セラミックフィルタ
【課題】使用する原料等によらずに、製造上のスリットに起因する変形、クラック発生を防止出来、充分な透水性能を有するセラミックフィルタを提供すること。
【解決手段】筒状の多孔体の長手方向に形成された多数の平行な流通路を備え、その流通路に供給された被処理液体が外部空間に流出するように構成されるとともに、多孔体の長手方向に複数のスリット状の空隙部が設けられ、空隙部に連通した流通路の縁端部が封止されたセラミックフィルタである。このセラミックフィルタは、複数のスリット状の空隙部のそれぞれの空隙部の開口面積Sn(mm2)と、その開口面積Snの空隙部が受け持つ透水量Qn(m3/日 at 0.1MPa、25℃)と、の比Sn/Qnが、1.0以上であり、且つ、多孔体の長手方向の全長Loと、多孔体の長手方向の中央から複数のスリット状の空隙部の何れかの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に、全てのスリット状の空隙部が設けられているところに特徴がある。
【解決手段】筒状の多孔体の長手方向に形成された多数の平行な流通路を備え、その流通路に供給された被処理液体が外部空間に流出するように構成されるとともに、多孔体の長手方向に複数のスリット状の空隙部が設けられ、空隙部に連通した流通路の縁端部が封止されたセラミックフィルタである。このセラミックフィルタは、複数のスリット状の空隙部のそれぞれの空隙部の開口面積Sn(mm2)と、その開口面積Snの空隙部が受け持つ透水量Qn(m3/日 at 0.1MPa、25℃)と、の比Sn/Qnが、1.0以上であり、且つ、多孔体の長手方向の全長Loと、多孔体の長手方向の中央から複数のスリット状の空隙部の何れかの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に、全てのスリット状の空隙部が設けられているところに特徴がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状を呈し、その長手方向の所定の位置に所定の大きさで、スリット状の空隙部が設けられたセラミックフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックフィルタ(本明細書において単にフィルタともいう)は、高分子膜等と比較して、物理的強度・耐久性に優れるため信頼性が高いこと、耐食性にも優れること、濾過能力を決定する細孔径の精密な制御が可能であること、等において優れ、固液分離用のフィルタ等として有用なものである。通常、セラミックフィルタとしては、透水量を確保しつつ濾過性能を向上させる観点から、比較的大きい細孔を有するセラミック製の多孔体(本明細書において基材ともいう)の表面を、比較的小さい細孔を有するセラミック濾過膜で被覆したものが用いられる。
【0003】
図2はセラミックフィルタの一例を示す斜視図である。図2に示されるフィルタ21は、筒状体22の長手方向に多数の平行な流通路23が形成され、流通路23の内周面に濾過膜が形成された、いわゆるモノリス型のフィルタであり、単位体積当たりの濾過面積が大きく、濾過処理能力の高いセラミックフィルタである。
【0004】
近年、このようなモノリス型のフィルタの濾過処理能力を更に向上させるべく、大型化が図られている。ところが、流通路(本明細書においてセルともいう)に供給した被処理液体を濾過膜で濾過し、濾過液が多孔体の細孔を透過して外部空間に流出させる、というフィルタの構造に起因して、大型化しても、期待した程には濾過処理能力が向上しなかった。この原因は、モノリス型のフィルタにおいては、多孔体中心部近傍の流通路で濾過された濾過液程、多孔体外部に流出する際に大きな流動抵抗を受け、流動抵抗の小さい多孔体外周部近傍の流通路のみが濾過に使用されるので、実際に形成されている濾過膜の面積程には、実質的な濾過面積が大きくなっていないため、と考えられた。
【0005】
そこで、この様な問題に対応すべく、多孔体の長手方向に、スリット状の空隙部(本明細書において単にスリットともいう)を設けることにより、基材の中心部近傍の流通路からの透水量を増加せしめたセラミックフィルタが提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。これらのフィルタにおいては、基材の中心部近傍の流通路で濾過された濾過液が、スリットから、直接、外部空間に流出するため、濾過液が基材内部を透過する距離が短縮され、流動抵抗が小さくなる。従って、透水量は大幅に増加し、濾過処理能力が飛躍的に向上する。そのようなフィルタとして、例えば、図3(a)及び図3(b)、図4に示されるセラミックフィルタを例示することが出来る。
【0006】
しかしながら、図3(a)、図3(b)に示されるフィルタ31では、円筒状の基材32の長手方向の全長に渡って櫛形にスリット34が設けられているが、スリット34間の基材薄板部32aの一端を基材中心部32bで片持ち式に支持するため、押出成形やハンドリングの際の破損や乾燥・焼成時における応力集中による破損が防げず、事実上、製造が困難であった。又、図4に示されるフィルタ41は、円筒状の基材42の長手方向の両端部近傍にスリット44が設けられており、フィルタ31のように成形の際の破損はないものの、長手方向におけるスリットを設ける位置、開口面積に関し、規定されておらず、以下の2つの問題を生じていた。第1には、基材42のスリット44の長さが長く、長手方向のある範囲にスリットが設けられると焼成歪みにより変形し、クラックを生ずる場合があるという問題があった。第2には、スリット44の長さが短いと十分な透水性能が得られない、という問題があった。
【0007】
特許文献3には、スリットを設ける位置を基材の長手方向の中央部のみに限定したセラミックフィルタが提案されている。このセラミックフィルタは、スリットが基材縁端部ではなく長手方向の中央部に設けられており、スリットに起因する変形を防止出来ると考えられた。ところが、使用する原料や、同一の組成の原料であってもその調合割合が異なると、乾燥・焼成時に、基材の長手方向の中央部における変形が大きくなり、クラックを発生する原因になり易いことがわかってきた。
【特許文献1】特開平6−99039号公報
【特許文献2】特公平6−16819号公報
【特許文献3】特開2000−153117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、既述のような従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、使用する原料等によらずに、製造上のスリットに起因する変形、クラック発生を防止出来、充分な透水性能を有するセラミックフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の問題について、鋭意検討がなされ、研究が重ねられた結果、いわゆるモノリス型のフィルタにおいて、スリットの開口面積を特定し、且つ、スリットを設ける位置を特定することによって解決可能なことに想到し、本発明が完成した。
【0010】
即ち、本発明によれば、筒状の多孔体の長手方向に形成された多数の平行な流通路を備え、その流通路に供給された被処理液体が、多孔体の細孔を透過して、外部空間に流出するように構成されるとともに、多孔体の長手方向に複数のスリット状の空隙部が設けられ、空隙部に連通した流通路の縁端部が封止されたセラミックフィルタであって、複数のスリット状の空隙部のそれぞれの空隙部の開口面積Sn(mm2)と、その開口面積Snの空隙部が受け持つ透水量Qn(m3/日 at 0.1MPa、25℃)と、の比Sn/Qnが、1.0以上であり、且つ、多孔体の長手方向の全長Loと、多孔体の長手方向の中央から複数のスリット状の空隙部の何れかの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に、全てのスリット状の空隙部が設けられているセラミックフィルタが提供される。
