説明

セルフチェックアウト端末

【課題】顧客による使い易さを犠牲にすることなく製作及び現場での設置作業を容易にしたセルフチェックアウト端末を提供することである。
【解決手段】顧客により操作される決済端末42の一側に商品籠載置台45を配設し他側に秤皿62と商品を一時的に載置する一時置き台64とを備えた秤装置44を配設したセルフチェックアウト端末41において、前記秤装置44を複数台併設し、これらの秤装置44の前記秤皿62の床面からの高さをそれぞれ同一高さとするとともに、前記秤装置44の前記一時置き台64の床面からの高さをそれぞれ同一高さとし、いずれか或いは全ての前記秤装置44の前記一時置き台64にレジ袋を保持する保持アーム68を取り付けて袋保持部を形成することにより袋掛け台43としたセルフチェックアウト端末である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客によるセルフチェックアウトを可能にするセルフチェックアウト端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品販売データ処理を実行するための各種ユーザインターフェースを顧客による操作と顧客への情報提供と顧客へのレシート発行とが可能な位置に配置し、顧客によるセルフチェックアウトを可能にしたセルフチェックアウト端末の開発が進められている(特許文献1)。各種ユーザインターフェースとしては、例えばバーコードリーダ等のような商品コード読取部、情報を表示する表示部、情報を入力する入力部、例えば硬貨及び紙幣の入出金装置のような決済を可能とする決済部、及びレシートプリンタ等が用意される。また、このように構成された決済端末の一側には、商品籠載置台を配設し、他側に秤皿と商品を一時的に載置する一時置き台とを備えた秤装置を配設しているのが通例である。そして、秤装置には、顧客の使用上の便宜を図るために、例えば、特許文献2及び特許文献3に示されるように、レジ袋を保持する保持アームによる袋保持部を形成している。
【0003】
このような従来のセルフチェックアウト端末の一例を図4乃至図7に基づいて説明する。まず、図4において、セルフチェックアウト端末1は、決済端末2と袋掛け台3及び秤装置4とから構成されている。前記決済端末2は、顧客が購入しようとする商品を入れた籠(図示せず)を載置するための商品籠載置台5が左脇から突出したハウジング6を有している。前記決済端末2の前記ハウジング6には、各種ユーザインターフェースが設けられている。つまり、左側に商品コード読取部としてのバーコードスキャナ7が配置され、右側にプリンタカバー8及び監視カメラ9が配置され、これらのバーコードスキャナ7とプリンタカバー8及び監視カメラ9の間には決済部としてのカード読取部10及びテンキー11が配置されている。バーコードスキャナ7は、商品に付された商品コードを読み取る商品コード読取部として機能する縦型スキャナである。プリンタカバー8には、レシート発行口12が設けられている。前記プリンタカバー8の奥側にはレシートプリンタ(図示せず)が内蔵され、このレシートプリンタによって印字される図示しないレシートは、前記レシート発行口12から発行されるように構成されている。前記監視カメラ9は、プリンタカバー8の上方に配置されている。前記カード読取部10は、図示しない非接触ICカードと無線通信を確立し、非接触ICカードに対して情報を読み書きする。非接触ICカードは、一例として現金と等価な価値を有する電子マネーを記憶保存することが可能であり、別の一例として、引き落し銀行口座を特定するための識別番号を記憶保存し、決済に際して利用される。前記テンキー11は、非接触ICカードでの決済に際して、暗証番号の入力のために用いられる。
【0004】
前記ハウジング6には、液晶表示パネルを有する表示部としてのLCD13が取り付けられている。このLCD13は、その表示面に入力部としてのタッチパネル14を有する。また、前記ハウジング6には、硬貨投入口15が配置され、その左側には硬貨払出口16が配置されている。また、ベースハウジングの前面右上方位置には、紙幣投入口17と紙幣払出口18とが配置されている。さらに、前記ハウジング6の背面からは、セルフチェックアウト端末1の現在の状態を表示する表示ポール19が立設されている。この表示ポール19は、先端部に青色と赤色とに選択的に発光する発光部20を有する。
【0005】
