説明

スロットマシン

【課題】 メダルセレクタ部の構造を複雑にしたり、メダルの流れを阻害することなく、メダルの導電性にもとづいて電気的に、あるいはメダルとの物理的接触を必要とすることなく、正規のメダルと特殊器具とを峻別し、特殊器具によるクレジット不正を確実に判定する。
【解決手段】 スロットマシン1のメダル投入経路に、投入されたメダルを光学的に検出する第一メダル通過センサ27と、投入されたメダルを、当該メダルの導電性にもとづいて検出する第二メダル通過センサ28とを設けるとともに、第一メダル通過センサ27及び第二メダル通過センサ28の検出信号にもとづいて、第一メダル通過センサ27に対する不正行為を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジット機能を備えるスロットマシンに関し、特に、メダル投入口に特殊器具を挿入して、クレジット枚数を不正に上げる行為を効果的に防止できるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
メダルが賭けられた後にゲームを開始し、当該ゲームの入賞内容に応じて、所定枚数のメダルを払い出すスロットマシンが普及している。この種のスロットマシンでは、通常、メダルを賭ける方法として、ゲーム毎にメダル投入口からメダルを投入する方法と、クレジット機能により貯留されたメダルを賭ける方法とがあり、いずれかの方法を遊技者が選択できるようにしてある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記のクレジット機能は、メダル投入口から投入されたメダルや、入賞内容に応じて払い出すべきメダルを、クレジットとして機械内部に貯留(記憶)する機能であり、貯留されたメダルの枚数はクレジット表示部に表示される。クレジットとして貯留されたメダルは、BETスイッチやMAXBETスイッチの操作により、ゲームに賭けることができ、また、クレジット精算スイッチの操作により、払い出すことができる。このクレジット精算は、通常、その台を離れるときに一回だけ実行される。
【0004】
近年、スロットマシンのクレジット機能を悪用した不正行為が増えている。例えば、先端部に発光素子が設けられた樹脂製の特殊器具をメダル投入口から挿入し、その先端部をメダルセレクタ部のメダル通過センサ(例えばフォトインタラプタ)まで到達させた後、発光素子の点滅によってメダル通過センサを誤作動させ、クレジット枚数を瞬時に最大値(例えば50枚)まで上げる不正行為が知られている。
【0005】
この種の不正行為は、短時間のうちに実行されているので、発見がきわめて困難であり、しかも、クレジット枚数を最大値まで上げ、これをクレジット精算で払い出すという行為が繰り返されるため、大量のメダルが抜かれ、大きな被害を生じる可能性がある。
【0006】
そこで、メダルセレクタ部に、第二のメダル通過センサを追加し、その検出信号を加味して、適正なメダル投入を判定することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。例えば、特許文献2に示されるものは、メダル通過力を受けて退避する出没自在なメダル当接部材と、メダル当接部材の出没を検出するメダル通過検出器とを用いて、第二のメダル通過センサを構成しているので、例えば、メダル当接部材の退避継続時間が異常に長いとき、特殊器具が挿入されたと判定することができる。
【特許文献1】特開2002−360778号公報
【特許文献2】特開2002−65951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に示されるものでは、第二のメダル通過センサを機械的なスイッチによって構成しているため、既存のスロットマシンに適用するには、メダルセレクタ部の大幅な改造が必要になるだけでなく、メダルセレクタ部の構造が複雑化するという問題がある。
【0008】
また、メダルの通過力でメダル当接部材を出没させるという機械的な構成は、その動作性に疑問がある。例えば、メダル当接部材の支点部分における汚れや摩耗によって、メダル当接部材の出没が円滑に行われなくなると、メダル当接部材がメダルの流れを阻害し、メダル詰りなどのトラブルを誘発する可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、メダルセレクタ部の構造を複雑にしたり、メダルの流れを阻害することなく、特殊器具によるクレジット不正を確実に判定し、これを効果的に防止することができるスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明のスロットマシンは、メダル投入口から投入されたメダル、及び、ゲームの入賞内容に応じて払い出すべきメダルを、クレジットとして貯留するクレジット手段と、クレジットとして貯留されたメダルを、所定のBET操作に応じてゲームに賭けるBET手段と、クレジットとして貯留されたメダルを、所定のクレジット精算操作に応じて払い出すクレジット精算手段とを備えるスロットマシンにおいて、前記メダル投入口から投入されたメダルを装置内部へ導くメダル投入経路と、前記メダル投入経路に配置され、投入されたメダルを光学的に検出する第一メダル検出手段と、前記メダル投入経路に配置され、投入されたメダルを、当該メダルの導電性にもとづいて及び/又は当該メダルと物理的に接触することなく検出する第二メダル検出手段と、前記第一メダル検出手段及び前記第二メダル検出手段の検出信号にもとづいて、前記第一メダル検出手段に対する不正行為を判定する不正行為判定手段とを備える構成としてある。
【0011】
このように構成すれば、メダル投入口から投入された正規のメダルと、メダル投入口から挿入された樹脂製の特殊器具を、メダルの導電性にもとづいて電気的に、あるいはメダルとの物理的接触を必要とすることなく、確実に識別することができ、特殊器具によるクレジット不正を防止することができる。
しかも、メダルの導電性を検出したりメダルと物理的に非接触な第二メダル検出手段は、機械的に動作する構成や部材を用いることなく、きわめて簡単に構成することができるため、メダルセレクタ部を大幅に改造しなくても、既存のスロットマシンに簡単に適用できるだけでなく、機械的な動作不良によってメダルの流れを阻害するような不都合もない。
