セラミックフィルタ装置

【課題】本発明は、チューブ型セラミックフィルタを用いたフィルタ装置において、逆洗運転における振動によってもシール性が損われず寿命の長いセラミックフィルタ装置を提供する。
【解決手段】高温、高圧ガスの不純物を取り除くように構成したセラミックフィルタ装置である。そのチューブ型セラミックフィルタ１は最下部が逆円錐形状に形成されると共に、同逆円錐形状に対応した逆円錐形状に形成された下部管板５側の孔にシール材８を介して自重でシール状態で受入れられて支持されている。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービンにクリーンなガスを供給するのに用いて好適な、チューブ型セラミックフィルタを用いたセラミックフィルタ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】流動床ボイラでは、ボイラで発生する燃焼ガスをガスタービンに送り再燃焼させるが、ガスタービンに送る前にサイクロンあるいはフィルタで燃焼ガス中の灰を除去する必要があり、ここにチューブ型セラミックフィルタが使われている。
【０００３】チューブ型セラミックフィルタを用いたセラミックフィルタ装置では、図２に示すように複数個のチューブ型セラミックフィルタ１が剛性パック２に納められ、それぞれのチューブ型セラミックフィルタ１は、図４〜図６のように上部管板３、中間管板４、下部管板５で保持、シールされる。
【０００４】灰を含む燃焼ガス６は、フィルタ１の上部から入り、チューブ型セラミックフィルタ１でろ過されたクリーンガスがクリーンガスダクト７を経由してガスタービンに送られる。
【０００５】剛性パック２は金属性であり、チューブ型セラミックフィルタ１との熱膨張係数の違いから一体成形はできない。そのため、チューブ型セラミックフィルタ１はシール材８を介して自立している。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】流動床ボイラに用いられるセラミックフィルタ装置におけるチューブ型セラミックフィルタ１には、使用するにつれてフィルタ表面に灰が付着し、圧損が増大してくる。その為、図３に示すように、逆洗用内筒９から定期的に通常運転時と反対方向にチューブ型セラミックフィルタ１に逆洗空気１０を供給し付着灰を除去する逆洗運転をする必要がある。逆洗時は、逆洗圧力を瞬間的にかけるため、チューブ型セラミックフィルタ１には逆洗空気による動圧や振動力等が作用する。
【０００７】チューブ型セラミックフィルタ１はフィルタ効果を発揮するには、表面積が大である必要があり、必然的に長い方が効果が良い。そのため、長いチューブ型セラミックフィルタ１は逆洗圧力を受けると振れ易い構造である。チューブ型セラミックフィルタ１は剛性パック２の中で自重により自立している。
【０００８】剛性パック２と接するチューブ型セラミックフィルタ１の最下部と最上部はシール材８によって燃焼ガスの漏れを防いでいる。特に下部管板５のシールはチューブ型セラミックフィルタ１が逆洗運転で振動することにより、自重を受けるシール材が擦れて摩耗しシール性が確保できないため、クリーンではない燃焼ガスがガスタービンに流れ込み損傷の原因となることがある。
【０００９】燃焼ガスは温度が約８５０度Ｃあり、剛性パックは熱伸びする。冷体時に振れ止め１１で動かないようにしても、燃焼ガスを通気すると熱伸びし、隙間ができてしまう。
【００１０】本発明は、チューブ型セラミックフィルタを用いたフィルタ装置において、逆洗運転における振動によってもシール性が損われず寿命の長いセラミックフィルタ装置を提供することを課題としている。
【００１１】
【課題を解決するための手段】本発明は、チューブ型セラミックフィルタを用い高温、高圧ガスの不純物を取り除くように構成したセラミックフィルタ装置における前記課題を解決するため、そのチューブ型セラミックフィルタの最下部を逆円錐形状に形成すると共に、同逆円錐形状に対応した逆円錐形状に形成された下部受け側の孔に自重でシール状態で受入れさせる。
【００１２】本発明によるセラミックフィルタ装置においては、そのチューブ型セラミックフィルタは剛性パックに貫通させておくのが好ましく、また、チューブ型セラミックフィルタの円錐状にした部分は十分な長さをとっておく。
【００１３】このように構成した本発明のセラミックフィルタ装置においては、チューブ型セラミックフィルタはその最下部の逆円錐形状部分が、下部受け側に形成された同様の逆円錐形状の孔に自重で嵌り込んでチューブの動きが最小限に押さえられるので、シール材は摩擦で摩耗する寿命を長くすることができる。
