説明

スポーツシューズ

【課題】使用者の個々のサイズに適合可能であると共に、内部への雪や水の侵入を防止することが可能なスポーツシューズを提供する。
【解決手段】足の前側領域(3)から踵領域(4)にかけてシェル(5)が突設された硬質のソール(2)を備え、シェル(5)に回動可能にクオータ部材(10)が連結されたスポーツシューズ(1)であって、スポーツシューズ(1)は、シェル(5)内でスライド可能にシェル(5)の底部に組み付けられ、前側端部(15)を有するインソール(12)と、インソール(12)と相互に作用してシェル(5)に対するインソール(12)の長手軸方向の位置を調整してガイドする調整ガイド手段(16)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスポーツシューズに関し、特にスキーブーツ、インラインスケート靴或いはアイススケート靴に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、分離された前側部分と後側部分とからなるシェルを有し、使用者がシェルの長さを変更可能とするため、これら前側部分及び後側部分が相互にスライド可能に組み付けられたスキーブーツ、アイススケート靴及びインラインスケート靴が使用されている。このような手法は、使用者の個々の形態的特徴への適合を可能にし、様々な足のサイズの使用者や足のサイズがすぐに変わってしまう子供であっても、サイズを変更して公知のタイプのシューズを履くことができるようにするものである。
【0003】
例えば、標準的な硬質のソールから足の前側領域においてほぼ土踏まず領域まで突設され、踵領域に向けて開口するシェルと、後側領域においてシェルに対してスライド可能に連結され、ソールに対する長手軸方向の位置を調整しガイドする手段と相互に作用するカウンタ(counter)部材と、カウンタ部材に対して回動可能に設けられ、高さを調整可能なクオータ(quarter)部材とを備えたスキーブーツが特許文献1乃至3に開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、サイズが変更可能なスポーツシューズ、特にインラインスケート靴或いはアイススケート靴が開示されている。このスポーツシューズは、分離された前側端部(tip)と踵側部材とからなり、1つ以上のホイールもしくは1つのアイススケート用ブレードのための第1及び第2支持部材が、前側端部及び踵側部材の下方領域においてそれぞれ連結可能に或いは強固に組み付けられており、これら支持部材には相互に前後方向にスライド可能な手段が設けられている。そして、前側端部と踵側部材とを連結して長手軸方向の両者の相対的な位置を調整するための手段が前側端部と踵側部材との間に設けられ、格納式レバーにより作動させることができるようになっている。
【特許文献1】特開2006−297081号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第1714570号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0230638号明細書
【特許文献4】イタリア国実用新案第00251472号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1乃至3に示されるような公知のスキーブーツは、使用者の足や脚の特定のサイズに適合できるようにシェルの長さやクオータ部材の高さを変更することが可能であるものの、シェルとカウンタ部材との間には、雪や水がブーツ内に浸入しうる遊びがあり、結果的に使用者に不快感を与えるという欠点を有している。
また、シェルは2つの部材からなるため、このような公知のスキーブーツでは強度及び安定性が制限されたものとなる。
【0006】
特許文献4に示されるような公知のスケート靴も、上述した特許文献1乃至3に示されるものと同様の欠点を有している。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、
本発明の狙いは、使用者の個々のサイズに適合可能であると共に、内部への雪や水の侵入を防止することが可能なスポーツシューズ、特にスキーブーツ、アイススケート靴或いはインラインスケート靴を提供することにより、上述した課題を解決し、背景技術における欠点を解消することにある。
【0007】
