説明

ゼンマイ機構並びにゼンマイ駆動ユニット

【課題】複数のゼンマイを結合させて長時間駆動を可能にするゼンマイ機構並びにゼンマイ駆動ユニットを提供する。
【解決手段】巻締力によって巻締められて復元力を蓄積する第一のゼンマイと、第二のゼンマイと、一方の面に接合部が突設して第一のゼンマイの中心部と係合すると共に他方の面には内周に第二のゼンマイを係止する係止部を備える円筒状のリブを有する結合板と、を備えることで複数のゼンマイが連結して回動可能である。限られた空間に複数個のゼンマイを同軸上に配置することができ、長時間の駆動が可能な駆動源を構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼンマイ機構並びにゼンマイ駆動ユニットに関し、特に複数のゼンマイを結合させて長時間駆動を可能にするゼンマイ機構並びにゼンマイ駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ばねの巻上げを応用したゼンマイ駆動機構は、走行玩具の駆動部にギアボックスとして適用されることが多い。ゼンマイは巻上げることで弾性エネルギーを蓄積できるが、巻上げが全て開放されることで全てのエネルギーが運動エネルギーとして放出される。巻上げは人間が行なうため化石燃料も電気エネルギーも必要としない、クリーンなエネルギー蓄積方法として再び注目されている。
【0003】
ここで、ばねの巻上げでは出力トルクはばねの強さであるばね幅とばねの板厚の積となる。従って、出力トルク等を増大させる場合は、ばね幅とばねの板厚を増大させる必要が生じる。また、エネルギーの開放量を増大させたり、開放時間を長くする場合にはばねの長さを延長させる必要がある。しかし、ばね幅とばねの板厚の増大またはばねの延長はばね1つ当たりの占める容積の増大につながる。そこで、いくつかばねの長さを延長する方法が提案されている。
【0004】
具体的には、特許文献1において「第一ゼンマイユニット7及び第二ゼンマイユニット8が巻かれて付勢される」と開示され、二つのゼンマイを連動させる発明が提案されている。
【0005】
さらに、特許文献2において、その請求項1には「機枠には第1ゼンマイ機構と第2ゼンマイ機構を配設し、第1ゼンマイ機構の第1ゼンマイ軸には第1ゼンマイとケーブルの基端を係止した糸巻きリールと歯車を軸着し該歯車には第1ゼンマイ軸に基端部を回転自在に軸承した回動アームの先端に取付けた回動ギアを噛合せしめ、第2ゼンマイ機構の第2ゼンマイ軸には前記回動ギアと噛合可能な歯車を軸着し、さらに従動側に駆動力を伝達する歯車と第2ゼンマイを備え」として、ここでもゼンマイを二つ組み合わせて第1ゼンマイの駆動が第2ゼンマイに伝達される旨が開示されている。
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3001996号公報、図2、段落0008
【特許文献2】特開昭63−102499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では図2に示すように2つのゼンマイユニットが車体中の大きなスペースを占有しており、車体の大きさの小型化の制約になるとともに設計の自由度が低下しているのが明らかである。また、ゼンマイユニットをさらに長時間使用できるように増設されてはいない。
【0008】
また、特許文献2ではギアを介して駆動力が伝達されるため、ゼンマイ間の駆動力の伝達のためにギアが用いられており、やはり空間を有効に利用できていない。
【0009】
従来の巻上げばねの課題は駆動時間の短さにある。そこで、駆動時間を長くするためには、ばねの長さを単純に長くすることやばねを複数個連結することで解決できる。
【0010】
しかしながら、ばねの長さを単純に長くすると、駆動力が均等に開放されないという課題が発生する。すなわち、開放トルクが巻数により増大するため、ばねの長さを長くした場合には、トルクが一定であることが要求されるオルゴールやタイマーでの使用が困難であった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、開放トルクに偏りが無く、長時間にわたり、トルクを開放できるゼンマイ駆動ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成すべく本発明の第一の側面であるゼンマイ機構は、巻締力によって巻締められて復元力を蓄積する第一のゼンマイと、第二のゼンマイと、一方の面に接合部が突設して第一のゼンマイの中心部と係合すると共に他方の面には内周に第二のゼンマイを係止する係止部を備える円筒状のリブを有する結合板と、を備えることで複数のゼンマイが連結して回動可能である。
