説明

スライドガラス保管器、搬送装置及び顕微鏡システム

【課題】スライドガラスの交換に伴う作業効率を高め得るようにする。
【解決手段】1枚トレイ50は、供給トレイ52及び排出トレイ53を互いに独立して設けた。供給トレイ52は、保持空間52Eの長辺及び短辺の長さをスライドガラスSGの長辺上限値及び短辺上限値と同等に設定したことにより、作業者に置載される際に許容範囲外であることを直ちに認識させることができる。また排出トレイ53は、保持空間53Dの長辺及び短辺の長さをスライドガラスSGの長辺上限値及び短辺上限値よりも長く設定したことにより、位置ずれや傾きを有するスライドガラスSGを正しく排出させることができる。これにより顕微鏡システム1は、スライドガラスの交換に伴う作業効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドガラス保管器、搬送装置及び顕微鏡システムに関し、例えば生体サンプルを拡大して観察する分野に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体サンプルの観察手法としては、顕微鏡のステージに当該生体サンプルを設置し、観察者が肉眼により観察するものが広く用いられている。
【0003】
一方、近年では、顕微鏡における接眼レンズの焦点位置、すなわち観察者の目に相当する箇所に撮像素子を設置し、生体サンプルを拡大して表す画像データを生成する、いわゆるバーチャルスライドシステムに対応する顕微鏡システムが提案されている。
【0004】
このように生成された画像データは、コンピュータ装置の表示部等に表示した状態で観察者に提示でき、また保存性や再現性に優れ、遠隔地への送信も容易である等の種々の利点がある。
【0005】
特に生体サンプルの画像データを多数作成したい場合、顕微鏡システムでは、多数のスライドガラスを用意しておき、当該スライドガラスを1枚ステージに供給し、撮像処理を行った上で次のスライドガラスに交換する、といった交換処理を繰り返す必要がある。
【0006】
そこで、顕微鏡システムのなかには、この交換処理を自動化するべく、例えばスライドガラスを所定間隔ごとに積層させ、さらに複数列収納したカセットから当該スライドガラスを1枚ずつ取り出し、直線方向に沿って搬送し、順次ステージにセットするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第WO2006/098442号(第1図、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような顕微鏡システムを利用する場合においても、予めカセットにスライドガラスを収納するのではなく、例えば作業者がスライドガラスを1枚ずつ選定してステージにセットさせたい場合がある。
【0009】
この場合、例えばスライドガラスを1枚のみ置載可能なトレイを用意し、上述したカセットと差し替えた構成とすることが考えられる。この顕微鏡システムでは、作業者が当該トレイに載置したスライドガラスをステージまで搬送し、またステージにおいて撮像処理が終了したスライドガラスを当該トレイまで搬送することになる。
【0010】
ところでこの顕微鏡システムでは、スライドガラスの大きさに関し予め規定された許容範囲外である場合、当該スライドガラスをステージに正しく置載できず、或いは搬送中に落下や破損してしまうおそれがある。
【0011】
そこで、上述したトレイを許容範囲と同等の大きさに設定することが考えられる。この場合、当該トレイに正しく置載できないスライドガラスについて許容範囲外であることを作業者に容易に認識させることが可能となる。
【0012】
しかしながら顕微鏡システムでは、撮像処理が終了したスライドガラスが当該トレイに排出される際、位置や角度が正しい状態からずれる可能性が極めて高い。このため顕微鏡システムは、トレイを許容範囲と同等の大きさにした場合、当該トレイに対しこのような状態のスライドガラスを適切に排出させることができず、落下や衝突等により破損してしまうおそれがある。
【0013】
すなわち、かかるトレイを設けた顕微鏡システムは、スライドガラスの交換に関し、必ずしも作業者の作業効率を高めることができない、という問題があった。
【0014】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、スライドガラスの交換に伴う作業効率を高め得るスライドガラス保管器、搬送装置及び顕微鏡システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するため本発明のスライドガラス保管器においては、スライドガラスの長辺に許容される長辺上限値及び短辺に許容される短辺上限値により規定される供給保持空間を有し、所定の処理を施す処理部へ供給すべきスライドガラスが置載される供給トレイと、長辺上限値よりも長い長辺及び短辺上限値よりも長い短辺により規定される排出保持空間を有し、処理部において処理を施され排出されるスライドガラスが置載される排出トレイと、供給トレイ及び排出トレイを支持する支持部とを設けるようにした。
【0016】
本発明のスライドガラス保管器は、供給トレイにより、スライドガラスの大きさに起因した当該スライドガラスに対する処理の可否を作業者に容易に認識させ得ると共に、排出トレイにより、位置や傾きが一様でないスライドガラスを確実に排出させることができる。
【0017】
また本発明の搬送装置においては、所定の処理を施すスライドガラスを1枚のみ保持するステージと、スライドガラスの長辺に許容される長辺上限値及び短辺に許容される短辺上限値により規定される供給保持空間を有し、ステージへ供給すべきスライドガラスが置載される供給トレイと、長辺上限値よりも長い長辺及び短辺上限値よりも長い短辺により規定される排出保持空間を有し、ステージにおいて処理を施され排出されたスライドガラスが置載される排出トレイと、供給トレイ及び排出トレイを支持する支持部とを有するスライドガラス保管器と、処理を施すべき1枚のスライドガラスをスライドガラス保管器の供給トレイから取得してステージに供給する供給アームと、ステージに置載されているスライドガラスを取得してスライドガラス保管器の排出トレイに排出する排出アームと、供給アーム及び排出アームを一体に移動させることにより、当該供給アーム又は当該排出アームをスライドガラス保管器又はステージに近接させる移動部と、供給アーム、排出アーム及び移動部を制御する制御部とを設けるようにした。
【0018】
本発明の搬送装置は、供給トレイにより、スライドガラスの大きさに起因した当該スライドガラスに対する処理の可否を作業者に容易に認識させ得ると共に、排出トレイにより、位置や傾きが一様でないスライドガラスを確実に排出させることができる。
【0019】
さらに本発明の顕微鏡システムにおいては、拡大像を生成すべきスライドガラスを1枚のみ保持するステージと、スライドガラスの長辺に許容される長辺上限値及び短辺に許容される短辺上限値により規定される供給保持空間を有し、ステージへ供給すべきスライドガラスが置載される供給トレイと、長辺上限値よりも長い長辺及び短辺上限値よりも長い短辺により規定される排出保持空間を有し、ステージにおいて拡大像の生成が終了し排出されたスライドガラスが置載される排出トレイと、供給トレイ及び排出トレイを支持する支持部とを有するスライドガラス保管器と、拡大像を生成すべき1枚のスライドガラスをスライドガラス保管器の供給トレイから取得してステージに供給する供給アームと、ステージに置載されているスライドガラスを取得してスライドガラス保管器の排出トレイに排出する排出アームと、供給アーム及び排出アームを一体に移動させることにより、当該供給アーム又は当該排出アームをスライドガラス保管器又はステージに近接させる移動部と、供給アーム、排出アーム及び移動部を制御する制御部とを設けるようにした。
【0020】
本発明の顕微鏡システムは、供給トレイにより、スライドガラスの大きさに起因した当該スライドガラスに対する拡大像の生成処理の可否を作業者に容易に認識させ得ると共に、排出トレイにより、位置や傾きが一様でないスライドガラスを確実に排出させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、供給トレイにより、スライドガラスの大きさに起因した当該スライドガラスに対する処理の可否を作業者に容易に認識させ得ると共に、排出トレイにより、位置や傾きが一様でないスライドガラスを確実に排出させることができる。かくして本発明は、スライドガラスの交換に伴う作業効率を高め得るスライドガラス保管器及び搬送装置を実現できる。
【0022】
また本発明によれば、供給トレイにより、スライドガラスの大きさに起因した当該スライドガラスに対する拡大像の生成処理の可否を作業者に容易に認識させ得ると共に、排出トレイにより、位置や傾きが一様でないスライドガラスを確実に排出させることができる。かくして本発明は、スライドガラスの交換に伴う作業効率を高め得る顕微鏡システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】顕微鏡システムの構成を示す略線的斜視図である。
【図2】制御ユニットの構成を示す略線的ブロック図である。
【図3】多数枚カセットの装着の様子を示す略線的斜視図である。
【図4】多数枚カセットの構成を示す略線図である。
【図5】多数枚カセットの重心位置を示す略線図である。
【図6】1枚トレイの構成を示す略線図である。
【図7】供給トレイの構成を示す略線的斜視図である。
【図8】供給トレイの構成を示す略線的上面図である。
【図9】排出トレイの構成を示す略線的斜視図である。
【図10】排出トレイの構成を示す略線的上面図である。
【図11】供給アーム及び排出アームの構成を示す略線的斜視図である。
【図12】クランプブロックの構成及び移動の説明に供する略線的斜視図である。
【図13】供給アームの短縮の説明に供する略線的斜視図である。
【図14】供給アームの基本搬送動作処理手順を示すフローチャートである。
【図15】供給アームによる取得動作処理手順を示すフローチャートである。
【図16】供給アームによる放出動作処理手順を示すフローチャートである。
【図17】基本搬送動作(1)を示す略線的斜視図である。
【図18】基本搬送動作(2)を示す略線的斜視図である。
【図19】基本搬送動作(3)を示す略線的斜視図である。
【図20】基本搬送動作(4)を示す略線的斜視図である。
【図21】基本搬送動作(5)を示す略線的斜視図である。
【図22】排出アームの基本搬送動作処理手順を示すフローチャートである。
【図23】排出アームによる取得動作処理手順を示すフローチャートである。
【図24】排出アームによる放出動作処理手順を示すフローチャートである。
【図25】供給アーム及び排出アームによる搬送動作処理手順を示すフローチャートである。
【図26】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(1)を示す略線的斜視図である。
【図27】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(2)を示す略線的斜視図である。
【図28】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(3)を示す略線的斜視図である。
【図29】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(4)を示す略線的斜視図である。
【図30】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(5)を示す略線的斜視図である。
【図31】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(6)を示す略線的斜視図である。
【図32】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(7)を示す略線的斜視図である。
【図33】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(8)を示す略線的斜視図である。
【図34】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(9)を示す略線的斜視図である。
【図35】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(10)を示す略線的斜視図である。
【図36】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(11)を示す略線的斜視図である。
