説明

センタ装置、金融システムおよびコンピュータプログラム

【課題】顧客満足度を高めるとともに収益性の高い金融商品を販売することができる金融システムと、金融システムで使用するセンタ装置を提供すること。
【解決手段】解約処理を行う日時の所定の日前に金融商品の解約条件を満たすかを判断する解約条件判断部212と;解約条件判断部212での判定結果を顧客に通知する判定結果通知部214と;解約条件を保持する解約条件保持部216と;を備えたことを特徴とする、センタサーバ210が提供される。その結果、満期日の前に顧客に対して条件判定を行い、その条件判定を確認することで顧客が金融商品の運用方法の変更の機会を得ることができ、金融機関が顧客に多様な運用機会を与えることにより、顧客満足度を高めるとともに収益性の高い金融商品を販売することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等に設置されるATM(Automatic Teller Machine)装置などの金融自動化装置の機能を拡張する技術にかかり、特に、ATM装置を用いて金融商品(定期預金等)における契約内容を変更できるようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関における定期預金の預入期間の変更などの手続きを、金融機関に設置されているATM装置によって取り扱う技術がある。これによれば、定期預入期間や積立金額といった契約内容の変更手続を機械によって行うことができる。これによって省力化が可能になるとともに、契約内容の変更手続に時間の制約が小さくなり、顧客(利用者)にとっても好都合である(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、上記技術では、顧客は定期預金を預入した際に自動的に継続する旨の内容で契約をした場合、自ら期日管理をしていないと満期日に初めに作成した条件(期間等)で自動的に更新されてしまう。しかし、相場(株式、為替、金利等)が変動する可能性を視野に入れ、満期時に運用方針を変更したいと考えている顧客にとっては、予め自己の責任において解約予約や自動継続の停止を依頼しておかなければ、自動的に定期預金が作成され、運用資金が固定化されるおそれがあるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、出願人は、あらかじめATM装置で定期預金の自動継続停止(解約)条件の入力を行わせ、定期預金の満期日に条件の判定を行い、条件を満たす場合に定期預金の自動継続を停止することで、顧客が金融商品の運用方法の変更の機会を得ることができるとともに、金融機関が顧客に多様な運用機会を与えることにより、顧客満足度を高めるとともに収益性の高い金融商品を販売することができる技術を特願2006−262527にて出願している。
【特許文献1】特開平08−235278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記背景技術では、ATM装置で定期預金の自動継続停止(解約)条件の入力を行った後に、金利動向の変化などによって入力した条件が市場の動向と合わなくなることが考えられる。上記背景技術では、顧客に対して何ら通知を行わずに満期日に条件判定を行っていたので、結果的に顧客が意図しない自動継続の停止(解約)が行われてしまう問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、満期日の前に顧客に対して条件判定を行い、その条件判定を確認することで顧客が金融商品の運用方法の変更の機会を得ることができるとともに、金融機関が顧客に多様な運用機会を与えることにより、顧客満足度を高めるとともに収益性の高い金融商品を販売することの可能な、新規かつ改良された金融システムおよびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、顧客の金融商品の契約内容の変更手続を行うセンタ装置であって:金融商品の解約条件を保持する解約条件保持部と;解約処理を行う日の所定の日前に解約条件保持部に保持されて前記金融商品の解約条件を満たすかを判断する解約条件判断部と;解約条件判断部での判定結果を顧客に通知する判定結果通知部と;を備えたことを特徴とする、センタ装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、解約条件保持部は解約条件を保持し、解約条件判断部は解約処理を行う日の所定の日前に解約条件保持部に保持されて前記金融商品の解約条件を満たすかを判断し、判定結果通知部は解約条件判断部での判定結果を顧客に通知する。その結果、満期日の前に顧客に対して条件判定を行い、その条件判定を確認することで顧客が金融商品の運用方法の変更の機会を得ることができる。そして、金融機関が顧客に多様な運用機会を与えることにより、顧客満足度を高めるとともに収益性の高い金融商品を販売することができる。
