説明

センサ性能向上のための拡散層及び湿度コントロール層

本発明は、関連分析物を臨床的に測定するオプティカルセンサ、その製造方法、及び、その各種用法に関する。本発明のオプティカルセンサ用のドライキャリブレーション方法を開発する取組みにおいて、そのようなセンサの内部又はごく近傍の含水量が蛍光強度(すなわち、ドライ状態でのセンサの応答)に大きな影響を与えることが見いだされた。従って、本発明の目的の1つは、異なる湿度環境で測定されたセンサ応答の偏りの除去にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年12月8日出願の米国仮特許出願第60/869,268号の利益を主張し、その全開示は、本明細書に十分に記載されているのと同様に、参照により組入れられる。
【0002】
本発明は、関連分析物を臨床的に測定する改良されたオプティカルセンサ、その製造方法、及び、その各種用法に関する。通常は、正確な測定を実施するために、センサ間及び計器間のばらつきを排除するためのキャリブレーションステップが必要とされる。従来の「ウェット」キャリブレーション方法では、キャリブレーションステップは既知濃度の分析物を含むキャリブレーション液を用いて実施する必要がある。しかしながら、本発明のオプティカルセンサでは、キャリブレーション方法として、「ドライキャリブレーション」方法を選択する。ドライキャリブレーション方法においては、「ドライ」状態(すなわち、パッケージから出して直ぐ)でのセンサの蛍光強度が測定される。ドライ状態でのセンサの応答が、「ウェット」状態(この場合はサンプルとの接触状態)での応答と共に、考慮され、サンプル内の分析物の濃度が測定される(下記参照)。正確なキャリブレーションの実現のため、キャリブレーション信号が周囲条件の変動(例えば測定部位による湿度レベルの変化)に感応しないことが重要である。しかしながら、センサ内又はその近傍における水分含有量が蛍光強度(すなわち、ドライ状態でのセンサの応答)に大きな影響を与えることが見いだされている。従って、本発明の目的の1つは、異なる湿度環境にて測定されるセンサ応答の偏りの除去にある。
【背景技術】
【0003】
研究所レベルの精密度及び正確度を実現する重要要素は、検査される全ての分析物を既知濃度で含有する水性キャリブレーション溶液の使用にある。通常は、シングルポイントキャリブレーションが臨床サンプルの測定に先立ってなされる。これにより、計器によらない、また、センサによらない、再現性のある結果が保証される。現在のセンサ、又は、Osmeteck(登録商標)(ジョージア州ロズウェル)のOPTI(登録商標)計器のような、あるオプティカルセンサに基づく計器に使用される「optode」カセットは、キャリブレーション溶液内にウェット状態で保管され、従って、使用に先立ってセンサをドライ状態からウェット状態にする待ち時間を必要としない。ウェット状態で保管することによる主要な欠点は、特に加水分解に不安定な成分を有するバイオセンサのような特定のセンサにとっては、その結果として生じるセンサの「寿命」の制限である。加えて、ウェットキャリブレーション溶液に保管する必要性のために、カセットデザインは著しく複雑になり、従ってコストが増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら及び他の欠点を回避するため、ドライ状態で保管され,ドライ状態で較正された蛍光センサを含み、様々な周囲条件において用いられ、生体液サンプル又は環境中から採取したサンプルを含むがこれらに限定されない様々なサンプルにおける各種の分析物濃度の測定を行う、1回使用の使い捨てカセットを可能にする新センサ構造を提供する。
【0005】
本発明は、1以上の蛍光オプティカルセンサを利用して、特異的分析物に曝された蛍光色素から放出される光の強度を測定する。測定の原理は、ウェット状態で較正されたオプティカルセンサにて用いられているものと同様である。分析物の濃度は、検出された「ドライ」蛍光強度信号(Idry )と、未知濃度の分析物を含む所定位置のサンプルについて検出されたもの(Iunknown )とから決定される。ドライキャリブレーションプロセスは、センサの中程度に生理的(mid-physiologic )なウェット状態での蛍光強度、すなわち、既知の中程度に生理的なレベルの分析物での蛍光強度(Iknown )に対する、センサのドライ状態での蛍光強度(Idry ;これは各製造ロット内のセンサでは同一)の簡単で明確な比に基づく。このドライ対ウェット(中程度に生理的)の関係は、同一ロット内の全てのセンサにおいて安定的かつ一貫性があり、工場で特徴付けられ、バーコードが付される。加えて、分析物のレベルの変化に対するセンサの蛍光強度のウェット状態での応答曲線もまた、ウェット状態で較正されたセンサに用いられる実績ある方法と同様に、工場ごとに特徴付けられ、バーコードが付される。言い換えれば、分析物の濃度レベルの変化に対するセンサ応答が線形とみなせるなら、分析物の既知の濃度、すなわち「y」に対する、Iknown /Idry 、すなわち「x」をプロットし、傾きmと切片bとを持つ直線が得られる。よく知られている方程式y=mx+bを用い、強度比(Iunknown /Idry )に相当するxを測定できれば、サンプルにおける分析物の濃度を決定できる。
【0006】