【図37】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(12)を示す略線的斜視図である。
【図38】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(13)を示す略線的斜視図である。
【図39】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(14)を示す略線的斜視図である。
【図40】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(15)を示す略線的斜視図である。
【図41】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(16)を示す略線的斜視図である。
【図42】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(17)を示す略線的斜視図である。
【図43】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(18)を示す略線的斜視図である。
【図44】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(19)を示す略線的斜視図である。
【図45】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(20)を示す略線的斜視図である。
【図46】供給アーム及び排出アームによる搬送動作(21)を示す略線的斜視図である。
【図47】占有面積の比較の説明に供する略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.他の実施の形態
【0025】
<1.実施の形態>
[1−1.顕微鏡システムの概略構成]
図1において、本実施の形態による顕微鏡システム1は、顕微鏡ユニット2と、搬送ユニット3と、図示しない制御ユニット4とにより構成されている。
【0026】
顕微鏡ユニット2は、スライドガラスSGに配される生体サンプルSPLを所定倍率で拡大した像を撮影する。搬送ユニット3は、顕微鏡ユニット2のステージにスライドガラスSGを供給し、またステージからスライドガラスSGを排出する。データ処理装置4は、顕微鏡ユニット2及び搬送ユニット3の各部を制御すると共に、顕微鏡ユニット2で撮影された像を取得する。
【0027】
スライドガラスSGは、血液等の結合組織、上皮組織又はそれらの双方の組織などの組織切片又は塗抹細胞でなる生体サンプルSPLを、所定の固定手法により固定したものであり、該組織切片又は塗抹細胞には必要に応じて染色が施される。この染色には、HE(ヘマトキシリン・エオシン)染色、ギムザ染色又はパパニコロウ染色等に代表される一般染色のみならず、FISH(Fluorescence In-Situ Hybridization)や酵素抗体法等の蛍光染色が含まれる。
【0028】
因みにスライドガラスSGは、生体サンプルSPLが置載された状態で包埋剤が塗布され、さらにカバーガラスで被覆されるようになされている。
【0029】
また顕微鏡システム1では、スライドガラスSGについて、長辺及び短辺それぞれの基準となる長さを規定しており、さらに長辺及び短辺それぞれの長さに許容誤差を加味した長辺上限値及び長辺下限値並びに短辺上限値及び短辺下限値をそれぞれ規定している。
【0030】
以下では、長辺下限値から長辺上限値までの範囲を長辺許容範囲と呼び、短辺下限値から短辺上限値までの範囲を短辺許容範囲と呼ぶ。さらに、スライドガラスSGの長辺が長辺許容範囲に含まれ且つ短辺が短辺許容範囲に含まれることを許容範囲内にあると呼び、それ以外の場合を許容範囲内にない、若しくは許容範囲外にあると呼ぶ。
【0031】
顕微鏡ユニット2は、略水平に配置された略平板状の土台部11の上面11Aにおける奥側の所定位置にフレーム部12が配置され、その手前側に透過照明部13が配置されている。
【0032】
フレーム部12は、土台部11の上面11Aと直交する方向(Z軸方向)に延びる支柱部12Aと、当該支柱部12Aの上側一端から土台部11と略水平に手前方向(Y軸方向)に延びる支持部12Bとにより側面略L字型状に形成される。
【0033】
支柱部12Aにおける手前側の面には、Z軸方向に沿ってガイド12Cが形成されており、当該ガイド12Cと係合してZ軸方向に移動可能なステージ部14が設けられている。
【0034】
ステージ部14には、スライドガラスSGが置載されて固定されるステージ15、当該ステージ15をX軸、Y軸及びZ軸方向に移動させるステージ駆動機構16が設けられている。
【0035】
ステージ15には、置載されるスライドガラスSGを固定又は解放するための可動式のクリップ部材が複数設けられている。ステージ15は、許容範囲内のスライドガラスSGが正しく置載されていれば、当該クリップ部材により正しく固定又は解放できるようになされている。
【0036】
支持部12Bにおける透過照明部13の略鉛直線上には、ステージ15の上側(Z軸方向側)に向かって、当該鉛直線を光軸とするレンズ系17及び撮像素子18が順次設けられている。
【0037】
レンズ系17は、対物レンズ及び結像レンズを含む複数のレンズからなり、ステージ15に置載され透過照明部13により照明されたスライドガラスSGに固定されている生体サンプルSPLを所定の倍率に拡大する。撮像素子18は、レンズ系15により拡大される生体サンプルSPLの像が撮像面に結像されることにより、この像を撮影し得るようになされている。
【0038】
[1−2.制御ユニットの構成]
制御ユニット4は、顕微鏡ユニット2の各部を制御すると共に、撮像により得られた撮像対象の画像データに対し所定の画像処理等を施すと共に、所定の記憶部に記憶させるようになされている。
【0039】
図2に示すように、制御ユニット4は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)21A、データが予め記憶されたROM(Read Only Memory)21B、及びデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)21Cを有する制御部21を中心に構成されている。
【0040】
制御部21では、CPU21AがRAM21Cをワークエリアとして用いながら、バス22を介してROM21Bや記憶部23から読み出した各種プログラムを実行し、また当該記憶部23に各種データを記憶させるようになされている。
【0041】
記憶部23は、例えばハードディスクドライブや光ディスクドライブ、或いはフラッシュメモリ等でなり、高解像度の画像データのような大容量の各種データを記憶し得るようになされている。
【0042】
操作部24は、例えばキーボードや各種スイッチ、或いはタッチパネル等でなり、ユーザの操作入力を受け付け、その操作内容を表す操作命令を制御部21へ供給するようになされている。
【0043】
表示部25は、例えば液晶ディスプレイやEL(Electro Luminescence)ディスプレイ、或いはプラズマディスプレイ等でなり、各種表示画面や撮像した画像データを画像として表示し得るようになされている。
【0044】
インタフェース26は、顕微鏡ユニット2のステージ15、ステージ移動機構16、撮像素子18及び後述する搬送ユニット3の各部等との間で各種制御信号や検出信号、或いは各種データ等を送受信するようになされている。
【0045】
[1−3.搬送ユニットの構成]
搬送ユニット3(図1)は、顕微鏡ユニット2の土台11に連結され略水平方向に延長された土台31を基礎として構成されている。
【0046】
土台31の上面31Aにおける略中央部分には、当該上面31Aに略垂直な中心軸を中心に回転し得る略円盤状の回転台32が設けられている。回転台32の上面32Aには、当該上面32Aに略垂直な方向に向けて、すなわちZ軸方向に沿うように、略三角柱状の支柱33が延設されている。
【0047】
支柱33の一側面には、Z軸方向に沿った移動レール33Aを介して移動基台34が係合されている。移動基台34は、制御ユニット4の制御に基づき図示しない駆動機構を介して駆動されることにより、移動レール33Aに係合した状態で上方向又は下方向へ移動し得るようになされている。
【0048】
移動基台34には、ステージ15(図1)にスライドガラスSGを供給する供給アーム35及び当該ステージ15からスライドガラスSGを排出する排出アーム36が取り付けられている(詳しくは後述する)。
【0049】
一方、土台31の上面31Aには、上述した仮想中心線Xを中心軸として、回転台32よりも大きな半径でなる円周に沿うように、略直方体状でなる台座37A、37B、37C、37D及び37E(以下これらをまとめて台座37と呼ぶ)が約45度ごとに5箇所配置されている。
【0050】
台座37A〜37Eは、その長辺を回転台32の回転中心と対向させるように、すなわち長辺の中心における垂線が仮想中心線Xと交差するように配置されている。
【0051】
この台座37には、図1と対応する図3に示すように、ステージ15に供給すべきスライドガラスSGを60枚まで保管し得る保管器としての多数枚カセット40をそれぞれ装着することができる。因みに図3の場合、搬送ユニット3は、5本の多数枚カセット40により合計300枚のスライドガラスSGを保管することができる。
【0052】
また台座37には、図1に示したように、ステージ15に供給すべきスライドガラスSGを1枚保管するための保管器としての1枚トレイ50を装着することもできる。さらに搬送ユニット3は、例えば台座37Aに1枚トレイ50を装着し、台座37B〜37Eにそれぞれ多数枚カセット40を装着するといった組み合わせによっても、スライドガラスSGを保管し得るようになされている。
【0053】
説明の都合上、以下では台座37に装着されている多数枚カセット40及び1枚トレイ50を合わせて保管部38と呼ぶ。
【0054】
実際上、搬送ユニット3は、制御ユニット4による制御の基で、回転台32の回転動作及び移動基台34の移動動作の組み合わせにより、供給アーム35又は排出アーム36を所望の方向に旋回させ得ると共に所望の高さに合わせ得るようになされている。
【0055】
これにより搬送ユニット3は、供給アーム35又は排出アーム36をステージ15(図1)に対向させ、或いは保管部38におけるいずれかの多数枚カセット40のうちいずれかのスロットに対向させ得るようになされている。
【0056】
[1−4.多数枚カセットの構成]
多数枚カセット40は、図4(A)、(B)及び(C)に示すように、底面部41、側面板42及び43並びに上面板44を箱状に組み合わせることにより、スライドガラスSGを収納するための内部空間を形成するようになされている。
【0057】
因みに図4(A)は多数枚カセット40を右斜め前の上方から見た斜視図を示しており、図4(B)及び(C)はその正面図及び右側面図を示している。
【0058】
底面部41は、略直方体状に構成されており、図示しない係合機構により、搬送ユニット3の台座37と係合し得るようになされている。また底面部41は、左右両側面に側面板42及び43がそれぞれねじ止めされるようになされている。
【0059】
側面板42及び43は、全体として細長い略直方体状に構成されており、底面部41に取り付けられたときにその長手方向がほぼ鉛直方向を向くようになされている。また側面板42及び43は、組み合わせたときに内面となる側に、スライドガラスSGの長手方向における一端側を1枚ずつ保持するための略水平なスリットが収納枚数分(すなわち60枚分)縦方向に繰り返し形成されている。
【0060】
すなわち多数枚カセット40は、側面板42及び43の互いに対応するスリットの間に渡るよう、スライドガラスSGを保持し得るようになされている。このとき多数枚カセット40内においてスリットにより形成される、スライドガラスSGを1枚ずつ収容し得る空間(以下これをスロットと呼ぶ)は、長辺最大長さ及び短辺最大長さでなるスライドガラスSGを収容し得るようになされている。
【0061】
またスリットの表面は、摩擦を小さくするよう滑らかに形成されている。このため多数枚カセット40は、側面板42及び43に形成されたスリットに対しスライドガラスSGを摺動させるだけで、スムーズに装填し、また取り出すことができる。
【0062】
さらに側面板42及び43の奥側には、スリットの奥側へスライドガラスSGが抜け落ちてしまうことを防止する板状の防護板42A及び43Aが取り付けられている。すなわち多数枚カセット40は、スリットが解放されている手前側の面からのみ、スライドガラスSGを挿入し又は取り出すようになされている。