【0009】
上記センタ装置は、解約条件を、通信ネットワークを介して外部と送受信するための通信部をさらに備えてもよい。かかる構成によれば、通信部は解約条件を通信ネットワークを介して外部と送受信する。その結果、センタ装置は解約条件を通信ネットワークを介して外部と送受信することができる。
【0010】
判定結果通知部は、電子メールによって判定結果を通知してもよい。かかる構成によれば、判定結果通知部は、電子メールによって判定結果を通知する。その結果、センタ装置は解約条件の判定結果を電子メールで通知することができる。
【0011】
判定結果通知部は、顧客が操作した金融自動化装置に判定結果を通知してもよい。かかる構成によれば、判定結果通知部は、顧客が操作した金融自動化装置に判定結果を通知する。その結果、センタ装置は解約条件の判定結果を顧客が操作した金融自動化装置に通知することができる。
【0012】
判定結果通知部は、顧客が自動改札機を通過すると自動改札機に判定結果を通知してもよい。かかる構成によれば、判定結果通知部は、顧客が自動改札機を通過すると自動改札機に判定結果を通知する。その結果、その結果、センタ装置は解約条件の判定結果を顧客が通過した自動改札機に通知することができる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、金融商品の契約内容の変更手続を行うための金融自動化装置と、金融自動化装置と通信ネットワークを介して接続されるセンタ装置とを含む金融システムにおいて、金融自動化装置は、金融商品の解約条件を入力するための解約条件入力部と;所定の日に、解約条件を満たす場合に金融商品の解約処理を行う解約予約処理部と;センタ装置との間で通信を行う通信部と;を備え、センタ装置は、金融商品の解約条件を保持する解約条件保持部と;解約処理を行う日の所定の日前に解約条件保持部に保持されている金融商品の解約条件を満たすかを判断する解約条件判断部と;解約条件判断部での判定結果を通知する判定結果通知部と;金融自動化装置との間で通信を行う通信部と;を備えたことを特徴とする、金融システムが提供される。
【0014】
かかる構成によれば、金融自動化装置の解約条件入力部によって金融商品の解約条件が入力され、解約予約処理部は、所定の日に解約条件を満たす場合に金融商品の解約処理を行い、通信部はセンタ装置との間で通信を行う。そして、センタ装置の解約条件保持部は解約条件を保持し、解約条件判断部は解約処理を行う日の所定の日前に解約条件保持部に保持されて金融商品の解約条件を満たすかを判断し、判定結果通知部は解約条件判断部での判定結果を通知し、通信部は金融自動化装置との間で通信を行う。その結果、満期日の前に顧客に対して条件判定を行い、その条件判定を確認することで顧客が金融商品の運用方法の変更の機会を得ることができる。そして、金融機関が顧客に多様な運用機会を与えることにより、顧客満足度を高めるとともに収益性の高い金融商品を販売することができる。
【0015】
上記金融自動化装置は、さらに、解約条件を保持する解約条件保持部を備えてもよい。かかる構成によれば、解約条件保持部は解約条件を保持する。その結果、顧客の金融商品の解約条件をセンタ装置だけでなく、金融自動化装置にも保持することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、上記センタ装置として機能させるためのコンピュータプログラムが提供される。ここで、プログラムはいかなるプログラム言語により記述されていてもよい。また、記録媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、フレキシブルディスクなど、プログラムを記録可能な記録媒体として現在一般に用いられている記録媒体、あるいは将来用いられるいかなる記録媒体をも採用することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、満期日の前に金融商品の条件判定を行い、その判定結果を顧客に通知し、顧客が判定結果を確認することで、金融商品を購入した顧客が金融商品の運用方法の変更の機会を得ることができるとともに、金融機関が顧客に多様な運用機会を与えることにより、顧客満足度を高めるとともに収益性の高い金融商品を販売することの可能な、新規かつ改良された金融システムおよびコンピュータプログラムを提供することができる。