このような狙いの中で、本発明の目的は、強靭で安定していることによって使用者の足の適切な保護及び適正な支持を確実に行うようにしたスポーツシューズを提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、構造が簡単で製造コストの低いスポーツシューズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの狙い及び目的、並びに後に明らかとなる他の目的を達成するため、本発明のスポーツシューズは、足の前側領域から踵領域にかけてシェルが突設された硬質のソールを備え、上記シェルに回動可能にクオータ部材が連結されたスポーツシューズにおいて、上記シェル内でスライド可能に上記シェルの底部に組み付けられ、前側端部を有するインソールと、上記インソールと相互に作用して上記シェルに対する上記インソールの長手軸方向の位置を調整してガイドする調整ガイド手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスポーツシューズによれば、様々なサイズが得られるように、使用者の足に適用される内部空間を極めて容易かつ迅速に変更することが可能となるスポーツシューズ、特にスキーブーツ、アイススケート靴或いはインラインスケート靴が得られる。
また、使用の際、足は一体的に設けられたシェルで包囲されるので、雪や水が足と接触するおそれは実質的になくなる。
【0010】
また、本発明によるスポーツシューズは、容易に製造及び/又は組立可能な部品を用いることによって得られるので、低い製造コストを維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面中の限定されない例によって示された、好ましいが限定的ではない実施形態についての以下の詳細な説明からより明確となる。
なお、以下の代表的な実施形態において、特定の例に関連して示される個々の特徴は、別の代表的な実施形態における別の特徴と置き換えることが可能である。
また、特許審査の間に公知であることが判明したものについてはいずれも特許を請求するものではなく、権利を放棄するものである。
【0012】
図1乃至6を参照すると、符号1は、硬質のソール2を備えたスキーブーツなどのスポーツシューズを示しており、図1においてスポーツシューズ1はスキーブーツであって、ソール2は標準的なタイプのものである。
なお、図示した実施形態に代えて、例えばアイススケート用ブレードや1つ以上のホイールの支持体をソール2の下部に組み付けることも可能である。
【0013】
スポーツシューズ1は、足の前側領域3から踵領域4にかけてソール2から突設されたシェル5が、踝領域6及び足の甲を覆うように延びて一体的に設けられており、使用時に使用者の足全体を包囲する。シェル5は硬質のプラスチック材料で形成されているのが好ましい。
シェル5は上部領域が開口しており、ほぼ足の甲の領域には、使用者の足の挿入を容易にするためのスリット9が、上縁部8を起点として設けられているのが好ましい。
【0014】
シェル5の内側側面5aには、足の前側領域3を起点とし、部分的にシェル5の形状に沿うようにほぼU字形状をなすスロット60が形成されている。従って、このスロット60は、シェル5の底部11を起点として、シェル5の前端部61及び側壁部62a,62bの一部にわたって形成されている。踵領域4の方向に向かっているスロット60の端部は、図5において符号63a及び63bで示される2つの傾斜面を介してシェル5の内側側面5aに接続されている。
【0015】
高さを調整可能なタイプであるのが好ましいクオータ(quarter)部材10は、ほぼ踝領域6においてシェル5に回動可能に連結されている。
インソール12は、シェル5内でスライド可能にシェル5の底部11に組み付けられており、例えば硬質或いは半硬質のプラスチック材料で形成されている。ほぼ爪先の領域14には、上記インソール12から前側端部(tip)15が突設されており、使用中において、例えば柔軟な素材で形成されて装着感を向上させべく任意に挿入されるソフトインナーブーツ(図示せず)と共に、使用者の爪先の周囲を包み込むようになっている。
【0016】
図5に示されるように、前側端部15は、インソール12がシェル5に対して最も引き込まれた状態にあってインソール12が最小となり、前側部分15がスロット60から外れた位置にある場合に、前側端部15がシェル5の内側側壁5aによって中心方向に圧迫されることにより、使用者の足と、任意に介装されうる柔軟なインナーブーツとを収容可能な空間が減少するような大きさとなっている。
【0017】
このような状態において、前側部分15の踵領域4への接近に伴う足の甲の領域7におけるシェル5の拡大が前側部分15の拡大を許容するので、前側端部15には、シェル5の底部11に直交する方向におけるゆがみが発生しない。