【0011】
本発明のセラミックフィルタにおいては、スリット状の空隙部が、多孔体の長手方向の何れか片端側において、縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられることが好ましい。
【0012】
又、スリット状の空隙部が、多孔体の長手方向の両端側において、縁端部が封止された流通路の片側に連通して設けられることが好ましい。
【0013】
更に、スリット状の空隙部が、多孔体の長手方向の両端側において、縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられることが好ましい。
【0014】
本発明のセラミックフィルタにおいては、上記流通路の内周面に、上記多孔体の細孔に比して更に細孔径が小さい濾過膜が形成され、流通路に供給された被処理液体が、その濾過膜で濾過され、更に多孔体の細孔を透過して、外部空間に流出するように構成されていて、濾過膜が、少なくとも一層以上で形成されることが好ましい。十分な透水性能が確保され、且つ、所定の細孔径を持つフィルタにすることが出来るからである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のセラミックフィルタは、縁端部が封止された流通路に連通したスリット状の空隙部が複数設けられているので、基材中心部近傍の流通路で濾過された濾過液が空隙部から速やかに流出されフィルタ全体の透水量が増加し、濾過処理能力が飛躍的に向上している。その上、スリット状の空隙部が、その個々の開口面積においてそれぞれの空隙部が受け持つ透水量との関係で特定されているので、上記濾過処理能力が損なわれることがなく、且つ、基材の中央からの距離(設置位置)において全長との関係で特定されたものであるため、製造上のスリットに起因する変形、クラック発生を防止出来るフィルタとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、適宜、図面を参酌しながら説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者が通常備える知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は以下に記述される手段である。
【0017】
本発明のセラミックフィルタは、多数の細孔を有する筒状の多孔体の長手方向に多数の平行な流通路が形成された構造体であり、セルに供給した被処理液体が、基材の細孔を透過して外部空間に流出するように構成されている。本発明のフィルタにおける基材としては、細孔径が1〜数100μmの、比較的細孔径が大きい多孔体が使用される。フィルタの濾過機能は、専ら後述する基材表面に形成される濾過膜が果たすため、基材自体は細孔径を大きくし、フィルタの透水量を増加させることが好ましいからである。
【0018】
基材の材質としてはセラミックが用いられるが、その種類は特に限定されない。例えばアルミナ、チタニア、ムライト、ジルコニア、あるいはこれらの混合物等の中から被処理液体や洗浄薬液に対する耐食性、製造の容易さ、コスト等、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0019】
基材の形状としては、長手方向に垂直な断面の形状が円形、楕円形、長円形、三角形、四角形、等特に限定されないが、特に円形である円筒体が、押出成形がし易く、焼成変形が少なく、ハウジングとのシールがし易い点において好適である。
【0020】
基材のサイズは、特に限定されないが、基材が円筒体である場合には、外径50mmφ以上のものを特に好適に用いることが出来る。流動抵抗の問題は、基材が大型化し、基材中心部から外周部までの距離が長くなることにより発生するものであり、基材中心部から外周部までの距離が短い小型のフィルタでは殆ど問題を生じず、例えば50mmφ未満の基材であれば基材内の流動抵抗が問題となり難いため、スリットを設ける必要性が小さく、実益がないからである。より好ましい外径は100mmφ以上、更に好ましくは、外径が150〜200mmφのものである。基材の長手方向の全長としては、通常150〜2000mm程度のものが繁用される。より好ましい長手方向の全長は500mm以上、更に好ましくは長手方向の全長が1000〜2000mmのものである。尚、本明細書において、中心部(基材中心部)とは基材の短手方向(長手方向に概ね垂直な断面方向)の概ね中心部分を指し、外周部と相対的に表現されるものであって、この表現のみでその範囲は限定されない。中央部というときは基材の長手方向の概ね中央部分を指し、縁端部と相対的に表現されるものであって、この表現のみでその範囲は限定されないが、中央というときには基材の長手方向の1/2の位置を指し、この表現のみでその位置が限定される。
【0021】
基材として、長手方向に多数の平行なセルが形成された構造体である、所謂ハニカム構造体を使用することが出来る。そのセルの断面形状は特に限定されないが、膜表面に付着した固形物を逆洗浄で剥離除去し易い点においては円形が、基材の単位体積当たりの濾過面積を大きくとれる点においては四角形又は六角形が好ましい。セルの孔径については、単位体積当たりの濾過面積の確保、逆洗浄時における付着固形物の剥離し易さ、濾過液の基材中における透水抵抗の低減等の観点から被処理液体の性状(固形分濃度、固形分の大きさ、粘度等)にあった孔径を選択すればよい。例えば上水の濾過に使用する場合であれば1〜5mm程度であることが好ましい。又、基材の強度を確保するため、全てのセルの空隙容積が基材体積の80%以下であることが好ましい。
【0022】
本発明のセラミックフィルタは、好ましくは、セルの内周面に、基材の細孔に比して更に細孔径が小さい濾過膜が形成される。セルに供給した被処理液体は、先ずは濾過膜によって濾過され、更に基材の細孔を透過して外部空間に流出する。このようなセラミックフィルタは、平板状やチューブ状の濾過膜と比較して単位体積当たりの濾過面積が大きくなるので、濾過処理能力の高い点において優れている。濾過膜は、基材と同様にセラミックにより構成され、細孔径が数10μm以下の薄膜である。このような濾過膜は、基材内周面にセラミック粒子を含むスラリーを成膜し、焼成することにより基材に固着させることが可能である。又、濾過膜の細孔径はセラミック粒子の粒子径により制御することが出来る。セラミック粒子の種類は特に限定されず、例えばアルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、ムライト(Al2O3・SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、スピネル(MgO−Al2O3)、あるいは、それらの混合物等を用いることが出来る。粒子径が制御された原料が容易に入手可能であり、安定なスラリーを得ることが出来るから、耐食性が高い材質(例えばアルミナ等)を選んで、採用することが好ましい。セラミック粒子は、例えば、水等の分散媒中に分散し、必要に応じ有機バインダ、pH調製剤、界面活性剤等を添加することにより製膜用のスラリーとし、従来公知の方法、例えばディップ製膜法等を用いて基材内周面に成膜して乾燥し、更に得られた製膜体を1300℃程度の高温で焼成する等の方法によりフィルタとすることが出来る。