図5は、袋掛け台3として機能する秤装置4を示す斜視図である。秤装置4は、秤ハウジング21の上部に秤皿22が設けられ、この秤皿22に袋保持具23が取り付けられて構成されている。秤装置4は、その上面に載置台25を有する。袋保持具23は載置台25に取り付けられている。したがって、袋保持具23からすると、秤皿22は台座を構成する。つまり、載置台25の後方中央部にはポール形状のアーム支持部26が立設され、このアーム支持部26の上端には品物を載置するための一時置き台27が固定されている。一時置き台27は、上面が平坦面となっており、決済端末2のバーコードスキャナ7でバーコードを読み取った後の商品を一時的に置く用途で用いられる台である。
【0006】
このような一時置き台27の下面には、一対の保持アーム28とフック29とが取り付けられている。つまり、一時置き台27の下面両端位置には、アーム取付具30が固定されている。これらの固定は、例えばネジ止め、接着止め等、各種の固定手法によってなされている。そして、それらのアーム取付具30のそれぞれには、保持アーム28が埋設されている。また、一時置き台27の下面中央位置には、フック取付具31が固定されている。この固定は、例えばネジ止め、接着止め等、各種の固定手法によってなされている。そして、フック取付具31には、フック29が埋設されている。
【0007】
図6は、保持アーム28に収納袋としてのレジ袋32が保持されている状態を示す斜視図である。保持アーム28は、例えばスーパーマーケット等で顧客に提供するビニール袋等のレジ袋32、つまり、開口部33とこの開口部33から突出する一対の把手34とを有してこれらの把手34が両側に位置付けられるように折り畳まれたレジ袋32を保持するために、一対の把手34を串刺し状態で保持する。また、レジ袋32には、一対の把手34の間に位置させてミシン目35で脱落可能な一対の耳部36が形成されている。フック29は、引掛け穴37を挿通し、これによってレジ袋32を保持アーム28と共に保持する。
【0008】
しかして、図7(a)に示すものは、一時置き台27にレジ袋32を保持する保持アーム28が取り付けられた袋掛け台3として構成されているものであり、図7(b)に示すものは、保持アーム28が取り付けられていない状態で用いられる秤装置4として構成されているものであり、買い物籠38が載置されて商品の総重量が測定される。このように、袋掛け台3として使用する場合と、秤装置4として使用する場合とを考慮して、それぞれの秤皿22の高さ、一時置き台27の高さが異なるものに設定されている。すなわち、袋掛け台3の秤皿22の高さは、475mmであり、一時置き台27の高さが990mmである。一方、秤装置4の秤皿22の高さは、590mmであり、一時置き台27の高さが1075mmである。このように袋掛け台3として使用する場合と、秤装置4として使用する場合とで高さを変えているのは、人間工学的な解析に基づいて定めたものである。
【0009】
このように構成されたセルフチェックアウト端末1は、顧客自身により操作される。すなわち、顧客は購入しようとする商品が入った買い物籠38を商品籠載置台5の上に置き、商品を一つずつ取り出して登録する。この商品の登録は、バーコードが付された商品を持ってそのバーコードをバーコードスキャナ7で読取るか、商品のバーコードを図示しないハンドスキャナで読取るか、或いは、バーコードのない商品であれば、LCD13に表示された画面上で選択して入力することにより実行される。そして、登録が終わった商品は、レジ袋32に順次投入され、秤装置4でその総重量が測定されている。これにより、個々の商品についてはメモリに予めその重量が入力されているため、登録した商品の総重量は個々の商品の重量を加算することにより求められ、実際に測り装置4で測定した総重量と対比することにより不正があったか否かのチェックがなされる。その後、硬貨投入口15、硬貨払出口16、紙幣投入口17、紙幣払出口18を用いて厳禁による支払いがなされ、また、クレジットカードの場合にはカード読取部10を用いて支払いがなされる。このような操作を行っている際に、操作方法が不明であったり、登録を途中で取りやめたいときには、キーボードに設けられた「店員呼出」のボタンを押す。これにより、セルフチェックアウト端末1の操作上で予想していなかった事柄についても的確な対応ができるものである。
【0010】
【特許文献1】特開2004−086728公報
【特許文献2】特許第2552996号明細書
