説明

ソケット、電球装置及び照明装置

【課題】 構造及び着脱が簡単で、かつ電気接続を確実に行えるとともに、環境問題に配慮した無口金電球に用いるソケット、電球装置及び照明装置を提供する。
【解決手段】 電気絶縁性を有するソケット本体11と、ソケット本体11の一端部に凹部12aを形成した電球支持部12と、ソケット本体11の他端部に電球支持部12に連続して形成した装着部13と、装着部13に突出して形成した弾性を有するアーム部14、14'と、アーム部外面に形成したリード線を支持する凹溝14a、14a'とを具備するソケットを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電球に用いるソケット、ソケットに電球を装着した電球装置及び電球装置を使用した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の計器類、音響機器の操作部等における表示パネルの照明用、さらには自動車のウインカーランプやドアランプの光源として無口金電球が多用されている。
【0003】
従来の無口金電球は、例えば下記の特許文献1に示されるように、一対の導電性挟持片を装着したプラスチック筒体からなるソケットに、無口金電球であるウェッジベースランプを挿入することにより、ウェッジベースランプの通電リード部が挟持片に接触して点灯可能になるように構成されている。
【0004】
他の方式として、例えば特許文献2に示されるように、無口金電球が挿入される筒形のソケット本体にフランジ部を形成し、無口金電球より導出されたリード線をフランジ部の上面に沿って配線し、無口金電球とソケットとを一体化した電球装置が構成されている。
【0005】
さらに、電気的な接続の方式としては、プリント配線基板に直接表面実装したり(例えば、特許文献3)、ソケットにハーネスを設けて(例えば、特許文献4)、電気的な接続を行うことがなされている。
【特許文献1】特許第3000192号公報
【特許文献2】特開平8−315937号公報
【特許文献3】特開平10−275603号公報
【特許文献4】実開平4−54183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電球装置は、ソケット内に一対の導電性挟持片を装着するために部品点数が多くなり、しかもこれら挟持片は小形で複雑な形状をなし、しかも導電性金属プレートを切断やプレスを行って構成するため、加工に手間を要し、かつ組み立て工数も多くなってしまう問題がある。
【0007】
また、無口金電球の着脱操作は、電球自体を摘んでソケットに対して行うものであり、電球着脱の際に機械的に一番弱いリード線引き出し部分に外力が加わり、破損する恐れがある。
【0008】
特許文献2に示されるものは、上記問題を解消したものであるが、無口金電球とソケットで構成された電球装置は、ソケットをプリント配線基板に形成された取付け孔に差し込んで、引掛け爪を弾性変形させて取付けるとともに、電気的な接続も行うようにしている。
【0009】
このため、電球装置を取付けるための構成は、ソケットに引掛け爪を形成し、さらにプリント配線基板に取付け孔を形成する格別の構成が必要となり構造が複雑となる問題がある。
【0010】
また、電球装置の取付けに際しては、引掛け爪を弾性変形させるために強い力が必要となり、また外す場合には工具を使用して引掛け爪を変形させて係合を解除しなければなら
ず、簡単に着脱ができない問題がある。
【0011】
さらに、電球装置とプリント配線基板との電気接続は、ソケットをプリント配線基板に形成された取付け孔に、差し込んで引掛け爪を弾性変形させ、ソケットの引掛け爪とフランジ部の上面との間に回路基板を挟持することにより固定し、これによりフランジ部の上面に配線されたリード線が回路基板の給電端子と接触して電気接続をなすように構成されている。
【0012】
このため、回路基板の板厚寸法が製造誤差等により、所期の寸法より薄くなっていた場合には、フランジ部上面との間で回路基板を強固に確実に挟持することができない恐れがあり、両者の固定にガタ付きが生じ、また電気接続が不安定となって不点灯など、故障の原因となる恐れがある。
【0013】