一方、図6に示されるように、インソール12がシェル5に対して最も引き出された状態にあってインソール12が最大となり、前側部分15がスロット60の位置にある場合には、前側端部15にゆがみが発生していない状態となり、使用者の足や任意に介装されるインナーブーツに対してより大きな空間を与える。
【0018】
インソール12は、シェル5に対する長手軸方向の位置を調整してガイドする調整ガイド手段と相互に作用するようになっている。この調整ガイド手段は、シェル5の底部11を起点として踵領域4のソール2に形成された第1取付座部16を備えており、この第1取付座部16はソール2の長手軸方向に縦長となるほぼ長方形の平面形状をなしている。
第1取付座部16の互いに対向する側面には、同一軸線上に第1孔17及び第2孔18が設けられており、第1孔17は第2孔18より大きな径を有する。
【0019】
第1取付座部16は後部キャビティ19に接続されており、後部キャビティ19は、シェル5に対する長手軸方向の位置をガイドする調整ガイド手段を第1取付座部16と共に構成し、第1取付座部16からシェル5の後部壁にかけての部分にシェル5の底部11を起点として形成されている。後部キャビティ19は、横断面においてほぼ逆T字状をなすと共に、平面視においてほぼ長方形状をなしており、第1取付座部16よりも幅及び長さが短くなっている。
【0020】
また、調整ガイド手段は、インソール12の下面21からほぼ直角に突出した第1タブ20を備えており、第1タブ20は使用状態においてシェル5の底部11に向けて突出すると共に、爪先の領域14とは反対側となるインソール12の後端部22に近接して設けられる。
第1タブ20は、ソール2に形成された第1取付座部16にスライド可能に配設されており、第1取付座部16内における長手方向の移動を行うことができるように、第1取付座部16とほぼ同じ幅を有すると共に、第1取付座部16よりも長さが短くなっている。また、第1タブ20は、長手方向の断面がほぼ楕円形状をなすと共に、好ましくは同様の形状をなす第2取付座部23を形成するように横方向に形成された空洞を有する。更に、第2取付座部23の上部面或いは下部面には、1組の歯24が横方向に形成されている。
【0021】
インソール12の下面21から第1タブ20の後方に突設された第2タブ25は、後部キャビティ19に対してほぼ補完的な形状をなしており、後部キャビティ19より短く、シェル5に対する長手軸方向のインソール12のスライドをガイドし規制するべく、後部キャビティ19に摺動しながら係合できるようになっている。従って、第2タブ25は、シェル5に対するインソール12の長手軸方向の位置をガイドする調整ガイド手段の構成に関わっている。
【0022】
シェル5に対するインソール12の長手軸方向の位置を調整する調整ガイド手段の付加的な部材を第2取付座部23内に配置することが可能であり、この部材は第1ねじ部材26によって構成される。この第1ねじ部材26は、1組の歯24に対して補完的に軸方向の歯が形成されて歯24と噛合可能な第1ステム27を有しており、第1孔17及び第2孔18に回動可能に取り付けられている。
【0023】
第1ねじ部材26は、第1孔17に近接する方の一端に、第1孔17の径より大きい径を有した環状隆起28を有しており、この環状隆起28が第1孔17の周縁に回動可能に接している。
第1ねじ部材26の自由端は第2孔18から突出しており、第2孔18の径より大きい径を有したディスク30を支持するピン29が軸方向に第1ねじ部材26と係合することによって、第2孔18の周縁にディスク30が接するようにして第2孔18に回動可能に組み付けられている。
【0024】
ピン29とは反対側には、ディスク30から支持体31が突設されており、第1ピボット32を介してレバー33が支持体31に軸支され、レバー33を介して使用者が第1ねじ部材26に所望の回動を与えることができるようになっている。
一方、レバー33はソール2の側面に対して揺動可能となっており、ソール2の側面からほぼ直角に突設されて適切に配置された第2ピボット34を、レバー33に形成された第3貫通孔35に挿入することにより、レバー33を選択対置でソール2に強固に係止させることができる。
【0025】
本発明の利用は以下の通りとなる。図1乃至6を参照すると、レバー33を操作することにより、使用者は所望の角度だけ第1ねじ部材26を回動させることが可能であって、これによりシェル5に対してインソール12を前進させたり後退させたりすることが可能となる。従って、スポーツシューズ1内の空間を増大させたり減少させたりして、使用者の足や任意にスポーツシューズ1内に用いることが可能なソフトインナーブーツを収容することができる。
