説明

セラミック中空糸アセンブリ、その製造方法およびその使用

本発明は、気体または液体輸送セラミックス材料から得られる少なくとも1種の中空糸を含み、この外表面が、同種のまたは異なる中空糸の外表面と接触しており、この接触部位は焼結により結合されているアセンブリに関する。さらなるアセンブリは、気体または液体輸送セラミックス材料と、少なくとも一方の端面に流体の導入または除去のための接続要素とを含み、ここで、前記中空糸は、焼結により前記接続要素と結合している。前記アセンブリは、気体混合物からの気体の回収に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体および気体濾過、気体分離(酸素分離を除く)のような高温用途に特に適し、特に高い安定性を有するセラミック中空糸から得られるアセンブリに関する。
【0002】
セラミック中空糸自体は既に知られている。その製造方法は例えば、米国特許公開第4,222,977号または米国特許公開第5,707,584号に記載されている。
【0003】
S. Uu, X. Tan, K. Li および R. Hughesは、SrCe0.95Yb0.05O2.975からなるセラミック膜および中空糸の製造をJ. Mem.Sci. 193(2001) 249〜260頁に報告している。気密性中空糸が製造され、その機械的性質および微細構造が調べられた。
【0004】
J. Luytenは、セラミックのペロブスカイト型の繊維の製造をCIMTEC 2002, 249〜258頁」に報告している。La0.6 Sr0.4 CO0.8 Fe0.2 O3-δからなる中空糸が記載されている。
【0005】
セラミック材料から得られる膜は、多孔性または気密性に製造することができ、他方で特定のセラミック材料は気体透過性を有するため、ガス混合物からガスを分離するために使用することができる。このようなセラミックの可能性のある用途は、例えばガス分離または新型の膜反応器などの特に高温用途である。
【0006】
セラミック中空糸を製造するための既知の方法は、第1の工程においてセラミックス材料の前駆体およびポリマーを含有する紡糸可能な組成物から弾性のグリーンの繊維が製造される紡糸工程を含む。次いでポリマー部分は高温で焼かれ、純粋なセラミック中空糸が形成される。
【0007】
紡糸中、相転移プロセスが起こり、一般に、第1の工程で多孔性膜が得られる。これらを温度上昇を制御しながら絶え間なく焼くことも可能である。
【0008】
この方法で製造された中空糸は機械的に比較的安定であるが、これらは当然、セラミックス材料についての典型的な脆弱性および破断感度を示す。
【0009】
驚くべきことに、選択された材料からのセラミック中空糸は、他の成型品または別のセラミック中空糸と組み合わせてより複雑な構造を取ることができ、また焼結により結合可能であることがここに見出された。それらは、一時的な接着剤を使用しないで得ることができる。明らかに高い安定性を有する構造が生じ、その取り扱い、特には安全管理面において実質的に改善されている。
【0010】
本発明はとりわけ、選択されたセラミックス材料前駆体が他の材料との接触部位での加熱に際し、接着剤またはスリップ(Schlicker)など各種の助剤の使用を必要とせずに極めて効率的に焼結されるという驚くべき発見に基づいている。
【0011】
本発明の根底にある技術的課題は、1種以上のセラミック中空糸から、またはセラミック中空糸と他の成形品から構造物を提供することであり、これら構造物は特に高い安定性および改善されたハンドリング性を示すことを特徴とする。
【0012】
本発明の更なる技術的課題は、セラミックス成形品を製造するときの一般的な装置を使用することができ、安定性が改善された構造物を製造するため容易に実施し得る方法を提供することである。
【0013】
本発明は、気体もしくは液体輸送性セラミック材料から得られる少なくとも1種の中空糸を含むアセンブリであって、この中空糸の外表面は同種中空糸の外表面と、または気体もしくは液体輸送性セラミックス材料から得られる異なる中空糸の外表面と接触状態にあり、その接触部位は焼結により結合されるアセンブリに関する。
【0014】
本発明の更なる態様は、気体または液体輸送性セラミックス材料から得られる少なくとも1種の中空糸、および流体の供給または排出のために中空糸の片側、好ましくは両側の端面に配列した少なくとも1つの結合要素を含むアセンブリであって、ここでこの中空糸は、少なくとも1つの結合要素と焼結により結合されるアセンブリに関する。
【0015】
本発明に基づくこのようなアセンブリの特徴は、先行技術に比較して改善された安定性、ならびに可能な限り薄い壁厚および大きな比表面積である。