ユーザサイトでのサンプル測定の間、センサのドライ状態での蛍光強度(Idry )と、水性サンプルに接触させた後のセンサのウェット状態での蛍光強度(Iunknown )とが測定される。そして、サンプル中に存在する分析物の濃度は、得られた蛍光強度の比(Iunknown /Idry )から、工場にて特定のロットのセンサについて与えられたセンサの蛍光強度の応答におけるドライ対ウェットの関係を用いて、計算される。分析物の濃度変化に対するセンサの応答は、もちろん、常に線形でなくてもよい。いずれにせよ、適切な数学的関係が利用され、サンプルの分析物濃度が計算される。
【0007】
本発明において、全てのセンサ要素は適切な支持材料の上に被覆される(後に詳述)。センサ自体は、特定の機能(分析物認識、バッファリング、フィルタリング等)を実現するように設計された1以上の層を含んで構成されてもよい。そして、センサは、モレキュラーシーブ、シリカゲル等のような適切な乾燥媒体を用いて乾燥される。一貫した乾燥条件下で、センサは標準化され再現性を有するキャリブレーションポイントを実現する。
【0008】
更に、本方法は、センサの絶対応答ではなく、ドライ及びウエットサンプルの応答比を使用することで、センサ作成時の軽微な変化、及び計器に起因するばらつきに対処する。また、このアプローチは、上述のように、乾燥材を適切に選択することで、キャリブレーションポイントが一定となる点で好都合である。乾燥材の選択が一定であることで、唯一変化するのがサンプル内の分析物濃度であることを確かなものとする助けとなる。
【0009】
本発明は、イオンセンサの開発における2つの大きな課題を解決することを目的とする。1つの実施形態は、センサ構造(図1参照)の上面上に、拡散層を形成して、困難さはあるが本質的には拡散する様々な動物種からのサンプルを含む様々な生体サンプルを効果的に拡散させる。本発明の他の実施形態は、センサ構造(同じく図1)の1つの実施形態内で機能する湿度コントロール層を形成して、湿度コントロール層を通じて水蒸気/水の輸送を選択的にコントロールし、これにより異なる湿度環境にて測定されたセンサ応答の偏りを除去する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、対向する面を有し、1つの面に現れる湿度レベルの変化による弊害を抑制するのに有効な湿度コントロール層を提供し、これは、(a)少なくとも一部が前記層の1つの面から反対側の面へ延びる複数の溝(channel )又は貫通孔(through hole)を含む、不水溶性多孔質マトリクス(母材)と、(b)前記複数の溝又は貫通孔の大部分を満たす、1以上の水溶性固体ポリマー物質と、を含んで構成される。いくつかの実施形態において、前記湿度コントロール層は、約20μmから約100μmの範囲、例えば約50μmの乾燥厚さを有する。本発明の一実施形態において、前記マトリクスは、セルロース、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、D4ヒドロゲル、D6ヒドロゲル、ポリアクリロニトリル−ポリアクリルアミド共重合体、架橋ポリビニルアルコール、又はこれらの組合わせから構成され、一方、前記1以上のポリマー物質は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、又はこれらの組合わせを含んで構成される。前記1以上のポリマー物質は、理論的には、約800,000から約2,000,000ダルトンの範囲の平均分子量、具体的には、約1,100,000から約1,500,000ダルトンの範囲で、例えば、約1,300,000ダルトンの平均分子量を有することが見いだされている。
【0011】
前記湿度コントロール層は、通常、適切な可溶化溶媒の中に溶解された前記列挙成分をキャスティング(流延)し、キャスティングした溶液を乾燥させることによって作成される。いくつかの実施形態において、エタノールと水の溶媒混合液と、上述の層の構成要素(a)及び(b)とを含む溶液の粘度は、約600から3000cpsの範囲である。
【0012】
本発明は、また、対向する表面を有し、1つの表面上に与えられる液体サンプルの所望の速度での拡散を促進するのに有効な拡散層を提供し、これは、(a)少なくとも一部が前記層の1つの表面から反対側の表面へ延びる複数の溝又は貫通孔を含む、不水溶性多孔質マトリクスであって、更に約50μmから約400μmの範囲内の平均長さを有する繊維を含むことで特徴付けられるものと、(b)前記複数の溝又は貫通孔の大部分を満たす、1以上の水溶性固体ポリマー物質と、(c)1以上の親水性超吸水性材料と、を含んで構成される。一実施形態において、前記拡散層は、約80μmから約150μmの範囲、例えば約120μmの乾燥厚さを有する。本発明の他の実施形態において、前記拡散層のマトリクス構成要素は、セルロース、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、D4ヒドロゲル、D6ヒドロゲル、ポリアクリロニトリル−ポリアクリルアミド共重合体、架橋ポリビニルアルコール、又はこれらの組合わせから構成される。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記マトリクスは、繊維状の支持マトリクスを含み、その支持マトリクスの繊維は、約50μmから約400μmの範囲、具体的には約200μmから約300μmで、例えば250μmの長さを有する。
