説明

セキュア印刷設定用プログラムおよびセキュア印刷設定方法

【課題】印刷時における機密性と操作性とのバランスを良好に保つセキュア印刷設定用プログラムを提供すること。
【解決手段】セキュア印刷設定用プログラムは、情報処理装置の使用者以外の他者が画像形成装置を使用可能であるか否かの他者使用情報を、情報処理装置が外部装置から取得する取得手順(S135)と、使用可能である他者使用情報が取得された場合(S140:YES)、セキュアモードにて画像形成装置を動作させる初期設定で、画像形成装置を制御するドライバを情報処理装置にインストールさせ、使用可能である他者使用情報が取得されない場合(S140:NO)、通常モードにて画像形成装置を動作させる初期設定で前記ドライバを前記情報処理装置にインストールさせるインストール手順(S145,S150)とを情報処理装置に実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を介してプリンタにおいてセキュア印刷を行う際の、セキュア印刷設定用プログラムおよびセキュア印刷設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタのセキュア印刷に関して、例えば特許文献1に、プリンタドライバインストール時、プリンタがネットワーク接続されている場合、セキュア印刷設定をONにした上で、インストールを実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−086905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献の例では、プリンタドライバをインストールしようとしているユーザ以外のネットワークプリンタの利用が無い場合であっても、すなわち、他のユーザに印刷物を見られたり持って行かれたりされる可能性が高くない場合であっても、印刷時にパスワード入力等の操作を要求されるセキュア印刷設定がONになっている。そのため、必要以上に印刷時の操作性が低下する虞があった。
【0005】
本発明は、印刷時における機密性と操作性とのバランスを良好に保つ技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術を提供するための手段として、第1の発明に係るセキュア印刷設定用プログラムは、ユーザ認証に成功すると被記録媒体への画像形成を実行するセキュアモードと前記ユーザ認証を行わずに前記画像形成を実行する通常モードとを有する画像形成装置を、情報処理装置によって制御するためのセキュア印刷設定用プログラムであって、前記情報処理装置の使用者以外の他者が前記画像形成装置を使用可能であるか否かの他者使用情報を、前記情報処理装置が外部装置から取得する取得手順と、前記画像形成装置を使用可能であるとの前記他者使用情報が取得された場合、あるいは前記画像形成装置を使用可能でないとの前記他者使用情報が取得されない場合、前記セキュアモードにて前記画像形成装置を動作させる初期設定で、前記画像形成装置を制御するドライバを前記情報処理装置にインストールさせ、前記画像形成装置を使用可能であるとの前記他者使用情報が取得されない場合、あるいは前記画像形成装置を使用可能でないとの前記他者使用情報が取得された場合、前記通常モードにて前記画像形成装置を動作させる初期設定で前記ドライバを前記情報処理装置にインストールさせるインストール手順と、を前記情報処理装置に実行させる。
【0007】
本構成によれば、他者使用情報が取得された場合、すなわち、セキュア印刷をONにする可能性が高い、他のユーザも画像形成装置を使用する状況では、セキュア印刷をONにする操作を省略できる。一方、他者使用情報が取得されない場合、すなわち、セキュア印刷をONにする可能性が(上述の状況よりも)低い、他のユーザが画像形成装置を使用しない状況では、セキュア印刷をOFFにしたり余計なユーザ認証を行ったりする操作を省略できる。そのため、印刷時における機密性と操作性とのバランスを良好に保つことができる。
なお、ここで「ドライバのインストール」は、単に、ドライバプログラムが情報処理装置の所定の記憶装置に格納されることを意味するのではなく、ドライバプログラムが記憶装置に格納された後において、ドライバプログラム内の所定ファイル、例えば、セキュア設定ファイルを初期設定することも含む。
【0008】
第2の発明は、第1の発明のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、前記ドライバのインストール時にインストール済み情報を作成する作成手順を、さらに前記情報処理装置に実行させる。
