説明

ソケット端部を設けたパイプ部分

第2のパイプ部分の差し込み端部(2)を収容することを目的とするソケット端部(1)が設けられたパイプ部分では、差し込み端部の外側に、密閉リング(5)が設けられ、ソケット端部(1)の内側に、差し込み端部(2)と、隣接する円筒形部(14)とがソケット端部(1)内に差し込まれるとき密閉リング(5)を撓ませるための、ソケット端部の中心軸線(12)に向かって斜めにテーパー状をした部分(13)が具えられる。斜めにテーパー状をした部分(13)は、円周上に規則的に配置された少なくとも2つの領域(15)を有し、当該領域において、斜めにテーパー状をした部分(13)の角度は、円周方向にソケット端部の中心軸線(12)に対して変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケット端部を設けたパイプ部分に関し、当該ソケット端部は、第2のパイプ部分の差し込み端部を収容することを目的とし、差し込み端部の外側には、密閉リングが設けられ、端縁から見て、ソケット端部の内側には、ソケット端部の中心軸線に向かって斜めにテーパー状をした部分が具えられ、このテーパー状をした部分は、差し込み端部および隣接する円筒形部をソケット端部内に差し込んだときに、密閉リングを撓ませることを目的とし、ソケット端部の、中心軸線に向かって斜めにテーパー状をした部分は、円周において規則的に配置された少なくとも2つの領域を有し、当該領域において、斜めにテーパー状をした部分の角度は、円周方向にソケット端部の中心軸線に対して変化し、この変化は、各領域において、その領域の側部に沿って、円周方向に見て斜めにテーパー状をした部分が、ソケット端部の中心軸線に対して第1の角度であり、その領域の中央において、少なくとも部分的に、ソケット端部の中心軸線に対して第1の角度より小さい第2の角度になるように起こる。
【背景技術】
【0002】
このタイプのパイプ部分は、米国特許第3,831,954号明細書、特に図8および図10から知られている。
【0003】
斜めにテーパー状をした部分がパイプ部分の中心軸線に直角の面と平行に延びる周知のパイプ部分には、欠点がある。その欠点は、密閉リングを設けた差し込み端部をソケット端部内に挿入するときに、多くの場合、挿入力が大きくなることが考えられることであり、これは望ましくない。挿入力が大きくなることは、差し込み端部を挿入するときに、密閉リングが同時に円周全体に渡って撓んでしまうことにより生じ、一般に、密閉リングの外径を小さくする必要がある。米国特許第3,831,954号明細書(図8〜図10)は、この問題に対して2つの解決方法を提案する。第1の解決法(図9)では、斜めにテーパー状をした部分の軸方向の位置をソケット端部の円周において変化させる。斜めにテーパー状をした部分を軸方向に波形にする。第2の解決方法(図10)では、ピッチを変更して、ソケット端部の円周において斜めにテーパー状をした部分の長さも変化させることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上の導入部において述べたタイプの改良されたパイプ部分を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、導入部において述べたタイプのパイプ部分により本発明によって達成される。すなわち、各領域の側部と中央との間において、斜めにテーパー状をした部分の、ソケット端部の端縁の側に位置する部分を第1の角度にし、かつ、ソケット端部の円筒形部の側の隣接部分を中心軸線に対して第2の角度にし、また、第2の角度の部分の軸方向の長さを、側部からその領域の中央に向かって徐々に長くすることによって、当該目的を達成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る方法によって、差し込み端部をソケット端部内へ挿入するのに要する挿入力は、さらに低くなる。その上、米国特許第3,831,954号明細書の図8〜図10に係るソケット端部を有するパイプ部分の場合におけるよりも単純なダイを使用して、パイプ部分を製造し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係るパイプ部分の好ましい実施形態をサブクレームに定める。
【0008】
図面を参照して、いくつかの例示的な実施形態により、本発明をさらに詳細に以下に説明する。
【0009】
図1に、本発明に係る第1のパイプ部分のソケット端部1と、関連の差し込み端部2との特定の実施形態の長手方向の図を示し、差し込み端部2は、第1のパイプ部分と第2のパイプ部分とをパイプ連結するために、ソケット端部1内に挿入する必要がある。
【0010】
ここに示す実施形態では、差し込み端部2は、比較的薄い壁3を有するパイプ部分の端部であり、薄い壁3には、外側に外周リブ4が設けられる。密閉リング5が、2つのリブ4同士の間に配置される。しかしながら、差し込み端部はまた、別の形状でもよく、例えば、厚い壁を具えるように設計してもよく、この場合、密閉リングは、壁の外周側に配置された溝に配置される。
【0011】
端縁11から見たソケット端部1の内側に、ソケット端部1の中心軸線12に向かって斜めにテーパー状をした部分13を有し、その目的は、差し込み端部2および隣接する円筒形部14をソケット端部1内に差し込むときに密閉リング5の外径を小さくすることである。
【0012】
ソケット端部1の斜めにテーパー状をした部分13は、円周上に等間隔に配置された少なくとも2つの領域15を有し、これらの領域15では、斜めにテーパー状をした部分13の角度がソケット端部1の中心軸線12に対して円周方向に変化する。各領域15において、領域15の側部16および17に沿って、斜めにテーパー状をした部分13は、円周方向に見ると、ソケット端部1の中心軸線12に対して第1の角度α1であり(図4を参照)、領域15の中央18では、少なくとも部分的に、ソケット端部1の中心軸線12に対して第1の角度αより狭い第2の角度α2である(図7を参照)。ここに示す実施形態では、斜めにテーパー状をした部分は、各領域15の中央18では、ソケット端部1の中心軸線12に対して第2の角度α2である。
