説明

セキュリティ要素とその製造方法

本発明は、第1認証特徴と第2認証特徴とを有する貴重品を保護するセキュリティ要素に関する。前記第1認証特徴は、第1グリッド内に配置された複数の焦点要素を有する第1配列と、第2グリッド内に配置された複数の顕微鏡レベル構造体を有する第2配列とを有し、前記第1配列と第2配列は、前記2個のグリッドの空間周波数が異なるよう、配列され、モアレ効果の結果として、前記第2配列の顕微鏡レベル構造体は、第1配列の焦点要素を通して見た時に拡大して見える。前記第2認証特徴は、機械または目視により認証可能であり、前記第1認証特徴の第1配列により影響されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴重品を保護するセキュリティ要素に関し、特に、このようなセキュリティ要素と証券とこのようなセキュリティ要素を具備した貴重品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貴重品(例、ブランド品、有価証券、株券)は、偽造防止のために、セキュリティ要素をしばしば具備する。これにより、貴重品が真正であることの証明ができる。
【0003】
セキュリティ要素は、例えば銀行券(紙幣)に埋め込んだセキュリティ・スレッドの形態、あるいは製品をパッケージする開封帯(tear strip)の形態、セキュリティ・ストリップあるいは自己保持型添付(転写)要素(例えばパッチあるいはラベルが、製造後、このような有価証券に付加/添付される)の形態で開発されている。
【0004】
高品質のカラーコピーによるセキュリティ要素の偽造防止するために、セキュリティ要素は複数の光学的可変要素を有する。この光学的可変要素は、見る角度によって、異なるイメージあるいは印象(例えば異なる色の印象あるいは異なるグラフィック・モチーフ(図柄))を与える。
【0005】
この点に関し、セキュリティ要素が、回折ミクロ構造体/回折ナノ構造体の形態のセキュリティ特徴を具備することは公知である。例えば、従来のエンボス(浮き彫り)したホログラムまたは格子、例えばKinegram(登録商標)とPixelgram等は公知である。このようなセキュリティ要素の偽物の防止対策は、このような要素が示す見る角度により変わる色の見え具合を利用する。このようなセキュリティ要素は、しばしばフィルム・ストリップあるいはフィルム・ラベルの形態で、有価証券の表面に添付(付加)される。
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0330733号明細書
【特許文献2】欧州特許第0064067号明細書
【特許文献3】欧州特許第0238043号明細書
【特許文献4】国際公開第99/13157号パンフレット
【非特許文献1】The moire magnifier, "M.C. Hutley, R. Hunt, R.F. Stevens and P. Savander, Pure Appl. Opt. 3 (1994), pp. 133-142
【0007】
特許文献1は、セキュリティ・スレッドと組み合わせた回折光学構造を開示する。同文献においては、回折光学構造は、プラスチック・スレッドのキャリア(搭載)材料上にエンボスされたものとして直接、あるいは追加の層である。反射ホログラムあるいはグリッドに現れる反射性金属層は、透過光で見ることのできるレタリングあるいはパターンを生成することを阻止する。
【0008】
さらに、有価証券の偽物防止対策として、セキュリティ要素は3次元のホログラムと2次元の回折パターンを重ね合わせることは公知である。このような「2D/3Dホログラム」の製造方法は、特許文献2に開示されている。
【0009】
このようなホログラムは、セキュリティ要素としてだけではなく、セキュリティがそれほど要求されないアプリケーションで純粋に装飾模様として用いられるので、視る者は、セキュリティ要素としてホログラムを認知することは、無くなりつつある。この視覚効果は、視る者には、セキュリティ要素として認識されず、単なるデザインの変形として益々認識されつつある。その結果、このようなセキュリティ要素の偽造防止対策としての有効性(機能)が減少しつつある。さらにまた、かくして形成されたイメージの印象は、所定の見る角度で且つある光の条件においてのみ、検知できる。特に、弱い光の条件の下では、ホログラムとして生成されたモチーフの知覚性は、大幅に制限される。
【0010】
レンズ・システムをセキュリティ要素として採用することは公知である。一例として、特許文献3は、透明な材料から形成されたセキュリティ・スレッドを開示する。この透明な材料上に複数の平行なシリンダ状のレンズからなるグリッドがエンボスされている。特許文献3においては、セキュリティ・スレッドの厚さは、シリンダ状レンズの焦点距離にほぼ対応するよう選択される。反対面には、プリントされたイメージが完全な位置合わせをして形成される。このプリントされたイメージは、シリンダ状のレンズの光学特性を考慮に入れて設計されている。シリンダ状のレンズの焦点効果と焦点面におけるプリントされたイメージの位置によち、見る角度に依存するが、プリントされたイメージのさまざまな部分を見ることができる。このようにして、プリントされたイメージの適宜のデザインを通して、情報の一部が、導入されるが、所定の角度からしか見ることはできない。プリントされたイメージの適宜の形成を通して、同時に動画も作成することができる。しかし、文書が、シリンダ状レンズに平行な軸を中心に回転すると、モチーフは、セキュリティ・スレッドのある場所から別の場所に連続的にのみ移動する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の欠点を回避し、極めて高い偽造防止対策を有するセキュリティ要素とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、請求項1に記載した特徴を有するセキュリティ要素によって解決できる。セキュリティ要素と証券とこのようなセキュリティ要素を具備する貴重品の製造方法も請求項で特定される。本発明の変形例は、従属請求項に記載されている。
【0013】
本発明によれば、セキュリティ要素は、少なくとも1個の第1認証特徴と第2認証特徴とを有する。前記第1認証特徴は、(A)第1グリッド内に配置された複数の焦点要素を有する第1配列と、(B)第2グリッド内に配置された複数の顕微鏡レベル構造体を有する第2配列とを有する。前記第1配列と第2配列は、前記2個のグリッドの空間周波数が異なるよう、配列され、モアレ効果の結果として、前記第2配列の顕微鏡レベル構造体は、第1配列の焦点要素を通して見た時に拡大して見える。
【0014】
このような拡大効果は、モアレ拡大効果とも称する。モアレ・パターンの基本的動作原理は、非特許文献1に開示されている。この非特許文献1によれば、モアレ拡大効果は、同一のイメージの対象物からなるグリッドがほぼ同一のグリッド寸法のレンズ・グリッドを介して見る時に、見いだされる現象である。あらゆる対の類似のグリッドと同様に、モアレ・パターンは、各モアレ・ストリップを生成する。この場合、このモアレ・ストリップは、イメージ・グリッドの繰り返し要素の拡大し回転したイメージの形態で現れる。
【0015】
実際の拡大効果に加えて、本発明のセキュリティ要素は、深さ方向すなわち3次元のアピアランスと動き効果とを示す。第2認証特徴は、機械により認証可能あるいは目視により認証可能で、第1認証特徴の第1配列からは影響を受けない。
【0016】
本発明のセキュリティ要素により生成されたイメージは、広い視野角で且つ通常の光の条件の下ではっきりと見ることができる。それに加えて光学的に非常に魅力的なセキュリティ要素を提供する。非常に記憶しやすく新規の光学効果故に、視る者の注意は、セキュリティ要素により強く向けられる。
【0017】
焦点要素は、レンズ形状要素として示されるが、焦点効果を有する別の形態の要素もまた本発明の範囲に入る。
【0018】
本発明の拡大効果と深さ方向(即ち3次元)のアピアランス効果と動き効果を達成するために、第1配列と第2配列は、好ましくは次のように配置される。すなわち、第1グリッドと第2グリッドの空間周波数は若干異なり、この2つのグリッドは互いに同一方向を向いている。そのため、前記第1認証特徴あるいは第2認証特徴の第1グリッドと第2グリッドは、異なるライン・スクリーンを示す。ここで、2つのグリッドのライン・スクリーンは、適宜同一の大きさである。別の構成として、前記第1グリッドと第2グリッドは、同一のライン・スクリーンを示し、互いに回転して配置される。
【0019】
本発明の他の実施例によれば、前記第1グリッドと第2グリッドは、同一のライン・スクリーンを示す。かくして、フリップ・イメージ効果が達成できる。
【0020】
第1配列の焦点要素または第2配列の顕微鏡レベル構造体は、好ましくは互いに一定の形状関係とスペースを有するグリッド内に配置される。ここで、特に第1配列の焦点要素は、できるだけ高い表面カバレッジを示す。
【0021】
好ましい実施例によれば、前記第1グリッドと第2グリッドのライン・スクリーンは、3μmと50μmの間、好ましくは5μmと35μmの間、さらに好ましくは10μmと20μmの間にある。前記の寸法により、特にセキュリティ要素は証券、有価証券に使用するのに適した寸法を有するよう製造できる。セキュリティ要素は、50μm以下の全厚を有する。
【0022】
さらなる効果を達成するために、本発明の変形例によれば、第1配列は、異なるサイズとライン・スクリーンの焦点要素の組み合わせも含むことができる。
【0023】
セキュリティ要素を搭載した貴重品の自動的認証とさらに進んだ検知と処理を容易にするために、前記第2認証特徴は、好ましくは機械で読み取り可能な層を有する。好ましくは、前記機械で読み取り可能な層は、機械で読み取り可能な特徴物質である反射物質、磁性物質、導電性物質、偏光物質、位相シフト物質、リン発光物質、蛍光物質、発光物質を含む。
【0024】
本発明の変形例によれば、機械で読みとり可能な層は、不透明、スクリーン処理されたあるいは非常に薄い半透明の金属層により形成することもできる。
【0025】
本発明の変形例によれば、前記第2認証特徴は、2次元の情報の一部を含む。この2次元の情報は、文字、パターン、符号の形態のモティーフ形成層を有する、又は、文字、パターン、符号の形態の開口を示す。ここで、前記モティーフ形成層は、反射層、金属層、プリント層の内のいずれかを含む。
【0026】
本発明の好ましい変形例によれば、開口を金属層に導入(形成)することもできる。開口は、テキスト情報のパターン、コード、その一部を含むことができる。開口は、特許文献4に記載された洗浄方法の手段あるいは同文献に引用されたさまざまな脱金属化方法の1つにより製造できる。前記の洗浄方法においては、金属層から除去すべきサブ領域が、多孔質の溶融可能なプリント用インクでプリントされ、後続のステップで溶剤を用いて再び取り除かれて、このサブ領域に金属層が生成される。この洗浄方法は、特定の外形とシャープさを有する開口を製造できる点で利点がある。
【0027】
原理的には、他の方法を用いても金属層のサブ領域を除去することができる。例えば、エッチング・インクを用いて金属層内に開口を生成することも可能であり、これにより、イメージを金属層に移すことができる。別の構成として、後で除去すべき領域を除いて、保護層を金属層に形成し、その後、保護されていない領域の金属層を、例えばエッチングで除去する。本発明の好ましい方法によれば、対応する領域を揮発性オイルで直接プリントして、開口を生成しその後、金属層を真空堆積する。このオイルでプリントされた領域は、金属は真空堆積方法では分離されない。レーザアブレーションと電気腐食方法が、金属層に開口を生成する好ましい可能性をさらに提供する。