【0016】
本発明により使用される中空糸は、任意の断面、例えば角形、楕円形、または特には円形の断面を有していてもよい。
【0017】
本明細書の文脈における中空糸とは、内部が中空である構造物と解釈され、その外寸、すなわち直径または線寸法は任意である。
【0018】
本明細書の文脈における中空糸という語は、この語の従来的な意味に加えて、また、0.5〜5 mmの外径を有するキャピラリ、および5 mmを超える外径を有する管の意味に理解される。
【0019】
中空糸の好ましい外径または線寸法は、5mmまでの範囲で変動する。3mm未満の外径を有する中空糸が特に好ましく用いられる。
【0020】
本発明の文脈における中空糸とは、任意の長さを有する中空糸と理解される。その例として、中空のモノフィラメントまたは中空のステープル繊維(長さが有限のモノフィラメント)が挙げられる。
【0021】
本発明によるアセンブリは、気体または液体輸送性セラミックス材料から得られるセラミック中空糸を任意に組み合わせを意味し得る。
【0022】
従って例えば、以下のアセンブリを製造することができる。すなわち、
・一平面で縦方向に接触して配列された複数の中空糸
・編み合わされるか又は互いに撚り合わされた複数の中空糸
・一体的に組み合わされた複数の中空糸(中空糸から得られる多チャンネル要素)。
【0023】
セラミックス(前駆体)相のパーセンテージがそれほど高くないグリーンの繊維の柔軟性および弾性のため、多様な形態が可能となる。この繊維は、その構造に基づく本来の機能性、すなわち液体透過性または気体透過性を保持している。
【0024】
従ってそのようなアセンブリは、さらに膜モジュールと組み合わせることもできる。これらの系は、特に高温用途、例えば気体分離において、または膜反応器の構成要素として適している。
【0025】
本発明に基づいて使用される中空糸は、既知の紡糸方法により製造することができる。この方法には、乾式または湿式などの溶液紡糸法、または溶融紡糸法が挙げられる。
【0026】
紡糸組成物は、微粉化セラミック材料またはその前駆体に加えて紡糸可能なポリマーを含む。
【0027】
紡糸組成物中の紡糸可能なポリマーの含有量は幅広い範囲にわたるが、紡糸組成物または紡糸溶液の総量に対して典型的には2〜30重量%、好ましくは5〜10重量%である。
【0028】
紡糸組成物中の微粉化セラミック材料またはその前駆体の含有量は幅広い範囲にわたるが、紡糸組成物または紡糸溶液の総量に対して典型的には20〜90重量%、好ましくは40〜60重量%である。
【0029】
紡糸組成物中の溶媒の含有量は幅広い範囲にわたるが、全紡糸溶液に対して典型的には10〜80重量%、好ましくは35〜45重量%である。
【0030】
紡糸可能なポリマーおよび微粉化セラミックス材料またはその前駆体の種類および量は、好ましくは、紡糸可能なポリマーの含有量が可能な限り少量となるように選ばれ、それでもなお紡糸可能な組成物が得られるように選択される。
【0031】
紡糸は、紡糸溶液、または加熱されて可塑化された紡糸組成物を環状ノズルを通して押出し、続いて空気中で冷却し、および/または紡糸組成物に使用されるポリマーに対する非溶媒を含む凝固浴中に導入することにより起こる。
【0032】
そうして得られたグリーンの中空糸を更なる処理工程、例えば、ステープルへの切断または中間保存(Zwischenlagerung)のための巻き取りに供する。
【0033】
成形に続く加工工程において、得られたグリーンの中空糸は望ましいアセンブリへと組み合わされる。
【0034】
これは、幾つかの同種のまたは異なるグリーンの中空糸の組み合わせであってもよく、または1種以上のグリーンの中空糸と、その端面(Stirnflaeche)に配列した、液体、または特にガスのような流体の供給または排出のための少なくとも1の接続要素との組み合わせであってもよい。
【0035】
グリーンの中空糸の組み合わせは任意の手法によっても行うことができる。これらの例は、互いに並行する中空糸を互いに接触するように配置する等の手作業での組み合わせ、またはメリヤス生地(Gestricken)、織物(Geweben)、編織布(Gelegen)、機械編みされたもの(Gewriken)、編物(Geflechten)、または撚り合わされた構造物(verdrillten Gebilden)の製造などのテキスタイル形成(textile flaechenbildende)技術が挙げられる。
【0036】
グリーンの中空糸のアセンブリを製造した後、ポリマーは既知の方法で加熱処理することによって除かれる。この工程は、また、セラミックス材料の前駆体からのセラミックスの形成、および/または微粉化セラミックス粒子の焼結を含む。温度プログラムおよび雰囲気などの処理パラメータを選択することによって、セラミックスの特性を当業者に既知の方法で制御することができる。