【００１４】チューブ型セラミックフィルタを支持している剛性パック下部受台は金属性であり、燃焼ガスが入ると熱伸びし、下部受台の孔の直径は大きくなる。孔の直径が増加するとチューブ型セラミックフィルタ最下部の円錐部は下部受台の孔の直径と一致するところまで自重でスベリ落ちるため常に隙間は生じない。冷体時は下部受台が収縮するが収縮の力でチューブ型セラミックフィルタは上方に押し上げられる。
【００１５】なお、収縮力でチューブ型セラミックフィルタが上方に押し上げられるための角度は６０〜７０度が最適である。また、チューブ型セラミックフィルタの下部は剛性パック下部に貫通させておき剛性パック下部のチューブ型セラミックフィルタと接する部分はチューブ型セラミックフィルタ最下部の円錐状と同一角度の円錐状にしておく。
【００１６】以上の構造によって下部は、従来品よりもより拘束力が強い構造となり逆洗圧がチューブ型セラミックフィルタに作用してチューブ型セラミックフィルタの下部はシール材が擦り切れる程にはうごかないためシール効果は保たれ常にクリーンガスが供給できる。
【００１７】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるセラミックフィルタ装置を図１に示した実施の一形態に基づいて具体的に説明する。図１においてセラミックフィルタ１は筒状であり、この内周側にボイラより排出された燃焼ガス６が送り込まれ、クリーンガスのみがセラミックフィルタ１の外周側に排出され、タービン等を駆動されるのに利用される。また、灰等の不純物はセラミックフィルタ１の内周側に捕捉される。
【００１８】先に、図２，図３により説明したように、上部管板３及び下部管板５には複数本のセラミックフィルタ１が挿入されているが、図１では省略して１本のみ図示してある。さらに管板は図示していないケーシングに固定されている。
【００１９】チューブ型セラミックフィルタ１の内径は従来と同じであるが、下部管板５に接する外径部分を逆円錐形状として角度をもたせ大きくする。その角度と一致するように下部管板５の孔にも逆円錐形状の角度をつける。セラミックフィルタ１は下部管板５を貫通させるような寸法にする。シール材８は下部管板５の孔の周囲を囲むような大きさにする。
【００２０】以上のようにすることにより、逆洗圧が加わってチューブ型セラミックフィルタ１が振動しても下部管板部は大きく振れない。大きく振れないならばシール材８の寿命、効果も増加し、信頼性が向上し、コストの低減になる。また、燃焼ガス６は高温であり下部管板５は熱伸びする。熱伸びすると下部管板とセラミックフィルタの間が狭くなり、益々シール効果がでてくる。
【００２１】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるセラミックフィルタ装置では、チューブ型セラミックフィルタは最下部が逆円錐形状に形成されると共に、同逆円錐形状に対応した逆円錐形状に形成された下部受け側の孔に自重でシール状態で受入れられているので、セラミックフィルタの逆洗時に逆洗圧が加わっても下部管板の逆円錐形状に形成された孔に支持されたチューブ型セラミックフィルタは、ほとんど振動せず、シール材の損傷もほとんどなく、シール効果が長く続き信頼性の向上、コスト低減になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の一形態に係るセラミックフィルタ装置におけるチューブ型セラミックフィルタを示す断面図。
【図２】セラミックフィルタ装置における通常運転時の状態を示す説明図。
【図３】セラミックフィルタ装置における逆洗運転時の状態を示す説明図。
【図４】従来のセラミックフィルタ装置における上部管板部を示す断面図。
【図５】従来のセラミックフィルタ装置における中間管板部を示す断面図。
【図６】従来のセラミックフィルタ装置における下部管板部を示す断面図。
【符号の説明】
１チューブ型セラミックフィルタ
２剛性パック
３上部管板
４中間管板
５下部管板
６燃焼ガス
７クリーンガスダクト
８シール材
９逆洗用内筒
１０逆洗空気
１１振れ止め

【特許請求の範囲】
【請求項１】チューブ型セラミックフィルタを用い高温、高圧ガスの不純物を取り除くように構成したセラミックフィルタ装置において、同チューブ型セラミックフィルタは最下部が逆円錐形状に形成されると共に、同逆円錐形状に対応した逆円錐形状に形成された下部受け側の孔に自重でシール状態で受入れられていることを特徴とするセラミックフィルタ装置。

【図１】