【0023】
本発明のセラミックフィルタは、いわゆるモノリス型の基材にスリット状の空隙部を設けたセラミックフィルタであって、スリット状の空隙部が、その個々の開口面積においてそれぞれの空隙部が受け持つ透水量との関係で特定され、且つ、その設置位置が基材の中央からの距離において全長との関係で特定されているところに特徴がある。即ち、本発明のフィルタは、基材の長手方向に、全長との関係で一定の範囲に限定される位置に、それぞれの空隙部が受け持つ透水量との関係で一定の範囲に限定される大きさのスリット状の空隙部が設けられたものである。この条件を満たす限りにおいては、スリットの形状、数、長さ、幅、位置は、特に限定されず、基材の強度、加工の容易さ等を考慮して適宜決定される。
【0024】
本発明のセラミックフィルタにおいて、スリットは、その個々の開口面積Sn(mm2)は、その開口面積Snのスリットが受け持つ透水量Qn(m3/日 at 0.1MPa、25℃)との比(Sn/Qn)が1.0以上になるように設けられる。スリットが受け持つ透水量、とは、セルに供給された被処理液体が濾過膜で濾過され基材の細孔を透過してそのスリットを経て外部空間に流出する、その流出水量を指す。
【0025】
図1は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。図1に示されるフィルタ11において、スリット14aの開口面積S1(mm2、スリット14aの長さ×幅)とスリット14aの受け持つ透水量Q1とがS1/Q1≧1.0を満たし、スリット14bの開口面積S2(mm2、スリット14bの長さ×幅)とスリット14bの受け持つ透水量Q2とがS2/Q2≧1.0を満たし、スリット14cの開口面積S3(mm2、スリット14cの長さ×幅)とスリット14cの受け持つ透水量Q3とが、S3/Q3≧1.0を満たし、同様に、全てのスリットにおいて開口面積Snと受け持ちの透水量Qnとの間に、Sn/Qn≧1.0が成立している。
【0026】
図12は、基材の全長Loが750mm、1000mm、1500mmの3ケースのセラミックフィルタにおいて、セラミックフィルタ全体の透水量Qo(m3/日 at 0.1MPa、25℃)と、開口面積Snと受け持ちの透水量Qnの比Sn/Qnと、の関係を表したグラフである。具体的には、このグラフは、以下のようにして作成されたものである。先ず、例えば全長Loが750mmであり複数のスリットの全てが十分に長いセラミックフィルタを用意し、このセラミックフィルタ全体の透水量Qoを測定し、受け持ちセル数から各スリットの透水量Qnを算出する。そして、このQnを基に、同じ全長の(同構成の)セラミックフィルタにおいて、全てのスリットにおいて、その開口面積SnがSn/Qn=0.2となるようにスリットを開口し、そのセラミックフィルタの全体の透水量Qoを測定する。同様にして、Sn/Qn=0.4、Sn/Qn=0.6、Sn/Qn=0.8、Sn/Qn=1.0、Sn/Qn=1.2、Sn/Qn=1.4、Sn/Qn=1.6、Sn/Qn=1.8となるように、それぞれスリットを開口し、そのときのセラミックフィルタ全体の透水量Qoをそれぞれ測定する。これをプロットすると、図12中のLo=750mmの曲線が得られる。図12中のLo=1000mmの曲線及びLo=1500mmの曲線も、上記手順に準じて得たものである。
【0027】
図12から明示されるように、基材の全長Loが750mm、1000mm、1500mmの3ケースのセラミックフィルタの全てにおいて、Sn/Qn≧1.0では、グラフ上の各曲線が水平になっており、これは、セラミックフィルタが有する透水性能がフルに発揮されていることを意味する。これに対して、Sn/Qn<1.0では、スリットの開口面積Snを大きくするに従って、即ちSn/Qnが大きくなるに従って、全体の透水量Qoが増加しており、これは、スリットが全体透水量を律速していることを意味する。従って、全てのスリットがSn/Qn≧1.0を満たすことにより、スリットの開口面積不足による濾過処理能力の損失が防止される。
【0028】
又、本発明のセラミックフィルタにおいて、全てのスリットは、基材の長手方向の全長Loと、その基材の長手方向の中央から複数のスリット状の空隙部の何れかの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に設けられる。
【0029】
図1に示されるフィルタ11において、基材12の長手方向の中央から最も近い位置に設けられたスリットはスリット14aであるから、距離D1は、基材12の長手方向の中央(図1中のAA断面の位置)からスリット14aの端部(図1中のBB断面の位置)までの最短距離D2の2倍の距離にあたり、基材の長手方向の全長Loとの関係において、D1/Lo≧0.5が成立している。尚、フィルタ11においては、距離D1は基材12の長手方向の両端側のスリットどうしの最短距離として表されているが、これは、フィルタ11において、スリットが基材の長手方向の両端側に対称に設けられているからであって、本発明のセラミックフィルタにおいては、複数のスリットが基材の長手方向の両端側に必ずしも対称に設けられる必要性はなく、距離D1は常に両端側のスリットどうしの最短距離を示すものではなく、距離D2の2倍が距離D1である。
【0030】
図5(b)は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図であり、図5(a)は、本発明の要件に外れる従来のセラミックフィルタの形態を示す斜視図である。図5(a)、図5(b)に示されるフィルタ51,52は、何れも同じ長さのスリットが複数設けられたものである。フィルタ52は、フィルタ11(図1参照)よりスリットの位置が基材の中央寄りであるが、D1/Lo≧0.5は満たしているため、製造時の焼成工程においてクラックが発生し難い。一方、フィルタ51では、スリットの位置が基材の中央に寄り過ぎ、D1/Lo≧0.5を満たしていないので、製造時の焼成工程においてクラックが発生し易い。
【0031】
表1は、基材の全長Loが750mm、1000mm、1500mmの3ケースのセラミックフィルタを、それぞれ複数のスリットの形成位置を変えて製造したときの、クラックの発生状況を示したものである。表1中において、○はクラック発生なし、×はクラック発生あり、を意味する。又、この例は、複数のスリットを、全て、同じ長さで同じ形成位置とした場合である。表1に示される結果から明らかなように、複数のスリットの全てが、基材の全長Loと、その基材の長手方向の中央から、その複数のスリットの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に設けられたセラミックフィルタでは、クラックが発生しておらず、D1/Loが、0.5未満になるような位置に設けられたセラミックフィルタでは、クラックが発生している。
【0032】
【表1】
【0033】
本発明のセラミックフィルタは、基材にスリットが設けられ、セルの一部を破断することになるため、濾過液に被処理液体が混入して汚染されないように、スリットと連通するセルは、縁端部(基材縁端の開口部)が気密的に封止される。セルの封止は、例えば基材と同一材料からなる目詰め部材をセルの縁端部に充填した後、基材の縁端面をガラス状物で被覆・焼成し、封止する方法等により行うことが出来る。目詰め部材と封止のための部材は同一材質(例えばガラス状物等)であってもよい。
【0034】