【0037】
本発明によってアセンブリに組み合わされる中空糸は、気体または液体輸送性セラミックス材料からなる。その種の物質は既に知られている。
【0038】
本発明によって使用されるセラミックス材料は、気体または液体輸送性セラミックス材料である。これらは、通常のセラミックスまたは酸化セラミックス、AI2O3、ZrO2、TiO2など、またはSiCであり得る。加えて、ペロブスカイトなどの機能性セラミックス、または液体もしくは気体伝導性セラミックスを使用することもできる。しかしながら、酸素伝導性または輸送性セラミックスは本発明の教示の対象から除かれる。
【0039】
様々なセラミックスの肉眼で見える混合物、例えばAI2O3粒子とTiO2粒子の組み合わせを使用し得ることは言うまでもない。そのほか、原子混合物、すなわち、あるセラミックスの結晶格子部位を他の原子で置換したものを使用することもできる。従って本発明は、また、ドープされたセラミックス、例えば、Yドープ酸化ジルコニウムに関する。
【0040】
複合物、すなわち、セラミックスと例えば金属との組み合わせ、またはセラミックスと、セラミックス若しくは金属コーティング、例えばスピネルナノ粒子(これは、セラミックス上にコーティングされ、孔径を調節する)、若しくは水素伝導性Pd合金(これは、セラミックス上にコーティングされる)との組み合わせを、本発明に従って使用することもできる。
【0041】
本発明により使用されるセラミックスは多孔性、特には微細孔性もしくはナノ細孔性であってもよく、または気密性であってもよい。
【0042】
本発明はまた、上記アセンブリを製造する方法であって、以下の工程:
i)ポリマーに加えてセラミックス、特には酸化物セラミックスまたはセラミックスの前駆体を含有する組成物の、環状ノズルを通す既知の方法での押出しによりグリーンの中空糸を製造する工程、
ii)工程(i)において製造された1種以上のグリーンの中空糸から、このグリーンの中空糸の外表面間を接触させることによりグリーンのアセンブリを製造する工程、ならびに
iii)上記ポリマーを除去し、場合によりセラミックス、特には酸化物セラミックスを形成し、および上記中空糸を接触部位での焼結により結合させるために、工程ii)で得られたグリーンのアセンブリを加熱処理する工程
を含む製造方法に関する。
【0043】
さらなる態様において、本発明は上記アセンブリを製造する方法であって、以下の工程:
i)ポリマー、およびセラミックス、特には酸化物セラミックス、またはセラミックス前駆体を含有する組成物の、環状ノズルを通す既知の方法での押出しによりグリーンの中空糸を製造する工程、
iv)工程(i)で製造された1種以上のグリーンの中空糸、およびこのグリーンの中空糸の端面における液体の供給または排出のための少なくとも1つの接続要素とからなるグリーンのアセンブリを製造する工程、ならびに
v)上記ポリマーを除去し、場合により前記セラミックス、特には酸化物セラミックスを形成し、上記中空糸と少なくとも1つの結合要素を接触部位での焼結により結合させるために、工程iv)で得られたグリーンのアセンブリを加熱処理する工程
を含む製造方法に関する。
【0044】
上記の本発明の双方の態様において、紡糸前に使用されるセラミックスは、望ましい構造および結晶化度で存在する。しかし、セラミックス前駆体を用いる押出し(工程i)を実施し、そして加熱処理の間だけセラミックスを形成する(工程iiiまたはV)ことも含意される。
【0045】
本発明により製造される中空糸の外径(Da)および内径(Di)は広範に変動し得る。Daの例は、0.1〜5 mm、特には0.5〜3 mmである。Diの例は、0.01〜4.5 mm、特には0.4〜2.8 mmである。
【0046】
特に好ましくは、中空糸は、断面の形態が円、楕円またはn角形(ここでnは3以上)をしたモノフィラメントの形態で製造される。
【0047】
非円形の繊維断面において、Da は断面外側の最大寸法、Diは断面内側の最大寸法と理解される。
【0048】
本発明により使用される中空糸の製造には、セラミックス繊維の製造のための既知のポリマーを使用することができる。原則的に、それは溶融状態または溶液状態から紡糸できるいずれものポリマーであり得る。それらの例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリーレンスルフィド、ポリエーテルスルホンおよびセルロースである。
【0049】