【0028】
金属層の代わりに、前記反射層は、反射性薄膜フィルム要素により形成される。ここで、前記薄膜フィルム要素は、反射層と、吸収層と、それらの間に配置される誘電体製スペース層とを有する。さらに、反射層内に開口をパターン、キャラクターあるいはコードの形態で具備し、この薄いフィルム要素内に透明または半透明の領域を形成する。
【0029】
本発明の変形例によれば、前記第2配列の顕微鏡レベル構造体は、マイクロキャラクタ、又はマイクロパターンの形態である。ここで、前記顕微鏡レベル構造体は、プリントされている。本発明の別の実施例によれば、前記顕微鏡レベル構造体は、エンボスされたマイクロ構造体を含む。
【0030】
別の方法を用いて、第1配列の焦点要素特にレンズ形状要素あるいは第2配列のエンボスされたマイクロ構造体を生成することもできる。特に、従来の半導体技術(フォトリソグラフィー、電子ビーム・リソグラフィー、レーザー・リソグラフィー、レーザー・アブレーション)を、適宜の構造体をレジスト材料、好ましくは電気メッキされたあるいは薄いフィルム用のエンボス・ダイを形成するために、用いることができる。広い表面を製造するのに適した公知の方法は、熱可塑性フィルムをエンボスすることあるいは放射線硬化ラッカーでコーティングしたフィルムをエンボスすることである。別の構成として、マイクロレンズ・システムを、表面にインクジェット・プリント方法あるいはマイクロ粒子の組織化プロセスを用いて、形成することもできる。
【0031】
前記第1配列と第2配列は、第1配列の焦点要素と第2配列のエンボスされたマイクロ構造体が、同一方向を向いた隆起部として形成されるよう、配置される。別の構成として、第1配列と第2配列を、第1配列の焦点要素と第2配列のエンボスされたマイクロ構造体の高さが、異なる方向を向くように配置することもできる。
【0032】
前記エンボスされたマイクロ構造体は、球状カップ、非球状カップ、コーン、三角形ピラミッド、台形ピラミッド、切頭形状コーン、切頭形状ピラミッドの形態であるか、または文字、パターン、コードの形態のベース領域を有する。好ましくは、第1配列の焦点要素と、可能ならば第2配列のエンボスされたマイクロ構造体は、円形あるいは楕円形の領域を有する。
【0033】
本発明の変形例によれば、前記エンボスされたマイクロ構造体は、着色されたエンボス用ラッカー、着色された不透明又は透明のエンボス用ラッカーに、エンボスされて形成される。ここで、前記着色されたエンボス用ラッカーは、色素を含む放射線硬化ラッカーである。前記エンボスされたマイクロ構造体は、着色されたあるいは追加のインク層を具備するキャリア基板上に配置される。本発明の好ましい変形例によれば、前記第2配列の構造体の形成された側のエンボスされたマイクロ構造体は、不透明のコーティング層、金属層、不透明のインク層のいずれかを具備する。
【0034】
本発明の変形例によれば、前記第1認証特徴と第2認証特徴は、見た目に2D/3Dの効果が形成されるように互いに向けられて配置される。ここで、前記顕微鏡レベル構造体は、反射層、好ましくは金属層でコーティングされたエンボスされたマイクロ構造体を含む。偽造対策を向上させるためには、反射層内にキャラクター、パターン、コードの形態の開口を具備すること、あるいはキャラクター、パターン、コードの形態の反射層を形成することが好ましい。
【0035】
本発明のセキュリティ要素においては、前記第1配列の焦点要素と/または前記第2配列の顕微鏡レベル構造体は、キャリア基板上に配置される。第1配列と第2配列を、第1配列の焦点距離とコーディネートした適宜のスペースに関し、互いの方向を向かせるために、スペース層と/または接着層を具備することができる。エンボスした焦点要素の場合には、スペース層は、キャリア基板により形成できる。
【0036】
本発明のレンズ形状の要素は、透過レンズ、屈折レンズ、回折レンズあるいはそれらの組み合わせである。別の構成として、本発明のレンズ形状の要素は、あるレベルのラッカー内に埋設されたポリマー製あるいはガラス製のビーズにより形成することができる。
【0037】
屈折レンズを使用する場合には、レンズ効果を達成するために、レンズの屈折率と隣接周囲の屈折率との間に十分大きな差がなければならない。レンズは、公称屈折率が1.2−1.5の範囲のラッカーから製造されるために、レンズの効果は、レンズの周囲の層が1の屈折率を有する時(空気)に強い。しかし、露出したレンズは、容易にレンズをモールドできる利点があるが、使用中にセキュリティ要素を搭載した貴重品が、ちり、化学的影響、機械的影響を受けることがある点で不利である。
【0038】
このためレンズを埋め込むことが好ましい。レンズの屈折率とは少なくとも0.3だけ異なる屈折率を有する高屈折率の保護層を用いる。このために、酸化チタンからなるナノ粒子を有する色素ラッカーが好ましい。屈折率が1.7と2の間の類似のシステムも市販されている。
【0039】
本発明の一実施例によれば、レンズ形状要素は、反射層を具備し、一種の凹型反射器として機能する。
【0040】
好ましくは、セキュリティ要素は、セキュリティ・スレッド、ティア・ストリップ、セキュリティ・バンド、セキュリティ・ストリップ、証券用のパッチあるいはラベル、有価証券等である。例えば、一実施例においては、セキュリティ要素は、透明なあるいは自立型の領域(ホール)に拡がり、異なる光学外観を有する両側から見ることができるようにすることもできる。
【0041】
本発明は、また、上記した種類のセキュリティ要素を製造する方法を含み、この方法は、第1認証特徴を、第1配列と第2配列の組み合わせにより形成するステップ
を有し、
前記第1配列は、第2配列の上に配置され、
前記第1配列は、第1グリッド内に複数の焦点要素を有し、
前記第2配列は、第2グリッド内に複数の顕微鏡レベル構造体を有し、
前記第1と第2のグリッドの空間周波数は異なり、モアレ効果の結果、前記第2配列の顕微鏡レベル構造体は、第1配列の焦点要素を介して見た時に、拡大して見え、
前記第1認証特徴は、少なくとも1個の第2認証特徴と組み合わされ、
前記第2認証特徴は、機械または目視で認証可能であり、前記第1認証特徴の第1配列には、影響されない。
【0042】
第2の配列において、本発明による顕微鏡レベル構造体は、エンボスされたマイクロ構造体を含む。好ましくは、前記エンボスされたマイクロ構造体は、着色エンボス用ラッカー、着色された不透明あるいは透明に着色されたエンボス用ラッカーにエンボスされる。ここで、前記着色ラッカーは、第1ステップで、キャリア基板に塗布され、第2ステップで、異なる高さまたは深さの領域が形成されるように、エンボス・ダイでエンボスされる。
【0043】
本発明のセキュリティ・ペーパは、上述した種類のセキュリティ要素を具備した証券、貴重品を形成する。前記セキュリティ・ペーパは、紙製またはプラスチック製のキャリア材料を含む。
【0044】
本発明は、貴重品、例えばブランド品、有価証券等を含み、これらに上記のセキュリティ要素が具備される。貴重品は、特に証券あるいは有価証券あるいは製品のパッケージングである。
【0045】
本発明における貴重品とは、特に紙幣、株券、ボンド、証書、バウチャー、小切手、高価な入場券あるいは他の種類の紙類で偽造のリスクにさらされているようなものである。例えば、パスポートあるいは他のアイデンティティ書類、製品の保護要素、例えばラベル、シール、パッケージング等である。本明細書において、貴重品とは、あらゆる商品、文書、製品の保護手段を含む。用語「証券」とは、有価証券になる前の市場に出回る前の前駆体と理解すべきである。この前駆体は、セキュリティ要素に加えてさらに認証特徴、例えば物体内に具備された透明な物質を含む。証券は、通常巻物の形態でもよく、さらに後で処理することもできる。
【実施例】
【0046】
本発明を銀行券(紙幣)を一例として以下詳述する。図1は、2つのセキュリティ要素であるセキュリティ要素2、6を有する銀行券1を示す。各セキュリティ要素は、本発明の一実施例により形成される。第1のセキュリティ要素2は、銀行券1の表面上のある窓領域4内で突出し、窓領域の間の領域では、銀行券1の内部に埋め込まれているセキュリティ要素を構成する。第2のセキュリティ要素6は、如何なる形状も採りうる添付したセキュリティ要素6から形成される。
【0047】
本発明の原理を説明するために、図2aは、本発明のセキュリティ要素10の積層構造の断面を示し、図2bは、その展開図を示す。例えば、セキュリティ要素10は、セキュリティ・スレッドの形態であるが、他の如何なる外形のセキュリティ要素でもよい。
【0048】
図2において、例えば、PETフィルムのようなキャリア基板14上に、焦点要素の配列(この実施例では第1レンズ配列12)が、放射硬化性ラッカー(例、UVラッカー)内に埋設(形成)される。第1レンズ配列12は、球状レンズ要素を複数集めた配列、すなわちマイクロレンズ群112であり、これらは一定形状のグリッド、例えば六角形のグリッド内に配置される。マイクロレンズ112は、凸型の隆起した形態であり、セキュリティ要素を第1レンズ配列12の方向から見た時には、凸レンズとして機能する。この実施例においては、第1レンズ配列12のマイクロレンズの口径は10μmで、半径は12μmで、レンズ間スペースは11μmである。
【0049】
第1レンズ配列12は、キャリア基板14と共に、接着層11を介して、キャリア基板18上のマイクロ構造体配列16即ち顕微鏡レベル構造体と結合される。マイクロ構造体配列16は、第1レンズ配列12と共に、第1認証特徴を形成する。マイクロ構造体配列16は、一実施例では球状レンズ形状要素すなわちマイクロレンズ116であるが、第1レンズ配列12と同一の形状の装置すなわち六角形グリッド内に配置される。一実施例では、マイクロレンズ116はマイクロレンズ112と同一形状である。第1レンズ配列12と第2レンズ配列16との間の間隔(スペース)は、第1レンズ配列12のマイクロレンズ112の焦点距離内にある。六角形のグリッドの代わりに、マイクロレンズ112、116は、多角形グリッド例えば四角形のグリッド内に配置することもできる。
【0050】
図2aに示すように、区画内にある個々のマイクロレンズ112の間の間隔(周期)は、マイクロレンズ116の間の間隔(周期)とは異なる。第1レンズ配列12のマイクロレンズ112と第2のレンズ配列16のマイクロレンズ116との空間周波数(spatial frequency)の若干の差が、所望のモアレ拡大効果を示す。図面を明瞭にするために、同図では本発明のセキュリティ要素を実際の寸法と比率どうりには描いていない。
【0051】
空間周波数の差により、例えば第1レンズ配列12と第2レンズ配列16のグリッドは、ほぼ同一のライン・スクリーンを示すが、しかし互いに若干回転したり捻れたりする。この場合、第2レンズ配列16のマイクロレンズ116の実際のレンズ間距離は、第1レンズ配列12のマイクロレンズ112のそれと一致する。別の構成として、このモアレ拡大効果は、第1レンズ配列12と第2レンズ配列16が、若干異なるレンズ・スペース(レンズ間距離(間隔))を有することにより、発揮することもできる。重要な点は、2つのグリッドの空間周波数が若干異なるということである。さらに、拡大効果は、空間周波数の差が小さいほど大きくなる。第2レンズ配列16のマイクロレンズ116は、マイクロレンズ112によりその空間周波数差に応じてより拡大されたり余り拡大されなかったりする。かくして、所望の拡大効果に応じて、マイクロレンズ112、116の空間周波数の適宜の差を提供できる。
【0052】