【0063】
天板44は、底面部41を上下方向に薄くしたような扁平な直方体状に構成されており、左右両側面に側面板42及び43がそれぞれねじ止めされるようになされている。
【0064】
さらに天板44の左右両側面には、略三角形状の薄板状部材でなる取手支持板45及び当該取手支持板45と左右対称な取手支持板46が取り付けられている。取手支持板45及び46は、その上側の頂点が底辺に対し手前側に偏ったような形状となっている。
【0065】
取手支持板45及び46の上側頂点同士の間には、両頂点部分を結ぶ略円柱状の握り部47が渡されている。
【0066】
ここで図5(A)に模式的な側面図を示すように、多数枚カセット40の重心点は、スライドガラスSGが未装填の(すなわち空の)状態及び当該スライドガラスSGが60枚全て装填された状態のいずれにおいても、おおよそ点P1の位置となる。
【0067】
また握り部47については、多数枚カセット40全体の重心点P1及び当該握り部47の中心点P2を結ぶ仮想的な直線L1と、鉛直線との間でなす角度θを、4度以上6度以下の範囲に収めるように設計されている。
【0068】
このため多数枚カセット40は、図5(B)に示すように、握り部47が作業者等により把持されたとき、重心点P1が握り部47の中心点P2のほぼ真下に位置するため、手前側の面をやや上方へ向けるように傾く。
【0069】
すなわち多数枚カセット40は、運搬される際には、作業者に把持されるだけで、防護板42A及び43Aが取り付けられている奥側を下方へ向けると共にスリットの解放されている側を上方へ向けて傾けることができる。このため多数枚カセット40は、スライドガラスSGが運搬中に落下されてしまう可能性を大幅に低減することができる。
【0070】
また多数枚カセット40は、水平な台の上に置載され、或いは台座37に取り付けられたときには、ほぼ鉛直に立つことになるため、各スリットを水平に戻す。このため各スライドガラスSGについては、水平方向への比較的弱い力を加えるだけで、当該スリット内を摺動させて多数枚カセット40に挿入でき、又は当該多数枚カセット40から取り出すことができる。
【0071】
因みに多数枚カセット40の角度θについては、握り部47を作業者等により把持されたときにスライドガラスSGを滑り落ちさせないために、4度以上に設定されている。また角度θについては、作成された直後のスライドガラスSGにおけるカバーガラスのずれを防止するために、6度以下に設定されている。
【0072】
[1−5.1枚トレイの構成]
1枚トレイ50は、図6に示すように、薄板状の支持板51の上端近傍に供給トレイ52が設けられ、その下方に排出トレイ53が設けられた構成となっている。
【0073】
[1−5−1.供給トレイの構成]
供給トレイ52は、図7に斜視図を示すと共に図8に上面図を示すように、全体として略直方体状に構成されており、その上面側をスライドガラスSG及び当該スライドガラスSGを置載するために必要な空間に合わせて切削したような形状となっている。
【0074】
供給トレイ52は、内側壁52A1及び52A2、52B、52C1及び52C2並びに52D1及び52D2により囲まれる保持空間52E(図8)内にスライドガラスSGを保持するようになされている。
【0075】
このとき供給トレイ52は、支持面52F1、52F2及び52F3(図8において斜線で示す)によりスライドガラスSGを下側から支持することになる。また供給トレイ52は、保持空間52Eの上方が解放されている。
【0076】
実際上、供給トレイ52は、作業者の手作業によりスライドガラスSGが保持空間52Eに合わせて上方から置載され、その後供給アーム35により当該スライドガラスSGが把持されて取り出されるようになされている。
【0077】
また供給トレイ52には、作業者がスライドガラスSGを置載する際に、当該スライドガラスSGを下面から挟む指を逃がすための空間52Jと、供給アーム35(図1)の先端部分を差し入れるための空間52Kとが形成されている。
【0078】
さらに供給トレイ52には、長手方向に関し空間52Jと反対側に、作業者がスライドガラスSGにおける長手方向の端面を滑らせながら保持空間52Eに位置を合わせて置載させるための斜面部52L及び突当板52Mも設けられている。
【0079】
ところで供給トレイ52は、内側壁52A1及び52A2、52B、52C1及び52C2並びに52D1及び52D2により囲まれる保持空間52Eにおける長辺及び短辺の長さが、スライドガラスSGの長辺上限値及び短辺上限値とそれぞれ同程度に設定されている。
【0080】
すなわち供給トレイ52の保持空間52Eには、例えばカバーガラスや包埋剤が側方にはみ出ている、或いは長辺が長辺上限値よりも長いといった、許容範囲を超えるスライドガラスSGを設置できないようになされている。
【0081】
因みに供給トレイ52は、長辺が長辺上限値より短く、又は短辺が短辺上限値よりも短いスライドガラスSGについては、保持空間52E内でがたつかせることになるため、当該スライドガラスの長辺又は短辺が短いことを作業者に明確に認識させることができる。
【0082】
また保持空間52Eの大きさは、スライドガラスSGの置載範囲をある程度制限するように、当該スライドガラスSGの周囲に余分な空間を極力形成しないようになされている。これにより供給トレイ52は、スライドガラスSGを比較的狭い範囲に位置させ、供給アーム35(図1)に正しく把持させ得るようになされている。
【0083】
さらに供給トレイ52では、内壁面52C1及び52C2からそれぞれ繋がる部分上面52N1及び52N2と支持面52F2及び52F3と段差が低く抑えられている。因みにこの段差は、例えばスライドガラスSGの厚さに換算して1枚乃至2枚程度の高さとなっている。
【0084】
これにより供給トレイ52では、許容範囲を超えるスライドガラスSGについては、支持面52F1、52F2及び52F3に正しく当接せず、その一部が部分上面52N1又は52N2に乗り上げることになるため、不安定な状態、いわば「がたついた」状態とすることができる。
【0085】
これにより供給トレイ52では、スライドガラスSGが保持空間52Eに正しく収まっていないこと、すなわち当該スライドガラスSGが不安定であり規定の大きさを超えていることを、作業者に対し触覚や視覚或いは聴覚を通じて認識させることができる。
【0086】
さらに供給トレイ52における支持面52F1、52F2と支持面52F3との長辺方向に関する間隔は、スライドガラスSGにおける長辺下限値と同程度に設定されている。これにより供給トレイ52は、長辺の長さが長辺下限値を下回ることにより供給アーム35やステージ15(図1)から外れるおそれがあるスライドガラスSGを、正しく置載し得ないようになされている。
【0087】
このとき供給トレイ52では、スライドガラスSGが長辺下限値を下回ることを、当該スライドガラスSGが支持面52F1、52F2及び53F3により正しく支持されず不安定になることにより、作業者に対し触覚や視覚を通じて認識させることができる。
【0088】
このように供給トレイ52は、許容範囲外のスライドガラスSGを正しく置載し得ないようになされている。これにより供給トレイ52は、作業者等に対し、許容範囲外のスライドガラスSGを容易に認識させ、顕微鏡システム1では撮像し得ないことを直ちに理解させることができる。
【0089】
[1−5−2.排出トレイの構成]
排出トレイ53は、図9(A)及び(B)に斜視図を示すと共に図10に上面図を示すように、全体として略直方体状に構成されており、その上面側をスライドガラスSG及び当該スライドガラスSGを置載するために必要な空間に合わせて切削したような形状となっている。
【0090】
説明の都合上、以下では排出トレイ53のうち排出アーム36が挿入される側面を挿入面53S1と呼び、その反対側面を排出面53S2と呼ぶ。
【0091】
排出トレイ53は、スライドガラスSGにおける短辺側に対応する内側面53A1及びA2並びに内側面53B1及び53B2に挟まれ、長辺側に対応する部分が解放され、内底面53C1及びC2により区切られた保持空間53Dに当該スライドガラスSGを保持するようになされている。
【0092】
内側面53A1及び53B1は、互いに略平行となっているものの、内側面53A2及び53B2は、挿入面53S1に近づくに連れて互いの間隔を広げるよう傾斜されている。
【0093】
また内底面53C1及び53C2の間には、挿入面53S1側から排出アーム36(図1)の先端部分を差し入れるための空間53Eが形成されている。
【0094】
一方、排出面53S2の上方には、その周囲よりも突出した突出部53Fが形成されている。当該突出部には、保持空間53Dから貫通されスライドガラスSGを横長に通過させ得るような通過断面を有する孔部53Gが穿設されている。
【0095】
実際上、排出トレイ53は、排出アーム36により挿入面53S1側からスライドガラスSGが運ばれてくると、保持空間53D内に当該スライドガラスSGを保持する。
【0096】
ここでスライドガラスSGについて、排出トレイ53に挿入される際の理想的な状態は、排出アーム36による進行方向と当該スライドガラスSGの短辺とが略平行であり、挿入面53S1と当該スライドガラスSGの長辺とが略平行な状態である。以下これを理想挿入状態と呼ぶ。
【0097】
しかしながら、スライドガラスSGは、ステージ15から取り出される際の排出アーム36による把持動作等の影響により、理想挿入状態から長辺方向にずれた状態や水平方向に傾いた(回転した)状態で排出トレイ53に挿入される可能性がある。
【0098】
この点において排出トレイ53は、挿入面側部分における内側面53A2及び53B2の間隔がスライドガラスSGにおける規定の長さよりも十分に長く(広く)、且つ内部へ進むに連れて短く(狭く)なっている。このため排出トレイ53は、保持空間53DにスライドガラスSGを確実に挿入させることができる。
【0099】
このとき排出トレイ53は、挿入面53S1側からスライドガラスSGが保持空間53D内へ挿入される際に、互いの間隔が徐々に狭められている内側面53A2及び53B2に当該スライドガラスSGを当接させることになる。
【0100】
これにより排出トレイ53は、当該スライドガラスSGの短辺を当該スライドガラスSGの進行方向と略平行に近づけていくよう、その位置ずれや傾きを徐々に修正することができる。
【0101】
その後排出トレイ53は、保持空間53Dに保持しているスライドガラスSGにおける挿入面側の長辺が排出アームの先端部分によって押し込まれることにより、図9(C)に示すように、孔部53Gから当該スライドガラスSGの一部を露出させる。
【0102】
これにより排出トレイ53は、作業者に対し、供給トレイの下段に位置することからそのままでは取り出し難いスライドガラスSGを、容易に把持させて取り出させることができる。
【0103】
このように1枚トレイ50では、供給用及び排出用それぞれにトレイを独立させ、さらにそれぞれの目的に応じて供給トレイ52及び排出トレイ53の形状を相違させている。
【0104】
[1−6.供給アーム及び排出アームの構成]
次に、供給アーム35及び排出アーム36について説明する。供給アーム35及び排出アーム36は、互いに類似した構成となっており、また移動基台34に対し同一方向へ向けて上下に重なるように取り付けられている。
【0105】
[1−6−1.供給アームの構成]
供給アーム35は、図11に示すように、移動基台34に固定されるアーム固定部60と、当該アーム固定部60に対し移動されると共にスライドガラスSGを把持し得るアーム移動部70とにより構成されている。
【0106】
アーム固定部60は、上下方向に薄い扁平な略直方体状のアーム基台61を中心に構成されている。アーム基台61は、その長手方向に関する一端側の側面である取付面61Aを介して移動基台34(図1)に取り付けられるようになされている。
【0107】
以下では、アーム基台61において取付面61A側からその反対側面へ向かう方向をQ軸方向と定義し、下側から上側へ向かう方向をR軸方向、Q軸及びR軸とそれぞれ直交する一方向をP軸方向と定義する。
【0108】
アーム基台61のP軸方向に関する両側面部分には、Q軸方向に沿って、略円柱状の移動軸62A及び62Bがそれぞれ設けられている。
【0109】
アーム基台61における略中央部分の内部には、モータ等でなる直動部63が設けられており、上面よりも上方(+R方向)へ突出して設けられたギア63Aにその回転駆動力が伝達されるようになされている。