【0013】
また、係止部はその中心にシャフト貫通させる貫通口を備えてもよい。
【0014】
第二のゼンマイに隣接して第二の結合板を設けることでさらなる複数のゼンマイを追加してもよい。
【0015】
さらに、結合板は係止部の中央に接合凹部を備え前記リブ側面中央に前記接合凹部と同軸となるように中央凸部を備えてもよい。
【0016】
続いて、前記接合凹部の開口径と前記中央凸部の直径を略等しくしてもよい。
【0017】
次に本発明の第二の側面であるゼンマイ駆動ユニットは、巻締力によって巻締められて復元力を蓄積する第一のゼンマイと、第二のゼンマイと、一方の面に接合部が突設して第一のゼンマイの中心部と係合すると共に他方の面には内周に第二のゼンマイを係止する係止部を備える円筒状のリブを有する結合板と、を備えることで複数のゼンマイが連結して回動可能なゼンマイ機構とギアとを組み合わせた。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載のゼンマイ機構によって、開放トルクに偏りが無く、長時間にわたり、トルクを開放することのできる駆動源を構成することができる。このため、モータの代替品として活用することができる。
【0019】
また、モータや電池が不要となるため、電池の交換や廃棄が不要であるため環境に対する負荷を削減する。
【0020】
さらに、モータとその制御に付随する回路が不要となり、関連する部品数が削減されるので部品コストや組み立てコストが削減されてコストダウンを図ることができる。
【0021】
続いて、モータを使用しないために調整箇所や消耗部品が少なく、メンテナンスに要する工数を削減できる。
【0022】
そのうえ、結合板を用いて複数のゼンマイを組み合わせるため構造がコンパクトに纏まる。
【0023】
また、本発明の請求項2のゼンマイ機構によって、シャフトの両軸のいずれにも出力ギアの配置ができるため設計の自由度が向上する。
【0024】
さらに、本発明の請求項3のゼンマイ機構における接合凹部と同軸となるように中央凸部を設けることで、ゼンマイの増設が容易となり設計の自由度が向上する。
【0025】
次に、本発明の請求項4のゼンマイ機構において、前記接合凹部の開口径と前記中央凸部の直径を略等しくすることで同一部品によりゼンマイの増設が容易となり設計の自由度が向上し、コストの低下が図れる。
【0026】
一方、本発明の請求項5に記載のゼンマイ駆動ユニットによりギアと一体となったコンパクトな駆動源の構成が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1には、本発明に係るゼンマイ機構の実施例1の縦断面図を示し、図2には、実施例1の分解斜視図を示す。本実施例1におけるゼンマイ機構2は、回転部材を構成する巻芯4と巻芯4を貫通させる貫通口部6、8、10を備える3枚の結合板12、14、16と、各結合板12、14、16同士の間に係止される3個のゼンマイ18、20、22が2つの香箱筒24、26と香箱蓋28と制動ケース30からなる香箱31に収納されるものである。巻芯4は、香箱31より長くする必要がある。
【0029】
図1に示すように巻芯4の先端には出力歯車32が取付固定されている。香箱蓋28は、前記出力歯車32に隣接して巻芯4に回動自在に嵌装される。
【0030】
香箱蓋28は、図3に示される様に円形の天板34に円筒状のリブ36が外周に沿って設けられ、内面にはクラッチ機能を有するように鋸歯38が軸方向に突設される。このクラッチ機能は、ゼンマイの巻き過ぎを防止するために設けられるものであり、一定以上の力がゼンマイと鋸歯38との間に付加された場合に滑るように構成される。
【0031】
結合板12は、香箱蓋28に隣接して巻芯4に回動自在に嵌装される。この結合板12は、その中心に貫通口部6を有する小筒部40を香箱蓋28方向に立設する。また、前記小筒部40の両端に間隔をおいてゼンマイ18を係止させるための係止突起42、44をそれぞれ立設する。従ってゼンマイ18の外側端部は、香箱蓋28の鋸歯38で係止する。一方、ゼンマイ18の中心部は結合板12の係止突起42、44によって係止される。
【0032】
結合板12は、図4に示されるようにその小筒部40を有する面の裏面外周部に近傍に円筒状のリブ46が垂直に突設される。このリブ46の一部に第2のゼンマイであるゼンマイ20を係止するための溝であるゼンマイ係止部48が刻設される。
