説明

セルソータ

【課題】流路を切り替えても正確な分別を行うことができる目標サンプルを選択的に分別することができるセルソータを提供する。
【解決手段】測定サンプルSがレーザ光照射域R1を通過する際に光学ユニット14および分析部22により得られた光情報に基づき、測定サンプルSが目標サンプルであるか否かが制御部34により判定され、目標サンプルであると判定された測定サンプルSがフローセル10の下端部に至るタイミングでバルブ24が駆動され、目標サンプルは第2の分岐管部28を通って回収容器32に収容される。開口部38を介してフローセル10の内部に連通するように形成された空気溜部Aの存在により、フローセル10内の溶液Lの圧力に応じて溶液Lの液面Mが開口部38と突状部36の内部との間で移動し、バルブ24による流路の切り替え時における溶液Lの圧力変動が吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、セルソータに係り、特に、細胞等の多数の測定サンプルから目標サンプルを選択的に分別するセルソータに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、複数種の細胞を含む溶液から特定の細胞を分別することは、医療効果を高めるための非常に重要な処理である。近年、このような分別の手段として、細胞等の多数のサンプルが分散された溶液の流れを形成し、各サンプルにレーザ光を照射してサンプルから発せられる蛍光、散乱光等を分析することによりサンプルの種別を同定して目標となるサンプルを分別するフローサイトメータが用いられるようになった。このフローサイトメータは、短時間に多数のサンプルについての分析を可能とするので、特に、再生医療の分野における幹細胞の選別収集への利用が注目されている。
【0003】
幹細胞とは、細胞分裂を経ても、再び自らと同じ細胞を複製する能力を維持すると共に、他の種類の細胞に分化する能力を有する細胞のことであり、この能力により組織や臓器を構成する細胞を作り出すことができる。幹細胞は、多くの組織において存在するものであるが、その数は少なく、通常、採取した大量の細胞サンプルの中から極微量しか見つけることができない。このため、幹細胞を高精度に選別収集することが要求されている。
【0004】
多数のサンプルから目標となるサンプルを分別する方法としては、例えば、特許文献1に、3方バルブを用いて目標サンプルを廃液から分別して回収する方法が開示されている。主流路に3方バルブを介して2つの分岐流路を連結し、3方バルブにより流路の切り替えを行うことで、主流路を流れる溶液から目標サンプルのみを一方の分岐流路に流通させ、他のサンプルを含む廃液を他方の分岐流路に流通させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−139461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、3方バルブのように、主流路を複数の分岐流路に選択的に接続するバルブは、一般に、流体の混入を防止するために、一つの分岐流路から他の分岐流路へ切り替える際に一時的にいずれの分岐流路にも接続されずに主流路が閉塞する状態が存在するように構成されている。すなわち、主流路が一つの分岐流路に接続された状態から流路の切り替えを行うと、まず、主流路がそれまで接続されていた分岐流路から遮断され、いずれの分岐流路にも接続されない閉じた状態を経た後、主流路と新たな分岐流路との接続が確立される。
【0007】
このため、フローサイトメータのフローセルの下流側にこのようなバルブを配置して目標サンプルを分別しようとすると、バルブによる流路の切り替え時に、フローセルをサンプルと共に流れる溶液に一時的に大きな圧力変動が生じ、流速が変化する等、溶液の流れに乱れが発生するおそれがある。その結果、フローサイトメータにおけるサンプル測定の信頼性が低下し、目標サンプルを正確に分別することが困難になるおそれがある。
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、流路の切り替えを行っても目標サンプルを正確に分別することができるセルソータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るセルソータは、溶液中に分散され間隔をあけながら1列となって流れる多数の測定サンプルを光ビームの照射域に通すことにより得られるそれぞれの測定サンプルの光情報に基づいて測定サンプルに含まれる目標サンプルを選択的に分別するセルソータであって、光ビームの照射域を通過した測定サンプルを溶液と共に流通させるための主流路と、複数の分岐流路と、主流路の下流端を複数の分岐流路のうちの1つに選択的に接続するための流路切替手段と、主流路に連通すると共に流路切替手段による流路の切り替え時に生じる圧力変動を吸収するための緩衝手段と、測定サンプルの光情報に基づいて流路切替手段による流路の切り替えを制御することにより測定サンプル中の目標サンプルを他のサンプルから分別する制御部とを備えたものである。