一方、この種の無口金電球を使用した電球装置は、ランプの光を必要とする自動車のウインカーランプやドアランプの光源としても設置されるが、この場所は自動車本来の電子制御を行う電子回路部分が設置された場所とは離れた場所、換言すれば、ランプ以外には配線を必要としない場所であることが多い。
【0014】
しかし、多くの場合は、不用なプリント配線基板を、ランプを発光させる目的のみで、ランプ装着用の小さなプリント配線基板を設計しランプケース等の裏面に設置している。さらに、これら配線基板と電源を接続するために多くの電線が設けられている。
【0015】
このため、ランプケース等の裏面においては、多くの電線が複雑に絡み合い、また組み立てに手間がかかるとともに、誤配線が生じる恐れがある。
【0016】
また、近年、自動車等の設計においては、ランプ交換が容易で、構造が簡単かつ耐久性を有する等の要望に加え、環境問題やリサイクルへの配慮から、鉛半田等を含んだプリント配線基板の使用を極力避けるよう要望がなされている。
【0017】
これに対し、上記特許文献1、2及び3に示される無口金電球を使用した電球装置は、プリント配線基板に支持するものであり、上記要望を実現できない。
【0018】
また、特許文献4に示されるものは、電線を有して配線接続するものであり、組み立ての手間及び誤配線を解消するものとはならない。
【0019】
本発明は、上述した課題、問題を解決することを目的とし、構造及び着脱が簡単で、かつ電気接続を確実に行えるとともに、環境問題に配慮した無口金電球に用いるソケット、電球装置及び照明装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1に記載のソケットの発明は、電気絶縁性を有するソケット本体と、ソケット本体の一端部に凹部を形成した電球支持部と、ソケット本体の他端部に電球支持部に連続して形成した装着部と、装着部に突出して形成した弾性を有するアーム部と、アーム部外面に形成したリード線を支持する凹溝とを具備することを特徴とする。
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、構造及び着脱が簡単で、かつ電気接続を確実に行うことができる無口金電球を用いた照明装置用のソケットが構成される。
【0022】
ソケット本体は、例えば、ナイロン等の弾性を有し、耐熱性でかつ電気絶縁性をする合成樹脂で構成することが好ましいが、素材を金属で構成し、この金属に耐熱性でかつ電気
絶縁性をする合成樹脂等をコーティングするなどの手段で構成してもよい。
【0023】
弾性を有するアーム部は、例えば、ソケット本体をナイロン等の弾性を有する合成樹脂で構成し、装着部に一体に突出してアーム部を形成することにより、合成樹脂自体の弾性を利用することによって弾性を有するアームを構成してもよく、さらにはアームをソケット本体とは別体の金属製のバネ部材で構成し、その一端をソケット本体に係止して、この係止部を中心としてアームが揺動できるように構成してもよい。
【0024】
請求項2に記載の電球装置の発明は、前記請求項1に記載のソケットと、ソケットの凹部に支持され、リード線を有する電球とを具備し、リード線をソケットの凹部から装着部に導出し、アーム部の凹溝に露出させて支持したことを特徴とする。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、構造及び着脱が簡単で、かつ電気接続を確実に行うことができる無口金電球を用いた照明装置用の電球装置が構成される。
【0026】
リード線を有する電球は、ウェッジベースランプやサブミニチュアランプ等の小型の電球が好適であるが、電球の大きさ、リード線の引き出し方式等には限定されない。
【0027】
電球をソケットへ支持する手段は、ソケットの凹部に電球を挿入し装着する手段のみによって支持されても、または電球の封止部及びソケットに形成した凹凸による係合により支持するようにしてもよく、また、電球はソケットに対して着脱が可能になるように支持してもよい。
【0028】
ソケットの凹部から装着部に導出する電球のリード線は、装着部の底面から導出し、底面に沿って折り曲げ、アーム部外面に露出させても、さらには装着部底面から側面等、他の面を経由して折り曲げ、アーム部外面に露出させるようにしてもよい。
【0029】
リード線を露出させて支持する手段は、凹溝に沿ってリード線の半分を嵌め込み、半分を外方に突出させることで露出して支持することが好ましいが、リード線を露出させる割合は特に限定されず、リード線を凹溝に露出させて支持した全ての構成を許容する。