【0033】
リブ46の外周には、図1に示すようにリブ46より直径の大きな円筒である香箱筒24が香箱蓋28に隣接して配置される。香箱蓋28のリブ36の端部に設けられる係止溝47と、香箱筒24における香箱蓋28側端部に設けられる係止溝49との間に結合板12は摺動自在に固定される。
【0034】
結合板14は、結合板12に隣接して巻芯4に回動自在に嵌装される。この結合板14は、その中心に貫通口部8を有する小筒部50を結合板12方向に立設する。また、前記小筒部50の両端に間隔をおいてゼンマイ20を係止させるための係止突起52、54をそれぞれ立設する。従ってゼンマイ20の外側端部は、結合板12のゼンマイ係止部48で係止する。一方、ゼンマイ20の中心部は結合板14の係止突起52、54によって係止される。
【0035】
結合板14は、その小筒部50を有する面の裏面外周部に近傍に円筒状のリブ56が垂直に突設される。このリブ56の一部に第3のゼンマイであるゼンマイ22を係止するための溝であるゼンマイ係止部58が刻設される。
【0036】
リブ56の外周には、リブ56より直径の大きな円筒である香箱筒26が香箱筒24に隣接して配置される。香箱筒24の香箱筒26側端部に設けられる係止溝57と、香箱筒26における香箱筒24側端部に設けられる係止溝59との間に結合板14は摺動自在に固定される。
【0037】
結合板16は、結合板14に隣接して巻芯4を圧入固定する。このため、結合板16と巻芯4を軸にして一体的に回動する。この結合板16は、その中心に貫通口部10を有する小筒部60を結合板14方向に立設する。また、前記小筒部60の両端に間隔をおいてゼンマイ22を係止させるための係止突起62、64をそれぞれ立設する。従ってゼンマイ22の外側端部は、結合板14のゼンマイ係止部58で係止する。一方、ゼンマイ22の中心部は結合板16の係止突起62、64によって係止される。
【0038】
制動ケース30は、結合板16に隣接して巻芯4に回動自在に嵌装される。制動ケース30は、底板66とその中心に巻芯4を嵌装する貫通口部68を有する小筒部70を設け、外周には円筒状のリブ72が立設される。香箱筒26の制動ケース30側端部に設けられる係止溝74と、制動ケース30における香箱筒26側端部に設けられる係止溝76との間に結合板16は摺動自在に固定される。
【0039】
なお、香箱蓋28のリブ36の四隅には穴78が設けられ、香箱筒24の四隅にやはり設けられるピン80がそれぞれ圧入されて香箱蓋28と香箱筒24とが固定される。
【0040】
香箱筒24の四隅に設けられるピン80に隣接して穴82が設けられ、香箱筒26の四隅に設けられるピン84がそれぞれ圧入されて香箱筒24と香箱筒26とが固定される。
【0041】
香箱筒26の四隅に設けられるピン84に隣接して穴86が設けられ、制動ケース30の四隅に設けられるピン88がそれぞれ圧入されて香箱筒26と制動ケース30とが固定される。従って、香箱蓋28と、香箱筒24と、香箱筒26および制動ケース30すなわち香箱31が一体として固定される。
【0042】
以上の構成に対して、本発明の実施例1の作用について図1、図2を用いて説明する。巻芯4と香箱31とを相対的に回転させることでゼンマイ18、20、22を巻締めことができる。このとき、巻芯4は結合板16の貫通口部10にのみ圧入されており、巻芯4の回転により結合板16が回転して、ゼンマイ係止部58と係止突起62、64によって係止されるゼンマイ22を巻締めする。ゼンマイ22は、さらにゼンマイ係止部58を介して結合板14を回転させる。結合板14に立設される係止突起52、54によってゼンマイ20を続いて巻締めする。ゼンマイ20は、さらにゼンマイ係止部48を介して結合板12を回転させる。結合板12に立設される係止突起42、44によってゼンマイ18を続いて巻締めする。
【0043】
従って、一回の巻締めによって3個のゼンマイを同時に巻締めることが可能となる。巻締めされたゼンマイ18、20、22は回転エネルギーを蓄積し、巻芯4と香箱31のいずれか一方の部材が解放されることによって、解放された部材は巻締め方向とは逆方向に回転する。本は発明では回転エネルギーを複数のゼンマイに蓄積することができるので長時間に渡り回転させることが可能となる。例えば、図5に示すように本ギアボックス内のゼンマイ機構2はゼンマイを3個、すなわちゼンマイ18、20、22について結合板を介して連結したものであり、ゼンマイ1個のゼンマイ機構2に対して駆動時間は3倍となる。従って、同様にゼンマイを増加させればゼンマイの総数倍だけ駆動時間が長くなる。
