説明

スロットマシン

【目的】 当り表示の多様化を図り、ゲームの興趣を盛り上げる。
【構成】 スタートレバー11が操作されると、9個のパルスモータが駆動し、9個のリールが一斉に回転する。その後、9個のパルスモータの停止制御が行われると、9個のリールは所定の順序でそれぞれ停止される。これにより、9個のリール表示窓にはシンボルが観察可能に表示される。
【効果】 縦方向のシンボルの組み合わせが変わるので、当りラインを横,斜めだけでなく、縦方向にも当りラインを設けることが可能となる。このため、当りのシンボルの組み合わせ表示を多様化でき、ゲームの興趣を盛り上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数のリールを各々個別のパルスモータで駆動するようにしたスロットマシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の機械式スロットマシン例えば3個のリールを回転させるスロットマシンでは、スタートレバーの操作後、一定時間が経過するかもしくはストップボタンの操作で、回転中の各リールが順次停止される。各リールの外周面には、回転方向に沿って、例えば「7」,「リンゴ」,「バナナ」,「星印」,「鐘」等のシンボルが記されており、当りライン上に停止したシンボルの組み合わせが当りと判定されると、内部に貯留されたメダルが受け皿に払い出されるようになっている。
【0003】前記スロットマシンでは、リール毎に設けられた3個の表示窓に、それぞれ1リールにつき3個のシンボルを表示するとともに、横3本、斜め2本の計5本の当りラインを設けている。この当りラインは、ゲームの開始に先立ってメダル投入口から投入されるメダル枚数によって、順次増えていくようになっている。例えばメダル1枚のときには横の1本の入賞ラインが、メダル2枚のときには横の3本の当りラインが、メダルが3枚のときには横及び斜めの計5本の当りラインがそれぞれ有効化される。更にまた、前記スロットマシンでは、ゲームの興趣を盛り上げるために、1本の当りライン上に例えば「7」の絵柄が3個停止すると、ボーナスゲームの権利が得られ、このボーナスゲームでは通常のゲームより高い確率で当りを得ることができるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のスロットマシンでは、最初に停止したリールを表示窓から観察したときに、「7」のシンボルを見出せないときには、当りラインが横及び斜めであるから、ボーナスゲームの権利を得られないことがわかってしまい、ゲームの興趣が盛り上がらないという問題があった。
【0005】本発明はこのような従来技術の欠点を解決するためになされたもので、遊技者のゲームに対する興趣を盛り上げるようにしたスロットマシンを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のスロットマシンでは、正方マトリクス状に配列された各リールと、これらをそれぞれ個別に回転するパルスモータと、全てのパルスモータの駆動が停止されたときに表示窓に表示された前記シンボルの組み合わせが、当り役のパターンであるか否かを判定するパターン判定部と、このパターン判定部が前記シンボルの組み合わせが当り役であると判定したときには、当り役に応じた枚数のメダルを払い出す払出し制御部とを設けたものである。
【0007】
【実施例】本発明を適用したスロットマシンの外観を示す図1において、スロットマシンの本体2には前扉3が開閉自在に軸着され、この前扉3の中央部には表示パネル4が取り付けられている。この表示パネル4には図2に示すように、3行3列の正方マトリクス状に配列された、計9個のリール表示窓5a〜5iが形成されている。更に表示パネル4には3個のリール表示窓5を跨ぐように、8本の当りライン6a〜6hが縦,横,斜めに記されている。
【0008】前記前扉3には図1に示すように、メダル投入口10及びスタートレバー11がそれぞれ設けられている。メダル投入口10の内部には後述するメダル選別器の他、メダルの投入枚数をカウントするメダルカウンタが設けられている。ゲームの開始に先立って、メダルを前記メダル投入口10から投入すると、スタートレバー11の操作の有効化、及びメダルの投入枚数に応じて有効化された当りライン6が点灯される。スタートレバー11を操作すると、図3に示すリールユニット15に3行3列に配置されたパルスモータ16a〜16iが駆動し、図中一点鎖線で示すリール表示窓5a〜5iを通して観察される第1〜第9リール17a〜17iが一斉に回転する。各リール表示窓5から観察されるシンボルは、図4に示すように3個であるが、その内、完全な形で表示されるのは中央の1個のみで、これを挟む2個の表示は半分が遮蔽された状態である。
【0009】第1〜第9リール17a〜17iが停止され、有効化された当りライン6上にならんだシンボルの組み合わせが当りと判定されると、当りライン6の点灯表示は点滅表示に変わるとともに、当り役に対応して予め決められた枚数のメダルが、受け皿18(図1参照)に払い出される。なお、払い出されるメダルの枚数は、メダル投入口10の上側に設けられた表示部19に表示される。
