説明

スラリー化濃密媒体分離における媒体粒子サイズの制御

【課題】制御された粒子サイズ分布を有するスラリー化濃密媒体を使用することによって、密度分離性能を改善するための技術を提供すること。
【解決手段】粒子の混合物を分離するためのシステムであって、該システムは、以下:第一の出口ポートおよび第二の出口ポートを有する、第一の密度分離機;該第一の密度分離機の該第一の出口ポートによって供給される、第二の密度分離機;該第一の密度分離機の該第二の出口ポートによって供給される、第三の密度分離機;ならびに該第二の密度分離機の出口ポートに結合された、脱水スクリーナーであって、該脱水スクリーナーは、該第二の密度分離機の該出口ポートから出る生成物から液体を除去し、その結果、該除去された液体の少なくとも一部が、該第三の密度分離機に供給されるように構成されている、脱水スクリーナー、を備える、システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2002年7月22日に出願された、仮出願番号60/397,808(これは、本明細書中に参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、材料の分離およびプラスチックの再利用に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
異なるポリマー材料を互いから分離することの問題は、主として、耐久性のある物品からポリマー材料を経済的に再利用するための主な障害である。3つの主要な分離技術が、現在存在する:手での選別、光学的/分光学的ベースの選別、および主として材料の密度の差がベースの機械的選別。手での選別は、労働集約的であり、そしてほとんどの場合、費用が累進的である。光学ベースの選別技術は、可視蛍光、近赤外蛍光、紫外蛍光、およびX線蛍光を含み、多くの適用を有し、そしてこれらのシステムは、例えば、同一人に譲渡された国際出願番号PCT/US03/11642(2003年4月14日出願、これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、将来、植物を再利用する際に確かに役割を果たす。しかし、現在利用可能なシステムはいずれも、充填剤、塗料、コーティング、および他の汚染物質を含有するポリマー材料に広範に適用可能ではない。機械的選別システムは、材料を分離するために、材料間の物理的特性の差の平均を利用する。これらの技術が利用する最も通常の物理的特性は、材料密度の差である。
【0004】
密度選別は、混合されたプラスチック、石炭および混合された金属を含有する種々の原料の品質を向上させるために使用される。これらの分離を、水の密度より大きい密度を有する流体中で実施することが、しばしば必要である。流体の密度は、固体材料(これは、「媒体」と称される)を流体に添加して、スラリーを作製することによって、増加され得る。2.6g/cc以上程度に高い密度を有する材料が浮かされ得るように密度を増加させるように調整するために、磁鉄鉱、二酸化チタン、砂、フェロシリケート(ferrosilicate)または他の材料が、しばしば、水に添加される。このようなスラリー化媒体を使用する分離は、「スラリー化濃密媒体分離」と称される。
【0005】
液体サイクロンまたは他の密度分離デバイスが、材料を密度によって分離するために使用され得る。いくつかの密度分離デバイスは、液体および分離されるべき粒子(混合物粒子)を、円錐形または円筒形のデバイスに導入する。ボルテックスが、このデバイス内に発生されて、液体より高密度の粒子をこのデバイスの底部に移し(アンダーフロー)、そして液体の密度より低い密度の粒子を、デバイスの頂部に移す(オーバーフロー)。水中の濃密な鉱物材料のスラリーである分離流体を使用する場合、このスラリーは、不安定であり得、そして沈降しやすくあり得る。この流体の密度を増加させるために使用される媒体粒子は、混合物の粒子が分離されるほど迅速には沈降しないために十分に小さいべきである。例えば、磁鉄鉱が媒体として使用される場合、流体が濃密流体として挙動しないほどこの磁鉄鉱が迅速には沈降しないことを確実にするために、その粒子サイズは、代表的に、200ミクロンより小さくなければならない。多数の密度分離デバイスが、同一人に譲渡された特許文献1(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0006】
粒子の混合物を分離することに加えて、液体サイクロンはまた、固体を脱水し、そして固体を大きさによって分級するために使用され得る。図1は、代表的な液体サイクロン100の構成を示す。液体サイクロンがスラリーから回収し得る固体の粒子サイズは、変数(サイクロン直径110、入口面積120、ボルテックスファインダー130の直径、分級セクション140の高さ、サイクロンに供給される流量、スラリー中の固体粒子の密度、および分離流体の密度が挙げられる)の組み合わせによって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,238,579号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
混合物を分離するための方法であって、該方法は、以下:
分離液体および1つ以上の粒子媒体材料を含有する、スラリーを提供する工程;
該スラリーに対して、1回以上の分級分離を実施して、該粒子媒体材料の制御された粒子サイズ分布を有する、分級済み媒体を生成する工程;
該分級済み媒体を、分離されるべき混合物と合わせて、分離混合物を生じる工程;ならびに
該分離混合物に対して、1回以上の密度分離を実施する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
さらに、以下:
上記分離混合物に対して少なくとも1回の密度分離を実施する工程の後に、上記分級済み媒体を、上記媒体の分級分離を実施することによって再生する工程、
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記分級済み媒体を再生する工程が、該分級済み媒体から、微細サイズの粒子閾値より小さい粒子サイズを有する粒子材料を除去する工程を包含する、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記スラリー化媒体に対して1回以上の分級分離を実施する工程が、以下:
該スラリーから、上記1つ以上の媒体材料の粗い粒子を含有する粗い画分を分離する工程であって、該粗い粒子が、第一の粒子サイズ閾値より大きい粒子サイズを有する、工程;および
該スラリーから、該1つ以上の媒体材料の微細な粒子を含有する、該スラリー由来の微細な画分を分離する工程であって、該微細な粒子が、第二の粒子サイズ閾値より小さい粒子サイズを有する、工程、
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目5)
さらに、以下:
上記分離混合物に対して第一の密度分離を実施する前に、上記1つ以上の媒体材料の非常に粗い画分を該混合物に添加する工程であって、該非常に粗い画分が、下流の分離機に実質的に移される媒体粒子を含む、工程、
を包含する、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記第一の粒子サイズ閾値および上記第二の粒子閾値が、分離システムのパラメータによって決定される、項目4に記載の方法。
(項目7)
上記スラリーまたは上記分離混合物に対して1回以上の分級分離または密度分離を実施する工程が、それぞれ、該スラリーまたは該分離混合物を、1つ以上の液体サイクロン分離機を使用して分離する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記スラリー媒体または上記分離混合物に対して1回以上の分級分離または密度分離を実施する工程が、それぞれ、該スラリー媒体または該分離混合物を、1つ以上の円筒形ボルテックス分離機を使用して分離する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記スラリーまたは分離混合物に対して1回以上の分級分離または密度分離を実施する工程が、それぞれ、該スラリーまたは該分離混合物を、1つ以上の液体サイクロン分離機および1つ以上の円筒形ボルテックス分離機を使用して分離する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目10)
上記スラリーに対して1回以上の分級分離を実施する工程が、該スラリーを、1つ以上の密度分離機の配置を使用して分離する工程を包含し;そして
上記分離混合物に対して1回以上の密度分離を実施する工程が、該分離混合物を、1つ以上の密度分離機の配置を使用して分離する工程を包含する、
