ズボンのずり落ち防止具
【課題】着脱が容易で、具全体が表に現われず、具全体の装身状態を安定よく確実に保てるズボンのずり落ち防止具を構成する。
【解決手段】略下向きコ字状の軸曲げ形状を呈する基体枠１を備え、基体枠１の縦軸間に掛け渡すスライド可能な挟み桟２と、基体枠１の横軸下方に張り出て挟み桟２とにより上着衣の裾付近を挟み込む受け片３と、受け片３の板面略中央より前方に突き出てズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがう突起４と、基体枠１の縦軸下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠５とを設けた。
【解決手段】略下向きコ字状の軸曲げ形状を呈する基体枠１を備え、基体枠１の縦軸間に掛け渡すスライド可能な挟み桟２と、基体枠１の横軸下方に張り出て挟み桟２とにより上着衣の裾付近を挟み込む受け片３と、受け片３の板面略中央より前方に突き出てズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがう突起４と、基体枠１の縦軸下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠５とを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、上着衣の裾付近とズボンのベルト付近との間に掛渡し装身するズボンのずり落ち防止具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ズボンの胴回り縁を鰐口クリップでくわえ込んでズボンを肩掛けバンドで両肩に吊下げ支持するサスペンダーに代えて、肩凝りの誘発を防げるよう肩に掛ける部材を備えず、二個を両脇腹付近に分けて取り付けることから、上着衣の裾付近とズボンのベルトとの間に掛渡し装身するズボンのずり落ち防止具が先に提案されている。
【０００３】
その一例を挙げれば、横長さを有する冠金具と、冠金具の両端寄りから相平行の直角方向に伸びる左右の支柱軸と、支柱軸の軸線間にスライド可能に掛け渡す挟み桟と、支柱軸の各軸端をＵ字状に折り曲げたフックとからなり、上着衣の裾付近をズボンの腰回り付近で冠金具と挟み桟とで挟込み保持すると共に、フックをベルトの背側から下縁辺に掛け止めてズボンを吊止め可能に構成したものが提案されている（特許文献１）。
【０００４】
そのズボンのずり落ち防止具では、上着衣の裾付近を冠金具と挟み桟とで単に挟み込むだけであると、当該部位がベルトの下縁辺に掛け止めるフックよりも高位で上着側の外部に露出してしまうため、冠金具と挟み桟を上着衣の裾内に巻き込むよう上着衣の裾付近を冠金具と挟み桟とで挟み込む必要がある。
【０００５】
それに加えて、装身者が体を回転する等により、具全体が上着衣で斜めに引き摺られると、片側のフックがベルトの下縁辺より下方に外れ出し、装身者が体を元に戻したときにはベルトの下縁辺より外れたままでベルトより外に潜り出てしてしまう傾向がある。
【特許文献１】特開２００５−３０７３６１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、肩に掛ける部材を備えずに肩凝りの誘発を防げることは勿論、着脱が容易で、具全体が表に現われず、具全体の装身状態を安定よく確実に保てるズボンのずり落ち防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本願の請求項１は、左右の縦軸，縦軸の上端間に橋絡する横軸から略下向きコ字状の軸曲げ形状を呈する基体枠を備え、基体枠の縦軸間に掛け渡すスライド可能な挟み桟と、基体枠の横軸から下方に張り出て挟み桟とにより上着衣の裾付近を挟み込む受け片と、受け片の板面略中央より前方に突き出てズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがう突起と、基体枠の縦軸より連続方向下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠を設けてなることを特徴とする。
【０００８】
本願の請求項２は、挟み桟を基体枠の縦軸背側より直線状に掛け渡し、上着衣の裾付近を挟み桟とで挟み込む受け片を基体枠の横軸背側から下方に張り出させて設けてなることを特徴とする。
【０００９】
本願の請求項３は、受け片の板面略中央で基体枠の横軸と略同位置より前方に突き出る突起を設けてなることを特徴とする。
【００１０】
本願の請求項４は、ベルトの下縁辺りを支点にズレ回転可能な円柱状の突起を備え付けてなることを特徴とする。