本構成によれば、他の情報処理装置のユーザが、ネットワーク上のインストール済み情報処理装置をチェックする際にインストール済み情報を利用できる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、前記取得手順は、前記他者使用情報として、前記インストール済み情報を取得する処理を含む。
本構成によれば、他の情報処理装置にドライバがインストールされているとの情報によって、他の情報処理装置が画像形成装置を使用可能であるとの情報を取得できる。
【0010】
第4の発明は、第2または第3のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、画像形成装置に登録させるために、作成したインストール済み情報を画像形成装置へ送信する登録送信手順を、さらに前記情報処理装置に実行させ、前記取得手順は、前記外部装置としての前記画像形成装置から前記他の情報処理装置のインストール済み情報を取得する処理を含む。
本構成によれば、画像形成装置にアクセスするだけでインストール済み情報を取得できる。
【0011】
第5の発明は、第2から第4のいずれか一つの発明のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、前記インストール済み情報が作成された旨を、前記ドライバをインストール済みの他の情報処理装置に報知する報知手順を、さらに前記情報処理装置に実行させる。
本構成によれば、他の情報処理装置(ユーザ)に対し、自身の情報処理装置も画像形成装置を使用することを知らせることができる。
【0012】
第6の発明は、第5の発明のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、前記報知手順は、前記ドライバがインストール済みの他の情報処理装置が1つである場合、当該他の1つの情報処理装置に、前記インストール済み情報が作成された旨を報知する処理を含む。
本構成によれば、ドライバインストール済みの他の情報処理装置にとって、他に画像形成装置を使用する情報処理装置が無い状況から有る状況に変わるという、より機密性が変化するタイミングで、新たなドライバインストール済み情報を報知することができる。
【0013】
第7の発明は、第5または第6のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、前記インストール済み情報が作成された旨を受信する受信手順と、前記インストール済み情報の受信後、前記セキュアモードにて前記画像形成装置を動作させる設定を行う設定手順とを、さらに前記情報処理装置に実行させる。
本構成によれば、他の情報処理装置も同じ画像形成装置を使用する状況になったときに、機密性を維持することが可能となる。
【0014】
第8の発明は、第2から第7のいずれか一つの発明のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、前記インストール済み情報はセキュリティレベル情報を含み、前記インストール手順は、他の情報処理装置のセキュリティレベルが自身のセキュリティレベルより低い場合、前記セキュアモードにて前記画像形成装置を動作させる設定で前記ドライバを前記情報処理装置にインストールさせる処理を含む。
本構成によれば、セキュリティレベルの異なる複数のユーザが同じ画像形成装置を使用する状況であっても、印刷時における機密性と操作性とのバランスを良好に保つことができる。
【0015】
また、第9の発明に係るセキュア印刷設定方法は、ユーザ認証に成功すると被記録媒体への画像形成を実行するセキュアモードと前記ユーザ認証を行わずに前記画像形成を実行する通常モードとを有する画像形成装置に対して、情報処理装置を介してセキュア印刷を設定する方法であって、前記情報処理装置の使用者以外の他者が前記画像形成装置を使用可能であるか否かの他者使用情報を、前記情報処理装置が外部装置から取得する取得手順と、前記画像形成装置を使用可能であるとの前記他者使用情報が取得された場合、あるいは前記画像形成装置を使用可能でないとの前記他者使用情報が取得されない場合、前記セキュアモードにて前記画像形成装置を動作させる初期設定で、前記画像形成装置を制御するドライバを前記情報処理装置にインストールさせ、前記画像形成装置を使用可能であるとの前記他者使用情報が取得されない場合、あるいは前記画像形成装置を使用可能でないとの前記他者使用情報が取得された場合、前記通常モードにて前記画像形成装置を動作させる初期設定で前記ドライバを前記情報処理装置にインストールさせるインストール手順とを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明のセキュア印刷設定用プログラムおよびセキュア印刷設定方法によれば、印刷時における機密性と操作性とのバランスを良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】印刷システムの構成を示す概略的なブロック図