項目1に記載の方法。
(項目11)
上記1つ以上の粒子媒体材料が、磁鉄鉱、二酸化チタン、砂またはフェロシリケートの1つ以上を含有する、項目1に記載の方法。
(項目12)
上記分離されるべき混合物が、1つ以上のプラスチック材料を含有する、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記1つ以上の粒子媒体材料が、磁鉄鉱を含有し、そして上記分離媒体が、約5〜約30ミクロンの範囲の粒子サイズ分布を有する磁鉄鉱粒子を含有する、項目1に記載の方法。
(項目14)
上記1つ以上の粒子媒体材料が、磁鉄鉱を含有し、そして上記分離媒体が、約5〜約25ミクロンの範囲の粒子サイズ分布を有する磁鉄鉱粒子を含有する、項目1に記載の方法。
(項目15)
上記スラリーまたは上記分離混合物に対して、1回以上の分級分離または密度分離を実施する工程が、それぞれ:
該スラリーまたは該分離混合物を、第一の密度分離機において分離して、第一の画分および第二の画分を生じる工程;
該第一の画分を第二の密度分離機において分離して、第三の画分を生じる工程;
該第三の画分から液体を回収する工程;
該回収された液体および該第二の画分を合わせる工程;ならびに
該第二の画分を第三の密度分離機において分離する工程、
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目16)
上記第一の画分を第二の密度分離機において分離する工程が、上記第三の画分および第四の画分を生じる工程を包含し、該第三の画分が、該第四の画分より多量の液体を含有する、項目15に記載の方法。
(項目17)
上記第一の密度分離機が、液体サイクロンであり、そして上記第二の密度分離機および第三の密度分離機が、円筒形ボルテックス分離機である、項目15に記載の方法。
(項目18)
上記第一の密度分離機が、円筒形ボルテックス分離機であり、そして上記第二の密度分離機および第三の密度分離機が、液体サイクロン分離機である、項目15に記載の方法。
(項目19)
混合物を分離するための方法であって、以下:
混合物を、第一の密度分離機において分離して、第一の画分および第二の画分を生じる工程;
該第一の画分を、第二の密度分離機において分離して、第三の画分を生じる工程;
該第三の画分から液体を回収する工程;
該回収された液体および該第二の画分を合わせる工程;ならびに
該第二の画分を第三の密度分離機において分離する工程、
を包含する、方法。
(項目20)
上記第一の画分を第二の密度分離機において分離する工程が、上記第三の画分および第四の画分を生じる工程を包含し、該第三の画分が、該第四の画分より多量の液体を含有する、項目19に記載の方法。
(項目21)
上記第一の密度分離機が、液体サイクロンであり、そして上記第二の密度分離機および第三の密度分離機が、円筒形ボルテックス分離機である、項目19に記載の方法。
(項目22)
上記第一の密度分離機が、円筒形ボルテックス分離機であり、そして上記第二の密度分離機および第三の密度分離機が、液体サイクロン分離機である、項目19に記載の方法。
(項目23)
粒子の混合物を分離するためのシステムであって、該システムは、以下:
第一の出口ポートおよび第二の出口ポートを有する、第一の密度分離機;
該第一の密度分離機の該第一の出口ポートによって供給される、第二の密度分離機;
該第一の密度分離機の該第二の出口ポートによって供給される、第三の密度分離機;ならびに
該第二の密度分離機の出口ポートに結合された、脱水スクリーナーであって、該脱水スクリーナーは、該第二の密度分離機の該出口ポートから出る生成物から液体を除去し、その結果、該除去された液体の少なくとも一部が、該第三の密度分離機に供給されるように構成されている、脱水スクリーナー、
を備える、システム。
(項目24)
上記第一の密度分離機が、液体サイクロンであり、そして上記第二密度分離機および第三の密度分離機が、円筒形ボルテックス分離機である、項目23に記載のシステム。
(項目25)
上記第一の密度分離機が、円筒形ボルテックス分離機であり、そして上記第二の密度分離機および第三の密度分離機が、液体サイクロン分離機である、項目23に記載のシステム。
(項目26)
上記分離システムが、上記第一の密度分離機、第二の密度分離機、および第三の密度分離機に作動可能に結合された、単一のポンプを備える、項目23に記載のシステム。
(項目27)
密度分離システムを使用して材料の混合物のスラリー化媒体密度分離において使用するための、密度調整媒体であって、該媒体は、1つ以上の材料の粒子組成物を含有し、該粒子組成物は、第一の粒子サイズ閾値と第二の粒子サイズ閾値との間の粒子サイズ分布を有する粒子からなり、該第一の粒子サイズ閾値および第二の粒子サイズ閾値は、該密度分離システムの構成要素の特徴に少なくとも部分的に基づいて選択される、媒体。
(要旨)
本発明は、制御された粒子サイズ分布を有するスラリー化濃密媒体を使用することによって、密度分離性能を改善するための技術を提供する。粒子サイズ分布は、スラリー化媒体を分級して、一般に特定のサイズ未満の微粉を除去し、そして特定のサイズより大きい粗い粒子(分離デバイスのアンダーフローに濃縮されるスラリーの部分)を除去することによって、制御される。アンダーフローに濃縮される媒体粒子のサイズは、異なる分離回路と共に変化する。これらの分級のいずれも、微細粒子または粗い粒子の全体の除去を増加させるために繰り返され得る。
【0009】
一般に、1つの局面において、本発明は、混合物を分離するための方法およびシステムを特徴とする。分離液体および1つ以上の粒子媒体材料を含有するスラリーが提供される。分級分離がこのスラリーに対して実施されて、粒子媒体材料の制御された粒子サイズ分布を有する、分級済み媒体を生成する。この分級済み媒体は、分離されるべき混合物と合わせられて、分級混合物を生じる。密度分離が、この分離混合物に対して実施される。
【0010】
特定の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を包含し得る。分級済み媒体は、1回以上の密度分離を実施した後に、再生され得る。分級分離は、スラリーから粗い画分と微細な画分とを分離する工程を包含し得る。粗い画分および/または微細な画分は、分離システムのパラメータによって決定され得る。粗い画分は、最初の密度分離の前に、スラリーに添加され得る。複数の密度分離が、スラリーまたは分離混合物に対して、1つ以上の液体サイクロン分離機、1つ以上の円筒形ボルテックス分離機、または液体サイクロン分離機と円筒形ボルテックス分離機との組み合わせを使用して、実施され得る。媒体は、磁鉄鉱、二酸化チタン、砂またはフェロシリケートを含有し得る。分離されるべき混合物は、プラスチック材料を含有し得る。媒体が磁鉄鉱であり得、そして分級済みスラリーの粒子サイズ分布は、約5〜30ミクロン、または5〜25ミクロンであり得る。分離のためのシステムは、第一の密度分離機、第二の密度分離機、第三の密度分離機、および脱水スクリーナーを備え得る。脱水スクリーナーは、液体を抽出するために、第二の密度分離機に結合され得る。第二の密度分離機は、第一の密度分離機によって供給され得る。第三の密度分離機は、第一の密度分離機によって、抽出された液体を供給され得る。スラリー化媒体は、2つの粒子サイズ閾値の間のサイズ分布を有する、1つ以上の材料を含有し得る。閾値は、密度分離システムの構成要素の特徴によって、決定され得る。
【0011】
一般に、別の局面において、本発明は、混合物を分離するための方法を提供する。混合物が、第一の密度分離機において分離されて、第一の画分および第二の画分を生じる。第一の画分は、第二の密度分離機において分離されて、第三の画分を生じる。液体が、第三の画分から回収され、そして回収された液体および第二の画分が合わせられる。次いで、第二の画分は、第三の密度分離機において分離される。
【0012】
一般に、別の局面において、本発明は、粒子の混合物を分離するためのシステムを提供する。このシステムは、第一の出口ポートおよび第二の出口ポートを有する第一の密度分離機、第一の密度分離機の第一の出口ポートによって供給される第二の密度分離機、第一の密度分離機の第二の出口ポートによって供給される第三の密度分離機、ならびに第二の密度分離機の出口ポートに結合される脱水スクリーナーを備える。脱水スクリーナーは、第二の密度分離機の出口ポートから出る生成物から液体を除去するように構成され、その結果、除去された液体の少なくとも一部が、第三の密度分離機に供給される。
【0013】
