説明

セラミック押出のためのセルロースエーテル含有添加物

本発明は、焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材及び他の素材の押出適性を改善するための、セルロースエーテルを含む特定の添加物、対応する押出プロセス、押出物、並びに、それらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材及び他の素材の押出適性を改善するための、セルロースエーテルを含む特定の添加物、対応する押出プロセス、押出物、並びに、それらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性のセルロースエーテルが、ハニカム本体、又は同様の微細構造を有する他の複雑な異形材を製造するため、焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材及び他の素材の押出における保水剤、可塑剤及び潤滑剤として長年にわたって使用されている(例えば、James S. Reed、Principles of Ceramics Processing、John Wiley & Sons、1995、Chapter 23: Extrusion and Plastic Deformation Forming、450頁以降を参照のこと)。
【0003】
焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材及び他の素材の押出が、いずれかの所望の異形材を製造するために、好ましくは、触媒又はディーゼルすす粒子フィルターにおいて使用されるようなハニカム異形材を製造するために、可塑性の素材をダイに押し通すことによって行われる。これらの素材は様々な組成を有することができ、基本的には、セラミック焼成プロセスを受けて焼結可能であるか、又は、セラミック焼成プロセスを受けて硬くなる物質(具体的には、セラミック物質)を含む。これらの素材はさらに、触媒活性物質、繊維、凝集物及び軽量凝集物を含むことができる。
【0004】
焼成又は焼結を受けて硬化する通常的に押出されるセラミック素材及び他の素材の技術的及び経済的な短所は高い押出圧力であり、この圧力は押出機の稼働を大きな摩耗又は高い動力費のため予定よりも早く不経済にさせるる。別の欠点は満足できないほど低い押出速度であり、この速度は設備全体の生産能力を低下させる。素材は、内部摩擦を受けての加熱をあまり多く受けてはならない。これは、冷却水の消費又は電気的冷却は経済性を同様に損なうからである。素材は、亀裂を伴うことなく押出可能でなければならず、また、押出された異形材の大気中での乾燥、次いで焼成又は焼結の後で亀裂を形成し得ることがあってはならない。押出された素材における粒子の凝集は、薄いウエブでさえ、問題なく押出できなければならないように大きくなければならない。乾燥時の収縮及び焼成後の収縮は最小限でなければならず、また、亀裂形成が事実上生じてはならない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】James S. Reed、Principles of Ceramics Processing、John Wiley & Sons、1995、Chapter 23: Extrusion and Plastic Deformation Forming、450頁以降
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今回、驚くべきことに、そのような素材の押出適性が、(A)少なくとも1つのセルロースエーテルと(B)少なくとも1つの可塑剤と(C)少なくとも1つの消泡剤とが、個々の成分としてか又は予備混合された添加物として加えられる場合に有意に改善できること、また、特定の実施形態においては、素材が粘土(例えば、コーディエライト又はムライトの生地土を形成するために使用される粘土など)を含有する場合、押出されるための素材がpH7を超える水から構成されることが見出されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、焼成又は焼結を受けて硬化する、粘土から構成されるセラミック素材を押出するためのプロセスであって、焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材又は他の素材を、個々の成分又は予備混合された添加物としての(A)少なくとも1つのセルロースエーテルと(B)少なくとも1つの可塑剤と(C)少なくとも1つの消泡剤、及び(D)pH7を超える水と混合すること、次いでそれを押出することを含むプロセスを提供する。
【0008】