【図2】インストール処理の処理手順を示したフローチャート
【図3】ステータスモニタでのセキュア印刷設定画面を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本発明の一実施形態について図1〜図2を参照して説明する。
【0019】
1.印刷システムの構成
図1は、印刷システム1の構成を示す概略的なブロック図である。印刷システム1は、スキャナ機能、プリンタ(印刷)機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを有する複合機2(画像形成装置および外部装置の一例)、1台以上のパーソナルコンピュータ(情報処理装置の一例)3,3A、およびLAN(Local Area Network)などの電気通信回線4などで構成されている。
【0020】
なお、画像形成装置として複合機に限られず、画像形成装置は、例えば、単に印刷機能を有するレーザプリンタあるいはLEDプリンタ等であってもよい。また、情報処理装置としてパーソナルコンピュータに限られず、情報処理装置は、例えば、特定用途向けの業務用コンピュータであってもよい。
【0021】
1−1.複合機の電気的構成
複合機2は、制御部11、記憶部12、プリンタ部13、スキャナ部14、ファクシミリ部15、操作部16、およびネットワークインターフェース17を含む。
【0022】
制御部11は、CPU、ROM、RAMなどを含む。CPUはROMに記憶されている各種のプログラムを実行することにより複合機2の各部を制御する。ROMはCPUが実行するための各種のプログラムやデータなどを記憶している。RAMはCPUが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0023】
例えば、ROMには、複合機2のプリンタ部13によって画像形成処理を実行するための印刷処理プログラムが格納されている。制御部11は、パーソナルコンピュータ(以下、単に「コンピュータ」という)3,3Aから取得した印刷データに従って、印刷に係る動作モードを決定し、決定された動作モードによって印刷データに基づく画像を記録媒体に印刷する。
【0024】
なお、本実施形態では、動作モードとして、印刷データがネットワークインタフェース17を介して取得されると、印刷データをコンピュータ3,3Aから複合機2へ発信した発信者(ユーザ)を未認証のまま画像を形成する通常モード(本発明の「通常モード」に相当)と、印刷データがネットワークインタフェース17を介して取得され、かつ印刷データの発信者が認証されると画像を形成するセキュアモード(本発明の「セキュアモード」に相当)が用意されている。即ち、複合機2は、印刷データに基づく記録媒体への印刷を実行する際の動作モードとして、通常モードと、セキュアモードとの少なくとも2つのモードを有した周知の複合機2である。
【0025】
また、複合機2の制御部11は、コンピュータ3からプリンタドライバのインストール済み情報(「他者使用情報」の一例)の登録要求があった場合、インストール済み情報を記憶部12の所定記憶領域に格納し、登録する。その際、他のコンピュータ3Aからのインストール済み情報の登録が既にされているかどうかを判定する。登録が既にされている場合には、制御部11は、既に登録されている他のコンピュータ3Aに対して、コンピュータ3のユーザから新たな登録があったことを通知する。なお、複合機2によるこの登録通知処理は任意である。
【0026】
記憶部12は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体を用いて各種のデータを記憶する外部記憶装置であり、パーソナルコンピュータ3から送信される印刷要求やセキュア情報などを記憶する。
プリンタ部13は、ページデータに基づいて紙などの被記録媒体上にレーザー方式やインクジェット方式などで画像を形成する。
【0027】
スキャナ部14は、光源やラインセンサなどを有し、光源に照射された原稿をラインセンサにより読み取って画像データを生成する。
ファクシミリ部15は、電話回線を通じて交換機に接続されており、外部のファクシミリ装置との間で所定の通信プロトコルに従ってファクシミリデータを送受信する。