【0044】
従来の駆動時間の3倍以上の駆動時間とすることもできる。また、同一のゼンマイを複数個巻き上げるので、開放トルクの変動を最小限とすることができる。さらに、ばねの巻上げが物理的に可能であれば香箱の径を数mmの小さな物から100mm以上の大きい物まで可能である。
【0045】
図5に示されるようなボックス90に、本発明に係るゼンマイ機構2を配置して、出力歯車32と噛み合うようにギアを配置することで、従来のゼンマイと比較して回転エネルギーを大量に蓄積可能なゼンマイ駆動ユニット92を構成することができる。
【実施例2】
【0046】
次に、図6、図7を参照して本発明に係るゼンマイ機構の実施例2について説明する。図6には、本発明に係るゼンマイ機構の実施例2の縦断面図を示し、図7には、実施例2の分解斜視図を示す。
【0047】
本実施例2におけるゼンマイ機構102は、回転部材を構成する巻芯104と巻芯104を貫通させる貫通口部106を備える結合板116と結合板116と積層される結合板112、114と、各結合板112、114、116同士の間に係止される3個のゼンマイ118、120、122が2つの香箱筒124、126と香箱蓋128と制動ケース130からなる香箱131に収納されるものである。
【0048】
図6に示すように香箱蓋128は、図3と同様に円形の天板134に円筒状のリブ136が外周に沿って設けられ、内面にはクラッチ機能を有するように図示されない鋸歯138が軸方向に突設される。このクラッチ機能は、ゼンマイの巻き過ぎを防止するために設けられるものであり、一定以上の力がゼンマイと鋸歯138との間に付加された場合に滑るように構成される。
【0049】
また、天板134の中心に天板134に対してリブ136と同一の面に中央凸部139が突設される。
【0050】
結合板112は、香箱蓋128に隣接し、その中心に接合凹部140を有する小筒部141を香箱蓋128方向に立設する。香箱蓋128に設けられた中央凸部139は接合凹部140に回動自在に挿入される。ここで、回動自在に挿入できるように中央凸部139の外径と接合凹部140の内径が略等しいことが好ましい。
【0051】
また、前記小筒部141の両端に間隔をおいてゼンマイ118を係止させるための係止突起142、144をそれぞれ立設する。従ってゼンマイ118の外側端部は、香箱蓋128の鋸歯138(図示せず)で係止する。一方、ゼンマイ118の中心部は結合板112の係止突起142、144によって係止される。
【0052】
結合板112は、図6に示されるようにその小筒部141を有する面の裏面外周部に近傍に円筒状のリブ146が垂直に突設される。このリブ146の一部に第2のゼンマイであるゼンマイ120を係止するための溝であるゼンマイ係止部148が刻設される。また、結合板112のリブ146と同一面側でその中心部に中央凸部149が立設される。
【0053】
リブ146の外周には、リブ146より直径の大きな円筒である香箱筒124が香箱蓋128に隣接して配置される。香箱蓋128のリブ136の端部に設けられる係止溝147と、香箱筒124における香箱蓋128側端部に設けられる係止溝151との間に結合板112は摺動自在に固定される。
【0054】
結合板114は、結合板112に隣接し、その中心に接合凹部150を有する小筒部151を結合板112方向に立設する。結合板112に設けられた中央凸部149は接合凹部150に回動自在に挿入される。ここで、回動自在に挿入できるように中央凸部149の外径と接合凹部150の内径が略等しいことが好ましい。
【0055】
また、前記小筒部151の両端に間隔をおいてゼンマイ120を係止させるための係止突起152、154をそれぞれ立設する。従ってゼンマイ120の外側端部は、結合板112のゼンマイ係止部148で係止する。一方、ゼンマイ120の中心部は結合板114の係止突起152、154によって係止される。
【0056】
結合板114は、その小筒部151を有する面の裏面外周部に近傍に円筒状のリブ156が垂直に突設される。このリブ156の一部に第3のゼンマイであるゼンマイ122を係止するための溝であるゼンマイ係止部158が刻設される。また、結合板114のリブ156と同一面側でその中心部に中央凸部159が立設される。
【0057】