【0010】
好ましくは、緩衝手段は、主流路に連通する空気溜部、あるいは、主流路に面して配置されると共に主流路内の圧力変動に応じて弾性変形する弾性部材を有している。
また、流路切替手段と緩衝手段を、1つのバルブ装置に一体に組み込むこともできる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、緩衝手段が流路の切り替え時に生じる圧力変動を吸収するので、流路切替手段によって流路を切り替えても目標サンプルを正確に分別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係るセルソータを備えたフローサイトメータの構成を示す図である。
【図2】バルブの切り替え時における図1のフローサイトメータの様子を示す図である。
【図3】バルブを切り替えた後における図1のフローサイトメータの様子を示す図である。
【図4】実施の形態2に係るセルソータを備えたフローサイトメータの構成を示す図である。
【図5】実施の形態3に係るセルソータの要部を示す断面図である。
【図6】実施の形態4に係るセルソータで用いられたバルブ装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す好適な実施の形態に基づいて、この発明を詳細に説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係るセルソータを備えたフローサイトメータの構成を示す。フローサイトメータは、ほぼ鉛直方向に配置された円筒形状のフローセル10を有している。フローセル10は、測定サンプルSが分散された溶液を流通させるためのものである。フローセル10内では、シース液の流れの中に測定サンプルSを含むサンプル液を吐出することにより、流体力学的絞り込み効果に起因して極めて細いサンプル液流が形成され、測定サンプルSが1列となって適宜間隔をあけながら所定の速度Vで流れるように構成されている。
【0014】
このようなフローセル10の外周部を囲むように光学ユニット14が配置されている。光学ユニット14は、フローセル10内に所定波長を有するレーザ光の照射域R1を形成するための光源部16と、レーザ光が照射された測定サンプルSから発生する前方散乱光を検出する受光部18と、同じくレーザ光が照射された測定サンプルSから発生する側方散乱光および蛍光を検出する受光部20とを有している。一方の受光部18は、フローセル10を挟んで光源部16に対向する位置に配置され、他方の受光部20は、光源部16からのレーザ光の照射方向に対して直角方向に配置されている。前方散乱光を検出する受光部18としては、例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ等を使用することができ、側方散乱光および蛍光を検出する受光部20としては、例えば光電子増倍管(PMT)を使用することができる。
【0015】
これら受光部18および20に分析部22が接続されている。分析部22は、受光部18および20で得られた検出信号に基づいて、前方散乱光の強度、側方散乱光の強度、蛍光の強度、蛍光寿命等の光情報を算出する。
【0016】
上述したフローセル10は、光ビームの照射域R1を通過した測定サンプルSを溶液Lと共に流通させるための主流路をも形成するもので、このフローセル10の下端部にバルブ24を介してそれぞれ分岐流路を形成する第1の分岐管部26および第2の分岐管部28が連結されている。
バルブ24は、この発明の流路切替手段を構成するもので、フローセル10内を流れてきた溶液Lを、第1の分岐管部26および第2の分岐管部28のいずれか一方に選択的に流通させるためのもので、例えば、いわゆる電磁式の3方バルブが用いられる。
さらに、第1の分岐管部26の下方に廃液容器30が配置されると共に第2の分岐管部28の下方に回収容器32が配置されている。
【0017】