【0018】
その他の本発明の優れた効果については、以下の発明を実施するための最良の形態の説明において説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
(本実施形態の構成)
まず、本実施形態の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかる金融システムの構成例を示す説明図である。
【0021】
本実施形態にかかる金融システム10は、図1に示したように、銀行などの金融機関における営業店システム100と、金融機関の外部機関に設置されるセンタシステム200と、外部サーバ300と、パーソナルコンピュータ500と、携帯電話510と、自動改札機600と、これら各システム構成要素を相互に接続する通信ネットワーク400と、を含んで構成される。
【0022】
(営業店システム100)
営業店システム100は、図1に示したように、ATM装置110を備えて構成される。ATM装置110は、営業店システム100が提供する金融商品の契約内容の変更手続を行うための金融自動化装置の一例である。なお図1においては、便宜上1つのATM装置110を示しているが、1つの営業店システム100内にATM装置110が2つ以上あってもよく、営業店システム100の規模によっては数十以上のATM装置110が設置されることもある。
【0023】
本実施形態では、営業店システム100は銀行に備えられるシステムであるものとし、金融商品として定期預金を例に挙げて説明する。
【0024】
ATM装置110は、定期預金の解約条件を入力するための定期解約条件入力部112と、定期預金の満期日時点(あるいは所定の日時)に、解約条件を満たす場合に、定期預金の解約処理を行う定期解約予約処理部114と、通信ネットワークを介してセンタシステム200や外部サーバ300と通信するための通信部116と、を備えて構成される。
【0025】
定期解約条件入力部112は、例えば、タッチパネル式のディスプレイ装置で構成することができる。本実施形態では、定期解約条件入力部112には、定期預金の解約条件が入力される。解約条件は例えば定期預金の満期日の1ヶ月前(自由に設定可能)に入力される。具体的には、顧客の今後の相場動向感や満期日時点での解約条件(自動継続停止条件)の入力が行われる。そして、満期日にその解約条件に達成した場合は、定期預金の自動継続の停止が行われる。
【0026】
解約条件とは、例えば、対象となる相場が株式や為替の場合には、「○円以上(下限指定)」「○円以下(上限指定)」、「○円〜○円(範囲指定)」などと条件を設定することができる。また、対象となる相場が金利の場合には、「○%以上(下限指定)」、「○%以下(上限指定)」、「○%〜○%(範囲指定)」などと設定することができる。条件のパラメータ(単位)は1つに限らず、2つ以上の組み合わせであってもよい。この場合、2つ以上の条件は、いわゆるOR条件またはAND条件として表すことができる。かかる条件は、顧客に定期預金の自動継続の停止を知らせるという意味合いで、以下「アラーム条件」とも称する。
【0027】
定期解約条件入力部112に表示される情報および解約条件の入力については、図3〜図5を参照しながらさらに後述する。
【0028】
定期解約予約処理部114は、定期解約条件入力部112に入力された解約条件を満たす場合に、定期預金の解約処理を行う機能部である。かかる定期解約予約処理部114は、例えば、コンピュータに組み込まれたコンピュータプログラムによりソフトウェア的に処理することが可能である。
【0029】
通信部116は、通信ネットワークを介してセンタシステム200や外部サーバ300と通信するためのインタフェースである。本実施形態において通信部とは、ソフトウェア(通信用プログラム)およびハードウェア(通信ケーブルやコネクタ等)の総称をいうものとする。
【0030】
(センタシステム200)
