説明

センサの状態把握機能付き渦流量計

【課題】 渦検出センサの状態把握をすることが可能な、センサの状態把握機能付き渦流量計を提供する。
【解決手段】 渦検出センサ5と、温度情報出力手段32を構成する温度センサ4と、渦検出センサ5の絶縁抵抗値を出力する絶縁抵抗値出力手段33と、温度センサ4の測定温度に対応する正常な絶縁抵抗値を予め記憶する正常値記憶手段34と、正常な絶縁抵抗値から決める正常値の範囲及び渦検出センサ5の絶縁抵抗値を比較する絶縁抵抗値比較手段35と、その絶縁抵抗値比較手段35において渦検出センサ5の絶縁抵抗値が正常値の範囲を外れた場合に警告信号を出力する信号出力手段36と、を備えて本発明の渦流量計1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体や流体の流量計測に広く使用される渦流量計に関し、詳しくは、センサの状態把握機能を有する渦流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
流管に流れる被測定流体の流量を計測するために渦流量計が用いられている。渦流量計は、周知のように、流体の流れの中に渦発生体を配設したとき、所定のレイノルズ数範囲では、渦発生体から単位時間内に発生するカルマン渦の数(渦周波数)が気体、液体に関係なく流量に比例することを利用したもので、この比例定数はストローハル数と呼ばれている。渦検出センサとしては、圧電センサ等が挙げられ、渦発生体により生じるカルマン渦に基づく渦変動差圧を検出することが可能である。渦流量計は、被測定流体の物性に影響されずに流量を測定できる簡易な流量計であって、気体や流体の流量計測に広く使用されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2869054号公報 (第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術にあっては、渦検出センサの劣化が生じ始めても気が付くことがなく、そのまま使い続けてしまうことが通常である。すなわち、出力異常となるまで使い続け、サービスマンに劣化を指摘されるまで分からないことが通常である。渦検出センサの劣化が進行し出力異常が生じてしまうと、正常復帰させるための部品手配が必要になり、また、突然の出費が伴ってしまうことになる。さらに、部品を手配することはその部品が納入されるまで待たなくてはならず、流量計測に影響を来してしまうことになる。従って、渦検出センサの劣化状態を把握していないと、時間のロスや出費が突然に発生してしまうことになる。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、渦検出センサの状態把握をすることが可能な渦流量計、すなわちセンサの状態把握機能付き渦流量計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のセンサの状態把握機能付き渦流量計は、被測定流体を通過させる測定管と、前記被測定流体の流れに対向するように前記測定管に設ける渦発生体と、圧電素子を有し前記渦発生体により生じるカルマン渦に基づく渦変動差圧を検出する渦検出センサと、を備える渦流量計であって、前記渦検出センサの温度情報を出力する温度情報出力手段と、前記渦検出センサの絶縁抵抗値を出力する絶縁抵抗値出力手段と、前記温度情報に対応する正常な絶縁抵抗値から決める正常値の範囲及び前記絶縁抵抗値を比較する絶縁抵抗値比較手段と、該絶縁抵抗値比較手段において前記絶縁抵抗値が前記正常値の範囲を外れた場合に、又は逆に、前記絶縁抵抗値が前記正常値の範囲内にある場合に、所定の信号を出力する信号出力手段と、を更に備えることを特徴としている。
【0006】
請求項2記載の本発明のセンサの状態把握機能付き渦流量計は、請求項1に記載のセンサの状態把握機能付き渦流量計において、前記正常な絶縁抵抗値を予め記憶する正常値記憶手段、又は前記温度情報に基づいて前記正常な絶縁抵抗値を算出する正常値算出手段を備えることを特徴としている。
【0007】
