説明

センサの耐圧容器

【課題】小型・軽量化を図りながら、水圧下での耐圧容器の強度を確保するとともに、耐圧容器に振動子を組込む際の配列と位置決めを容易にし生産性・信頼性の向上を実現できるようにする。
【解決手段】
複数の振動子23が配列された状態で収納される音響センサ(センサ)の耐圧容器22において、複数の振動子23のノード部と耐圧容器22の内壁部との間に固定される支持部材34を備え、支持部材34を介して、耐圧容器22と複数の振動子23と支持部材34が一体化して連結される構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水中で探査、測定等に使用する送波器・受波器等のセンサの耐圧容器に関する。
【背景技術】
【0002】
水中(海中を含む)で探査、測定等に使用する送波器・受波器等の音響センサがある。たとえば図7の横断面図に示すように、この種の音響センサ1は、耐圧容器2の内部に複数の振動子3を配列したものである。耐圧容器2は、バックプレート6、サイドプレート7a、7bから構成され、振動子3は、リアマス8、圧電材9、フロントマス10から構成される。振動子3を、オニオンスキンペーパー5を介してバックプレート6と音響ゴム4との間に挟み込むことで固定している。
【0003】
図8(a)に示すように、音響センサ1は、発音時における振動子自身の振動モードに影響を与えないようにするため、振動子3の一方の端部を放射面13とし、もう一方の端部を耐圧容器2の固定部とする構造が一般的である。
図8(a)は、音響センサ1を水中で使用した際に耐圧容器2の両側面に矢印方向の水圧11を受けた状態を示している。また、図8(b)は、耐圧容器2が水圧11で変形したときの変形イメージと、耐圧容器2が等分布荷重を受けたときのたわみの計算式を示している。Ymaxは耐圧容器(サイドプレート7a又は7b)の最大たわみ、ωは水圧(等分布荷重)、Lは耐圧容器(サイドプレート7a又は7b)の支点間の長さ、Eは縦弾性係数、Izは断面2次モーメントである。
【0004】
振動子3とバックプレート6の固定方法としては、上記した挟み込み以外にねじなどを介して固定する方法がある。振動子3の放射面13は、音響ゴム4とフロントマス10の接触面となる。音響ゴム4を形成する材料としては、振動子3で発生する振動を減衰しないように、弾性材料であるゴム材料あるいはモールド材料を使用する。
【0005】
上記した音響センサの関連技術としては、特許文献1に記載の超音波水処理装置が知られている。この装置は、振動子、振動体としてのホーン、ホーンを保持する容器としてのケース、フランジ等を備え、振動子にて発生した超音波振動をホーンの各部を経由してホーン処理面へ伝播するものである。
また、別の関連技術としては、特許文献2に記載の水中超音波送受波器が知られている。この送受波器は、楕円シェルの内部に振動方向を一致させ、かつ間隙を設けて振動体としてのアクティブ柱状体を内包し、これにボルトを貫通させて楕円シェルの長軸端に固定したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−043622号公報
【特許文献2】特開平04−334199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、角柱や円柱等の長い形状を有する振動子を耐圧容器の内部に複数配列して固定する構造の音響センサにおいて、振動子の従来の固定方法には以下のような問題がある。
【0008】
第1の問題点として、図8(a)に示すように、音響センサの音響ゴム4は弾性材料から形成されているため強度部材とはならない。このため、強度部材であるバックプレート6、サイドプレート7a、7bから構成される耐圧容器2がコの字型の構造となり、振動子3を固定している。その結果、耐圧容器2が片持ち梁の構造となることである。
図8(a)に示すように、片持ち梁構造の耐圧容器2が水圧11を受けると、サイドプレート7a、7bとバックプレート6との接合箇所に相当する支点12を基点として、サイドプレート7a、7bが音響ゴム4の音響面13側に最大たわみを生じる。その結果、サイドプレート7a、7bが振動子3のフロントマス10に接触し、音響性能に悪影響を及ぼす。
従来の音響センサの構造で、サイドプレート7a、7bが振動子3に接触しないような耐圧容器2にするためには、バックプレート6、サイドプレート7a,7bの板厚の増加や、リブや補強部品などの追加により、耐圧容器2の剛性を確保することが必須となる。しかし、これに伴って、音響センサの小型・軽量化の妨げになるとともに、コスト面、製造性(補強部品の追加などによる構造の複雑化)などが問題となる。
【0009】
第2の問題点として、音響センサの発音時の振動を抑制しないようにするためには、図7に示すように耐圧容器2と振動子3の間にクリアランス16を設ける必要がある。
