説明

スラット連結具

【課題】 部品点数が少なく構造が簡素であって、かつ、成形も容易で製造コストを抑えることができるスラット連結具を提供すること。
【解決手段】
複数の嵌入突起11・11…は、ガイド片12・12…と交互に連結した状態に数珠状一体に成形されており、これら嵌入突起11・11…は同一方向に突出する一方、各基端部はガイド片12の側縁部に連結され、これら両部材の連結部13は撓曲自在な薄肉状に成形し、
前記嵌入突起11・11…の各先端部を、前記スラット2の連結片21・21…の側端に形成された各挿通孔21a・21a…に嵌入可能にするとともに、
前記ガイド片12・12…を、前記ガイドレール3に沿って摺動可能にするという技術的手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター用部品の改良、更に詳しくは、部品点数が少なく構造が簡素であって、かつ、成形も容易で製造コストを抑えることができるスラット連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、医療現場などにおいては、各病室に配布するための薬や、医療器具などを運搬するために、手押しのカート(cart)が使用されている。ところで、最近では、医療現場においても、個人情報の漏洩を防止する観点から、カートの積載物から入院患者の氏名や病状などを察知されないように、開閉自在なシャッターを配設したものが使用されている。
【0003】
従来、かかるシャッターは、横長のスラットを構成部材として、これら複数のスラットを上下に順次連結して作製されたものが用いられており、このスラット式シャッターにあっては、これらの連結したスラット同士の掛脱防止のため、ストッパーとして側方に連結具を配設したものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、かかる従来のスラット連結具は、部品点数が多いために、組み立てが面倒であった。また、部品を紛失するおそれもあり、非常に使い勝手が悪いという不満があった。
【特許文献1】実開平7−4778号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のスラット連結具に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、部品点数が少なく構造が簡素であって、かつ、成形も容易で製造コストを抑えることができるスラット連結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0007】
即ち、本発明は、スラット2の上端部と下端部とにそれぞれ設けられた連結片21・22が互いに係合することにより、上下に順次連結して構成されるシャッター構造において、これら連結したスラット2・2…の側端面に当接しつゝ装着されることにより、当該スラット2・2…の掛脱を防止して、かつ、当該スラット2の側方に設けられたガイドレール3に案内せしめる合成樹脂製の連結具1であって、
複数の嵌入突起11・11…は、ガイド片12・12…と交互に連結した状態に数珠状一体に成形されており、これら嵌入突起11・11…は同一方向に突出する一方、各基端部はガイド片12の側縁部に連結され、これら両部材の連結部13は撓曲自在な薄肉状に成形し、
前記嵌入突起11・11…の各先端部を、前記スラット2の連結片21・21…の側端に形成された各挿通孔21a・21a…に嵌入可能にするとともに、
前記ガイド片12・12…を、前記ガイドレール3に沿って摺動可能にするという技術的手段を採用した。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、嵌入突起11の周面の少なくとも一部に、スラット2の挿通孔21aに対する抜止め突起11aを成形するという技術的手段を採用した。
【0009】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ガイド片12の縁部におけるガイドレール摺接部位に硬質樹脂層12aを二色成形により一体化して、ガイドレール3に対する耐摩耗性を向上せしめるという技術的手段を採用した。
【0010】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ガイド片12における一方の面に、スラット2の側方端面に成形された中空部23に嵌合可能な嵌合凸部12bを成形するという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、連結具1の弾性材料を熱可塑性エラストマーで作製するという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、スラットの上端部と下端部とにそれぞれ設けられた連結片が互いに係合することにより、上下に順次連結して構成されるシャッター構造において、これら連結したスラットの側端面に当接しつゝ装着されることにより、当該スラットの掛脱を防止して、かつ、当該スラットの側方に設けられたガイドレールに案内せしめる合成樹脂製の連結具であって、
複数の嵌入突起は、ガイド片と交互に連結した状態に数珠状一体に成形されており、これら嵌入突起は同一方向に突出する一方、各基端部はガイド片の側縁部に連結され、これら両部材の連結部は撓曲自在な薄肉状に成形されており、
前記嵌入突起の各先端部が、前記スラットの連結片の側端に形成された各挿通孔21a・21a…に嵌入可能であるとともに、前記ガイド片が、前記ガイドレールに沿って摺動可能である。
【0013】
したがって、本発明の連結具によれば、カートなどのシャッター構造において、部品点数が少なく構造が簡素にすることができ、かつ、成形も容易で製造コストを抑えることができることから、実用的利用価値は頗る高いものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0015】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図10に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは合成樹脂製の連結具であり、この連結具1の構成については後に詳述する。また、符号2で指示するものはスラットであり、このスラット2は、シャッターを構成する部材であって、プラスチック材料(例えば、塩化ビニル、ポリプロピレンなど)を押出成形して作製されており、上端部と下端部とには、連結片21・22がそれぞれ設けられており、互いに係合することにより、上下に順次連結することができる。本実施形態では、前記スラット2の連結片21・22を、鉤状のフック部材と、挿通孔21aを有する円筒部材とから構成して、懸垂状態に連結してシャッター板を構成している。
【0016】
また、符号3で指示するものはガイドレールであり、このガイドレール3は、カートの内側両側面にそれぞれ配設される長手部材である。本実施形態では、コの字形断面を有するレール部材を採用する。
【0017】
しかして、本発明は、前記のように構成されるシャッター構造において、これら連結したスラット2・2…の側端面に当接しつゝ装着されることにより、当該スラット2・2…の掛脱を防止して、かつ、当該スラット2の側方に設けられた前記ガイドレール3に案内せしめる連結具1に関するものである。
【0018】
この連結具1を構成するにあっては、まず、複数の嵌入突起11・11…と、ガイド片12・12…とを交互に連結した状態に数珠状一体に成形する。この際、これら嵌入突起11・11…は同一方向に突出させる。また、各基端部をガイド片12の側縁部に連結し、これら両部材の連結部13は撓曲自在な薄肉状に成形する(図1−3参照)。