【００１１】
本願の請求項５は、前後方向に亘るローレット溝を周側面に設けた突起を備え付けてなることを特徴とする。
【００１２】
本願の請求項６は、ゴム弾性を有する定置枠を基体枠の縦軸端間に備え付けてなることを特徴とする。
【００１３】
本願の請求項７は、基体枠の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けた定置枠を備え付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１４】
本願の請求項１に係るズボンのずり落ち防止具によると、ズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがう突起を基体枠の横軸から下方に張り出す受け片の板面略中央より前方に突き出るよう設けるため、挟み桟と受け片による上着衣の挟込み部位を含む具全体をズボンの内側に収容できて体裁を良好に保てるから、上着衣の裾付近を挟み桟と受け片で単に挟み込むだけでよいようにできる。また、基体枠の縦軸より連続方向下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠を設けることから、具全体の装身状態をズボンの内側で安定よく確実に保てる。
【００１５】
本願の請求項２に係るズボンのずり落ち防止具によると、基体枠の縦軸背側より直線状に渡る挟み桟と、基体枠の横軸背側から下方に張り出す受け片を設けるため、上着衣の裾付近を挟み桟と受け片とで単に挟み込むだけでも緩みなく確実に挟み込め、着脱も容易にできる。
【００１６】
本願の請求項３に係るズボンのずり落ち防止具によると、受け片の板面略中央で基体枠の横軸と略同位置より前方に突き出る突起を設けることから、挟み桟と受け片による上着衣の挟込み部位をベルトの下縁辺りにあてがう突起でズボンの内側寄りに確実に保てる。
【００１７】
本願の請求項４に係るズボンのずり落ち防止具によると、ベルトの下縁辺りを支点にズレ回転可能な円柱状の突起を備え付けることから、装身者が体を回転する等により、具全体が上着衣で斜めに引き摺られても、突起がベルトの下縁辺りでズレ回転するため、具全体が斜め引き摺りに追従できて外れ出しを確実に防げる。
【００１８】
本願の請求項５に係るズボンのずり落ち防止具によると、前後方向に亘るローレット溝を周側面に設けた突起を備え付けることから、ズボンの内側からベルトの下縁辺りにあてがう突起の摩擦抵抗を持たせられるため、具全体の外れ出しを確実に防げる。
【００１９】
本願の請求項６に係るズボンのずり落ち防止具によると、ゴム弾性を有する定置枠を基体枠の縦軸端間に備え付けることから、装身者が前屈みに動いても、定置枠が基体枠より折曲り変形するため、装身上の違和感を抑えられる。
【００２０】
本願の請求項７に係るズボンのずり落ち防止具によると、基体枠の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けた定置枠を備え付けることから、具全体の装身状態をズボンの内側でより安定よく確実に保てる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２１】
図示の形態は、図１で示すように基体枠１をベースに、挟み桟２，受け片３，突起４，定置枠５を組み付けて構成されている。この各部により、上着衣の裾付近を挟み桟２と受け片３とで挟み込み、具全体をズボンの内側に挿置させて突起４をズボンの内側からベルトの下縁辺りにあてがい、二個を両脇腹付近に分けて装身することから、ズボンのずり落ちと上着衣の捲れ出しも防げる器具として構成できる。
【００２２】
基体枠１は、図２で示すように左右の縦軸１ａ，１ｂと縦軸１ａ，１ｂの上端間に橋絡する横軸１ｃから略下向きコ字状の軸曲げ形状を呈するよう金属棒材から折曲げ形成されている。この金属棒材の折曲げと共に、横軸１ｃの略中央部分を前方に突出させて曲げ込むことから、突起４の支軸１ｄが設けられている。
【００２３】
挟み桟２は、金属帯板から形成されている。この挟み桟２は、両端側を基体枠１の縦軸１ａ，１ｂに輪曲げさせて支持環２ａ，２ｂを設けることから、桟本体２ｃを縦軸１ａ，１ｂの間に掛け渡せてスライド移動可能に取り付けられている。また、図３，図４で示すように桟本体２ｃを縦軸１ａ，１ｂの背側より直線状に掛け渡すことから、上着衣の裾付近を摘んで支持環２ａ，２ｂの間に容易に差込み誘導できるよう取り付けられている。
【００２４】