【0030】
リード線を露出させる方向は、電球及びソケットの長手方向、換言すれば電球の装着方向に、リード線の軸線が沿う方向に露出させることが好ましいが、電球の装着方向と直交する方向にリード線の軸線が沿っていてもよく、露出させる方向は特に限定されない。
【0031】
請求項3に記載の照明装置の発明は、電気絶縁性を有する支持装置本体と、支持装置本体に形成され、ソケットの装着部及びアーム部を支持する凹部と、凹部に設けられソケットのリード線と接する電気端子部と、支持装置本体に設けられ電気端子部と接続した電源供給用の金属導体とからなるソケット支持装置を具備し、ソケット支持装置に前記請求項2に記載の電球装置を装着したことを特徴とする。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、構造及び着脱が簡単で、かつ電気接続を確実に行うことができるとともに、環境問題に配慮した無口金電球を用いた照明装置が構成される。
【0033】
電気絶縁性を有する支持装置本体は、環境問題に配慮するために、鉛半田を有するプリント配線基板等で構成しないことが好ましいが、本体にプリント配線基板を有さないことが必須の条件ではなく、一部にプリント配線基板を有するものでもよく、要は環境問題に配慮して電気絶縁性を有して構成したものであればよい。
【0034】
支持装置本体に設けられた電源供給用の金属導体は、誤配線等を解消するために、リー
ド線を用いずに構成することが好ましいが、リード線を全く用いないことが必須の条件でなく、一部にリード線を有しているものであってもよい。
【0035】
ソケットの装着部及びアーム部を凹部に支持する手段は、凹部にソケットの装着部を挿入し、アーム部に支持されたリード線と凹部に設けられた電気端子部が、アーム部の弾性によって接する手段のみによって支持されても、または別個に構成した係止手段で支持されるようにしてもよい。
【0036】
ソケットのリード線と接する電気端子部は、リード線が露出する方向に沿った短冊状の形状をなす金属片から構成して、リード線と金属片との接触面積が多くなるように構成することが好ましいが、リード線と金属片とを交差させて接触するようにしてもよく、電気端子部の形状、接触方式については特に限定されない。
【0037】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の照明装置において、電球装置は、ソケット支持装置に着脱を可能となす係止手段により装着したことを特徴とする。
【0038】
着脱を可能となす係止手段は、電球の交換等の際に、電球のリード線等に無理な力が加わらないように、電球装置、換言すれば、電球をソケットと一緒にソケット支持装置から簡単に着脱させるための係止手段で、係止状態を解除するための操作部を設けて指で解除できるようにしても、ドライバー等簡易な工具を使用して解除させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0039】
請求項1の発明によれば、ソケット本体の装着部に突出して形成した弾性を有するアーム部と、アーム部外面に形成したリード線を支持する凹溝により、構造及び着脱が簡単で、かつ電気接続を確実に行うことができる無口金電球を用いた照明装置用のソケットを提供することができる。
【0040】
請求項2の発明によれば、電球のリード線をソケットの凹部から装着部に導出し、アーム部の凹溝に露出させて支持し、構造及び着脱が簡単で、かつ電気接続を確実に行うとができる無口金電球を用いた照明装置用の電球装置を提供することができる。
【0041】
請求項3の発明によれば、ソケットの装着部及びアーム部を支持する凹部及び凹部内面に設けられソケットのリード線と接する電気端子部からなるソケット支持装置により、構造及び着脱が簡単で、かつ電気接続を確実に行うことができる無口金電球を用いた照明装置を提供することができる。
【0042】
さらに、支持装置本体に設けられ電気端子部と接続された電源供給用の金属導体とからなるソケット支持装置により、環境問題に配慮し、かつ誤配線等を解消するこことが可能な無口金電球を用いた照明装置を提供することができる。
【0043】