第2レンズ配列16のマイクロレンズ116は、例えば蒸着プロセスで形成される連続する金属層15を有する。セキュリティ要素10を第1レンズ配列12の側の方向から見た時には、マイクロレンズ116は、通常の意味でレンズとしては機能せずに、反射要素あるいは入射光の場所と角度に依存した強度で反射する反射要素あるいは反射マイクロ構造体として機能する。金属層15を形成することにより、第2認証特徴が、導電層の形態で得られる。この第2認証特徴は、機械で認証(読みとり)可能である。
【0053】
金属層15は半透明の金属層として形成できる。この半透明の金属層は、非常に薄い金属層あるいはスクリーンで形成した金属層で形成できる。
【0054】
さらに、セキュリティ要素10を証券に搭載するため、又はセキュリティ・スレッドとして形成されたセキュリティ要素の接着性を改善するために、活性接着層17が第2レンズ配列16のキャリア基板18に付加(形成)される。
【0055】
本発明のセキュリティ要素の構造を、図3,4を参照して以下詳述する。図3は、本発明のセキュリティ要素20の断面図である。図4は、セキュリティ要素20の第2レンズ配列16の上面図である。
【0056】
本発明の図3,4に示すセキュリティ要素20は、図2のセキュリティ要素10の構造体に対応する。偽造防止効果を上げるために、金属層15内にさらに第2認証特徴として開口30が形成される。この開口30は、図に示した実施例においては、プレーン・テキストすなわち文字「B」の情報の具体的な一部を示す。このような開口を形成する別の方法も公知である。この開口の生成方法は、特許文献4に開示された洗浄方法が好ましい。開口30は、特に透過光の場合は目で知覚でき、入射光の場合は第1レンズ配列12により生成される移動像がモアレ拡大効果で知覚できる。
【0057】
本発明のセキュリティ要素20は、第2レンズ配列16のマイクロレンズ116の大きく拡大した3次元に見えるイメージを示す。このイメージは、特徴的な深さと動き効果とを示す。この実施例では、マイクロレンズ116は、拡大された「マウンド(mound)」として見える。この拡大効果により、第2レンズ配列16の反射性マイクロレンズであるマイクロレンズ116(実際には人間の目の解像度の限界以下の寸法であるが)を、目で見ることができる。イメージの3次元性は、エンボス(浮き彫りに)され既に3次元のマイクロレンズであるマイクロレンズ116により、さらに拡大される。動き効果(motion effect)は、拡大されたイメージ(像)が、セキュリティ要素の表面の上方、下方あるいはその中を浮いているように見える時、および平行にあるいは直交して動く時に、顕著になる。かくして生成された3次元イメージは、それらはすべての共通の光条件の下で知覚できる点で利点を有する。この3次元イメージは、記憶性の光学効果を提供する。
【0058】
第1レンズ配列12のマイクロレンズ112の上記の拡大効果は、第2レンズ配列16内のグリッドに配置されるマイクロレンズ116にのみ関係し、金属層15内の開口30により生成される情報の一部には関係しない。図4から明らかなように、このような情報の一部は、複数のマイクロレンズにわたって存在できる。規則正しく並んだグリッド内の情報の一部の繰り返しは、この実施例では与えられないが、実際には全ての実施例に共通のものである。反射光では、特にセキュリティ要素20が暗い基板上に配置されている時には、開口30により形成される文字は、元の大きさの2次元のイメージとして見える。このイメージは、第2レンズ配列16の3次元に見える拡大イメージ上方にに浮かんで見える。
【0059】
図5,6は、マイクロ構造体配列を変更した本発明の他の実施例を示す。マイクロレンズ112即ち第1レンズ配列12の変更点は、レンズの形状、グリッド、レンズの口径、レンズの半径、レンズのスペースであり、これらの変更点も本発明の範囲内に入る。特に、第1レンズ配列12は、上記のパラメータの少なくとも1つが異なるマイクロレンズの組み合わせとして示される。
【0060】
図5に示す実施例においては、セキュリティ要素40は、キャリア基板14上に配置されたマイクロレンズ112を有する第1レンズ配列12を有する。この実施例においては、マイクロレンズ112はレンズ口径が20μmで、レンズ半径が12μmで、レンズ間スペースが21μmである。
【0061】
例えば、PETフィルムのキャリア基板48上のマイクロ構造体配列46は、放射線硬化ラッカー内にエンボスされる。マイクロ構造体配列46は、円形のベース領域と断面が不等辺四辺形複数のエンボスされた要素である。マイクロ構造体配列46の要素は、第1レンズ配列12のマイクロレンズ112と同一の形状内この実施例では六角形のグリッド内に配置される。第1レンズ配列12とマイクロ構造体配列46のそれぞれのグリッドの空間周波数の差は、所望の拡大効果に応じて適宜選択される。この拡大効果は、マイクロ構造体配列46の要素間のスペースが、マイクロレンズ112のスペースと比較すると若干広いかあるいは同一の場合には、互いに若干回転する。第1レンズ配列12の方向から見た時には、マイクロ構造体配列46の要素の3次元の拡大したイメージが見える。それは、特徴的深さおよび動き効果を示し、同時に拡大した「マウンド」あるいは台形のコーンとしてマイクロ構造体配列46の要素が見える。
【0062】
マイクロ構造体配列46には、第2認証特徴として金属層15が蒸着プロセスで形成されて、偽造防止効果を向上させる。開口30が、2次元に見える情報の具体的部分を示すために、形成される。
【0063】
図6に示す本発明のセキュリティ要素50は、構造的に、図5のセキュリティ要素40に対応する。キャリア基板58上に配置されたマイクロ構造体配列56は、グリッド内に配置されるが、円形のベース領域と断面が三角形のエンボスされた要素を有する。「コーン」に見えるマイクロ構造体配列56の要素の3次元の拡大したイメージが、見える。このイメージの3次元性は、既に3次元の要素によりさらに増大される。
【0064】
従来の半導体技術の方法を用いると、如何なる形状と外形を有するマイクロ構造体も製造できる。例えば、エンボスされたマイクロ構造体は、文字あるいは数字の形態で表すことができる。このようなシステムに光を当てると、文字の光ったパターンが形成される。かくして、設計されたマイクロ構造体は、本発明のセキュリティ要素に適する。
【0065】
マイクロ構造体配列がエンボスされたマイクロテキスト・グリッドとして形成される本発明のセキュリティ要素の構造体を、図7,8を参照して以下詳述する。図7は、セキュリティ要素60の展開斜視図である。図8は、セキュリティ要素60のマイクロ構造体配列66のサブ領域の上面図である。
【0066】
図7のセキュリティ要素60が上記のセキュリティ要素と異なる点は、円形のベース領域を有する要素の配置の代わりに、グリッド内に現れるエンボスされたマイクロテキスト構造体166の配列66が使用されている点である。ここに示した実施例においては、マイクロテキスト構造体166は、文字列「A」の情報の具体的一部を示す。文字列「A」は、マイクロレンズ112の寸法にほぼ対応し、人間の目の解像限界以下の大きさである。さらに、配列66のマイクロテキスト構造体166が、第1レンズ配列12と同一の形状の配列(この実施例においては六角形のグリッド)内に配置される。さらに、配列66に形成され第2認証特徴を提供する金属層15に開口30が形成される。この開口30は、ここに示した実施例においては、文字「B」の形態の情報の具体的な一部である。
【0067】
この実施例においては、マイクロレンズ112とマイクロテキスト構造体166の空間周波数の若干の差は、これは上記の手法により達成可能であるが、第1認証特徴の所望のモアレ拡大効果を生じさせる。従って、本発明のセキュリティ要素60は、マイクロテキスト構造体166の大きく拡大された3次元イメージを示し、同時に、特徴的な深さと動き効果を示し、拡大された文字「A」としてマイクロテキスト構造体166を示す。このイメージの上に重ねて、2次元のイメージとして、開口30として現れる情報の具体的な一部(すなわち文字「B」)を元の大きさで知覚できる。
【0068】
上記のエンボスされた顕微鏡レベル構造体の3次元効果は、グリッド内の顕微鏡レベル構造体の配置により生成されるが、これは、顕微鏡レベル構造体が既に3次元であるか否かとは無関係である。これとは対照的に、金属層15内の開口30により生成され、複数のマイクロレンズ112にわたって伸びる情報の一部は、グリッド内には現れない。かくして、エンボスされた顕微鏡レベル構造体の3次元拡大イメージ上に配置されたように見える元の大きさの2次元イメージとして見える。
【0069】
理想的には、セキュリティ要素の全厚は50μm未満である。その結果、マイクロレンズと非常に高い解像度を有する顕微鏡レベル構造体とが必要である。しかし、セキュリティ・アプリケーションに適した、特に証券(証券と有価証券等)に顕微鏡レベル構造体を具備したセキュリティ要素の使用に適した大きさの顕微鏡レベル構造体の製造は、ある種の困難を伴う。
【0070】
レンズの直径が約30μmのマイクロレンズが配列される場合には、マクロ構造体の顕微鏡レベル構造体は約30μm以内になければならない。単に点状のマイクロ構造体を使用するのではなく、より複雑なマイクロ構造体、例えば文字、数字、キャラクター(「ユーロ」、「$」のサイン、ロゴ、さらにはイメージ)を使用する場合には、顕微鏡レベル構造体の解像度は、わずか数μm以下でなけれればならない。この大きさのマイクロ構造体を従来のプリント技術で簡単には製造することはできない。
【0071】
かくして、以下に顕微鏡レベル構造体が別の方法で製造される他の実施例を示す。
【0072】
図9にエンボスされたカラーのマイクロ構造体を有するマイクロ構造体配列の製造方法の詳細を示す。図9に示す製造方法においては、特にエンボス技術の助けを借りて非常に小さな構造体を生成できるという事実を利用する。ここに示した実施例においては、これらの構造体は、光学効果を達成するために、無色のエンボス用ラッカーに反射性金属層を蒸着するのではなく、着色された不透明のエンボス用ラッカー72を用いる。これに適したエンボス用ラッカーは、色素を含有するUVラッカーを含む。
【0073】
図9aに示すように、着色されたエンボス用ラッカー72が、第1ステップで、従来のプリント技術を用いて、PETフィルムのような透明なキャリア基板74の表面全体に塗布(形成)される。その層厚は、1−30μm、好ましくは1−15μmである。エンボス用ラッカー72へのマイクロ構造体の形成は、公知のエンボス技術を用いて行われる。例えば、従来半導体技術のリソグラフ技術あるいは他の技術(光リソグラフ、電子ビームリソグラフ、レーザー・アブレーション等)を用いて、数nmから数百μmの範囲のマイクロ構造体の適宜のエンボス・ダイを製造する。かくして達成できる解像度は、従来のプリント技術のそれを上回る。エンボス処理されると、エンボス用ラッカー72は、薄いほぼ無色の領域75と高い色飽和を有する(有色の)厚いマイクロ構造形成領域76とを形成する。マイクロ構造形成領域76が、高解像度の着色マイクロイメージ即ちマイクロ構造体配列を形成する(図9b)。構造物のの高さ(深さ)は、2−30μmの間である。
【0074】
別の構成として、着色されたキャリア基板あるいはインク層を有するキャリア基板を、白または他の色あるいは不透明のエンボス用ラッカーで、コーティングすることも可能である。かくして、下にある(着色された)キャリア基板の「マスキング」の領域を通して、(ネガティブの)マイクロ構造体を形成することも可能である。
【0075】
上記の方法により生成されたエンボスされたマイクロ構造形成領域76は、焦点要素(図示せず)の配置のグリッドに大きさと形状が対応するグリッド内に配置される。この焦点要素とマイクロ構造体配列とを組み合わせて、第1認証特徴を形成する。
【0076】