受け片３は、前板部３ａ，後板部３ｂから側面略下向きＵ字状に湾曲させて金属平板で形成されている。この受け片３は、支軸１ｄを前板部３ａの板面より前方に突出させて基体枠１の横軸１ｃに嵌め合せると共に、前板部３ａ，後板部３ｂの間隔をＵ字内に圧入するスペーサ片３ｃで保持する（図３参照）ことから、基体枠１の横軸１ｃより下方に張り出るよう取り付けられている。なお、Ｕ字の開放縁は長手方向を内側に曲げ込むことからエッジ取りされている。
【００２５】
突起４は、受け片３の板面略中央より前方に突き出てズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがうものとして備え付けられている。この突起４は、管部材を基体枠１の支軸１ｄに嵌め込み、基体枠１の横軸１ｃと略同位置より前方に突き出るよう設けられている。また、ベルトの下縁辺りを支点にズレ回転可能な円柱状で、前後方向に亘るローレット溝を周側面に設けた突起として設けられている。
【００２６】
定置枠５は、基体枠１の縦軸１ａ，１ｂより連続方向下方に伸びてズボンの内側で腰骨付近に据え付けるものとして備え付けられている。この定置枠５は、ゴム弾性を有する管部材を基体枠１の縦軸端に嵌め合わせて略半円状に掛け渡すことにより設けられている。また、基体枠１の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けた定置枠５として設けられている。
【００２７】
このように構成するズボンのずり落ち防止具を装身するには、まず、図５で示すように挟み桟２を受け片３より下方にスライドさせて両者間の間隔を保つ。次に、上着衣Ｓの裾付近Ｅを摘んで挟み桟２と受け片３との間隔内に入れ込む。その入込み際には、挟み桟２の桟本体が基体枠１の縦軸背側より直線状に渡っているため、上着衣Ｓの裾付近Ｅを挟み桟２の桟本体に沿わせて容易に入れ込むことができる。
【００２８】
上着衣Ｓの裾付近Ｅを挟み桟２と受け片３との間に入れたならば、図６で示すように挟み桟２を受け片３に向けて上方にスライドさせ、裾付近Ｅを挟み桟２と受け片３とで挟み込む。この裾付近Ｅの挟込み状態は、挟み桟２が基体枠１の縦軸背側より直線状に渡り、受け片３の後板部３ｂが基体枠１の横軸背側から下方に張り出すため、上着衣Ｓの裾付近Ｅを挟み桟２と受け片３とから単に挟み込むだけでも緩みなく確実に挟み込めて着脱も容易に行える。
【００２９】
上述した手順により装身したならば、図７で示すように具全体をズボンＰの内側に入れ込んで突起４をベルトの下縁辺りにあてがえばよい。これにより、突起４が支点となって挟み桟２と受け片３による上着衣の挟込み部位を含む具全体をズボンＰの内側に収容できるから体裁を良好に保て、また、着脱が容易なよう上着衣の裾付近を挟み桟と受け片で単に挟み込むだけでよいようにできる。
【００３０】
殊に、受け片２の板面略中央で基体枠１の横軸１ｃと略同位置より前方に突き出る突起４を設けることから、挟み桟２と受け片３による上着衣の挟込み部位をズボンの内側寄りに確実に保てる。それと共に、基体枠１の縦軸１ａ，１ｂより連続方向下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠５を設けることから、具全体の装身状態をズボンＰの内側で安定よく確実に保てる。
【００３１】
その装身状態では、図８で示すように装身者が体を回転し、具全体が上着衣Ｓで斜めに引き摺られても、突起４がベルトＢの下縁辺りを支点にズレ回転するため、具全体が斜め引き摺りに追従できる。また、ローレット溝を周側面に設けた突起４を備えることから、ズボンＰの内側でベルトＢの下縁辺りにあてがう突起４の摩擦抵抗を持たせられるため、具全体の外れ出しを確実に防げる。
【００３２】
定置枠５としては、ゴム弾性を有するものを基体枠１の縦軸端間に備え付けることから、装身者が前屈みに動いても基体枠１より折曲り変形するため、腰骨辺りに与える装身上の違和感を抑えられる。また、基体枠１の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けたものを備え付けることから、具全体の装身状態をズボンの内側でより安定よく確実に保てる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】本発明に係るズボンのずり落ち防止具を示す斜視図である。
【図２】図１の防止具を構成する基体枠を示す斜視図である。
【図３】図１の防止具を示す側断面図である。
【図４】図１の防止具を示す背面図である。
【図５】図１の防止具を上着衣に組み付ける初期状態の手順を示す説明図である。
【図６】図５に引き続いて上着衣の裾付近を挟み込んだ状態を示す説明図である。