このような特徴を有する本発明によれば、容積流量の測定に必要不可欠な構成となる渦検出センサの状態を把握するために、渦検出センサの絶縁抵抗値と、温度情報に基づく正常値の範囲とを比較し、そして、渦検出センサの絶縁抵抗値が正常値の範囲に含まれるか否かの判断を行う。その結果、渦検出センサの絶縁抵抗値が正常値の範囲を外れているようであれば、渦検出センサの状態が良くないとして例えば警告信号のような信号を出力する。また、これとは逆に、渦検出センサの絶縁抵抗値が正常値の範囲内であるようであれば、渦検出センサの状態が良いとして例えば正常信号のような信号を出力する。渦検出センサの状態把握は、所望のタイミングで行い、必要があれば常時行うようにしても良い。上記警告信号や正常信号のような所定の信号を出力することによって、渦検出センサの状態に係る表示、アラーム、接点(リレー、オープンコレクタ)などの後処理が行える。
【0008】
本発明によれば、例えば、渦検出センサの劣化による流量出力異常となる前にセンサの寿命であることを知らせることが可能になる。その結果、計画的に部品購入及びメンテナンスサービスを受けることが可能になる。また、長期にわたって安心して渦流量計を使用することが可能になる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された本発明によれば、信号出力手段からの所定の信号に基づいて渦検出センサの状態を把握することができるという効果を奏する。また、請求項2に記載された本発明によれば、絶縁抵抗値との比較を行うために用いる正常値を、予め記憶させておく方式と演算によって求める方式のいずれかから選択することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の渦流量計、すなわちセンサの状態把握機能付き渦流量計の一実施の形態を示す図であり、図1(a)は渦流量計の断面図、図1(b)は渦検出センサの状態把握に係るブロック図である。また、図2(a)は振動管の断面図、図2(b)は渦検出センサの断面図、図2(c)は渦検出部の断面図、図3は渦流量計の回路構成図、図4は渦流量計の動作を示すフローチャートである。
【0011】
図1(a)において、引用符号1は本発明の渦流量計(センサの状態把握機能付き渦流量計)を示している。その本発明の渦流量計1は、測定管2と、渦発生体3と、温度センサ4を内蔵した渦検出センサ5と、その渦検出センサ5からの出力信号に基づいて被測定流体(図示省略)の流速又は流量(容積流量)を算出する流量変換器(図示省略)とを備えて構成されている。また、本発明の渦流量計1は、渦検出センサ5の状態把握(ここでは劣化状態の把握)をすることができるように構成されている。以下、図1(a)、図2、図3を参照しながら上記の各構成について説明する。
【0012】
測定管2は、管断面が例えば円形状となる筒状に形成されている。測定管2は、被測定流体が流れる方向に沿って伸びるように形成されている。渦発生体3は、測定管2の内部に渦を発生させるための部分であって、被測定流体の流れに対向するように、その形状が形成されている。渦発生体3は、本形態において、三角柱形状に形成されている(形状は一例であるものとする。特許文献1の特許第2869054号公報には幾つかの例が開示されている)。渦発生体3には、一端が開口した計測室6が形成されている。計測室6は、渦発生体3の軸方向に形成されている。このような計測室6には、被測定流体の流れに対して直交方向に貫通する導圧孔7が形成されている。導圧孔7は、渦(カルマン渦)による変動圧を計測室6に導入するために形成されている。
【0013】
ここで、渦発生体3により生じる渦について説明する。渦は、測定管2に流入する被測定流体が渦発生体3に沿って流れる流れによって生じる運動量変化の大きい位置から剥離するもので、渦発生体3の断面が本形態のように三角形状の場合は、三角形エッジ部が剥離点となる。渦発生体3から剥離し流出する渦は、カルマンの安定渦条件に従って、千鳥状に交互に発生し、一定の渦間距離及び渦列間距離を保った渦列を形成しながら流出する。渦間距離は、単位時間当たりに発生する渦の数、すなわち、渦周波数と、所定時間内に、例えば、基準タンク等の基準容器に流入した流体から求めた流量に基づいて算出された単位時間当たりの流速とから求めることができる。