【0014】
他方、前記1以上のポリマー物質は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、又はこれらの組合わせを含んで構成される。更に、前記1以上のポリマー物質は、約500,000から約5,000,000ダルトンの範囲、例えば、約800,000から約1,200,000ダルトンの範囲の平均分子量を有してもよい。
【0015】
適切な拡散層は、1以上の超吸水性材料を持ち、これは、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、これらの塩、又は、これらの組合わせを含んでもよい。本明細書で更に論じられるように、エタノールと水の溶媒混合液と、上記で列挙した拡散層の構成要素(a)、(b)及び(c)とを含む溶液のpH値は、理論的には、約7.4から約10の範囲で、必ず約12以下である。
【0016】
本発明は、また、(i) インジケータ層と、(ii)オーバーコート層と、(iii) 湿度コントロール層と、(iv)サンプルローディング層と、(v) 拡散層と、を垂直方向に下から上へ含んで構成される、多層ラミネートを提供する。本発明の一実施形態において、インジケータ層は、ナトリウムイオン、塩化物イオン、又はカリウムイオンの存在に感応するインジケータを含む。本発明によるインジケータ層は、約5μmから約20μmの範囲の乾燥厚さを有してもよい。本発明によるオーバーコート層は、可視光をブロックする物質(例えばカーボンブラック)を含む。オーバーコート層は、約5μmから約20μmの範囲の乾燥厚さを有してもよい。本発明の目的と一致して、対向する面を有するサンプルローディング層が提供され、これは、少なくとも一部が前記層の1つの面から反対側の面へ延びる複数の溝又は貫通孔を含む、不水溶性多孔質マトリクスを含んで構成される。前記サンプルローディング層は、本発明の一実施形態において、セルロース材料とヒドロゲルとの組合わせを含んでもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記ラミネートは、垂直方向に下から上へ含まれる各層が、隣接する層にも存在する少なくとも1つの化学成分を含む。例えば、前記湿度コントロール層は、隣接するオーバーコート層にも存在する第1の化学成分と、隣接するサンプルローディング層にも存在する第2の化学成分とを含む。
【0018】
多層ラミネートの作成プロセスについても説明する。そのプロセスの各ステップには、インジケータ層を形成するために第1の溶液をキャスティングすること、オーバーコート層を形成するために前記インジケータ層上に第2の溶液をキャスティングすること、湿度コントロール層を形成するために前記オーバーコート層上に第3の溶液のキャスティングすること、サンプルローディング層を形成するために前記湿度コントロール層上に第4の溶液をキャスティングすること、及び、拡散層を形成するための前記サンプルローディング層上に第5の溶液をキャスティングすること、が含まれる。例えば、本発明のプロセスは、各層を形成するために用いられる溶液を、キャスティング後に乾燥又は蒸発させるステップを含む。
【0019】
他のプロセス、方法、及び製品もまた、本発明の説明から明らかである。例えば、湿度レベルの変化に感応して応答するインジケータ層上の湿度レベルの変化による弊害を抑制する方法が提供され、その方法は、湿度レベルの変化への暴露に敏感な表面を有する前記インジケータ層の表面上に、湿度レベルの変化による弊害を抑制するのに有効な組成と厚さとを有する湿度コントロール層を形成することを含む。
【0020】
提供される他の方法は、液体サンプルの所望の速度での拡散を促進する方法であって、前記液体サンプルの所望の速度での拡散を促進するのに有効な組成と厚さとを有する拡散層に、前記液体サンプルを接触させることを含む。
【0021】
本発明の他の製品は、対向する表面を有し、1つの表面上に与えられる液体サンプルの所望の速度での拡散を促進するのに有効な拡散層を含む。このような製品は、(a)少なくとも一部が前記層の1つの表面から反対側の表面へ延びる複数の溝又は貫通孔を有する層を提供する手段と、(b)前記複数の溝又は貫通孔の大部分を満たす手段と、(c)前記層の1つの表面に与えられる液体サンプルの吸収を促進する手段と、を含んで構成される。本発明の一実施形態において、目的の層を提供する手段は、予め定められた平均長さを有する繊維の提供を更に含む。例えば、そのような繊維の予め定めた平均長さは、約50μmから約400μmの範囲である。
【0022】
尚、代替の成分及び物質を含む、他の形態及びプロセスは、本明細書に記載の詳細な説明に基づいて、当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明による分析物検知センサの一実施形態の断面図を示す。
【図2】図2は要素300・湿度コントロール層の断面描写であり、セルロース材又は適切なヒドロゲルなどの不水溶性多孔質マトリクスを含む、この層内に多くの溝又は貫通孔が存在する概念を説明する。これらの溝又は貫通孔は、矢印で示される1以上の固体高分子量親水性水溶性物質で満たされている。