基材のスリットは、筒状体に対して放射状に設けることも考えられるが、複数のスリットが平行になるように設けることが好ましい。フィルタ内の各セルから外部空間までの距離がほぼ等しくなり、全てのセルの透水量がほぼ等しくなるからである。従って、フィルタ内の全てのセルを有効に活用し、且つ、均一に濾過をすることが可能となる。又、逆洗浄の際にも各セルに均一な逆圧力をかけることが可能となるため、均一な洗浄が出来、一部のセルが詰まるという事態を防止することが出来る。
【0035】
本発明のセラミックフィルタにおいて、限定されるものではないが、筒状の基材の長手方向に設けられる複数のスリットの長さが異なる態様が好ましい。特に、そのスリットに連通し縁端部が封止されたセルの基材の短手方向の長さが長い方(中心部近傍に通ずるスリット)から短い方(外周部近傍に通ずるスリット)へ向けて、スリットの長さが、徐々に短くなるように構成することが好ましい。
【0036】
図6は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態の一の終端部側を示す斜視図である。図6に示されるフィルタ61において、9つのスリットのうち中心部近傍に通ずる5つのスリットが長さT3で最も長く、外周部近傍に通ずるスリットの側に向けて、長さT2、長さT1と徐々に短くなっている。この態様が好ましい理由は、外周部側のスリットと中心部側のスリットでは受け持つセルの数が異なるため、各スリットの受け持つセルの数とスリット長さを均衡させることにより、ハンドリングの際などに最も破損し易い外周部側のスリットが短くなり、スリットを設けることに伴う強度低下の影響を最小限に止められるところにある。更に、外周部側のスリットが短い分だけ、焼成時の変形が抑制出来、スリット加工の手間も省ける。
【0037】
又、スリット状の空隙部の各端部はR形状とすることが好ましい。スリットに応力が作用した際に、スリットの縁の曲率の小さい部分からクラックが発生し易いが、これを抑制出来るからである。
【0038】
本発明のセラミックフィルタにおいては、スリットが、基材の長手方向の何れか片端側に設けられてもよく、両端側に設けられていてもよい。又、スリットが、縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられていてもよく、片側に連通して設けられていてもよい。
【0039】
図7は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。図10は、図7及び図9に示されるセラミックフィルタ71,91(フィルタ91は後述する)におけるスリット74,94が形成された部分において、基材72,92の長手方向に垂直な断面を示す図である。図7に示されるフィルタ71は、スリット74が、基材72の長手方向の片端側(図中の左側)に設けられ、縁端部が封止されたセルの両側に連通している(図10参照)。即ち、図中に表れるスリット74の他に、それぞれ同じセルに連通するスリットが、図中に表れない裏側にも設けられている。
【0040】
図8は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。図11は、図8に示されるセラミックフィルタ81におけるスリット84が形成された部分において、基材82の長手方向に垂直な断面を示す図である。図8に示されるフィルタ81は、スリット84が、基材82の長手方向の両端側(図中の左右両側)に設けられ、縁端部が封止されたセルの片側に連通している(図11参照)。即ち、スリットは、図中に表れるスリット84のみであって、その他に図中に表れない裏側には存在しない。
【0041】
図9は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。図9に示されるフィルタ91は、スリット94が、基材92の長手方向の両端側(図中の左右両側)に設けられ、縁端部が封止されたセルの両側に連通している(図10参照)。即ち、図中に表れるスリット94の他に、それぞれ同じセルに連通するスリットが、図中に表れない裏側にも設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のセラミックフィルタは、例えば、水処理、医薬、食品等の分野において、液体中の懸濁物質、細菌、粉塵等を除去するための各種フィルタとして、好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】セラミックフィルタの一例であるモノリス型のフィルタを示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、従来のセラミックフィルタの一例を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)におけるAA’断面を示す図である。
【図4】従来のセラミックフィルタの他例を示す斜視図である。
【図5】図5(a)は、従来のセラミックフィルタの一例を示す斜視図であり、図5(b)は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明のセラミックフィルタの一実施形態の、一の終端部側を示す斜視図である。
【図7】本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図9】本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図10】図7及び図9に示されるセラミックフィルタにおけるスリットが形成された部分において、基材の長手方向に垂直な断面を示す図である。
【図11】図8に示されるセラミックフィルタにおけるスリットが形成された部分において、基材の長手方向に垂直な断面を示す図である。
【図12】セラミックフィルタ全体の透水量Qoと、開口面積Snと受け持ちの透水量Qnの比Sn/Qnと、の関係を表したグラフである。
【符号の説明】
【0044】
11,21,31,41,51,52,61,71,81,91…フィルタ、12,22,42,72,82,92…基材、14a,14b,14c,74,84,94…スリット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状を呈し、その長手方向の所定の位置に所定の大きさで、スリット状の空隙部が設けられたセラミックフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックフィルタ(本明細書において単にフィルタともいう)は、高分子膜等と比較して、物理的強度・耐久性に優れるため信頼性が高いこと、耐食性にも優れること、濾過能力を決定する細孔径の精密な制御が可能であること、等において優れ、固液分離用のフィルタ等として有用なものである。通常、セラミックフィルタとしては、透水量を確保しつつ濾過性能を向上させる観点から、比較的大きい細孔を有するセラミック製の多孔体(本明細書において基材ともいう)の表面を、比較的小さい細孔を有するセラミック濾過膜で被覆したものが用いられる。
【0003】
図2はセラミックフィルタの一例を示す斜視図である。図2に示されるフィルタ21は、筒状体22の長手方向に多数の平行な流通路23が形成され、流通路23の内周面に濾過膜が形成された、いわゆるモノリス型のフィルタであり、単位体積当たりの濾過面積が大きく、濾過処理能力の高いセラミックフィルタである。
【0004】