【0026】
そして、所望の長さが得られると、レバー33の第3貫通孔35内に第2ピボット34の1つが嵌挿されるようにレバー33を揺動することにより、シェル5に対するインソール12の相対的なスライドをロックすることが可能となる。
このようにして、使用者の足に適用可能なスポーツシューズ1内の空間を適正に調整することが可能となる。
【0027】
例えば、図3及び5を参照すると、インソール12をシェル5に対して最も引き込んだ状態に配置することが可能である。このような状態において、前側端部15は踵領域4から最も近い位置にあり、シェル5の内側側壁5aによって中心方向に圧迫されている。従って、使用者の足や任意にスポーツシューズ1内に用いられるインナーブーツに適用可能な内部空間を最小化することができる。
【0028】
一方、図4及び6を参照すると、インソール12がシェル5に対して最も引き出された状態にあることにより、前側端部15は踵領域4から最も離れた位置にあり、インソール12がスロット60内にあるため、前側端部15がゆがむことはない。従って、このような状態において、使用者の足や任意にスポーツシューズ1内に用いられるインナーブーツに適用可能な内部空間は最大化される。
【0029】
以上のように、本発明が意図する狙い及び目的を達成することが認められ、様々なサイズが得られるように、使用者の足に適用される内部空間を極めて容易かつ迅速に変更することが可能となるスポーツシューズ、特にスキーブーツ、アイススケート靴或いはインラインスケート靴が得られた。また、使用の際、足は一体的に設けられたシェルで包囲されているので、雪や水が足と接触するおそれは実質的になくなる。
【0030】
更に、シェルが一体的に設けられるので、本発明によるスポーツシューズは、極めて強靭で安定したものとなり、使用者の足の効果的な保護及び支持を確実に得ることが可能となる。
また、本発明によるスポーツシューズは、容易に製造及び/又は組立可能な部品を用いることによって得られるので、低い製造コストを維持することができる。
【0031】
本発明は様々な変形や変更が可能であることはいうまでもなく、それらは全て添付の特許請求の範囲に含まれるものである。
即ち、例えば、硬質のソール102を備えたスポーツシューズ101、特にスキーブーツ、アイススケート靴或いはインラインスケート靴を第2実施形態とし、図7乃至10を参照して以下に説明する。図7乃至10に示された例において、スポーツシューズ101はスキーブーツを構成するものであって、ソール102は標準的なタイプのものである。
【0032】
なお、図示しないスケート靴の場合、例えばアイススケート用のブレード、或いは1つ以上のホイールの支持体をソール102の下部に組み付けることが可能である。
一体的に設けられたシェル105は、足の前側領域103から踵領域104にかけて、ソール102から突設され、踝領域106及び足の甲の領域107を覆う位置まで延設されることにより、使用の際に使用者の足を完全に包囲するようになっている。シェル105は上部領域において開口しており、ほぼ足の甲の領域107において、その上縁部108を起点として、使用者の足の挿入を容易にするスリット109を有している。
【0033】
この第2実施形態においても、足の前側領域103を起点とし、ほぼU字形状を有したスロット160が、部分的にシェル105の形状に沿うようにしてシェル105の内側側面105aに形成されている。このスロット160は、図1乃至6に基づいて述べたスロット60と同様のものである。
クオータ部材110は垂直方向に調整可能であるのが好ましく、ほぼ踝の領域106においてシェル105に回動可能に連結されている。
【0034】
インソール112は、シェル105内でスライド可能にシェル105の底部111に組み付けられており、例えば硬質のプラスチック材料によって形成されている。このインソール112から、爪先領域114において前側端部115が突設されており、例えば多孔質の素材からなり使用者の装着感を向上させるソフトインナーブーツ(図示せず)の挿入を任意に伴いながら、前側端部115が使用者の足を取り囲むようになっている。
【0035】
この第2実施形態においても、前側端部115は、シェル105に対してインソール112が最も引き込まれた状態にあってインソール112が最小である場合に、前側端部115がシェル105の内側側面105aによって中心方向に圧迫されることにより、使用者の足及び任意にスポーツシューズ101内に用いられるソフトインナーブーツを収容可能なスポーツシューズ101内の空間を減少させる大きさとなっている。
【0036】