【図3】図3Aは湿度コントロール層無しで作成されたナトリウムセンサの性能を示す。この結果は湿度コントロール層で被覆されたナトリウムセンサ(図3B)と比較される。センサの応答はセンサを異なる湿度レベル(35%RHと75%RH)に約2分間以上暴露した後に比較された。
【図4】図4は拡散層溶液のpHレベルがセンサ表面に与えた7μL量のネコ血漿(feline plasma )サンプルの拡散時間に与える影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のセンサは、イオノフォア/フルオロフォア・センシング分子を含有するインジケータ層(図1の要素500)を含む。分析物濃度の変化は、蛍光信号の強度の変化を引き起こし、それゆえ、分析物濃度が測定される。一実施形態において、約2〜25μmで、例えば2〜20μmなどの範囲の平均サイズを有する(又は、例えば、約10μmの平均粒径を有する)セルロース粒子が、インジケータ層に含まれる。
【0025】
更に、センサ構造は、また、例えば不水溶性ヒドロゲル内に分散した光分離用のカーボンブラックを含有するオーバーコート層(図1の要素400)を含んで構成される。
【0026】
更に、センサ構造は、また、湿度コントロール層(図1の要素300)を含んで構成される。一実施形態において、約7〜20μmの範囲の平均粒径を有するセルロース粒子が、湿度コントロール層に含まれる。不水溶性多孔質マトリクスを含む、この層の中には、多くの溝又は貫通孔が存在する。これらの溝又は貫通孔には、1以上の固体高分子量親水性水溶性物質が充填されている(図2参照)。水/水蒸気は、充填されている物質が溶解するまで下層のインジケータ層に達することができず、溶解は、通常、サンプル(通常は水性液体)がセンサに接触したときにだけに起こる。従って、充填物質の溶解度と層の厚さとをコントロールすることによって、水/水蒸気の輸送が確実にコントロールされ、これにより、少なくとも、約1分から数分(例えば10〜12分)続く分析検査の時間内のセンサ応答への環境湿度の望ましくない影響を除去する。通常、センサカートリッジが密閉されたパッケージから取出され、テーブルトップの分析器(例えば、OPTI(登録商標)LION及びこれに関連するOPTI(登録商標)LIONカセット)の適切な区画に置かれ、ドライ状態の蛍光強度信号が測定され、サンプルが添加され、そして、ウェット状態の蛍光強度信号が測定され、これら全てが通常約1分から約10分の間になされる。
【0027】
更に、一実施形態において、センサ構造は、また、サンプルローディング層(図1の要素200)を含んで構成される。この層は約7〜20μmの範囲の平均粒径を有するセルロース粒子と、親水性ポリマー(例えばヒドロゲル)とを含んで構成されてもよく、従って、サンプルローディング層は事実上多孔質で親水性である。サンプルローディング層は、湿度コントロール層に対し、サンプルのより均一な層を提供するのに役立つ。
【0028】
更にまた、本発明は、拡散層(図1の要素100)を含み、これには、長い繊維状粒子(例えば、約50μm〜約400μmの平均長さの範囲で、より具体的には、約200〜300μmの平均長さ;平均長さについての上記範囲は代表的なものであり、拡散層を構成する個々の繊維は、約50μm〜約400μmの例示の範囲を超える様々な長さを有してもよいことが理解されるべきである。)と、高分子量、親水性、超吸水性の物質とが、生体サンプルの拡散を改善するために、包含されている。この拡散層は、異なる生体サンプル間及び異なるサンプル量間で観測される拡散変動を、阻止できないとしても、無視できるようにする。セルロース材の場合、大きなサイズがより繊維状の材料を示すのに対し、より小さいサイズがより微粒子状の材料を与えることを理解すべきである。
【0029】
本発明によれば、各層が多様な異なる機能を果たす、層の組合わせが提供される。更に、薄膜(又は層)を通じての物質の輸送は、その薄膜(又は層)の内部経路に存在する「充填(filling )」材に対する輸送物質の溶解度をコントロールすることによって調整できることが見いだされた。組合わせの各層は、各層が化学物質の異なる組合わせで構成されるという点で、互いに異なっている。また、隣接する層の結合要素間に共通して存在する少なくとも1つの化学物質があれば、隣接する層間の望ましい接着の強化が驚くほどに認められ、より良く、より耐久性のあるラミネートを作り出せることが見いだされた。そのうえ、本発明者は、拡散層のpH値を変化させることで、効果的な拡散を最適化及び実現することを明らかにした。そのようなpHの変化を引き起こす実験結果は、下記で更に詳述する。拡散層の支持マトリクスの繊維長さを変化させることで、効果的な拡散を最適化及び実現することもまた認められた。
【0030】
湿度バリア:
望ましい湿度防御を達成するため、湿度バリア内の親水性材料は水蒸気を理想的にはゆっくりと吸収する。適切な湿度コントロール層は、例えば、セルロース粒子、D4及び/又はD6ヒドロゲル(マサチューセッツ州ウォバーンのCardioTech Internationalから入手可能)を含む、不水溶性の支持マトリクスと、フィルターとしての、PVPなどのような、水溶性固体ポリマー物質と、から構成されてもよい。支持マトリクスを作り上げるいくつかの適切な材料の例には、セルロース、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体(PS)、D4及び/又はD6ヒドロゲル、ポリアクリロニトリル−ポリアクリルアミド共重合体、及び、架橋ポリビニルアルコール(これらは全て、ミズーリ州セントルイスのAldrichから入手可能)を含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの適切なフィルター材料の例には、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシエチル・セルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル・セルロース(HPC)、カルボキシメチル・セルロース(CMC)(これらは全て、ミズーリ州セントルイスのAldrichから入手可能)、及び、マルトデキストリン(アイオア州マスカティーンのGrain processing corporationから入手可能)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
吸湿の程度は、親水性材料の平均分子量(MW)の慎重な選択によってコントロールされる。代表的な平均分子量は、約800,000ダルトンから2,000,000ダルトンの範囲で、例えば、約110万〜約150万ダルトン、又は、約120万〜約140万ダルトンである。本発明者は、約130万ダルトンのMWが大変良く働くようであることを見いだした。
【0032】
また、材料の「被覆性(coatability )」についても検討した。これは湿度バリアの層の作成に用いられる湿度バリア溶液の粘度をコントロールすることによって実現される。湿度バリア溶液の代表的な粘度は、約600〜約3000cpsの範囲で、例えば、約1000cps〜約1900cps、又は、約1500cps前後の値である。
【0033】
サンプル拡散層:
生体サンプルの急速な吸収は、親水性で超吸水性の材料の使用によって達成される。このような材料の例には、ポリアクリル酸塩(PAA)、ポリアクリルアミドなどを含むが、これらに限定されるものではない。これらのポリマーの分子量は、例えば約500,000〜約5,000,000ダルトンの範囲で、より具体的には約800,000ダルトン〜約120万ダルトンである。分子量の模範的な値は、約100万ダルトンである。加えて、超吸水性材料に用いられる対イオンは、センサに干渉してはならない。典型的な非干渉の対イオンは、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンを含み、テトラメチルアンモニウムイオンが模範的な対イオンであるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
サンプル拡散層のpH値は、急速なサンプル吸収を確かなものとするために重要である。PAAの超吸水性は、遊離酸ではなく、塩によってもたらされるからである。十分な吸水性を維持するためには、前記PAA連鎖におけるカルボン酸のある程度が、脱プロトン化されて、いくつかの荷電種、すなわちカルボン酸塩及びその対イオンを形成する必要がある。PAAのカルボン酸の脱プロトン化の程度は、分散物の作成に用いられる溶液の最終pH値による。理論上は、そして理論によって制限されることを望まないが、PAAは、より高いpH値でより良い親水性を示す。しかし、pH値が高すぎると、マトリクス及びイオンインジケータの分解を促進してしまう。具体的には、拡散層の作成に用いられる溶液は、約7.4又はそれ以上のpH値を有するべきである。例えば、そのpH値は約8.1である。実例とするpH値は約10を超えない。
【0035】
更に、繊維状セルロースなどの繊維状支持体は、センサ表面上へサンプルを急速に拡散させるのを助ける。セルロースの繊維長は、急速な拡散を実現するために、決定的ではないとしても、非常に重要であることが見いだされた。代表的に、平均繊維長は、約50から約400μmの間の値をとり、例えば、約200μm〜約300μmである。極めて適切な平均繊維長は約250μmであると思われる。
【0036】
多層ラミネート:
〔実施例1〕
本発明の一実施形態、すなわちナトリウムセンサについて、以下に説明する。このようなセンサは、更に以下で説明されるように作成される。
【0037】
固定化インジケータを含む0.5gのセルロース粉末(25μmの篩処理)(米国特許第5,952,491号;その全体開示は参照により本明細書に組入れられる)を、90%(w/w)エタノール水中の9.5gの10%(w/w)D4ヒドロゲル中に16時間懸濁させた。得られた均質な分散物を、ポリエステルホイル(8.5”(約22cm)×11”(約28cm)のシート)上にコートして、10μmの最終乾燥厚さとし、図1に示したようなインジケータ層を形成した。そして、インジケータ層を、90%(w/w)エタノール水中の9.7gの10%(w/w)D4ヒドロゲル中に懸濁した0.3gのカーボンブラックを含有する分散物でコートし、5μmの乾燥厚さのオーバーコート層を形成した。そして、オーバーコート層を、90%(w/w)エタノール水中に、0.5gのセルロース(10μm)と、1.0gのPVPと、8.5gの10%(w/w)D4ヒドロゲルとを含有する湿度コントロール層でコートし、50μmの乾燥厚さとした。そして、湿度コントロール層を、90%(w/w)エタノール水中に、0.5gのセルロース(20μm)と、9.5gの10%(w/w)D4ヒドロゲルとを含有するサンプルローディング層でコートし、10μmの乾燥厚さとした。最後に、サンプルローディング層を、8.8gの50%(w/w)エタノール水中に、0.0075gのポリアクリル酸(PAA)と、0.2gのPVPと、1.0gのセルロース(250μm)とを含有する拡散層(この分散物のpH値は、10%(w/w)水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で、8.0に調整)でコートし、100μmの最終厚さとした。