請求項4の発明によれば、係止手段により電球装置とソケット支持装置の着脱操作を容易にした無口金電球を用いた照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明に係るソケット、電球装置及び照明装置の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0045】
図1〜図10は、第一実施形態のソケット、電球装置及び照明装置を示し、図1はソケットの斜視図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は電球装置の斜視図、図4は電
球装置の正面視の縦断面図、図5は電球装置の背面視の縦断面図、図6は電球装置の右側面図、図7は電球装置の底面図、図8は照明装置の斜視図、図9は照明装置を分解し、一部を切り欠いて示す斜視図、図10はソケットの変形例を示し、その要部を拡大し一部を切り欠いて示す側面図である。
【0046】
本実施形態のソケット10、電球装置20及び照明装置30は、自動車のウインカーランプとして構成されたものである。
【0047】
まず、本実施形態のソケット10の構成を図1及び図2に従い説明する。
【0048】
本実施形態のソケット10は、ソケット本体11、電球支持部12、装着部13及び2個のアーム部14、14'で構成する。
【0049】
ソケット本体10は、ナイロン等の弾性を有し、耐熱性でかつ電気絶縁性をする合成樹脂で縦長の略直方体をなす形状に形成し、電球支持部12、装着部13及び2個のアーム部14、14'等を合成樹脂の一体成型品として構成する。
【0050】
電球支持部12は、後述する無口金電球を支持する部分で、縦長の略直方体をなすソケット本体11の上半分を中空にして凹部12aを形成し、凹部の長辺側の内面に、それぞれ縦方向に凹溝12b、12b'を形成して構成する。凹溝12b、12b'は、後述する電球をガイドするためのものである。
【0051】
図中12c、12c'は、凹部内面の開口部近傍に、一体に形成された2個の凸部で、
電球を係止して保持するためのもので、2個の凸部12c、12c'は、ソケットの長手
方向の軸線aを中心点bとする点対称の位置に形成される。
【0052】
装着部13は、後述するソケット支持装置に装着し、電球装置20を照明装置30に支持するためのもので、ソケット本体11の下半分で構成する。
【0053】
装着部13には、前記電球支持部12の凹部12aの底面から装着部13の底面にわたって形成した2個の貫通孔13a、13a'を形成し、さらに一側面下端から外方に傾斜
して伸びる係止操作部13bを一体に形成する。
【0054】
係止操作部13bは、一側面に係止凸部13cを一体に形成し、一側面下端から外方に傾斜して形成することにより、ソケット本体11を構成する合成樹脂自体の弾性と相まって、先端部を指で摘んで多少の角度範囲にわたり動かすことができる。
【0055】
14、14'は2個のアーム部で、装着部13の正面及び背面、それぞれに、他側面側
に偏らせ下端から外方にやや傾斜して一体に形成する。
【0056】
正面及び背面、それぞれに形成した2個のアーム部14、14'は、ソケットの長手方
向の軸線aを中心点bとする点対称の位置に形成される。
【0057】
2個のアーム部14、14'は、下端から外方にやや傾斜して一体に形成することによ
り、ソケット本体11を構成する合成樹脂自体の弾性と相まって、下端を支点として多少の角度範囲にわたり揺動することができる。
【0058】
2個のアーム部14、14'の外面には、後述する電球のリード線支持部となる凹溝1
4a、14a'を縦方向に形成し、凹溝の先端に連続してリード線の係止凹部14b、1
4b'を形成する。
【0059】
凹溝14a、14a'は、電球のリード線を一部埋め込み、リード線を位置決めして確
実に支持するためのもので、リード線の係止凹部14b、14b'は、リード線の先端を
巻き込んで係止し、さらに確実に支持するためのものである。
【0060】
次に、図3〜図7に従い、本実施形態の電球装置20の構成につき説明する。
【0061】
電球装置20は、上述したソケット10と、ソケットに装着される電球15で構成される。
【0062】
電球15は、無口金のウェッジベースランプで、透明または着色されたガラスバルブ15aと、ガラスバルブ内に封入されたタングステンフィラメント15bと、フィラメント両端を上端部で懸架するジュメット線で構成された一対のリード線15c、15c'と、