従って、本発明はまた、焼成又は焼結を受けて硬化する、粘土から構成されるセラミック素材であって、(A)少なくとも1つのセルロースエーテルと(B)少なくとも1つの可塑剤と(C)少なくとも1つ消泡剤とを含むセラミック素材、ならびに(A)少なくとも1つのセルロースエーテルと(B)少なくとも1つの可塑剤と(C)少なくとも1つの消泡剤、及び(D)pH7を超える水を含む、焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材及び他の素材の押出のための添加物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の目的のために、焼成又は焼結を受けて粘土から構成されるセラミック素材は、単独で焼成又は焼結することによって、或いは下記の他の焼結助剤を添加して焼成又は焼結することによって焼成又は焼結できる、下記で列挙される成分の少なくとも1つを含むすべての素材である:
アルミナ;窒化アルミニウム及び炭化アルミニウム;カオリン;コーディエライト;ムライト;炭化ケイ素;ホウ化ケイ素;窒化ケイ素;二酸化チタン;炭化チタン;炭化ホウ素;酸化ホウ素;ケイ酸塩及び層状ケイ酸塩、例えば、タルクなど;ケイ素金属;炭素、例えば、カーボンブラック又はグラファイトなど;粉末ガラス;他の金属酸化物、例えば、希土類酸化物など;ゼオライト及び関連した物質など。特定の他の酸化物とは、粘土と混合されたとき、コーディエライト又はムライトを形成する酸化物である(例えば、コーディエライトを形成するためのシリカ及びタルク、並びにムライトを形成するときにはアルミナ)。
【0010】
粘土とは、板状構造を有する水和したケイ酸アルミニウムを意味し、水と混合されると可塑性の素材を形成する。典型的には、粘土は1つ又はそれ以上の結晶性構造体(例えば、カオリン、イライト及びスメクタイトなど)から構成される。
【0011】
用語「焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材及び他の素材」は水硬化性バインダー(例えば、セメント又は石膏、及びセメント系又は石膏系の素材など)を含まない。これらの水硬化性バインダーは、結晶格子内への水の取り込みを受けて硬化する。
【0012】
上記の素材はまた繊維を含むことができ、この繊維は、焼成後に細孔を残すか又は素材に留まり、これによって曲げ強度を増大させるる。
【0013】
本発明の目的に関して、繊維とは、天然繊維又は合成繊維のすべてのタイプであり、例えば、セルロース、竹、ヤシ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、炭素、ガラス、セラミック及び他の鉱物繊維に基づく繊維などである。それらの繊維長さ及び繊維厚さは広い範囲にわたって変化させることができる。
【0014】
好適なセルロースエーテル(A)は、具体的には、イオン性のセルロースエーテル、例えば、スルホエチルセルロース又はカルボキシメチルセルロース及びそれらの塩など、或いは、非イオン性のセルロースエーテル、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース又はヒドロキシアルキルセルロースなど、具体的には、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルヒドロキシブチルセルロース、又は、メチル基及びより長い鎖の疎水性側鎖を同時に含むセルロースエーテルなど、並びに、上記生成物の混合物である。
【0015】
上記セルロースエーテルの粘度は一般には、Haake回転粘度計で20℃で2重量%の水溶液において求められるとき、400mPa・s〜200000mPa・sである。
【0016】
好適な可塑剤(B)は、例えば、カゼイン;ポリカルボン酸及びその塩;カルボン酸モノマー又はその塩と、カルボキシラートエーテルモノマー、カルボン酸エステルモノマー及び他のカルボン酸誘導体との両方を含むポリマー、架橋性のビスアクリラート及び類似モノマー、並びに、上記生成物の混合物である。そのような可塑剤の中で、好ましいものが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、並びに、類似するモノ官能性酸及び二官能性酸、同様にまた、それらの塩、エステル及びエーテルのホモポリマー、コポリマー及びターポリマーである。エーテルの例が、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリラート、例えば、トリエチレングリコールモノアクリラート及びポリエチレングリコールモノアクリラート(ポリエチレングリコールの分子量が200g/mol〜2000g/molであるもの)など、同様にまた、酸基を有しない不飽和ポリアルキレングリコールエーテルである。特に好ましいものが、アクリル酸及びメタクリル酸、それらの二官能性酸、同様にまた、それらの塩、エステル及びエーテルのホモポリマー、コポリマー及びターポリマーである。エーテルの例が、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリラート、例えば、トリエチレングリコールモノアクリラート及びポリエチレングリコールモノアクリラート(ポリエチレングリコールの分子量が200g/mol〜2000g/molであるもの)など、同様にまた、酸基を有しない不飽和ポリアルキレングリコールエーテルである。