センタシステム200は、図1に示したように、センタサーバ210と、解約予約情報データベース220と、通信部230と、を含んで構成される。このように本実施形態では、センタシステム200が複数の構成要素210〜230からなるものとして説明するが、物理的に一体の装置(センタ装置)として構成することも、それらの構成要素の任意の組み合わせによる複数の装置(センタ装置)として構成することも可能である。
【0031】
センタサーバ210は、このセンタシステム200を総括的に制御するサーバ装置である。本実施形態では、センタサーバ210は、解約予約情報データベース220の管理を行うとともに、所定の日時に解約条件を満たすかどうかを判断する解約条件判断部としての機能を有する。さらにセンタシステム200は、通信部230を制御して、通信ネットワークを介して営業店システム100や外部サーバ300との通信を制御する。センタサーバ210は、解約条件を満たすかどうかを判断するにあたり、外部サーバ300から判断材料となる情報(為替レート等)を取得する。
【0032】
センタサーバ210は、所定の日時に解約条件を満たすかどうかを判断する解約条件判断部212と、解約条件判断部212での判定結果を顧客に対して通知する判定結果通知部214と、解約条件を保持しておくための解約条件保持部216と、を含んで構成される。判定結果通知部214における判定結果の通知は、対象となる顧客への電子メールでの通知、ATM装置100で対象となる顧客が操作を行った際の当該ATM装置100への通知、自動改札機600を対象となる顧客が通過した際の当該自動改札装置への通知の少なくともいずれか1つであってもよい。また、判定結果214から判定結果の通知を金融機関の社員が受け取り、当該社員が対象となる顧客に電話をすることで通知してもよく、対象となる顧客に書類を郵送またはファクシミリ送信することで通知してもよい。通知方法は、顧客が当該定期預金を申し込む際に選択するようにしてもよく、通知方法は複数選択できるようにしてもよい。
【0033】
解約予約情報データベース(DB)220は、ATM装置110の定期解約条件入力部112に入力された解約条件を保持するデータベースである。データベースの構造は任意に設計可能であるが、例えば、口座番号や定期番号(No)を主キーとして、解約予定日時や解約条件をレコードとして保持することが可能である。
【0034】
なお、解約条件判断部212で解約条件の判定処理を行う際には、解約予約情報データベース220から直接解約条件を読み出して判定処理を行ってもよく、判定処理に先立って、例えばバッチ処理によって解約予約情報データベース220から解約条件を読み出して解約条件保持部216に保持しておき、保持した解約条件を読み出して判定処理を行ってもよい。
【0035】
通信部230は、通信ネットワークを介して営業店システム100や外部サーバ300と通信するためのインタフェースであり、ソフトウェア(通信用プログラム)およびハードウェア(通信ケーブルやコネクタ等)などからなる。
【0036】
(外部サーバ300)
外部サーバ300は、ATM装置110の定期解約予約処理部114における、解約条件の判断のための情報を保持するためのサーバである。例えば、解約条件が為替レートに関するものである場合、外部サーバ300は為替レートに関する情報を保持する。そして、センタシステム200内のセンタサーバ210からの要求に応じて、解約条件を満たすかどうかを判断するための情報を提供する。
【0037】
なお図1には便宜上、外部サーバ300を1つのみ示しているが、情報の種類や量に応じて、2以上の外部サーバを含むシステム構成とすることも可能である。一方、本実施形態において外部サーバ300は必ずしも必須の構成要素ではなく、解約条件の判断のための情報を他の手段により取得するようにしてもよい。具体的には例えば、センタシステム200または営業店システム100に、解約条件の判断のための情報が直接入力されるようにしてもよい。
【0038】
(通信ネットワーク400)
通信ネットワーク400は、図1に示したように、営業店システム100、センタシステム200、外部サーバ300、パーソナルコンピュータ500、携帯電話510および自動改札機600を相互に接続するためのネットワークである。通信ネットワーク400は、システム構成に応じて、インターネットのような公衆回線網であってもよく、あるいは、専用回線やLAN(Local Area Network)などであってもよい。また図1の例では、通信ネットワーク400を1つのみ示しているが、2つ以上の通信ネットワークが存在してもよい。例えば、営業店システム100とセンタシステム200との間は専用回線であり、外部サーバ300と営業店システム100およびセンタシステム200との間、並びにパーソナルコンピュータ500、携帯電話510および自動改札機600とセンタシステム200との間はインターネットであるように、異種の通信ネットワークが介在するようにしてもよい。
