説明

スライド落下防止装置

【課題】安全性が高く、取り付けに場所が取られないスライド落下防止装置を提供する。
【解決手段】引戻シリンダ6のラム6bに固定された第1係止部材10と、シリンダ6aに固定された第2係止部材20とを備え、第1係止部材10は、ラム6bから突出した突出部11が形成されており、第2係止部材20は、突出部11を係止する支え部22と、突出部11が挿入可能な挿入部24とからなる筒形であり、ラム6bの周りで回転することにより、突出部11が支え部22に係止する係止位置と、突出部11が挿入部24に挿入可能な非係止位置とで切り換え可能である。第2係止部材20には、スライド5の荷重が圧縮力として作用するので、第2係止部材20が破損し難く、安全性が高い。第2係止部材20が回転することにより係止位置と非係止位置とで切り換えることができるので、取り付けに場所が取られない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド落下防止装置に関する。さらに詳しくは、プレス機械の稼働停止時にスライドの落下を防止するためのスライド落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械においては、金型交換作業や保守、点検作業等が行われる稼働停止時に、スライドが落下することを防止して安全を確保するために、スライドの重量を支えるスライド落下防止装置を取り付けることが義務付けられている。
【0003】
従来のスライド落下防止装置の一例が特許文献1に記載されている。
図10に示すように、特許文献1に記載のスライド落下防止装置120は、スライド103に連結されたストッパブロック113の側面に設けた嵌合穴113Bと、この嵌合穴113Bに所定のストローク長さSだけ進退自在なロックピン114と、クラウン102の下面に固設してロックピン114を摺動自在に案内するガイドブロック115と、ガイドブロック115の側面部に固設して内設するロックピン114を摺動するシリンダ116とから構成されている。
プレス運転が完了してスライド103が上限位置で停止したときに、嵌合穴113Bにロックピン114を挿入すれば、スライド103が上限位置で位置決めされ、スライド103の落下を機械的に防止することができる。
【0004】
また、他の方式のスライド落下防止装置の一例が特許文献2に記載されている。
図11に示すように、特許文献2に記載のスライド落下防止装置220は、プレス機械のボルスタ211の一端の上部に取り付けられたレール221と、このレール221上を摺動する直動スライドテーブル222aを脚部に有し、側面に長溝222bが形成されたダイブロック222と、一端にダイブロック222の長溝222bに嵌合する嵌合部223aが設けられるとともに、他端に回動軸223bが設けられたアーム部223と、このアーム部223を回動軸223bを中心として回動駆動する駆動部224とから構成されている。
このスライド落下防止装置220を用いてスライド213の落下防止状態に設定するには、駆動部224によりアーム部223を矢印A方向に回動する。これによりアーム部223の先端の嵌合部223aが実線で示した待機位置にあるダイブロック222の長溝222bに沿って下方に移動し、ダイブロック222の下部に設けられた直動スライドテーブル222aはレール221上を摺動し、ダイブロック222が破線で示すようにプレス機械のスライド213の下方の位置に押し出される。この状態でプレス機械のスライド213の落下が生じても、スライド213はダイブロック222により支承されて、それ以上落下することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−210799号公報
【特許文献2】特開2004−291086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、プレス機械において、大型部品のプレス加工が望まれており、加工対象の大型化にともないプレス機械も大型化する必要がある。
【0007】
しかるに、特許文献1に記載のスライド落下防止装置120を用いる場合は、ストッパブロック113によりロックピン114にスライド103の重量相当の剪断力がかかるため、その剪断力に耐え得るようにロックピン114の径をより大きくする必要があるという問題がある。
また、ガイドブロック115をクラウン102の下面に固設するボルトにもスライド103の重量がかかり、しかもボルトには引っ張り力が作用するため、その引っ張り力に耐え得るようにボルトをより大きくする必要があり、スライド落下防止装置の占有スペースが大きくなるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献2に記載のスライド落下防止装置220を用いる場合、ダイブロック222に圧縮力が作用するようにスライド213を支えるため、ダイブロック222が破損し難く、特許文献1に記載のスライド落下防止装置120に比べて安全性が高い。