【0012】
また、本発明のスロットマシンは、前記不正行為判定手段が、前記第二メダル検出手段から検出信号を入力することなく、前記第一メダル検出手段から検出信号を入力したとき、前記第一メダル検出手段に対する不正行為であると判定する構成としてある。
このように構成すれば、第一メダル検出手段から検出信号を入力したとき、第二メダル検出手段がメダルの通過を検出したか否かをチェックする程度の簡単な処理によって、正規のメダル投入であるか、特殊器具の挿入であるかを正確に判定することができる。
【0013】
また、本発明のスロットマシンは、前記不正行為判定手段が、前記第二メダル検出手段から検出信号を入力することなく、前記第一メダル検出手段から検出信号を所定回数以上入力したとき、前記第一メダル検出手段に対する不正行為であると判定する構成としてある。
このように構成すれば、メダルの汚れなどに起因して当該メダルの導電性が劣化したような場合に、第二メダル検出手段がメダルの通過を見落としたとしても、直ちに不正行為であると判定されることがないため、不正判定の信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明のスロットマシンは、前記不正行為判定手段が、前記第一メダル検出手段に対する不正行為であると判定したとき、所定の警報を行う構成としてある。
このように構成すれば、ホールの店員や周囲の遊技者に不正行為を報知できるので、不正行為の抑止効果を高めることができる。
【0015】
そして、本発明のスロットマシンでは、第二メダル検出手段として、投入されたメダルを介して導通する電極の導通にもとづいて当該メダルを検出する導通センサにより構成してある。
また、本発明に係る第二メダル検出手段としては、投入されたメダルの通過により発生する渦電流によるインダクタンスの変化にもとづいて当該メダルを検出する渦電流センサにより構成することもできる。
さらに、本発明の第二メダル検出手段としては、投入されたメダルの通過により反射する赤外線又は超音波にもとづいて当該メダルを検出する距離センサにより構成することもできる。
さらにまた、本発明の第二メダル検出手段としては、投入されたメダルの落下衝突による音又は振動にもとづいて当該メダルを検出する音又は振動センサにより構成することもできる。
【0016】
このように、第二メダル検出手段を通電式のセンサやメダルと物理的に非接触のセンサにより構成することで、第二メダル検出手段をシンプルかつ安価に構成し、既存のスロットマシンにも簡単に適用することができる。
例えば、通電センサの場合には、既存のメダルセレクタ部に備えられるガイド部材を電極とし、通過するメダルを介して電極を導通させることができる。ガイド部材は金属等の導電性部材からなり、このガイド部材を第二メダル検出手段の電極として使用することにより、配線や絶縁部材を追加する程度のきわめて簡単な改造により、既存のメダルセレクタ部に第二メダル検出手段を追加することができる。
また、第二メダル検出手段をメダルと物理的に非接触のセンサによって構成することで、メダルの汚れなどに影響を受けることなく、きわめて信頼性の高いメダル検出を行うことができる。
【0017】
ここで、第二メダル検出手段を構成するセンサとして、メダルの導電性にもとづくセンサは、上述したメダルを介して導通する導通センサや、メダルの通過によってインダクタンスを変化させる渦電流センサの他、例えば、メダルの通過によりコンデンサ容量が変化することにより当該メダルを検出する静電容量センサ等を用いることができる。
また、第二メダル検出手段を構成するセンサとして、物理的に非接触でメダルを検出するセンサは、上述した渦電流センサや、赤外線や超音波の反射による距離センサ、投入されたメダルの落下衝突による音や振動を検出可能な音センサや振動センサ、あるいは静電容量センサ等を用いることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、メダル投入口から投入された正規のメダルと、メダル投入口から挿入された樹脂製の特殊器具を、メダルの導電性にもとづいて電気的に、あるいはメダルとの物理的接触を必要とすることなく、確実に識別することができるので、特殊器具によるクレジット不正を確実に防止することが可能になる。
また、第二メダル検出手段は、機械的な動作部分がなく、シンプルかつ安価に構成可能であるため、既存のスロットマシンにも簡単に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
まず、本発明のスロットマシンの第一実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。
図1は、スロットマシンの正面図、図2は、スロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【0020】
これらの図に示すように、スロットマシン1は、前扉10の前面側に、メダル投入口11と、クレジット表示部12と、クレジット精算スイッチ13と、BETスイッチ14と、MAXBETスイッチ15と、スタートレバー16と、複数のストップボタン17(17a〜17c)と、メダル払出口18と、メダル返却ボタン19と、ランプLとを備え、また、前扉10の後面側に、スピーカSPと、メダルセレクタ部20とを備え、更に、マシン本体の内部に、ドラムユニット30と、ホッパー装置40と、制御部50とを備えている。
【0021】
メダル投入口11は、ゲームに賭けるメダルを受け入れる。スロットマシン1には、ゲームに賭けるメダルを、ゲーム毎にメダル投入口11から投入するメダル投入モードと、クレジットとして内部に貯留されたメダルをゲームに賭けるクレジットモードとがあり、いずれかのモードを遊技者が選択できる。
クレジットモードでは、メダル投入口11から投入されたメダルや、ゲームの入賞内容に応じて払い出すべきメダルが、最大クレジット枚数(例えば50枚)を限度として内部に貯留され、その枚数がクレジット表示部12に表示される。