近年、このようなモノリス型のフィルタの濾過処理能力を更に向上させるべく、大型化が図られている。ところが、流通路(本明細書においてセルともいう)に供給した被処理液体を濾過膜で濾過し、濾過液が多孔体の細孔を透過して外部空間に流出させる、というフィルタの構造に起因して、大型化しても、期待した程には濾過処理能力が向上しなかった。この原因は、モノリス型のフィルタにおいては、多孔体中心部近傍の流通路で濾過された濾過液程、多孔体外部に流出する際に大きな流動抵抗を受け、流動抵抗の小さい多孔体外周部近傍の流通路のみが濾過に使用されるので、実際に形成されている濾過膜の面積程には、実質的な濾過面積が大きくなっていないため、と考えられた。
【0005】
そこで、この様な問題に対応すべく、多孔体の長手方向に、スリット状の空隙部(本明細書において単にスリットともいう)を設けることにより、基材の中心部近傍の流通路からの透水量を増加せしめたセラミックフィルタが提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。これらのフィルタにおいては、基材の中心部近傍の流通路で濾過された濾過液が、スリットから、直接、外部空間に流出するため、濾過液が基材内部を透過する距離が短縮され、流動抵抗が小さくなる。従って、透水量は大幅に増加し、濾過処理能力が飛躍的に向上する。そのようなフィルタとして、例えば、図3(a)及び図3(b)、図4に示されるセラミックフィルタを例示することが出来る。
【0006】
しかしながら、図3(a)、図3(b)に示されるフィルタ31では、円筒状の基材32の長手方向の全長に渡って櫛形にスリット34が設けられているが、スリット34間の基材薄板部32aの一端を基材中心部32bで片持ち式に支持するため、押出成形やハンドリングの際の破損や乾燥・焼成時における応力集中による破損が防げず、事実上、製造が困難であった。又、図4に示されるフィルタ41は、円筒状の基材42の長手方向の両端部近傍にスリット44が設けられており、フィルタ31のように成形の際の破損はないものの、長手方向におけるスリットを設ける位置、開口面積に関し、規定されておらず、以下の2つの問題を生じていた。第1には、基材42のスリット44の長さが長く、長手方向のある範囲にスリットが設けられると焼成歪みにより変形し、クラックを生ずる場合があるという問題があった。第2には、スリット44の長さが短いと十分な透水性能が得られない、という問題があった。
【0007】
特許文献3には、スリットを設ける位置を基材の長手方向の中央部のみに限定したセラミックフィルタが提案されている。このセラミックフィルタは、スリットが基材縁端部ではなく長手方向の中央部に設けられており、スリットに起因する変形を防止出来ると考えられた。ところが、使用する原料や、同一の組成の原料であってもその調合割合が異なると、乾燥・焼成時に、基材の長手方向の中央部における変形が大きくなり、クラックを発生する原因になり易いことがわかってきた。
【特許文献1】特開平6−99039号公報
【特許文献2】特公平6−16819号公報
【特許文献3】特開2000−153117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、既述のような従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、使用する原料等によらずに、製造上のスリットに起因する変形、クラック発生を防止出来、充分な透水性能を有するセラミックフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の問題について、鋭意検討がなされ、研究が重ねられた結果、いわゆるモノリス型のフィルタにおいて、スリットの開口面積を特定し、且つ、スリットを設ける位置を特定することによって解決可能なことに想到し、本発明が完成した。
【0010】
即ち、本発明によれば、筒状の多孔体の長手方向に形成された多数の平行な流通路を備え、その流通路に供給された被処理液体が、多孔体の細孔を透過して、外部空間に流出するように構成されるとともに、多孔体の長手方向に複数のスリット状の空隙部が設けられ、空隙部に連通した流通路の縁端部が封止されたセラミックフィルタであって、複数のスリット状の空隙部のそれぞれの空隙部の開口面積Sn(mm2)と、その開口面積Snの空隙部が受け持つ透水量Qn(m3/日 at 0.1MPa、25℃)と、の比Sn/Qnが、1.0以上であり、且つ、多孔体の長手方向の全長Loと、多孔体の長手方向の中央から複数のスリット状の空隙部の何れかの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に、全てのスリット状の空隙部が設けられているセラミックフィルタが提供される。
【0011】
本発明のセラミックフィルタにおいては、スリット状の空隙部が、多孔体の長手方向の何れか片端側において、縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられることが好ましい。
【0012】
又、スリット状の空隙部が、多孔体の長手方向の両端側において、縁端部が封止された流通路の片側に連通して設けられることが好ましい。
【0013】
更に、スリット状の空隙部が、多孔体の長手方向の両端側において、縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられることが好ましい。
【0014】
本発明のセラミックフィルタにおいては、上記流通路の内周面に、上記多孔体の細孔に比して更に細孔径が小さい濾過膜が形成され、流通路に供給された被処理液体が、その濾過膜で濾過され、更に多孔体の細孔を透過して、外部空間に流出するように構成されていて、濾過膜が、少なくとも一層以上で形成されることが好ましい。十分な透水性能が確保され、且つ、所定の細孔径を持つフィルタにすることが出来るからである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のセラミックフィルタは、縁端部が封止された流通路に連通したスリット状の空隙部が複数設けられているので、基材中心部近傍の流通路で濾過された濾過液が空隙部から速やかに流出されフィルタ全体の透水量が増加し、濾過処理能力が飛躍的に向上している。その上、スリット状の空隙部が、その個々の開口面積においてそれぞれの空隙部が受け持つ透水量との関係で特定されているので、上記濾過処理能力が損なわれることがなく、且つ、基材の中央からの距離(設置位置)において全長との関係で特定されたものであるため、製造上のスリットに起因する変形、クラック発生を防止出来るフィルタとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、適宜、図面を参酌しながら説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者が通常備える知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は以下に記述される手段である。
【0017】
本発明のセラミックフィルタは、多数の細孔を有する筒状の多孔体の長手方向に多数の平行な流通路が形成された構造体であり、セルに供給した被処理液体が、基材の細孔を透過して外部空間に流出するように構成されている。本発明のフィルタにおける基材としては、細孔径が1〜数100μmの、比較的細孔径が大きい多孔体が使用される。フィルタの濾過機能は、専ら後述する基材表面に形成される濾過膜が果たすため、基材自体は細孔径を大きくし、フィルタの透水量を増加させることが好ましいからである。
【0018】
