説明

ソファー

【課題】この発明は外観を損なうことなくマッサージユニットを組み込むことができるようにしたソファーを提供することにある。
【解決手段】複数の利用者が並んで着座することができる長さを有するソファー1であって、座部体2と、座部体の前後方向後端に下端部が回動可能に連結され所定の角度で起立した起立状態と前面を座部体の上面に重ねて背面がほぼ水平となる倒伏状態とに保持可能な背部体14と、背部体の背面に開口して形成された収容部18と、収容部に収容され倒伏状態で保持された背部体の背面に仰臥する利用者をマッサージするマッサージユニット24を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複数の利用者が並んで腰掛けることができる長さを有するソファーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にソファーは座部体と、この座部体の前後方向後端に設けられた背部体とから構成されており、利用者は通常、上記座部体に着座し、背部体に寄り掛って利用する。
【0003】
たとえば、リビングルームなどに設置されるソファーとしては、複数の利用者が並んで腰掛けることができる長尺タイプが用いられることが多い。しかしながら、ソファーを単に利用者が腰掛けるために利用するだけでなく、他の用途にも利用できるようにすることで、その付加価値を高めることが要望されている。
【0004】
特許文献1には座部体にマッサージユニットを設けることで、付加価値を高めるようにしたソファーが示されている。しかしながら、座部体にマッサージユニットを設けると、座部体に着座する利用者にマッサージユニットの硬さが伝わるため、クッション性能が大きく低下することになる。
【0005】
そこで、特許文献1では、座部体を第1乃至第3の起伏部からなるマッサージユニットと、このマッサージユニットの上面に着脱自在に設けられた上部クッション体によって構成するようにしている。
【0006】
そして、ソファーとして利用するときには上部クッション体をマッサージユニットの第1乃至第3の起伏部の上面に取付けておくことで、マッサージユニットの硬さが利用者に伝わらないようにし、マッサージユニットを利用するときには上部クッション体を取り外すようにしている。
【特許文献1】特開2004−321384号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、座部体をマッサージユニットによって形成し、このマッサージユニットの上面に上部クッション体を設ける構成によると、座部体がマッサージユニットと上部クッション体との二重構造となり、その状態がソファーの前面から容易に視認されてしまうから、ソファーとして利用するときの外観が損なわれるということがある。
【0008】
しかも、マッサージユニットのローラユニットが設けられている部分は他の部分に比べて凹凸が大きいから、ソファーとして利用するときにマッサージユニットの上面に上部クッション体を置くだけでは、利用者に上記ローラユニットの凹凸が伝わり易いということがある。つまり、ソファーとしての性能が低下することになる。
【0009】
さらに、座部体がマッサージユニットによって形成されていると、マッサージユニットの着脱を容易に行うことができないから、そのマッサージユニットの修理や交換などがし難いなどのことがあった。
【0010】
この発明は、外観や性能的には通常のソファーとほとんど変わることなく利用することができ、しかもマッサージユニットの修理や交換が容易に行えるようにしたソファーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、複数の利用者が並んで着座することができる長さを有するソファーであって、
座部体と、
この座部体の前後方向後端に下端部が回動可能に連結され所定の角度で起立した起立状態と前面を上記座部体の上面に重ねて背面がほぼ水平となる倒伏状態とに保持可能な背部体と、
この背部体の背面に開口して形成された収容部と、
この収容部に収容され倒伏状態で保持された上記背部体の背面に仰臥する利用者をマッサージするマッサージユニットと
を具備したことを特徴とするソファーにある。
【0012】
上記座部体の長手方向の両端には上面が水平面に形成された肘掛け体が設けられ、上記背部体を倒伏状態に保持したときにこの背部体の背面と上記肘掛け体の上面とがほぼ同じ平面上に位置することが好ましい。