【0014】
渦検出センサ5は、渦検出のためのセンサであって、ここでは圧電センサが用いられている。渦検出センサ5は、振動管8と渦検出部9とを備えて構成されている。振動管8は、計測室6に差し込まれる可動管部10と、可動管部10の一端に連成される受圧板11と、可動管部10の他端に連成されて測定管2の固定部に固定される振動部取り付けフランジ12と、その振動部取り付けフランジ12に連成される振動管頭部13と、振動管頭部13から可動管部10の上記一端近傍にかけて形成される空洞部14とを有している。
【0015】
可動管部10は、計測室6の内周面に対して僅かな隙間があくような形状に形成されている。受圧板11は、導圧孔7の位置に合うように配置形成されている。振動部取り付けフランジ12には、ボルト穴15が形成されている。振動管頭部13には、渦検出部9を固定するための固定部16が形成されている。空洞部14には、渦検出部9が僅かな隙間をあけて差し込まれるようになっている。
【0016】
渦検出部9は、振動管8に対して着脱自在となるように構成されている。すなわち、渦検出センサ5は、渦検出部9に劣化が生じてもその渦検出部9を交換すれば容易に正常復帰させることができるようになっている。また、渦検出センサ5は、被測定流体の流れを止めずにメンテナンスを行うことができるようになっている。渦検出部9には、後述するが、温度センサ4が一体化されている。渦検出部9は、振動管8が受けるカルマン渦による圧力変動を忠実に受けて電気信号に変換して流量変換器(図示省略)へ出力することができるように構成されている。具体的には、弾性母材17と、圧電素子板18と、電極板19と、端子20と、リード線21と、挿通管22と、バネ板23と、素子カバー24とを備えて構成されている。
【0017】
弾性母材17は、異径の金属柱であって、上端部25と支持円柱部26とバネ取り付け部27とを有している。上端部25には、圧電素子板18が貼り付けによって取り付けられている。弾性母材17は、上端部25側が素子カバー24内に収容されるようになっている。支持円柱部26は、可動管部10に差し込まれる部分であって、空洞部14に対して僅かな隙間があくような形状に形成されている。支持円柱部26の上端には、上端部27が、また、支持円柱部26の下端には、バネ取り付け部27が連成されている。バネ取り付け部27は、支持円柱部26よりも小径であって、バネ板23が溶接等により連成されている。
【0018】
バネ板23は、空洞部14の端部に形成される係止凹部28に挿入され、そして、バネ作用によって支持可能となる部分であって、放射状のスリット(図示省略)が複数形成されている。バネ板23は、係止凹部28の径よりも若干大きな径となるように形成されている。
【0019】
圧電素子板18は、上端部25に形成された二つの面取り部に各々金ペースト等の導電性接着剤を用いて貼着された圧電素子であって、非貼着面には、各々、例えば多孔板からなる電極板19が貼着されている。圧電素子板18は、端子20を介してリード線21に接続されている。
【0020】
素子カバー24は、圧電素子板18、電極板19、及び端子20からなる検出素子部(符号省略)を密封するために備えられている。素子カバー24は、両端部が窄む略円筒体の形状に形成されている。素子カバー24の周囲には、素子カバーフランジ29が形成されている。渦検出部9は、素子カバーフランジ29を介して振動管頭部13の固定部16に固定されるようになっている。素子カバー24の上端部には、リード線21を挿通する挿通管22が気密に取り付けられている。また、素子カバー24の下端部には、上端部25と支持円柱部26の境界部分が溶接されている。素子カバー24の下端部からは、支持円柱部26とバネ板23とが突出するようになっている。素子カバー24は、上記検出素子部を収容するために二分割することができる形状に形成されている。引用符号30は分割部分の溶接部を示している。
【0021】