【0038】
〔実施例2〕
本発明によるオプティカル塩化物センサの一実施形態は、以下で説明されるように作成される。
【0039】
1.5gの固定化塩化物インジケータ(米国特許第6,613,282号;その全体開示は参照により本明細書に組入れられる)を、90%(w/w)エタノール水中の8.5gの10%(w/w)D4ヒドロゲル中に16時間懸濁させた。得られた均質な分散物を、ポリエステルフィルム(8.5”(約22cm)×11”(約28cm)のシート)上にコートして、10μmの最終乾燥厚さとし、図1に示したようなインジケータ層を形成した。そして、インジケータ層を、90%(w/w)エタノール水中の9.7gの10%(w/w)のD4ヒドロゲル中に懸濁した0.3gのカーボンブラックでコートし、5μmの乾燥厚さのオーバーコート層を形成した。そして、オーバーコート層を、90%(w/w)のエタノール水中に、0.3gのセルロース(15μm)と、0.5gのポリビニルピロリドン(PVP)と、9.2gの10%(w/w)D4ヒドロゲルとを含有する溶液でコートし、20μmの乾燥厚さの湿度コントロール層を形成した。そして、湿度コントロール層を、90%(w/w)エタノール水中に、0.3gのセルロース(15μm)と、9.7gの10%(w/w)D4ヒドロゲルとを含有する溶液でコートし、10μmの乾燥厚さのサンプルローディング層を形成した。最後に、サンプルローディング層を、8.8gの50%(w/w)エタノール水中に、0.005gのポリアクリル酸(PAA)と、0.2gのPVPと、1.0gのセルロース(200μm)とを含有する溶液(この分散物のpH値は、10%(w/w)水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で、8.0に調整)でコートし、120μmの最終厚さの拡散層を形成した。
【0040】
〔実施例3〕
本発明によるオプティカルカリウムセンサの一実施形態は、更に以下で説明される内容で作成される。
【0041】
固定化カリウムインジケータを含む0.5gのセルロース粉末(10μmの篩処理)(米国特許第6,211,359号;その全体開示は参照により本明細書に組入れられる)を、90%(w/w)エタノール水中の9.5gの10%(w/w)D4ヒドロゲル中に16時間懸濁させた。得られた均質な分散物を、ポリエステルフィルム(8.5”(約22cm)×11”(約28cm)のシート)上にコートして、10μmの最終乾燥厚さとし、図1に示したようなインジケータ層を形成した。そして、インジケータ層を、90%(w/w)エタノール水中の9.7gの10%(w/w)D4ヒドロゲル中に懸濁した0.3gのカーボンブラックでコートし、5μmの乾燥厚さのオーバーコート層を形成した。そして、オーバーコート層を、90%(w/w)エタノール水中の7.8gの10%(w/w)のD4ヒドロゲル中に、0.7gのセルロース(20μm)と、1.5gのポリビニルピロリドン(PVP)とを含有する溶液でコートし、40μmの乾燥厚さの湿度コントロール層を形成した。そして、湿度コントロール層を、90%(w/w)エタノール水中の9.3gの10%(w/w)D4ヒドロゲル中に、0.7gのセルロース(10μm)を含有する溶液でコートし、20μmの乾燥厚さのサンプルローディング層を形成した。最後に、サンプルローディング層を、8.8gの50%(w/w)エタノール水中に、0.005gのポリアクリル酸(PAA)と、0.2gのPVPと、1.0gのセルロース(300μm)とを含有する溶液(この分散物のpH値は、10%(w/w)水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で、8.0に調整)でコートし、100μmの最終厚さの拡散層を形成した。
【0042】
〔代表的結果〕
図3Aは、湿度コントロール層無しで作成されたナトリウムセンサの性能を示し、湿度コントロール層でコートされたセンサ(図3B)と比較する。センサを異なる湿度(35%RHと75%RH)に2分間曝した後のそれぞれの応答を比較した。その結果から、ラミネートが本発明の湿度コントロール層又はバリアを含む場合に、より安定した応答が得られることは、明白である。
【0043】
表1:湿度コントロール層(湿度バリア)の存在の有無での、湿度レベルの変化によるセンサ応答の変化への影響の概要
【0044】
【表1】

【0045】
表2:異なるpHレベルの溶液で作成された拡散層の平均拡散時間の概要
【0046】
【表2】

【符号の説明】
【0047】
100 拡散層
200 サンプルローディング層
300 湿度コントロール層
400 オーバーコート層
500 インジケータ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する面を有し、1つの面に現れる湿度レベルの変化による弊害を抑制するのに有効な湿度コントロール層であって、