基材の材質としてはセラミックが用いられるが、その種類は特に限定されない。例えばアルミナ、チタニア、ムライト、ジルコニア、あるいはこれらの混合物等の中から被処理液体や洗浄薬液に対する耐食性、製造の容易さ、コスト等、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0019】
基材の形状としては、長手方向に垂直な断面の形状が円形、楕円形、長円形、三角形、四角形、等特に限定されないが、特に円形である円筒体が、押出成形がし易く、焼成変形が少なく、ハウジングとのシールがし易い点において好適である。
【0020】
基材のサイズは、特に限定されないが、基材が円筒体である場合には、外径50mmφ以上のものを特に好適に用いることが出来る。流動抵抗の問題は、基材が大型化し、基材中心部から外周部までの距離が長くなることにより発生するものであり、基材中心部から外周部までの距離が短い小型のフィルタでは殆ど問題を生じず、例えば50mmφ未満の基材であれば基材内の流動抵抗が問題となり難いため、スリットを設ける必要性が小さく、実益がないからである。より好ましい外径は100mmφ以上、更に好ましくは、外径が150〜200mmφのものである。基材の長手方向の全長としては、通常150〜2000mm程度のものが繁用される。より好ましい長手方向の全長は500mm以上、更に好ましくは長手方向の全長が1000〜2000mmのものである。尚、本明細書において、中心部(基材中心部)とは基材の短手方向(長手方向に概ね垂直な断面方向)の概ね中心部分を指し、外周部と相対的に表現されるものであって、この表現のみでその範囲は限定されない。中央部というときは基材の長手方向の概ね中央部分を指し、縁端部と相対的に表現されるものであって、この表現のみでその範囲は限定されないが、中央というときには基材の長手方向の1/2の位置を指し、この表現のみでその位置が限定される。
【0021】
基材として、長手方向に多数の平行なセルが形成された構造体である、所謂ハニカム構造体を使用することが出来る。そのセルの断面形状は特に限定されないが、膜表面に付着した固形物を逆洗浄で剥離除去し易い点においては円形が、基材の単位体積当たりの濾過面積を大きくとれる点においては四角形又は六角形が好ましい。セルの孔径については、単位体積当たりの濾過面積の確保、逆洗浄時における付着固形物の剥離し易さ、濾過液の基材中における透水抵抗の低減等の観点から被処理液体の性状(固形分濃度、固形分の大きさ、粘度等)にあった孔径を選択すればよい。例えば上水の濾過に使用する場合であれば1〜5mm程度であることが好ましい。又、基材の強度を確保するため、全てのセルの空隙容積が基材体積の80%以下であることが好ましい。
【0022】
本発明のセラミックフィルタは、好ましくは、セルの内周面に、基材の細孔に比して更に細孔径が小さい濾過膜が形成される。セルに供給した被処理液体は、先ずは濾過膜によって濾過され、更に基材の細孔を透過して外部空間に流出する。このようなセラミックフィルタは、平板状やチューブ状の濾過膜と比較して単位体積当たりの濾過面積が大きくなるので、濾過処理能力の高い点において優れている。濾過膜は、基材と同様にセラミックにより構成され、細孔径が数10μm以下の薄膜である。このような濾過膜は、基材内周面にセラミック粒子を含むスラリーを成膜し、焼成することにより基材に固着させることが可能である。又、濾過膜の細孔径はセラミック粒子の粒子径により制御することが出来る。セラミック粒子の種類は特に限定されず、例えばアルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、ムライト(Al2O3・SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、スピネル(MgO−Al2O3)、あるいは、それらの混合物等を用いることが出来る。粒子径が制御された原料が容易に入手可能であり、安定なスラリーを得ることが出来るから、耐食性が高い材質(例えばアルミナ等)を選んで、採用することが好ましい。セラミック粒子は、例えば、水等の分散媒中に分散し、必要に応じ有機バインダ、pH調製剤、界面活性剤等を添加することにより製膜用のスラリーとし、従来公知の方法、例えばディップ製膜法等を用いて基材内周面に成膜して乾燥し、更に得られた製膜体を1300℃程度の高温で焼成する等の方法によりフィルタとすることが出来る。
【0023】
本発明のセラミックフィルタは、いわゆるモノリス型の基材にスリット状の空隙部を設けたセラミックフィルタであって、スリット状の空隙部が、その個々の開口面積においてそれぞれの空隙部が受け持つ透水量との関係で特定され、且つ、その設置位置が基材の中央からの距離において全長との関係で特定されているところに特徴がある。即ち、本発明のフィルタは、基材の長手方向に、全長との関係で一定の範囲に限定される位置に、それぞれの空隙部が受け持つ透水量との関係で一定の範囲に限定される大きさのスリット状の空隙部が設けられたものである。この条件を満たす限りにおいては、スリットの形状、数、長さ、幅、位置は、特に限定されず、基材の強度、加工の容易さ等を考慮して適宜決定される。
【0024】
本発明のセラミックフィルタにおいて、スリットは、その個々の開口面積Sn(mm2)は、その開口面積Snのスリットが受け持つ透水量Qn(m3/日 at 0.1MPa、25℃)との比(Sn/Qn)が1.0以上になるように設けられる。スリットが受け持つ透水量、とは、セルに供給された被処理液体が濾過膜で濾過され基材の細孔を透過してそのスリットを経て外部空間に流出する、その流出水量を指す。
【0025】
図1は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。図1に示されるフィルタ11において、スリット14aの開口面積S1(mm2、スリット14aの長さ×幅)とスリット14aの受け持つ透水量Q1とがS1/Q1≧1.0を満たし、スリット14bの開口面積S2(mm2、スリット14bの長さ×幅)とスリット14bの受け持つ透水量Q2とがS2/Q2≧1.0を満たし、スリット14cの開口面積S3(mm2、スリット14cの長さ×幅)とスリット14cの受け持つ透水量Q3とが、S3/Q3≧1.0を満たし、同様に、全てのスリットにおいて開口面積Snと受け持ちの透水量Qnとの間に、Sn/Qn≧1.0が成立している。
【0026】
図12は、基材の全長Loが750mm、1000mm、1500mmの3ケースのセラミックフィルタにおいて、セラミックフィルタ全体の透水量Qo(m3/日 at 0.1MPa、25℃)と、開口面積Snと受け持ちの透水量Qnの比Sn/Qnと、の関係を表したグラフである。具体的には、このグラフは、以下のようにして作成されたものである。先ず、例えば全長Loが750mmであり複数のスリットの全てが十分に長いセラミックフィルタを用意し、このセラミックフィルタ全体の透水量Qoを測定し、受け持ちセル数から各スリットの透水量Qnを算出する。そして、このQnを基に、同じ全長の(同構成の)セラミックフィルタにおいて、全てのスリットにおいて、その開口面積SnがSn/Qn=0.2となるようにスリットを開口し、そのセラミックフィルタの全体の透水量Qoを測定する。同様にして、Sn/Qn=0.4、Sn/Qn=0.6、Sn/Qn=0.8、Sn/Qn=1.0、Sn/Qn=1.2、Sn/Qn=1.4、Sn/Qn=1.6、Sn/Qn=1.8となるように、それぞれスリットを開口し、そのときのセラミックフィルタ全体の透水量Qoをそれぞれ測定する。これをプロットすると、図12中のLo=750mmの曲線が得られる。図12中のLo=1000mmの曲線及びLo=1500mmの曲線も、上記手順に準じて得たものである。
【0027】