【0110】
アーム基台61の上面における所定箇所には、アーム移動部70が−Q方向の所定位置にあることを検出するためのセンサ64が設けられている。
【0111】
またアーム基台61の+Q側の側面には、板状部材が折り曲げ加工されたような形状でなる脱落防止ガイド65が取り付けられている。
【0112】
脱落防止ガイド65は、アーム基台61に対し、平板状でなる平板部65AがP軸方向を長手方向としてアーム基台61における+Q側の側面と略平行に取り付けられている。
【0113】
平板部65AのP軸方向に関する両端部分には、P軸方向に関してスライドガラスSGの脱落を防止するガイド部65B及び65Cが設けられている。
【0114】
ガイド部65Bは、略短冊状でなりR軸方向に関し平板部65Aの約2倍の長さを有しQ軸方向に短い連結板65B1が、平板部65Aの+P側端に、当該平板部65Aと−R側端面を揃えて、+Q方向よりも僅かに+P方向へ傾くように、すなわち外方へ開くように延設されている。
【0115】
連結板65B1の上半分には、R軸方向に関し平板部65Aと略同等の長さでなると共に、Q軸方向に関しスライドガラスSGの短辺長さと同程度の長さでなる短冊状のガイド板65B2が、−Q方向へ向けて延設されている。
【0116】
またガイド板65B2の+P側面における−Q寄りの位置には、当該ガイド板65B2とほぼ同形状の短冊状部材でなる延長ガイド板65B3が、図示しないねじ等により部分的に重ねるように取り付けられている。さらに延長ガイド板65B3は、ガイド板62B2の−Q側終端部の近傍において、−P側(すなわち内側)に折り曲げられている。
【0117】
ガイド部65Cは、ガイド部65BとQ軸及びR軸に関してほぼ対称に構成されており、連結板65B1、ガイド板65B2及び延長ガイド板65B3とそれぞれ対応する連結板65C1、ガイド板65C2及び延長ガイド板65C3を有している。
【0118】
ここでガイド板65B2及び65C2の間隔は、スライドガラスSGにおける長辺上限値と同程度に調整されている。このためガイド部65B及び65Cにより挟まれる空間は、許容範囲内のスライドガラスSGを保持し得る空間となる。以下この空間を保持空間65Dと呼ぶ。
【0119】
保持空間65Dは、連結板65B1及び65C1の傾きにより、+Q側の部分において、+Q方向へ進むに連れてP軸方向に拡張されていくように形成されている。
【0120】
一方アーム移動部70は、アーム基台61に対しQ軸方向に沿って滑動されることにより当該アーム基台61の上面と略平行に移動するアーム滑動体71を中心に構成されている。
【0121】
アーム滑動体71は、Q軸方向及びP軸方向に関しアーム基台61と同程度の長さを有する薄板状に構成されており、一部の周側部分が上方(+R方向)へ折り曲げられることにより強度を確保するようになされている。
【0122】
アーム滑動体71の+Q側には、スライドガラスSGを置載するための平滑な置載面71BXが形成されており、当該置載面71BXの+Q側端部には、上方(+R方向)へ向けて固定把持子としての固定爪71BYが垂設されている。
【0123】
またアーム滑動体71における中央から−Q側寄りの部分には、ギア63Aを逃がし得る孔径でなりQ軸方向に沿った長径を有する略長円状の孔部71Aが穿設されている。当該孔部71Aにおける+P側側面には、ギア63Aと噛合するラック71AXが形成されている。
【0124】
さらにアーム滑動体71の−Q側下面には、移動軸62A及び62Bとそれぞれ対応する軸受部72A及び72Bが取り付けられている。
【0125】
このような構成において供給アーム35は、制御ユニット4の制御に基づき、直動部63によってギア63Aを回転駆動させることにより、アーム固定部60に対しアーム移動部70をQ軸方向に沿って滑動させ得るようになされている。
【0126】
例えば供給アーム35は、置載面71BXにスライドガラスSGが置載された状態で、アーム移動部70を−Q方向へ滑動させる短縮動作を行うことにより、当該スライドガラスSGを保持空間65D内へ引き込むように移動させることができる。
【0127】
このとき供給アーム35は、スライドガラスSGがP軸方向に関して多少偏った位置に置載されていたとしても、ガイド部65B又は65Cに当接させながら引き込むことにより、当該P軸方向に関する位置を中央寄りに修正することができる。
【0128】
さらにアーム滑動体71の上面には、その中央よりもやや+Q側における、固定爪71BYから−Q方向にスライドガラスSGの短辺上限値程度の間隔を空けた箇所に、クランプ部73が設けられている。
【0129】
クランプ部73は、図12(A)に示すように、取付板74を中心として複数の部品の組み合わせにより構成されている。取付板74は、全体が略平板状でなりアーム滑動体71の上面に取り付けられる底板部74Aと、当該底板部74Aにおける−Q側の端部から上方(+R方向)へ向けて延設された側板部74Bとにより構成されている。
【0130】
側板部74Bの−Q側には、クランプモータ75が取り付けられている。当該クランプモータ75の出力軸は、側板部74Bに穿設された孔を貫通し+Q方向へ向けて延長されており、螺旋状の溝が刻まれている。
【0131】
一方、底板部74Aの上面中央から+Q側端部にかけて、扁平な略直方体状でなる移動把持子としてのクランプブロック76が当該底板部74Aに対しQ軸方向に沿って摺動し得るように設けられている。クランプブロック76は、その−Q側の側面から内部に貫通する孔が穿設されており、また内部にクランプモータ75の出力軸と螺合する軸受76Bが設けられている。
【0132】
またクランプブロック76は、+Q側の側面下方に、周囲よりも突出しQ軸方向に細長い角柱状でなる突出部76Aが形成されている。突出部76AのR軸方向の長さ(すなわち厚さ)は、カバーガラスを除いたスライドガラスSGの厚さと同程度若しくはこれよりも薄くなるよう設定されている。
【0133】
このような構成においてクランプ部73は、制御ユニット4の制御に基づいてクランプモータ75を駆動することにより、クランプブロック76を+Q方向又は−Q方向へ移動させることができる。
【0134】
ここでクランプ部73は、固定爪71BYとクランプブロック76の突出部76Aとの間隔(以下これを把持間隔と呼ぶ)を、スライドガラスSGの短辺の規定長さ及び当該規定長さを僅かに延長した長さの間で変化させるようになされている。すなわちクランプ部73では、クランプブロック76の移動範囲が比較的狭く設定されている。このためクランプ部73は、クランプブロック76の移動動作を短時間で完了することができる。
【0135】
またクランプ部73は、クランプブロック76を比較的強い力で駆動するようになされている。
【0136】
供給アーム35(図11)は、実際にスライドガラスSGを把持する場合、置載面70BXにスライドガラスSGが置載される前に、図12(A)に示したように、予めクランプブロック76を−Q方向へ移動させておくことにより、突出部76Aと固定爪71BYとの間隔を広げておく。以下、クランプブロック76を−Q方向へ移動させる動作を解放動作と呼ぶ。
【0137】
その後供給アーム35は、置載面70BXにスライドガラスSGが置載された状態で、アーム移動部70を−Q方向へ移動させて短縮することにより、図13に示すように、当該スライドガラスSGを保持空間65D内へ移動させる。
【0138】
続いて供給アーム35は、図12(B)に示すように、クランプブロック76を所定のトルクで+Q方向へ移動させていく。以下、クランプブロック76を+Q方向へ移動させる動作を押付動作と呼ぶ。
【0139】
これにより供給アーム35は、保持空間65D内に保持されているスライドガラスSGを、クランプブロック76の突出部76Aと固定爪71BYとの間に挟み込むことにより、当該供給アーム35に当該スライドガラスSGを固定させることができる。
【0140】
このとき突出部76Aは、スライドガラスSGそのものに当接する。このため突出部76Aは、仮に当該スライドガラスSGにおいてカバーガラスが側方にはみ出していたとしても、当該カバーガラスに押付力を加えることがなく、破損させるおそれがない。
【0141】
以下では、このようにアーム移動部70がクランプブロック76の突出部76Aと固定爪71BYとの間にスライドガラスSGを挟み込んで固定する動作を把持動作と呼ぶ。
【0142】
また以下では、アーム移動部70の先端側において、置載面71BX、固定爪71BY及びクランプブロック76の突出部76Aにより構成される、スライドガラスSGを把持する機構を把持部70Aと呼ぶ。
【0143】
ところでクランプブロック76(図12(A))の上面における+P側及び−P側には、薄板状の部材が側面略L字状に折り曲げられてなる検出切片77A及び77Bがそれぞれ設けられている。
【0144】
検出切片77Aは、その一部がクランプブロック76の上面に固定され、当該クランプブロック76の+P側の側面よりも+P方向へ突出した箇所において、+P側の先端部分が下方向(−R方向)へ折り曲げられた状態となっている。
【0145】
また検出切片77Bは、検出切片77Aほぼ同様の形状でなり、当該検出切片77AをR軸に関し半回転させ、その−P側の先端部分を当該クランプブロック76の−P側の側面よりも−P方向へ突出させたように取り付けられている。
【0146】
さらに、底板部74Aの検出切片77A及び77Bとそれぞれ対応する箇所には、当該検出切片77A及び77Bが所定の位置にあること、すなわち把持間隔が所定の間隔であることをそれぞれ検出するセンサ78A及び78Bが取り付けられている。
【0147】
因みにクランプ部73では、把持間隔がスライドガラスSGにおける短辺下限値を下回ったこと及び短辺上限値を上回ったことをそれぞれ検出し得るよう、センサ78A及び78Bの取付位置がそれぞれ設定されている。
【0148】
これにより供給アーム35では、スライドガラスSGを把持したときに、当該スライドガラスSGの短辺長さが短辺許容範囲にあるか否かを検出することができる。
【0149】
このように供給アーム35は、アーム移動部70を−Q方向へ滑動させる短縮動作によりスライドガラスSGを保持空間65D内に移動させ、また把持部70Aの把持動作により当該スライドガラスSGを把持し得るようになされている。
【0150】
[1−6−2.供給アームの基本搬送動作]
実際上、制御ユニット4(図2)は、供給アーム35によりスライドガラスSGを搬送する場合、基本的には図14〜図16に示すフローチャートに従って制御するようになされている。
【0151】
因みにここでは、複数枚カセット40でなる保管部38に保管されているスライドガラスSGをステージ15へ搬送する場合を例に説明する。また以下では、搬送対象となるスライドガラスSGを対象スライドガラスSGTと呼ぶ。
【0152】
制御ユニット4の制御部21は、例えば操作部24を介して供給アーム35による搬送動作の開始指示を受け付けると、ルーチンRT1(図14)を開始してステップSP1へ移る。
【0153】
ステップSP1において制御部21は、移動基台34を上下方向へ移動させることにより、供給アーム35の高さを、対象スライドガラスSGTが保管されている保管箇所の高さに合わせ、次のステップSP2へ移る。
【0154】
このとき制御部21は、供給アーム35における固定爪71BY(図11)の上端部分が対象スライドガラスSGTの下面よりも僅かに下となるよう、移動基台34の高さを制御するようになされている。
【0155】
ステップSP2において制御部21は、供給アーム35による取得動作処理を行うべくサブルーチンSRT1(図15)へ移り、ステップSP11へ移る。
【0156】
ステップSP11において制御部21は、供給アーム35の直動部63を制御することにより、図17に示すように、アーム移動部70(図11)を+Q方向へ滑動させる伸長動作を行わせ、次のステップSP12へ移る。
【0157】
このときアーム移動部70の置載面71BXは、対象スライドガラスSGTのほぼ真下に位置することになる。
【0158】
ステップSP12において制御部21は、移動基台34を上方向へ移動させることにより供給アーム35を上昇させ、次のステップSP13へ移る。
【0159】
このとき供給アーム35は、置載面71BXに対象スライドガラスSGTを置載させると共に、当該対象スライドガラスSGTの長手方向における両端部分を多数枚カセット40のスリット部分から浮き上がらせる。
【0160】
ステップSP13において制御部21は、供給アーム35の直動部63を制御して短縮動作を行わせ、次のステップSP14へ移る。
【0161】