本発明により使用される中空糸の製造には、セラミックス繊維製造のための既知のセラミックス材料であって、分離すべき気体もしくは液体に対してある伝導性(Leitfaehigkeit)を有する材料またはその前駆体を用いることができる。気体または液体輸送性セラミックス材料の例は、既に上記で幅広く述べられている。それらセラミックス材料の前駆体は、例えば、成形の間は非晶質または部分的に結晶であり、その成形物を焼結する間に望ましい結晶構造に変化する混合物であり得る。
【0050】
紡糸組成物を紡糸ノズルを通して押出した後、このグリーンの中空糸を凝固浴または冷却浴、好ましくは水浴に導入し、続いて巻き取る。
【0051】
巻き取り速度は、通常1分間につき1〜100 m、好ましくは5〜20 m/minである。
【0052】
グリーンの中空糸は、セラミックス材料またはその前駆体およびポリマーに加えて、さらなる助剤を含んでいてもよい。その例は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、界面活性剤、エチレンジアミン四酢酸またはクエン酸のようなスリップの安定化剤、スリップの粘度を調節する添加剤であるポリビニルピロリドン、またはセラミックスにドープするためのカチオン源としての塩類がある。
【0053】
グリーンの中空糸の製造後、これらの中空糸を上記の方法でアセンブリに組み合わせる、つまり、他のグリーンの中空糸および/または流体の供給および排出要素と組み合わされる。この供給および排出要素は、金属、セラミックスまたはセラミックスの前駆体から得られる成形品であってもよい。
【0054】
続いてグリーンのアセンブリを焼戻す。これは空気中または保護ガス雰囲気中で行われ得る。温度プログラムおよび焼結時間は個別に調整する。当業者には調節すべきパラメータは知られている。この焼戻し工程は、グリーンの前駆体の圧縮をもたらす。適切に選択された温度条件により、一方でポリマーが消失し、他方で生成するセラミックスの孔が閉じ、従って、必要ならば気密のアセンブリを得ることもできる。
【0055】
本発明によるアセンブリはあらゆる工業分野で利用することができる。
【0056】
本発明はまた、気体または液体混合物から特定の気体または液体を回収するための、上記のアセンブリの使用に関する。
【0057】
以下の実施例は、本発明について説明するが、これを限定するものではない。パーセンテージは、特に明記しない限り、重量で示してある。
【0058】
実施例1:グリーンの中空糸の製造
化合物Al2O3 であるセラミックス粉末とポリスルホン(UDEL P-3500, Solvay) および1-メチル-2-ピロリドン(NMP)(≧99,0%、Merck)を混合してスリップにした。続いて、これをボールミル中で均質化させた。
【0059】
こうして得られた紡糸組成物を、1.7 mm の外径(Da) および1.2 mmの内径(Di)を有する中空コアノズル(Hohlkernduese)を通して紡いだ。次いで紡糸組成物を圧力容器に充填し、窒素で加圧した。圧力容器の栓を開けた後、紡糸組成物を流出させ、中空コアノズルを通して押し出した。このグリーンの繊維ストランドを凝固水浴に導入し、次いで乾燥した。
【0060】
実施例2:セラミック中空糸からのアセンブリの製造
実施例1に従って製造された複数の中空糸を互いに平行に配置し、これらをその外殻に沿って接触させた。
【0061】
グリーンの中空糸からなるこのアセンブリを吊るした状態で1500℃の炉中で2 時間焼結した。
【0062】
焼結した後、個々の中空糸の密着したアセンブリが得られた。個々の中空糸は、30〜35 cmの長さを有し、0,8〜0,9 mmの直径Daおよび0,5〜0,6 mmの内径Diを有した。
【0063】
実施例3:セラミック中空糸からの他のアセンブリの製造
実施例1に従って製造された複数の中空糸を互いに手で編み、実施例2に記載された方法により熱的に処理した。
【0064】
焼結した後、個々の中空糸の網状構造が得られた。
【0065】
実施例4:セラミック中空糸からの他のアセンブリの製造
実施例1に従って製造された複数の中空糸を、棒状の型の表面上で、これらがチューブ状の多チャンネル要素として配置され、この個々のキャピラリが、互いに平行に延びる中空繊維であるように互いに手作業で結合させた。。
【0066】
得られたグリーンの多チャンネル要素を、実施例2に記載した方法により加熱処理した。
【0067】
焼結し、棒状の型を除去した後、この多チャンネル要素の内部空間は空洞であった。互いに平行に延び、一緒に焼結した中空糸の多チャンネル要素が得られた。
【0068】
実施例5:セラミック中空糸からの他のアセンブリの製造