セキュリティ要素は、機械で読み取り可能な層の形態の認証特徴をさらに有する。この機械で読み取り可能な層は、機械で読み取り可能な特徴物質、例えば磁性物質、導電性物質、リン光物質、蛍光物質を有する。エンボス用ラッカー72は、機械で読み取り可能な特徴構造物を有する。例えば、磁性色素がエンボス・ラッカーに添加される。
【0077】
さらなるステップ(図示せず)において、上記の方法に得られたマイクロ構造体形成領域76は、適宜電磁放射例えば紫外線放射の手段で、硬化する。
【0078】
エンボスされたマイクロ構造体の製造する別の例を、図10のセキュリティ要素80を例に以下詳述する。この実施例においては、エンボス処理は、例えばPETフィルムのような透明なキャリア基板14に形成された透明で着色されたエンボス用ラッカー層82例えば透明で着色されたUVラッカーに対し行われる。その後、エンボスされたマイクロ構造体86がキャラクターあるいはパターンの形態で現れる。キャリア基板14の反対側では、放射線硬化ラッカー例えばUVラッカーに第1レンズ配列12がエンボスされる。この第1レンズ配列12は、グリッド内に配置された複数の球状レンズ要素すなわちマイクロレンズ112である。
【0079】
エンボス用ラッカー層82の下に、反射性金属層あるいは不透明(例、白色)のインク層84が塗布(形成)される。かくして、別の色のエンボス用ラッカーとマスキング用のインクが用いられる場合には、特に減算性(色が見えなくなる)と加算性(色が加わる)のカラー効果を提供できる。
【0080】
所望の拡大効果は、マイクロレンズ112とマイクロ構造体86の空間周波数との若干の差異により生成される。これは上記の手法により得られる。従って、本発明のセキュリティ要素80は、特徴的深さと動き効果とを示すマイクロ構造体86の大きく拡大した3次元イメージを示す。セキュリティ要素80は、マイクロ構造体86を拡大されたキャラクター列あるいはパターン列として示す。
【0081】
さらに、セキュリティ要素80を証券に搭載するため、あるいはセキュリティ・スレッドとして開発されたセキュリティ要素の接着性を改善するために、活性接着層17が金属層あるいはインク層84に形成される。
【0082】
本発明の別の変形例(図示せず)では、透明な着色したエンボス用ラッカーが、キャリア基板の一方の側に塗布され、金属層あるいはインク層が、キャリア基板の反対側に配置される。かくして形成されたマイクロ構造体配列は、接着層を介して、レンズ構造体と結合され、本発明のセキュリティ要素を形成する。
【0083】
図23を参照すると、エンボス技術を用いてエンボスされたマイクロ構造体を製造する一例を詳述する。この実施例においては、エンボス処理は、着色エンボス用ラッカー272、例えばUV硬化ラッカーに対し行われる。この着色エンボス用ラッカー272は、PETフィルムのような透明なキャリア基板74の表面全体に塗布される。ここで、マイクロ構造体配列のマイクロ構造体276は、様々な断面高さあるいは深さを有するよう形成される。これにより、異なる色の飽和(different color saturation)を達成し、かくしてラッカーのそれぞれの厚さに応じて異なるコントラストを達成する。かくして、ハーフトーンのイメージとしてマイクロ構造体を実現できる。
【0084】
エンボスされたマイクロ構造体を製造する別の例を、図24のマイクロ構造体配列を参照して、以下説明する。これにより図7のマイクロテキスト構造体166のような構造体を形成することが可能である。図24に示されたマイクロ構造体配列は、図9のマイクロ構造体配列に対応する。着色エンボス用ラッカー282にエンボスされたマイクロ構造体286に、反射コーティング層(この実施例では金属層285)を、例えば蒸着プロセスで、形成(追加)する。
【0085】
金属層285に用いられる色と合金の選択に応じて、二元合金化(アルミ/銅、アルミ/アルミ等)が採用できる。さらに、透明なキャリア基板74の代わりに、着色されたキャリア基板を使用して、あるいは透明なキャリア基板74にインク層を追加して、さらなる色効果を達成することができる。着色されたエンボス用ラッカーの全表面の塗布に加えて、一部の領域あるいはパターン化された領域にのみ塗布することもできる。
【0086】
図23,24に示すマイクロ構造体配列は、焦点要素の配置(図示せず)のグリッドに大きさと形状が対応するグリッド内に配置される。焦点要素とマイクロ構造体配列とを組み合わせて、本発明のセキュリティ要素を形成する。
【0087】
エンボスされたマイクロ構造体を製造するさらなる変形例においては、マイクロ構造体に加えて、さらに回折光学構造体を有するようなエンボス用ダイを用いることもできる。かくして、回折格子あるいはホログラム様格子とマイクロテキストとの新規の組み合わせを提供できる。
【0088】
適宜の横方向のサイズを決めることにより、人間の目でマイクロ構造体(例、文字または数字)を見ることもできる。エンボスされたマイクロ構造体を製造する上記の例は、セキュリティ・スレッドでの使用に適した顕微鏡レベルのポジティブ・テキストあるいはネガティブ・テキストを形成するのに適している。エンボス処理は、透明あるいは着色されたキャリア基板(例えばPETフィルム)の表面全体に塗布された着色ラッカーに対し実行される。エンボスされたマイクロ構造体は、人間の目で検知できる大きさである。
【0089】
このような積層構造体にさらにマスキング・フィルムあるいは転写(搭載)用フィルムを具備することもできる。かくして形成されたセキュリティ要素を証券に搭載するために、あるいはセキュリティ・スレッドとして用いられた時に、セキュリティ要素の接着性を改善するために、活性化可能な接着剤がキャリア基板にさらに塗布される。さらに、着色されたラッカーを一部の領域にのみ塗布すること、および従来のプリント技術とエンボス技術の利点を組み合わせることも、容易に想到可能である。
【0090】
特許文献4に記載した方法、例えば従来のプリントベースの方法を用いて、図24に示す変形例において、ある領域を従来の方法の助けを借りて、さらに脱金属化することができる。マイクロテキストを製造するさまざまな方法を組み合わせることにより、新たな実施例が得られる。例えば、エンボスされて薄くなった部位の上の金属層を許容値以内で除去すると、適宜透明な開口が形成される。さまざまな方法により製造された薄くされた部位あるいは開口の部分的表面に重ねることも公知である。
【0091】
本発明のセキュリティ要素に使用される顕微鏡レベル構造体を製造する変形例を次に説明する。
【0092】
セキュリティのアプリケーション用に適した大きさの顕微鏡レベル構造体は、オリジナルの製造で、横方向の解像度が100nm以下の電子ビーム・リソグラフィー技術を用いて、製造できる。かくして、個々のマイクロ構造体が異なる回折格子あるいはホログラム様格子からなるマイクロ・イメージを有する顕微鏡レベル構造体を製造することも可能である。ここで、マイクロ構造体は、非常に正確に規定したグリッド内に繰り返される。
【0093】
さらに、マイクロ構造体を製造する非回折格子を用いる方法、特にスキャッタリング・グリッド(scattering grid)、例えばマット・テクスチャ・イメージ(matte-texture image)も、容易に想到しえる。
【0094】
さらに、この種の金属化されエンボス処理されたマイクロ構造体は、次に述べる不都合な点がある。全体表面が金属化されると、ほぼ全域にわたって同程度の高い光反射が起こり、周囲のエンボスされていない領域に対するマイクロ構造体のコントラスト比は、最適ではなくなる。
【0095】
コントラスト比を改善するために、ホログラム様格子に加えて、特別な表面構造が用いられ、金属化された反射特性を選択的に減らし、ダークカラーの印象(所謂、回折ブラック構造体)を与える。
【0096】
マイクロ構造体を示すセキュリティ要素の原理的積層構造を図11のセキュリティ要素90を例に以下詳述する。セキュリティ要素90においては、例えば非回折格子の形態のエンボスされたマイクロ構造体92を有するマイクロ構造体配列が形成される。このエンボスされたマイクロ構造体92は、ラッカー層94例えばUVラッカー層内にエンボスして形成され、透明なキャリア基板98例えばPETフィルム上に、第1レンズ配列12と同一の物理的配列で配置される。レンズ構造体とマイクロ構造体配列のそれぞれのグリッドの空間周波数の差異は、第1認証特徴を形成するよう、適宜選択される。
【0097】
エンボスされたマイクロ構造体92の各構造体は、第1レンズ配列12のマイクロレンズの寸法にほぼ対応する寸法で現れる1個のキャラクターあるいはパターンを形成する。偽造防止を向上させるために、エンボスされたマイクロ構造体に形成(付加)された金属層95内に、第2認証特徴として、モティーフの形態の開口96が具備される。さらに、金属層95が機械で認証可能な導電層を構成する。
【0098】
本発明のセキュリティ要素90は、非回折格子として形成されたマイクロ構造体92の極端に拡大された3次元イメージを示す。これは、特徴的な深さと動き効果を示し、さらに、一連の拡大されたマット・テクスチャ・イメージ(matte-texture image)として非回折格子を示す。開口96がこのイメージに重ね合わされれると、現れた情報の一部を、2次元イメージとして見える。
【0099】
この実施例の別の変形例(図示せず)によれば、エンボスされたマイクロ構造体92に、金属層95ではなく薄いフィルム構造体を具備することもできる。かくして、第2認証特徴が、追加的なカラー・シフト効果の形態で得られる。
【0100】
適宜のエンボス深さと構造幅を有するエンボスされたマイクロ構造体を、斜め方向から金属化処理すると、大小の非金属化領域が、蒸着堆積角に応じて形成できる。上記の方法で製造された本発明のセキュリティ要素100の原理的層構造を、図12を参照して以下詳述する。
【0101】
セキュリティ要素100が本発明の上記のセキュリティ要素と異なる点は、マイクロ構造体配列の形成である。
【0102】
この実施例においては、マイクロ構造体配列は、透明なキャリア基板108例えばPETフィルム上に現れる。別の構成として、キャリア基板は着色することもできる。このマイクロ構造体配列は、エンボス用ラッカー104例えばUVラッカー内にエンボスされた複数のマイクロ構造体106を示す。このマイクロ構造体106は、第1レンズ配列12のマイクロレンズと同一の物理的形状の配列内に配置されて、さらに金属層105が、マイクロ構造体の斜め蒸着プロセスにより、部分的にその上に形成される。
【0103】
セキュリティ要素100は、選択的事項として、さらに第2認証特徴を、機械で読み取り可能な層の形態で有する。この層は、機械で読み取り可能な特徴物質例えば導電性物質、偏光物質、位相シフト物質、リン光物質、蛍光物質を有する。また、エンボス用ラッカー104は、機械で読み取り可能な特徴物質を有することもできる。例えば、発光物質をエンボス用ラッカー104に添加することもできる。
【0104】
選択的事項として、セキュリティ要素100を証券に搭載する為の活性接着層17を形成する前に、あるいは前記証券へのセキュリティ要素の接着性を向上するために、さらなる層例えばインク層をキャリア基板108に形成することもできる。
【0105】
この実施例の変形例(図示せず)においては、マイクロ構造体配列を第1レンズ配列12と接着層11を介して結合しない(図12)。その代わり、第1レンズ配列12のマイクロレンズとエンボスされたマイクロ構造体106を、同一のキャリア基板の反対側(両側)に配置することもできる。
【0106】
図13は、本発明のさらなる実施例を示す。同図において、セキュリティ要素120のマイクロ構造体配列は、全表面ゼロ次回折格子層(ZOG)126とプリントされた吸収顕微鏡レベル構造体あるいは吸収(ブラック)マイクロテキスト構造体122の形態のマイクロ構造体配列との相互作用により形成される。
【0107】