【0022】
クレジット精算スイッチ13は、クレジットとして貯留されたメダルを払い出すためのスイッチであり、本実施形態では、クレジットモードのON/OFF操作にも兼用されている。例えば、クレジットモードがOFFの状態でクレジット精算スイッチ13を押すと、クレジットモードがONになり、クレジットモードがONの状態でクレジット精算スイッチ13を押すと、貯留メダルが払い出された後、クレジットモードがOFFとなる。
なお、このようなクレジットモードの切換を行わず、最大クレジット枚数(例えば50枚)までは常にメダルが貯留されるように構成することもできる。
【0023】
BETスイッチ14及びMAXBETスイッチ15は、クレジットとして貯留されたメダルをゲームに賭けるためのスイッチである。BETスイッチ14は、クレジットとして貯留されたメダルを、一回の操作につき一枚ずつ賭けることができ、MAXBETスイッチ15は、一回のゲームに賭けられる最大枚数(例えば三枚)を、一回の操作で賭けることができる。
【0024】
スタートレバー16は、メダルが賭けられた後に操作される。スタートレバー16を操作すると、ドラムユニット30に設けられる回胴31a〜31cの回転が開始される。
ストップボタン17a〜17cは、回胴31a〜31cと同数(通常は三つ)設けられている。これらのストップボタン17a〜17cが押されると、対応する回胴31a〜31cの回転が停止し、ゲームの入賞又は外れが決まる。
【0025】
メダル払出口18は、ゲームの入賞内容に応じて、所定枚数のメダルが払い出される部分である。また、精算された貯留メダルも、ここから払い出される。
メダル返却ボタン19は、メダルセレクタ部20にメダルが滞留した場合に操作される。メダル返却ボタン19を操作すると、メダルセレクタ部20に滞留したメダルがメダル払出口18から返却される。
ランプLは、その点灯や点滅により、遊技の演出を行う。
スピーカSPは、効果音、払出音、音声メッセージなどの出音により、遊技の演出を行う。
【0026】
図3はメダルセレクタ部の正面図、図4はセレクタカバーやブロッカを外したメダルセレクタ部の正面図、図5はメダルセレクタ部の断面側面図、図6は大径メダルの排除作用を示すメダルセレクタ部の断面側面図、図7は第二メダル通過センサの分解斜視図である。
これらの図に示すように、メダルセレクタ部20は、メダル投入口11からホッパー装置40に至る傾斜したメダル投入経路を形成しており、具体的には、セレクタベース21と、下部メダルガイド22と、上部メダルガイド23と、セレクタカバー24と、リターンプレート25と、ブロッカ26と、第一メダル通過センサ(第一メダル検出手段)27と、第二メダル通過センサ(第二メダル検出手段)28とを備えて構成されている。
【0027】
セレクタベース21は、導電性の金属板(例えば黄銅板)からなり、中間部には、長方形の開口部21aが形成されている。
下部メダルガイド22も、導電性の金属板(例えば黄銅板)からなり、セレクタベース21の下端部に沿って固定されている。メダル投入口11から投入されたメダルMは、一側面がセレクタベース21にガイドされつつ、下部メダルガイド22上を転がり、ホッパー装置40側へ導かれる。なお、下部メダルガイド22は、正規メダルの脱落を防止するために、開口部21aと対応する部位が幅広に形成されている。
【0028】
上部メダルガイド23は、セレクタベース21の上端部に沿って固定される。このとき、下部メダルガイド22と上部メダルガイド23の間隔を、正規メダルの径よりも僅かに大きく設定することにより、大径メダルの通過が規制される。ここで通過が規制された大径メダルは、メダルセレクタ部20の中間部から落下し、メダル払出口18から返却される。
一方、小径メダルは、上部メダルガイド23の通過規制を受けないが、セレクタベース21の開口部21a内に倒れ込むため、大径メダルと同様にメダルセレクタ部20の中間部から落下し、メダル払出口18から返却される。
【0029】
セレクタカバー24は、セレクタベース21の上端に支軸24aを介して開閉自在に設けられ、かつ、バネ24bによって閉方向に付勢されている。このように構成されたセレクタカバー24は、通常、所定の隙間を介してセレクタベース21と対向し、正規メダルの落下を防止しているが、大径メダルが投入された場合や、正規メダルが詰まった場合には、メダルの自重又はメダル返却ボタン19の操作力で開方向へ退避し、メダルの落下を許容する。また、セレクタカバー24は、セレクタベース21の開口部21aと対応する部位に切り欠き24cを有し、この切り欠き24cによって小径メダルを積極的に落下させる。
【0030】
リターンプレート25は、メダル返却ボタン19の操作に伴い、支軸24aを支点として回動するように、セレクタベース21の裏側に配置されている。
リターンプレート25を回動させると、その先端部が開口部21aを介してメダル投入経路内に突出し、メダル投入経路に滞留するメダルが押し出される(図6参照)。このとき、セレクタカバー24も連動して開き、滞留メダルの落下が促進される。
【0031】
ブロッカ26は、開閉自在なL字形状のブロッカプレート26aと、これを電磁的に開閉させる電磁石26bとを備えて構成されている。ブロッカプレート26aが閉じた状態では、投入メダルがブロッカプレート26aの先端部上を転がり、ホッパー装置40側へ導かれる。一方、ブロッカプレート26aが開いた状態では、投入メダルがメダルセレクタ部20の中間部から落下し、メダル払出口18から返却される。
【0032】
第一メダル通過センサ27は、投入されたメダルを光学的に検出するものであり、例えば、フォトインタラプタ(透過型フォトセンサ)を用いて構成されている。近年、メダル投入口11から樹脂製の特殊器具を挿入し、この第一メダル通過センサ27を誤動作させる不正行為が増えている。
第二メダル通過センサ28は、投入されたメダルを、その導電性にもとづいて検出するものであり、図3及び図4に示すように、第一メダル通過センサ27の上流側に配置されている。
このような第二メダル通過センサ28を設けることにより、メダル投入口11から投入された正規のメダルと、メダル投入口11から挿入された樹脂製の特殊器具を正確に識別することが可能になる。