【0010】前記リールを拡大して示す図5において、円筒形をしたリール本体25は一対のリング26,27及び6本のステー28からなる。一方のリング26には三角形状をしたサイドステー29が一体に形成されており、このサイドステー29には連結部30が3個のビスで固着されている。この連結部30は前記パルスモータ16の軸に嵌合される。更にリング26のステー28側には、テーパ面31が形成されている。他方のリング27には、一部に切欠き32を形成した鍔33が一体に設けられている。前記切欠き32はリール本体25の回転検出用に使用される。このリール本体25の外周面に図中一点鎖線で示すシート34を貼着すると、前記リール17となる。なお、このシート34には、「7」,「リンゴ」,「バナナ」,「星印」,「鐘」等のシンボルが一定の間隔を保って書き込まれている。
【0011】リールユニットの一部を拡大して示す図6において、ユニット基板40には前記パルスモータ16及び切欠き32を検出するホトセンサ41がそれぞれビスで固着されている。このパルスモータ16の軸42に、連結部30を嵌合してリール17を取り付けると、ホトセンサ41の発光部41aと受光部41bとの間に、前記鍔33が挿入されるようになる。
【0012】上記スロットマシンの機能ブロックを示す図7において、メダル検出器43はメダル投入口10から投入されたメダルを1枚ずつ検出し、その都度検出信号をメダルカウンタ44に送出する。このメダルカウンタ44は検出信号の入力回数をカウントし、その計数値をゲームプログラムを格納したROM46が接続されたCPU45に送る。このCPU45は、計数値をRAM47に記録するとともに、計数値に応じて各当りライン6を有効化する。このデータはCPU45から図8に示す点灯制御部48に送られる。データを送られた点灯制御部48はドライバ49a〜49hを介して、当りライン6a〜6hに対応したLED50a〜50hを点灯する。例えば前記計数値が「1」のときには当りライン6aのLED50aが、計数値が「2」のときには当りライン6a,6b,6cの各LED50a〜50cが、計数値が「3」のときには当りライン6a,6b,6c,6d,6eのLED50a〜50eが、そして計数値が「4」のときには当りライン6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6hのLED50a〜50hがそれぞれ点灯する。
【0013】またCPU45はメダルが投入された後、乱数発生回路55を作動するとともに、スタートレバー11の操作によりスタート信号を発生する信号発生器56からの入力待ちとなる。このスタート信号が入力されると、CPU45はこれをモータ制御部57とサンプリング回路58に送る。モータ制御部57は、ドライバ59a〜59iを介してパルスモータ16a〜16iを駆動し、第1〜第9リール17a〜17iを一斉に回転する。各リール17の回転中、切欠き32がホトセンサ41を通過する度に、モータ制御部57には回転位置検出用信号がホトセンサ41a〜41iから出力される。この回転位置検出用信号及びパルスモータ16に供給されたパルス数から、モータ制御部56は第1〜第9リール17a〜17iの各回転位置データを作成し、これをCPU45に出力する。
【0014】またサンプリング回路58は、前記スタート信号の入力により所定範囲内の乱数列中から1個の乱数をサンプリングし、乱数値をCPU45を介して当り判定部60に送る。当り判定部60は、乱数値に基づき、実行されたゲームについての各リールの停止位置及び払出しメダル数を決定する。このため、当り判定部60には当り役記憶部61が接続されている。この当り役記憶部61には、サンプリング回路58でサンプリング可能な全ての乱数をその値ごとに、各リールの停止位置及び払出しメダル数のデータが格納されている。この当り判定部60で決定された各リールの停止位置及び払出しメダル数のデータは、CPU45に送られる。CPU45は払出しメダル数のデータをRAM47に記録するとともに、各リールの停止位置データをモータ制御部57に送出する。
【0015】スタートレバー11の操作後、一定時間が経過すると、CPU45はモータ制御部57にストップ信号を供給する。これにより、モータ制御部57は、各リールの停止位置データに基づいて、各パルスモータ16a〜16iの停止制御を行い、9個のリール17a〜17iを図8に示す丸つき数字の順に停止する。この停止制御により当りライン6上に、当り判定部60で決められたシンボルの組み合わせが現れるようになる。これらシンボルの組み合わせの確認は、全てのリール17の停止後、CPU45よって行われる。
【0016】この確認の結果はCPU45から点灯制御部48に送られる。この点灯制御部48は当りのシンボルの組み合わせを示す当りライン6のLED50を、ドライバ49を介して点滅させる。また、前記CPU45はRAM47に記録された払出しメダル数のデータを払出し制御部62に送る。払出し制御部62はメダル払出し装置63を駆動して、貯留されたメダルを受け皿18に払い出す。
【0017】このように構成されたスロットマシンの作用について説明する。メダル投入口10から4枚のメダルを投入すると、まず当りライン6aが、次に当りライン6b,6cが、更に当りライン6d,6eが、そして最後に当りライン6f,6g,6hの8本の全ての当りライン6のLED50a〜50hが点灯される。この後、スタートレバー11を操作すると、9個のリール17a〜17iが一斉に回転する。この間、当り判定部60はサンプリングされた乱数値及び当り役記憶部61の格納データから、各リール17の停止位置及び払出しメダル数を示すデータを作成し、これらをCPU45及びモータ制御部57に送る。