しかし、従来技術では、耐圧容器2と振動子3の間にクリアランスを設けた場合、耐圧容器2と振動子3が接触する部品を設けることができず、耐圧容器2の組立時にクリアランスの分だけバラツキが発生する。耐圧容器2の組立時に振動子3の配列や位置にバラツキが生じると、耐圧容器2に水圧が印加されたときに、振動子3や音響ゴム4が破損したり、音響センサの性能に影響を及ぼすなどの問題が生じる。
【0010】
第3の問題点として、耐圧容器2の変形を抑制するために、たとえば振動子3のノード部に支持部材を設けた場合、振動子3と支持部材との接触箇所の面積を決めることで、支持部材の形状を適切な構造にする必要がある。
その理由は、振動子3のノード部は振動モードの点であり、音響性能への影響を小さくするためには、支持部材は点または線で振動子に連結されることが理想である。しかし、その場合、耐圧容器2に水圧が印加されたときに、振動子3の材質強度が持たず破損するため、振動子3と支持部材とが適切な接触面積を持つような支持部材の構造にする必要がある。しかし、従来技術では、適切な接触面積を持つような支持部材を設けた耐圧容器は実現されていない。
【0011】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、小型・軽量化を図りながら、水圧下での耐圧容器の強度を確保するとともに、耐圧容器に振動子を組込む際の配列と位置決めを容易にし生産性・信頼性の向上を実現できるセンサの耐圧容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、複数の振動子が配列された状態で収納されるセンサの耐圧容器に係り、前記複数の振動子のノード部と前記耐圧容器の内壁部との間に固定される支持部材を備え、前記支持部材を介して、前記耐圧容器と前記複数の振動子と前記支持部材が一体化して連結される構造を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
この発明の構成によれば、センサの耐圧容器の内部に配列された複数の振動子がそのノード部に支持部材が固定されることで、耐圧容器、支持部材、振動子が一体化して連結されるため、耐圧容器の小型・軽量化を図りながら、耐圧容器の強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施形態である音響センサの基本構造を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の矢視A−A線に沿う縦断面図である。
【図2】図1(a)の矢視B−B線に沿う、同音響センサの構成を示す横断面図である。
【図3】音響センサの耐圧容器に水圧が印加された場合を示す図であり、(a)は、耐圧容器の変形イメージを示す横断面図、(b)は、耐圧容器のたわみとたわみを示す模式図である。
【図4】音響センサの振動子の位置決め構造を示す図であり、(a)は、振動子の配列及び位置決め構造を示す模式図、(b)は、音響センサの組立時における振動子の位置決め構造を示す横断面図である。
【図5】音響センサの振動子と支持部材との接触箇所を示す模式図である。
【図6】支持部材の形状の例を示す斜視図である。
【図7】従来の音響センサの構成を示す横断面図である。
【図8】従来の音響センサの耐圧容器に水圧が印加された場合を示す図であり、(a)は、耐圧容器の変形イメージを示す横断面図、(b)は、耐圧容器のたわみとたわみを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の耐圧容器は、前記複数の振動子の配列方向に沿って前記複数の振動子の両側に間隔をおいて配置されるサイドプレート部材と、前記サイドプレート部材の一方の端面に固定されるバックプレート部材と、前記サイドプレート部材の他方の端面に固定される弾性部材と、前記複数の振動子のノード部と前記耐圧容器の前記サイドプレート部材の内壁部との間に固定される支持部材とを備え、前記支持部材を介して、前記耐圧容器と前記複数の振動子と前記支持部材が一体化して連結される構造とすることで、達成される。
【実施形態】
【0016】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明の実施形態である音響センサの基本構造を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の矢視A−A線に沿う縦断面図である。また、図2は、音響センサにおける図1(a)の矢視B−B線に沿う横断面図である。
図1に示すように、この実施形態の音響センサ21は、耐圧容器22の内部に複数の振動子23が長手方向に等間隔で配列されるとともに、耐圧容器22の端面に音響ゴム24が接合されたものである。