【0028】
操作部16は、複数のボタンや液晶ディスプレイなどを含む。ユーザは例えば液晶ディスプレイに表示される画面を参照しつつボタンを操作することにより各種の操作を行うことができる。
ネットワークインターフェース17は、電気通信回線4を介してコンピュータ3,3Aなどの外部の機器と接続されている。
【0029】
1−2.コンピュータの電気的構成
コンピュータ3は、CPU18、ROM19、RAM20、記憶部21、表示部22、操作部23、およびネットワークインターフェース24を含む。
【0030】
CPU18は、ROM19に記憶されている各種のプログラムを実行することによりコンピュータ3の各部を制御する。ROM19はCPU18が実行するための各種のプログラムやデータなどを記憶している。RAM20はCPU18が各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0031】
記憶部21は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体を用いて各種のプログラムやデータを記憶する外部記憶装置である。また、記憶部21には、例えば、CD−ROM30に記憶されたデバイスドライバ31a,31bおよびインストールプログラム32が格納される。
【0032】
表示部22は、液晶ディスプレイなどの表示装置を含む。操作部23は、マウスやキーボードなどを含む。ネットワークインターフェース24は、電気通信回線4を介して複合機2および他のコンピュータ3Aなどの外部機器と接続される。
【0033】
このようなコンピュータ3の構成において、CPU18は、ユーザがワードプロセッサなどのアプリケーションプログラムで[印刷]を選択するとデバイスドライバ31a,31bを実行して印刷要求を設定するための設定ウィンドウ(図示せず)を表示し、ユーザが印刷要求を設定するとネットワークインターフェース24を介して複合機2にその印刷要求を送信する。印刷要求が複合機2のネットワークインターフェース17によって受信されることにより複合機2に印刷要求が入力される。
【0034】
その際、複合機2の他のユーザによって印刷結果を見られることを避けるセキュア印刷を行う場合は、ユーザは、コンピュータ3において、例えば、セキュア印刷を設定する設定ウィンドウにおいて、セキュア印刷をONに設定し、印刷パスワードを入力する。コンピュータ3は、印刷要求、印刷データとともに、セキュア印刷および印刷パスワードに関する情報データを複合機2に送信する。複合機2は、コンピュータ3から送信された印刷パスワードと、印刷要求ユーザによって操作部16から入力される印刷パスワードとの照合によってユーザ認証を行い、ユーザ認証が成功すると、印刷データに基づく画像を印刷する。
【0035】
2.ドライバインストール処理
次に、図2を参照して、インストールプログラムに従ってCPU18が実行するデバイスドライバのインストール処理について説明する。図2は、インストール処理の処理手順を示したフローチャートである。インストール処理は、CD−ROM30がコンピュータ3のデータ読出装置(図示せず)に挿入され、CD−ROM30がインストールプログラム(「セキュア印刷設定用プログラム」の一例)32が読み出されると、インストールプログラム32にしたがって、CPU18により実行される。なお、インストールプログラム32は、本発明によるセキュア印刷設定用プログラムの一部を構成するものである。
【0036】
なお、ここで言うネットワークドライバ(デバイスドライバ)31aのインストールとは、以下の周知のことを含む。すなわち、複合機2の印刷機能を制御する時にコンピュータ3が参照する設定ファイルが作成される。そして、作成された設定ファイルと、ネットワークドライバ31aに含まれ、複合機2を制御するためのドライバ構成ファイルとが、OSが管理する記憶部21の特定の場所(例えば、システムフォルダ)に格納される。これと共に、それらのファイルと複合機2との対応関係(例えば、ファイルの参照先)等からなるデバイス情報が記憶部21内のレジストリに登録される。
【0037】
次に、本実施形態に特有のインストール処理を要約すると、インストールプログラム32にしたがって、コンピュータ(「情報処理装置」の一例)3のCPU18は、コンピュータ3の使用者以外の他者が複合機(「画像形成装置」の一例)2を使用可能であるか否かの他者使用情報を、複合機(「外部装置」の一例)2から取得する取得手順を実行する。次いで、CPU18は、複合機2を使用可能であるとの他者使用情報が取得された場合、セキュアモードにて複合機2を動作させる初期設定で、コンピュータ3を制御するネットワークドライバ31aをコンピュータ3にインストールする。一方、複合機2を使用可能であるとの他者使用情報が取得されない場合、通常モードにて複合機2を動作させる初期設定でネットワークドライバ31aをコンピュータ3にインストールする。