特定の実施は、以下の特徴のうちの1つ以上を包含し得る。第一の画分を第二の密度分離機において分離する工程は、第三の画分および第四の画分を生じる工程を包含し得、ここで、第三の画分は、第四の画分より多量の液体を含有する。第一の密度分離機は、液体サイクロンであり得、そして第二の密度分離機および第三の密度分離機は、円筒形ボルテックス分離機であり得る。第一の密度分離機は、円筒形ボルテックス分離機であり得、そして第二の密度分離機および第三の密度分離機は、液体サイクロン分離機であり得る。このシステムは、第一の密度分離機、第二の密度分離機、および第三の密度分離機に作動可能に結合された、単一のポンプを備え得る。
【0014】
一般に、別の局面において、本発明は、密度分離システムを使用して、材料の混合物のスラリー化媒体密度分離において使用するための、密度調整媒体を提供する。この媒体は、1つ以上の材料の粒子組成物を含有する。この粒子組成物は、第一の粒子サイズ閾値と第二の粒子サイズ閾値との間の粒子サイズ分布を有する粒子からなる。第一の粒子サイズ閾値および第二の粒子サイズ閾値は、密度分離の構成要素の特徴に少なくとも部分的に基づいて選択される。特定の実施において、この媒体は、磁鉄鉱、二酸化チタン、砂またはフェロシリケートを含有し得る。この媒体は磁鉄鉱であり得、そして分級済みスラリーの粒子サイズ分布は、約5〜30ミクロン、または5〜25ミクロンであり得る。
【0015】
一般に、別の局面において、本発明は、混合物中の材料を分離するために2つ以上の密度分離機を使用する、多段階分離システムを提供する。この多段階システムは、複数の液体サイクロン分離機、円筒形ボルテックス分離機、または他の密度分離機(これらの組み合わせを含む)を備え得る。
【0016】
特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を包含し得る。システムにおける第一の密度分離機は、液体サイクロンであり得、そしてこの液体サイクロンのオーバーフローおよび/またはアンダーフローは、第二の液体サイクロンまたは円筒形ボルトテックス分離機に供給され得る。多段階システムは、分離流体として、水単独とともに、または塩溶液もしくはスラリー化粒子固体媒体とともに、使用され得る。スラリー化媒体は、制御された粒子サイズ分布を提供するために、分級され得る。制御された粒子サイズ分布は、第一の粒子サイズ閾値未満より大きい粒子サイズを有する媒体粒子、および/または第二の粒子サイズ閾値より小さい粒子サイズを有する媒体粒子を排除し得る。分級済み媒体は、直列に配置された2つ以上の密度分離機において、およそ同じ分離密度での2段階分離を制御するために使用され得る。分級済み媒体が調製された後に、粒子媒体の非常に粗い画分が選択的に導入され得、これは、第一の密度分離機において、流体から実質的に除去される。非常に粗い材料を添加された分級済み媒体は、三元分離を制御するために使用され得る。直列の2つの液体サイクロン、続いて1つの円筒形ボルテックス分離機を備えるシステムが、濃密な生成物、中程度に濃密な生成物、および軽い生成物を生成するために使用され得る。このプロセスは、第二の液体サイクロンの供給密度、および第一の液体サイクロンの頂部の直径に基づいて、制御され得る。円筒形ボルテックス分離機は、ヘッドボックスによって供給され得る。
【0017】
引き続く2段階分離が、重い生成物と軽い生成物との両方に対して、第一の段階として液体サイクロンを使用し、そして第二の段階のオーバーフロー分離機およびアンダーフロー分離機として液体サイクロンまたは円筒形ボルテックス分離機のいずれかを使用して実施され得る。円筒形ボルテックスは、混合物粒子とスラリーとの組み合わせの軽い部分を、液体サイクロン(これは、重い生成物を脱水する傾向がある)より大きい程度に脱水するために使用され得る。第二段階のオーバーフローを供給された分離機から出るより多量の流体ストリームを脱水し、そしてこの流体を第二段階のアンダーフローを供給されるヘッドボックスに送ることによって、各分離機において実施されるものと同じ密度での分離が可能になる。二次密度分離機からのより低密度の流体を、より濃密な流体と共に、別の二次分離機に供給する多段階システムは、各分離機に、およそ同じ密度の供給を提供するように調整され得る。多段階システムは、各分離機に対して、単一より少ないポンプを備え得る。例えば、多段階システムは、多段階システム全体に対して1つのみのポンプを備え得る。
【0018】
リンス水システムが、別のリンス水洗浄液体サイクロンのオーバーフローの一部を自動的に分岐させることによって、より微細な粒子を除去するために使用され得る。このリンス水システムは、受容可能な媒体をスラリーから沈澱させ、そして非常に微細な媒体粒子のみを含有するオーバーフロー流体画分、および主要分離供給タンクに戻して媒体をプロセスに戻すための媒介された流体を濃縮するアンダーフロー画分を生じる。リンス水は、湿った固体からより多くの媒体を解放するために混合物粒子をスプレーするために使用され得る。分離回路自体は、分岐弁が分離サイクロンのアンダーフローに配置される場合に、粗い粒子を除去するために使用され得る。
【0019】
このシステムは、まず媒体粒子を分級するため、そしてこの媒体が一旦使用されると、液体中に蓄積する微細な粒子または粗い粒子を除去するために、使用され得る。このことは、媒体の再使用を可能にする。所望でない粒子(例えば、微粉)を、以下に記載される技術を使用して除去することは、媒体が強磁性であることを必要とせず、そしてこの方法は、より狭い範囲の型の媒体に使用者を制限しない。
【0020】
本発明は、以下の利点のうちの1つ以上を提供するように実施され得る。微細な媒体粒子(一般に、5ミクロン未満)を除去することは、流体の粘度を低下させ、そして発泡を減少させることによって、分離性能を改善する。発泡は、スラリー中に空気を捕捉し、分離機を不安定化する圧力の変動を生じる。微細な媒体粒子を除去することはまた、分離された材料においてより清浄な粒子を生じる。なぜなら、微細な媒体粒子は、混合物粒子の表面を汚染し、そして混合物粒子の表面の、接着によるクリーニング(これは、低下されなければ、分離の間に起こる)を低下させるからである。媒体の微細な粒子を除去することはまた、設備内を空気で運ばれ得る媒体の量を減少させることによって、混合物処理設備における清浄性および衛生に寄与する。
【0021】
粗い媒体粒子を除去することは、分離性能を改善する。なぜなら、この媒体粒子は、分離サイクロンのアンダーフロー内に濃縮されず、この濃縮は、密度選別を正確ではなくするからである。粗い粒子を媒体から除去することにより、この媒体が安定化され、その結果、この媒体は、供給密度により近い密度で、粒子混合物を分離する。分離デバイスは、粒子の混合物を分離するため、および目標範囲内に入る媒体粒子を選択することによって、分離の前もしくは分離中に、媒体スラリーの品質を洗練するために、使用され得る。分離デバイスは、2つの目的で働き得るので、この分離プロセスを最適化するために、より少ない設備が必要とされる。引き続く分離を実施するために使用されるものと同じ条件および設備構成を使用して、媒体を分級することにより、引き続く分離において、媒体中に存在する特定の材料にかかわらず、そして粒子サイズの閾値が既知である必要なく、満足に作用する分級済み媒体が得られ得る。このような場合、媒体の分級は、分級において使用される分離条件および設備構成によって、完全に決定され得る。
【0022】
多段階システムの使用は、分離の性能を改善し得る。第一の液体サイクロンのオーバーフローが円筒形ボルテックス分離機に供給される多段階システムは、単一段階システムよりわずかにのみ大きい垂直方向クリアランスおよびわずかにのみ大きいポンプ圧を必要とする。このようなシステムは、分離の精度を改善し得、そしてその分離生成物を脱水する必要性を低下させ得る。なぜなら、水の一部は分離のオーバーフローまたはアンダーフローのいずれかから除去されるからである。このことは、原料(これは、供給物中に、可変量または少量の軽い材料を含有する)から高純度の軽い生成物を生成することを補助し得る。
【0023】
多段階システムにおける円筒形ボルテックス分離機の使用は、軽い生成物からの媒体密度の除去の精度を改善し得る。円筒形ボルテックスはまた、混合物粒子とスラリーとの組み合わせの軽い部分を、液体サイクロン(これは、重い生成物を脱水する傾向がある)より大きい程度まで脱水する。第二段階のオーバーフローを供給された分離機から出るより多量の流体ストリームを脱水し、そしてこの流体を第二段階のアンダーフローを供給されるヘッドボックスに送ることによって、各分離機において施されるものと同じ密度での分離が可能になる。この流体移動技術は、第二段階のアンダーフロー分離機に対する、より高い流体密度の問題を排除するか、または大いに減少させる。二次密度分離機から回収されたより低密度の流体を、別の二次分離機へのより濃密な供給に添加する多段階システムは、この供給の密度を低下させ、そして多段階分離システムにおける各分離機への供給がおよそ同じ密度であるように、供給密度を調整することを可能にする。このことは、各分離機に供給されるスラリーをモニタリングおよび制御する必要性を、減少させる。このことはまた、各分離機が専用のポンプを必要とすることを排除し得、このシステムを単純化しそして投資費用を減少させる。いくつかの実施形態において、単一のポンプのみが、多段階システム全体のために必要とされる。