リード線の下端部を気密に封止して導出するためにピンチシールされた封止部15dで構成する。
【0063】
封止部15dの正面及び背面の外面には、縦方向に突出する横断面形状が円形の突状部15eを、また封止部の根元部分には凹部15f、15f'を一体に形成する(図9の電
球15に図示)。
【0064】
突状部15eは、ソケット10の凹部12aに形成された2個の凹溝12b、12b'
に嵌合する。
【0065】
凹部15f、15f'は、ソケット10の凹部12aに形成された2個の凸部12c、
12c'に対応して設けられるもので、ガラスバルブ15aの軸線cを中心点とする点対
称の位置に形成される。
【0066】
上記のように構成された電球15は、ソケット10に装着され電球装置20を構成する。
【0067】
すなわち、電球15の封止部15dを下にして、封止部から導出された一対のリード線15c、15c'をソケット10の凹部12aに挿入し、リード線の先端を2個の貫通孔
13a,13a'に挿通してソケット本体11の底部から導出させる(図7)。
【0068】
なお、電球15の突状部15eは、電球15の軸線c上に形成され、電球の凹部15f、15f'とソケット10の凸部12c、12c'は、それぞれ電球の軸線c及びソケットの長手方向の軸線aを中心点とする点対称の位置に形成されているため、電球を挿入する際の方向性はなく、電球は表裏いずれの方向から挿入してもよい。
【0069】
この状態から、電球の封止部15dをソケットの凹部12a内に挿入して行く。
【0070】
この際、封止部の突状部15eをソケットの凹溝12b、12b'に嵌め込む。これと
同時に封止部の2個の凹部15f、15f'がソケットの2個の凸部12c、12c'に、それぞれ対向する。
【0071】
この状態で、凹溝12b、12b'をガイドにしてさらに押込むと、封止部15dの下
端がソケットの2個の凸部12c、12c'に当たって合成樹脂自体の弾性に抗して乗り
上げ、さらに凹部15f、15f'が2個の凸部12c、12c'を乗り越えて嵌合する。
【0072】
これにより、電球15がソケット10から容易に抜けない、抜け防止構造となっている

【0073】
上記の状態で、ソケット10の底面から引き出されたリード線15c、15c'を、ア
ーム14、14'の凹溝14a、14a'に沿ってU字形に巻き込むようにして折り曲げ、さらに先端を係止凹部14b、14b'に、それぞれ引っ掛けるようにして折り曲げ、ア
ーム部にリード線を支持する。
【0074】
なお、正面側に位置するリード線15cを図示したが、背面側に位置するリード線15c'も同様にしてアーム14'に支持される。
【0075】
凹溝14a、14a'の深さ寸法とリード線15c、15c'の線径の関係は、「凹溝の深さ寸法<リード線の線径」の関係に構成し、リード線の半分が凹溝に埋め込まれ、半分が外面に露出して支持される。
【0076】
上記により、無口金電球15をソケット10に装着した電球装置20が構成される。
【0077】
次に、図8及び図9に従い、照明装置30の構成を説明する。
【0078】
照明装置30は、上述した電球装置20と、電球装置を支持するソケット支持装置31で構成され、電球装置2個を設置した2連式のソケット支持装置31を有する照明装置として構成する。
【0079】
ソケット支持装置31は、支持装置本体32と、支持装置本体に形成した凹部33と、電気端子部34a、34b及び金属導体35a、35bで構成する。
【0080】
凹部33、電気端子部34a、34b及び金属導体35a、35bは、同様の構成のものが支持装置本体32に2列に連接して設けられる。両者には同一部分に同一符号を付してある。
【0081】
支持装置本体32は、ポリプロピレン等の電気絶縁性を有する合成樹脂で、底を有する穴からなる凹部33を一体に形成した板状部材で構成する。
【0082】
凹部33の横断面形状は、ソケット10の横断面形状と略同様の形状をなし、凹部の底までの深さはソケット10の装着部13が凹部内に埋め込まれた状態になるような深さ寸法に形成する。
【0083】
これにより、凹部33内に電球装置20のソケット10を挿入することができ、電球装置がソケット支持装置に装着され支持されるようになっている。
【0084】