【0017】
本発明における可塑剤は、メラミンスルホナート又はメラミン−ホルムアルデヒドスルホナート、ナフタレンスルホナート、リグノスルホナート、或いはそれらの混合物のクラスには明らかに由来しない。
【0018】
特に好ましい可塑剤がポリカルボン酸コポリマー及びその塩である。
【0019】
好適な消泡剤(C)は、具体的には、下記の少なくとも1つを含む、液体形態又は固体形態での純粋な物質又は混合物である:アルキレングリコールのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー及びブロックコポリマー(例えば、エチレンオキシド系又はプロピレンオキシド系のもの)、アルキレンオキシドの付加物、高級アルコールのアルキレングリコールエーテル、脂肪酸エステル、アルキレングリコール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド及びアセチレンの付加生成物、リン酸エステル(例えば、トリブチルリン酸エステル及びナトリウムオクチルリン酸エステルなど)、同様にまた、消泡作用を有する、ポリエーテル基を含有する化合物又はポリエーテル基を含有する混合物のすべて、並びに上記生成物の混合物。他の有用な消泡剤には、シリコーン系の消泡剤又は脱泡剤として一般に公知である消泡剤、例えば、Dow Corning Inc.(Midland、MI、アメリカ合衆国)から得られる消泡剤などが含まれ、例えば、ポリジメチルシロキサンポリマー、及びそのようなポリマーの水におけるエマルションが含まれる。
【0020】
特に好ましいものが、アルキレングリコールのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー及びブロックコポリマー(例えば、エチレンオキシド系又はプロピレンオキシド系のもの)、アルキレンオキシドの付加物、高級アルコールのアルキレングリコールエーテル、脂肪酸エステル及びアルキレングリコール脂肪酸エステルなど、ならびに消泡作用を有するポリエーテル基を含有する化合物又はポリエーテル基を含有する混合物のすべてである。
【0021】
特に非常に好ましいものが、アルキレングリコールのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー及びブロックコポリマー(例えば、エチレンオキシド系又はプロピレンオキシド系のもの)、アルキレンオキシドの付加物、高級アルコールのアルキレングリコールエーテル、ならびに消泡作用を有するポリエーテル基を含有する化合物又はポリエーテル基を含有する混合物のすべてである。
【0022】
本発明の目的のために重要であると述べられる成分(A)〜成分(D)に加えて、本発明の素材はまた、さらなる構成成分を含むことができ、例えば、疎水化剤、再分散粉末、架橋されたアクリラート系及び多糖系高吸収剤、潤滑剤(例えば、ポリエチレンオキシドのホモポリマー、コポリマー及びターポリマー)、界面活性剤、促進剤、遅延剤、脂肪酸及びそのエステル、アクリル酸類及びメタクリル酸類の酸、塩、アミド及びエステル系ポリマー、ポリビニルアルコール(その誘導体を含む)、並びにウレタン系ポリマーなどを含むことができる。
【0023】
成分(A)〜成分(C)は、相互に対して下記の比率で使用される:
【0024】
(A)、(B)及び(C)の総量に基づく成分(A)の割合は好ましくは10重量%〜91重量%であり、特に好ましくは18重量%〜91重量%であり、非常に特に好ましくは25重量%〜91重量%である。
【0025】
(A)、(B)及び(C)の総量に基づく成分(B)の割合は好ましくは8重量%〜70重量%であり、特に好ましくは8重量%〜65重量%であり、非常に特に好ましくは8重量%〜60重量%である。
【0026】
(A)、(B)及び(C)の総量に基づく成分(C)の割合は好ましくは1重量%〜20重量%であり、特に好ましくは1重量%〜17重量%であり、非常に特に好ましくは1重量%〜15重量%である。
【0027】
焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材又は他の素材において使用される、混合物とみなされる(A)、(B)及び(C)の量は典型的には0.3重量%〜10重量パーセントであり、好ましくは0.7重量パーセント〜9重量パーセントであり、特に好ましくは1重量パーセント〜8重量パーセントである(それぞれの場合において、配合物全体に基づく)。
【0028】
(A)、(B)及び(C)は、予め作製された混合物としてか、又はそれ以外に各個成分の段階的添加によるかのいずれかによって押出されるための素材に加えることができる。
【0029】
使用される水成分(D)の量は、押出のために好適なセラミック素材を作製するために当業者によって容易に決定される。