リブ156の外周には、リブ156より直径の大きな円筒である香箱筒126が香箱筒124に隣接して配置される。香箱筒124の香箱筒126側端部に設けられる係止溝157と、香箱筒126における香箱筒124側端部に設けられる係止溝159との間に結合板114は摺動自在に固定される。
【0058】
結合板116は、結合板114に隣接し、その中心に貫通穴160を有する小筒部161を結合板116に貫通させて立設する。結合板114に設けられた中央凸部159は貫通穴160に回動自在に挿入される。また、貫通穴160には、結合板114の反対側から巻芯104を圧入固定する。
【0059】
また、前記小筒部161の両端に間隔をおいてゼンマイ122を係止させるための係止突起162、164をそれぞれ立設する。従ってゼンマイ122の外側端部は、結合板114のゼンマイ係止部158で係止する。一方、ゼンマイ122の中心部は結合板116の係止突起162、164によって係止される。
【0060】
制動ケース130は、結合板116に隣接して巻芯104に回動自在に嵌装される。制動ケース130は、底板166とその中心に巻芯104を嵌装する貫通口部168を設け、外周には円筒状のリブ172が結合板116側に立設される。香箱筒126の制動ケース130側端部に設けられる係止溝174と、制動ケース30における香箱筒126側端部に設けられる係止溝176との間に結合板116は摺動自在に固定される。
【0061】
なお、香箱蓋128のリブ136の四隅には穴178が設けられ、香箱筒124の四隅にやはり設けられるピン180がそれぞれ圧入されて香箱蓋128と香箱筒124とが固定される。
【0062】
香箱筒124の四隅に設けられるピン180に隣接して穴182が設けられ、香箱筒126の四隅に設けられるピン184がそれぞれ圧入されて香箱筒124と香箱筒126とが固定される。
【0063】
香箱筒126の四隅に設けられるピン184に隣接して穴186が設けられ、制動ケース130の四隅に設けられるピン188がそれぞれ圧入されて香箱筒126と制動ケース130とが固定される。従って、香箱蓋128と、香箱筒124と、香箱筒126および制動ケース130すなわち香箱131が一体として固定される。
【0064】
巻芯104は、結合板116の貫通穴160に圧入固定されてさらに、制動ケース130の貫通口部168を貫通して、クラッチ190と駆動ギア192を貫通する。
【0065】
以上の構成に対して、本発明の実施例2の作用について図6、図7を用いて説明する。巻芯104と香箱131とを相対的に回転させることでゼンマイ118、120、122を巻締めことができる。このとき、巻芯104は結合板116にのみ圧入されており、巻芯104の回転により結合板116が回転して、結合板116と係止突起162、164によって係止されるゼンマイ122を巻締めする。ゼンマイ122は、さらにゼンマイ係止部158を介して結合板114を回転させる。結合板114に立設される係止突起152、154によってゼンマイ120を続いて巻締めする。ゼンマイ120は、さらにゼンマイ係止部148を介して結合板112を回転させる。結合板112に立設される係止突起142、144によってゼンマイ118を続いて巻締めする。
【0066】
従って、一回の巻締めによって3個のゼンマイを同時に巻締めることが可能となる。巻締めされたゼンマイ118、120、122は回転エネルギーを蓄積し、巻芯104と香箱131のいずれか一方の部材が解放されることによって、解放された部材は巻締め方向とは逆方向に回転する。本は発明では回転エネルギーを複数のゼンマイに蓄積することができるので長時間に渡り回転させることが可能となる。
【0067】
実施例2のように構成することで、ゼンマイと結合板を追加することで巻芯の長さに関係なく自由にゼンマイを追加することが可能となる。
【0068】
また、本実施例ではいずれもばねの強度を統一しているが、一定に限定するものではなく、複数の強度のばねを使い分けても良い。また、ばねの長さはばねを巻くことができるトルクの範囲内であればよく、長さは特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係るゼンマイ機構並びにゼンマイ駆動ユニットは、玩具、ギフト商品、オルゴール、タイマー、攪拌器、非常用発電機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係るゼンマイ機構の実施例1の縦断面図を示す。
【図2】本発明に係るゼンマイ機構の実施例1の分解斜視図を示す。
【図3】本発明に係るゼンマイ機構の実施例1における香箱蓋の概観図を示す。