【0013】
上記背部体は、一側面が開口し内部を上記収容部とした箱状体と、この箱状体の他側面に添設されたクッション材とによって構成されていて、上記箱状体の収容部に上記マッサージユニットが着脱可能に収容保持されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、背部体の背面に開口する収容部を形成し、この収容部にマッサージユニットを収容したから、マッサージユニットがソファーの外観や性能を損なうことがなく、しかもマッサージユニットが背部体の背面に開口して形成された凹部に収容されているため、容易に着脱して修理や交換などを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1に示すソファー1は複数、たとえば2〜3人の利用者が並んで着座することができる長さを有する座部体2を備えている。この座部体2は図4と図5に示すように座枠3を有する。この座枠3は図3乃至図5に示すように枠状の側板4と、側板4によって形成された枠内の周辺部に設けられた底板5とによって形成されている。座枠3の底面の四隅部には脚部材3aが設けられている。
【0016】
上記座枠3内には前後方向に沿うとともに幅方向に対して所定間隔で複数の補強板6が架設されている。この補強板6は図4と図5に示すように座部体2の前端に対応する部分だけが上記座枠3とほぼ同じ高さであって、前端部から中途部は座枠3よりも低い水平部6aに形成され、中途部から後端は漸次低くなる傾斜部6bに形成されている。
【0017】
さらに、上記座枠3内の前後方向中途部で、上記水平部の後端部に対応する箇所には幅方向全長にわたって横板7が架設されている。この横板7と上記座枠3の側板4とがなす枠形状の上端面には合成繊維やキャンバスなどの強度の高い帯状布地を格子状に組んだクッション部材8が張設されている。このクッション部材8の上面にはウレタンフォームなどの弾性材9が設けられ、この弾性材9は外装地11によって被覆されている。
【0018】
図4に示すように、上記クッション部材8と補強板6の水平部6aとの間には空間がある。そのため、上記座部体2に利用者が着座すると、その利用者の荷重を受けた上記クッション部材8は下方へ弾性的に変形することが可能となっている。
【0019】
上記座枠3の長手方向両端には上端面が水平面12となった肘掛け体13が連結固定されている。一対の肘掛け体13の間には背部体14の下端部がヒンジ15によって回動可能に設けられている。
【0020】
上記ヒンジ15は、図5に示すように第1の連結片16と第2の連結片17とが回動可能に連結されていて、第1の連結片16は上記肘掛け体13の内面に取付け固定され、第2の連結片17は上記背部体14の幅方向両端面の下部に取付け固定されている。
【0021】
図4と図5に示すように、上記背部体14は背面側の一側面が開口し内部を収容部18とした箱状体19を有し、この箱状体19の他側面にはウレタンフォームなどの弾性材21が添設されている。この弾性材21は外装地22によって被覆されている。
【0022】
上記箱状体19の収容部18には図示しないバンドによって着脱可能に保持されたマッサージユニット24が収容されている。このマッサージユニット24は図4と図5に示すように上記収容部18よりもわずかに小さい矩形状のベース板25を有し、このベース板25の上面には所定間隔で離間した一対のレール部材26が長手方向に沿って敷設されている。
【0023】
上記レール部材26には図示しない駆動源によって上記レール部材26に沿って往復駆動される可動体27が設けられ、一対の可動体27にはローラ軸28が架設されている。このローラ軸28には複数のマッサージローラ29が回転可能に設けられている。
【0024】
上記ベース板25の幅方向両端部である、一対のレール部材26の外側には弾性材31が設けられている。そして、ベース板25の上面側は比較的強度の高い布地からなる外装地32によって被覆されている。
【0025】
上記背部体14は図4に示すように所定の角度で起立した起立状態と、図5に示すように背面をほぼ水平にした倒伏状態とで保持することができるようになっている。すなわち、図4に示すように背部体14を所定の角度に起立させると、そのときの下端面が補強板6の傾斜部6bに当たってその傾斜角度で後方へ倒伏不能に保持される。
