光面の形状は上記のものに限定される必要は無く、例えば図4に示すように、発光素子2を略六角形状に形成するとともに、光源部Aの発光面を蜂の巣形状にしても構わない。このように構成すると、スリット3aが曲線の多い形状の場合にスリット3aの形状と発光素子2とが合致し易く、スリット3aの形状によっては、発光素子2が略正方形状に形成された場合よりも消費電力を更に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のスポットライトの実施形態1を示す概略図である。
【図2】同上の光源部を示す断面図である。
【図3】本発明のスポットライトの実施形態2を示す図で、(a)は光源部を示す平面図で、(b)は遮蔽板のスリットと光源部の発光面との対応を示す平面図で、(c)はスリットと対応する部位のみを点灯させた光源部を示す平面図である。
【図4】同上の発光素子の配置を変更した光源部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 器具本体
1a 開口部
2 発光素子
20 基板
21 有機発光層
22 第1の電極層
23 第2の電極層
3 遮蔽板
3a スリット
4 結像レンズ
A 光源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に開口部を有する有底筒状の器具本体と、器具本体の内部に配設される光源部と、光源部から照射される光を通過させるスリットを有する遮蔽板と、遮蔽板を挟んで光源部の反対側に設けられて光源部から照射される光を開口部を介して被照射面にて結像させる結像レンズとを備え、光源部は、透光性を有する材料から成る基板と、基板に積層される有機材料から成る有機発光層と、有機発光層を挟んで設けられる第1の電極層及び第2の電極層とから成る発光素子で構成されることを特徴とするスポットライト。
【請求項2】
前記発光素子を同一平面上に複数個敷き詰めて並べて成る光源部と、各発光素子を互いに独立して点滅させる点灯手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のスポットライト。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−54323(P2009−54323A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217462(P2007−217462)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】