実施例1に従って製造された複数の中空糸を、棒状型の表面に沿って、これらが螺旋状の多チャンネル要素に配列され、個々のキャピラリが螺旋に沿って互いに接触するように巻き取った。
【0069】
得られたグリーンの多チャンネル要素を、実施例2に記載した方法により加熱処理した。
【0070】
焼結し、棒状型を除去した後、この多チャンネル要素の内部空間は空洞であった。平行して螺旋状に互いに延び、一緒に焼結した中空糸から多チャンネル要素が得られた。
【0071】
実施例6:気体の供給および排出のための結合要素を有するセラミック中空糸からアセンブリの製造
実施例1に従って製造された複数の中空糸を、これらが多チャンネル要素の形態であって、その個々のキャピラリが互いに並行に延びた中空糸であるような形態で配置するように手作業で互いに組み合わせた。断面で観察した際に、多チャンネル要素の内部空間は、中空糸で完全に充填されていた。
【0072】
このグリーンの多チャンネル要素の両端部に、気体の供給および排出のための金属の接続要素を取り付けた。
【0073】
得られたグリーンのアセンブリを実施例2に記載された方法により加熱処理した。
【0074】
焼結した後、互いに平行に延び、一緒に焼結させた中空糸から多チャンネル要素が得られ、これはガス透過性を有した。これらの多チャンネル要素は、焼結により金属の結合要素と両端部で堅固に結合していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体または液体輸送性セラミックス材料から得られる少なくとも1種の中空糸を含むアセンブリであって、前記中空糸の外表面は同種の中空糸または他の気体または液体輸送性セラミックス材料から得られる中空糸の外表面と接触しており、当該接触部位は焼結により結合されており、但し、酸素輸送性セラミックス材料は除外されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
気体または液体輸送性セラミックス材料から得られる互いに編まれたまたは撚られた複数の中空糸を有することを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
気体または液体輸送性セラミックス材料から得られる少なくとも2本の互いに平行に延びる中空糸を有し、これらの外殻はその長さに沿って少なくとも部分的に接触し、またこれらは前記焼結により接触部位において結合されることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
チューブ状の多チャンネル要素の形態で配列された互いに平行に延びる複数の中空糸または複数の管を有し、これらの外殻はその長さに沿って少なくとも部分的に接触し、またこれらは前記焼結により接触部位において結合されることを特徴とする請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記中空糸または管は、管状の多チャンネル要素の殻を形成し、これらの内部空間は中空であるか、または棒状の強化材料を有することを特徴とする請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記中空糸または管は、気密材料からなる管の内部に沿って延びることを特徴とする請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記管状の多チャンネル要素の内部空間は、触媒を有することを特徴とする請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項8】
1本以上の中空糸を有し、これらは互いに織られ、機械編みされまたは編まれていることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記気体または液体輸送性セラミックス材料は、酸化物セラミックスであることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
気体または液体輸送性セラミックス材料から得られる少なくとも1本の中空糸、およびこの両端に流体を供給または排出するための結合要素を含み、前記少なくとも1本の中空糸が焼結により前記結合要素と結合されているアセンブリ。
【請求項11】
少なくとも2本の互いに平行に延びる中空糸を有し、これらの外殻はその長さに沿って少なくとも部分的に接触し、この接触部位において焼結により結合されることを特徴とする請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