しかるに、ダイブロック222を待機位置と落下防止位置との間で移動させるスペースを確保する必要があり、スライド落下防止装置220の取り付けに場所が取られるという問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、安全性が高く、取り付けに場所が取られないスライド落下防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明のスライド落下防止装置は、スライドを引き戻す引戻シリンダを備えるプレス機械に取り付けられるスライド落下防止装置であって、前記引戻シリンダのラムに固定された第1係止部材と、前記引戻シリンダのシリンダに対して上下方向の位置が固定された第2係止部材とを備え、前記第2係止部材は、その姿勢が、前記第1係止部材を係止する係止位置と、前記第1係止部材を係止しない非係止位置とで切り換え可能であることを特徴とする。
第2発明のスライド落下防止装置は、第1発明において、前記第1係止部材は、前記ラムから突出した突出部が形成されており、前記第2係止部材は、前記突出部を係止する支え部と、前記突出部が挿入可能な挿入部とからなる筒形であり、前記第2係止部材は、前記ラムの周りで回転することにより、前記突出部が前記支え部に係止する係止位置と、前記突出部が前記挿入部に挿入可能な非係止位置とで切り換え可能であることを特徴とする。
第3発明のスライド落下防止装置は、第2発明において、前記第2係止部材は円筒形であり、前記第1係止部材は、前記第2係止部材の円筒内周よりも径方向外側に突出する突出部を有し、前記第2係止部材には、前記第1係止部材の突出部が挿入可能な切欠きが形成されていることを特徴とする。
第4発明のスライド落下防止装置は、第2または第3発明において、前記第2係止部材は、前記引戻シリンダのシリンダに回転可能に取り付けられていることを特徴とする。
第5発明のスライド落下防止装置は、第4発明において、前記第2係止部材を回転させる回転装置が備えられていることを特徴とする。
第6発明のプレス機械は、第1、第2、第3、第4または第5発明のスライド落下防止装置が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、第2係止部材には、スライドの荷重が圧縮力として作用するので、第2係止部材が破損し難く、安全性が高い。また、ストッパは、引戻シリンダに付属して取り付けられるので、場所が取られない。
第2発明によれば、第2係止部材をラムの周りで回転させることにより、第1係止部材の突出部が支え部に係止する係止位置と、挿入部に挿入可能な非係止位置とで切り換えることができるため、第2係止部材を移動させるスペースを確保する必要がなく、取り付けに場所が取られない。
第3発明によれば、第2係止部材は円筒形であるので、加工が容易であり、また、第1係止部材と係止して荷重を受ける面が広くなるので剛性が強くなる。
第4発明によれば、第2係止部材は引戻シリンダのシリンダに取り付けられているから、取り付けに場所が取られない。
第5発明によれば、回転装置が備えられているから、その回転装置の駆動により、係止位置と非係止位置とを切り換えることができ、切り換えが容易となる。
第6発明によれば、第2係止部材には、スライドの荷重が圧縮力として作用するので、第2係止部材が破損し難く、安全性が高い。また、ストッパは、引戻シリンダに付属して取り付けられるので、場所が取られない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るスライド落下防止装置の正面図である。
【図2】(A)図は第1係止部材および第2係止部材の拡大正面図である。(B)図は(A)図におけるB-B線矢視断面図、(C)図は(A)図におけるC-C線矢視断面図である。
【図3】回転装置部分の拡大正面図である。
【図4】(A)図は非係止位置におけるスライド落下防止装置の平面図である。(B)図は(A)図におけるB-B線矢視図である。
【図5】(A)図は係止位置におけるスライド落下防止装置の平面図である。(B)図は(A)図におけるB-B線矢視図である。
【図6】他の実施形態における(A)第1係止部材の平面図、(B)第2係止部材の平面図である。
【図7】他の実施形態における(A)第1係止部材の平面図、(B)第2係止部材の平面図である。