【図７】図１の防止具を装身状態で示す説明図である。
【図８】図１の防止具を装身者の体回転状態で示す説明図である。
【符号の説明】
【００３４】
１ 基体枠
１ａ，１ｂ 基体枠の縦軸
１ｃ 基体枠の横軸
２ 挟み桟
３ 受け片
４ 突起
５ 定置枠
Ｓ 上着衣
Ｅ 上着衣の裾付近
Ｐ ズボン
【技術分野】
【０００１】
本発明は、上着衣の裾付近とズボンのベルト付近との間に掛渡し装身するズボンのずり落ち防止具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ズボンの胴回り縁を鰐口クリップでくわえ込んでズボンを肩掛けバンドで両肩に吊下げ支持するサスペンダーに代えて、肩凝りの誘発を防げるよう肩に掛ける部材を備えず、二個を両脇腹付近に分けて取り付けることから、上着衣の裾付近とズボンのベルトとの間に掛渡し装身するズボンのずり落ち防止具が先に提案されている。
【０００３】
その一例を挙げれば、横長さを有する冠金具と、冠金具の両端寄りから相平行の直角方向に伸びる左右の支柱軸と、支柱軸の軸線間にスライド可能に掛け渡す挟み桟と、支柱軸の各軸端をＵ字状に折り曲げたフックとからなり、上着衣の裾付近をズボンの腰回り付近で冠金具と挟み桟とで挟込み保持すると共に、フックをベルトの背側から下縁辺に掛け止めてズボンを吊止め可能に構成したものが提案されている（特許文献１）。
【０００４】
そのズボンのずり落ち防止具では、上着衣の裾付近を冠金具と挟み桟とで単に挟み込むだけであると、当該部位がベルトの下縁辺に掛け止めるフックよりも高位で上着側の外部に露出してしまうため、冠金具と挟み桟を上着衣の裾内に巻き込むよう上着衣の裾付近を冠金具と挟み桟とで挟み込む必要がある。
【０００５】
それに加えて、装身者が体を回転する等により、具全体が上着衣で斜めに引き摺られると、片側のフックがベルトの下縁辺より下方に外れ出し、装身者が体を元に戻したときにはベルトの下縁辺より外れたままでベルトより外に潜り出てしてしまう傾向がある。
【特許文献１】特開２００５−３０７３６１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、肩に掛ける部材を備えずに肩凝りの誘発を防げることは勿論、着脱が容易で、具全体が表に現われず、具全体の装身状態を安定よく確実に保てるズボンのずり落ち防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本願の請求項１は、左右の縦軸，縦軸の上端間に橋絡する横軸から略下向きコ字状の軸曲げ形状を呈する基体枠を備え、基体枠の縦軸間に掛け渡すスライド可能な挟み桟と、基体枠の横軸から下方に張り出て挟み桟とにより上着衣の裾付近を挟み込む受け片と、受け片の板面略中央より前方に突き出てズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがう突起と、基体枠の縦軸より連続方向下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠を設けてなることを特徴とする。
【０００８】
本願の請求項２は、挟み桟を基体枠の縦軸背側より直線状に掛け渡し、上着衣の裾付近を挟み桟とで挟み込む受け片を基体枠の横軸背側から下方に張り出させて設けてなることを特徴とする。
【０００９】
本願の請求項３は、受け片の板面略中央で基体枠の横軸と略同位置より前方に突き出る突起を設けてなることを特徴とする。
【００１０】
本願の請求項４は、ベルトの下縁辺りを支点にズレ回転可能な円柱状の突起を備え付けてなることを特徴とする。
【００１１】
本願の請求項５は、前後方向に亘るローレット溝を周側面に設けた突起を備え付けてなることを特徴とする。
【００１２】
本願の請求項６は、ゴム弾性を有する定置枠を基体枠の縦軸端間に備え付けてなることを特徴とする。
【００１３】
本願の請求項７は、基体枠の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けた定置枠を備え付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１４】
本願の請求項１に係るズボンのずり落ち防止具によると、ズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがう突起を基体枠の横軸から下方に張り出す受け片の板面略中央より前方に突き出るよう設けるため、挟み桟と受け片による上着衣の挟込み部位を含む具全体をズボンの内側に収容できて体裁を良好に保てるから、上着衣の裾付近を挟み桟と受け片で単に挟み込むだけでよいようにできる。また、基体枠の縦軸より連続方向下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠を設けることから、具全体の装身状態をズボンの内側で安定よく確実に保てる。