図12から明示されるように、基材の全長Loが750mm、1000mm、1500mmの3ケースのセラミックフィルタの全てにおいて、Sn/Qn≧1.0では、グラフ上の各曲線が水平になっており、これは、セラミックフィルタが有する透水性能がフルに発揮されていることを意味する。これに対して、Sn/Qn<1.0では、スリットの開口面積Snを大きくするに従って、即ちSn/Qnが大きくなるに従って、全体の透水量Qoが増加しており、これは、スリットが全体透水量を律速していることを意味する。従って、全てのスリットがSn/Qn≧1.0を満たすことにより、スリットの開口面積不足による濾過処理能力の損失が防止される。
【0028】
又、本発明のセラミックフィルタにおいて、全てのスリットは、基材の長手方向の全長Loと、その基材の長手方向の中央から複数のスリット状の空隙部の何れかの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に設けられる。
【0029】
図1に示されるフィルタ11において、基材12の長手方向の中央から最も近い位置に設けられたスリットはスリット14aであるから、距離D1は、基材12の長手方向の中央(図1中のAA断面の位置)からスリット14aの端部(図1中のBB断面の位置)までの最短距離D2の2倍の距離にあたり、基材の長手方向の全長Loとの関係において、D1/Lo≧0.5が成立している。尚、フィルタ11においては、距離D1は基材12の長手方向の両端側のスリットどうしの最短距離として表されているが、これは、フィルタ11において、スリットが基材の長手方向の両端側に対称に設けられているからであって、本発明のセラミックフィルタにおいては、複数のスリットが基材の長手方向の両端側に必ずしも対称に設けられる必要性はなく、距離D1は常に両端側のスリットどうしの最短距離を示すものではなく、距離D2の2倍が距離D1である。
【0030】
図5(b)は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図であり、図5(a)は、本発明の要件に外れる従来のセラミックフィルタの形態を示す斜視図である。図5(a)、図5(b)に示されるフィルタ51,52は、何れも同じ長さのスリットが複数設けられたものである。フィルタ52は、フィルタ11(図1参照)よりスリットの位置が基材の中央寄りであるが、D1/Lo≧0.5は満たしているため、製造時の焼成工程においてクラックが発生し難い。一方、フィルタ51では、スリットの位置が基材の中央に寄り過ぎ、D1/Lo≧0.5を満たしていないので、製造時の焼成工程においてクラックが発生し易い。
【0031】
表1は、基材の全長Loが750mm、1000mm、1500mmの3ケースのセラミックフィルタを、それぞれ複数のスリットの形成位置を変えて製造したときの、クラックの発生状況を示したものである。表1中において、○はクラック発生なし、×はクラック発生あり、を意味する。又、この例は、複数のスリットを、全て、同じ長さで同じ形成位置とした場合である。表1に示される結果から明らかなように、複数のスリットの全てが、基材の全長Loと、その基材の長手方向の中央から、その複数のスリットの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に設けられたセラミックフィルタでは、クラックが発生しておらず、D1/Loが、0.5未満になるような位置に設けられたセラミックフィルタでは、クラックが発生している。
【0032】
【表1】
【0033】
本発明のセラミックフィルタは、基材にスリットが設けられ、セルの一部を破断することになるため、濾過液に被処理液体が混入して汚染されないように、スリットと連通するセルは、縁端部(基材縁端の開口部)が気密的に封止される。セルの封止は、例えば基材と同一材料からなる目詰め部材をセルの縁端部に充填した後、基材の縁端面をガラス状物で被覆・焼成し、封止する方法等により行うことが出来る。目詰め部材と封止のための部材は同一材質(例えばガラス状物等)であってもよい。
【0034】
基材のスリットは、筒状体に対して放射状に設けることも考えられるが、複数のスリットが平行になるように設けることが好ましい。フィルタ内の各セルから外部空間までの距離がほぼ等しくなり、全てのセルの透水量がほぼ等しくなるからである。従って、フィルタ内の全てのセルを有効に活用し、且つ、均一に濾過をすることが可能となる。又、逆洗浄の際にも各セルに均一な逆圧力をかけることが可能となるため、均一な洗浄が出来、一部のセルが詰まるという事態を防止することが出来る。
【0035】
本発明のセラミックフィルタにおいて、限定されるものではないが、筒状の基材の長手方向に設けられる複数のスリットの長さが異なる態様が好ましい。特に、そのスリットに連通し縁端部が封止されたセルの基材の短手方向の長さが長い方(中心部近傍に通ずるスリット)から短い方(外周部近傍に通ずるスリット)へ向けて、スリットの長さが、徐々に短くなるように構成することが好ましい。
【0036】
図6は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態の一の終端部側を示す斜視図である。図6に示されるフィルタ61において、9つのスリットのうち中心部近傍に通ずる5つのスリットが長さT3で最も長く、外周部近傍に通ずるスリットの側に向けて、長さT2、長さT1と徐々に短くなっている。この態様が好ましい理由は、外周部側のスリットと中心部側のスリットでは受け持つセルの数が異なるため、各スリットの受け持つセルの数とスリット長さを均衡させることにより、ハンドリングの際などに最も破損し易い外周部側のスリットが短くなり、スリットを設けることに伴う強度低下の影響を最小限に止められるところにある。更に、外周部側のスリットが短い分だけ、焼成時の変形が抑制出来、スリット加工の手間も省ける。
【0037】
又、スリット状の空隙部の各端部はR形状とすることが好ましい。スリットに応力が作用した際に、スリットの縁の曲率の小さい部分からクラックが発生し易いが、これを抑制出来るからである。
【0038】
本発明のセラミックフィルタにおいては、スリットが、基材の長手方向の何れか片端側に設けられてもよく、両端側に設けられていてもよい。又、スリットが、縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられていてもよく、片側に連通して設けられていてもよい。
【0039】
図7は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。図10は、図7及び図9に示されるセラミックフィルタ71,91(フィルタ91は後述する)におけるスリット74,94が形成された部分において、基材72,92の長手方向に垂直な断面を示す図である。図7に示されるフィルタ71は、スリット74が、基材72の長手方向の片端側(図中の左側)に設けられ、縁端部が封止されたセルの両側に連通している(図10参照)。即ち、図中に表れるスリット74の他に、それぞれ同じセルに連通するスリットが、図中に表れない裏側にも設けられている。
【0040】
図8は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。図11は、図8に示されるセラミックフィルタ81におけるスリット84が形成された部分において、基材82の長手方向に垂直な断面を示す図である。図8に示されるフィルタ81は、スリット84が、基材82の長手方向の両端側(図中の左右両側)に設けられ、縁端部が封止されたセルの片側に連通している(図11参照)。即ち、スリットは、図中に表れるスリット84のみであって、その他に図中に表れない裏側には存在しない。