【0017】
図2に示すように、耐圧容器22は、バックプレート26、サイドプレート27a、27bから構成されている。複数の振動子23は、それぞれ、細長い角柱状に形成されており、リアマス28、圧電材29、フロントマス30から構成されている。複数の振動子23は、音響ゴム24と、OSペーパ25を介したバックプレート24との間に挟み込まれている。
【0018】
耐圧容器22の内部に複数の振動子23が配列された状態では、サイドプレート27a、27bは、各振動子23の配列方向に沿って各振動子23の両側に所定の間隔をおいて位置する。バックプレート26は、サイドプレート27a、27bの一方の端面に固定されている。音響ゴム24は、サイドプレート27a、27bの他方の端面に固定されている。
【0019】
また、各振動子23のノード部には、各振動子23の長手方向の中心線に対して対称に支持部材34が固定されている。支持部材34は、各振動子23のノード部と耐圧容器22のサイドプレート27a、27bの内壁部との間に配置される。
各振動子23のノード部の両側に支持部材34が固定されているため、支持部材34を介して、耐圧容器22と各振動子23と支持部材34が一体化して連結される構造となる。耐圧容器22と各振動子23と支持部材34が一体化して連結されるため、音響センサ21を水中(海中を含む)で使用した際に耐圧容器22が水圧で変形した際に、高水圧下においても耐圧容器22の変形を抑制することが可能となる。この場合、各振動子23は強度部材としての機能を有する。
【0020】
図3は、音響センサの耐圧容器に水圧が印加された場合を示す図であり、同図(a)は、耐圧容器の変形イメージを示す横断面図、また、同図(b)は、耐圧容器のたわみとたわみを示す模式図である。
図3(a)に示すように、音響センサの耐圧容器22の両側面に対して矢印方向に水圧31が印加された場合を例にとる。水圧31により耐圧容器22が変形したとき、上記したように各振動子23のノード部の両側に支持部材34が固定されているため、支持部材34を介して、耐圧容器22と支持部材34と各振動子23が一体化して連結される。これにより、各振動子23に圧縮応力がかかることで、耐圧容器22の変形を抑制することが可能となる。
【0021】
また、図3(b)に示すように、耐圧容器2が等分布荷重(水圧)ωを受けたときの耐圧容器(サイドプレート27a又は27b)の最大たわみYmaxは、耐圧容器(サイドプレート27a又は27b)の支点間の長さL、縦弾性係数E、断面2次モーメントIz、耐圧容器(サイドプレート27a又は27b)の支点からのはねだし長さλを用いて、次の計算式で表すことができる。
Ymax=(5ω・L/384E・Iz)+(ω・λ・L・E・Iz)
L>>λ としたとき
Ymax=0.013X
X=ω・L/E・Iz
【0022】
ここで、耐圧容器22は水圧31を受けたとき、サイドプレート27aとバックプレート24の接合箇所に相当する支点32と、支持部材34とが支持となることで、両端支持梁での変形モードにより変形する。
【0023】
図4は、音響センサの振動子の位置決め構造を示す図であり、(a)は、振動子の配列及び位置決め構造を示す模式図、(b)は、音響センサの組立時における振動子の位置決め構造を示す横断面図である。
各振動子23を耐圧容器22の内部に組み込む前に、図4(a)に示すように、あらかじめ1つの支持部材34に各振動子23を取り付けることで、各振動子23を位置決めしておく。その後、支持部材34に取り付けた各振動子23を耐圧容器22の内部に組み込む際に、支持部材34を耐圧容器22のサイドプレート27a、27bに突き当てる。これにより、耐圧容器22の内部に精度良く各振動子23をまとめて配列することができる。
【0024】
また、支持部材34を用いることで、耐圧容器22の内部の任意の位置に振動子23を組み込むことができる。これにより、図4(b)に示すように、音響センサの組立時において振動子23は耐圧容器22の内部において位置決めされる。支持部材34は、耐圧容器22の内部に各振動子23を配列して位置決めするための配列・位置決め用部品としての機能を有する。
【0025】
図5は、音響センサの振動子と支持部材との接触箇所を示す模式図である。
振動子23の位置決めに用いる支持部材34は、図5に示すように、振動子23のノード部に接触させて固定するため、振動子23のノード部に対する支持部材34の接触箇所35の接触面積は、できるだけ小さくし、かつ、音響センサを水中で使用する際の使用環境における最大水圧に耐える構造にする必要がある。
振動子23のノード部に対する支持部材34の接触箇所35の接触面積は、できるだけ小さい方が音響センサの音響性能に及ぼす影響が小さい。しかし、接触面積が小さすぎると、振動子23の材質の許容耐力(または疲労応力)を超え、振動子23が破損する可能性がある。