このとき供給アーム35は、対象スライドガラスSGTがガイド部65B又は65Cに引っかからなければ、図18に示すように、アーム移動部70を完全に短縮させ、対象スライドガラスSGTを保持空間65D内に移動させることになる。
【0162】
一方供給アーム35は、対象スライドガラスSGTがガイド部65B又は65C等に引っかかった場合には、対象スライドガラスSGTの破損を防止すべく、アーム移動部70を無理に滑動させずに途中で停止させる。このとき対象スライドガラスSGTは、保持空間65Dへは引き込まれないことになる。
【0163】
ステップSP14において制御部21は、センサ64の検出結果を基に、供給アーム35のアーム移動部を完全に短縮できたか否かを判定する。
【0164】
ステップSP14において肯定結果が得られると、このことは対象スライドガラスSGTをガイド部65B及び65Cに引っかけることなく保持空間65D内に移動できたこと、すなわち対象スライドガラスSGTにおける長辺長さが長辺上限値以下であることを表している。このとき制御部21は、対象スライドガラスSGTの搬送処理を進めるべく、次のステップSP15へ移る。
【0165】
ステップSP15において制御部21は、供給アーム35におけるクランプ部73のクランプモータ75を制御して、クランプブロック76を+Q方向へ移動させる押付動作を行わせる。これにより制御部21は、当該クランプブロック76の突出部76Aと把持爪71BXとの間に対象スライドガラスSGTを把持させ、次のステップSP16へ移る。
【0166】
因みに、クランプ部73におけるクランプブロック76の移動距離が短いことから、把持動作は極めて短い時間で完了する。
【0167】
このとき供給アーム35は、クランプ部73のセンサ78A及び78Bにより、把持間隔を検出することができる。
【0168】
ステップSP16において制御部21は、検出した把持間隔が短辺許容範囲内であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは把持している対象スライドガラスSGTが長辺及び短辺のいずれも許容範囲内であり、ステージ15に正しく設置し得ることを表しており、このとき制御部21は次のステップSP20へ移る。
【0169】
一方、ステップSP14において否定結果が得られると、このことは対象スライドガラスSGTが長辺上限値を超える等の理由でガイド部65B又は65Cに引っかかり保持空間65Dに移動できなかったことを表している。このとき制御部21は、現在の対象スライドガラスSGTについては把持することができないためステージ15へ搬送できないものと判断し、次のステップSP17へ移る。
【0170】
ステップSP17において制御部21は、供給アーム35の直動部63を制御して、アーム移動部70(図11)を+Q方向へ滑動させる伸長動作を行わせ、次のステップSP18へ移る。
【0171】
このとき対象スライドガラスSGTは、保管部38における元の保管場所において置載面71BXに置載された状態、すなわち多数枚カセット40のスリット部分から浮き上がった状態となる。
【0172】
ステップSP18において制御部21は、移動基台34を下方向へ移動させることにより供給アーム35を下降させ、次のステップSP20へ移る。
【0173】
このとき対象スライドガラスSGTは、長手方向における両端部分が多数枚カセット40のスリット部分により支持された状態、すなわち取得動作の開始前と同じ状態に戻る。
【0174】
また、ステップSP16において否定結果が得られると、このことは対象スライドガラスSGTの短辺長さが許容範囲外でありステージ15には正しく固定され得ないことを表している。このとき制御部21は、対象スライドガラスSGTをステージ15へ搬送すべきではないと判断し、次のステップSP19へ移る。
【0175】
ステップSP19において制御部21は、クランプ部73のクランプモータ75を制御して、クランプブロック76を−Q方向へ移動させる解放動作を行わせ、次のステップSP17へ移る。
【0176】
このとき対象スライドガラスSGTは、把持部70Aにより把持されていない状態、すなわち置載面71BXに置載された状態となる。
【0177】
その後制御部21は、ステップSP14において否定結果が得られた場合と同様、ステップSP17及び18の処理を行うことにより対象スライドガラスSGTを取得動作の開始前と同等の状態に戻し、次のステップSP20へ移る。
【0178】
ステップSP20において制御部21は、対象スライドガラスSGTを正常に把持できか否かを表す結果情報をルーチンRT1へ受け渡すと共に、このサブルーチンSRT1を終了して元のルーチンRT1(図14)のステップSP2へ戻り、その次のステップSP3へ移る。
【0179】
ステップSP3において制御部21は、サブルーチンSRT1からの結果情報を元に、対象スライドガラスSGTを正常に把持できたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは現在の対象スライドガラスSGTについて搬送動作を継続すべきであることを表しており、このとき制御部21は次のステップSP4へ移る。
【0180】
ステップSP4において制御部21は、回転台32を制御することにより、図19に示すように、供給アーム35をステージ15に対向させる方向(以下これをステージ方向と呼ぶ)に旋回させ、次のステップSP5へ移る。
【0181】
このとき対象スライドガラスSGは、回転運動に伴う遠心力や慣性モーメントの作用等により様々な方向へ向かう力が作用する。しかしながら供給アーム35は、ガイド部65B及び65C並びに固定爪71BY及びクランプブロック76の突出部76Aにより、当該対象スライドガラスSGTを落下させることなく、保持空間65D内に保持し続ける。
【0182】
ステップSP5において制御部21は、移動基台34を制御することにより供給アーム35の高さをステージ15に合わせて、次のステップSP6へ移る。
【0183】
因みにこのとき制御部21は、図20に示すように、供給アーム35における置載面71BXがステージ15の上面よりも僅かに高くなるよう、当該供給アーム35の高さを制御するようになされている。
【0184】
ステップSP6において制御部21は、供給アーム35による放出動作処理を行うべくサブルーチンSRT2(図16)へ移り、ステップSP31へ移る。
【0185】
ステップSP31において制御部21は、供給アーム35の直動部63を制御することにより、図21に示すように、アーム移動部70(図11)を+Q方向へ滑動させる伸長動作を行わせ、次のステップSP32へ移る。
【0186】
このとき対象スライドガラスSGTは、ステージ15においてスライドガラスを置載すべき位置のほぼ真上に位置することになる。
【0187】
ステップSP32において制御部21は、クランプ部73のクランプモータ75を制御して、クランプブロック76を−Q方向へ移動させる解放動作を行わせ、次のステップSP33へ移る。
【0188】
このとき対象スライドガラスSGTは、把持部70Aにより把持されていない状態、すなわち何ら固定されずに置載面71BXに置載された状態となる。
【0189】
ステップSP33において制御部21は、移動基台34を下方向へ移動させることにより供給アーム35を下降させ、次のステップSP34へ移る。
【0190】
このとき対象スライドガラスSGTは、供給アーム35の置載面71BXにより中央部分が支持され、且つ長手方向の両端部分がステージ15により支持された状態となる。
【0191】
ステップSP34において制御部21は、ステージ15のクリップ部材を動作させてスライドガラスSGを固定する固定処理を行い、次のステップSP35へ移る。
【0192】
ステップSP35において制御部21は、移動基台34を下方向へ移動させることにより供給アーム35を下降させ、次のステップSP36へ移る。
【0193】
このとき供給アーム35は、ステージ15に固定された対象スライドガラスSGTから置載面71BXを離隔させ、さらに固定爪71BYの上端部分が当該対象スライドガラスSGTの下面よりも下方に位置する状態となる。
【0194】
ステップSP36において制御部21は、供給アーム35の直動部63を制御して短縮動作を行わせ、次のステップSP37へ移る。
【0195】
このとき供給アーム35は、スライドガラスSGを放出し終え、いわば空の状態となる。
【0196】
ステップSP37において制御部21は、このサブルーチンSRT2を終了して元のルーチンRT1(図14)のステップSP6へ戻り、その次のステップSP7へ移る。ステップSP7において制御部21は、ルーチンRT1を終了することにより供給アーム35の基本搬送動作を終了する。
【0197】
一方、ステップSP3において否定結果が得られると、このことは現在の対象スライドガラスSGTについて搬送動作を継続し得ないことを表しており、このとき制御部21はステップSP7へ移ってルーチンRT1を終了する。
【0198】
このように供給アーム35は、その基本搬送動作において、スライドガラスSGの長辺及び短辺の長さが許容範囲内にあるか否かを検出し、許容範囲内にある場合にのみ搬送動作を行うようになされている。
【0199】
因みに制御ユニット4の制御部21は、保管部38としての1枚トレイ50における供給トレイ52を保管箇所とする場合にも、同様の搬送動作を行うようになされている。
【0200】
[1−6−3.排出アームの構成]
排出アーム36(図11)は、供給アーム35と類似した構成となっており、アーム固定部60及びアーム移動部70とそれぞれ対応するアーム固定部80及びアーム移動部90を有している。
【0201】
アーム固定部80は、供給アーム35のアーム固定部60と比較して、脱落防止ガイド65と対応する脱落防止ガイド85を有している点が相違するものの、他の部分は同様に構成されている。
【0202】
脱落防止ガイド85は、脱落防止ガイド65の平板部65A並びにガイド部65B及び65Cとそれぞれ対応する平板部85A並びにガイド部85B及び85Cにより構成されている。
【0203】
平板部85Aは、平板部65Aと比較して、P軸方向の長さが長くなっている。ガイド部85B及び85Cは、ガイド部65B及び65Cと比較して、連結板65B1及び65C1とそれぞれ対応する連結板85B1及び85C1におけるQ軸方向からP軸方向への傾き角度が大きくなっている。
【0204】
これによりアーム固定部80は、アーム固定部60と比較して、ガイド部85B及び85Cにより形成される保持空間85Dを保持空間65Dよりも大きく形成するようになされている。これを換言すれば、保持空間85Dは、Q軸方向及びP軸方向の長さが、スライドガラスSGの長辺上限値及び短辺上限値よりも長くなっている。
【0205】
またアーム移動部90は、供給アーム35のアーム移動部70と比較して、クランプ部73(図12(A))に代わるクランプ部93を有している点が異なるものの、他の部分については同様に構成されている。
【0206】
クランプ部93は、クランプ部73と比較して、取付板74に代わる取付板94を有している点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0207】
取付板94は、取付板74と比較して、Q軸方向の長さが短くなっており、またクランプブロック76の移動可能範囲が−Q方向へ拡大されている。これによりアーム移動部90では、把持部90Aにおける固定爪71BYからクランプブロック76の突出部76Aまでの間隔が、アーム移動部70よりも拡大されている。
【0208】
このためクランプ部93は、クランプブロック76の移動動作に要する時間がクランプ部73よりも長くなっている。
【0209】
このように排出アーム36は、供給アーム35と同様に伸長動作及び短縮動作を行うことができると共に、当該供給アーム35の保持空間65Dよりも大きい保持空間85Dを有し、さらにクランプ部93におけるクランプブロック76の移動範囲が供給アーム35よりも拡大されている。
【0210】
[1−6−4.排出アームの基本搬送動作]
実際上、制御ユニット4(図2)は、排出アーム36によりスライドガラスSGを搬送する場合、図22〜図24に示すフローチャートに従って制御するようになされている。図22〜24のフローチャートは、基本的には図14〜図16とそれぞれ対応しているものの、一部異なった処理手順となっている。
【0211】
因みにここでは、ステージ15に置載されているスライドガラスSG(対象スライドガラスSGT)を複数枚カセット40でなる保管部38へ搬送する場合を例に説明する。
【0212】