一方、ソール112がシェル105に対して最も引き出された状態にあってインソール112が最大である場合に、前側端部115にはゆがみがなく、使用者の足及び任意に用いられるソフトインナーブーツに対してより大きい空間を与える。
インソール112は、シェル105に対する長手軸方向のインソール112の位置を調整してガイドする調整ガイド手段と相互に作用するようになっている。この調整ガイド手段は、ソール102の踵領域104にシェル105の底部111を起点として形成された第1取付座部116を備えており、第1取付座部116は、ソール102の長手方向軸の方向に縦長となるほぼ長方形の平面形状をなしている。
【0037】
ほぼ直方体状をなす第3タブ136が、第1取付座部116の底部から踵領域104に近接してほぼ直立する方向に突設されており、その上端部にはほぼU字状の形状を有するのが好ましい第3取付座部137が形成されている。
踵部分の後面113には、ソール102の長手方向中心軸にほぼ沿うと共に、第3取付座部137と同一軸線上に第4孔138が形成されており、この第4孔138は、ほぼT字状の径方向断面形状を有するのが好ましい。
【0038】
この第2実施形態において、調整ガイド手段は、爪先領域114とは反対側となるインソール112の後端部122近傍においてインソール112の下面121からほぼ直角に突設された第4タブ139を更に備える。この第4タブ139は、ソール102に形成された第1取付座部116にスライド可能に配設され、第1取付座部116内での長手方向の移動を可能とするべく、第1取付座部116とほぼ同じ幅を有すると共に、第1取付座部116より長さが短くなっている。第4タブ139はほぼ直方体をなして中空となっており、インソール112の上面141に形成されて長方形の平面形状をなすのが好ましい開口140と連通している。
【0039】
使用時にソール102の長手方向中心軸にほぼ直交する方向に配置される第4タブ139の側壁142a及び142bには、第4孔138と同一軸線上に2つの第5孔143a及び143bが形成されている。また、第4タブ139内には、第4タブ139の内部に対して補完的に形成されたナット144が収容されており、このナット44には、第6ねじ穴145が形成されて第5孔143a及び143bと同一軸線上に配置されている。
【0040】
シェル105に対するインソール112の長手軸方向の位置を調整しガイドする調整ガイド手段は、使用中であるときに第4孔138内に位置する頭部147を有して適切に設けられた第2ねじ部材146を備えており、この頭部147からは第2ステム148が突設されている。第2ステム148は頭部147に近接する第1平滑部149と、第1平滑部149に続いて設けられ、ナット144の第6孔145に形成されたねじに対して補完的に形成されたねじを有することにより第6孔145内にねじ込まれて係合可能な第2部分150とによって構成されている。第1平滑部149と第2部分150との間には、第3タブ136の第3取付座部137内で回動可能に位置決めされた凹部151が設けられており、これによりソール102に対して第2ねじ部材146の長手軸方向の位置を固定している。
【0041】
第2ねじ部材146に軸線周りの適切な回転を与えることにより、ナット144を第2ねじ部材146の長手方向に前進或いは後退させ、ナット144に固定的に連結されたインソール112をシェル105に対して前進或いは後退させることにより、使用者の足に適用可能なスポーツシューズ101内空間の所望の変化が得られる。
以上で本発明の実施形態に関する説明を終えるが、本発明の個々の構成要素を定める寸法のほか、使用される素材は、特定の要求に従ってより適切なものとすることが可能であることはいうまでもない。また、異なる機能を発揮する様々な手段が、例示されている実施形態のみにおいて存在する必要はなく、例示されないものも含めて多くの実施形態に存在しうるものである。更に、好ましい、都合がよい或いはあってもよいものとして示された特徴は、省略或いは均等物との置き換えが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスポーツシューズの分解斜視図である。
【図2】図1のスポーツシューズの中央縦平面に沿った分解斜視断面図である。
【図3】インソールが最も引き込まれた状態にある図1及び図2のスポーツシューズの中央縦平面に沿った断面図である。
【図4】インソールが最も引き出された状態にあるスポーツシューズを図3と同様に示す断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るスポーツシューズの分解斜視図である。