全表面ゼロ次回折格子層126は、UVラッカー層124内の矩形の構造体の形状でエンボスされる。このエンボスされた矩形の構造体は、ZnSまたはTiO製の高屈折率材料層を蒸着プロセスで形成される。UVラッカー層124のエンボスされていない反対表面上に、吸収性の例えば黒色の吸収性(ブラック)マイクロテキスト構造体122の配列が、第1レンズ配列12のグリッドに大きさと形状が対応するグリッド内にインプリントされる。この第1レンズ配列12とマイクロ構造体配列が、接着層11を介して結合される。全表面ゼロ次回折格子層126は、吸収(ブラック)マイクロテキスト構造体122が現れる領域のみに特徴的なカラーシフト効果を示す。
【0108】
結合された吸収(ブラック)マイクロテキスト構造体122に、第2認証特徴として別の金属層125が具備される。この金属層125は、キャリア基板128上に現れる。さらに、開口129が金属層125に、例えばモティーフの形態で具備される。
【0109】
図14に本発明のさらに別の実施例を示す。同図において、セキュリティ要素130のマイクロ構造体配列は、エンボスされたマイクロ構造体136を表す。このエンボスされたマイクロ構造体136は、液晶層用の整合構造体あるいは方向決定構造体として機能する。液晶層を方向決定用のエンボスされたマイクロ構造体に形成することにより、偏光マイクロ構造体配列を生成する。この偏光マイクロ構造体配列は、簡単な認証装置例えば線形または円形のポラライザー(偏光子)の助けを借りて、見ることができる。
【0110】
キャリア層138上に配置された整合層134は、グリッド内に配置され、複数のエンボスされたマイクロ構造体136を有する。このエンボスされたマイクロ構造体136の上に液晶層132が配置され方向付けられる。この液晶層132はネマティック型の液晶材料からなる。別の構成として、エッチングあるいはスコアリング(scoring)により製造されたマイクロ構造層または線形ホトポリマーからなる露出した層は、液晶を方向付ける整合層として機能する。
【0111】
第1レンズ配列12に加えて、セキュリティ要素130は、第2認証特徴として金属層135を有する。このこの第1レンズ配列12は、キャリア基板14上に配置され、液晶層132と、例えば接着層11を介して接合される。この構造体には、例えばモティーフの形態の開口が形成される。
【0112】
エンボスされたマイクロ構造体136は、裸眼では見ることはできない。補助手段なくして見ると、セキュリティ要素は単に光った金属的外観を示すだけである。そこに適宜開口を形成する。所望の拡大効果は、セキュリティ要素130をポラライザー(偏光子)を介して見た時だけ、得られる。
【0113】
セキュリティ要素130は、エンボスされたマイクロ構造体136により生成された偏光領域の大きく拡大した3次元イメージを示す。それは、特徴深さと動き効果を示し、偏光領域は、拡大したキャラクタあるいはパターンとして見える。
【0114】
この実施例の変形例(図示せず)によれば、認証装置は、セキュリティ要素130の層構造の中に一体に組み込むことができる。例えば線形ポラライザーとその後ろのλ/4プレートにより形成される円形ポラライザー(偏光子)を、第1レンズ配列12の上あるいは下に具備することもできる。この場合、方向付けられた液晶層は、特別な補助手段なしに、明暗のコントラストの形態で見ることができる。
【0115】
さらなる変形例(図示せず)によれば、第1レンズ配列12のマイクロレンズとエンボスされたマイクロ構造体136を有する整合層134とは、キャリア基板14の両側に配置される。従って、整合層134と液晶層132が逆順に現れる。
【0116】
本発明のマイクロ構造体配列用の顕微鏡レベル構造体を製造する別の方法は、マイクロコンタクト・プリンティング(maicrocontact printing(μCP))として公知である。この方法によれば、1μm以下の解像度が得られ、超小型の高解像度のプリントされた顕微鏡レベル構造体を製造するのに、特に適したものである。
【0117】
この方法では、顕微鏡レベル構造体は、半導体のパターン化技術(光リソグラフ、電子ビーム・リソグラフ、エッチングとリフトオフ方法、ナノ・インプリント・リソグラフ等)とその後行われるエラストマ(例、PDMS)モールド技術で製造できる。この方法によれば、フレキシブルで明白にパターン化されたスタンプあるいはインプレッション・シリンダが生成され、特別なプリント・インクとプリント基板表面処理を用いると、超薄いインク層の転写に適したものが、形成できる。
【0118】
このようにして製造されたインプレッション・シリンダ(impression cylinder)の助けを借りて、適切なインクを塗布することにより、高解像度のプリントされた顕微鏡レベル構造体の形成が可能となる。
【0119】
図15−21は、マイクロ構造体配列がプリントされた顕微鏡レベル構造体を有する本発明のさらなる実施例を示す。
【0120】
図15の実施例は、セキュリティ要素140を示す。このセキュリティ要素140は、キャリア基板14上に第1レンズ配列12を有する。キャリア基板14の反対側には上記のμCP方法の助けにより、グリッド内に顕微鏡レベル構造体であるプリントマイクロ構造体142がプリントされる。このプリントされたマイクロ構造体142は、キャラクターあるいはパターン、例えば文字あるいはロゴの形態で現れる。さらにプリントされたマイクロ構造体142は、異なる色と/または異なるラインスクリーンの複数のパターンを有する。
【0121】
マイクロ構造体配列のプリントマイクロ構造体142に、さらに第2認証特徴として反射性金属層145が形成される。この反射性金属層145は、例えばモティーフの形態の開口146を有する。このセキュリティ要素は、透過光の中で不透明の形態で現れる。開口146のみを見ることができる。さらに、このような構成により、金属化処理がプリントされたマイクロ構造体の光学的輝度を増加させる利点がある。
【0122】
選択的事項として、不透明な(例えば白色の)インク層144が、反射性金属層145の下に形成される。さらにあるいは反射性金属層145に代わるものとして、セキュリティ要素140は、さらに機械で読み取り可能な層の形態の認証特徴を示す。この層は、機械で読み取り可能な特徴物質、例えば磁性物質、導電性物質、偏光物質、位相シフト物質、リン光物質、蛍光物質を含む。プリントされたマイクロ構造体142は、機械で読み取り可能な特徴物質を含むこともできる。その一例として、磁性色素あるいは発光物質をプリント用インクに添加することもできる。
【0123】
この一実施例においては、マイクロレンズ112とプリントマイクロ構造体142の空間周波数の若干の差が、所望のモアレ拡大効果を生成するのに寄与する。従って、セキュリティ要素140は、プリントされたマイクロ構造体142の極端に拡大された3次元に見えるイメージを示す。そのイメージは、特徴深さおよび動き効果を示す。ここでは、プリントされたマイクロ構造体142は、拡大された文字あるいはロゴの列に見える。また、レンズ配置とマイクロ構造体の配置との空間周波数の差が小さいと拡大効果が増加する。この拡大されたイメージ上に重ね合わせて、反射性金属層145内の開口146を、2次元イメージ例えば元の大きさのテキストとして見ることができる。
【0124】
プリントマイクロ構造体142が発光インクで製造される場合には、上記の拡大効果は、発光物質を紫外線照射で励起する放射でもあるいは放射だけでも現れる。
【0125】
この実施例の別の変形例によれば、マイクロ構造体配列のプリントされたマイクロ構造体142と第1レンズ配列12のマイクロレンズ112とは、グリッドが互いに回転することなく、同一のライン・スクリーンとして現れる。このため、マイクロ構造体配列のプリントマイクロ構造体142は、第1レンズ配列12のマイクロレンズのライン・スクリーンに合わせて正確に印刷される。かくして、フリップ・イメージ効果(flip image effect)を達成できる。同一のマイクロ構造体からなるグリッドを、同一のライン・スクリーンを有するレンズ配列を通して見る時に、発生する強い拡大効果が用いられる。このことは、次のように説明することができる。同一のライン・スクリーンを有し、互に正確に向き合ったマイクロ構造体とマイクロレンズからなるシステムをある方向から見た時には、各マイクロレンズは、その下にあるマイクロ構造体のそれぞれの点を形成し、下にあるマイクロ構造体のポイントを無限に拡大したイメージを見た目に形成する。見る方向が変わると、マイクロ構造体の対応する他のポイントは、それに対応する拡大率で現れる。かくして、いわゆる「フラッシュ(flash:突然現れる)」イメージが生成される。これは、次のようなイメージとして理解できる。すなわち、見る者は、イメージ情報をある方向からのみ見ることができ、他の方向からは見ることができない。言い換えると、見る者にとって、見る方向を連続的に変えると、イメージはどこからかともなく現れ、そして再び消える。
【0126】
図20に示すように、本発明のセキュリティ要素200の他の実施例によれば、図15の反射性金属層145により具備された金属化部分は、蒸着された薄いフィルム構造体207により提供され、これが第2認証特徴として機能する。このフィルム構造体207は、吸収層204と、誘電体製スペース層205と、反射層206とから構成される。この反射層206は、適宜、開口が形成される。それ以外は、図20のセキュリティ要素200の構成は、図15のセキュリティ要素140のそれに対応する。
【0127】
セキュリティ要素100を証券に搭載するために、活性接着層17を形成する前に、あるいは証券にセキュリティ要素の接着性を向上するために、さらなる層209例えばインク層がセキュリティ要素200に形成される。
【0128】
ここに示した全表面の実施例に加えて、第1レンズ配列12と、マイクロテキスト構造体202と、フィルム構造体207の個々の層を、表面の一部のみに形成する変形例も当業者は想到できる。
【0129】
図20に示す薄いフィルム要素の代わりに、カラー・シフト効果を有するインクを場所に応じて表面に塗布できる。これにより、セキュリティ要素の両側から見ることのできる、場所に応じて変わるカラー・シフト効果を達成できる。
【0130】
図に示した全表面の実施例に加えて、さらなる変形例も可能である。この変形例においては、レンズ配列のマイクロレンズとマイクロ構造体配列のプリントされたマイクロ構造体と反射層とを、表面全体には形成しない構成である。
【0131】
例えば、マイクロレンズ112を有さない第1レンズ配列12のセキュリティ要素の領域において、反射性金属層の代わりに、回折格子を具備することもできる。このような実施例を図22に示す。
【0132】
図22のセキュリティ要素220は、図15のセキュリティ要素140に構造上対応する。偽造防止効果をさらに高めるために、回折格子224例えばエンボスされたホログラムを具備することもできる。このホログラムは、第1レンズ配列12のマイクロレンズが重なり合わない反射性金属層245の領域内にエンボスで形成される。さらに、マイクロ構造体配列のプリントされたマイクロ構造体242と共働する第1レンズ配列12により生成されたモアレ拡大効果に加えて、見る者は、擬似的に埋設された(quasi-embedded )エンボスされたホログラムの光学的に変化する効果を感知できる。
【0133】
次のような変形例も想到し得る。すなわち、第2認証特徴を具備する金属層を、マイクロ構造体配列に形成せずに、焦点要素特にレンズ形状要素のプロファイルに形成することもできる。マイクロ凹型リフレクタ(反射器)からなるこのような装置で、図示した第1レンズ配列12と同様な効果を達成できる。
【0134】