【図8】他の実施形態における(A)第1係止部材の平面図、(B)第2係止部材の平面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るスライド落下防止装置が備えられたプレス機械の正面図である。
【図10】従来のスライド落下防止装置の正面視断面図である。
【図11】従来のスライド落下防止装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図9に示すように、プレス機械Pは、クラウン1とベッド2と、それらを結ぶアプライト3,3とを有している。クラウン1には加圧シリンダ4が設けられており、その加圧シリンダ4のピストンにはスライド5が固定されている。そのため、加圧シリンダ4が伸長することによりスライド5が下降し、スライド5とベッド2に取り付けられた金型で、被加工物を加工できるようになっている。
【0014】
また、プレス機械Pには、一対の引戻シリンダ6,6が設けられている。
引戻シリンダ6は、シリンダ6aと、ラム6bとからなり、シリンダ6aがベッド2の側面に固定されている。また、ラム6bの先端には、柱状の連結部材6cの一端が固定されており、連結部材6cの他端はスライド5の端部に固定されている。すなわち、ラム6bとスライド5は連結部材6cによって連結されている。そのため、引戻シリンダ6が伸長することにより、スライド5を上昇させて引き戻すことができる。
【0015】
本発明の一実施形態に係るスライド落下防止装置Aは、この様なプレス機械Pの引戻シリンダ6に取り付けられる。
なお、スライド落下防止装置Aが取り付けられるプレス機械は、上記のプレス機械Pに限られず、スライドを引き戻す引戻シリンダを備えるプレス機械であれば特に限定されない。特に、油圧プレス等の液圧プレスに取り付けられる。また、引戻シリンダの数は2本に限られず、1本でもよいし、3本以上でもよい。また、スライド落下防止装置Aは全ての引戻シリンダに取り付けてもよいし、一部の引戻シリンダに取り付けてもよい。
【0016】
図1に示すように、スライド落下防止装置Aは、引戻シリンダ6のラム6bに固定された第1係止部材10と、シリンダ6a上に載置された第2係止部材20と、第2係止部材20を回転させる回転装置30とから構成されている。
【0017】
第1係止部材10は、ラム6bの先端に、連結部材6cとともにボルト等の締結部材で固定されている。
図2(A)、(B)に示すように、第1係止部材10は、その底面が水平であり、ラム6bから水平方向に突出した突出部11,11がラム6bを挟んで対称に形成され、一部が切り欠かれた円盤形となっている。
【0018】
引戻シリンダ6のシリンダ6aのヘッド側端部には回転装置30が取り付けられており、第2係止部材20は、その回転装置30を介してシリンダ6a上に回転可能に載置されている。
【0019】
図2(A)、(C)に示すように、第2係止部材20は、略円筒形の部材であり、環状のベース21と、そのベース21に立設した一対の支え部22,22とからなる。ベース21にはラム6bの直径より大きい径を有する孔23が形成されており、この孔23にラム6bを通して第2係止部材20がシリンダ6a上に載置される。そのため、第2係止部材20がラム6bを囲むように取り付けられ、かつ、ラム6bの動作に干渉しないようになっている。なお、第2係止部材20は、必ずしもラム6bを通す孔23を有する必要はなく、ラム6bが上昇下降する際に干渉しない形状とされていればよい。
【0020】
一対の支え部22,22は、孔23を挟んで対称に立設されており、その間の距離cは、第1係止部材10の短尺aより長く、長尺bより短く設定されている。換言すれば、第1係止部材10の突出部11は、第2係止部材20の円筒内周よりも径方向外側に突出するような寸法を有する。
【0021】
また、支え部22の高さdは、スライドストロークより若干長く形成されている。換言すれば、第2係止部材20は、第1係止部材10の突出部11が挿入可能な切欠き24,24が形成された円筒形をしており、その切欠き24,24の高さ寸法は、スライドストロークより若干長く形成されている。なお、切欠き24は、特許請求の範囲に記載の挿入部および切欠きに相当する。
また、支え部22の高さ位置は、スライド5の上限位置において突出部11が支え部22の上端を超え、スライド5の下限位置において突出部11がベース21に接触する手前の位置となっている。
このように第2係止部材20を略円筒形とすることにより、第2係止部材20を製造する際の加工が容易となる。
【0022】
図3に示すように、回転装置30は、シリンダ6aのヘッド側端部に取り付けられたライナ31と、シリンダ6aに固定されたモータ32と、そのモータ32のモータ軸に取り付けられたピニオン33と、ベース21の外周に形成されたギア34とからなる。