【図8】図7のスポーツシューズの中央縦平面に沿った分解斜視断面図である。
【図9】インソールが最も引き込まれた状態にある図7及び図8のスポーツシューズの中央縦平面に沿った断面図である。
【図10】インソールが最も引き出された状態にあるスポーツシューズを図9と同様に示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1,101 スポーツシューズ
2,102 ソール
5,105 シェル
10,110 クオータ部材
15,115 前側端部
16,116 第1取付座部(調整ガイド手段)
17 第1孔
18 第2孔
19 後部キャビティ(調整ガイド手段)
20 第1タブ(調整ガイド手段)
23 第2取付座部(調整ガイド手段)
25 第2タブ(調整ガイド手段)
26 第1ねじ部材(調整ガイド手段)
60,160 スロット
136 第3タブ(調整ガイド手段)
137 第3取付座部(調整ガイド手段)
138 第4孔
139 第4タブ(調整ガイド手段)
143a,143b 第5孔
144 ナット(調整ガイド手段)
146 第2ねじ部材(調整ガイド手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の前側部分から踵領域にかけてシェルが突設された硬質のソールを備え、上記シェルに回動可能にクオータ部材が連結されたスポーツシューズにおいて、
上記シェル内でスライド可能に上記シェルの底部に組み付けられ、前側端部を有するインソールと、
上記インソールと相互に作用して上記シェルに対する上記インソールの長手軸方向の位置を調整してガイドする調整ガイド手段と
を備えることを特徴とするスポーツシューズ。
【請求項2】
上記インソールは硬質又は半硬質のプラスチック材料からなり、上記シェル内でスライド可能に上記シェルの底部に組み付けられていることを特徴とする請求項1に記載のスポーツシューズ。
【請求項3】
上記前側端部は、ほぼ爪先領域において上記インソールから突設され、使用者の爪先を任意に挿入されるソフトインナーブーツと共に包み込むように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスポーツシューズ。
【請求項4】
上記インソールは、上記シェルに対する上記インソールの長手軸方向の位置を調整してガイドする調整ガイド手段と相互に作用することを特徴とする請求項3に記載のスポーツシューズ。
【請求項5】
上記調整ガイド手段は、上記シェルの底部を起点として上記ソールの踵領域に形成された第1取付座部を備え、
上記第1取付座部は、平面視において、上記ソールの長手軸方向に縦長のほぼ長方形状をなすと共に、上記第1取付座部の互いに対向する2つの側面に同一軸線上となるように設けられた第1孔及び第2孔を有し、
上記第1孔は上記第2孔よりも大きい径を有し、
上記第1取付座部は、上記シェルの底部を起点として形成されて横方向断面形状がほぼ逆T字状をなすと共にほぼ長方形の平面形状を有した後部キャビティとつながっていることを特徴とする請求項4に記載のスポーツシューズ。
【請求項6】
上記調整ガイド手段は、
上記シェルの底部に向け、上記踵領域に近接する上記インソールの下面からほぼ直角に突設されて、上記第1取付座部にスライド可能に設けられた第1タブと、
上記第1タブに楕円状の第2取付座部を形成するように設けられた横向きの空洞と、
上記空洞の上部面又は下部面に横方向に形成された1組の歯と、
上記インソールの下面から上記第1タブの後方に突設されると共に、上記後部キャビティの形状に対してほぼ補完的な形状を有し、上記シェルに対する上記インソールの長手軸方向のスライドをガイドすると共に規制するように上記後部キャビティと係合可能な第2タブと、
上記第2取付座部内に配設され、上記第1及び第2孔に回動可能に組み付けられた第1ねじ部材とを備え、
上記第1ねじ部材は、上記空洞に形成された上記1組の歯に対して補完的な歯を軸線方向に有して上記1組の歯と係合可能な第1ステムを備えることを特徴とする請求項5に記載のスポーツシューズ。
【請求項7】
上記第1ねじ部材は、上記第1孔に近接する方の端部に、上記第1孔より大きい径を有した環状隆起を有し、
上記第1ねじ部材の自由端は、上記第2孔から突出しており、上記第2孔より大きい径を有したディスクを支持するピンが軸線方向に嵌合することにより、上記第2孔に回動可能に組み付けられ、
上記ディスクの上記ピンとは逆の側には支持体が突設されると共に、使用者が上記第1ねじ部材に対して所望の回動を与えるためのレバーが、第1ピボットを介して上記支持体に軸支され、