制御ユニット4の制御部21は、例えば操作部24を介して排出アーム36による搬送動作の開始指示を受け付けると、ルーチンRT2を開始してステップSP41へ移る。
【0213】
ステップSP41において制御部21は、移動基台34を上下方向へ移動させることにより、排出アーム36の高さを、対象スライドガラスSGTが置載されているステージ15の高さに合わせ、次のステップSP42へ移る。
【0214】
このとき排出アーム36は、固定爪71BY(図11)の上端部分が対象スライドガラスSGTの下面よりも僅かに下とするように高さを調整される。
【0215】
ステップSP42において制御部21は、排出アーム36による取得動作処理を行うべくサブルーチンSRT3(図23)へ移り、ステップSP51へ移る。
【0216】
因みにサブルーチンSRT3は、供給アームによる取得動作処理手順を表すサブルーチンSRT1(図15)における判断処理及び対象スライドガラスSGTを元に戻す処理を省略したような処理手順となっている。
【0217】
すなわち制御部21は、ステップSP51において、排出アーム36の直動部63を制御することにより、図21に示したように、アーム移動部90(図11)を+Q方向へ滑動させる伸長動作を行わせ、次のステップSP52へ移る。
【0218】
このときアーム移動部70の置載面71BXは、対象スライドガラスSGTのほぼ真下に位置することになる。
【0219】
ステップSP52において制御部21は、移動基台34を上方向へ移動させることにより排出アーム36を上昇させ、次のステップSP13へ移る。
【0220】
このとき排出アーム36は、置載面71BXに対象スライドガラスSGTを置載させると共に、当該対象スライドガラスSGTの長手方向における両端部分をステージ15から浮き上がらせる。
【0221】
ステップSP53において制御部21は、排出アーム36の直動部63を制御して短縮動作を行わせ、次のステップSP54へ移る。
【0222】
このとき排出アーム36は、図21に示すように、アーム移動部90を完全に短縮させ、対象スライドガラスSGTを保持空間65D内に移動させる。
【0223】
因みに排出アーム36は、上述したように、保持空間85DにおけるQ軸方向及びP軸方向の長さを、スライドガラスSGにおける長辺上限値及び短辺上限値よりもそれぞれ長くしている。このため排出アーム36は、仮に置載面71BX上で対象スライドガラスSGTが傾き、或いはP軸方向にずれていたとしても、当該対象スライドガラスSGTを保持空間85D内に取り込むことができる。
【0224】
ステップSP54において制御部21は、排出アーム36におけるクランプ部93のクランプモータ75を制御して、クランプブロック76を+Q方向へ移動させる押付動作を行わせる。これにより制御部21は、当該クランプブロック76の突出部76Aと把持爪71BXとの間に対象スライドガラスSGTを把持させ、次のステップSP55へ移る。
【0225】
因みに排出アーム36は、上述したように、クランプ部93におけるクランプブロック76の移動範囲が供給アーム35のクランプ部73よりも拡大されている。このため排出アーム36は、仮に置載面71BX上で対象スライドガラスSGTが傾いていたとしても、この傾きを補正しながら当該対象スライドガラスSGTを適切に把持することができる。
【0226】
ステップSP55において制御部21は、このサブルーチンSRT3を終了して元のルーチンRT2(図22)のステップSP42へ戻り、その次のステップSP43へ移る。
【0227】
ステップSP43において制御部21は、回転台32を制御することにより、図19に示したように、排出アーム36を、保管部38としての多数枚カセット40に対向させる方向(以下これを保管方向と呼ぶ)に旋回させ、次のステップSP44へ移る。
【0228】
ステップSP44において制御部21は、移動基台34を制御することにより、排出アーム36の高さを、多数枚カセット40における対象スライドガラスSGTを保管すべきスロット(以下これを排出箇所と呼ぶ)に合わせて、次のステップSP45へ移る。
【0229】
ステップSP45において制御部21は、排出アーム36による放出動作処理を行うべくサブルーチンSRT4(図24)へ移り、ステップSP61へ移る。
【0230】
因みにサブルーチンSRT4は、供給アームによる放出動作処理手順を表すサブルーチンSRT2(図16)におけるステップSP34を省略すると共にステップSP33及びSP35の処理を一体化したような処理手順となっている。
【0231】
すなわち制御部21は、ステップSP61において、排出アーム36の直動部63を制御することにより、アーム移動部90(図11)を+Q方向へ滑動させる伸長動作を行わせ、次のステップSP62へ移る。
【0232】
このとき対象スライドガラスSGTは、図17に示したように、排出箇所のスロット内で把持部90Aにより把持された状態となる。
【0233】
ステップSP62において制御部21は、ステップSP32と同様、クランプ部93のクランプモータ95を制御して、クランプブロック76を−Q方向へ移動させる解放動作を行わせ、次のステップSP63へ移る。
【0234】
このとき対象スライドガラスSGTは、把持部90Aにより把持されていない状態、すなわち何ら固定されずに置載面71BXに置載された状態となる。
【0235】
ステップSP63において制御部21は、移動基台34を下方向へ移動させることにより排出アーム36を下降させ、次のステップSP64へ移る。
【0236】
このとき対象スライドガラスSGTは、長手方向における両端部分が多数枚カセット40のスリット部分に支持され、置載面71BXから離隔された状態となる。また排出アーム36は、固定爪71BYの上端部分が当該対象スライドガラスSGTの下面よりも下方に位置する状態となる。
【0237】
ステップSP36において制御部21は、供給アーム35の直動部63を制御して短縮動作を行わせ、次のステップSP65へ移る。
【0238】
ステップSP65において制御部21は、現在の排出箇所が1枚トレイ50の排出トレイ53であるか否かを判定する。この場合、排出箇所は多数枚カセット40のスロットであるため、制御部21は否定結果を得てステップSP69へ移る。
【0239】
ステップSP69において制御部21は、サブルーチンSRT4を終了して元のルーチンRT2(図22)のステップSP46へ戻り、その次のステップSP47へ移る。ステップSP47において制御部21は、ルーチンRT2を終了することにより排出アーム36の基本搬送動作を終了する。
【0240】
ところで顕微鏡システム1では、保管部38として多数枚カセット40に代えて1枚トレイ50(図6)を用いた場合、排出トレイ53を排出箇所としてスライドガラスSGの放出動作を行うことができる。
【0241】
このとき制御部21は、ルーチンSRT4のステップSP64を終えた時点で、対象スライドガラスSGTを排出トレイ53(図9)の内底面53C1及び53C2により支持させた状態で保持空間53D内に放出することになる。
【0242】
さらに制御部21は、ステップSP65において肯定結果を得ることにより、ステップSP66へ移る。ステップSP66において制御部21は、移動基台34を上方向へ移動させることにより排出アーム36を上昇させ、次のステップSP67へ移る。
【0243】
このとき排出アーム36は、固定爪71BYの+Q側面部分の高さを、対象スライドガラスSGTにおける側面部分の高さに揃えることになる。
【0244】
ステップSP67において制御部21は、排出アーム36の直動部63を制御することにより、アーム移動部90(図11)を+Q方向へ所定距離だけ滑動させる伸長動作を行わせ、次のステップSP68へ移る。
【0245】
このとき排出アーム36は、固定爪71BYを保持空間53Dのほぼ中央部分に到達させる程度までアーム移動部90を伸長させることにより、当該固定爪71BYの+Q側面部分を対象スライドガラスSGTの側面部分に当接させると共にそのまま排出面53S2側へ押し出すように移動させる。
【0246】
これにより対象スライドガラスSGTは、図9(C)に示したように、その一部分を孔部53Gから露出させる。因みに対象スライドガラスSGTの露出量は、作業者が指で持つ(つまむ)ことができ、かつ落下しない程度となるように設定されている。
【0247】
ステップSP68において制御部21は、ステップSP64と同様の処理を行うことにより排出アーム36を短縮させ、把持部90Aを排出トレイ53から完全に引き出させて、次のステップSP69へ移る。
【0248】
ステップSP69において制御部21は、サブルーチンSRT4を終了することにより、排出アーム36による排出トレイ53への放出動作を終了する。
【0249】
このように制御部21は、排出箇所が1枚トレイ50の排出トレイ53である場合には、ステップSP66〜SP69のような押出処理を行うようになされている。
【0250】
[1−6−5.供給アーム及び排出アームによる搬送動作]
ところで顕微鏡システム1では、複数のスライドガラスSGを連続的に撮像する連続撮像処理を行う際、搬送ユニット3によりステージ15上のスライドガラスSGを順次入れ替える必要がある。
【0251】
このとき顕微鏡システム1では、上述した供給アーム35の基本搬送動作及び排出アーム36の基本搬送動作を並行して進めるよう組み合わせた搬送動作を行うようになされている。
【0252】
ここでは、供給アーム及び排出アームによる搬送動作処理手順について、図25のフローチャート及び図26〜図46の斜視図を用いて説明する。
【0253】
因みにここでは、先に撮像すべきスライドガラスSGをスライドガラスSG1とし、その次に撮像すべきスライドガラスSGをスライドガラスSG2とする。スライドガラスSG1は、図26に示すように、既にステージ15に置載され、撮像処理中であるものとする。またスライドガラスSG2は、保管部38としての多数枚カセット40における所定のスロット(以下これを供給箇所と呼ぶ)に保管されているものとする。
【0254】
制御ユニット4の制御部21は、例えば操作部24を介して連続撮像処理の開始指示を受け付けると、記憶部23から連続撮像プログラムを読み出して実行する。このとき制御部21は、当該連続撮像プログラムに従い、ステージ15上のスライドガラスSGを1回交換する交換処理を繰り返し実行するようになされている。
【0255】
この交換処理を実行する場合、制御部21は、記憶部23から所定の交換処理プログラムを読み出することによりルーチンRT3を開始してステップSP71へ移る。
【0256】
ステップSP71において制御部21は、移動基台34を上下方向へ移動させることにより、図27に示すように、当該移動基台34を所定の旋回用高さに合わせ、次のステップSP72へ移る。
【0257】
因みに旋回用高さは、移動台32により移動基台34、供給アーム35及び排出アーム36を一体として旋回させる際に、当該供給アーム35等と顕微鏡システム1における他の部品等と干渉させないための高さとして予め設定されている。
【0258】
ステップSP72において制御部21は、回転台32を制御することにより移動基台34、供給アーム35及び排出アーム36を一体として保管方向へ旋回させ、次のステップSP73へ移る。
【0259】
ステップSP73において制御部21は、移動基台34を上下方向へ移動させることにより、図28に示すように、当該供給アーム35を供給箇所の高さに合わせ、次のステップSP74へ移る。
【0260】
ステップSP74において制御部21は、サブルーチンSRT1(図15)に示した供給アーム35による一連の取得動作処理を実行する。このとき制御部21は、図29に示すように供給アーム35を伸長させ、図30に示すように置載面70BXにスライドガラスSG2を置載させた状態で供給アーム35を短縮させて、次のステップSP75へ移る。
【0261】
ステップSP75において制御部21は、ルーチンRT1のステップSP3と同様、スライドガラスSG2を正常に把持できたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことはスライドガラスSG2の長辺及び短辺の長さが許容範囲外でありステージ15へ搬送すべきでないこと、若しくは搬送できないことを表している。このとき制御部21は、他のスライドガラスSGの取得を試みるべく、ステップSP73へ戻る。
【0262】
一方、ステップSP75において肯定結果が得られると、このことは図31に示すようにスライドガラスSG2を保持空間65Dで正しく把持していること、すなわち当該スライドガラスSG2の長辺及び短辺の長さが許容範囲内であることを表している。このとき制御部21は、スライドガラスSG2をステージ15へ搬送するべく、次のステップSP76へ移る。