【0024】
これらの技術は、種々の粒子(混合プラスチック、混合鉱物および混合金属、またはこれらの材料の任意の混合物が挙げられる)を分離するために使用され得る。
【0025】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面および以下の説明において記載される。他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解される意味を有する。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が本明細書中に参考として援用される。矛盾する場合は、本明細書(定義を含む)が支配する。本発明の他の特徴および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、代表的な液体サイクロンを示す概略図である。
【図2A】図2Aは、ABSプラスチックの原子間力顕微鏡画像である。
【図2B】図2Bは、混合された粒子の表面の、小さい媒体粒子および大きい媒体粒子の図を示す。
【図3】図3は、直列に接続された2つの液体サイクロンを備える、多段階分離システムの概略を示し、ここで、第一の液体サイクロンのオーバーフローは、第二の液体サイクロンに供給する。
【図4】図4は、垂直に配向された円筒形ボルテックス分離機の概略図である。種々の図における類似の参照番号および指定は、類似の要素を示す。
【図5】図5は、1つの第二段階分離機から第二の段階分離機へと流体を供給する、二重精密密度分離システムの概略である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(詳細な説明)
本発明は、制御された粒子サイズ分布を有する粒子媒体を使用する、密度分離技術を提供する。媒体の粒子が分離デバイス(例えば、液体サイクロン)内で沈降する場合、アンダーフローストリームの密度は、供給流体に対して上昇し、そしてオーバーフロー流体の密度は減少する。アンダーフロー流体の密度とオーバーフロー流体の密度との間の差は、「差分」と称される。アンダーフローの流体の量は、頻繁に、オーバーフローに移す量よりずっと少ないので、それに対応して、供給物とアンダーフローとの間の密度差は、供給物とオーバーフローとの間の密度差よりずっと大きい。
【0028】
混合物粒子の分離が起こる流体の密度は、分離密度と称される。例えば、1.05g/ccと1.10g/ccとの密度を有する粒子を分離するためには、分離密度は、1.05g/ccと1.10g/ccとの間である。スラリー化濃密媒体分離については、分離密度は、通常、供給流体の密度より高い。なぜなら、この媒体は、アンダーフローに濃縮され、そして混合された粒子(これらは、妨げられなければ、アンダーフローに移動する)のいくらかを、アンダーフローへの移動から妨げるからである。供給密度と分離密度との間の差異は、しばしば、「オフセット」と称される。オフセットが増加するにつれて、分離の質は一般に低下する。
【0029】
非常に近い密度を有する2つの材料についての分離密度を正確に制御することは、大きいオフセットが存在する場合に、困難である。プラスチック材料の分離の場合には、密度がほんの0.02g/cc以下異なる2つのプラスチックを分離することが、しばしば望ましい。多くの場合において、液体サイクロンおよびスラリー化媒体を使用する分離回路のオフセットは、0.1g/cc程度に高くあり得る。必要とされる正確な分離密度切点(アンダーフローとオーバーフローとの両方に移動するサイズの粒子)に対するこのオフセットのサイズは、この分離システムを、制御することを非常に困難にする。このオフセットは、媒体粒子の粒子サイズ分布の変化または流体温度の変化が存在する場合に、時間と共に変化し得る。小さいオフセットを有する分離システムが望ましい。
【0030】
媒体の粒子サイズが減少するにつれて、スラリーの安定性が改善されるが、その粘度は次第に増加する。混合物が濃密媒体分離において分離されるべきである場合、スラリーの粘度の増加は、混合物粒子が分離流体中で沈むかまたは浮遊するので、これらの粒子を遅くする。スラリーの粘度を低く保つことによって、より多くの混合物粒子が、分離流体を通ってオーバーフローまたはアンダーフローの方へと移動することが可能になる。これらの理由により、媒体材料の選択において妥協が常に存在する。なぜなら、これは、粗すぎもせず微細すぎもしないはずであるからである。
【0031】
多数の異なるサイズ(約76mm(3インチ)の直径から約760mm(30インチ)の直径の範囲)のサイクロンが、スラリー化濃密媒体分離において使用され得る。オーバーフローに移動する粒子サイズの効果は、以下の表1に示されるように、サイクロンのサイズおよび他の変数と共に変化する。
【0032】
【表1】


より高い分離密度において、より粗い媒体粒子は、より沈降しにくい。なぜなら、これらは、自由に沈降することを妨げられるからである。より高い分離密度において、より粗い媒体粒子が望ましい。なぜなら、これらは、より低い媒体密度を生じ、一方で、大きすぎるオフセットを生じないからである。
【0033】
1つの局面において、本発明は、媒体の粒子サイズを制御するための技術を提供し、その結果、この媒体は、遠心分離流体分離デバイスにおいて固体の混合物を選別するために使用される場合に、有利な特性を有するスラリーを形成するために使用され得る。媒体が、一旦調製されると信頼性よく機能することを確実にするために、この媒体は、選択された範囲外の小さい粒子および大きい粒子、または類似しない材料の粒子が、この媒体が分離プロセスにおいて使用される前にこの媒体から除去されるように、分級される。これらの技術は、より清浄な混合物粒子を生成する。なぜなら、混合物粒子の表面に接着する傾向のある微細な媒体粒子が除去され、そして媒体が、材料の外側材料を研磨によって清浄化するからである。この技術は、混合されたプラスチックを分離するために使用され得るが、これらはまた、金属または鉱物の混合物、あるいは密度に従って分離され得る材料の任意の混合物を分離するために、適用可能である。一般に、媒体の粒子のサイズは、分離されるべき混合物粒子の平均サイズの50%未満である。本発明に従う1つの方法において、粒子材料分離システム(例えば、液体サイクロンまたは円筒形ボルテックス分離機)において使用されるべき分離媒体は、特定の粒子サイズ範囲内の粒子サイズ分布を有するように選択される。分級済み媒体は、キャリア流体中の未分級粒子媒体のスラリーを、密度分離機(例えば、液体サイクロン)に通過させることによって、調製される。この媒体は、粒子材料を含有し、この材料は、磁鉄鉱、二酸化チタン、砂、フェロシリケート、または他の鉱物のような鉱物、あるいは他の非鉱物材料であり得る。キャリア流体は、通常、水、溶解された塩を含む水、または他の液体である。一般に、硬い媒体粒子が、それらが分離プロセスの間の摩擦に抵抗する能力のために、選択される。
【0034】
1つの実施形態において、媒体を分級するために使用される密度分離機は、媒体が材料の混合物を分離するために使用される分離機と同じ分離機である。あるいは、媒体は、異なる分離機(例えば、同じかまたは類似の分級条件を有する分離機)で処理され得る。第一の予め決定された粒子サイズ閾値より大きい粒子を含む、媒体の粗い画分が、密度分離機において生成され、そして除去され、そしてこの媒体の残りの部分が保持される。例えば、媒体が液体サイクロン分離機において処理される場合、以下により詳細に記載されるように、媒体の粗い画分は、このサイクロンのアンダーフローまたは頂部において生成され、そして除去され、そしてこの媒体材料の、オーバーフローに移動する部分が保持される。
【0035】
このプロセスは、保持される材料が同じかまたは異なる密度分離機に供給され、粗い材料のさらなる画分を除去して、1回以上繰り返され得る。粗い粒子を除去するための単一の通過が、しばしば、分離機のオフセットを大いに減少させるために十分であるが、2回目または3回目の通過は、媒体が濃密媒体分離において同じ分離条件下で引き続いて使用される場合に経験するオフセットのさらなる減少を提供し得、より正確に混合物を分離することを可能にする。あるいは、粗い画分が除去されながら、流量が増加され得る。
【0036】