温度センサ4は、特に限定するものではないが、本形態において渦検出センサ5に一体化されている。温度センサ4は、渦検出センサ5の温度を測定するための、言い換えれば渦検出センサ5の温度情報を出力するためのセンサであって、弾性母材17の内部に収容固定されている。温度センサ4は、渦検出センサ5と同様に端子20を介してリード線21に接続されている。温度センサ4は、特許請求の範囲に記載した温度情報出力手段32(後述する)を構成するものとする。温度情報は、温度センサ4を内蔵することに限らず、外部から入力するようにしてもよいものとする。
【0022】
上記構成において、渦検出センサ5は、温度センサ4を内蔵した渦検出部9を振動管8内に挿入して振動伝達可能に一体に固着したものであって、振動管8と渦検出部9との固着部分は、係止凹部28とバネ板23の外周のバネ力による接触部分、及び、振動管8の振動管頭部13の固定部16と素子カバーフランジ29とのボルト穴を介したボルト締めによる部分の二カ所となっている。
【0023】
測定管2の流路31に被測定流体(図示省略)が流れ、カルマン渦が左右交互に発生すると、変動圧力が生じ受圧板11が左右に振動する。これにより振動管8の可動管部10は、振動部取り付けフランジ12を支点として振動する。振動は、バネ板23を介して弾性母材17に伝達される。弾性母材17は、上端部25側が素子カバー24内に収容され、また、固着されていることから、上端部25側を支点として片持ち状に左右に振動して圧電素子板18に交番応力を生じさせる。渦検出センサ5は、渦に対応した電気信号を流量変換器(図示省略)に出力する。
【0024】
次に、本発明の渦流量計1において行われる、渦検出センサ5の状態把握(劣化状態の判断)について説明する。
【0025】
図1(b)において、本発明の渦流量計1は、上記説明の渦検出センサ5及び温度センサ4の他に、渦検出センサ5の温度情報を出力する温度情報出力手段32と、渦検出センサ5の絶縁抵抗値(圧電素子板18の絶縁抵抗値)を出力する絶縁抵抗値出力手段33と、温度センサ5の測定温度に対応する正常な絶縁抵抗値(後述する)を予め記憶する正常値記憶手段(メモリ)34と、正常な絶縁抵抗値から決められる正常値の範囲(後述する)及び渦検出センサ5の絶縁抵抗値を比較する絶縁抵抗値比較手段35と、その絶縁抵抗値比較手段35において渦検出センサ5の絶縁抵抗値が上記正常値の範囲を外れた場合に警告信号を出力する信号出力手段36と、を備えて構成されている。本発明の渦流量計1は、このような構成によって渦検出センサ5の状態把握(ここでは劣化状態の把握)をすることができるようになっている
【0026】
尚、正常値記憶手段34に替えて次のような機能を有する正常値算出手段(図示省略)を備えてもよいものとする。その正常値算出手段は、温度センサ5の測定温度に基づいて正常な絶縁抵抗値を算出する機能を有している。正常値記憶手段34と上記正常値算出手段のいずれかを選択すればよいものとする。また、図1(b)の構成において、渦検出センサ5の絶縁抵抗値が上記正常値の範囲を外れた場合に警告信号を出力するとしているが、これに限らず、上記正常値の範囲内の場合に正常信号を出力するようにしてもよいものとする。
【0027】
本発明の渦流量計1について更に具体的に構成を説明すると、図3に示されるように、渦検出センサ5には、切替器37が接続されている。切替器37は、CPU38の制御によってチャージアンプ39又は定電流回路40への接続切り替えを行えるようになっている。チャージアンプ39には、増幅・フィルタ41が接続されている。また、増幅・フィルタ41には、トリガ42が接続されている。さらに、トリガ42には、CPU38が接続されている。CPU38は、渦検出センサ5からの電気信号に基づいて被測定流体(図示省略)の流速又は流量(容積流量)を算出することができるようになっている。
【0028】
切替器37の接続切り替えによって渦検出センサ5に一定電流を供給し、渦検出センサ5の両端電圧を計測(渦検出センサ5に一定電圧を供給し、渦検出センサ5の両端電圧と固定抵抗の分圧電圧を計測することでもよいものとする)すると、その両端電圧は、A/D変換器43を介してCPU38に入力される。CPU38では、渦検出センサ5の絶縁抵抗値が算出される(この回路は上記絶縁抵抗値出力手段33に相当する)。温度センサ4の検出値は、A/D変換器44を介してCPU38に入力される(この回路は上記温度情報出力手段32に相当する)。CPU38では、温度センサ4の測定温度に基づいて渦検出センサ5の劣化状態の把握が行われる(CPU38は絶縁抵抗値比較手段35としても機能する)。