【0038】
また、CPU18は、ネットワークドライバ31aのインストールとともに、ステータスモニタをコンピュータ3にインストールする。ステータスモニタは、ネットワークに接続された複合機2やコンピュータ3,3Aに定期的に問い合わせ、問い合わせ先からトナー残量や記録媒体の有無等のステータス情報を取得して表示するプログラムである。
【0039】
さて、本実施形態のインストール処理が実行されると、まず、CPU18は、図2のステップS110において、表示部22を介して、ユーザに複合機2とコンピュータ3との接続形態、すなわち、接続形態に対応したインターフェースを選択させる。インターフェースとしては、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介してネットワーク接続される場合の、ネットワークインターフェースと、USBケーブルを介してローカル接続される場合の、ローカルインターフェースとがある。
【0040】
ネットワークインターフェースが選択されると(ステップS115:YES)、CPU18は、ステップS125において、ネットワークドライバ31aをコンピュータ3の記憶部21に格納する。一方、ローカルインターフェースが選択されると(ステップS115:NO)、ステップS120において、ローカルドライバ31bをコンピュータ3に格納する。この場合、CPU18は、ステップS145において、セキュア印刷をOFFに初期設定してインストール処理を終了する。ローカル接続される場合、セキュア印刷の必要性が低いからである。なお、セキュア印刷の初期設定は、記憶部21の所定境域の設定ファイルに設定される。
【0041】
一方、ネットワーク接続される場合は、ステップS130において、CPU18は、ネットワークドライバ31aのコンピュータ3へのインストール済み情報を作成する(「作成手順」に相当)。そして、作成したインストール済み情報をデバイス、すなわち複合機2に登録するため、インストール済み情報を複合機2に送信する(「登録送信手順」に相当)。送信されたインストール済み情報は、複合機2に登録される。なお、インストール済み情報は、例えば、ユーザ名、コンピュータ名、あるいはTCP/IPアドレスを用いて作成される。
【0042】
次いで、ステップS135において、ネットワークドライバ31aをインストールした他のユーザ(本発明における「情報処理装置の使用者以外の他者」に相当)のインストール済み情報(「他者使用情報」の一例)を、複合機2から取得する(「取得手順」に相当)。なお、本実施形態においては、他のユーザ(コンピュータ3A)のインストール済み情報は、上記したように、コンピュータ3の登録に要求に応じて、複合機2から通知される。
【0043】
インストール済み情報が取得された場合、他のコンピュータ3Aにネットワークドライバ31aがインストールされているとの情報によって、他のコンピュータ3Aが複合機2を使用可能であるとの情報を取得できる。また、単に、複合機2にアクセスするだけでインストール済み情報を取得できる。なお、インストール済み情報は、複合機2からに限られず、例えば、他のコンピュータ(「外部装置」の一例)3Aから取得するようにしてもよい。この場合、コンピュータ3にインストールされたステータスモニタが他のコンピュータ3Aにインストールされたステータスモニタに問い合わせ要求を送信し、問い合わせ要求を受信した他のコンピュータ3Aのステータスモニタがレジストリまたは設定ファイル内に記憶されたネットワークドライバ31aのインストール済み情報をコンピュータ3に応答することにより、コンピュータ3のステータスモニタがインストール済み情報を取得する。
【0044】
複合機2に登録された他のユーザのインストール済み情報が無い場合(ステップS140:NO)、ステップS145において、CPU18は、セキュア印刷をOFFに初期設定して、すなわち、通常モードにて複合機2を動作させる初期設定(「インストール手順」に相当)を行ってインストール処理を終了する。これは、ネットワーク接続の場合であっても、複合機2にインストール済み情報が登録された他のユーザがいない場合、印刷物を他人に見られる頻度が低いと考えられるからである。
【0045】