【0013】
側部16および17と、各領域15の中央18との間において、斜めにテーパー状をした部分が、中心軸線12に対して、第1の角度α1でソケット端部1の端縁11の側に配置された部分19と、第2の角度α2でソケット端部1の円筒形部14の側に配置された隣接した部分20とにある(図5および図6を参照)。この場合、第2の角度α2の部分20の軸方向の長さlは、側部16および17から領域15の中央18に向かって徐々に長くなる。
【0014】
別の角度の領域15同士の間に、斜めにテーパー状をした部分が、中心軸線12に対して第1の角度α1である領域21がある。
【0015】
ソケット端部1(図2を参照)の領域15の寸法について以下のことが成り立つ。上述の角度α1および角度α2の構成を有する端縁11の場所におけるソケット端部1の円筒形部14の内径をD1、斜めにテーパー状をした部分13の内径をD2とした場合、端縁11の場所における角度α2の部分の半径をR1とする。半径R1は、ソケット端部の中心軸線12から距離R22の箇所から始まる。この場合、以下のことが成り立つ。
−ソケット端部の端縁11において、R1=(0.25〜0.5)D1、好ましくは(0.3〜0.35)D1、
−α1=(0.3〜0.5)α2、
−R1+R2=0.5D2、
−角度α1の領域21は、ソケット端部の円周の30%未満を占め(これは、R1の選択により異なることは、明らかである)、
−好ましくは、斜めにテーパー状をした部分13から円筒形部14にかけて、3mmから10mmの半径の丸みが設けられる。
【0016】
上述のソケット端部を使用することによって、差し込み端部2を挿入するとき、密閉リング5が、断面において変形することになり、ここに示した実施形態では、関連の所定の力が時間の経過に伴って分散されてかかる結果として、密閉リング5の外径は、断面において小さくなって、所定の挿入力が低減され得る。
【0017】
ソケット端部1は、添付の特許請求の範囲内のままで、上述のものと異なる設計にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るパイプ部分のソケット端部と、第2のパイプ部分の関連の差し込み端部との特定の実施形態の長手方向における図である。
【図2】図1で矢印IIの方向に見た、図1のソケット端部の上端部を示す図である。
【図3】図2のIII−III線に沿って長手方向に見た、図1のソケット端部を示す図である。
【図4】図1のソケット端部の壁端部の、図2のIV−IV線に沿った長手方向の断面を示す図である。
【図5】図1のソケット端部の壁端部の、図2のV−V線に沿った長手方向の断面を示す図である。
【図6】図1のソケット端部の壁端部の、図2のVI−VI線に沿った長手方向の断面を示す図である。
【図7】図1のソケット端部の壁端部の、図2のVII−VII線に沿った長手方向の断面を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2のパイプ部分の差し込み端部を収容することを目的とするソケット端部が設けられたパイプ部分であって、
前記差し込み端部の外側には、密閉リングが設けられ、前記ソケット端部の内側には、端縁から見て、前記差し込み端部と、隣接する円筒形部とが前記ソケット端部内に差し込まれたときに前記密閉リングを撓ませるための、前記ソケット端部の中心軸線に向かって斜めにテーパー状をした部分が備えられ、
前記ソケット端部の、中心軸線に向かって斜めにテーパー状をした部分は、円周上に規則的に配置された少なくとも2つの領域を有し、当該領域において、前記斜めにテーパー状をした部分の角度が、円周方向に前記ソケット端部の中心軸線に対して変化し、当該変化は、各領域において、当該領域の側部に沿って、前記斜めにテーパー状をした部分が、円周方向に見ると、前記ソケット端部の中心軸線に対して第1の角度になり、前記領域の中央では、ソケット端部の中心軸線に対して、少なくとも部分的に、第1の角度より小さい第2の角度になるように起こり、
前記側部と各領域の前記中央との間において、前記斜めにテーパー状をした部分は、前記中心軸線に対して、ソケット端部の端縁の側に配置された部分が第1の角度であり、前記ソケット端部の円筒形部の側の隣接した部分が第2の角度であり、前記第2の角度の部分の軸方向の長さは、前記側部から前記領域の中央に向かって徐々に長くなることを特徴とするパイプ部分。
【請求項2】
前記斜めにテーパー状をした部分は、角度が変化する各領域の中央において、前記ソケット端部の中心軸線に対して第2の角度である請求項1に記載のパイプ部分。
【請求項3】
前記角度が変化する領域同士の間のある領域では、前記斜めにテーパー状をした部分が前記中心軸線に対して第1の角度である請求項1または2に記載のパイプ部分。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−512623(P2008−512623A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531094(P2007−531094)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000585
【国際公開番号】WO2006/028365
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(500391899)
【Fターム(参考)】