【0039】
(パーソナルコンピュータ500、携帯電話510)
パーソナルコンピュータ500および携帯電話510は、顧客が使用する機器であり、判定結果の通知を電子メールで受け取ることを顧客が選択した場合において、判定結果通知部214から判定結果を電子メールによって通知する際に、顧客が当該判定結果を受け取る端末である。
【0040】
センタシステム200からパーソナルコンピュータ500や携帯電話510に送信する電子メールには、定期預金の継続・解約の決定や、自動継続条件の変更を行うためのサイトのURL(Uniform Resource Locator)を含めることができる。判定結果を通知する電子メールを受信した顧客は、パーソナルコンピュータ500や携帯電話510などを用いて、当該電子メールに記されたURLにウェブブラウザでアクセスすることで、継続・解約の決定や条件の変更を行うことができる。
【0041】
(自動改札機600)
自動改札機600は、駅などの改札口に設置される機器である。利用者は、定期券や切符を投入口(図示せず)に投入したり、ICチップが内蔵された定期券やプリペイドカード等の乗車券を読み取り部(図示せず)にかざしたりすることで自動改札機600の扉が開いて、利用者は自動改札機600を通過できるようになる。
【0042】
判定結果を自動改札機600の通過の際に受け取ることを顧客が選択した場合においては、当該顧客がICチップを内蔵した乗車券を使用して自動改札機600を通過した際に、自動改札機600とネットワーク400で接続されたセンタシステム200が当該顧客の通過を検知し、判定結果通知部214から判定結果を当該顧客が通過した自動改札機600に対して通知する。
【0043】
通知を受けた自動改札機600においては、判定が行われた旨および/または判定結果を自動改札機600に備えられた表示部610に表示させてもよい。顧客は自動改札機600を数秒で通過するため、表示部610へは大きな文字で数文字表示させる等、分かりやすく表示することが望ましい。また、顧客が使用した乗車券が、乗車情報が記録可能なICチップが内蔵された携帯電話であれば、ICチップにURLデータを取り込ませておき、顧客にその取り込んだURLにウェブブラウザでアクセスさせることで、判定結果を受け取った顧客に継続・解約の決定や条件の変更を行わせるようにしてもよい。
【0044】
本実施形態にかかる金融システム10は以上のように構成されている。以下に、本実施形態の動作について説明する。
【0045】
(本実施形態の動作)
次に、本実施形態の動作について、図2〜図5を参照しながら説明する。図2は、本実施形態にかかる金融システムの動作例を示す説明図である。図3〜図5は、図2の解約条件入力工程(ステップS50)における、ATM装置110の表示画面の一例を示す説明図である。
【0046】
まず顧客は定期預金の条件付自動継続停止サービスの申込を行う(ステップS10)。その後の任意のタイミングで、顧客は解約条件の決定時期の選択を行う(ステップS20)。そして、ステップS20で選択した解約条件の決定時期内で、ATMの取引を行う(ステップS30)。
【0047】
以下に、本実施形態に特徴的な工程である解約条件の処理工程(ステップS40〜S70)について説明する。
【0048】
<解約条件の入力画面表示工程(ステップS40)>
ATM装置110に解約条件の入力画面が表示される(ステップS40)。図3は、このステップS40において、ATM装置110に表示される解約条件入力画面の一例を示す説明図である。ATM装置110の定期解約条件入力部112が例えばタッチパネル式のディスプレイ装置である場合には、図3は、定期解約条件入力部112に表示される画面の一例を示すものと考えることができる。また、定期解約条件入力部112がタッチパネル式ではなくボタンなどの場合には、図3は、定期解約条件入力部112に併設される表示手段(例えば、タッチパネル式でないもの)に表示される画面の一例を示すものと考えることができる。
【0049】