一方、他のユーザのインストール済み情報がある場合(ステップS140:YES)、ステップS150において、セキュア印刷をONに初期設定する。すなわち、CPU18は、セキュアモードにて複合機2を動作させる初期設定(「インストール手順」に相当)を行う。そして、CPU18は、セキュア印刷をする際に印刷パスワードが必要とされる場合、例えば、図3に示すような印刷パスワードを設定するための画面を表示部22に自動的に表示させる。そのため、ネットワークドライバ31aのインストール時に、セキュア印刷がONに初期設定されるとともに、ユーザは印刷パスワードを入力するための画面を表示するための操作を行う必要がない。
【0046】
操作部16からのユーザによる印刷パスワードの入力がある場合(ステップS155:YES)、ステップS160において印刷パスワードを、記憶部21の所定領域に設定する。設定された印刷パスワードは、印刷時、ユーザIDおよびセキュア印刷ON情報とともに、印刷データのヘッダ部として、コンピュータ3から複合機2に送信される。そして、複合機2において、コンピュータ3からの印刷パスワードと操作部16から入力される印刷パスワードとの照合によってユーザ認証が行われ、ユーザ認証が成功すると、印刷データに基づく画像が印刷される。なお、印刷データが、コンピュータ3から複合機2に送信される際、セキュア印刷ON/OFF情報は、動作フラグとして作成されてもよい。
【0047】
一方、ユーザによる印刷パスワードの入力がない場合(ステップS155:NO)、印刷パスワードを設定せずに処理を終了する。なお、コンピュータ3での印刷パスワードの入力は、例えば、表示部22に表示されたセキュア印刷設定画面のパスワード入力欄へのユーザによるパスワード入力によって行われる。また、初期設定後のセキュア印刷のON・OFFの設定変更も、表示部22に表示されたセキュア印刷設定画面によって行われる。
【0048】
3.実施形態の効果
上記したように、ネットワークドライバ31aをコンピュータ3にインストールする際において、他のユーザのインストール済み情報(他者使用情報)が取得された場合、セキュアモードにて複合機2(画像形成装置)を動作させるために、コンピュータ3において、セキュア印刷がONに初期設定される。そのため、セキュア印刷をONにする可能性が高い、他のユーザも複合機2を使用する状況において、セキュア印刷をONにする操作を省略できる。一方、他者使用情報が取得されない場合、すなわち、セキュア印刷をONにする可能性が低い、他のユーザが複合機2を使用しない状況では、セキュア印刷をOFFにしたり余計なユーザ認証を行ったりする操作を省略できる。そのため、印刷時における機密性と操作性とのバランスを良好に保つことができる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0050】
(1)上記実施形態において、さらに、他のコンピュータ3Aのユーザが複合機2を使用可能でないとの他者使用情報が取得されない場合、セキュア印刷をON(セキュアモード)に初期設定可能とするようにしてもよい。この場合、他のコンピュータ3Aのユーザが複合機2を使用する可能性があるため、セキュア印刷が有効となるからである。また、さらに、他のコンピュータ3Aのユーザが複合機2を使用可能でないとの他者使用情報が取得された場合、セキュア印刷をOFF(通常モード)に初期設定可能とするようにしてもよい。この場合、他のユーザが複合機2を使用する可能性がないため、セキュア印刷をする必要がないからである。
【0051】
(2)上記実施形態においては、他者使用情報を、ネットワークドライバ31aのインストール済み情報とする例を示したがこれに限られない。他者使用情報は、例えば、他のコンピュータ3AのLAN接続情報であってもよい。すなわち、通常、他のコンピュータ3AがLANに接続されていれば、他のコンピュータ3Aが画像形成装置に接続されている確率は高いと言える。
【0052】
また、コピー、FAX、スキャン、PCプリント等の複数の機能を有する画像形成装置(複合機)では、ユーザ毎に使用できる機能、使用できない機能を管理者等が設定できる機能(利用制限機能)を持つ画像形成装置も有る。そして、本発明の取得手順は、他者に何らかの機能の使用許可が設定された情報を、「他者使用情報」として画像形成装置(外部装置)から取得することも含む。このような他者使用情報として、例えば、複合機に登録されたスキャンデータの保存先情報を他者使用情報とすることもできる。
【0053】