すなわち、凹部33の長辺側の対向する内面に、それぞれ縦方向の凹状部33a、33a'を一体に形成する。
【0085】
この2個の凹状部33a、33a'は、ソケット10のアーム部14、14'に対応して、アーム部が縦に挿入される幅及び深さ寸法をもって形成され、この2個の凹状部は、凹部33の中心を中心点とする点対称の位置にそれぞれ形成される。
【0086】
上記に構成した支持装置本体32の凹部33には、ソケット10のリード線15c、15c'と接する電気端子部及び電気端子部と接続された電源供給用の金属導体が設けられ
る。
【0087】
すなわち、金属導体は、亜鉛(Zn)等の導電性を有する金属板で、略L字状をなすように形成された第1金属導体35aと略T字状をなす第2金属導体35bからなる。
【0088】
第1金属導体35aには、L字の略中間部と先端部に2個の第1の電気端子部34a、34aを一体に形成する。第1の電気端子部34a、34aは、短冊状をなし、先端を下方に向けて略直角に折り曲げて構成する。
【0089】
第2金属導体35bは、T字の略中間部分及び先端部に位置して2個の第2の電気端子部34b、34bを一体に形成する。第2の電気端子部34b、34bも、短冊状をなし、先端を下方に向けて略直角に折り曲げて構成する。
【0090】
図中35c、35cは、第1金属導体35aの一部を一体に折り曲げて形成した2個の係止片である。
【0091】
係止片35cは、ソケット10の係止操作部13b及び係止凸部13cとで、電球装置20をソケット支持装置31に対して着脱を可能となす係止手段36を構成している。
【0092】
上記に構成した第1、第2金属導体35a、35bは、その取付孔を支持装置本体32の上面に突出して一体に形成した取付ボスに挿入し、取付ボスを熱で溶着することにより固定される。
【0093】
これにより、第1の電気端子部34a及び第2の電気端子部34bが、凹部33の2個の凹状部33a、33a'内にそれぞれ嵌合するようにして挿入され、各電気端子部の接
触面が凹部33の内方に向けて露出した状態に設置される。
【0094】
さらに、係止片35cが凹部33の短辺側他側面の開口上端部に、凹部33の内方に向けて突出するようにして設置される。
【0095】
上記のように位置して設置された第1、第2金属導体35a、35bの後端部には、それぞれ接続端子部37a、37bが一体に突出して形成され、リード線等を介して電源部に接続される。
【0096】
2列に連接して設けられたソケット支持装置31の凹部33には、それぞれ電球装置20が装着されて2連式の照明装置30が構成される。
【0097】
すなわち、電球装置20のソケット10を下にして、ソケット支持装置31の凹部33内に挿入する。
【0098】
このとき、同時に、凹部33の長辺側の対向する内面に形成した凹状部33a、33a'に、ソケットのアーム部14、14'が挿入される。
【0099】
この際、凹状部33a、33a'には、各金属導体の電気端子部34a、34bが嵌合
して接触面が露出しており、各電気端子部の金属片の板厚分だけ凹状部33a、33a'
の深さが浅くなっており、2個の凹状部33a、33a'間の距離寸法が短くなり狭くな
っている。
【0100】
このためアーム部14、14'は、狭くなった凹状部33a、33a'内に、その下端部分を先端として楔を打ち込む形となり、2個のアーム部14、14'が合成樹脂の弾性力
に抗して、それぞれが揺動して内側に押し付けられながら凹状部33a、33a'内に差
し込まれる。
【0101】
これにより、アーム部14、14'の凹溝14a、14a'に支持されたリード線15c、15c'の露出部分が、各電気端子部34a、34bの接触面に強く当接し、その摩擦
力で保持される。
【0102】
なお、図8には背面側のアーム部14'について図示したが、正面側のアーム部14も
同様にして、アーム部14の凹溝14aに支持されたリード線15cの露出部分が第1の電気端子部34aの接触面に強く当接し、両方のアーム部14、14'及び電気端子部3
4a、34bにより、電球装置のソケット10をソケット支持装置31に確実に支持するとともに、両者の電気接続が確実に行われる。
【0103】
さらに、ソケット10を凹部33に押込んで行くと、係止操作部13bの係止凸部13cが、第1金属導体35aの係止片35cに当接し、係止操作部13bが合成樹脂の弾力に抗して内側に撓み、係止凸部13cが係止片35cを乗り越え、係止操作部13bが樹脂の弾性により元の位置に復帰して両者が係合する。