【0263】
ステップSP76において制御部21は、移動基台34を上下方向へ移動させることにより、図32に示すように、当該移動基台34を旋回用高さに合わせ、次のステップSP77へ移る。
【0264】
ステップSP77において制御部21は、回転台32を制御することにより、図33に示すように、移動基台34及び排出アーム36と共に供給アーム35をステージ方向へ旋回させ、次のステップSP78へ移る。
【0265】
ステップSP78において制御部21は、移動基台34を上下方向へ移動させることにより、図34に示すように、排出アーム36をステージ15の高さに合わせ、次のステップSP79へ移る。
【0266】
ステップSP79において制御部21は、スライドガラスSG1についての撮像処理が終了してから、図35に示すように、ステージ15を所定の交換位置に移動させ、次のステップSP80へ移る。
【0267】
ステップSP80において制御部21は、サブルーチンSRT3(図23)に示した排出アーム36による一連の取得動作処理を実行する。このとき制御部21は、図36に示すように排出アーム36を伸長させ、図37に示すように排出アーム36を上昇させて置載面70BXにスライドガラスSG1を置載させる。さらに制御部21は、図38に示すように排出アーム36を短縮させることによりスライドガラスSG1を保持空間85D内で把持させて、次のステップSP81へ移る。
【0268】
ステップSP81において制御部21は、移動基台34を下方向へ移動させることにより、図39に示すように、供給アーム35をステージ15の高さに合わせ、次のステップSP82へ移る。
【0269】
ステップSP82において制御部21は、サブルーチンSRT2(図16)に示した供給アーム35による一連の放出動作処理を実行する。このとき制御部21は、図40に示すように供給アーム35を伸長させ、図41に示すように供給アーム35を下降させてスライドガラスSG2をステージ15上に置載し、図42に示すように供給アーム35を短縮させた後、次のステップSP83へ移る。
【0270】
ステップSP83において制御部21は、移動基台34を上下方向へ移動させることにより、供給アーム35及び排出アーム36と共に当該移動基台34を旋回用高さに合わせ、次のステップSP84へ移る。
【0271】
ステップSP84において制御部21は、回転台32を制御することにより、図43及び図44に示すように、移動基台34、供給アーム35及び排出アーム36を一体として保管方向へ旋回させ、次のステップSP85へ移る。
【0272】
ステップSP85において制御部21は、移動基台34を上下方向へ移動させることにより、図45に示すように、排出アーム36の高さを、多数枚カセット40における排出箇所、すなわちスライドガラスSG1を排出すべきスロットに合わせ、次のステップSP86へ移る。
【0273】
ステップSP86において制御部21は、サブルーチンSRT4(図24)に示した排出アーム36による一連の放出動作処理を実行する。このとき制御部21は、排出アーム36を伸長させてから、図46に示すように当該排出アーム36を下降させてスライドガラスSG2を多数枚カセット40に支持させ、さらに当該排出アーム36を短縮させた後、次のステップSP87へ移る。
【0274】
ステップSP87において制御部21は、ルーチンRT3を終了することにより、一連の供給アーム35及び排出アーム36による搬送動作処理手順を終了する。
【0275】
[1−7.動作及び効果]
以上の構成において、顕微鏡システム1の搬送ユニット3では、ステージ15へスライドガラスSGを供給する供給アーム35と、当該ステージ15から当該スライドガラスSGを排出する排出アーム36とを互いに独立させ、両者を上下に重ねるように移動基台34に取り付けた。
【0276】
制御ユニット4の制御部21は、ステージ15に置載されたスライドガラスSGの撮像処理中に、供給アーム35により新たなスライドガラスSGを取得して保持させ、空の排出アーム36と共に当該ステージ15の近傍で待機させておく。
【0277】
そして制御ユニット4の制御部21は、スライドガラスSGの撮像処理が完了すると、排出アーム36によりステージ15から当該スライドガラスSGを排出させた後、直ちに供給アーム35により新たなスライドガラスを当該ステージ15に設置させる。
【0278】
これにより顕微鏡システム1では、ステージ15に置載するスライドガラスSGの交換処理を極めて短い時間で完了することができる。
【0279】
特に顕微鏡システム1では、スライドガラスSGの撮像データを生成する撮像処理が最も時間を要し、当該スライドガラスSGの交換処理中は当該撮像処理を行うことができない。この点において顕微鏡システム1では、スライドガラスSGの交換処理を極めて短い時間で完了できるため、当該撮像処理を待機する時間を格段に短く抑え、作業効率を高めることができる。
【0280】
これにより顕微鏡システム1では、例えば300枚のような大量のスライドガラスSGについてそれぞれ撮像データを生成する場合に、所要時間を大幅に短縮でき全撮像データの生成を格段に高速化できる。
【0281】
また顕微鏡システム1では、供給アーム35のガイド部65B及び65Cにより形成される保持空間65DにおけるQ軸方向の長さをスライドガラスSGの長辺上限値に合わせて設定し、当該保持空間65Dに保持できないスライドガラスSGは取得しないようにした。
【0282】
さらに顕微鏡システム1では、供給アーム35の把持部70AによりスライドガラスSGを把持する際に把持間隔を検出し、当該把持間隔が短辺許容範囲外であれば、当該スライドガラスSGについても取得しないようにした。
【0283】
かくして顕微鏡システム1は、供給アーム35によりスライドガラスSGを取得する段階で、許容範囲外のスライドガラスSGを予め排除することができる。これにより顕微鏡システム1では、「ステージ15に置載する段階で初めてスライドガラスSGが許容範囲外であることが判明し、再度スライドガラスSGの交換処理を行う」といった時間を要する動作を行わずに済む。
【0284】
その一方で顕微鏡システム1は、供給アーム35と別個に設けた排出アーム36における保持空間85DのQ軸方向及びP軸方向の長さを、スライドガラスSGの長辺上限値及び短辺上限値よりも長く設定した。これにより顕微鏡システム1は、撮像処理済みの又は固定処理に失敗したスライドガラスSGをステージ15から取得する際に、正しい置載状態から位置ずれや傾きを生じていても、確実に取得することができる。
【0285】
例えば顕微鏡システム1では、300枚のような大量のスライドガラスSGを保管部38にセットしておき、夜間に連続撮像処理により無人で撮像データを順次生成する、といった運用形態が想定されている。
【0286】
この場合において、一連の搬送動作ではステージ15から排除できないようなスライドガラスSGが有った場合には、以降の他のスライドガラスSGについての撮像処理を継続できず、全体の処理が中断するため、残りの撮像データを生成できないことになる。
【0287】
これに対し顕微鏡システム1では、供給アーム35により規定外のスライドガラスSGを予め排除しつつ、排出アーム36により様々な状態のスライドガラスSGを取得して排出することができる。これにより顕微鏡システム1では、一連の搬送動作の確実性を高めることができ、連続撮像処理が中断される可能性を極めて低く抑えることができる。
【0288】
また顕微鏡システム1では、土台部31の上面31Aにおいて複数の台座37A〜37Eを円周状に配置し、回転台32による回転動作により、各台座37A〜37Eの多数枚カセット40又は1枚トレイ50とステージ15との間でスライドガラスSGを搬送するようにした。
【0289】
ところで、特許文献1に開示されているような、重量の大きな構造物を長距離に渡って直線移動させる構成では、加減速により発生するモーメントに耐え得るよう、各部の剛性を高めるか、或いは加速度を小さく抑える必要がある。
【0290】
これに対し顕微鏡システム1では、回転運動における回転中心に重量物を集めることができるため、高速で搬送動作を行う場合にも安定した動作を行うことができる。これにより顕微鏡システム1では、簡素な構成により容易に精度を高めることができる。
【0291】
また特許文献1に開示されているような構成では、図47(A)に模式的に示すように、1本の多数枚カセット40ごとにアームの移動に必要な占有面積が、略長方形状の面積S1となる。
【0292】
これに対し、顕微鏡システム1のような回転運動を用いる構成では、図47(B)に模式的に示すように、1本の多数枚カセット40ごとにアームの移動に必要な占有面積が、略扇形状の面積S2となる。すなわち顕微鏡システム1では、装置構成を小型化することができる。
【0293】
また顕微鏡システム1の1枚トレイ50(図6)においては、ステージ15に供給すべきスライドガラスSGを置載する供給トレイ52と、撮像処理が終了したスライドガラスSGを置載すべき排出トレイ53とを別個に設けた。
【0294】
これにより顕微鏡システム1では、スライドガラスSGの撮像処理中に、作業者に当該スライドガラスSGの排出場所を気にさせることなく、次に撮像すべき新たなスライドガラスSGを供給トレイ52に設置させることが可能となる。
【0295】
すなわち顕微鏡システム1では、1個のトレイのみを設ける場合における、「撮像処理が終了したスライドガラスSGが排出されるのを待ち、当該スライドガラスSGをトレイから取り出した後、新たなスライドガラスSGを置載する」といった作業のような待ち時間を発生させることがない。
【0296】
さらに1枚トレイ50の供給トレイ52では、保持空間52E(図7及び図8)における長辺及び短辺の長さを、スライドガラスSGの長辺上限値及び短辺上限値と同等に設定した。
【0297】
これにより供給トレイ52は、作業者が当該保持空間52EにスライドガラスSGを置載できない場合に、当該スライドガラスSGの長辺又は短辺の長さが許容範囲外でありステージ15に正しく置載できないおそれがあることを、当該作業者に認識させることができる。
【0298】
一方、1枚トレイ50の排出トレイ53では、保持空間53D(図9及び図10)における長辺及び短辺の長さを、スライドガラスSGの長辺上限値及び短辺上限値よりも十分に大きく設定した。
【0299】
これにより排出トレイ53では、排出アーム36により位置ずれや傾きを有する状態でスライドガラスSGを把持していたとしても、当該排出アーム36により当該スライドガラスSGを保持空間53Dに置載される際に誤って落下し或いは破損する危険性を大幅に低減できる。
【0300】
以上の構成によれば、1枚トレイ50は、供給トレイ52及び排出トレイ53を互いに独立して設けた。供給トレイ52は、保持空間52Eの長辺及び短辺の長さをスライドガラスSGの長辺上限値及び短辺上限値と同等に設定したことにより、作業者に置載される際に許容範囲外であることを直ちに認識させることができる。また排出トレイ53は、保持空間53Dの長辺及び短辺の長さをスライドガラスSGの長辺上限値及び短辺上限値よりも長く設定したことにより、位置ずれや傾きを有するスライドガラスSGを正しく排出させることができる。これにより顕微鏡システム1は、スライドガラスの交換に伴う作業効率を高めることができる。
【0301】
<2.他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、供給アーム35に脱落防止ガイド65を設けるようにした場合について述べた。
【0302】
本発明はこれに限らず、例えば把持部70Aの把持力が十分である場合等に、脱落防止ガイド65を省略するようにしても良い。
【0303】
また上述した実施の形態においては、供給アーム35の保持空間65Dにおける長辺及び短辺の長さを長辺上限値及び短辺上限値とするようにした場合について述べた。
【0304】
本発明はこれに限らず、例えば多数枚カセット40の各スロットにおける長辺方向の長さが長辺上限値に設定されている場合等に、保持空間65Dにおける長辺及び短辺の長さを長辺上限値及び短辺上限値よりも長くするようにしても良い。またこの場合、供給アーム35の保持空間65Dの大きさを、排出アーム36の保持空間85Dの大きさと同等に揃えるようにしても良い。
【0305】
さらに上述した実施の形態においては、供給アーム35の把持動作において把持したスライドガラスSGの短辺長さを把持間隔として取得し、短辺許容範囲にあるか否かを判断するようにした場合について述べた。
【0306】
本発明はこれに限らず、把持動作においては把持間隔を取得せず、短辺許容範囲にあるか否かを判断しないようにしても良い。