【0033】
この第二メダル通過センサ28としては、導通センサや渦電流センサ等、メダルの導電性にもとづいて及び/又は当該メダルと物理的に接触することなくメダルの有無を検出できるセンサを用いることができる。
導通センサとは、投入されたメダルに接触する少なくとも二つの電極を有し、その導通にもとづいて導電体(メダル)を検出するものである。
渦電流センサとは、導電体(メダル)の通過によりコイルを交流励磁し、そのインピーダンス変化(導電体に流れる渦電流による磁界の変化)にもとづいて導電体(メダル)を検出するものである。
【0034】
本実施形態では、第二メダル通過センサ28として導通センサを用いている。
具体的には、図7に示すように、メダルセレクタ部20のセレクタベース21及び下部メダルガイド22と、セレクタベース21に対して下部メダルガイド22を絶縁するプラスチックシート22aと、下部メダルガイド22の固定ネジ22bを絶縁するプラスチックブッシュ22cと、セレクタベース21及び下部メダルガイド22にそれぞれ半田付けされる配線29とによって第二メダル通過センサ28を構成している。
すなわち、メダルセレクタ部20のセレクタベース21及び下部メダルガイド22を電極として利用して、図5に示すように、正規のメダルMが通過したときだけ、当該メダルを介して両電極が導通されるようになっており、樹脂製の特殊機具が挿入されても両電極は導通されないようになっている。
これにより、正規のメダルの通過を検出することができる。
【0035】
図8は、スロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、ドラムユニット30は、複数の回胴31a〜31cと、モータ駆動回路32と、複数のステッピングモータ33a〜33cと、回胴位置検出部34とを有している。
回胴31a〜31cの外周面には、複数の図柄が描かれている。これらの図柄は、前扉10の表示窓10aを介して、遊技者に目視される。
【0036】
モータ駆動回路32は、制御部50からのパルス信号にもとづき、ステッピングモータ33a〜33cを駆動制御して、回胴31a〜31cの回転を始動・停止させる。
回胴位置検出部34は、回胴31a〜31cの回転が停止すると、この回胴31a〜31cに記されたマーカにもとづいて、回胴31a〜31cの回転停止位置を検出し、これを制御部50へ送る。
【0037】
ホッパー装置40は、ホッパー41と、ホッパー駆動回路42と、メダル検出部43とを有している。
ホッパー41は、メダル投入口11から投入されたメダルや、外部から補給されたメダルをメダルを蓄える部分である。
ホッパー駆動回路42は、制御部50から払い出し信号を受信すると、ホッパー41の底部に設けられるメダル排出部(図示せず)を駆動し、所定枚数のメダルを払い出させる。
メダル検出部43は、メダル排出部から払い出されるメダルの枚数をカウントし、これを制御部50へ送る。
【0038】
制御部50は、表示駆動回路51と、サウンド回路52と、ランプ駆動回路53と、CPU54と、クロック発生回路55と、乱数発生回路56と、ROM57と、RAM58とを有している。
表示駆動回路51は、CPU54からの信号に応じて、クレジット表示部12にクレジット枚数を表示させる。
サウンド回路52は、CPU54からの信号(コマンド)に応じて、スピーカSPに効果音、払出音、音声メッセージなどを出力させる。
ランプ駆動回路53は、CPU54からの信号(コマンド)に応じて、ランプLを点灯・点滅させる。
【0039】
CPU54は、クレジット精算スイッチ13、BETスイッチ14、MAXBETスイッチ15、スタートレバー(スタートスイッチ)16、ストップボタン(ストップスイッチ)17a〜17c、第一メダル通過センサ27、第二メダル通過センサ28などから信号を入力し、これらの入力信号にもとづいて、ドラムユニット30、ホッパー装置40、表示駆動回路51、サウンド回路52、ランプ駆動回路53などの制御を行う。
ROM57は、所定のプログラムを記憶しており、このプログラムにしたがってCPU54が動作される。
RAM58は、遊技に係る各種のデータを記憶する。ここには、クレジットとして貯留されるメダルの枚数データも含まれる。
【0040】
つぎに、制御部50の制御手順について、図9〜図11を参照して説明する。
図9は、メインルーチンを示すフローチャート、図10は、メダル投入処理を示すフローチャート、図11は、不正行為判定処理を示すフローチャートである。
【0041】
図9に示すように、メインルーチンは、起動時に初期設定(S101)を実行した後、クレジット精算処理(S102:クレジット精算手段)、メダル投入処理(S103:不正行為判定手段、クレジット手段)、BET処理(S104:BET手段)、スタート処理(S105)、回胴停止処理(S106)、入賞処理(S107)、賞メダル払出処理(S108:クレジット手段)などを繰り返し実行する。
【0042】
初期設定は、各種設定値の初期化、メモリクリアなどを行う。
クレジット精算処理は、クレジット精算スイッチ13の操作に応じて、貯留メダルの払い出しや、クレジットモードのON/OFF切り換えを行う。
メダル投入処理は、投入されたメダルや不正行為の判定処理、クレジット枚数をインクリメントする処理(クレジットモードON時)などを行う。
【0043】
BET処理は、BETスイッチ14やMAXBETスイッチ15の操作に応じて、貯留メダルをゲームに賭ける処理(クレジットモードON時)を行う。
スタート処理は、スタートレバー16の操作に応じて、抽選用の乱数を取得するとともに、回胴31a〜回胴31cの回転を開始させる。
回胴停止処理は、ストップボタン17a〜17cの操作に応じて、回胴31a〜回胴31cの回転を停止させる。このとき、抽選用の乱数にもとづいて、回転停止時のすべり量が制御される。
【0044】
入賞処理は、回胴31a〜回胴31cの停止位置(停止図柄)にもとづいて、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、小役などの入賞を判定するとともに、入賞内容に応じて、払い出すメダルの枚数を決定する。