上記レバーは、上記ソールの側面に対して揺動可能であると共に、上記ソールの側面からほぼ直角に突設された第2ピボットを、上記レバーに形成された第3孔に挿入することにより、所定の位置において上記ソールの側面に係止可能であることを特徴とする請求項6に記載のスポーツシューズ。
【請求項8】
上記調整ガイド手段は、
上記踵領域において上記シェルの底部を起点として上記ソールに形成され、上記ソールの長手軸方向に縦長のほぼ長方形の平面形状を有した第1取付座部と、
上記第1取付座部の底部から上記踵領域に近接してほぼ直角に突設され、ほぼ直方体状に形成された第3タブと、
ほぼU字状をなして上記第3タブの上端部に設けられた第3取付座部と、
上記踵領域の後面に設けられ、上記ソールの長手中心軸にほぼ沿うと共に上記第3取付座部と同一軸線上に配置されて、径方向断面がほぼT字状をなす第4孔と、
上記インソールの後端部に近接して上記インソールの下面からほぼ直角に突設され、上記第1取付座部にスライド可能に配設される第4タブと
を備えることを特徴とする請求項4に記載のスポーツシューズ。
【請求項9】
上記第4タブは、ほぼ直方体状に形成されると共に中空であって、平面形状が長方形をなして上記インソールの上面に形成された開口と連通しており、
上記ソールの長手中心軸にほぼ直角に配置された上記第4タブの対向する側壁には、上記第4孔と同一軸線上に2つの第5孔が形成され、
補完的に形成されて上記第4タブ内に収容されたナットが、上記第5孔と同一軸線上に配置されていることを特徴とする請求項8に記載のスポーツシューズ。
【請求項10】
上記調整ガイド手段は、上記第4孔内に配置された頭部と、上記第4孔から突出する第2ステムとを有する第2ねじ部材を備え、
上記第2ステムは、
上記頭部に近接して設けられた第1平滑部と、
上記第1平滑部に連続し、上記ナットの第6孔のねじに対して補完的にねじが形成された第2部分と、
上記第1平滑部と上記第2部分との間に設けられ、上記第3取付座部内に回動可能に配設された凹部と
を備えることを特徴とする請求項9に記載のスポーツシューズ。
【請求項11】
上記シェルの内側側面には、上記足の前側領域を起点としてほぼU字状の平面形状を有したスロットが、上記シェルの底部を起点として上記シェルの前端部及び側壁部において部分的に上記シェルの形状に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のスポーツシューズ。
【請求項12】
上記踵領域の方向に向く上記スロットの端部は、2つの傾斜面を介して上記シェルの上記内側側面に接続されていることを特徴とする請求項11に記載のスポーツシューズ。
【請求項13】
上記前側端部の大きさは、上記シェルに対して上記インソールが最も引き込まれた状態にあって、上記インソールが最小の大きさである場合に、上記前側端部が上記スロットから外れた位置にあって、上記シェルの上記内側側面によって中心方向に圧迫されることにより、使用者の足及び任意に用いられる上記インナーブーツを収容可能な上記スポーツシューズ内の空間を減少させるように設定されていることを特徴とする請求項12に記載のスポーツシューズ。
【請求項14】
上記インソールが最も引き込まれた上記の状態にある場合に、上記前側端部は上記シェルの底部に対して直交する方向にはゆがみが生じないことを特徴とする請求項13に記載のスポーツシューズ。
【請求項15】
上記シェルに対して上記インソールが最も引き出された状態にあって、上記インソールの大きさが最大である場合、上記前側端部は上記スロット内にあってゆがみが生じない状態であることにより、使用者の足及び任意に用いられる上記インナーブーツのための空間を拡大することを特徴とする請求項14に記載のスポーツシューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−6119(P2009−6119A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18587(P2008−18587)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(506115488)ロチェス ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (3)
【氏名又は名称原語表記】ROCES S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via G.Ferraris,36,31044 MONTEBELLUNA(Prov. of Treviso),ITALY
【Fターム(参考)】