【0104】
これにより、電球装置のソケット10がソケット支持装置31に対して、より一層確実に支持され、電球装置20がソケット支持装置31から不用意に抜けないようになる。
【0105】
なお、係止操作部13bを樹脂の弾性に抗して内側に撓ませ、係止凸部13cと係止片35cとの係合を外し、アーム部14、14'と電気端子部34a、34bの接触による
摩擦力に抗して、ソケット10を凹部33から引き抜けば、電球装置20はソケット装置31から容易に取り外すことができる。
【0106】
上記同様にして他方のソケット支持装置31にも電球装置20を装着する。これにより、無口金電球15を有する2個の電球装置20を装着した2連式のソケット支持装置31を有する照明装置30が構成される。
【0107】
上記のように構成された照明装置30は、自動車のウインカーランプのケースに背面側から設置され、電源部から第1、第2金属導体35a、35bを介して電源が供給され、さらに第1、第2の電気端子部34a、34bから各リード線15c、15c'を介して
電球15のフィラメント15bに電源が供給され電球15が点灯する。
【0108】
この際、ウインカーランプのケースの背面側には、従来のようにプリント配線基板を設置しない状態で電球を設置することができる。
【0109】
さらに、電球装置20を支持するソケット支持装置31は、リード線を用いることなく金属導体35a、35bで構成したので、従来のようにリード線が複雑に絡み合うこともなく、整然とスッキリした状態となる。
【0110】
本実施形態において、弾性を有するアーム部14、14'は、合成樹脂自体の弾性を利
用することによって構成したが、図10に変形例として示すように、アーム部14、14'をソケットの装着部13とは別体の金属製のバネ部材で構成し、その一端をソケット本
体に係止して、この係止部14dを中心としてアームが揺動できるように構成してもよい。
【0111】
ソケット10は、略直方体に形成したが、円筒状など各種の形状に形成し、デザイン性をさらに高めるようにしてもよい。
【0112】
本実施形態は、自動車のウインカーランプとして構成したが、ドアランプ、さらには、
計器における表示パネルの照明装置、OA機器、情報通信機器、家電機器、その他各種機器の表示用の照明装置としてとして構成してもよい。
【0113】
本実施形態によれば、電球装置20の着脱は、ソケット支持装置31に形成されたソケット10の形状と略同形状をなす凹部33内に、単に電球装置20のソケット10を抜き差しする操作で行うことができ、ネジ止め加工等格別な構成及び加工が不用となって構造が簡単になるとともに、着脱も格別な工具等を使用せずにワンタッチ動作で簡単に行うことができる。
【0114】
また、構造も凹部33内に、単に電球装置20のソケット10を抜き差しする構成でよいため、凹部の形状やソケット10を角度付きにするなど、様々な組み合わせにより、容易に電球のフィラメントの方向や光軸を変更することが可能となる。
【0115】
また、アーム部14,14'が、合成樹脂の弾性力に抗して、それぞれが内側に押し付
けられる状態で凹状部33a、33a'内に差し込まれ、リード線15c、15c'の露出部分が各電気端子部34a、34bの接触面に強く当接し、その摩擦力でソケット10を凹部33内に保持するので、簡単な構成により電球装置20をソケット支持装置31に確実に支持することができ、同時に両者の電気接続も確実に行うことができる。
【0116】
さらに、リード線15c、15c'には、外方に広がる圧力が常に加わり続け、良好な
電気接続を維持することができ経年経過による接触不良を防止することができる。
【0117】
また、ソケット10は、アーム部14、14'をナイロン等の弾性を有する合成樹脂の
一体成型品として構成したので、合成樹脂自体の弾性を利用することにより簡単な構成で、無口金電球を用いた照明装置の電気接続を確実に行うことができる。
【0118】
さらに、電球15は封止部15dに形成した2個の凹部15f、15f'とソケット1
0に形成した2個の凸部12d、12d'とを係止して保持するようにしたので、電球1
5がソケット10から容易に抜けることがなく、より一層確実に電球をソケットに支持することができる。