管状の多チャンネル要素の形状で配列された互いに平行に延びる複数の中空糸を有し、これらの外殻はその長さに沿って少なくとも部分的に接触し、この接触部位において焼結により結合されることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記中空糸は、管状の多チャンネル要素の殻を形成し、前記殻の内部空間は中空であるか、または棒状の強化物質を有することを特徴とする請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記中空糸は、気密物質からなる管の内部に沿って延びることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記気体または液体輸送性セラミックス材料は、酸化物セラミックスであることを特徴とする請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記酸化物セラミックスは、ペロブスカイト型構造またはブラウンミラーライト型構造(Brownmilleritstruktur)を有することを特徴とする請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
好ましくは以下の順に、次の処理工程:
i)ポリマーに加えてセラミックス、特には酸化物セラミックス、またはセラミックスの前駆体を含有する組成物の、既知の方法での環状ノズルを通した押出しによりグリーンの中空糸を製造する工程、
ii)グリーンの中空糸の外表面の間に接触を生成することによって、工程i)で製造された1本以上のグリーンの中空糸からグリーンのアセンブリを得る工程、ならびに
iii)前記ポリマーを除去し、前記中空糸同士、および場合により前記セラミックス、特には酸化物セラミックス間に接触を形成するために、工程ii)で得られたグリーンのアセンブリを熱処理する工程
を含む請求項1に記載のアセンブリの製造方法。
【請求項18】
前記押出しは、乾式紡糸法、湿式紡糸法または溶融紡糸法に従って行われることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記アセンブリの生成は、前記グリーンの中空糸を編むこと(Flechten)、撚り合わせること、織ること、機械編みすること、編むこと(Stricken)によるか、または互いに平行に延びるグリーンの中空糸を編織する(Legen)ことにより為されることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項20】
前記グリーンの中空糸は、棒状の強化要素の回りまたは管の回りに配列されることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記工程ii)で得られたグリーンのアセンブリの熱処理は、900〜1600℃の範囲の温度において行われることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項22】
以下の工程:
i)ポリマーに加えてセラミックス、特には酸化物セラミックス、またはセラミックスの前駆体を含有する組成物の、既知の方法での環状ノズルを通した押出しによりグリーンの中空糸を製造する工程、
iv)前記工程i)から得られる1本以上のグリーンの中空糸と、前記グリーンの中空糸の両端部における液体の供給または排出のための少なくとも2つの接続要素から得られるグリーンのアセンブリを得る工程、ならびに
v)前記ポリマーを除去し、前記中空糸と前記接続要素、および場合により前記セラミックス、特には酸化物セラミックス間に接触を形成するために、工程iv)で得られたグリーンのアセンブリを熱処理する工程
を含む請求項10に記載のアセンブリの製造方法。
【請求項23】
気体混合物からの気体の回収のための、または液体濾過のための、請求項1〜16のいずれか1に記載のアセンブリの使用。

【公表番号】特表2008−528283(P2008−528283A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553498(P2007−553498)
【出願日】平成18年1月21日(2006.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000539
【国際公開番号】WO2006/081957
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(597159765)フラウンホーファーゲゼルシャフト ツール フォルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシユング エー.フアー. (68)
【Fターム(参考)】