第2係止部材20は、ライナ31を介してシリンダ6aに取り付けられているので、シリンダ6aに対して回転可能となっている。また、ピニオン33とギア34とが噛み合っているので、モータ32を駆動することにより、第2係止部材20をシリンダ6aに対して回転させ、かつ、適切な角度で停止させることができるようになっている。
【0023】
つぎに、スライド落下防止装置Aの動作について説明する。
まず、プレス機械Pの稼働中、すなわち、スライド5が昇降する間は、第2係止部材20は図4に示す角度で停止されている。より詳細には、平面視において、第1係止部材10の突出部11の位置と、第2係止部材20の切欠き24の位置とが一致しており、突出部11が切欠き24に挿入可能な位置(非係止位置)となっている。
この非係止位置では、第1係止部材10が第2係止部材20に接触することがないため、加圧シリンダ4と引戻シリンダ6の動作により、スライド5を自在に昇降させることができる。
【0024】
つぎに、プレス機械Pの稼働を停止する際には、スライド5を上昇させた状態で、モータ32を駆動させて第2係止部材20をラム6bの周りで90°回転させ、図5に示す角度で停止させる。より詳細には、平面視において、第1係止部材10の突出部11の位置と、第2係止部材20の支え部22の位置とが一致し、突出部11が支え部22に係止する位置(係止位置)で停止させる。
係止位置とすることにより、第1係止部材10の底面が第2係止部材20の上端に係止し、スライド5が落下することを防止できる。ここで、第2係止部材20は、第1係止部材10とシリンダ6aとで挟まれるようになり、スライド5の荷重が圧縮力として作用するので、第2係止部材20が破損し難く、安全性が高い。
また、第2係止部材20は略円筒形であるので、第1係止部材10と係止して荷重を受ける上端面が広くなるので剛性が強くなる。
【0025】
なお、第2係止部材20は時計回りに回転するようにしてもよいし、反時計回りに回転するようにしてもよい。
さらになお、モータ32は、作業員がスイッチ等を押下することで駆動するようにしてもよいし、制御装置を設け、予め定められた稼働停止条件を満たした時に、制御装置がモータ32を駆動させるようにしてもよい。この際、第2係止部材20が非係止位置から係止位置に切り換わる角度(本実施形態においては90°)だけ回転するように、モータ32を制御することが好ましい。また、スライド5が上昇し、第1係止部材10の底面が第2係止部材20の上端を超えた状態でのみモータ32が駆動するように、制御することが好ましい。
【0026】
つぎに、プレス機械Pを再び稼働させる場合には、モータ32を駆動させて第2係止部材20をラム6bの周りで90°回転させ、係止位置から非係止位置に切り換える。そうすると、第1係止部材10の係止が解除され、スライド5を昇降できるようになる。
なお、第2係止部材20は、非係止位置から係止位置に切り換える場合と、係止位置から非係止位置に切り換える場合とで回転方向を同一にしてもよいし、逆にしてもよい。逆方向に回転するようにすれば、ギア34をベース21の外周の一部に形成するだけでよい。
【0027】
上記のごとく、スライド落下防止装置Aはラム6bを囲む形状を有し、シリンダ6aに設けられているから、取り付けに場所が取られない。また、第2係止部材20が回転することにより係止位置と非係止位置とで切り換えることができるので、第2係止部材20を移動させるスペースを確保する必要がなく、さらに取り付けに場所が取られない。
【0028】
(他の実施形態)
第1係止部材10と第2係止部材20の形状は、上記実施形態に限られず、係止位置において第2係止部材と第1係止部材とが係止し、非係止位置において第2係止部材と第1係止部材とが係止しない形状であればよい。
例えば、図6に示すように、第2係止部材20を切欠きのない円筒形とし、肉厚部22と箔肉部24とを有するようにしてもよい。この場合、肉厚部が支え部22に相当し、箔肉部が挿入部24に相当する。このように切欠きのない円筒形とすることで、第2係止部材20の剛性が増し、スライド落下防止装置の安全性が向上する。
【0029】
また、図7に示すように、突出部11および支え部22を平面視扇形としてもよい。扇形の中心角を約90°にすれば、係止位置において第1係止部材10と第2係止部材20とが接触する面積が広くなり、第1係止部材10および第2係止部材20の単位面積当たりに作用する圧力が低くなるので、第1係止部材10および第2係止部材20が破損しにくく、スライド落下防止装置の安全性が向上する。
【0030】