このような積層構造においては、マイクロ構造体配列は、透明なキャリア基板上に、通常不透明な要素と透明な要素例えば印刷されたマイクロ構造体を含む。入射光は、透明な領域を通過して、凹状の反射器配置に入り、マイクロ構造体配列の面を介して反射される。この像は上記の原理により拡大されている。このようなモアレ拡大効果に加えて、本発明のセキュリティ要素は、特徴深さすなわち3次元に見え且つ動き効果も示す。さらに、見る者は、浮いた状態の拡大イメージのみを看取でき、人間の目の解像限界以下の寸法で現れるマイクロ構造体は看取できない。
【0135】
このような実施例を図16の搭載(転写)要素として示されたセキュリティ要素150の例を用いて以下詳述する。搭載要素としてのセキュリティ要素150は、証券あるいは有価証券に搭載される。キャリア基板158上の一連の層は、キャリア基板上への接着性が比較的小さくなるように構成される。このため、解放層すなわち分離層159をキャリア基板158上に形成する。その後、接着層157をセキュリティ要素150上に形成し、セキュリティ要素を証券あるいは有価証券に搭載(接着)する。キャリア基板158は、その後除去される。
【0136】
しかし、セキュリティ要素150は、それがキャリア基板158に十分接着するよう形成することもできる。この場合、キャリア基板は、搭載(接着)後、セキュリティ要素上に残る。このように形成されたセキュリティ要素により、透明なあるいは自立型の領域を跨ぐ、特に証券に現れるウインドウ(窓)を跨ぐことも可能である。
【0137】
セキュリティ要素のデザインによっては、異なる光学アピアランスを両側に見ることもできる。
【0138】
選択的事項として、接着層157の形成の前に、保護層(図示せず)を有するセキュリティ要素を具備することも可能である。
【0139】
マイクロレンズを有するレンズ配列の代わりに、図16に示すセキュリティ要素150は、凹型反射器配列152を有する。この凹型反射器配列152は、フィルム内にエンボスされ一定形状のグリッド例えば六角形のグリッド内に配置された複数のレンズ形状の要素あるいはレンズ構造体を有する。別の構成として、凹型反射器配列152は、キャリア基板上に形成されるモールド可能なエンボス用のラッカー層にエンボスで形成することも可能である。金属化処理を行うために、凹型反射器配列152のレンズ構造体のプロファイルは、反射性金属層155を具備する。この反射性金属層155は、蒸着により形成される。屈折型のマイクロレンズとは対照的に、凹型反射器の光学特性は、埋設されると、へりあるいは縁のみで変化する。
【0140】
さらに、キャラクタあるいはパターンの形態の開口156は、上記の方法により、反射性金属層155内に導入され、第2認証特徴を提供する。
【0141】
別の構成として、反射性金属層155の代わりに、高屈折率材料製でスクリーン処理されたあるいは非常に薄い半透明の金属層を有する層を具備することもできる。かくして、さらなる認証特徴の感受性を保証でき、例えば方向160から見た時に反射コーティング層の後ろにプリントされたイメージを見ることができるような実施例を実現することもできる。すると、搭載(転写)要素でもあるセキュリティ要素150は、適宜配置された場合には、第2認証特徴として機械で読み取り可能な層を示す。この機械で読み取り可能な層は、機械で読み取り可能な特徴物質、例えば磁性物質、導電性物質、偏光物質、位相シフト物質、リン光物質、蛍光物質を含む。プリントされたプリントマイクロ構造体142は、機械で読み取り可能な特徴物質を含むこともできる。この機械で読み取り可能な特徴の物質は、高屈折率材料層内に含まれる。プリントされたマイクロ構造体154は、機械で読み取り可能な特徴の物質を含むことができる。例えば磁性色素をプリント用インクに添加することもできる。
【0142】
この実施例のさらなる変形例によれば、反射性コーティング層は、蒸着プロセスで形成された薄いフィルム構造体で提供することもできる。かくして、第2認証特徴が、付加的なカラーシフト効果の形態で得られる。
【0143】
薄いフィルム構造体をレンズ構造体に形成(付加)することもできる。即ち、吸収層と誘電体スペース層と反射層の一連の第1のレンズ構造体に形成されるか、あるいは、反射層と誘電体スペース層と吸収層の一連の第2のレンズ構造体に形成(付加)することもできる。この場合さらなる開口を反射層に具備することもできる。第1のレンズ構造体の場合、凹型の反射器配列はカラー・シフトする反射層を具備する。第2のレンズ構造体の場合には、光沢のある金属製の反射性凹型反射器配列が得られる。セキュリティ要素を別の側から見た時には、見る角度に依存するカラー・シフト効果がさらに得られる。
【0144】
レンズ構造体を示す層のエンボスが施されていない表面上に、グリッド内に不透明マイクロ構造体154の配列がインプリントされる。この不透明マイクロ構造体154のグリッドは、凹型反射器配列152のグリッドの大きさと形状が対応する。ここで、プリントされた不透明マイクロ構造体154は凹型反射器の焦点面にある。凹型反射面の頂点からマイクロ構造体の面に至る距離は、(球状)凹型反射器の曲率半径の半分に等しい。
【0145】
保護層を、不透明マイクロ構造体154の両側と、凹型反射器配列152の反対側に具備することもできる。
【0146】
さらに図16に示すように、搭載(転写)要素でもあるセキュリティ要素150は、さらなる認証特徴として、凹型反射器配列152のレンズ構造の間と/またはその脇に、エンボスされた回折構造体即ち散乱構造体164、例えばエンボスされたホログラムあるいはマット構造(matte structure)を有することもできる。エンボスされた散乱構造体164は、反射性金属層155を具備することもできる。開口156は、その中に配置される。
【0147】
マイクロ構造体配列とレンズ構造の単純な組み合わせの代わりに、セキュリティ要素の両側にこのような組合わせを具備することにより、興味深い効果も得ることができる。このような興味深い効果が達成できるのは、異なるライン・スクリーンを有するレンズ配置を用いた場合である。このようなセキュリティ要素は、証券あるいは有価証券の両側に現れるセキュリティ・スレッドとして、あるいは透明な自立型の領域の上に現れる搭載要素用にセキュリティ・スレッドとして、採用できる。
【0148】
図17を参照して、この実施例の詳細をセキュリティ要素170を参照して詳述する。このセキュリティ要素170は、図15のセキュリティ要素に構造が対応する。しかし、図15のセキュリティ要素は、さらに疑似ミラー(quasi-mirrored)で現れる。特に、セキュリティ要素の両側に、レンズ配列12、172が具備される。レンズ配列172は、さらにキャリア基板178上に配置される。別の構成として、第1レンズ配列12をキャリア基板上に配置することもできる。
【0149】
さらに、セキュリティ要素170は、プリントされたマイクロ構造体174と、マイクロ構造体176とを有する。マイクロ構造体176は、金属層175を具備した領域の上のみ形成される。かくして、マイクロ構造体176に対する本発明のモアレ拡大効果は、レンズ構造体172の助けを借りてのみ見ることができる。プリントマイクロ構造体174に対する拡大効果は、レンズ配列12、172のマイクロレンズを適宜選択することにより、両側から、異なる拡大効果に適した一部領域で見ることができる。
【0150】
金属層175は、ある領域、例えばモティーフの形態でのみ、マイクロ構造体174とマイクロ構造体176の間に具備される。かくして、第2認証特徴を提供できる。この第2認証特徴は、見た目で認証できる形態、あるいは機械認証が可能な情報の具体的な部分の形態で与えられる。
【0151】
この実施例の本発明のセキュリティ要素の構造を図18を参照して詳述する。図18(a)は、本発明のセキュリティ要素180の断面図であり、図18(b)、(c)は、このセキュリティ要素のプリントされたマイクロ構造体の実施例の上面図である。
【0152】
図18(a)に示す積層構造により、フリップ・イメージ効果(flip image effect)特に上記のカラーシフト効果の発揮が容易となる。ここに示した実施例においては、第1レンズ配列12のマイクロレンズの下にマイクロ構造体182が配置される。このマイクロ構造体182は、マイクロレンズのライン・スクリーンに交互に異なる色が、完全に位置合わせをしてプリントされて、見る角度によって変わるカラー・シフト効果を発揮する。マイクロ構造体182の一方あるいは他方は、レンズを介して見る角度によって見える。
【0153】
キャリア基板188上にさらに反射性金属層185が、第2認証特徴として具備される。そこにはさらに、開口183が例えばモティーフの形態で形成され、偽造防止効果を高める。
【0154】
選択的事項として、セキュリティ要素180を証券に搭載(添付)する活性接着層17を形成する前に、あるいはセキュリティ要素が証券に接着するのを向上させるために、さらなる層、例えばインク層をキャリア基板188に形成(付加)することもできる。
【0155】
プリントされたマイクロ構造体が図18(b)、(c)に示す方法で、第1レンズ配列12のマイクロレンズのベース領域に形成される場合には、以下に記載する効果も達成することができる。
【0156】
図18(b)のマイクロ構造体配列184の同心の円内に、異なる色に着色された領域を球状マイクロレンズの円形ベース領域に配置することにより、セキュリティ要素180は、見る方向とは無関係に、傾斜した時にカラーシフト効果を発揮する。
【0157】
図18(c)のマイクロ構造体配列186のグリッド・ポイントとして配置された異なる色に色付けされたマイクロ構造体を通してみると、緑から赤へのカラー・シフト効果は、図面で左から右に傾けた時に発生し、緑から青へのカラー・シフト効果は、上から下へ傾けた時に発生する。
【0158】
マイクロ構造体の着色領域の配置(配列)は、さまざまな方法で実現できる。例えば、マイクロ構造体の異なる色に着色された領域の配置を円セグメントあるいは線セグメントで有するマイクロ構造体も考え得る。
【0159】
この実施例の変形例によれば、紫外線放射の下で見る角度に依存するカラー・シフト効果は、マイクロ構造体が複数の異なる発光インクで印刷された時に達成できる。補助手段なしに見る時には、セキュリティ要素は、適宜開口が配置される単に光沢のある金属製の外観を呈するだけある。他方で、所望のカラー・シフト効果は、セキュリティ要素がUV放射線で照射さえた時のみ、見える。
【0160】
薄いフィルム要素の干渉あるいは液晶手段により形成される従来のカラー・シフト効果(これは常に所定の連続する色のシーケンスを示す)とは対照的に、本発明によりマイクロレンズの助けを借りて形成されたカラー・シフト効果は、自由に選択可能である。かくして、如何なるカラー・シフト効果、すなわち色Aから色Bへのシフトも可能である。
【0161】
このようなカラー・シフト効果は、上記の拡大効果と組み合わせることもできる。このため、ある領域では、マイクロ構造体をレンズ配列のマイクロレンズと完全に位置合わせをし、他の領域では、レンズ配列とは異なる空間周波数で配置することも可能である。
【0162】
図19に示す本発明のセキュリティ要素190は、図15のセキュリティ要素140に対応する。キャリア基板194に配置されたレンズ構造体192に加えて、セキュリティ要素190は、マイクロ構造体配列196と金属層195とを有する。このマイクロ構造体配列196は、例えばプリントされたマイクロ構造体を有する。キャリア基板198上に金属層195が配置され、開口を有し、第2認証特徴を提供する。
【0163】
さらに、レンズ構造体192のマイクロレンズの間あるいはその脇に、エンボスされた回折構造体即ち散乱構造体199が具備される。この散乱構造体199は、例えばマット構造体あるいはエンボスされたホログラムで、そこに金属層が形成される。金属層を散乱構造体199に形成することが、特に見やすさの点で利点がある。透明な材料の変形例を実現するためには、この金属コーティングをZnSまたはTiOからなる高屈折率材料で置換することも考えられる。