【0041】
図9は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。図9に示されるフィルタ91は、スリット94が、基材92の長手方向の両端側(図中の左右両側)に設けられ、縁端部が封止されたセルの両側に連通している(図10参照)。即ち、図中に表れるスリット94の他に、それぞれ同じセルに連通するスリットが、図中に表れない裏側にも設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のセラミックフィルタは、例えば、水処理、医薬、食品等の分野において、液体中の懸濁物質、細菌、粉塵等を除去するための各種フィルタとして、好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】セラミックフィルタの一例であるモノリス型のフィルタを示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、従来のセラミックフィルタの一例を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)におけるAA’断面を示す図である。
【図4】従来のセラミックフィルタの他例を示す斜視図である。
【図5】図5(a)は、従来のセラミックフィルタの一例を示す斜視図であり、図5(b)は、本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明のセラミックフィルタの一実施形態の、一の終端部側を示す斜視図である。
【図7】本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図9】本発明のセラミックフィルタの一実施形態を示す斜視図である。
【図10】図7及び図9に示されるセラミックフィルタにおけるスリットが形成された部分において、基材の長手方向に垂直な断面を示す図である。
【図11】図8に示されるセラミックフィルタにおけるスリットが形成された部分において、基材の長手方向に垂直な断面を示す図である。
【図12】セラミックフィルタ全体の透水量Qoと、開口面積Snと受け持ちの透水量Qnの比Sn/Qnと、の関係を表したグラフである。
【符号の説明】
【0044】
11,21,31,41,51,52,61,71,81,91…フィルタ、12,22,42,72,82,92…基材、14a,14b,14c,74,84,94…スリット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の多孔体の長手方向に形成された多数の平行な流通路を備え、前記流通路に供給された被処理液体が、前記多孔体の細孔を透過して、外部空間に流出するように構成されるとともに、前記多孔体の長手方向に複数のスリット状の空隙部が設けられ、前記空隙部に連通した流通路の縁端部が封止されたセラミックフィルタであって、
前記複数のスリット状の空隙部のそれぞれの空隙部の開口面積Sn(mm2)と、前記開口面積Snの空隙部が受け持つ透水量Qn(m3/日 at 0.1MPa、25℃)と、の比Sn/Qnが、1.0以上であり、且つ、
前記多孔体の長手方向の全長Loと、前記多孔体の長手方向の中央から前記複数のスリット状の空隙部の何れかの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に、全ての前記スリット状の空隙部が設けられているセラミックフィルタ。
【請求項2】
前記スリット状の空隙部が、前記多孔体の長手方向の何れか片端側において、前記縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられる請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項3】
前記スリット状の空隙部が、前記多孔体の長手方向の両端側において、前記縁端部が封止された流通路の片側に連通して設けられる請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項4】
前記スリット状の空隙部が、前記多孔体の長手方向の両端側において、前記縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられる請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項5】
前記流通路を備え、その内周面に、前記多孔体の細孔に比して更に細孔径が小さい濾過膜が形成され、前記流通路に供給された被処理液体が前記濾過膜で濾過され、更に前記多孔体の細孔を透過して、外部空間に流出するように構成された請求項1〜4の何れか一項に記載のセラミックフィルタであって、
前記濾過膜が、少なくとも一層以上で形成されるセラミックフィルタ。
【請求項1】
筒状の多孔体の長手方向に形成された多数の平行な流通路を備え、前記流通路に供給された被処理液体が、前記多孔体の細孔を透過して、外部空間に流出するように構成されるとともに、前記多孔体の長手方向に複数のスリット状の空隙部が設けられ、前記空隙部に連通した流通路の縁端部が封止されたセラミックフィルタであって、
前記複数のスリット状の空隙部のそれぞれの空隙部の開口面積Sn(mm2)と、前記開口面積Snの空隙部が受け持つ透水量Qn(m3/日 at 0.1MPa、25℃)と、の比Sn/Qnが、1.0以上であり、且つ、
前記多孔体の長手方向の全長Loと、前記多孔体の長手方向の中央から前記複数のスリット状の空隙部の何れかの端部までの最短距離の2倍の距離D1と、の比D1/Loが、0.5以上になるような位置に、全ての前記スリット状の空隙部が設けられているセラミックフィルタ。
【請求項2】
前記スリット状の空隙部が、前記多孔体の長手方向の何れか片端側において、前記縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられる請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項3】
前記スリット状の空隙部が、前記多孔体の長手方向の両端側において、前記縁端部が封止された流通路の片側に連通して設けられる請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項4】
前記スリット状の空隙部が、前記多孔体の長手方向の両端側において、前記縁端部が封止された流通路の両側に連通して設けられる請求項1に記載のセラミックフィルタ。
【請求項5】
前記流通路を備え、その内周面に、前記多孔体の細孔に比して更に細孔径が小さい濾過膜が形成され、前記流通路に供給された被処理液体が前記濾過膜で濾過され、更に前記多孔体の細孔を透過して、外部空間に流出するように構成された請求項1〜4の何れか一項に記載のセラミックフィルタであって、
前記濾過膜が、少なくとも一層以上で形成されるセラミックフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−6998(P2006−6998A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183413(P2004−183413)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
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