次いで、第二の予め決定されたサイズ閾値より小さい微細な粒子が除去される。粗い画分が除去された保持された材料が、密度分離機に供給され、この密度分離機は、粗い粒子が除去された分離機と同じ分離機であっても、異なる分離機であってもよい。この分離機において、より小さいサイズ閾値より小さい、非常に微細な媒体粒子が、スラリーから分離され、そして認容可能な媒体(すなわち、所望の範囲での粒子サイズ分布を有する媒体)が生成される。例えば、微細な分級が、別のリンス液体サイクロンにおいて実施され得、このリンス液体サイクロンは、以下により詳細に記載されるように、媒体の粗い画分の除去(および混合物の分離)のために使用される、一般的により大きい液体サイクロンよりずっと小さい直径の粒子を沈殿させるように構成される。この液体サイクロンは、非常に微細な媒体粒子のみを含有するオーバーフロー流体画分を生成し、そして残りの認容可能な媒体を、アンダーフロー画分中のスラリーから濃縮し、これは、主要分離供給タンクに戻され得る。
【0037】
所定の分離について選択される、特定の媒体粒子サイズ範囲(すなわち、上で議論された第一および第二の粒子サイズ閾値)は、媒体材料と、分離回路を形成する設備との両方に依存して、分離ごとに変化する。粗いサイズ閾値(これより上の媒体粒子が除去される)を決定するために、単純な方法が使用され得る。上で議論されたように、液体サイクロン分離システムは、アンダーフローに移動する粗い画分が除去され得るように、未分級媒体を処理し得る。サイクロンを通しての各連続的な通過は、残りの固体媒体の粗い画分の除去を可能にする。多すぎる数の通過が使用される場合、その結果、ほぼ全ての粒子媒体が除去される。その結果、1回と5回との間の通過が、認容可能な媒体の収量を実質的に減少させることなく、代表的に、予測される実用的な利点のほとんどまたは全てを達成する。意図される分離のシステムおよび条件を使用する予備分級工程を、スラリー化媒体のみに対して実施することによって、この挙動が、分離条件下で沈降する媒体粒子を排除するために使用され、従って、質および特徴(すなわち、粗い粒子サイズの閾値)が未知であり得る場合でさえも、アンダーフローに沈降し、そして得られる分離性能に不利に影響を与える粗い粒子が実質的にない媒体を生じる。一般に、媒体の適切な粒子サイズは、媒体の密度に依存する。例えば、5ミクロンと30ミクロンとの間の磁鉄鉱媒体は、安定なスラリーを形成する。磁鉄鉱より低い密度の他の鉱物または媒体(例えば、二酸化ケイ素)の粒子は、より粗い粒子で安定なスラリーを形成する。
【0038】
特定の粒子サイズより下および特定の粒子サイズより上の実質的に全ての粒子を除去することにより、以下により詳細に記載されるように、一般に、混合物中の粒子の分離が改善される。媒体について選択される、特定の粒子サイズ分布は、媒体材料の選択および分離システムの構成と共に変化し、そして通常、その粒子サイズを達成するために使用される分級技術によって、説明される。
【0039】
目標範囲より小さい粒子の除去は、その媒体を用いて実施される分離におけるいくつかの問題を回避する。例えば、微細な粒子サイズの材料は、スラリー化粒子を含有する流体を取り扱いながら、かなりのレベルの泡の形成を導き得る。微細な媒体粒子はまた、スラリーの観察される粘度を増加させ、このことは、混合物粒子が、遠心分離による分離デバイス内の流体に対して上昇するかまたは沈降することを、より困難にする。微細な媒体粒子はまた、乾燥される場合に、より空気で運ばれやすくなり、そしてプラントの清浄さおよび衛生を維持することに対して問題となり得る。微細な媒体粒子はまた、分離されるべきいくつかの種々の粒子(特に、プラスチック)の表面を汚染し得る。
【0040】
微細な粒子による表面汚染は、特に問題となり得る。図2Aは、射出成形されたアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチック標本の、ミクロトームで切断された切片の表面の、原子間力顕微鏡写真を示す。この原子間力顕微鏡分析は、通常のタッピングモードで実施された。図2Aの原子間力顕微鏡写真は、いくつかの異なるサイズの表面の穴および輪郭を示す。顔料粒子由来の穴205は、一般に、2ミクロン未満であるように見え、ABS内のゴム領域210は、一般に、0.5ミクロン未満であり、そして表面の溝および輪郭は、一般に、5ミクロン未満である。AFMにおける輪郭は、ミクロトーム由来であるが、プラスチックの顆粒化もまた、類似の輪郭を生じることが結論付けられ得る。図2Bに示されるように、5ミクロンより大きいサイズを有する媒体粒子215は、実質的に、表面に接着するための位置を見出し得ないようであり、一方で、5ミクロン未満の媒体粒子(例えば、直径3ミクロンの媒体粒子220)は、3ミクロンの空隙225に嵌合し得る。従って、スラリーにおいて、大いに減少した数の5ミクロン未満の媒体粒子を含有する混合物粒子を選別するために使用される特定の粒子媒体は、プラスチック表面を汚染しにくいはずである。プラスチックのサンプルを、5ミクロンの直径未満の媒体粒子のより多くの量およびより少ない量を含有するスラリー中で洗浄することは、5ミクロンより小さい粒子を含むスラリーで洗浄されたプラスチックが、5ミクロンより大きい粒子を含有するスラリーで洗浄されたプラスチックより高い汚染割合を有することを実証する。存在する微細な媒体粒子がより少ないほど、スラリーはプラスチック表面を汚染する傾向が小さい。
【0041】
清浄なプラスチック表面に依存する、多くの分離技術(例えば、摩擦静電分離および浮遊選鉱)が存在する。5ミクロン未満の微細な粒子をスラリー化密度分離媒体から除去することによって、摩擦静電荷電の性能が大いに増強される。なぜなら、媒体が、混合物粒子の表面に接着する粒子を含有しないから(および従って、分離デバイス中の混合物粒子の挙動を変化させないから)であり、そして粗い媒体粒子が実施する研磨清浄化に起因する。
【0042】
研磨材料(例えば、磁鉄鉱、二酸化チタン、砂、フェロシリケート、または他の硬質材料)が媒体中に存在し、そしてこの媒体が、5ミクロンより粗い粒子サイズを有する場合、ポリマー混合物粒子(例えば、プラスチック)の表面研磨が起こる。これらの粒子は、スラリー化濃密媒体媒体分離に供された後に、光沢の低い外観を有し、そして微細なプラスチックが廃棄材料中に存在し、この廃棄材料は、湿式分離システムから除去される。この研磨作用は、ポリマーの表面を清浄化する効果を有し、そしてこれによって、これらのポリマーの、表面に基づく分離技術(例えば、摩擦静電分離)における性能を改善する。なぜなら、表面の汚染物が、同じ物理的特性を有する粒子が、分離の間に異なって挙動するように、混合物粒子の特性を改変し得るからである。この清浄化は、粒子サイズ分布が微細な(5ミクロン未満の)材料の含有量を最小化する場合に、スラリー化濃密媒体の使用によって、特に増強される。なぜなら、より微細な材料は、混合物粒子の表面を被覆し、そして上に記載されるような研磨を防止し得るからである。従って、プラスチック混合物を、5ミクロンより小さい粒子を排除するように分級されたスラリーに曝露し、その後、この混合物を、表面に基づく分離技術を使用して選別することによって、得られる分離が改善され得る。
【0043】
選択された粒子サイズより粗い媒体粒子もまた、問題となる。なぜなら、特に、沈降が非常に急速に起こる遠心分離による分離デバイスにおいて、これらは、プロセス設備内で沈降するからである。スラリーの媒体粒子が遠心分離機中で大きな程度まで沈降する場合、混合物粒子が分離される密度が変化する。より多くのスラリー粒子が沈降するほど、有効分離密度がより増加し、そして分離の精度がより低くなる。
【0044】
分離が密度分離機内で起こる密度は、分離機のアンダーフローの密度に近付く傾向がある。所定の分離条件において操作される任意の所定の遠心分離機について、オーバーフローとアンダーフローとの間に等しく分布する粒子直径が存在する。流量を増加させることによって、アンダーフローとオーバーフローとの両方に移動する粒子直径が減少される。一例として、液体サイクロンを通る流体の流量が2倍になると、等しく分布する粒子のサイズが減少する。なぜなら、サイクロン内の遠心力が増加するからである。
【0045】
別の局面において、本発明は、スラリー化媒体の調製と、スラリー化媒体の密度分離の実施との両方を行うために必要とされる設備の総量を減少させる分離システム、およびこのようなシステムを使用する方法を提供する。この設備は、2つの区別されるモードで運転され得る。第一のモードは、制御された粒子サイズ分布を有する媒体を作製する。第二のモードは、プラスチックの混合物、プラスチックおよび他の材料、金属、または鉱物を、粒子媒体を使用して分離して、キャリア流体の固有の密度より高く密度を調整する。
【0046】