【００１５】
本願の請求項２に係るズボンのずり落ち防止具によると、基体枠の縦軸背側より直線状に渡る挟み桟と、基体枠の横軸背側から下方に張り出す受け片を設けるため、上着衣の裾付近を挟み桟と受け片とで単に挟み込むだけでも緩みなく確実に挟み込め、着脱も容易にできる。
【００１６】
本願の請求項３に係るズボンのずり落ち防止具によると、受け片の板面略中央で基体枠の横軸と略同位置より前方に突き出る突起を設けることから、挟み桟と受け片による上着衣の挟込み部位をベルトの下縁辺りにあてがう突起でズボンの内側寄りに確実に保てる。
【００１７】
本願の請求項４に係るズボンのずり落ち防止具によると、ベルトの下縁辺りを支点にズレ回転可能な円柱状の突起を備え付けることから、装身者が体を回転する等により、具全体が上着衣で斜めに引き摺られても、突起がベルトの下縁辺りでズレ回転するため、具全体が斜め引き摺りに追従できて外れ出しを確実に防げる。
【００１８】
本願の請求項５に係るズボンのずり落ち防止具によると、前後方向に亘るローレット溝を周側面に設けた突起を備え付けることから、ズボンの内側からベルトの下縁辺りにあてがう突起の摩擦抵抗を持たせられるため、具全体の外れ出しを確実に防げる。
【００１９】
本願の請求項６に係るズボンのずり落ち防止具によると、ゴム弾性を有する定置枠を基体枠の縦軸端間に備え付けることから、装身者が前屈みに動いても、定置枠が基体枠より折曲り変形するため、装身上の違和感を抑えられる。
【００２０】
本願の請求項７に係るズボンのずり落ち防止具によると、基体枠の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けた定置枠を備え付けることから、具全体の装身状態をズボンの内側でより安定よく確実に保てる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２１】
図示の形態は、図１で示すように基体枠１をベースに、挟み桟２，受け片３，突起４，定置枠５を組み付けて構成されている。この各部により、上着衣の裾付近を挟み桟２と受け片３とで挟み込み、具全体をズボンの内側に挿置させて突起４をズボンの内側からベルトの下縁辺りにあてがい、二個を両脇腹付近に分けて装身することから、ズボンのずり落ちと上着衣の捲れ出しも防げる器具として構成できる。
【００２２】
基体枠１は、図２で示すように左右の縦軸１ａ，１ｂと縦軸１ａ，１ｂの上端間に橋絡する横軸１ｃから略下向きコ字状の軸曲げ形状を呈するよう金属棒材から折曲げ形成されている。この金属棒材の折曲げと共に、横軸１ｃの略中央部分を前方に突出させて曲げ込むことから、突起４の支軸１ｄが設けられている。
【００２３】
挟み桟２は、金属帯板から形成されている。この挟み桟２は、両端側を基体枠１の縦軸１ａ，１ｂに輪曲げさせて支持環２ａ，２ｂを設けることから、桟本体２ｃを縦軸１ａ，１ｂの間に掛け渡せてスライド移動可能に取り付けられている。また、図３，図４で示すように桟本体２ｃを縦軸１ａ，１ｂの背側より直線状に掛け渡すことから、上着衣の裾付近を摘んで支持環２ａ，２ｂの間に容易に差込み誘導できるよう取り付けられている。
【００２４】
受け片３は、前板部３ａ，後板部３ｂから側面略下向きＵ字状に湾曲させて金属平板で形成されている。この受け片３は、支軸１ｄを前板部３ａの板面より前方に突出させて基体枠１の横軸１ｃに嵌め合せると共に、前板部３ａ，後板部３ｂの間隔をＵ字内に圧入するスペーサ片３ｃで保持する（図３参照）ことから、基体枠１の横軸１ｃより下方に張り出るよう取り付けられている。なお、Ｕ字の開放縁は長手方向を内側に曲げ込むことからエッジ取りされている。
【００２５】
突起４は、受け片３の板面略中央より前方に突き出てズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがうものとして備え付けられている。この突起４は、管部材を基体枠１の支軸１ｄに嵌め込み、基体枠１の横軸１ｃと略同位置より前方に突き出るよう設けられている。また、ベルトの下縁辺りを支点にズレ回転可能な円柱状で、前後方向に亘るローレット溝を周側面に設けた突起として設けられている。
【００２６】