図3の例では、「自動継続停止条件を指定してください。」および「対象とする相場を選択してください。」という説明文と、相場を選択するための「株式」、「為替」、「金利」の選択肢(選択ボタン)と、操作を取り消すための「取消」が表示されている。定期解約条件入力部112がタッチパネル式のディスプレイ装置である場合には、「株式」、「為替」、「金利」の選択ボタンのいずれかを指などで直接押下することにより、これらを選択することができる。また、「取消」を選択することにより、この解約条件の指定操作を取り消すことができる。
【0050】
以下では、上記の解約条件入力画面表示工程(ステップS40、図3)において、「金利」が選択された場合の例を挙げて説明する。
【0051】
<解約条件の入力工程(ステップS50)>
次に、解約条件をATM装置110で入力する(ステップS50)。図4は、このステップS50において、ATM装置110に表示される解約条件入力画面の一例を示す説明図である。この例では、「自動継続停止条件を指定してください。」および「「金利」が選択されました。条件を入力してください。」という説明文と、数字等の選択枝(選択ボタン)と、数字等の選択がされた場合にその選択結果を表す表示窓と、操作を取り消すための「取消」が表示されている。
【0052】
定期解約条件入力部112がタッチパネル式のディスプレイ装置である場合には、数字等の選択ボタン(“0”〜“9”、“.”(小数点)、“訂正”)のいずれかを指などで直接押下することにより、これらを選択することができる。また、「取消」を選択することにより、この解約条件の指定操作を取り消す(あるいは、一つ前の画面に戻る)ことができる。顧客は解約条件として、所望の金利(アラーム条件)を入力することができる。
【0053】
顧客が解約条件を入力すると、図5に示したように、ATM装置110に解約条件を確認するための確認画面が表示される。この例では、「自動継続停止条件を確認してください。」および「金利が以下の条件のとき、自動継続を停止いたします。よろしければ「確認」を押してください。」という説明文と、顧客が上記の解約条件の入力工程(ステップS50)で入力した解約条件である「0〜0.3%」と、確認したという意思表示を入力するための「確認」と、操作を取り消すための「取消」が表示されている。顧客が「確認」を選択することにより、解約条件の入力工程(ステップS50)が終了する。
【0054】
<解約条件の判定工程(ステップS60)>
その後、満期日の所定の日前にセンタシステム200で自動継続停止か否かの条件判定を行う(ステップS60)。本実施形態においてはセンタサーバ210の解約条件判断部212が条件判定を行う。なお、上述したように解約条件判断部212で解約条件の判定処理を行う際には、解約予約情報データベース220から直接解約条件を読み出して判定処理を行ってもよく、判定処理に先立って解約予約情報データベース220から解約条件を読み出して解約条件保持部216に保持しておき、保持しておいた解約条件を読み出して判定処理を行ってもよい。
【0055】
また、本発明においては、センタシステム200で条件判定を行う満期日前の日は特に限定されるものではない。しかし、満期日になるべく近い条件で判断を行うこと並びに顧客の判断及び変更の機会を十分に与えることを考慮して、センタシステム200で条件判定を行う満期日前の日は、満期日の3日前〜1週間前程度であることが望ましい。
【0056】
ステップS60での条件判定の結果、条件未達成の場合は定期預金の自動継続を行い、条件達成の場合は定期預金の自動継続停止を行うが、そのまま条件を確定させず、センタサーバ210の判定結果通知部214が、顧客に対して判定結果を通知する(ステップS70)。
【0057】
判定結果の通知方法は、顧客が定期預金の契約の際に予め指定することができ、判定結果通知部214は指定された方法に基づいて顧客に対して判定結果を通知する。上述したように、判定結果通知部214における判定結果の通知は、対象となる顧客への電子メールでの通知、対象となる顧客がATM装置100で操作を行った際の当該ATM装置100への通知、対象となる顧客が自動改札機600を通過した際の当該自動改札機600への通知の少なくともいずれか1つであってもよい。自動改札機600へ通知する場合には、上述したように、判定結果を自動改札機600に備えられた表示部610に表示させてもよく、顧客が使用した乗車券が、乗車情報が記録可能なICチップが内蔵された携帯電話であれば、ICチップにURLデータを取り込ませておき、顧客にその取り込んだURLにアクセスさせることで、判定結果を受け取った顧客に継続・解約の決定や条件の変更を行わせるようにしてもよい。また、判定結果214から判定結果の通知を金融機関の社員が受け取り、当該社員が対象となる顧客に電話をすることで判定結果を通知してもよく、対象となる顧客に書類を郵送またはファクシミリ送信することで判定結果を通知してもよい。