【0164】
適宜の製造方法により、レンズ構造の脇に、回折構造層即ち散乱構造層を直接配置することもできる。別の構成として、レンズ構造体のマイクロレンズは、図16に示した金属製の凹型反射器配列と回折散乱構造体を重ねて形成することもできる。
【0165】
エンボスされた回折構造体または散乱構造体の代わりに、ゼロ次の回折格子をレンズ構造装置の脇にあるいはそれに部分的に重ねて具備することもできる。理想的には、ZnSまたはTiOからなる高屈折率材料層を蒸着プロセスで堆積する。その後、ゼロ次回折格子がある領域で、セキュリティ要素を回転した時に変わる色の印象を得ることができる。
【0166】
図21を参照して、本発明のセキュリティ要素210の変形例を詳述する。キャリア基板14上に配置された第1レンズ配列12に加えて、セキュリティ要素210は、プリントされたマイクロ構造体配列212と金属層215とを有する構造体を有する。
【0167】
マイクロ構造体配列212と金属層215の間に、例えばコレステリック液晶(イカの肝臓に含まれるコレステロールを処理して作られる液晶)からなる液晶層214と暗い黒色のインク層216とが部分的に具備される。インク層216は一部の面に形成される。選択的事項として、インク層216は、機械で読み取り可能な特徴物質例えば磁性物質を含む。金属層215は、図21に示すように、インク層216に完全に位置合わせした場所にのみ形成されるか、あるいは半透明なあるいはスクリーン形成した金属層として形成される。上記のモアレ拡大効果に加えて、この構成は、カラーシフト効果あるいは偏光効果を発揮する。金属層215と、インク層21と液晶材料層214との組合せは、本発明の第2認証特徴を、提供できる。
【0168】
選択的事項として、セキュリティ要素100を証券に搭載する活性接着層17を形成する前に、あるいはセキュリティ要素の証券への接着性を向上させるために、さらなる層、例えばインク層をセキュリティ要素210に形成(付加)することもできる。
【0169】
上記した全表面に形成する代わりに、第1レンズ配列12とマイクロ構造体配列212と液晶層214またはインク層216を、表面の一部のみに形成する変形例も可能である。さらに、上記の液晶層214とインク層216は、金属層の代わりに、凹型反射構造のレンズ構造のプロファイルに形成(付加)することも可能である。
【0170】
上記の実施例のマイクロレンズの代わりに、光焦点効果を有する他の要素も用いることができる。さらに、本発明のセキュリティ要素と特に機械で読み取り可能な層を組み合わせることもできる。このような層は、反射性物質、磁性物質、導電性物質、偏光物質、位相シフト物質、発光物質を含む。
【0171】
磁性層を隠すために、磁性層は2つの不透明な層の間に埋設するのが好ましい。金属領域がセキュリティ要素上に既に現れている場合には、磁性層は、それらに接着促進層の助けを借りて、搭載することができる。その後、磁性層は、さらなる金属層、高い光学密度を有する不透明インク層または金属色素を有する層の手段によりマスキングすることもできる。磁性領域は、セキュリティ要素に沿ってコードの形態で連続的領域として現れる。
【0172】
導電性は、連続する金属層で達成できる。金属層の機械的負荷に対する安定性はしばしば不十分であるために、それに代えてあるいはそれに加えて、透明な導電性コーティングを表面全体あるいはセキュリティ要素の表面領域に形成することもできる。これらの層は、セキュリティ要素の光学的外観を壊さないが為、利点がある。
【0173】
さらに着色されたあるいは光沢のある金属コーティングを用いることもできる。カーボンブラック色素を有するプリント用インクを用いる場合には、これにより形成された層は、セキュリティ要素内の2枚の不透明な層の間に埋設され、セキュリティ要素の外観を損なうことがない。
【0174】
さらに、発光性物質(特にリン発光物質あるいは蛍光発光物質)を、本発明のセキュリティ要素の層構造の如何なる場所にも採用することができる。特にこのような物質は、凹型反射器のマイクロレンズあるいはレンズ構造内に導入することができる。このマイクロレンズあるいはレンズ構造体は、従来のプリント用インク(数ミクロン)に比較すると比較的厚く、かくしてこのような物質に十分な空間を与える。しかし、発光物質は、光学的に透明でなければならない。
【0175】
本発明のさらなる実施例によれば、本発明のセキュリティ要素は、位相シフト特性を有する層と組み合わせることもできる。このため、本発明のセキュリティ要素は、これらの特性を示す液晶材料からなる層で部分的にコーティングされる。特に、金属化された領域は、プリントされたパターンの形態の液晶で部分的にコーティングされるか、あるいはセキュリティ要素の表面全体をその主軸が異なる方向を向いた二重屈折率を示す液晶でコーティングする。このようにして、円形または線形の偏光子により、それ以外では見ることのできないパターンが見えるようになる。
【0176】
別の構成として、本発明のセキュリティ要素は、偏光物質でコーティングすることもできる。例えば、コレステリック液晶材料でコーティングすることもできる。
【0177】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】埋め込まれたセキュリティ・スレッドと添付されたセキュリティ要素を有する銀行券を表す図。
【図2a】本発明のセキュリティ要素の断面図。
【図2b】本発明のセキュリティ要素の第1配列と第2配列の展開斜視図。
【図3】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図4】図3のセキュリティ要素の第2配列の上面図。
【図5】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図6】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図7】本発明のセキュリティ要素のマイクロテキスト・グリッドとして搭載された第1配列と第2配列の展開斜視図。
【図8】図7のセキュリティ要素の第2配列の上面図。
【図9a】本発明の一実施例によるセキュリティ要素の第2配列用の顕微鏡レベル構造体を製造する第1ステップを表す図。
【図9b】本発明の一実施例によるセキュリティ要素の第2配列用の顕微鏡レベル構造体を製造する第2ステップを表す図。
【図10】図9の実施例により製造可能な顕微鏡レベル構造体を有するセキュリティ要素の断面図。
【図11】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図12】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図13】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図14】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図15】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図16】本発明の一実施例による搭載要素としてのセキュリティ要素の断面図。
【図17】本発明の一実施例による両面セキュリティ要素を表す図。
【図18a】本発明の一実施例によるセキュリティ要素の断面図。
【図18b】本発明のセキュリティ要素の第2配列の顕微鏡レベル構造体の第1変形例を表す上面図。
【図18c】本発明のセキュリティ要素の第2配列の顕微鏡レベル構造体の第2変形例を表す上面図。
【図19】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図20】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図21】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図22】本発明の一実施例のセキュリティ要素の断面図。
【図23】本発明の一実施例によるセキュリティ要素の第2配列の断面図。
【図24】本発明の一実施例によるセキュリティ要素の第2配列の断面図。
【符号の説明】
【0179】
1 銀行券
2 第1セキュリティ要素
4 窓領域
6 第2セキュリティ要素
10 セキュリティ要素
11 接着層
12 第1レンズ配列
14 キャリア基板
15 金属層
16 第2レンズ配列
17 活性接着層
18 キャリア基板
20 セキュリティ要素
21 インク層
30 開口
40 セキュリティ要素
46 マイクロ構造体配列
48 キャリア基板
50 セキュリティ要素
56 マイクロ構造体配列
58 キャリア基板
60 セキュリティ要素
66 マイクロ構造体配列
72 エンボス用ラッカー
74 キャリア基板
75 領域
76 マイクロテキスト構造体形成領域
80 セキュリティ要素
82 エンボス用ラッカー層
84 インク層
86 マイクロ構造体
90 セキュリティ要素
92 エンボスされたマイクロ構造体
94 ラッカー層
95 金属層
96 開口
98 キャリア基板
100 セキュリティ要素
104 エンボス用ラッカー
105 金属層
106 マイクロ構造体
108 キャリア基板
112 マイクロレンズ
116 マイクロレンズ
120 セキュリティ要素
122 吸収(ブラック)マイクロテキスト構造体
124 UVラッカー層
125 金属層
126 全表面ゼロ次回折格子層
128 キャリア基板
129 開口
130 セキュリティ要素
132 液晶層
134 整合層
135 金属層
136 エンボスされたマイクロ構造体
138 キャリア層
140 セキュリティ要素
142 プリントマイクロ構造体
144 インク層
145 反射性金属層
146 開口
150 セキュリティ要素
152 凹型反射器配列
154 不透明マイクロ構造体
155 反射性金属層
156 開口
157 接着層
158 キャリア基板
159 分離層
160 方向
164 散乱構造体
166 マイクロテキスト構造体
170 セキュリティ要素
172 レンズ構造体
174 プリントマイクロ構造体
175 金属層
176 マイクロ構造体
178 キャリア基板
180 セキュリティ要素
182 マイクロ構造体
183 開口
184 マイクロ構造体配列
185 反射性金属層
186 マイクロ構造体配列
188 キャリア基板
190 セキュリティ要素
192 レンズ構造体
194 キャリア基板
195 金属層
196 マイクロ構造体配列
198 キャリア基板
199 散乱構造体
200 セキュリティ要素
202 マイクロテキスト構造体
204 吸収層
205 誘電体製スペース層
206 反射層
207 フィルム構造体
209 層
210 セキュリティ要素
212 マイクロ構造体配列
214 液晶層
215 金属層
216 インク層
219 インク層
220 セキュリティ要素
224 回折格子
245 反射性金属層
242 プリントマイクロ構造体
272,282 着色エンボス用ラッカー
285 金属層
286 マイクロ構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の第1認証特徴と、1個の第2認証特徴とを有する貴重品を保護するセキュリティ要素において、
前記第1認証特徴は、
(A) 第1グリッド内に配置された複数の焦点要素を有する第1装置と、
(B) 第2グリッド内に配置された複数の顕微鏡レベル構造体を有する第2装置と
を有し、
前記第1装置と第2装置は、前記第2装置の顕微鏡レベル構造体が、第1装置の焦点要素を通して見た時に拡大して見え、