【図4】本発明に係るゼンマイ機構の実施例1における結合板の概観図を示す。
【図5】本発明に係るゼンマイ機構の実施例1におけるゼンマイ駆動ユニットの概観図を示す。
【図6】本発明に係るゼンマイ機構の実施例2の縦断面図を示す。
【図7】本発明に係るゼンマイ機構の実施例2の分解斜視図を示す。
【符号の説明】
【0071】
2 ゼンマイ機構
4 巻芯
6、8、10 貫通口部
12、14、16 結合板
18、20、22 ゼンマイ
24、26 香箱筒
28 香箱蓋
30 制動ケース
31 香箱
32 出力歯車
34 天板
36 リブ
38 鋸歯
40 小筒部
42、44 係止突起
46 リブ
47 係止溝
48 ゼンマイ係止部
49 係止溝
50 小筒部
52、54 係止突起
56 リブ
57 係止溝
58 ゼンマイ係止部
59 係止溝
60 小筒部
62、64 係止突起
66 底板
68 貫通口部
70 小筒部
72 リブ
74 係止溝
76 係止溝
78 穴
80 ピン
82 穴
84 ピン
86 穴
88 ピン
90 ボックス
92 ゼンマイ駆動ユニット
102 ゼンマイ機構
104 巻芯
106 貫通口部
112 結合板
114、116 結合板
118、120、122 ゼンマイ
124、126 香箱筒
128 香箱蓋
130 制動ケース
131 香箱
134 天板
136 リブ
138 鋸歯
139 中央凸部
140 接合凹部
141 小筒部
142、144 係止突起
146 リブ
148 ゼンマイ係止部
149 中央凸部
150 接合凹部
151 小筒部
152、154 係止突起
156 リブ
158 ゼンマイ係止部
159 中央凸部
160 貫通穴
161 小筒部
162、164 係止突起
166 底板
168 貫通口部
172 リブ
174 係止溝
176 係止溝
178 穴
180 ピン
182 穴
184 ピン
186 穴
188 ピン
190 クラッチ
192 駆動ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻締力によって巻締められて復元力を蓄積する第一のゼンマイと、
第二のゼンマイと、
一方の面に接合部が突設して第一のゼンマイの中心部と係合すると共に他方の面には内周に第二のゼンマイを係止する係止部を備える円筒状のリブを有する結合板と、
を備えることで複数のゼンマイが連結して回動可能なゼンマイ機構。
【請求項2】
係止部はその中心にシャフト貫通させる貫通口を備えることを特徴とする請求項1記載のゼンマイ機構。
【請求項3】
結合板は係止部の中央に接合凹部を備え前記リブ側面中央に前記接合凹部と同軸となるように中央凸部を備えることを特徴とする請求項1記載のゼンマイ機構。
【請求項4】
第二のゼンマイに隣接して第二の結合板を設けることでさらなる複数のゼンマイを追加することのできる請求項2または3に記載のゼンマイ機構。
【請求項5】
前記接合凹部の開口径と前記中央凸部の直径を略等しくする請求項3記載のゼンマイ機構。
【請求項6】
巻締力によって巻締められて復元力を蓄積する第一のゼンマイと、
第二のゼンマイと、
一方の面に接合部が突設して第一のゼンマイの中心部と係合すると共に他方の面には内周に第二のゼンマイを係止する係止部を備える円筒状のリブを有する結合板と、
を備えることで複数のゼンマイが連結して回動可能なゼンマイ機構とギアとを組み合わせたゼンマイ駆動ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−18195(P2008−18195A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194968(P2006−194968)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(506243921)テコナ ジャパン カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TECONA JAPAN CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】8/F., Kolling Centre, 77 Granville Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Hong Kong, People’s Republic of China
【Fターム(参考)】