(a)少なくとも一部が前記層の1つの面から反対側の面へ延びる複数の溝又は貫通孔を含む、不水溶性多孔質マトリクスと、
(b)前記複数の溝又は貫通孔の大部分を満たす、1以上の水溶性固体ポリマー物質と、
を含んで構成される湿度コントロール層。
【請求項2】
前記層は、約20μmから約100μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項1記載の湿度コントロール層。
【請求項3】
前記層は、約50μmの乾燥厚さを有する、請求項1記載の湿度コントロール層。
【請求項4】
前記マトリクスは、セルロース、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、D4ヒドロゲル、D6ヒドロゲル、ポリアクリロニトリル−ポリアクリルアミド共重合体、架橋ポリビニルアルコール、又はこれらの組合わせを含んで構成される、請求項1記載の湿度コントロール層。
【請求項5】
前記1以上のポリマー物質は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、又はこれらの組合わせを含んで構成される、請求項1記載の湿度コントロール層。
【請求項6】
前記1以上のポリマー物質は、約800,000から約2,000,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項1記載の湿度コントロール層。
【請求項7】
前記1以上のポリマー物質は、約1,100,000から約1,500,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項1記載の湿度コントロール層。
【請求項8】
前記1以上のポリマー物質は、約1,300,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項1記載の湿度コントロール層。
【請求項9】
エタノールと水の溶媒混合液と、請求項1記載の層の構成要素(a)及び(b)とを含む溶液の粘度は、約600から3000cpsの範囲である、請求項1記載の湿度コントロール層。
【請求項10】
対向する表面を有し、1つの表面上に与えられる液体サンプルの所望の速度での拡散を促進するのに有効な拡散層であって、
(a)少なくとも一部が前記層の1つの表面から反対側の表面へ延びる複数の溝又は貫通孔を含む、不水溶性多孔質マトリクスであって、更に約50μmから約400μmの範囲内の平均長さを有する繊維を含むことで特徴付けられるものと、
(b)前記複数の溝又は貫通孔の大部分を満たす、1以上の水溶性固体ポリマー物質と、
(c)1以上の親水性超吸水性材料と、
を含んで構成される拡散層。
【請求項11】
前記層は、約80μmから約150μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項10記載の拡散層。
【請求項12】
前記層は、約120μmの乾燥厚さを有する、請求項10記載の拡散層。
【請求項13】
前記マトリクスは、セルロース、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、D4ヒドロゲル、D6ヒドロゲル、ポリアクリロニトリル−ポリアクリルアミド共重合体、架橋ポリビニルアルコール、又はこれらの組合わせを含んで構成される、請求項10記載の拡散層。
【請求項14】
前記1以上のポリマー物質は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、又はこれらの組合わせを含んで構成される、請求項10記載の拡散層。
【請求項15】
前記1以上のポリマー物質は、約500,000から約5,000,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項10記載の拡散層。
【請求項16】
前記1以上のポリマー物質は、約800,000から約1,200,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項10記載の拡散層。
【請求項17】
前記マトリクス繊維は、約200μmから約300μmの範囲の長さを有する、請求項10記載の拡散層。
【請求項18】
前記1以上の超吸水性材料は、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、これらの塩、又は、これらの組合わせを含んで構成される、請求項10記載の拡散層。
【請求項19】
エタノールと水の溶媒混合液と、請求項10記載の層の構成要素(a)、(b)及び(c)とを含む溶液のpH値は、約7.4から約10の範囲である、請求項10記載の拡散層。
【請求項20】
(i) インジケータ層と、
(ii) オーバーコート層と、
(iii) 湿度コントロール層と、
(iv) サンプルローディング層と、
(v) 拡散層と、
を垂直方向に下から上へ含んで構成される、多層ラミネート。
【請求項21】
前記インジケータ層は、ナトリウムイオンの存在に感応するインジケータを含む、請求項20記載の多層ラミネート。
【請求項22】
前記インジケータ層は、塩化物イオンの存在に感応するインジケータを含む、請求項20記載の多層ラミネート。