【特許文献3】特開平6-270925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、セルフチェックアウト端末1を構成するには、決済端末2の側部に袋掛け台3又は秤装置4を連接させなければならないものであるが、これらの袋掛け台3と秤装置4とに設けられる秤皿22と一時置き台27との高さは、前述のように異なる寸法に設定されている。このように定めた理由は、人間工学的な配慮がなされた結果ではあるが、実際に使用してみると、従来の寸法関係が多数の顧客に対して決定的に有効であるとは言い難い。そのため、使いやすいであろうという推測に基づいて定められている寸法であり、袋掛け台3と秤装置4として別の装置として製作する必要性が決定的なものではない。したがって、このように異なる製品として製作した上で決済装置2と組み合わせることは、非常に無駄なことをしている可能性が高い。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、顧客による使い易さを犠牲にすることなく製作及び現場での設置作業を容易にしたセルフチェックアウト端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
顧客により操作される決済端末の一側に商品籠載置台を配設し他側に秤皿と商品を一時的に載置する一時置き台とを備えた秤装置を配設したセルフチェックアウト端末において、前記秤装置を複数台併設し、これらの秤装置の前記秤皿の床面からの高さをそれぞれ同一高さとするとともに、前記秤装置の前記一時置き台の床面からの高さをそれぞれ同一高さとし、いずれか或いは全ての前記秤装置の前記一時置き台にレジ袋を保持する保持アームを取り付けて袋保持部を形成することにより袋掛け台としたセルフチェックアウト端末である。
【発明の効果】
【0014】
したがって、レジ袋を保持する保持アームを取り付ける前の状態は、秤装置として構成されているものであるが、この秤装置に保持アームを取り付けることにより、袋掛け装置として転用することができ、これにより、製作上の部品寸法を共通化して製作し易くすると共に、スーパーマーケット等の現場での設置作業もきわめて容易なものであり、しかも、必要に応じて秤装置とするか袋掛け装置とするかの転換を簡単に行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の態様を図1乃至図3に基づいて説明する。まず、図1において、セルフチェックアウト端末41は、決済端末42と袋掛け台43及び秤装置44とから構成されている。前記決済端末42は、顧客が購入しようとする商品を入れた籠(図示せず)を載置するための商品籠載置台45が左脇から突出したハウジング46を有している。前記決済端末42の前記ハウジング46には、各種ユーザインターフェースが設けられている。つまり、左側に商品コード読取部としてのバーコードスキャナ47が配置され、右側にプリンタカバー48及び監視カメラ49が配置され、これらのバーコードスキャナ47とプリンタカバー48及び監視カメラ49の間には決済部としてのカード読取部50及びテンキー51が配置されている。バーコードスキャナ47は、商品に付された商品コードを読み取る商品コード読取部として機能する縦型スキャナである。プリンタカバー48には、レシート発行口52が設けられている。前記プリンタカバー48の奥側にはレシートプリンタ(図示せず)が内蔵され、このレシートプリンタによって印字される図示しないレシートは、前記レシート発行口52から発行されるように構成されている。前記監視カメラ49は、プリンタカバー48の上方に配置されている。前記カード読取部50は、図示しない非接触ICカードと無線通信を確立し、非接触ICカードに対して情報を読み書きする。非接触ICカードは、一例として現金と等価な価値を有する電子マネーを記憶保存することが可能であり、別の一例として、引き落し銀行口座を特定するための識別番号を記憶保存し、決済に際して利用される。前記テンキー51は、非接触ICカードでの決済に際して、暗証番号の入力のために用いられる。
【0016】
前記ハウジング46には、液晶表示パネルを有する表示部としてのLCD53が取り付けられている。このLCD53は、その表示面に入力部としてのタッチパネル54を有する。また、前記ハウジング46には、硬貨投入口55が配置され、その左側には硬貨払出口56が配置されている。また、ベースハウジングの前面右上方位置には、紙幣投入口57と紙幣払出口58とが配置されている。さらに、前記ハウジング46の背面からは、セルフチェックアウト端末41の現在の状態を表示する表示ポール59が立設されている。この表示ポール59は、先端部に青色と赤色とに選択的に発光する発光部60を有する。
【0017】