1つの実施形態において、媒体は、未分級媒体のスラリーを、粗い(1〜25mm)の粒子の混合物(例えば、混合プラスチック)の分離のために使用されたものと同じ液体サイクロン(または等しい分級条件を有する異なる液体サイクロン)を通して通過させることによって、調製される。スラリーの密度は、分離するための混合粒子中の材料のうちの少なくとも2つの間の密度であり得る。例えば、ほとんどのプラスチックは、0.9g/ccと1.3g/ccとの間の密度を有する。従って、スラリーの密度は、0.9g/cc〜1.3g/ccの範囲内、または1.01g/ccと1.15g/ccとの間のより狭い範囲内に入るように選択され得る(例えば、媒体の添加に基づいて)。媒体の粗い画分は、サイクロンのアンダーフローまたは頂点において生成される。この粗い画分は除去され、そしてオーバーフローに移動する媒体材料の部分が保持される。この操作を繰り返すことによって、この媒体が同じ液体サイクロン条件下での濃密媒体スラリー分離において使用される場合に経験されるオフセットを選択的に減少させることが可能である。単一の通過が、しばしば、オフセットを大いに減少させるために十分である。しかし、2回目または3回目の通過が、特に、正確な混合物分離が望ましい場合に望ましい。複数の通過の代替として、粗い画分が除去される間の流量が増加され得る。液体サイクロンを通る体積流量を増加させることによって、アンダーフロー内の粗い粒子の捕捉が増加され、そしてオーバーフローに残る平均粒子サイズが減少される。
【0047】
スラリー化濃密媒体回路のアンダーフローに移動する粒子は、媒体中のより粗い粒子である傾向がある。これらのより粗い媒体粒子が、媒体が調製されるときに除去される場合、分離回路のオフセットを大いに減少させることが可能である。さらに、決定されたサイズより小さい媒体粒子を除去することによって、この媒体は、減少した粘度、減少した発泡、表面を汚染する減少した傾向、および表面を研磨によって清浄化する増加した特性を示し、さらに、この媒体を用いて実施される分離の性能を改善する。
【0048】
残っている粗い画分の各連続的な通過および除去を用いて、保持されるスラリーはより安定になる。このことは、媒体が、供給密度の密度により近い密度で混合物を分離し(より小さい分離オフセット)、そしてオーバーフローストリームが、アンダーフローの密度により近く接近する密度を有する(低い差分)ことを意味する。この媒体が、粗い粒子の連続的な除去によって安定化される場合、図3に示されるように、第一のサイクロン305のオーバーフロー310を第二のサイクロン320の供給物315に直接接続することによって、2段階での分離が実施され得る。
【0049】
2段階での連続接続は、第二の分離が第二の液体サイクロンにおいて起こって、媒体粒子をより狭いサイズ範囲にさらに分離することを可能にする。この分離が、粒子が液体サイクロンを通過するごとに所定の密度の粒子の90%をオーバーフローから除去する場合、オーバーフローの第二の分離は、残っている材料の90%を除去して正味99%を除去する効果を有する。濃密媒体スラリー分離において使用される場合、第一の液体サイクロンのオーバーフローを第二のサイクロンの供給に接続する結果として、第二の液体サイクロンにおける分離が、第一のサイクロンにおける分離より低い密度で起こる。なぜなら、第一のサイクロンのオーバーフローは、より多くの水を含有し、そして供給より密度が低いからである。分離密度の差異は、媒体がより安定になるにつれて、減少する(塩水媒体は、非常に安定であり、そして分離密度にほとんど差異を生じない)。第一の液体サイクロンのアンダーフローを第二の液体サイクロンの供給に直接接続することによって、代表的に、サイクロンの頂点へと空気が入って、サイクロンの内側の空気コアを形成することが制限される。この空気コアは、分離を改善し、従って、直接の接続は、第一の液体サイクロンにおいて起こる分離を損ない得る。
【0050】
スラリー化粒子固体媒体は、最初にスラリーをシステムに通し、そしてアンダーフローに移動する媒体の一部分を除去することによって、図3においてのような分離機システムにおいて使用するために、安定化され得る。このシステムは、媒体分級の間にのみ、弁が2つのサイクロンのアンダーフローを貯蔵へと再度方向付けるように、設計され得る。一旦、媒体が調製されると、アンダーフローとオーバーフローとの両方からの全ての媒体が、分離供給タンクに戻される。1つの液体サイクロンのオーバーフローの、別の液体サイクロンへの直接の接続の代替として、第一の液体サイクロンを上昇させ、そしてそのオーバーフローを大気圧でヘッドボックスに供給することが可能である。このヘッドボックスは、第二のサイクロンの直径の約10倍だけ、第二の液体サイクロンの上方に位置し、これは、多くの分離サイクロンを駆動するために十分なヘッドの高さである。例えば、第二の液体サイクロンが、24.5cmの直径のサイクロンである場合、このサイクロンを駆動するヘッドボックスは、約10×25.4cm、すなわち254cmだけ、サイクロンの入口の上方である。この構成は、第一のサイクロンのアンダーフローに、所望されるより多くの流体を第一のアンダーフローから駆動し得るさらなる圧力を提供しないという利点を有する。これはまた、分離性能を増加させる、第一のサイクロンにおける空気コアの形成を可能にする。しかし、このヘッドボックスの構成は、かなりの垂直方向高さを必要とする。38cmの直径のサイクロンの場合は、約4メートルのさらなる垂直方向クリアランスが、このようなシステムの実施のために必要とされる。
【0051】
液体サイクロンにオーバーフローを直列で供給することの実用的な困難は、高い圧力が必要とされ、そして研磨性固体と粗い固体との両方を取り扱う能力のあるポンプが、複数の段階を駆動するために必要とされる高い圧力によく適合しない傾向があることである。このことは、液体サイクロンが直接接続されるか、ヘッドボックスを介して接続されるかにかかわらず、真実である。この困難は、液体サイクロンの代わりに、米国特許第6,238,579号に記載されるような円筒形ボルテックス分離機が使用される場合に、克服され得る。このデバイスは、分離を駆動するために必要とする圧力がずっと低いという利点を有する。1.5メートル程度に小さい垂直方向距離が、38cmの液体サイクロンを用いて見出される流量に等価な流量で円筒形ボルテックス分離機を駆動するために必要とされる。この1.5メートルは、重い生成物の出口ポート(これは、分離機の底部に位置し得る)から測定される。円筒形ボルテックス分離機が垂直に配向され、そして長さが1メートルである場合、第一の液体サイクロンの出口は、円筒形ボルテックス分離機の頂部の0.5メートル上方に位置し得る。垂直に配向した円筒形ボルテックス分離機の1つの例は、図4に示される。供給材料は、ヘッドボックス405に入り、そして円筒形ボルテックス400に供給され、ここで、分離プロセスが、重い生成物をポート410から出させ、一方で、軽い生成物を第二のポート415から出させる。距離420は、ヘッドボックス405から軽量ポート出口415まで測定される。
【0052】
円筒形ボルテックス分離機に供給するヘッドボックスに供給する液体サイクロンオーバーフローの組み合わせは、なおより実用的な2段階分離を可能にする。なぜなら、垂直方向のクリアランスとポンプの圧力要件との両方が、大いに減少されるからである。この構成は、円筒形ボルテックス分離機が、60%と90%との間の供給流体を重い生成物に送達し、一方で、液体サイクロンが60%と90%との間の流体を軽い生成物に送達するという、別の利点を有する。従って、円筒形ボルテックス分離機は、液体サイクロンが重い生成物のための脱水デバイスとして使用されるのとちょうど同じように、軽い生成物のための脱水ユニットとして働く。液体サイクロンが、重い生成物を湿式分離ユニットから送達し、そしてそのオーバーフローが、円筒形ボルテックス分離機(これは、軽い生成物をこのユニットから送達して重い生成物を供給タンクに再循環させる)に送られる場合、このシステムを通して送られる流体のおよそ半分が、固体を捕捉するための脱水を必要としない。このことは、脱水スクリーナーを単純化し、そして必要とされるリンスシステムを潜在的に単純化することによって、有意な費用削減を提示する。オーバーフローが脱水ボックスを介して円筒形ボルテックス分離機に供給される液体サイクロンが、水のみの分離システムに対して使用される場合、プラスチック材料が処理されており、そして別の脱水ユニットがスピン乾燥機の前に必要とされないならば、重い生成物と軽い生成物との両方が直接、スピン乾燥機に送られ得る。この2段階システムは、単一段階システムより約1メートルのみ大きい垂直方向クリアランスを必要とする。この2段階システムは、ポンプに対するわずかにより高い圧力を必要とするが、これは、単一段階システムと比較される場合、かなりより正確な分離を与える。
【0053】