【0018】一定時間経過後、CPU45からストップ信号が送られると、モータ制御部57はパルスモータ16a〜16iを図9に示す丸つき数字の順に停止する。これにより、リール表示窓5内の各リール17は、リール17a→リール17b→リール17c→リール17d→リール17e→リール17f→リール17g→リール17h→リール17iの順に停止される。全てのリール17が停止したときに、例えば3個のリール表示窓5g〜5iの中央に「7」のシンボルがそれぞれ表示されると、点灯制御部48はLED50cを点灯状態から点滅状態に切り換える。このとき、受け皿18には、大量のメダルが受け皿18に払い出される。
【0019】このスロットマシンでは9個のリール表示窓5の内、初めの6個のリール表示窓5a〜5fに「7」のシンボルが表示されないときでも、大当りの可能性が残されていることになる。このため、このスロットマシンでゲームを行う遊技者は、興趣がゲームの後半を過ぎても覚めることがない。更にこのスロットマシンでは、リール表示窓5c,5f,5iの各中央に、「7」のシンボルがそれぞれ表示されたときに、当りライン6hのLED50hを点滅させ、大当りとすることができる。また、リール表示窓5a,5c,5g,5iの各中央に、「7」のシンボルがそれぞれ表示されたときに、当りライン6b,6c,6f,6hの各LED50b,50c,50f,50hを点滅させ、大当りとすることもできる。更にまた、「7」のシンボルがリール表示窓5a,5c,5e,5g,5iに並んだときや、リール表示窓5b,5d,5e,5f,5hに並んだときにも大当りとすることもできる。このようにして、本発明のスロットマシンでは大当りの表示形態を多様化させることができる。
【0020】図9は上記実施例とは異なるリールの停止順序を示すものである。この実施例では、モータ制御部57がパルスモータ16a,16iを同時に停止し、次にパルスモータ16b,16d,16f,16hを同時に停止し、更にパルスモータ16c,16gを同時に停止し、最後にパルスモータ16を停止する。これにより9個のリール17a〜17iは図に示す丸付き数字の順に停止される。このような順序で9個のリールを停止すると、ゲームの最後まで、大当りの可能性を残すことができ、更に遊技者にゲームの興趣を盛り上げることができる。
【0021】なお上記実施例では、オートストップ機構付きスロットマシンで本発明について説明したが、本発明はストップボタンの操作でリールを停止させるストップボタン付きスロットマシンに適用しても同様な効果を得ることができる。また上記何れの実施例では当りを大当りで説明したが、縦,横,斜めの当りライン上に他のシンボルの組み合わせが表示されたとき、すべてのリール表示窓に同一シンボルが表示されたとき、4隅のリール表示窓に同一シンボルが表示されたとき及び複数のライン上に同一シンボルが例えば十字架のように表示されたときに、中当り,小当りとしてもよいことは言うまでもない。更にまた上記実施例のスロットマシンでは、リールを3行3列にしたが、リールの配列はN行N列(N>3を満たす整数)であってもよい。
【0022】
【発明の効果】上述したように、本発明のスロットマシンでは、複数のリールを正方マトリクス状に配置するとともに、各リールの回転をそれぞれ個別のパルスモータで行うから、当りラインを縦,横及び対角線上に配置して、当りシンボルの組み合わせ表示を増やすことができるので、ゲームの興趣を盛り上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスロットマシンの外観を示す斜視図である。
【図2】リール表示窓と当りラインの位置関係を示す図である。
【図3】9個のパルスモータを配置したリールユニットを示す図である。
【図4】表示窓から観察されるシンボルを表した図である。
【図5】リール本体を示す斜視図である。
【図6】リールユニットの一部を拡大して示す斜視図である。
【図7】スロットマシンの電気的構成を示す図である。
【図8】図7に示す電気的構成の一部を補完する図である。
【図9】9個のリールが停止される順序を示す説明図である。
【図10】図8とは異なるリールの停止順序を示す説明図である。
【符号の説明】
4 表示パネル
6a〜6h 当りライン
5a〜5i リール表示窓
11 スタートレバー
15 リールユニット
16a〜16i パルスモータ
17a〜17i リール
25 リール本体
45 CPU
49a〜49h ドライバ
50a〜50h LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】 スタート手段からのスタート信号で、回転方向に沿ってシンボルが表示された複数のリールを一斉に回動し、自動的にまたはマニュアル操作で、各リールを停止させるスロットマシンにおいて、正方マトリクス状に配列した複数のリールと、各リールをそれぞれ個別に回転するパルスモータと、各リールのシンボルを観察するための複数の表示窓と、全てのリールが停止されたときに表示窓に表示されている前記シンボルの組み合わせが、当り役のパターンであるか否かを判定するパターン判定部と、このパターン判定部が前記シンボルの組み合わせが当り役であると判定したときには、この当り役に応じた枚数のメダルを払い出す払出し制御部とを備えたことを特徴とするスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図7】
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【公開番号】特開平6−39085
【公開日】平成6年(1994)2月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−198513
【出願日】平成4年(1992)7月24日
【出願人】(391036389)株式会社イーグル (2)