また、図8に示すように、第1係止部材10を、突出部11を放射状に複数設けた星形あるいは歯車形とし、第2係止部材20を、支え部22と挿入部24を交互に複数設けた星形あるいは歯車形としてもよい。このようにすれば、係止位置と非係止位置との角度差が小さくなり、第2係止部材20を少し回転させるだけで係止位置と非係止位置とを切り換えることができるので、切り換えをすばやく行うことができる。
【0031】
また、上記実施形態では、第2係止部材20をモータ32の駆動で回転させるように構成したが、モータ以外のアクチュエータで第2係止部材20を回転させるように構成してもよい。また、アクチュエータの代わりにレバー等を設け、作業員が手作業で第2係止部材20を回転させるようにしてもよい。ただし、アクチュエータの駆動により、第2係止部材20を回転させるように構成すれば、係止位置と非係止位置との切り換えが容易となるので、特に大型のプレス機械の場合には好ましい。
【0032】
さらに、上記実施形態では、第2係止部材20をシリンダ6aのヘッド側端部に取り付けたが、これを、第2係止部材20をシリンダ6aを囲むような形状とし、第2係止部材20の底面を地面に回転可能に設けるようにしてもよい。
第2係止部材20の底面を地面に設けるようにすれば、稼働停止時には引戻シリンダ6にスライド5の荷重がかからないという利点を有する。一方、第2係止部材20をシリンダ6aのヘッド側端部に取り付ければ、スライド落下防止装置の取り付けに場所が取られないという利点を有する
このように、特許請求の範囲に記載の「引戻シリンダのシリンダに対して上下方向の位置が固定された第2係止部材」とは、第2係止部材20がシリンダ6aに直接設けられる構成のみならず、第2係止部材20がシリンダ6aに間接的に設けられ、第2係止部材20の上下方向の位置がシリンダ6aに対して相対的に固定された構成も含まれる概念である。
【符号の説明】
【0033】
10 第1係止部材
11 突出部
20 第2係止部材
21 ベース
22 支え部
23 孔
24 挿入部
30 回転装置
31 ライナ
32 モータ
33 ピニオン
34 ギア
6 引戻シリンダ
6a シリンダ
6b ラム
6c 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドを引き戻す引戻シリンダを備えるプレス機械に取り付けられるスライド落下防止装置であって、
前記引戻シリンダのラムに固定された第1係止部材と、
前記引戻シリンダのシリンダに対して上下方向の位置が固定された第2係止部材とを備え、
前記第2係止部材は、その姿勢が、前記第1係止部材を係止する係止位置と、前記第1係止部材を係止しない非係止位置とで切り換え可能である
ことを特徴とするスライド落下防止装置。
【請求項2】
前記第1係止部材は、前記ラムから突出した突出部が形成されており、
前記第2係止部材は、前記突出部を係止する支え部と、前記突出部が挿入可能な挿入部とからなる筒形であり、
前記第2係止部材は、前記ラムの周りで回転することにより、前記突出部が前記支え部に係止する係止位置と、前記突出部が前記挿入部に挿入可能な非係止位置とで切り換え可能である
ことを特徴とする請求項1記載のスライド落下防止装置。
【請求項3】
前記第2係止部材は円筒形であり、
前記第1係止部材は、前記第2係止部材の円筒内周よりも径方向外側に突出する突出部を有し、
前記第2係止部材には、前記第1係止部材の突出部が挿入可能な切欠きが形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のスライド落下防止装置。
【請求項4】
前記第2係止部材は、前記引戻シリンダのシリンダに回転可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項2または3記載のスライド落下防止装置。
【請求項5】
前記第2係止部材を回転させる回転装置が備えられている
ことを特徴とする請求項4記載のスライド落下防止装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載のスライド落下防止装置が備えられている
ことを特徴とするプレス機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−758(P2013−758A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132483(P2011−132483)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(502235326)住友重機械テクノフォート株式会社 (122)
【Fターム(参考)】