バルブ24を駆動して流路の切り替え制御を行う制御部34が、分析部22に接続されている。制御部34には、予めオペレータにより入力されていた目標サンプルに固有の光情報が記憶されている。制御部34は、分析部22で算出された光情報を予め記憶されていた目標サンプルに固有の光情報と比較することにより、フローセル10内のレーザ光照射域R1を通過した測定サンプルSが目標サンプルか否かを判定し、その判定結果に基づいてバルブ24の駆動を行う。すなわち、光照射域R1を通過した測定サンプルSが目標サンプルであると判定されない限り、制御部34はフローセル10が廃液容器30に向けられた第1の分岐管部26に接続されるようにバルブ24の状態を維持し、光照射域R1を通過した測定サンプルSが目標サンプルであると判定された場合には、その測定サンプルSがフローセル10の下端部に到達するタイミングで、制御部34はバルブ24を駆動し、所定時間だけフローセル10を回収容器32に向けられた第2の分岐管部28に接続する。
なお、制御部34は、光学ユニット14の光源部16にも接続されている。
【0018】
レーザ光の照射域R1よりも下流側において、フローセル10の外周部に中空の突状部36が形成され、この突状部36の内部がフローセル10の壁部に形成された開口部38を介してフローセル10の内部と連通している。突状部36の内部には空気が留まっており、ここに空気溜部Aが形成されている。この空気溜部Aにより、この発明の緩衝手段が形成されている。なお、開口部38は、フローセル10内を溶液Lが正常に流れているときに溶液Lが流入しない程度の大きさを有することが好ましい。
上述したバルブ24、第1の分岐管部26、第2の分岐管部28、制御部28、廃液容器30、回収容器32および空気溜部Aにより、実施の形態1に係るセルソータが構成されている。
【0019】
次に、図1に示したフローサイトメータの動作について説明する。
まず、制御部34により光学ユニット14の光源部16が駆動され、フローセル10内に所定波長を有するレーザ光の照射域R1が形成される。この状態で、フローセル10内にシース液が供給されると共に測定サンプルSを含むサンプル液がシース液の流れの中に吐出され、これにより測定サンプルSが1列となって適宜間隔を隔てながら所定の速度Vで流される。
なお、制御部34では、測定サンプルSの所定の速度Vおよびレーザ光照射域R1とフローセル10の下端部との間の距離に基づき、測定サンプルSがレーザ光照射域R1を通過してからフローセル10の下端部に至るまでの所要時間Tが算出され記憶されているものとする。
【0020】
フローセル10内を流れる測定サンプルSがレーザ光照射域R1に入り、ここで所定波長のレーザ光の照射を受けると、測定サンプルSに含まれる蛍光色素が励起されて蛍光が発生すると共に測定サンプルSによる前方散乱光および側方散乱光が発生する。測定サンプルSから発生された前方散乱光は受光部18で検出され、受光部18から分析部22へ検出信号が伝送される。一方、測定サンプルSから発生された蛍光および側方散乱光は受光部20で検出され、受光部20から分析部22へ検出信号が伝送される。これらの検出信号に基づいて、分析部22により、前方散乱光の強度、側方散乱光の強度、蛍光の強度、蛍光寿命等の光情報が算出され、制御部34へ出力される。
【0021】
制御部34では、予めオペレータにより入力され記憶されていた目標サンプルに固有の光情報と分析部22で算出された光情報との比較が行われる。なお、ここで比較される光情報としては、上述した前方散乱光の強度、側方散乱光の強度、蛍光の強度および蛍光寿命に関する情報のうちのいずれか1つを用いてもよく、あるいは複数の情報をそれぞれ比較するようにしてもよい。
【0022】
そして、分析部22で算出された光情報が制御部34に記憶されていた光情報に合致した場合に、制御部34は、フローセル10内のレーザ光照射域R1を通過した測定サンプルSが目標サンプルであると判定する。一方、分析部22で算出された光情報が制御部34に記憶されていた光情報に合致しない場合には、制御部34は、フローセル10内のレーザ光照射域R1を通過した測定サンプルSが目標サンプルではないと判定する。
【0023】
レーザ光照射域R1を通過した測定サンプルSは、サンプル液およびシース液からなる溶液Lと共にフローセル10内を所定の速度Vで下方へと流れる。なお、図1に示されるように、フローセル10の下端部に配置されたバルブ24は、フローセル10を廃液容器30に向けられた第1の分岐管部26に接続するような状態に予め維持されており、フローセル10内を流れる溶液Lは開口部38から突状部36の内部に流入することがなく、溶液Lの液面Mは開口部38の位置にあるものとする。
【0024】
制御部28は、光照射域R1を通過した測定サンプルSが目標サンプルであると判定されない限り、バルブ24の状態をそのまま維持し、フローセル10の内部を廃液容器30に向けられた第1の分岐管部26の内部に連通させる。これにより、フローセル10を流れた溶液Lと目標サンプル以外の測定サンプルSは、バルブ24を介して第1の分岐管部26に入り、第1の分岐管部26に案内されて廃液容器30に収容される。