賞メダル払出処理は、ホッパー装置40を制御し、メダルの払い出しを行う。このとき、クレジットモードがONであれば、払い出すべきメダルがクレジット枚数に加算される。
【0045】
つぎに、本発明の要部であるメダル投入処理について、図10を参照して詳細に説明する。
この図に示すように、メダル投入処理では、まず、ゲーム中であるか否かを判断するとともに(S201)、クレジット枚数が最大枚数よりも少ないか否かを判断する(S202)。ここで、ゲーム中である場合や、クレジット枚数が最大枚数である場合は、ブロッカ26をOFFとし(S203)、メダルの投入を規制する。
つぎに、投入信号ONカウンタのアドレスをセットした後(S204)、ブロッカ26のON/OFFを判断し(S205)、ここでブロッカ26がONである場合は、後述の不正判定処理(S206)を実行する。
【0046】
不正判定処理から復帰したら、メダル投入信号のON/OFFを判断し(S207)、この判断結果がONのときは、エラー確認を行った後(S208)、投入信号ONカウンタをインクリメントする(S209)。また、投入信号ONカウンタをインクリメントした後は、メダルの詰りを判断し(S210)、この判断結果がYESの場合は、エラーフラグをセットするとともに(S211)、投入信号ONカウンタをクリアする(S212)。
また、クレジットモードがONの場合は(S213)、投入信号ONカウンタに応じて、クレジット枚数をインクリメントするクレジット処理(S214)も実行される。
【0047】
つぎに、メダル投入処理のサブルーチンである不正判定処理について、図11を参照して説明する。
不正判定処理では、まず、第二メダル通過センサ28の検出信号(OFF→ON→OFF)を判断し(S301)、これがYESの場合は、第二センサフラグをセットする(S302)。
つぎに、第一メダル通過センサ27の検出信号(OFF→ON→OFF)を判断し(S303)、これがNOのときは、メダル投入信号をOFFとして上位ルーチンへ復帰する(S304)。
【0048】
第一メダル通過センサ27からの検出信号を判断した場合は、第二センサフラグを参照し、これがセットされているか否かを判断する(S305)。ここで、第二センサフラグがセットされている場合は、不正カウンタ及び第二センサフラグをクリアした後(S306、S307)、メダル投入信号をONとして上位ルーチンへ復帰する(S308)。つまり、第二メダル通過センサ28に続いて第一メダル通過センサ27が検出動作した場合は、正規のメダルであると判定される。
【0049】
一方、第一メダル通過センサ27から検出信号を入力したにも拘わらず、第二センサフラグがセットされていない場合には、第一メダル通過センサ27に対する不正行為と判定される。つまり、樹脂製の特殊器具をメダル投入口11から挿入するクレジット不正においては、第二メダル通過センサ28が検出動作することなく、第一メダル通過センサ27のみが検出動作するため、不正行為と判定することができる。
【0050】
本実施形態では、上記の判定をした場合、不正カウンタをインクリメントし(S309)、これが所定値(例えば5)になったとき(S310)、所定の警報を行う(S311)。このようにすると、メダルの汚れなどに起因し、第二メダル通過センサ28がメダルの通過を見落としたとしても、直ちに不正行為であると判定されることがないため、不正判定の信頼性を向上させることができる。
なお、不正行為を報知する警報としては、スピーカSPから警報音を出音する方法、ランプLを通常とは異なるパターンで点灯させる方法、外部出力端子から警報信号を出力し、ホールコンピュータに通知する方法などを用いることができる。
【0051】
以上のように、本実施形態のスロットマシン1によれば、メダル投入経路に、投入されたメダルを光学的に検出する第一メダル通過センサ27と、投入されたメダルを、その導電性にもとづいて検出する第二メダル通過センサ28とを備えるので、メダル投入口11から投入された正規のメダルと、メダル投入口11から挿入された樹脂製の特殊器具を、その導電性にもとづいて確実に識別し、特殊器具によるクレジット不正を防止することができる。
しかも、導電性を検出する第二メダル通過センサ28は、機械的に動作する部材を用いることなく、きわめて簡単に構成することができるので、メダルセレクタ部20を大幅に改造しなくても、既存のスロットマシンに簡単に適用できるだけでなく、機械的な動作不良によってメダルの流れを阻害するような不都合もない。
【0052】
また、本実施形態では、第二メダル通過センサ28から検出信号を入力することなく、第一メダル通過センサ27から検出信号を所定回数以上入力したとき、第一メダル通過センサ27に対する不正行為であると判定するので、メダルの汚れなどに起因し、第二メダル通過センサ28がメダルの通過を見落としたとしても、直ちに不正行為であると判定されることがない。これにより、不正判定の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態では、第一メダル通過センサ27に対する不正行為であると判定したとき、所定の警報を行うので、ホールの店員や周囲の遊技者に不正行為を報知し、不正行為の抑止効果を高めることができる。
【0053】
さらに、本実施形態では、投入されたメダルに接触する少なくとも二つの電極を有し、その導通にもとづいてメダルを検出する導通センサによって、第二メダル通過センサ28を構成しているので、第二メダル通過センサ27がシンプルかつ安価なものとなり、既存のスロットマシンにも簡単に適用することが可能になる。
しかも、本実施形態では、メダルセレクタ部20のセレクタベース21及び下部メダルガイド22を、導通センサの電極として利用しているので、配線や絶縁部材を追加する程度のきわめて簡単な改造によって、既存のメダルセレクタ部20に第二メダル通過センサ28を追加することができる。
【0054】
[第二実施形態]
次に、本発明のスロットマシンの第二実施形態について、図12及び図13を参照して説明する。