【0307】
さらに上述した実施の形態においては、排出アーム36に脱落防止ガイド85を設けるようにした場合について述べた。
【0308】
本発明はこれに限らず、例えば把持部90Aの把持力が十分である場合等に、脱落防止ガイド85を省略するようにしても良い。
【0309】
さらに上述した実施の形態においては、供給アーム35及び排出アーム36が伸張動作及び短縮動作の際に、スライドガラスSGを短辺方向に沿って移動させるようにした場合について述べた。
【0310】
本発明はこれに限らず、例えば供給アーム35及び排出アーム36が伸張動作及び短縮動作をする際に、スライドガラスSGを長辺方向に沿って移動させるようにしても良い。この場合、ステージ15、保管部38の多数枚カセット40及び1枚トレイ50についても、スライドガラスSGを長辺方向に沿って移動させるような形状とすれば良い。
【0311】
さらに上述した実施の形態においては、供給アーム35及び排出アーム36を同一方向に向けて、上下に重ねるように移動基台34に固定するようにした場合について述べた。
【0312】
本発明はこれに限らず、供給アーム35及び排出アーム36を互いに異なる方向に向け、或いは左右に並べるように固定し、さらには互いの方向を自在に変更できるようにしても良い。
【0313】
さらに上述した実施の形態においては、台座37を円周に沿って配置し、回転台32の回転動作により供給アーム35及び排出アーム36をステージ15又は多数枚カセット40若しくは1枚トレイ50の方向に向けるようにした場合について述べた。
【0314】
本発明はこれに限らず、例えば特許文献1と同様に、台座37をX軸方向に沿って直線上に配置し、支柱33をX軸方向に直線移動させるようにしても良い。
【0315】
さらに上述した実施の形態においては、排出トレイ53に孔部53Gを設け、サブルーチンSRT3(図24)のステップSP66〜SP68の処理により当該孔部53GからスライドガラスSGの一部を露出させるようにした場合について述べた。
【0316】
本発明はこれに限らず、例えば供給トレイ52と排出トレイ53との間隔を広げ、孔部53Gを省略し、ステップSP66〜SP68の処理を行わないようにしても良い。この場合、作業者が保持空間53Dから直接スライドガラスSGを取り出すようにすれば良い。
【0317】
さらに上述した実施の形態においては、供給トレイ52において、作業者の触覚、視覚又は聴覚により、スライドガラスSGが保持空間52Eに正しく保持されていないことを認識させるようにした場合について述べた。
【0318】
本発明はこれに限らず、例えばスライドガラスSGを上面から見たときの4角に十字のマークを記しておき、供給トレイ52を上方から所定のカメラで撮像することによりスライドガラスSGの保持状態を検出するようにしても良い。この場合、カメラの画像上で各十字の中心点を結んで得られる四角形が、スライドガラスSGが正しく保持されていればほぼ長方形になり、正しく保持されていなければ台形や平行四辺形になる。このため、画像処理等により各十字の中心点をそれぞれ検出すると共に、各辺の長さや各中心点同士の位置関係を計算して判断すれば良い。
【0319】
さらに上述した実施の形態においては、1枚トレイ50において供給トレイ52及び排出トレイ53を1個ずつ設けるようにした場合について述べた。
【0320】
本発明はこれに限らず、1枚トレイ50に供給トレイ52を2個以上設け、或いは排出トレイ53を2個以上設け、さらには両者をそれぞれ2個以上設けるようにしても良い。
【0321】
さらに上述した実施の形態においては、土台部31に設ける台座37の数を5とする場合について述べた。
【0322】
本発明はこれに限らず、土台部31に設ける台座37の数を3や6等の任意の数としても良い。この場合、台座37の数に応じて回転台32の回転中心から各台座までの距離が変化するため、供給アーム35及び排出アーム36における各部の長さ等とのバランスを考慮して定めると良い。
【0323】
さらに上述した実施の形態においては、多数枚カセット40に保管し得るスライドガラスSGの枚数を60とする場合について述べた。
【0324】
本発明はこれに限らず、多数枚カセット40に保管し得るスライドガラスSGの枚数を50や80等の任意の数とするようにしても良い。この場合、スライドガラスSGの枚数に応じて多数枚カセット40の高さ(Z軸方向の長さ)が変化するため、これに応じて支柱33の高さを定めれば良い。
【0325】
さらに上述した実施の形態においては、顕微鏡ユニット2に搬送ユニット3及び制御ユニット4を組み合わせるようにした場合について述べた。
【0326】
本発明はこれに限らず、例えば各スライドガラスSGに対しラベルを印刷して貼り付けるラベル貼付装置など、スライドガラスSGに対し1枚ずつ所定の処理を施す種々の処理装置に対し、搬送ユニット3及び制御ユニット4を組み合わせるようにしても良い。
【0327】
さらに上述した実施の形態においては、供給トレイとしての供給トレイ52と、排出トレイとしての排出トレイ53と、支持部としての支持部51とによってスライドガラス保管器としての1枚トレイ50を構成する場合について述べた。
【0328】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる供給トレイと、排出トレイと、支持部とによってスライドガラス保管器を構成するようにしても良い。
【0329】
さらに上述した実施の形態においては、スライドガラス保管器としての1枚トレイ50と、ステージとしてのステージ15と、供給アームとしての供給アーム35と、排出アームとしての排出アーム36と、移動部としての回転台32及び移動基台34と、制御部としての制御ユニット4とによって搬送装置又は顕微鏡システムとしての顕微鏡システム1を構成する場合について述べた。
【0330】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるスライドガラス保管器と、ステージと、供給アームと、排出アームと、移動部と、制御部とによって搬送装置又は顕微鏡システムを構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0331】
本発明は、スライドガラスの像を拡大する種々の顕微鏡でも利用できる。
【符号の説明】
【0332】
1……顕微鏡システム、2……顕微鏡ユニット、3……搬送ユニット、4……制御ユニット、15……ステージ、21……制御部、23……記憶部、31……土台部、32……回転部、33……支柱、34……移動基台、35……供給アーム、36……排出アーム、37……台座、38……保管部、40……多数枚カセット、50……1枚トレイ、52……供給トレイ、52E、53D、65D、85D……保持空間、53……排出トレイ、53G……孔部、60、80……アーム固定部、61……アーム基台、65、85……脱落防止ガイド、65B、65C、85B、85C……ガイド部、70、90……アーム移動部、70A、90A……把持部、71……アーム滑動体、71BX……置載面、71BY……固定爪、73、93……クランプ部、76……クランプブロック、76A……突出部、SG……スライドガラス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドガラスの長辺に許容される長辺上限値及び短辺に許容される短辺上限値により規定される供給保持空間を有し、所定の処理を施す処理部へ供給すべきスライドガラスが置載される供給トレイと、
上記長辺上限値よりも長い長辺及び上記短辺上限値よりも長い短辺により規定される排出保持空間を有し、上記処理部において上記処理を施され排出されるスライドガラスが置載される排出トレイと、
上記供給トレイ及び上記排出トレイを支持する支持部と
を有するスライドガラス保管器。
【請求項2】
上記供給保持空間は、上面が解放されると共に当該上面から上記スライドガラスが置載され、
上記供給トレイは、
上記供給保持空間の底面を形成する内底面と、上記保持空間を長辺方向に規制する内壁面に接続された部分上面との段差を上記スライドガラスSGの厚さ程度とすることにより、少なくとも長辺の長さが上記長辺上限値を超え、或いは短辺の長さが上記短辺上限値を超えたスライドガラスの一部を上記部分上面で支持する
請求項1に記載のスライドガラス保管器。
【請求項3】
上記供給トレイは、
上記保持空間の底面を形成する内底面が、上記長辺方向における両端部分にのみ形成されると共に、その間隔が上記スライドガラスの長辺に許容される長辺下限値と同等に設定されたことにより、長辺の長さが上記長辺下限値に満たないスライドガラスを上記供給保持空間に保持させない
請求項1に記載のスライドガラス保管器。
【請求項4】
上記支持部は、
上記供給トレイの下方に上記排出トレイを位置させるよう当該供給トレイ及び当該排出トレイを支持し、
上記排出トレイは、
上記スライドガラスを上記排出保持空間から側方へ突出させる孔部を有する
請求項1に記載のスライドガラス保管器。
【請求項5】
所定の処理を施すスライドガラスを1枚のみ保持するステージと、
上記スライドガラスの長辺に許容される長辺上限値及び短辺に許容される短辺上限値により規定される供給保持空間を有し、上記ステージへ供給すべきスライドガラスが置載される供給トレイと、上記長辺上限値よりも長い長辺及び上記短辺上限値よりも長い短辺により規定される排出保持空間を有し、上記ステージにおいて上記処理を施され排出されたスライドガラスが置載される排出トレイと、上記供給トレイ及び上記排出トレイを支持する支持部とを有するスライドガラス保管器と、
上記処理を施すべき1枚の上記スライドガラスを上記スライドガラス保管器の上記供給トレイから取得して上記ステージに供給する供給アームと、
上記ステージに置載されているスライドガラスを取得して上記スライドガラス保管器の上記排出トレイに排出する排出アームと、
上記供給アーム及び上記排出アームを一体に移動させることにより、当該供給アーム又は当該排出アームを上記スライドガラス保管器又は上記ステージに近接させる移動部と、
上記供給アーム、上記排出アーム及び上記移動部を制御する制御部と
を有する搬送装置。
【請求項6】
上記スライドガラス保管器の上記支持部は、
上記供給トレイの下方に上記排出トレイを位置させるよう当該供給トレイ及び当該排出トレイを支持し、
上記排出アームは、
上記排出トレイの側方から上記スライドガラスを上記排出保持空間へ挿入し、
上記スライドガラス保管器の上記排出トレイは、
上記排出アームにより上記スライドガラスが挿入される側方と反対の側方へ当該スライドガラスを上記排出保持空間から突出させる孔部を有し、
上記制御部は、
上記排出アームにより上記ステージに置載されていたスライドガラスを上記スライドガラス保管器の上記排出トレイに置載させた後、当該排出アームにより当該スライドガラスをさらに押し込むことにより、当該スライドガラスの一部を上記孔部から露出させる
請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
拡大像を生成すべきスライドガラスを1枚のみ保持するステージと、
上記スライドガラスの長辺に許容される長辺上限値及び短辺に許容される短辺上限値により規定される供給保持空間を有し、上記ステージへ供給すべきスライドガラスが置載される供給トレイと、上記長辺上限値よりも長い長辺及び上記短辺上限値よりも長い短辺により規定される排出保持空間を有し、上記ステージにおいて上記拡大像の生成が終了し排出されたスライドガラスが置載される排出トレイと、上記供給トレイ及び上記排出トレイを支持する支持部とを有するスライドガラス保管器と、
上記拡大像を生成すべき1枚の上記スライドガラスを上記スライドガラス保管器の上記供給トレイから取得して上記ステージに供給する供給アームと、
上記ステージに置載されているスライドガラスを取得して上記スライドガラス保管器の上記排出トレイに排出する排出アームと、
上記供給アーム及び上記排出アームを一体に移動させることにより、当該供給アーム又は当該排出アームを上記スライドガラス保管器又は上記ステージに近接させる移動部と、
上記供給アーム、上記排出アーム及び上記移動部を制御する制御部と
を有する顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2012−13953(P2012−13953A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150527(P2010−150527)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】