【0119】
電球15のリード線15c、15c'は、アーム部14,14'の凹溝14a、14a'
に一部埋め込みリード線を位置決めし、リード線の先端を係止凹部14b、14b'に巻
き込んで係止したので、確実に支持することができる。
【0120】
さらに、電球装置20は、係止操作部13b、係止凸部13c及び係止片35cからなる係止手段36で、着脱が可能になるように支持したので、より一層確実に支持することができるとともに、電球装置20がソケット支持装置31から簡単に取り外すことができ、電球装置の交換等を容易に行うことができる。
【0121】
特に、電球装置20の着脱に際しては、電球15とソケット10が一体となった状態で行うことができ、機械的に一番弱い無口金電球15のリード線15c、15c'の引き出
し部分に外力が加わることがなく破損する恐れがない。
【0122】
さらに、支持装置本体32に設けられ各電気端子部34a、34bと接続された電源供給用の金属導体35a、35bとからなるソケット支持装置31により、ウインカーランプのケースの背面側には、従来のようにプリント配線基板を設置しない状態で電球装置を設置することができ、環境問題に配慮した照明装置を提供することができる。
【0123】
さらに、電球装置20を支持するソケット支持装置31は、リード線を用いることなく
金属導体で接続されるので、従来のようにリード線が複雑に絡み合うこともなく、整然とスッキリした状態となり、誤配線を解消するこことができる。さらに従来、配線ケーブルとソケットのジョイント部分に生じていたガタ付きや振動が解消され、配線ケーブルの断線による不具合を解決することができる。
【0124】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明第一実施形態のソケットの斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】本発明第一実施形態の電球装置の斜視図。
【図4】同じく電球装置の正面視の縦断面図。
【図5】同じく電球装置の背面視の縦断面図。
【図6】同じく電球装置の右側面図。
【図7】同じく電球装置の底面図。
【図8】本発明第一実施形態の照明装置の斜視図。
【図9】同じく照明装置を分解し、一部を切り欠いて示す斜視図。
【図10】本発明第一実施形態におけるソケットの変形例を示し、その要部を拡大し一部を切り欠いて示す側面図。
【符号の説明】
【0126】
10 ソケット
11 ソケット本体
12 電球支持部
12a ソケットの凹部
13 装着部
14、14' アーム部
14a、14a' 凹溝
15 電球
15c、15c' リード線
20 電球装置
30 照明装置
31 ソケット支持装置
32 支持装置本体
33 ソケット支持装置の凹部
34a、34b 電気端子部
35a、35b 金属導体
36 係止手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性を有するソケット本体と、ソケット本体の一端部に凹部を形成した電球支持部と、ソケット本体の他端部に電球支持部に連続して形成した装着部と、装着部に突出して形成した弾性を有するアーム部と、アーム部外面に形成したリード線を支持する凹溝とを具備することを特徴とするソケット。
【請求項2】
前記請求項1に記載のソケットと、ソケットの凹部に支持され、リード線を有する電球とを具備し、リード線をソケットの凹部から装着部に導出し、アーム部の凹溝に露出させて支持したことを特徴とする電球装置。
【請求項3】
電気絶縁性を有する支持装置本体と、支持装置本体に形成され、ソケットの装着部及びアーム部を支持する凹部と、凹部に設けられソケットのリード線と接する電気端子部と、支持装置本体に設けられ電気端子部と接続した電源供給用の金属導体とからなるソケット支持装置を具備し、ソケット支持装置に前記請求項2に記載の電球装置を装着したことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
電球装置は、ソケット支持装置に着脱を可能となす係止手段により装着したことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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