定置枠５は、基体枠１の縦軸１ａ，１ｂより連続方向下方に伸びてズボンの内側で腰骨付近に据え付けるものとして備え付けられている。この定置枠５は、ゴム弾性を有する管部材を基体枠１の縦軸端に嵌め合わせて略半円状に掛け渡すことにより設けられている。また、基体枠１の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けた定置枠５として設けられている。
【００２７】
このように構成するズボンのずり落ち防止具を装身するには、まず、図５で示すように挟み桟２を受け片３より下方にスライドさせて両者間の間隔を保つ。次に、上着衣Ｓの裾付近Ｅを摘んで挟み桟２と受け片３との間隔内に入れ込む。その入込み際には、挟み桟２の桟本体が基体枠１の縦軸背側より直線状に渡っているため、上着衣Ｓの裾付近Ｅを挟み桟２の桟本体に沿わせて容易に入れ込むことができる。
【００２８】
上着衣Ｓの裾付近Ｅを挟み桟２と受け片３との間に入れたならば、図６で示すように挟み桟２を受け片３に向けて上方にスライドさせ、裾付近Ｅを挟み桟２と受け片３とで挟み込む。この裾付近Ｅの挟込み状態は、挟み桟２が基体枠１の縦軸背側より直線状に渡り、受け片３の後板部３ｂが基体枠１の横軸背側から下方に張り出すため、上着衣Ｓの裾付近Ｅを挟み桟２と受け片３とから単に挟み込むだけでも緩みなく確実に挟み込めて着脱も容易に行える。
【００２９】
上述した手順により装身したならば、図７で示すように具全体をズボンＰの内側に入れ込んで突起４をベルトの下縁辺りにあてがえばよい。これにより、突起４が支点となって挟み桟２と受け片３による上着衣の挟込み部位を含む具全体をズボンＰの内側に収容できるから体裁を良好に保て、また、着脱が容易なよう上着衣の裾付近を挟み桟と受け片で単に挟み込むだけでよいようにできる。
【００３０】
殊に、受け片２の板面略中央で基体枠１の横軸１ｃと略同位置より前方に突き出る突起４を設けることから、挟み桟２と受け片３による上着衣の挟込み部位をズボンの内側寄りに確実に保てる。それと共に、基体枠１の縦軸１ａ，１ｂより連続方向下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠５を設けることから、具全体の装身状態をズボンＰの内側で安定よく確実に保てる。
【００３１】
その装身状態では、図８で示すように装身者が体を回転し、具全体が上着衣Ｓで斜めに引き摺られても、突起４がベルトＢの下縁辺りを支点にズレ回転するため、具全体が斜め引き摺りに追従できる。また、ローレット溝を周側面に設けた突起４を備えることから、ズボンＰの内側でベルトＢの下縁辺りにあてがう突起４の摩擦抵抗を持たせられるため、具全体の外れ出しを確実に防げる。
【００３２】
定置枠５としては、ゴム弾性を有するものを基体枠１の縦軸端間に備え付けることから、装身者が前屈みに動いても基体枠１より折曲り変形するため、腰骨辺りに与える装身上の違和感を抑えられる。また、基体枠１の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けたものを備え付けることから、具全体の装身状態をズボンの内側でより安定よく確実に保てる。
【図面の簡単な説明】
【００３３】
【図１】本発明に係るズボンのずり落ち防止具を示す斜視図である。
【図２】図１の防止具を構成する基体枠を示す斜視図である。
【図３】図１の防止具を示す側断面図である。
【図４】図１の防止具を示す背面図である。
【図５】図１の防止具を上着衣に組み付ける初期状態の手順を示す説明図である。
【図６】図５に引き続いて上着衣の裾付近を挟み込んだ状態を示す説明図である。
【図７】図１の防止具を装身状態で示す説明図である。
【図８】図１の防止具を装身者の体回転状態で示す説明図である。
【符号の説明】
【００３４】
１ 基体枠
１ａ，１ｂ 基体枠の縦軸
１ｃ 基体枠の横軸
２ 挟み桟
３ 受け片
４ 突起
５ 定置枠
Ｓ 上着衣
Ｅ 上着衣の裾付近
Ｐ ズボン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上着衣の裾付近とズボンのベルト付近との間に掛渡し装身するズボンのずり落ちし防止具であって、左右の縦軸，縦軸の上端間に橋絡する横軸から略下向きコ字状の軸曲げ形状を呈する基体枠を備え、基体枠の縦軸間に掛け渡すスライド可能な挟み桟と、基体枠の横軸から下方に張り出て挟み桟とにより上着衣の裾付近を挟み込む受け片と、受け片の板面略中央より前方に突き出てズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがう突起と、基体枠の縦軸より連続方向下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠を設けてなることを特徴とするズボンのずり落ち防止具。