【0058】
顧客が判定結果の通知を受けると、顧客は受け取った判定結果を確認し、満期日が到来する前に自動継続停止条件の変更もしくは判定結果の確定を行う(ステップS80)。自動停止条件の変更もしくは判定結果の確定は、上記ステップS50のようにATM装置100から入力することができる。もちろん、顧客が条件を変更する必要が無いと判断すれば、条件の変更は行わなくてもよいし、判定結果を確定する必要が無いと判断すれば、判定結果の確定は行わなくてもよい。
【0059】
顧客が自動継続停止条件の変更を行った場合は、センタシステム200で自動継続停止条件を確定させる(ステップS90)。その後、満期日が到来すると(ステップS100)、センタシステム200のセンタサーバ210において、顧客が条件を変更した場合にはその条件で、変更していない場合には上記ステップS60と同じ条件で、自動継続停止か否かの条件判定を再度行う。判定の結果、条件未達成の場合は、定期預金の自動継続を行う。また、条件達成の場合は、定期預金の自動継続停止を行う。
【0060】
顧客が判定結果の確定を行った場合は、満期日には条件判定は行わず、確定した結果に従い継続または解約処理を行う。
【0061】
以上、本発明にかかる金融自動化装置の一例としてATM装置110とそれを用いたシステムについて説明した。かかるATM装置100やセンタサーバ210は、コンピュータに上記機能を実現するためのコンピュータプログラムを組み込み、組み込んだコンピュータプログラムをATM装置100やセンタサーバ210に内蔵されたCPUで順次呼び出して実行することによって、コンピュータをATM装置110やセンタサーバ210として機能させることが可能である。かかるコンピュータプログラムは、所定の記録媒体(例えば、CD−ROM)に記録された形で、あるいは、電子ネットワークを介したダウンロードの形で市場を流通させることが可能である。
【0062】
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、センタシステムは満期日の前に条件判定を行い、判定した結果を顧客に通知することで、顧客が金融商品の運用方法の変更の機会を得ることができる。また、金融機関は、顧客に多様な運用機会を与えることにより、顧客満足度を高めるとともに収益性の高い金融商品を販売することができる。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0064】
例えば、上記実施形態では、解約条件の達成/未達成の判断をセンタシステム200で行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ATM装置110で判断を行うようにしてもよい。この場合、センタシステム200は、解約条件の保持・管理のみを行い、ATM装置110からの要請に応じて、解約条件を送信するようにする。そして、ATM装置110は、センタシステム200から送信される解約条件を受信して、解約条件を満たすかを判断することが可能である。この際にATM装置100は、解約条件の達成/未達成の判断を行うにあたり、サーバ300から為替レート等の情報を取得することも可能である。
【0065】
また、上記実施形態では、自動継続解約条件を、センタシステム200内の解約予約情報データベース(DB)220に保持する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、自動継続解約条件を、ATM装置110内で保持することも可能である。この場合、ATM装置110は、自動継続解約条件を保持する解約条件保持部を備えた構成とすることができる。また、ATM装置110内とセンタシステム200の双方で自動継続解約条件を保持しておくことも可能である。
【0066】
その他、上記実施形態においてATM装置110の機能として説明した機能をセンタシステム200の機能として実施することも可能であり、また、センタシステム200の機能として説明した機能をATM装置110の機能として実施することも可能である。
【0067】
また、図3〜図5を参照してATM装置110の表示画面について説明したが、かかる表示画面の内容や表示の仕様については任意に設計可能である。