【請求項23】
前記インジケータ層は、カリウムイオンの存在に感応するインジケータを含む、請求項20記載の多層ラミネート。
【請求項24】
前記インジケータ層は、約5μmから約20μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項20記載の多層ラミネート。
【請求項25】
前記オーバーコート層は、可視光をブロックする物質を含む、請求項20記載の多層ラミネート。
【請求項26】
前記オーバーコート層は、約5μmから約20μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項25記載の多層ラミネート。
【請求項27】
前記サンプルローディング層は、対向する面を有し、少なくとも一部が前記層の1つの面から反対側の面へ延びる複数の溝又は貫通孔を含む不水溶性多孔質マトリクスを含んで構成される、請求項20記載の多層ラミネート。
【請求項28】
垂直方向に下から上へ含まれる各層は、隣接する層にも存在する少なくとも1つの化学成分を含む、請求項20記載の多層ラミネート。
【請求項29】
前記湿度コントロール層は、隣接する前記オーバーコート層にも存在する第1の化学成分と、隣接する前記サンプルローディング層にも存在する第2の化学成分とを含む、請求項20記載の多層ラミネート。
【請求項30】
インジケータ層を形成するために第1の溶液をキャスティングすることと、
オーバーコート層を形成するために前記インジケータ層上に第2の溶液をキャスティングすることと、
湿度コントロール層を形成するために前記オーバーコート層上に第3の溶液をキャスティングすることと、
サンプルローディング層を形成するために前記湿度コントロール層上に第4の溶液をキャスティングすることと、
拡散層を形成するために前記サンプルローディング層上に第5の溶液をキャスティングすることと、
を含んで構成される、多層ラミネートの作成プロセス。
【請求項31】
各層を形成するために用いられる溶液を、キャスティング後に乾燥又は蒸発させる、請求項30記載の多層ラミネートの作成プロセス。
【請求項32】
湿度レベルの変化に感応して応答するインジケータ層上の湿度レベルの変化による弊害を抑制する方法であって、
湿度レベルの変化への暴露に敏感な表面を有する前記インジケータ層の表面上に、湿度レベルの変化による弊害を抑制するのに有効な組成と厚さとを有する湿度コントロール層を形成することを含む、方法。
【請求項33】
前記湿度コントロール層は、
(a)少なくとも一部が前記層の1つの面から反対側の面へ延びる複数の溝又は貫通孔を含む、不水溶性多孔質マトリクスと、
(b)前記複数の溝又は貫通孔の大部分を満たす、1以上の水溶性固体ポリマー物質と、
を含んで構成される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記湿度コントロール層は、約50μmの乾燥厚さを有する、請求項32記載の方法。
【請求項35】
液体サンプルの所望の速度での拡散を促進する方法であって、
前記液体サンプルの所望の速度での拡散を促進するのに有効な組成と厚さとを有する拡散層に、前記液体サンプルを接触させることを含む、方法。
【請求項36】
前記拡散層は、
(a)少なくとも一部が前記層の1つの表面から反対側の表面へ延びる複数の溝又は貫通孔を含む、不水溶性多孔質マトリクスであって、更に約50μmから約400μmの範囲内の長さを有する繊維を含むことで特徴付けられるものと、
(b)前記複数の溝又は貫通孔の大部分を満たす、1以上の水溶性固体ポリマー物質と、
(c)1以上の親水性超吸水性材料と、
を含んで構成される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記拡散層は、約120μmの乾燥厚さを有する、請求項35記載の方法。
【請求項38】
対向する表面を有し、1つの表面上に与えられる液体サンプルの所望の速度での拡散を促進するのに有効な拡散層であって、
(a)少なくとも一部が前記層の1つの表面から反対側の表面へ延びる複数の溝又は貫通孔を有する層を提供する手段と、
(b)前記複数の溝又は貫通孔の大部分を満たす手段と、
(c)前記層の1つの表面に与えられる液体サンプルの吸収を促進する手段と、
を含んで構成される拡散層。
【請求項39】
前記層を提供する手段は、予め定められた平均長さを有する繊維の提供を更に含む、請求項38記載の拡散層。
【請求項40】
前記予め定めた平均長さは、約50μmから約400μmの範囲である、請求項39記載の拡散層。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−512506(P2010−512506A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540286(P2009−540286)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/024942
【国際公開番号】WO2008/073255
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(509160487)オプティ メディカル システムズ (1)
【氏名又は名称原語表記】OPTI MEDICAL SYSTEMS
【Fターム(参考)】