(3)上記実施形態において、インストール済み情報が作成された旨を、ネットワークドライバ31aをインストール済みの他のコンピュータ3A(「他の情報処理装置」の一例)に報知する報知手順を、さらにコンピュータ3(「情報処理装置」の一例)に実行させるようにしてもよい。すなわち、セキュア印刷設定用プログラムは報知手順を含んでもよい。この場合、他のコンピュータ3Aに対し、コンピュータ3(自身の情報処理装置)も複合機2(画像形成装置)を使用することを知らせることができる。
【0054】
その際、好ましくは、報知手順は、ネットワークドライバ31aがインストール済みの他のコンピュータ3Aが1つである場合に、当該他の1つのコンピュータ3Aに、コンピュータ3においてインストール済み情報が作成された旨を報知することを含むようにしてもよい。この場合、ドライバインストール済みの他の1つのコンピュータ3Aにとって、他に複合機2を使用するコンピュータ3,3Aが無い状況から有る状況に変わるという、より機密性が変化するタイミングで、新たなドライバインストール済み情報を他の1つのコンピュータ3Aに報知することができる。
【0055】
上記報知手順を含む構成において、報知手順によって報知されるインストール済み情報が作成された旨を、受信する受信手順と、受信手順によるインストール済み情報の受信後に、セキュアモードにて複合機2を動作させる設定を行う設定手順とを、さらにコンピュータ3に実行させるようにしてもよい。すなわち、セキュア印刷設定用プログラムは受信手順と設定手順とを含んでもよい。なお、その際、セキュアモードにて複合機2を動作させる設定はユーザを介さずに自動で設定されるようにしてもよいし、セキュアモード設定画面を表示部22に表示させて、ユーザによってセキュアモードの設定を選択させるようにしてもよい。この場合、他のコンピュータ3Aも同じ複合機2を使用する状況になったときに、機密性を維持することが可能となる。
【0056】
(4)また、インストール済み情報を得る手段を、上記報知手順に替えて、印刷に係るステータスモニタとするようにしてもよい。すなわち、ドライバインストール済みの各コンピュータ3,3Aが、印刷に係るステータスモニタを有する場合、各コンピュータ3,3Aがステータスモニタによって、複合機2に、インストール済み情報を定期的に確認しに行くようにしてもよい。また、複合機2を介さずに、ステータスモニタによって、直接、他のコンピュータ3A(「外部装置」の一例)からインストール済み情報を取得するようにしてもよい。
そして、例えば、図3に示すように、ステータスモニタによって、セキュア印刷の設定に係る画面を表示部22に表示して、セキュア印刷をONにするか否かの選択、およびパスワードの入力をユーザにさせるようにしてもよい。すなわち、セキュア印刷設定用プログラムはステータスモニタを含んでもよい。
【0057】
(5)上記実施形態および他の実施形態において、インストール済み情報はセキュリティレベル情報を含むようにしてもよい。そして、インストール手順は、他のコンピュータ(他の情報処理装置)3Aのセキュリティレベルがコンピュータ(自身)3のセキュリティレベルより低い場合、セキュアモードにて複合機(画像形成装置)2を動作させる設定を伴って、ネットワークドライバ31aをコンピュータ(情報処理装置)3にインストールさせる処理を含むようにしてもよい。この場合、セキュリティレベルの異なる複数のユーザが同じ複合機2を使用する状況であっても、印刷時における機密性と操作性とのバランスを良好に保つことができる。
【0058】
(6)上記実施形態のステップS140とステップS150の間において、コンピュータ3の表示部22にセキュア印刷設定画面を表示させて、ユーザにセキュア印刷を初期設定するかどうかをユーザに再確認させるようにしてもよい。この場合、インストール済み情報(他者使用情報)が有る場合であっても、必ずしもセキュア印刷をする必要のない場合においては、セキュア印刷をOFFに初期設定を変更することができる。
【符号の説明】
【0059】
2…複合機
3,3A…パーソナルコンピュータ
22…表示部
23…操作部
32…インストールプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ認証に成功すると被記録媒体への画像形成を実行するセキュアモードと前記ユーザ認証を行わずに前記画像形成を実行する通常モードとを有する画像形成装置を、情報処理装置によって制御するためのセキュア印刷設定用プログラムであって、
前記情報処理装置の使用者以外の他者が前記画像形成装置を使用可能であるか否かの他者使用情報を、前記情報処理装置が外部装置から取得する取得手順と、