【0068】
例えば、解約条件の入力工程(ステップS50およびステップS80)における確認画面で、「他の条件を追加しますか?」というメッセージとともに「条件追加」ボタンを表示し、他の解約条件(相場の条件など)を追加させるようにしてもよい。その場合、追加された条件は、いわゆるOR条件またはAND条件により扱うことが可能である。
【0069】
また例えば、ATM装置110における顧客の入力内容が明らかに不自然な場合等に、警告を表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態にかかる金融システムの構成例を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる金融システムの動作例を示す説明図である。
【図3】解約条件入力工程における表示画面の一例を示す説明図である。
【図4】解約条件入力工程における表示画面の一例を示す説明図である。
【図5】解約条件入力工程における表示画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
100 営業店
110 ATM装置
112 定期解約条件入力部
114 定期解約予約処理部
116 通信部
200 センタシステム
210 センタサーバ
212 解約条件判断部
214 判定結果通知部
216 解約条件保持部
220 解約予約情報データベース
230 通信部
300 外部サーバ
400 通信ネットワーク
500 パーソナルコンピュータ
510 携帯電話
600 自動改札機
610 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の金融商品の契約内容の変更手続を行うセンタ装置であって:
前記金融商品の解約条件を保持する解約条件保持部と;
解約処理を行う日の所定の日前に前記解約条件保持部に保持されている前記金融商品の解約条件を満たすかを判断する解約条件判断部と;
前記解約条件判断部での判定結果を前記顧客に通知する判定結果通知部と;
を備えたことを特徴とする、センタ装置。
【請求項2】
前記解約条件を、通信ネットワークを介して外部と送受信するための通信部をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のセンタ装置。
【請求項3】
前記判定結果通知部は、電子メールによって前記判定結果を通知することを特徴とする、請求項1または2に記載のセンタ装置。
【請求項4】
前記判定結果通知部は、前記顧客が操作した前記金融自動化装置に前記判定結果を通知することを特徴とする、請求項1または2に記載のセンタ装置。
【請求項5】
前記判定結果通知部は、前記顧客が自動改札機を通過した際に前記自動改札機に前記判定結果を通知することを特徴とする、請求項1または2に記載のセンタ装置。
【請求項6】
金融商品の契約内容の変更手続を行うための金融自動化装置と、前記金融自動化装置と通信ネットワークを介して接続されるセンタ装置とを含む金融システムにおいて、
前記金融自動化装置は、
金融商品の解約条件を入力するための解約条件入力部と;
所定の日時に、前記解約条件を満たす場合に前記金融商品の解約処理を行う解約予約処理部と;
前記センタ装置との間で通信を行う通信部と;
を備え、
前記センタ装置は、
前記金融商品の解約条件を保持する解約条件保持部と;
解約処理を行う日の所定の日前に前記解約条件保持部に保持されている前記金融商品の解約条件を満たすかを判断する解約条件判断部と;
前記解約条件判断部での判定結果を通知する判定結果通知部と;
前記金融自動化装置との間で通信を行う通信部と;
を備えたことを特徴とする、金融システム。
【請求項7】
前記金融自動化装置は、さらに、前記解約条件を保持する解約条件保持部を備えたことを特徴とする、請求項6に記載の金融システム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜5に記載のセンタ装置として機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−234449(P2008−234449A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75080(P2007−75080)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】