【0026】
このため、振動子23の破損を防止しながら、振動子23のノード部に対する支持部材34の接触箇所35の接触面積を最小にするため、接触面積の計算式は以下のように考えることができる。以下に示す接触面積の計算例は振動子23を角柱状とした場合の一例であり、振動子を角柱状以外のたとえば円柱形状とした場合でも考え方は同様である。
【0027】
音響センサを水中で使用する際の使用環境における耐圧容器22が受ける水圧31(最大水圧)の下で、振動子23のノード部にかかる圧縮荷重をFmax、振動子23の横幅をa(長さ一定)、振動子23の縦幅をbとする。この場合の、振動子23のノード部に対する支持部材34の接触箇所35の接触面積Aは、次の式で表すことができる。
A=a×b
すなわち、振動子23の縦幅bの長さを最小にすることで、接触面積Aを最小にすることができる。
【0028】
音響センサを水中で使用する際に水圧31(最大水圧)の下での振動子23のノード部にかかる圧縮荷重Fmaxは、耐圧容器22から支持部材34を介して、振動子23のノード部に対する支持部材34の接触箇所35(接触面積A)に負荷される。その時の振動子23にかかる圧縮応力σは、次の式で表すことができる。
σ=Fmax/A
よって、振動子23のノード部に対する支持部材34の接触箇所35の接触面積Aを最小にするには、振動子23の材質の許容耐力(または疲労応力)をσsとした時、σs≧σを満たす振動子23の縦幅bを選定すれば良い。
【0029】
また、振動子23のノード部に対する支持部材34の接触箇所35の接触面積Aを最小にしたときの最小接触面積Aminにおいては、許容耐力σsと圧縮応力σとの関係はσs=σで表されるが、必要により安全率を考慮する。
設計による安全率を考慮した場合、安全率をSfとすると、圧縮応力σは、次の式で表すことができる。
σ=(Fmax/A)×Sf
【0030】
上記した方法で得られた振動子23のノード部に対する支持部材34の接触箇所35の接触面積を基に、支持部材34の形状を選択する。この実施形態では、支持部材34の形状は角柱状としているが、これに限らず、図6に示すような各種の形状が考えられる。
【0031】
図6は、支持部材の形状の例を示す斜視図である。
図6に示すように、支持部材の形状としては、この実施形態の角柱状以外に、板状、台形状、L型形状などが考えられる。また、支持部材に用いる材質としては、弾性材料が好ましく、具体例としてはCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)などの複合材料、ゴムなどの樹脂材料、コルクなどが考えられる。
【0032】
この実施形態によれば、以下の効果がある。
第1の効果は、音響センサの耐圧容器22の内部に配列された複数の振動子23がそのノード部に支持部材34が固定されることで、支持部材34を介して、耐圧容器22と支持部材34と振動子23が一体化して連結される。このため、耐圧容器22の小型・軽量化を図りながら、耐圧容器22の強度(剛性)を確保できる音響センサを提供することができる。
その理由は、耐圧容器22の内部の各振動子23を強度部材と考え、各振動子23のノード部に適切な接触面積を有する支持部材34を固定する構造とする。このため、水中または海中での音響センサ21の使用時に図3のように耐圧容器22の両側面に水圧31を受けた際に、耐圧容器22は支点32と支持部材34が支持となることで、両端支持梁での変形モードにより変形する。
この実施形態の耐圧容器22の両端支持梁での変形モードを、従来構造の図8(a)の片持ち梁での変形モードと比較した場合、最大たわみは1/10となり、最大たわみが発生する部位も異なる。
ただし、この実施形態の図3(b)に示す計算式と、従来構造の図8(b)に示す計算式は、等分布荷重を受けたときのたわみの計算式である。Ymax:耐圧容器の最大たわみ、ω:水圧(等分布荷重)、L:耐圧容器の支点間の長さ、E:縦弾性係数、Iz:断面2次モーメントとし、λ:支点からのはねだし長さは、両者の単純比較のため、非常に小さいものとし、図8(b)のLの長さと同じと考えた場合とする。
【0033】
第2の効果は、支持部材34を振動子23の配列および位置決め用の部品として用いることにより、音響センサの組立性、機械的位置決め精度、品質の向上を図り、生産性・信頼性の向上を実現することができる。
その理由は、図4(a)のように支持部材34を配列・位置決め用部品として用いて複数の振動子23の配列および位置決めを行うことで、各振動子23を耐圧容器22に組み込む前に精度良く配列でき、各振動子23の耐圧容器22への組み込み時に、各振動子23を耐圧容器内部の所望の位置に確実に固定することができる。