【0019】
本実施形態では、連結具1の使用材料としては、耐摩耗性に優れたポリアセタールやポリアミド、あるいは柔軟性に優れるスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、更には、耐摩耗性および柔軟性に優れるポリアミド系熱可塑性エラストマーを採用することができる。
【0020】
そして、前記嵌入突起11・11…の各先端部が、図4および図5に示すように、前記スラット2の連結片21・21…の側端に形成された各挿通孔21a・21a…に嵌入可能である(図6および7参照)。この際、図8に示すように、嵌入突起11の周面の少なくとも一部に、スラット2の挿通孔21aに対する抜止め突起11aを成形することができ、連結具1を確実に止着することができる。
【0021】
然る後、連結具1のガイド片12・12…は、前記ガイドレール3に沿って摺動させることができる。なお、前記ガイドレール3・3には、少なくともカーブ箇所を有しており、前記ガイド片12が沿って移動するとき、このカーブ箇所において、接合部13が撓曲することによりスムースに移動させることができる(図9参照)。こうすることにより、前記構成したシャッターを介装せしめて上下に開閉することができるのである(図10参照)。
【0022】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図11に基づいて説明する。本実施形態では、図11に示すように、ガイド片12の縁部におけるガイドレール摺接部位に硬質樹脂層12aを二色成形により一体化して、ガイドレール3に対する耐摩耗性を向上せしめることができる。この硬質樹脂としては、耐摩耗性に優れるポリアセタールやポリアミドを使用することが好ましい。また、この製造方法としては、二色射出成形機を用いることが好ましい。
【0023】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、図12および図13に示すように、複数の連結具1・1…を接続するために、端部にソケット部14を設けるとともに、このソケット部14に他端の嵌入突起11を挿通することができる。こうすることにより、カートのサイズに応じてスラット2・2…の数量を変更する場合において、長さを調節することができる。
【0024】
また、連結具1の嵌入突起11・11…およびガイド片12・12…を対称形状にすることもでき、左右両方ともに使用できるので、取り違えることがない。更にまた、図14に示すように、ガイド片12における一方の面に、スラット2の側方端面に成形された中空部22に嵌合可能な嵌合凸部12bを成形することもでき、連結具1をより確実に止着することも可能であり、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の連結具を表わす上面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の連結具を表わす斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の連結具を表わす斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態のスラットの連結状態を表わす側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のスラットの連結状態を表わす斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態の連結具とスラットとを連結した状態を表わす側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の連結具とスラットとを連結した状態を表わす斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態の連結具の変形例を表わす斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態の使用状態を表わす説明側面図である。
【図10】本発明の第1実施形態のカートを表わす全体斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態の連結具を表わす斜視図である。
【図12】本発明の実施形態の連結具の変形例を表わす斜視図である。
【図13】本発明の実施形態の連結具の変形例を表わす側面図である。
【図14】本発明の実施形態の連結具の変形例を表わす斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 連結具
11 嵌入突起
11a 抜止め突起
12 ガイド片
12a 硬質樹脂層
12b 嵌合凸部
13 連結部
14 ソケット部
2 スラット
21 連結片
21a 挿通孔
22 連結片
23 中空部
3 ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラット2の上端部と下端部とにそれぞれ設けられた連結片21・22が互いに係合することにより、上下に順次連結して構成されるシャッター構造において、これら連結したスラット2・2…の側端面に当接しつゝ装着されることにより、当該スラット2・2…の掛脱を防止して、かつ、当該スラット2の側方に設けられたガイドレール3に案内せしめる合成樹脂製の連結具1であって、
複数の嵌入突起11・11…は、ガイド片12・12…と交互に連結した状態に数珠状一体に成形されており、これら嵌入突起11・11…は同一方向に突出する一方、各基端部はガイド片12の側縁部に連結され、これら両部材の連結部13は撓曲自在な薄肉状に成形されており、
前記嵌入突起11・11…の各先端部は、前記スラット2の連結片21・21…の側端に形成された各挿通孔21a・21a…に嵌入可能であるとともに、
前記ガイド片12・12…が、前記ガイドレール3に沿って摺動可能であることを特徴とするスラット連結具。
【請求項2】
嵌入突起11の周面の少なくとも一部に、スラット2の挿通孔21aに対する抜止め突起11aが成形されていることを特徴とする請求項1記載のスラット連結具。
【請求項3】
ガイド片12の縁部におけるガイドレール摺接部位に硬質樹脂層12aが二色成形により一体化されており、ガイドレール3に対する耐摩耗性を向上せしめたことを特徴とする請求項1または2記載のスラット連結具。
【請求項4】
ガイド片12における一方の面に、スラット2の側方端面に成形された中空部23に嵌合可能な嵌合凸部12bが成形されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のスラット連結具。
【請求項5】
連結具1の弾性材料が熱可塑性エラストマーで作製されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のスラット連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−106472(P2008−106472A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288748(P2006−288748)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000105936)サカセ化学工業株式会社 (12)