【0029】
渦検出センサ5の劣化状態の把握に際しては、CPU38に接続される正常値記憶手段(メモリ)34に予め記憶させておいた正常な絶縁抵抗値の中から、温度センサ4の測定温度に対応する正常な絶縁抵抗値が読み込まれるものとする。また、CPU38では、温度センサ4の測定温度に対応する正常な絶縁抵抗値に基づいて正常値の範囲(正常として許容できる範囲)が設定されるものとする。
【0030】
図4において、本発明の渦流量計1が作動し計測が開始されると、渦検出センサ5及び温度センサ4により渦検出及び温度計測が行われる(ステップS1)。次に、渦検出センサ5からの電気信号及び温度センサ4からの電気信号がCPU38に取り込まれる。CPU38では、渦検出センサ5からの電気信号に基づいて被測定流体(図示省略)の流速又は流量が算出される(ステップS2)。次に、算出された流速又は流量が表示器45に表示・出力される(ステップS3)。次に、温度センサ4からの電気信号に基づいて渦検出センサ5の温度がt℃(例えばt=400℃やt=300℃など)以上であるかどうかの判断がなされる(ステップS4)。
【0031】
ステップS4の処理において、渦検出センサ5の温度がt℃未満の場合には、ステップS1の処理に戻り、再び渦検出及び温度計測が続けられる。一方、渦検出センサ5の温度がt℃以上の場合には、流量データをメモリに待避させるとともに(ステップS5)、メモリに待避させた流量データに基づいて表示器45への表示・出力が行われる(ステップS6)。尚、ステップS6での表示・出力は、後述する絶縁抵抗値の測定終了まで、又は渦検出センサ5の劣化状態の把握終了まで行われる。
【0032】
流量データのメモリへの待避が行われると、次に、切替器37の接続切り替えが行われる(ステップS7)。次に、正常値記憶手段(メモリ)34に予め記憶させておいた正常な絶縁抵抗値が読み込まれる(ステップS8)。次に、渦検出センサ5の両端電圧が検出され、CPU38において渦検出センサ5の絶縁抵抗値が算出される(ステップS9)。次に、温度センサ4の測定温度に対応する正常な絶縁抵抗値から正常値の範囲が決められ、その正常値の範囲と渦検出センサ5の絶縁抵抗値とが比較され、渦検出センサ5の絶縁抵抗値が許容範囲内であるかどうかの判断がなされる(ステップS10)。
【0033】
ステップS10の処理において、渦検出センサ5の絶縁抵抗値が許容範囲内である場合には、切替器37の接続切り替えが行われ(ステップS11)、そして、ステップS1の処理に戻って再び渦検出及び温度計測が続けられる。一方、渦検出センサ5の絶縁抵抗値が許容範囲外である場合には、切替器37の接続切り替え間隔が短くなるように変更される(ステップS12)。尚、ステップS12以降の処理を行わずに後述するステップS15の処理に移行してもよいものとする。
【0034】
次に、渦検出センサ5の絶縁抵抗値がステップS10とは別の許容範囲内であるかどうかの判断がなされる(ステップS13)。ステップS13の処理において、渦検出センサ5の絶縁抵抗値が許容範囲内である場合には、切替器37の接続切り替えが行われ(ステップS14)、そして、ステップS1の処理に戻って再び渦検出及び温度計測が続けられる。一方、渦検出センサ5の絶縁抵抗値が許容範囲外である場合には、渦検出センサ5の劣化が有ることが判断される。そして、所定の信号が出力回路46に出力され、警告表示や警告アラームや警告接点等がなされる(ステップS15)。上記所定の信号は、ここでは警告信号であり、特に図示しないが、リセットを掛けない限り警告表示や警告アラームや警告接点等が続くものとする(この限りでないものとする)。
【0035】
尚、上記警告信号の数をカウントしておいて、あるカウントに達したら警告表示方法を変更(例えば警告表示がセンサ交換時期を知らせるランプの点滅であって、その点滅の間隔を変更するなど)したりすることも効果的である。また、上記警告信号を初めてカウントした時に、その日時を記憶しておいて経過時間等をユーザーが把握できるようにすることも効果的である。