【請求項２】
挟み桟を基体枠の縦軸背側より直線状に掛け渡し、上着衣の裾付近を挟み桟とで挟み込む受け片を基体枠の横軸背側から下方に張り出させて設けてなることを特徴とする請求項１に記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項３】
受け片の板面略中央で基体枠の横軸と略同位置より前方に突き出る突起を設けてなることを特徴とする請求項１に記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項４】
ベルトの下縁辺りを支点にズレ回転可能な円柱状の突起を備え付けてなることを特徴とする請求項１または３に記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項５】
前後方向に亘るローレット溝を周側面に設けた突起を備え付けてなることを特徴とする請求項１または３，４のいずれかに記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項６】
ゴム弾性を有する定置枠を基体枠の縦軸端間に備え付けてなることを特徴とする請求項１に記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項７】
基体枠の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けた定置枠を備え付けてなることを特徴とする請求項１または６に記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項１】
上着衣の裾付近とズボンのベルト付近との間に掛渡し装身するズボンのずり落ちし防止具であって、左右の縦軸，縦軸の上端間に橋絡する横軸から略下向きコ字状の軸曲げ形状を呈する基体枠を備え、基体枠の縦軸間に掛け渡すスライド可能な挟み桟と、基体枠の横軸から下方に張り出て挟み桟とにより上着衣の裾付近を挟み込む受け片と、受け片の板面略中央より前方に突き出てズボンの内側でベルトの下縁辺りにあてがう突起と、基体枠の縦軸より連続方向下方に伸びて縦軸間に亘る定置枠を設けてなることを特徴とするズボンのずり落ち防止具。
【請求項２】
挟み桟を基体枠の縦軸背側より直線状に掛け渡し、上着衣の裾付近を挟み桟とで挟み込む受け片を基体枠の横軸背側から下方に張り出させて設けてなることを特徴とする請求項１に記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項３】
受け片の板面略中央で基体枠の横軸と略同位置より前方に突き出る突起を設けてなることを特徴とする請求項１に記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項４】
ベルトの下縁辺りを支点にズレ回転可能な円柱状の突起を備え付けてなることを特徴とする請求項１または３に記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項５】
前後方向に亘るローレット溝を周側面に設けた突起を備え付けてなることを特徴とする請求項１または３，４のいずれかに記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項６】
ゴム弾性を有する定置枠を基体枠の縦軸端間に備え付けてなることを特徴とする請求項１に記載のズボンのずり落ち防止具。
【請求項７】
基体枠の縦軸方向に亘るローレット溝を周側面に設けた定置枠を備え付けてなることを特徴とする請求項１または６に記載のズボンのずり落ち防止具。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２００８−３０３５０１（Ｐ２００８−３０３５０１Ａ）
【公開日】平成２０年１２月１８日（２００８．１２．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１５１８４２（Ｐ２００７−１５１８４２）
【出願日】平成１９年６月７日（２００７．６．７）
【出願人】（３９１０４２３７９）株式会社太田興産 (28)
【公開日】平成２０年１２月１８日（２００８．１２．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月７日（２００７．６．７）
【出願人】（３９１０４２３７９）株式会社太田興産 (28)
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