第一のサイクロンからのオーバーフローが第二のサイクロンに送られ、そして粗い粒子が予備分級段階において除去されていないスラリー化粒子媒体が使用される場合、第一のサイクロンにおける分離は、第二のサイクロンにおける分離より高い密度で起こる。なぜなら、スラリー中の粗い粒子は、第一の分離機のアンダーフローに移動する傾向があるからである。密度モニタリングデバイスが第二のサイクロンの入口に配置される場合、非常に正確に制御された分離が、第二のサイクロン内でなされ得る。第一のサイクロンにおいて起こる分離は、より精度が低い。なぜなら、より粗い媒体が、この段階で沈殿する(高い差分およびオフセットを生じる)からである。
【0054】
予め分級された媒体が使用されるが、非常に粗い媒体画分が供給タンクに戻して添加される(その結果、第一のサイクロンがその実質的に全てを捕捉する)場合、重い不純物(例えば、ゴム、金属、PVCおよび混合プラスチック製の回路基板)を除去する第一段階の分離は、非常に精度の高いおよびより低い密度で、第二段階の分離に先行し得る。例えば、粒子の混合物が3つのポリマー型A、BおよびC(それぞれ、1.20g/cc、1.11g/ccおよび1.09g/ccの密度を有する)を含有する場合、非常に粗い媒体画分が添加された分級済み媒体が、三元分離を生じるために使用され得る。粒子と媒体(添加された非常に粗い画分を含有する)との混合物が、第一のサイクロンに導入され、ここで、最も密度の高いポリマーAの大部分、および非常に粗い媒体粒子の実質的に全てが、アンダーフローに移動する。オーバーフローは、より密度の低いプラスチックであるBおよびCを含有する。このオーバーフロー(これは今、元の分級済み媒体中の、より密度の低いプラスチックBおよびCからなる)は、第二のサイクロンに供給され、ここで、B粒子がアンダーフローにほとんど移動し、そしてC粒子は、オーバーフローにほとんど移動する。この2サイクロンシステムは、混合粒子を、Aポリマー、BポリマーおよびCポリマーの3つのストリームに分離した。同じ方法を使用して、重い不純物(例えば、ゴム、金属、PVCおよび混合プラスチック製の回路基板)を第一のサイクロンにおいて分離し得、そして2つのポリマー型または等級を、第二のサイクロンにおいて分離し得る。分離の密度を変更する1つの方法は、第一のサイクロンの頂点を制限することである。この頂点が制限される場合、アンダーフローに流れる水の量が減少するが、(制限内で)非常に粗い固体の回収が、実質的に減少されない。
【0055】
このアプローチを使用して、単一の分離ユニットが、サイクロン分離を、2つの異なる密度で同時に実施し得(すなわち、より密度の低いポリマーAおよびBを含有するより軽い画分が、上記の例における第一のサイクロンに戻して供給され得る)、第二の分離は、より低い密度で起こり、そして混合物粒子をより正確に分離する。3つの生成物が生成される:高密度のより重いもの、真ん中の範囲の密度の中間の生成物、およびより低い密度の軽いもの。
【0056】
1つの実施形態において、分級媒体は、1回以上の密度分離において使用された後に、媒体を含有するスラリーを、媒体を分級して制御された粒子サイズ分布を生じるためにもともと使用された同じ分級条件に供することによって、再生され得る。この様式で、1回以上の分離の経過の間に生成されたかまたは導入された微細な粒子および粗い粒子(例えば、混合物分離の間により大きい媒体粒子の研磨によって生成された微細な粒子、または夾雑物として導入された粗い粒子)が除去され得、そして媒体の有用性は、複数の分離にわたって維持され得る。
【0057】
2段階の分離が望ましい場合、分離機は、図5に示されるように、第一段階の分離サイクロン505から、オーバーフロー510およびアンダーフロー515によって供給され得る。上記のように、液体サイクロンが使用される場合、第一段階の分離機505からのアンダーフロー515は、第一段階の分離機505内への供給流体520より少ない水を含有し、その結果、アンダーフロー515の密度は、供給物520の密度よりかなり高い。オーバーフロー510は、供給流体520より多い水を有し、従って、密度がより低いが、オーバーフロー510の密度と供給物520の密度との差は、アンダーフロー515の密度と供給物520の密度との差より小さい。これにより、第一段階の、オーバーフローを供給される分離機525内への供給物520は、アンダーフローを供給される分離機535内への供給物530と異なる。この配置において、アンダーフローを供給される分離機535を駆動するためには一般的に十分ではない流体流れが存在する。この問題を解決するために、流体が、例えば、脱水スクリーンユニット545を用いて、第二段階のオーバーフローを供給される液体サイクロン525のオーバーフロー540から除去され得、そしてこの液体が、アンダーフローを供給される分離機535の供給物に添加されて、アンダーフローを供給される供給物の密度を補正し得る。
【0058】
第二段階のオーバーフローを供給される分離機が、円筒形ボルテックス分離機である場合、脱水スクリーンユニットは、第二段階のオーバーフローを供給される分離機からのアンダーフロー排出に配置されて、密度を等しくし得、そして3つの供給物のために十分な流れを可能にし得る。
【0059】
この脱水ボックスを用いて除去される流体は、第二段階のアンダーフローを供給される分離機のためのヘッドボックスに送られる。この流体を添加することにより、アンダーフローを供給される分離機への供給物が補充され、そして特に、スラリー化濃密媒体が分離流体として使用される場合、第二段階のアンダーフローユニットが作動することを可能にする。流体が第二段階のアンダーフローを供給される分離機に添加されない場合、第二段階のアンダーフローを供給される分離機での分離密度は、第一段階の分離機およびアンダーフローを供給される分離機における分離密度より高い。従って、第二段階のオーバーフローを供給される分離機の大きい体積排出からの流体は、第二段階のアンダーフローを供給される分離機への供給物の密度を補正し、そして第一段階の分離機と同じかまたは類似の密度での第二分離段階を可能にする。第一の分離機が液体サイクロンである場合、第二段階のオーバーフローについて、補正は必要ではない。なぜなら、いずれの場合においても、流体の大部分が、第一の段階からこのユニットへと流れるからである。脱水スクリーンまたはユニットは、水を単に除去するのではなく、実際に流体を除去する。この流体は、密度調整スラリー化媒体を含有し、これは、標準的な脱水スクリーナーの開口部よりずっと微細な粒子サイズを有する。このような脱水スクリーナーの開口部は、一般に、1000ミクロンより大きい。
【0060】
上に記載されるプロセスにおいて使用される第二段階の分離機は、円筒形ボルテックス分離機であり得る。液体サイクロンが、第二段階のオーバーフローを供給される分離機として使用される場合、この分離機のオーバーフローからの水は、脱水され得、そして第二段階のアンダーフローを供給される分離機のヘッドボックスに送られ得る。従って、第二段階のアンダーフロー分離機は、液体サイクロンまたは円筒形ボルテックス分離機のいずれかであり得る。
【0061】
上で議論されたように、液体サイクロンは、流体の大部分をオーバーフローに移動させ、一方で、円筒形ボルテックス分離機は、供給流体の大部分をアンダーフローに移動させる。第一段階の分離機が、円筒形ボルテックス分離機、またはより高い画分の流体をアンダーフローに送達する他の遠心分離機である場合、第二段階のアンダーフローを供給される分離機からの、より高い体積の排出ストリームからの流体は、第二段階のオーバーフロー分離機のヘッドボックスに送られ得る。第一および第二の分離段階において使用される分離機にかかわらず、1つのポンプが、多段階プロセス全体のために使用され得る。対照的に、従来の分離プロセスは、代表的に、各分離機に対して必要とされる1つのポンプを必要とし、分離設備の費用および複雑さを増加させる。
【0062】
粒子媒体を節約するために、この材料は、一般に、出てくる混合物の粒子からリンスされる。混合物粒子は、「脱水」セクションとして機能する第一の部分を備えるスクリーン上でリンスされ得る。脱水セクションからの流体は、直接の再使用のために、分離タンクに戻して送られ得る。このふるいわけされた流体の一部分が、リンス水システムに分流され得る。このリンス水システムは、分流された流体を捕捉し、そしてこの流体をリンスポンプに送達するための、別のタンクを備える。このリンスポンプは、流体を加圧し得、そして別の液体サイクロン(これは、混合物の分離のため、および潜在的に、媒体の粗い画分の除去のための、一般により大きい液体サイクロンと共に使用されるよりずっと小さい直径の粒子を沈殿させるように構成されている)に供給し得る。リンス液体サイクロンは、いくつかの機能を達成するために使用され得る。これは、認容可能な媒体をスラリーから沈殿させ、そして非常に微細な媒体粒子のみを含有するオーバーフロー流体画分、および媒体分離供給タンクに戻すための媒介された流体を濃縮するアンダーフロー画分を作製し、この媒体をプロセスに戻す。媒体の多くを湿った固体から解放する目的で、リンス水が、混合物粒子をスプレーするために使用され得る。