【0030】
本発明はさらに、本発明のプロセスによって得ることができる押出物、熱処理によってそのような押出物から得ることができる形状化された本体、及び、それらの使用を提供する。
【実施例】
【0031】
セルロースエーテル(A)として、ヒドロキシエチルメチルセルロースWalocel VP−M−7701(Dow Wolff Cellulosics GmbH、ドイツ)を使用した(Haake回転粘度計で求められた20℃での1%水溶液の粘度:12400mPa・s〜14400mPa・s)。
【0032】
可塑剤(B)として、Melflux2651F(BASF、ドイツ)を使用した。これはポリカルボキシラートエーテルである。
【0033】
消泡剤(C)として、Agitan P803(Munzing Chemie、ドイツ)を使用した。これは、担体物質に適用されるアルカン/グリコール系消泡剤である。
【0034】
添加物を、成分(A)〜成分(C)を67:28:5の関係で混合することによって調製し、その一方で、比較用試験9及び比較用試験10を、(A)のみを含有する純粋な系と、成分(A)〜成分(C)の3つすべてを含有するコンパウンド系との違いを見るために行った。
【0035】
押出実験のための手順
最初に、粘土、すなわちコーディエライトCP820M(Imerys Tableware、ドイツ)から構成されるコーディエライト配合物の100重量部と、本発明による添加物の(100重量部のコーディエライト配合物に基づいて)1重量部とを均質な混合物が形成されるまで流動床ミキサー(これはLodige(ドイツ)によって製造される)で乾式混合した。続いて20℃での水を加え、素材をさらに混合し、ニーダー(これはAMK(Aachen、ドイツ)によって製造される)で数分間混練した。その後、素材を、20℃で維持される水冷の単軸スクリュー押出機(Handle 8D、スクリュー直径:8cm、これはHandle(Muhlacker(ドイツ)から得られる)の供給トラフに直ちに導入した。素材を穴あきプレートに通して押出、消ガスのために真空チャンバに通した。その場合、素材は最初に引っ張られ(すなわち、凝集物の素材をなくすために、0.4mm又は0.2mmのメッシュサイズを有するふるいに通され)、続いて、ダイから押出され(平坦な異形材、4cm×1cm)、コンベヤーベルトの上に排出された。異形材の得られた凝集強度及び生強度を測定するために、コンベヤーベルトの上を流れる異形材を、ベルトの終点を通過した後もベルトの上を水平方向に流れることを続けさせた。ベルトの終点の「上に張り出す」異形材の長さを、ベルトがそれ自身の重量により裂ける前に測定した。下記の表は、同じ試験から得られる、異形材の少なくとも10個の続いて押出された部分の最小測定長さ及び最大測定長さを示す。水の量(W/S=0.32は、1Kgのコーディエライト配合物あたり0.32Kgの水を意味する)が、特定のバッチサイズに対して一定で保たれた(各バッチは5kgのコーディエライト配合物及び1.6kgの水を含有した)。水の量には、水に加えられたHCl及び/又はアンモニアの量が含まれる。
【0036】
下記の表に対する説明:
W/Sは水/固形物係数を意味し、これは100部の固形物(S)に対する水の量(W)を意味する。使用される水の量は、コーディエライトに基づいてのみ計算された。
【0037】
素材の剛性を、新たに引張られたサンプルに対して試験し、ショア硬度に換算して表した。このようにして押出されたすべての素材を、それらの水条件に基づく水対固形物比(W/S比)によって慣例的コンシステンシー(ショア硬度=12kg/m〜12.6kg/m)に硬化させた。
【0038】
圧力は、素材がダイを通過する直前で測定される圧力である。圧力はbar単位で測定された。
【0039】
押出された平坦な異形材(1×4cm)の生じた温度が測定され、すべてが25℃〜28℃の間であった。引張られ、押出された素材の温度を、ダイを離れた後で非接触型赤外温度計によって測定した。これらの温度は、ダイヘッドに組み込まれる温度センサーにより測定される温度に対応する。
【0040】
生強度を測定するために、ベルトの「上に張り出す」異形材長さ(cm)を使用した。それは、それ自身の重量により起こった断裂前の異形材の長さである。それぞれの試験のために、少なくとも10個のサンプルが測定され、最小測定長さ及び最大測定長さがもたらされた。
【表1】

【0041】
実験結果:
試験1(コンパウンド系)と、試験9(100%のセルロースエーテルによる100:0:0系)との比較では、コンパウンド系に変えることによるpH7における生強度における改善が示される:異形材の長さが11.5cm〜13.5cmから17cmに増大した。pHを両方の系においてアルカリ性条件に変化させることによって、生強度が増大し(純粋なセルロースエーテル系においては試験9及び試験10を参照のこと、セルロースエーテル系においては試験1及び試験2〜試験5を参照のこと)、しかし、コンパウンド系では、効果が、純粋なセルロースエーテル系の場合よりもはるかに大きい(試験3及び試験10を比較のこと。両者とも、25gのNHを添加することによって行われた)。これらの結果は、ベルトの上に張り出る異形材の長さが、7を超えるpHとともに増大し続けることを明瞭に示す。このことは結果として、セラミック素材を作製するために使用される水のpHが7を超える場合に凝集強度及び生強度が増大することを意味する。酸性条件(試験1を試験6〜試験8と比較されたい)は生強度を低下させ、すべての場合において、押出された異形材の端部で亀裂形成を引き起こし、同様にまた、ダイ及び圧力センサーにおいて水分損失を引き起こす。水分損失の増大は、系の水分保持低下の明瞭な目安であり、このことは、より大きい摩擦押出圧力を引き起こす、高密度化のための押出機における残留する素材を引き起こす可能性があり、このことは、さらなる水分損失を引き起こし得、最終的に押出プロセス全体を破損させ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材又は他の素材を押出するためのプロセスであって、焼成又は焼結を受けて硬化する、粘土から構成されるセラミック素材を、個々の成分又は予備混合された添加物としての(A)少なくとも1つのセルロースエーテルと(B)少なくとも1つの可塑剤と(C)少なくとも1つの消泡剤、及び(D)pH7を超える水と混合すること、次いでそれを押出することを含む、プロセス。
【請求項2】
粘土から構成される前記セラミック素材が、コーディエライト又はムライトを加熱したときに形成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
2重量%の水溶液において20℃で求められる400mPa・s〜200000mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルがセルロースエーテル(A)として使用される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
ポリカルボン酸コポリマー及び/又はその塩が可塑剤(B)として使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
ポリエーテル系消泡剤が消泡剤(C)として使用される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
アルキレングリコールのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー又はブロックコポリマーが、ポリエーテル系消泡剤として使用される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
(A)、(B)及び(C)の総量に基づいて、成分(A)の割合が10重量%〜91重量%であり、成分(B)の割合が8重量%〜70重量%であり、かつ、成分(C)の割合が1重量%〜20重量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
混合物とみなされる(A)、(B)及び(C)の使用量が、焼成又は焼結を受けて硬化するセラミック素材又は他の素材の配合物全体に基づいて1重量%〜8重量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
押出物の熱処理が押出後に行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる押出物。
【請求項11】
排気ガス処理のためのハニカム本体としての、又は、触媒としての、請求項10に記載の押出物の使用。
【請求項12】
焼成又は焼結を受けて硬化する、粘土から構成されるセラミック素材であって、(A)少なくとも1つのセルロースエーテル、(B)少なくとも1つの可塑剤、(C)少なくとも1つの消泡剤、及び(D)pH7を超える水を含むセラミック素材。
【請求項13】
前記水のpHが少なくとも9である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記水のpHがアンモニアの添加によって調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記消泡剤がシリコーン系消泡剤を含む、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−524846(P2011−524846A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514135(P2011−514135)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003475
【国際公開番号】WO2009/153617
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】