図12は、本発明の第二実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部の断面側面図であり、図13は、図12に示すメダルセレクタ部に備えられるプリント基板の平面図である。
これらの図に示す本実施形態は、上述した第一実施形態の変更実施形態であり、メダルを介して導通する導通センサからなる第二メダル通過センサ(第二メダル検出手段)28として、通過するメダルによって導通する複数の配線パターンを有するプリント基板60を備えるようにしたものである。
従って、その他の構成,機能については、上述した第一実施形態(図1〜図11参照)と同様となっており、詳細な説明は省略する。
【0055】
具体的には、本実施形態では、第二メダル通過センサ28として、メダルセレクタ部20の下部メダルガイド22(図7参照)に換えて、又は下部メダルガイド22の一部に、プリント基板60を備えるようにしてある。
プリント基板60は、メダルセレクタ部20を通過するメダルの下端縁が搭載,接触して転動可能な平板状をなし、メダルが接触する上面には、銅箔61が印刷されており、図13に示すように、例えば、櫛状の配線パターンが形成してある。
【0056】
この配線パターンは、通過するメダルMが接触することにより、メダルMを介して順次導通する複数の電極を構成しており、各電極を構成する銅箔61の端部に、複数のリード線62(62a〜62d及び62G)が接続され、メダルMを介して導通されることにより、導通信号がメダルMの通過にともなって順次出力されるようになっている。このように、順次出力される出力信号により、メダルMの通過の有無と、メダルMの通過方向(進行方向)が検出されるようになっている。
ここで、プリント基板60に形成される配線パターンの銅箔61の厚みは、通常35μm以下であり、櫛状のパターンピッチが細かければ平滑面と同様にメダルは円滑に通過,転動することができる。
また、プリント基板60とセレクタベース21の間には、プラスチック材料等からなる絶縁板63が配設してあり、両者は電気的に絶縁されるようになっている。
【0057】
このような構成からなる本実施形態によれば、メダルセレクタ部20をメダルMが通過すると、通過するメダルMの下面がプリント基板60に接触し、櫛状の配線パターンがメダルMを介して順次導通され、図13に示す例では、メダルMの通過にともなって、リード線62a,62b,62c,62dの順でON/OFFが出力され、その後、さらにメダル流路の下流に位置する第一メダル通過センサ27でON/OFFが検出されることになる。
一方、メダル以外の特殊機具が挿入されてもプリント基板60の櫛状の電極は導通されず、従って、第二メダル通過センサ28からはON/OFFが出力されない。
【0058】
これによって、上述した第一実施形態の場合と同様、正規のメダルと不正に挿入された特殊器具とを、メダルの導電性にもとづいて確実に識別し、特殊器具によるクレジット不正を防止することができる。
特に、本実施形態では、正規のメダルMについては、メダル通過の有無に加えて、メダルの通過にともなって順次出力されるON/OFF信号により、メダルの通過方向(進行方向)も検出されるので、正規メダルと不正行為とをより確実に峻別して検出することが可能となる。例えば、特殊器具に導電性部材を設けて第二メダル通過センサ28を不正に導通させるようにしても、特殊器具を抜き取る際には正規メダルの通過方向(進行方向)と逆の順にON/OFF信号が出力されることになるので、特殊器具による不正を確実に検出することができる。これによって、より信頼性の高いスロットマシンを実現することができるようになる。
【0059】
[第三実施形態]
さらに、本発明のスロットマシンの第三実施形態について、図14及び図15を参照して説明する。
図14は、本発明の第三実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部を示す正面図であり、図15は、図14に示すメダルセレクタ部のセレクタカバーやブロッカを外した状態を示す正面図である。
これらの図に示す本実施形態は、上述した第一及び第二実施形態の変更実施形態であり、第二メダル通過センサ(第二メダル検出手段)28として、メダルと物理的に接触することなく通過するメダルを検出する非接触式のセンサを備えるようにしたものである。
従って、第二メダル通過センサ28を除く他の構成,機能については、上述した第一,第二実施形態(図1〜図13参照)と同様となっており、詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施形態に係る第二メダル通過センサ28−2を構成するセンサとして、物理的に非接触でメダルを検出するセンサは、例えば、上述した渦電流センサや、赤外線や超音波の反射による距離センサ、あるいは静電容量センサがある。
渦電流センサは、上述したように、メダルの導電性により、センサの交流電流に)の通過によりコイルを交流励磁して、そのインピーダンス変化(導電体に流れる渦電流による磁界の変化)にもとづいて導電体(メダル)を検出するもので、メダルと物理的に接触することなくメダルの有無,通過を検出することができる。
【0061】
赤外線や超音波の反射による距離センサとは、赤外線や超音波を対象物(メダル)に反射することにより、赤外線(又は超音波)が発射されて戻るまでの時間によって対象物の距離を判定,検出するものであり、物理的接触を必要とすることなくメダルの通過を検出することができる。
静電容量センサとは、メダルの通過によりコンデンサ容量が大きく変化することにより当該メダルの存在を検出するセンサであり、物理的接触を必要とすることなくメダルの通過を検出することができる。なお、この静電容量センサは、メダルの導電性にもとづいてメダルを検出するセンサとして捉えることもできる(第一実施形態参照)。
【0062】
本実施形態では、このような非接触によりメダルを検出するセンサにより第二メダル通過センサ28を構成するようになっており、例えば、赤外線や超音波の反射による距離センサを採用することができる。