前記第2認証特徴は、機械または目視により認証可能であり、前記第1認証特徴の第1装置により影響されない
ことを特徴とするセキュリティ要素。
【請求項2】
前記第1認証特徴の第1グリッドと第2グリッドは、一定の幾何学的関係を示す
ことを特徴とする請求項1記載のセキュリティ要素。
【請求項3】
前記第1認証特徴の第1グリッドと第2グリッドは、異なるライン・スクリーンを示す
ことを特徴とする請求項1あるいは2記載のセキュリティ要素。
【請求項4】
前記第1認証特徴の第1グリッドと第2グリッドは、同一のライン・スクリーンを示す
ことを特徴とする請求項1あるいは2記載のセキュリティ要素。
【請求項5】
前記第1認証特徴の第1グリッドと第2グリッドは、互いに回転して配置される
ことを特徴とする請求項4記載のセキュリティ要素。
【請求項6】
前記第1グリッドと第2グリッドのライン・スクリーンは、3μmと50μmの間にあり、好ましくは5μmと35μmの間にあり、さらに好ましくは10μmと20μmの間にある
ことを特徴とする請求項1−5の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項7】
前記第2認証特徴は、機械で読み取り可能な層を有する
ことを特徴とする請求項1−6の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項8】
前記機械で読み取り可能な層は、機械で読み取り可能な特徴物質である反射性物質、磁性物質、導電性物質、偏光性物質、位相シフト性物質、リン発光性物質、蛍光性物質、発光性物質を含む
ことを特徴とする請求項7記載のセキュリティ要素。
【請求項9】
前記第2認証特徴は、2次元の情報を含む
ことを特徴とする請求項1−8の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項10】
前記2次元の情報は、文字、パターン、符号の形態のモティーフ形成層を含むかあるいは文字、パターン、符号の形態の開口を示す
ことを特徴とする請求項9記載のセキュリティ要素。
【請求項11】
前記モティーフ形成層は、反射層、金属層、プリント層のいずれかを含む
ことを特徴とする請求項10記載のセキュリティ要素。
【請求項12】
前記反射層は、反射性薄膜フィルム要素により形成される
ことを特徴とする請求項11記載のセキュリティ要素。
【請求項13】
前記薄膜フィルム要素は、反射層と吸収層とそれらの間に配置された誘電体性スペース層とを有する
ことを特徴とする請求項12記載のセキュリティ要素。
【請求項14】
前記第1認証特徴の焦点要素は、レンズ形状要素である
ことを特徴とする請求項1−13の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項15】
前記第1認証特徴の第2装置の顕微鏡レベル構造体は、マイクロキャラクタ、あるいはマイクロパターンの形態で現れる
ことを特徴とする請求項1−14の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項16】
前記顕微鏡レベル構造体は、プリントされている
ことを特徴とする請求項1−15の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項17】
前記顕微鏡レベル構造体は、エンボスされたマイクロ構造体を含む
ことを特徴とする請求項1−16の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項18】
前記第1認証特徴の第1装置と第2装置は、第1装置の焦点要素と第2装置のエンボスされたマイクロ構造体が同一方向を向いた隆起部として形成されるよう配置される
ことを特徴とする請求項17記載のセキュリティ要素。
【請求項19】
前記エンボスされたマイクロ構造体は、球状カップ、非球状カップ、コーン、三角形ピラミッド、台形ピラミッド、切頭形状コーン、切頭形状ピラミッドの形態で現れるか、または文字、パターン、符号の形態のベース領域を示す
ことを特徴とする請求項17あるいは18記載のセキュリティ要素。
【請求項20】
前記エンボスされたマイクロ構造体は、着色エンボス用ラッカー、着色された不透明あるいは透明に着色されたエンボス用ラッカーにエンボスされる
ことを特徴とする請求項17−19の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項21】
前記着色されたエンボス用ラッカーは、色素を含む放射性硬化ラッカーである
ことを特徴とする請求項20記載のセキュリティ要素。
【請求項22】
前記エンボスされたマイクロ構造体は、着色されたキャリア基板上に配置される
ことを特徴とする請求項17−21の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項23】
前記第2装置の構造体の形成された側のエンボスされたマイクロ構造体に、不透明のコーティング層、金属層、不透明のインク層のいずれかを具備する
ことを特徴とする請求項20−22の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項24】
前記第1認証特徴と第2認証特徴は、見た目に2D/3Dの効果が形成されるように互いに向けられて配置される
ことを特徴とする請求項1−23の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項25】
前記顕微鏡レベル構造体は、反射層、好ましくは金属層でコーティングされたエンボスされたマイクロ構造体を含み、前記マイクロ構造体は、文字、パターン、符号の形態の開口を示すかあるいは文字、パターン、符号の形態で形成される
ことを特徴とする請求項1−24の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項26】
前記第1装置の焦点要素と、可能ならば第1装置のエンボスされたマイクロ構造体は、円形あるいは楕円形のベース領域を示す
ことを特徴とする請求項1−25の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項27】
前記第1装置は、異なるサイズの焦点要素とライン・スクリーンの組み合わせを含む
ことを特徴とする請求項1−26の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項28】
前記第1装置の焦点要素と/または前記第2装置の顕微鏡レベル構造体は、キャリア基板上に配置される
ことを特徴とする請求項1−27の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項29】
スペース層と/または接着層が、前記第1装置の焦点要素と第2装置の顕微鏡レベル構造体との間に配置される
ことを特徴とする請求項1−28の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項30】
前記第1装置の焦点要素は、保護層を具備し、
前記保護層の屈折率は、焦点要素の屈折率とは少なくとも0.3異なる
ことを特徴とする請求項1−29の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項31】
前記セキュリティ要素の全厚は、50μm未満である
ことを特徴とする請求項1−30の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項32】
前記セキュリティ要素は、セキュリティ・スレッド、ティア・ストリップ、セキュリティ・バンド、セキュリティ・ストリップ、パッチまたはラベルで証券、有価証券に追加される
ことを特徴とする請求項1−31の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項33】
第1認証特徴は、第1装置と第2装置の組み合わせにより形成され、
前記第1装置は、第2装置の上に配置され、前記第2装置の顕微鏡レベル構造体は、第1装置の焦点要素を介して見た時に拡大されるようになり、
前記第1装置は、第1グリッド内に現れる複数の焦点要素を有し、
前記第2装置は、第2グリッド内に現れる複数の顕微鏡レベル構造体を有し、
前記第1認証特徴は、少なくとも1個の第2認証特徴と組み合わされ、
前記第2認証特徴は、機械または目視で認証可能であり、前記第1認証特徴の第1装置には影響されない
ことを特徴とするセキュリティ要素の製造方法。
【請求項34】
前記第1認証特徴と第2認証特徴は、見た目に2D/3Dの効果が形成されるように互いに向けられて配置される
ことを特徴とする請求項33記載のセキュリティ要素の製造方法。
【請求項35】
前記顕微鏡レベル構造体は、エンボスされたマイクロ構造体を含む
ことを特徴とする請求項33あるいは34記載のセキュリティ要素の製造方法。
【請求項36】
前記エンボスされたマイクロ構造体は、着色エンボス用ラッカー、着色された不透明あるいは透明に着色されたエンボス用ラッカーにエンボスされる
ことを特徴とする請求項35記載のセキュリティ要素の製造方法。
【請求項37】
前記着色ラッカーは、
第1ステップで、キャリア基板に塗布され、
第2ステップで、異なる高さまたは深さの領域が形成されるようにエンボス・ダイでエンボスされる
ことを特徴とする請求項36記載のセキュリティ要素の製造方法。
【請求項38】
前記第2装置の構造体の形成された側のエンボスされたマイクロ構造体に、不透明のコーティング層、金属層、不透明のインク層のいずれかを具備する
ことを特徴とする請求項36あるいは37記載のセキュリティ要素の製造方法。
【請求項39】
前記マイクロ構造体は、反射層、好ましくは金属層でコーティングされ、前記マイクロ構造体は、文字、パターン、符号の形態の開口を示すかあるいは文字、パターン、符号の形態で形成される
ことを特徴とする請求項35−38の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項40】
スペース層と/または接着層が、前記第1装置の焦点要素と第2装置の顕微鏡レベル構造体との間に配置される
ことを特徴とする請求項33−39の少なくとも1つに記載のセキュリティ要素。
【請求項41】
請求項1−32の少なくとも1つの請求項のセキュリティ要素を具備した証券または有価証券(例えば、紙幣、小切手、識別カード、証書等)を製造する
ことを特徴とする証券。
【請求項42】
前記証券は、紙製またはプラスチック製のキャリア材料を含む
ことを特徴とする請求項41記載の証券。
【請求項43】
請求項1−32の少なくとも1つによるセキュリティ要素を有するブランド品、有価証券のような貴重品。
【請求項44】
前記セキュリティ要素は、貴重品のウインドウ領域に配置される
ことを特徴とする請求項43記載の貴重品。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図18c】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2008−529851(P2008−529851A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555503(P2007−555503)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001169
【国際公開番号】WO2006/087138
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(503404095)ギーゼッケ アンド デブリエント ゲーエムベーハー (5)