【0034】
第3の効果は、振動子23と支持部材34の接触面積を求め、支持部材34の形状を決めることで、換言すれば音響センサの使用環境に適した形状の支持部材を選択することで、音響影響に及ぼすセンサ性能や機械的特性などの影響を最小限にした音響センサを実現することができる。
その理由は、振動子のノード部と支持部材との接触は点または線が理想であるが、実用上は振動子の材料強度を確保することが難しいため、音響センサの使用環境での耐圧容器にかかる最大水圧と振動子の許容耐力(または疲労応力)により、適切な接触面積を求める。これにより、音響性能に及ぼす影響を最小限にした支持部材の形状を選択することができる。
【0035】
以上、この発明の一実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあってもこの発明に含まれる。
上記した実施形態では、振動子23を固定する構造として、図3(a)のように振動子23の支点32と振動子23のノード部に支持部材34で固定する構造を例にあげたが、これに限らない。たとえば、振動子23を支持部材34のみで固定する構造、振動子23の複数のノード部を連結する構造にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明の耐圧容器は、振動子を収納した耐圧容器と音響ゴムからなる音響センサへの適用に限らず、振動子を収納した耐圧容器を備える他のセンサなどの用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0037】
21 音響センサ(センサ)
22 耐圧容器
23 振動子
24 音響ゴム(弾性部材)
26 バックプレート(バックプレート部材)
27a、27b サイドプレート(サイドプレート部材)
31 水圧
32 支点
34 支持部材
35 接触箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の振動子が配列された状態で収納されるセンサの耐圧容器であって、
前記複数の振動子のノード部と前記耐圧容器の内壁部との間に固定される支持部材を備え、
前記支持部材を介して、前記耐圧容器と前記複数の振動子と前記支持部材が一体化して連結される構造を有することを特徴とするセンサの耐圧容器。
【請求項2】
複数の振動子が配列された状態で収納されるセンサの耐圧容器であって、
前記複数の振動子の配列方向に沿って前記複数の振動子の両側に間隔をおいて配置されるサイドプレート部材と、
前記サイドプレート部材の一方の端面に固定されるバックプレート部材と、
前記サイドプレート部材の他方の端面に固定される弾性部材と、
前記複数の振動子のノード部と前記耐圧容器の前記サイドプレート部材の内壁部との間に固定される支持部材とを備え、
前記支持部材を介して、前記耐圧容器と前記複数の振動子と前記支持部材が一体化して連結される構造を有することを特徴とするセンサの耐圧容器。
【請求項3】
前記複数の振動子を前記耐圧容器に組み込む前に、前記支持部材を前記複数の振動子のノード部に取り付けることで、前記支持部材を前記複数の振動子の配列および位置決めを行うための部品として用いることを特徴とする請求項1又は2記載のセンサの耐圧容器。
【請求項4】
前記振動子のノード部と、前記サイドプレート部材と前記バックプレート部材の接合箇所に相当する支点とにより支持される両端支持梁の構造を有することを特徴とする請求項2記載のセンサの耐圧容器。
【請求項5】
前記耐圧容器は水中で使用され、
前記水中での使用時に前記耐圧容器が受ける水圧の下で前記振動子のノード部にかかる圧縮荷重と前記振動子の大きさを基に、前記振動子と前記支持部材との接触箇所の面積が最小になるように決定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のセンサの耐圧容器。
【請求項6】
前記支持部材の形状は、角柱状、板状、台形状、L型形状を含む形状のなかから決定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載のセンサの耐圧容器。
【請求項7】
前記支持部材の材質は、弾性材料を含む材質のなかから決定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載のセンサの耐圧容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−204886(P2012−204886A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65094(P2011−65094)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】