【0036】
以上、図1ないし図4を参照しながら説明してきたように、本発明の渦流量計1によれば、渦検出センサ5の劣化による流量出力異常となる前にセンサの寿命であることを知らせることができる。その結果、計画的に部品購入及びメンテナンスサービスを受けることができる。また、長期にわたって安心して渦流量計1を使用することができる。
【0037】
本発明の渦流量計1によれば、ユーザー側で判断することができる。また、本発明の渦流量計1によれば、渦検出センサ5の絶縁抵抗値測定時であっても、表示・出力を途切れないようにすることができる。さらに、本発明の渦流量計1によれば、複雑な回路にならず安価に提供することができる。
【0038】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のセンサの状態把握機能付き渦流量計の一実施の形態を示す図であり、(a)は渦流量計の断面図、(b)は渦検出センサの状態把握に係るブロック図である。
【図2】(a)は振動管の断面図、(b)は渦検出センサの断面図、(c)は渦検出部の断面図である。
【図3】渦流量計の回路構成図である。
【図4】渦流量計の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 渦流量計(センサの状態把握機能付き渦流量計)
2 測定管
3 渦発生体
4 温度センサ(温度情報出力手段)
5 渦検出センサ
6 計測室
7 導圧孔
8 振動管
9 渦検出部
10 可動管部
11 受圧板
12 振動部取り付けフランジ
13 振動管頭部
14 空洞部
15 ボルト穴
16 固定部
17 弾性母材
18 圧電素子板
19 電極板
20 端子
21 リード線
22 挿通管
23 バネ板
24 素子カバー
25 上端部
26 支持円柱部
27 バネ取り付け部
28 係止凹部
29 素子カバーフランジ
30 溶接部
31 流路
32 温度情報出力手段
33 絶縁抵抗値出力手段
34 正常値記憶手段
35 絶縁抵抗値比較手段
36 信号出力手段
37 切替器
38 CPU
39 チャージアンプ
40 定電流回路
41 増幅・フィルタ
42 トリガ
43、44 A/D変換器
45 表示器
46 出力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体を通過させる測定管と、前記被測定流体の流れに対向するように前記測定管に設ける渦発生体と、圧電素子を有し前記渦発生体により生じるカルマン渦に基づく渦変動差圧を検出する渦検出センサと、を備える渦流量計であって、
前記渦検出センサの温度情報を出力する温度情報出力手段と、前記渦検出センサの絶縁抵抗値を出力する絶縁抵抗値出力手段と、前記温度情報に対応する正常な絶縁抵抗値から決める正常値の範囲及び前記絶縁抵抗値を比較する絶縁抵抗値比較手段と、該絶縁抵抗値比較手段において前記絶縁抵抗値が前記正常値の範囲を外れた場合に、又は逆に、前記絶縁抵抗値が前記正常値の範囲内にある場合に、所定の信号を出力する信号出力手段と、を更に備える
ことを特徴とするセンサの状態把握機能付き渦流量計。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサの状態把握機能付き渦流量計において、
前記正常な絶縁抵抗値を予め記憶する正常値記憶手段、又は前記温度情報に基づいて前記正常な絶縁抵抗値を算出する正常値算出手段を備える
ことを特徴とするセンサの状態把握機能付き渦流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−84199(P2006−84199A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266689(P2004−266689)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000103574)株式会社オーバル (82)