【0063】
このリンス水システムはまた、主要分離ユニットにおいて流体の密度を制御するための便利な方法である。密度が低すぎることが見出される場合、リンス水の一部がプロセスから分流されて、タンク内の流体を濃縮し得る。主要分離流体の密度が高すぎる場合、アンダーフローの一部分がプロセスから分流されて、分離流体を希釈し得る。
【0064】
リンスサイクロンはまた、上で議論されたように、媒体分級の間に、微細すぎる(一般に、磁鉄鉱スラリーについては、約5ミクロン未満)媒体を除去するために使用され得る。分流システムは、オーバーフローを、未分級媒体から沈降システムへと送るために使用され得る。この分流システムは、密度モニタ(例えば、核密度メーター)がリンスサイクロンオーバーフローに配置される場合に、自動的に作動され得る。オーバーフローの密度が所定の点(例えば、約1.01g/cc)より高い場合、このオーバーフローは自動的に分流され、そして新鮮なリンス水が代わりに使用される。この置換は、主要分離流体ループ密度モニタが、この流体が希薄すぎることを示す場合には、起こらない。
【0065】
この単純なシステムを使用して、媒体の特徴が制御および維持され得、そして主要分離ループの密度が維持され得る。このことは、回収のために強磁性粒子のみを濃縮するように設計された、より高価な磁気媒体濃縮システムより優れたかなりの利点を有する。なぜなら、粒子が大きさによって濃縮されるからである。リンス水で制御されるシステムは、任意の粒子固体を、その磁性にかかわらず、媒体として使用することを可能にする。
【0066】
媒体は、最初、この直接的なアプローチを使用して分級され、そして問題のある微細な材料を除去するように調整され得る。次いで、同じ設備が、プロセスによって作製されたかまたは供給物によってシステムに添加された微粉を連続的に除去するために使用され得る。このことは、スラリーの再生および再使用を可能にする。リンススプレーの使用は、スラリー粒子の回収をかなり増加させ、そして下流の設備に対する研磨損傷を減少させる。混合物粒子は、これらがプラスチックである場合、種々の遠心乾燥機(スピン乾燥機と称され、静止したスクリーンシリンダーの内側に、中心回転パドル配置を備える)に送られる。このスクリーンシリンダーは、その軸を垂直にして配向される。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、例示のみであり、そして特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することを意図されない。
【0068】
(実施例1:プラスチックの表面汚染に対する媒体粒子サイズの影響)
0.1〜100ミクロンの範囲の粒子サイズ分布を有する磁鉄鉱を水に入れ、そしてスラリー化した。このスラリーを数分間沈降させ、そして上清流体を第二のビーカーに注いだ。このスラリーを数分間沈降させ、そして上清流体を第三のビーカーに注いだ。各ビーカーは、粗い媒体サイズの画分、中間の媒体サイズの画分、または微細な媒体サイズの画分のいずれかを含んだ。
【0069】
約10グラムのポリプロピレンプラスチックペレットを、これらの3つのスラリーの各々の中で、約1分間撹拌した。次いで、これらのペレットを除去し、リンスし、そしてオーブン内で乾燥させた。微細な粒子のスラリーと共に撹拌したペレットは、粗い磁鉄鉱スラリーまたは中間の磁鉄鉱スラリーと共に撹拌したペレットより顕著に色が濃いように見えた。
【0070】
次いで、乾燥したペレットの電荷を、ポリカーボネート容器内での撹拌(swirling)後に測定した。表2は、水、微細な粒子、および粗い粒子に曝露したペレットの、質量あたりの電荷を示す。この電荷は、微細な粒子に曝露されたペレットについて低く、このことは、表面汚染の何らかの影響を示唆する。
【0071】
【表2】


(実施例2)
6インチのボルテックスファインダー、11平方インチの入口、および4.5インチの頂点を有する15インチのD15Bモデル液体サイクロン(Krebs Engineers,Tucson,AZ製)に、約7psiの圧力で磁鉄鉱を供給し、約30ミクロンより大きい直径を有する粒子を除去した。あるいは、繰り返し処理することにより、または供給速度を増加させるかもしくは表1に記載されるような別のサイクロン分離パラメータを変化させることによって分離切点を減少させることにより、下限が約25ミクロンのさらなる粒子を除去して、非常に粗いサイズの5〜25ミクロンの媒体を作製し得る。このサイクロンを、水平から約22°で配向する。この液体サイクロンは、30ミクロンの粒子のおよそ半分を、アンダーフローに分布させ、より高い百分率の粗い粒子が、アンダーフローに入る。全流体の約30〜40%が、アンダーフローに送られ、従って、30〜40%のみがアンダーフローに回収される粒子は、効果的に分級されない。なぜなら、この粒子は、流体と共に移動し、そしてサイクロンによって作用しないからである。
【0072】
(実施例3)
媒体サイズを選択する別の実施例は、以下である。1.2平方インチの入口面積、1.25インチのボルテックスファインダーを有し、そして約30psiの圧力で供給される、モデルD4B−12液体サイクロン(Krebs Engineers製)は、磁鉄鉱スラリーの10ミクロンの粒子のおよそ半分をアンダーフローに回収すると予測される。0.625の頂点直径を用いて、このサイクロンは、全流体の約10%をアンダーフローに送る。従って、このサイクロンは、10ミクロンより粗い粒子を実質的に濃縮し、そして5ミクロン以下の粒子をアンダーフロー内に捕捉する能力を、ほとんど有さないかもしれない。より小さい粒子全てのうちの約10%が、アンダーフローに分流される。なぜなら、これらは、アンダーフローに移動する流体と共に移動するからである。各通過を用いて、10ミクロン未満の全ての粒子のうちの、50%と90%との間の画分が、媒体から除去されて、アンダーフローに移動する。1〜5回のサイクロンの通過を用いて、アンダーフローに回収される磁鉄鉱は、5ミクロン以下の粒子を実質的に含まない。
【0073】
本発明は、特定の実施形態の観点で記載された。他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内である。例えば、本発明の工程は、異なる順序で実施され得、そしてなお、所望の結果を達成し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の混合物を分離するためのシステムであって、該システムは、以下:
第一の出口ポートおよび第二の出口ポートを有する、第一の密度分離機;
該第一の密度分離機の該第一の出口ポートによって供給される、第二の密度分離機;
該第一の密度分離機の該第二の出口ポートによって供給される、第三の密度分離機;ならびに
該第二の密度分離機の出口ポートに結合された、脱水スクリーナーであって、該脱水スクリーナーは、該第二の密度分離機の該出口ポートから出る生成物から液体を除去し、その結果、該除去された液体の少なくとも一部が、該第三の密度分離機に供給されるように構成されている、脱水スクリーナー、
を備える、システム。
【請求項2】
前記第一の密度分離機が、液体サイクロンであり、そして前記第二の密度分離機および第三の密度分離機が、円筒形ボルテックス分離機である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第一の密度分離機が、円筒形ボルテックス分離機であり、そして前記第二の密度分離機および第三の密度分離機が、液体サイクロン分離機である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記分離システムが、前記第一の密度分離機、第二の密度分離機、および第三の密度分離機に作動可能に結合された、単一のポンプを備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
本明細書中に記載される発明。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−104990(P2010−104990A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27968(P2010−27968)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【分割の表示】特願2004−523300(P2004−523300)の分割
【原出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願人】(504381331)エムビーエー ポリマーズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】