具体的には、図14及び図15に示すように、第一実施形態の場合と同様、メダルセレクタ部20の上流部に位置するように、本実施形態の第二メダル通過センサ28−2が備えられており、この第二メダル通過センサ28−2が距離センサにより構成してある。
距離センサは、対象物であるメダル流路に向かって赤外線(又は超音波)を発射しており、メダル流路を通過するメダルMによって赤外線(又は超音波)が反射されるようになっており、赤外線(又は超音波)が発射されて戻るまでの時間によってメダルMの有無を検出できるようになっている。
なお、距離センサの前方に位置するセレクタカバー24には開口28Aが形成してあり、距離センサから発射される赤外線(又は超音波)がセレクタカバー24で反射されないようになっている。
【0063】
このような構成からなる本実施形態の第二メダル通過センサ28−2によれば、メダルが通過しない場合には、距離センサから発射された赤外線(又は超音波)はスロットマシンの筐体正面内壁に反射してセンサに戻るので、検出信号としては“Long”(距離が長い)となる。
これに対して、センサ前方をメダルが通過するときには、赤外線(又は超音波)がメダルで反射されるので、検出信号は“Short”(距離が短い)となる。
【0064】
従って、正規のメダルがメダルセレクタ部を通過する場合には、検出信号は“Long”→“Short”→“Long”となる。
ところが、特殊器具がメダルセレクタ部に挿入された場合には、特殊器具が透明体で形成されている場合には、メダルが通過していない場合と同様になり(検出信号としては“Long”のみ)、特殊器具が不透明体の場合には、メダル詰まりと同様となる(検出信号としては“Short”のみ)。
これにより、上述した第一実施形態の場合と同様にして、正規のメダルと不正に挿入された特殊器具とを識別することができ、特殊器具によるクレジット不正を防止することができる。
【0065】
このようにして、本実施形態では、第二メダル通過センサ28をメダルと物理的に非接触のセンサにより構成することで、第二メダル通過センサをシンプルかつ安価に構成し、既存のスロットマシンにも簡単に適用することができる。
そして、特に、メダルと物理的に非接触のセンサによって構成することで、メダルの汚れなどに影響を受けることなく、より信頼性の高いメダル検出を行うことができる。
【0066】
[第四実施形態]
次に、本発明のスロットマシンの第四実施形態について、図16を参照して説明する。
図16は、本発明の第四実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部のセレクタカバーやブロッカを外した状態を示す正面図である。
これらの図に示す本実施形態は、上述した第三実施形態の変更実施形態であり、メダルと物理的に接触することなく通過するメダルを検出する非接触式のセンサからなる第二メダル通過センサ(第二メダル検出手段)28として、投入されたメダルの落下衝突による音又は振動にもとづいて当該メダルを検出する音センサ又は振動センサを備えるようにしたものである。
従って、この第二メダル通過センサ28を除く他の構成,機能については、上述した第一乃至第三実施形態(図1〜図15参照)と同様となっており、詳細な説明は省略する。
【0067】
図16に示す本実施形態に係る第二メダル通過センサ28−3は、投入されたメダルの落下衝突による音又は振動を検出し、その検出結果にもとづいて正規のメダルが投入されたことを検出する音センサ又は振動センサにより構成されている。
メダル投入口11からスロットマシン1に投入されたメダルMは、自然落下により落下,転動して、メダルセレクタ部20に落下する。メダルセレクタ部20に落下したメダルMは、図16のハッチングで示す範囲で下部メダルガイド22に衝突した後、メダルセレクタ部20の下流側に転動していく。
そして、このメダルMと下部メダルガイド22の衝突の際に、正規メダル固有の音と振動が発生することになり、音又は振動センサからなる第二メダル通過センサ28−3が、音又は振動を検出して、正規のメダルMが投入,落下したことを検知するようになっている。
【0068】
具体的には、音センサ又は振動センサからなる第二メダル通過センサ28−3は、図16に示すように、落下してきたメダルが最初に衝突する下部メダルガイド22の近傍に備えられている。
ここで、音センサは、投入されたメダルがメダルセレクタ部20に落下して下部メダルガイド22に衝突した際に発生する金属音を検出するセンサであり、例えば、マイクロフォン等で構成することができる。
また、振動センサは、メダルセレクタ部20に落下したメダルMが下部メダルガイド22に衝突した際に発生する振動を検出するセンサであり、例えば、振動ピックアップ等で構成することができる。
【0069】
このように、本実施形態によっても、上述した第三実施形態の場合と同様、第二メダル通過センサ28−3を音センサや振動センサのようにメダルと物理的に非接触のセンサにより構成することができ、これによって、第二メダル通過センサ28をシンプルかつ安価に構成し、既存のスロットマシンにも簡単に適用することができる。
そして、特にメダルと物理的に非接触のセンサによって構成することで、メダルの汚れなどに影響を受けることなく、より信頼性の高いメダル検出を行うことができる。
【0070】
以上、本発明のスロットマシンについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るスロットマシンは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した各実施形態では、メダルのクレジットモードをON/OFF切換できるスロットマシンを例にとって説明したが、スロットマシンの機種によっては、クレジットモードの切換を行わず、最大クレジット枚数(例えば50枚)までは常にメダルが貯留されるスロットマシンもある。そして、本発明は、そのようなクレジットモードの切換機能のないスロットマシンについても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、メダルを投入して遊技されるスロットマシンに適用することができる。特に、クレジット機能を悪用した不正行為が行われる可能性のあるスロットマシンにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第一実施形態に係るスロットマシンの正面図である。