【0025】
一方、光照射域R1を通過した測定サンプルSが目標サンプルであると判定すると、制御部34は、その測定サンプルSがフローセル10の下端部に到達するタイミングで、バルブ24を駆動して流路の切り替えを行い、フローセル10を回収容器32に向けられた第2の分岐管部28に接続する。具体的には、目標サンプルであると判定された測定サンプルSがレーザ光照射域R1を通過してから予め算出して記憶していた所要時間Tが経過するよりもわずかに早い時点で、制御部34は、バルブ24を駆動することにより、それまで接続されていたフローセル10と第1の分岐管部26との間を遮断し、新たにフローセル10と第2の分岐管部28との接続を確立する。これにより、溶液Lと共に流れてきた目標サンプルは、バルブ24を介して第2の分岐管部28に入り、第2の分岐管部28に案内されて回収容器32に収容されることとなる。
【0026】
このバルブ24による流路の切り替え時には、フローセル10を第1の分岐管部26から遮断した後、第2の分岐管部28に接続するまでの間に、図2に示されるように、フローセル10の下端が第1の分岐管部26および第2の分岐管部28のいずれにも接続されずに閉塞される状態が一時的に存在する。このとき、フローセル10内を流れてきた溶液Lがバルブ24によってせき止められるため、溶液Lに作用する圧力が上昇し、その結果、開口部38からフローセル10内の溶液Lの一部が突状部36の内部に入り込み、空気溜部Aの空気を圧縮する。そして、溶液Lの圧力と空気溜部A内の空気の圧力とが平衡したところで溶液Lの液面Mが静止する。
【0027】
その後、図3に示されるように、フローセル10と第2の分岐管部28との接続が確立すると、フローセル10内の溶液Lが目標サンプルと共に第2の分岐管部28を通って回収容器32へと流れ、これに伴って溶液Lの圧力が低下し、溶液Lの液面Mが再び開口部38の位置に戻る。
このように、空気溜部Aの存在により、溶液Lの液面Mが溶液Lの圧力に応じて開口部38と突状部36の内部との間で移動することで、流路の切り替え前後における溶液Lの圧力変動が吸収される。その結果、溶液Lの流れに乱れが発生することが防止され、サンプル測定の信頼性が向上し、目標サンプルを正確に分別することが可能となる。
【0028】
所定時間だけフローセル10を第2の分岐管部28に接続して目標サンプルを回収容器32へ収容させた後に、制御部34は再びバルブ24を駆動することにより、フローセル10が第1の分岐管部26に接続される図1の状態へと戻す。このときにも、フローセル10の下端が第1の分岐管部26および第2の分岐管部28のいずれにも接続されずに閉塞される状態が一時的に存在するが、同様に、溶液Lの液面Mが移動することで、溶液Lの圧力変動が吸収され、溶液Lの流れに乱れが発生することが防止される。
【0029】
以上のようにして、フローセル10の内部に連通した空気溜部Aで溶液Lの圧力変動を緩衝することにより、溶液Lの流れに乱れを発生させずに流路の切り替えを行って目標サンプルのみを回収容器32に収容することができる。
なお、上記の実施の形態1では、フローセル10の下端部に2つの分岐管部26および28を配置して1種類の目標サンプルの分別を行ったが、これに限るものではなく、3つ以上の分岐管部をフローセル10の下端部に連結し、バルブの駆動によってこれら分岐管部のうちの1つをフローセル10の下端部に選択的に接続するように構成することもできる。このようにすれば、2種以上の目標サンプルをそれぞれ別個に分別することが可能となる。この場合、3つ以上の分岐管部のうち1つの分岐管部の下方に廃液容器を配置し、残りの分岐管部の下方にそれぞれ回収容器を配置すればよい。
【0030】
実施の形態2
図4に実施の形態2に係るセルソータの要部を示す。このセルソータは、実施の形態1のセルソータにおいて、さらに、フローセル10の外周部に中空の第2の突状部40を形成し、この第2の突状部40の内部をフローセル10の壁部に形成された第2の開口部42を介してフローセル10の内部と連通させたものである。第2の突状部40の内部には第2の空気溜部Bが形成されている。なお、第2の開口部42は、開口部38と同様に、フローセル10内を溶液Lが正常に流れているときに溶液Lが流入しない程度の大きさを有することが好ましい。
【0031】
このようにして、2つの空気溜部AおよびBをフローセル10の内部に連通させて形成することにより、1つの空気溜部Aのみでは十分に吸収し得ない大きな圧力変動をも吸収して、流路の切り替え時に溶液Lの流れに乱れが発生することを未然に防止することができる。