しかして、前記袋掛け台43及び前記秤装置44の基本構造は同一である。すなわち、秤ハウジング61の上部に秤皿62が設けられ、この秤皿62の後部にはポール形状のアーム支持部63が立設され、このアーム支持部63の上部には、商品を一時的に載置する一時置き台64が固定されている。この一時置き台64の基板65には、図2に示すように、複数個の取付孔66が形成されており、これらの取付孔66にネジ又はボルトによる結合具67を挿通させて保持アーム68が取り付けられる。そして、前記基板65の上面に前記結合具67の頭部を隠す平坦な天板69を固定する。このようにして保持アーム68を取り付けたのが袋掛け台43であり、保持アーム68を取り付けていないのが秤装置44である。なお、この部分の詳細構造を説明すれば、前記保持アーム68の基部には、アーム取付具70が固定されているものであり、これらのアーム取付具70の取付面71には、前記結合具67がネジ結合されるネジ孔72が形成されている。また、中央に位置する前記フック78は、その端部に取付板73が固定されており、この取付板73に形成された取付孔74には、前記結合具67が挿入されて前記基板65に固定されている。この場合の結合具67は、前記基板65の上面にまでは突出しない。このような構造で基板65に保持アーム68及びフック78は取り付けられるため、保持アーム68及びフック78の着脱はきわめて容易であり、袋掛け台43と秤装置44との構成変換は簡単である。
【0018】
ついで、従来例を示す図6に示されているように、前記レジ袋32は、折り畳まれた状態においては、その耳部36に設けられた引掛け穴37がフック29に引っ掛けられ、保持されている。保持アーム68は、このようにフック78に保持されている折り畳まれた状態のレジ袋32を保持する第1の保持部75を根本側に有する。これらのフック78及び第1の保持部75は、折り畳まれたレジ袋32を複数枚積層状態で保持し得るだけの保持容量を有している。保持アーム68は、第1の保持部75に連続してレジ袋32を第1の保持部75による保持位置よりも低い位置で開いた状態で保持する第2の保持部76を先端側に有する。第2の保持部76は、その中央部の高さが高くなる形状、より詳細にはアーチ形状に形成されている。したがって、第2の保持部76の両端部の二点は高さが低く、これらの高さが低い二点を繋ぐ中央部はアーチ形状に盛り上がっている。そして、第1の保持部75と第2の保持部76とは、第1の保持部75から第2の保持部76に直線的に傾斜する傾斜部77で連結されている。更に、第2の保持部76の端部、つまり保持アーム68の最先端となる部分は、高さが低い部分から斜め上方に向けて上昇している。この上昇部分は、保持したレジ袋の把手を脱落させないようにするための返し部79となっている。
【0019】
この場合、図3(a)(b)に示すように、秤皿62の床面からの高さは540mmであり、一時置き台64の床面からの高さは1045mmである。このような位置関係は、従来のものにおける折衷的なものであり、使用上は、全く違和感のないものである。
【0020】
このように、保持アーム68を取り付けるか否かにより、袋掛け台43ともなり秤装置44ともなるので、工場における製造がきわめて容易になり、しかも、スーパーマーケット等の現場における設置作業が容易であり、さらに、必要に応じて秤装置44とするか袋掛け装置43とするかの転換を簡単に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の態様を示す斜視図である。
【図2】一時置き台部分の分解斜視図である。
【図3】(a)は、袋掛け装置の正面図、(b)は秤装置の正面図である。
【図4】従来のセルフチェックアウト端末の一例を示す斜視図である。
【図5】袋掛け装置の斜視図である。
【図6】レジ袋を掛けた状態の斜視図である。
【図7】(a)は、秤装置の正面図、(b)は袋掛け装置の正面図である。
【符号の説明】
【0022】
41 セルフチェックアウト端末、42 決済端末、43 袋掛け台、44 秤装置、62 秤皿、64 一時置き台、68 保持アーム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客により操作される決済端末の一側に商品籠載置台を配設し他側に秤皿と商品を一時的に載置する一時置き台とを備えた秤装置を配設したセルフチェックアウト端末において、前記秤装置を複数台併設し、これらの秤装置の前記秤皿の床面からの高さをそれぞれ同一高さとするとともに、前記秤装置の前記一時置き台の床面からの高さをそれぞれ同一高さとし、いずれか或いは全ての前記秤装置の前記一時置き台にレジ袋を保持する保持アームを取り付けて袋保持部を形成することにより袋掛け台としたことを特徴とするセルフチェックアウト端末。
【請求項2】
前記一時置き台の基板に複数個の取付孔を形成し、これらの取付孔にネジ又はボルトによる結合具により前記保持アームを取り付け、前記基板の上面に前記結合具の頭部を隠す平坦な天板を固定したことを特徴とする請求項1記載のセルフチェックアウト端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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