前記画像形成装置を使用可能であるとの前記他者使用情報が取得された場合、あるいは前記画像形成装置を使用可能でないとの前記他者使用情報が取得されない場合、前記セキュアモードにて前記画像形成装置を動作させる初期設定で、前記画像形成装置を制御するドライバを前記情報処理装置にインストールさせ、前記画像形成装置を使用可能であるとの前記他者使用情報が取得されない場合、あるいは前記画像形成装置を使用可能でないとの前記他者使用情報が取得された場合、前記通常モードにて前記画像形成装置を動作させる初期設定で前記ドライバを前記情報処理装置にインストールさせるインストール手順と、
を前記情報処理装置に実行させるためのセキュア印刷設定用プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、
前記ドライバのインストール時にインストール済み情報を作成する作成手順を、さらに前記情報処理装置に実行させるセキュア印刷設定用プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、
前記取得手順は、前記他者使用情報として、前記インストール済み情報を取得する処理を含む、セキュア印刷設定用プログラム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、
画像形成装置に登録させるために、作成したインストール済み情報を画像形成装置へ送信する登録送信手順を、さらに前記情報処理装置に実行させ、
前記取得手順は、前記外部装置としての前記画像形成装置から前記他の情報処理装置のインストール済み情報を取得する処理を含む、セキュア印刷設定用プログラム。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、
前記インストール済み情報が作成された旨を、前記ドライバをインストール済みの他の情報処理装置に報知する報知手順を、さらに前記情報処理装置に実行させるセキュア印刷設定用プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、
前記報知手順は、前記ドライバがインストール済みの他の情報処理装置が1つである場合、当該他の1つの情報処理装置に、前記インストール済み情報が作成された旨を報知する処理を含む、セキュア印刷設定用プログラム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、
前記インストール済み情報が作成された旨を受信する受信手順と、
前記インストール済み情報の受信後、前記セキュアモードにて前記画像形成装置を動作させる設定を行う設定手順とを、さらに前記情報処理装置に実行させるセキュア印刷設定用プログラム。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれか一項に記載のセキュア印刷設定用プログラムにおいて、
前記インストール済み情報はセキュリティレベル情報を含み、
前記インストール手順は、他の情報処理装置のセキュリティレベルが自身のセキュリティレベルより低い場合、前記セキュアモードにて前記画像形成装置を動作させる設定で前記ドライバを前記情報処理装置にインストールさせる処理を含む、セキュア印刷設定用プログラム。
【請求項9】
ユーザ認証に成功すると被記録媒体への画像形成を実行するセキュアモードと前記ユーザ認証を行わずに前記画像形成を実行する通常モードとを有する画像形成装置に対して、情報処理装置を介してセキュア印刷を設定する方法であって、
前記情報処理装置の使用者以外の他者が前記画像形成装置を使用可能であるか否かの他者使用情報を、前記情報処理装置が外部装置から取得する取得手順と、
前記画像形成装置を使用可能であるとの前記他者使用情報が取得された場合、あるいは前記画像形成装置を使用可能でないとの前記他者使用情報が取得されない場合、前記セキュアモードにて前記画像形成装置を動作させる初期設定で、前記画像形成装置を制御するドライバを前記情報処理装置にインストールさせ、前記画像形成装置を使用可能であるとの前記他者使用情報が取得されない場合、あるいは前記画像形成装置を使用可能でないとの前記他者使用情報が取得された場合、前記通常モードにて前記画像形成装置を動作させる初期設定で前記ドライバを前記情報処理装置にインストールさせるインストール手順と、
を含む、セキュア印刷設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−76462(P2011−76462A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228656(P2009−228656)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】