溶液Lの圧力変動を吸収するのに十分な大きさの1つの空気溜部を形成することが難しい場合には、この実施の形態2のように、2つの空気溜部AおよびBを形成することが有効である。同様にして、3つ以上の空気溜部をそれぞれフローセル10の内部に連通させて形成してもよい。
また、フローセル10の外周部を囲むようなドーナツ形状の空気溜部を形成してフローセル10の内部に連通させることもできる。
【0032】
実施の形態3
図5に実施の形態3に係るセルソータの要部を示す。このセルソータは、実施の形態1のセルソータにおいて、突状部36の内部に空気溜部Aを形成する代わりに、突状部36の内部に弾性部材44を収容したものである。弾性部材44は、主流路であるフローセル10の内部に面して配置され、フローセル10内の溶液Lの圧力に応じて弾性変形する。弾性部材44としては、ゴム材、ウレタン素材等、汎用の各種の弾性材、緩衝材を用いることができる。
【0033】
空気溜部Aの代わりにこのような弾性部材44を用いても、溶液Lの圧力に応じて弾性部材44が弾性変形することで、溶液Lの液面が開口部38と突状部36の内部との間で移動し、流路の切り替え時における溶液Lの圧力変動を吸収することができる。その結果、溶液Lの流れに乱れが発生することが防止され、サンプル測定の信頼性が向上し、目標サンプルを正確に分別することが可能となる。
この実施の形態3においても、実施の形態2と同様に、複数の突状部を形成してそれぞれ弾性部材を収容配置することができる。
【0034】
実施の形態4
図6に実施の形態4に係るセルソータの要部を示す。このセルソータは、実施の形態1のセルソータにおいて、突状部36により形成された空気溜部Aとバルブ24とを1つのバルブ装置46として一体に組み込んだものである。このバルブ装置46に汎用のフローセルと2本の分岐管部とを連結することで、この発明に係るセルソータを容易に構成することが可能となる。
【0035】
なお、図6に示したバルブ装置46は、主流路を2つの分岐流路に選択的に接続するものであるが、3つ以上の分岐流路に選択的に接続するように構成することもできる。
また、空気溜部は1つに限らず、実施の形態2のように、複数の突状部を形成してそれぞれ空気溜部を形成してもよい。
さらに、実施の形態3のように、空気溜部Aの代わりに突状部36の内部に弾性部材を収容配置することもできる。
【符号の説明】
【0036】
10 フローセル、14 光学ユニット、16 光源部、18,20 受光部、22 分析部、24 バルブ、26 第1の分岐管部、28 第2の分岐管部、30 廃液容器、32 回収容器、34 制御部、36 突状部、38 開口部、40 第2の突状部、42 第2の開口部、44 弾性部材、46 バルブ装置、A 空気溜部、M 液面、S 測定サンプル、L 溶液、R1 レーザ光照射域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液中に分散され間隔をあけながら1列となって流れる多数の測定サンプルを光ビームの照射域に通すことにより得られるそれぞれの前記測定サンプルの光情報に基づいて前記測定サンプルに含まれる目標サンプルを選択的に分別するセルソータであって、
前記光ビームの照射域を通過した前記測定サンプルを前記溶液と共に流通させるための主流路と、
複数の分岐流路と、
前記主流路の下流端を前記複数の分岐流路のうちの1つに選択的に接続するための流路切替手段と、
前記主流路に連通すると共に前記流路切替手段による流路の切り替え時に生じる圧力変動を吸収するための緩衝手段と、
前記測定サンプルの光情報に基づいて前記流路切替手段による流路の切り替えを制御することにより前記測定サンプル中の前記目標サンプルを他のサンプルから分別する制御部と
を備えたことを特徴とするセルソータ。
【請求項2】
前記緩衝手段は、前記主流路に連通する空気溜部を有する請求項1に記載のセルソータ。
【請求項3】
前記緩衝手段は、前記主流路に面して配置されると共に前記主流路内の圧力変動に応じて弾性変形する弾性部材を有する請求項1に記載のセルソータ。
【請求項4】
前記流路切替手段および前記緩衝手段は、1つのバルブ装置に一体に組み込まれた請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルソータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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