【図2】図1に示すスロットマシンの内部構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示すスロットマシンのメダルセレクタ部を示す正面図である。
【図4】図3に示すメダルセレクタ部のセレクタカバーやブロッカを外した状態を示す正面図である。
【図5】図3に示すメダルセレクタ部の断面側面図である。
【図6】図3に示すメダルセレクタ部の大径メダルの排除作用を示す断面側面図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係るスロットマシンの第二メダル通過センサの分解斜視図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係るスロットマシンのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第一実施形態に係るスロットマシンのメダル投入処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第一実施形態に係るスロットマシンの不正行為判定処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第二実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部の断面側面図である。
【図13】図12に示すメダルセレクタ部に備えられるプリント基板の平面図である。
【図14】本発明の第三実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部を示す正面図である。
【図15】図14に示すメダルセレクタ部のセレクタカバーやブロッカを外した状態を示す正面図である。
【図16】本発明の第四実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタ部のセレクタカバーやブロッカを外した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 スロットマシン
11 メダル投入口
13 クレジット精算スイッチ
14 BETスイッチ
15 MAXBETスイッチ
18 メダル払出口
20 メダルセレクタ部
21 セレクタベース
22 下部メダルガイド
22a プラスチックシート
29 配線
27 第一メダル通過センサ
28 第二メダル通過センサ
40 ホッパー装置
50 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル投入口から投入されたメダル、及び、ゲームの入賞内容に応じて払い出すべきメダルを、クレジットとして貯留するクレジット手段と、
クレジットとして貯留されたメダルを、所定のBET操作に応じてゲームに賭けるBET手段と、
クレジットとして貯留されたメダルを、所定のクレジット精算操作に応じて払い出すクレジット精算手段と
を備えるスロットマシンにおいて、
前記メダル投入口から投入されたメダルを装置内部へ導くメダル投入経路と、
前記メダル投入経路に配置され、投入されたメダルを光学的に検出する第一メダル検出手段と、
前記メダル投入経路に配置され、投入されたメダルを、当該メダルの導電性にもとづいて及び/又は当該メダルと物理的に接触することなく検出する第二メダル検出手段と、
前記第一メダル検出手段及び前記第二メダル検出手段の検出信号にもとづいて、前記第一メダル検出手段に対する不正行為を判定する不正行為判定手段と
を備えることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記不正行為判定手段が、前記第二メダル検出手段から検出信号を入力することなく、前記第一メダル検出手段から検出信号を入力したとき、前記第一メダル検出手段に対する不正行為であると判定することを特徴とする請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記不正行為判定手段が、前記第二メダル検出手段から検出信号を入力することなく、前記第一メダル検出手段から検出信号を所定回数以上入力したとき、前記第一メダル検出手段に対する不正行為であると判定することを特徴とする請求項1又は2記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記不正行為判定手段が、前記第一メダル検出手段に対する不正行為であると判定したとき、所定の警報を行うことを特徴とする請求項1乃至3記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記第二メダル検出手段が、投入されたメダルを介して導通する複数の電極の導通にもとづいて当該メダルを検出する導通センサであることを特徴とする請求項1乃至4記載のスロットマシン。
【請求項6】
前記第二メダル検出手段が、投入されたメダルの通過により発生する渦電流によるインダクタンスの変化にもとづいて当該メダルを検出する渦電流センサであることを特徴とする請求項1乃至4記載のスロットマシン。
【請求項7】
前記第二メダル検出手段が、投入されたメダルの通過により反射する赤外線又は超音波にもとづいて当該メダルを検出する距離センサであることを特徴とする請求項1乃至4記載のスロットマシン。
【請求項8】
前記第二メダル検出手段が、投入されたメダルの落下衝突による音又は振動にもとづいて当該メダルを検出する音又は振動センサであることを特徴とする請求項1乃至4記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−6901(P2006−6901A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298372(P2004−298372)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)