【0026】
上記背部体14を図5に示すように水平に倒伏させると、そのときの下面である背部体14の前面が座部体2の上面に当たって背面が水平な状態で保持される。このときの背部体14の上面は一対の肘掛け体13の水平面12とほぼ同じ水平面上に位置するようになっている。
【0027】
このような構成のソファー1によれば、利用者が座部体2に着座する場合には図4に示すように背部体14を所定の角度で傾斜した起立状態で保持する。それによって、利用者は座部体2に着座し、背部体14に寄り掛かることができる。
【0028】
このとき、背部体14は下端が座枠3に設けられた複数の補強板6の傾斜部6bに当接して所定の傾斜角度で保持されている。そのため、背部体14は所定の傾斜角度での起立状態を簡単な構成で確実に維持することができる。
【0029】
利用者がマッサージユニット24を利用したい場合には、図5に示すように背部体14を背面が上となるようほぼ水平な状態に倒伏させる。背部体14を倒伏状態で保持したならば、利用者はこの背部体14の背面上に仰臥し、図示しないリモートコントローラによってマッサージユニット24を作動させる。それによって、利用者は全身にマッサージを受けることができる。
【0030】
上記マッサージユニット24は背部体14を構成する箱状体19の収容部18に収容されている。そのため、背部体14を起立させた状態において、マッサージユニット24によってソファー1の外観が損なわれるということがない。つまり、マッサージユニット24が背部体14の背面側に組み込まれているため、そのマッサージユニット24がソファー1の外観を損なうことがない。
【0031】
背部体14を水平に倒伏させてマッサージユニット24を利用する場合、背部体14の背面と肘掛け体13の水平面12とがほぼ同一平面上に位置する。そのため、倒伏させた背部体14の背面に利用者が仰臥してマッサージを受けるとき、上記肘掛け体13の水平面12を、たとえば利用者が頭部を載せるなどして利用することができ、便利である。つまり、利用者がマッサージを受けるとき、肘掛け体13の水平面12によって有効に利用することができる面積を拡大することができる。
【0032】
背部体14はヒンジ15によって肘掛け体13に回動可能に連結されている。そして、背部体14は起立状態では下端を補強板6の傾斜部6bに当接させて保持され、倒伏状態では前面を座部体2の上面によって支持される。つまり、背部体14を起立状態や倒伏状態で保持するために、それ専用のストッパやストッパの解除機構などを組み込む必要がないから、簡単な構成とすることができる。
【0033】
上記マッサージユニット24は背部体14の背面に開口して形成された収容部18に着脱可能に収容するようにした。そのため、マッサージユニット24を修理したり、交換するような場合、そのマッサージユニット24を背部体14から簡単に着脱することができるから、修理や交換を容易に行うことが可能となる。
【0034】
上記一実施の形態では背部体の下端部をヒンジによって肘掛け体に連結するようにしたが、背部体は肘掛け体でなく、座部体に連結するようにしてもよく、要は背部体が座部体に対して間接的或いは直接的のいずれかによって回動可能に連結されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の一実施の形態を示す背部体を起立させたソファーの斜視図。
【図2】背部体を水平に倒伏させた状態を示すソファーの斜視図。
【図3】背部体を起立させた状態のソファーの正面図。
【図4】背部体を起立させた状態のソファーの縦断面図。
【図5】背部体を倒伏させた状態のソファーの縦断面図。
【符号の説明】
【0036】
2…座部体、13…肘掛け体、14…背部体、15…ヒンジ、18…収容部、19…箱状体、24…マッサージユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者が並んで着座することができる長さを有するソファーであって、
座部体と、
この座部体の前後方向後端に下端部が回動可能に連結され所定の角度で起立した起立状態と前面を上記座部体の上面に重ねて背面がほぼ水平となる倒伏状態とに保持可能な背部体と、
この背部体の背面に開口して形成された収容部と、
この収容部に収容され倒伏状態で保持された上記背部体の背面に仰臥する利用者をマッサージするマッサージユニットと
を具備したことを特徴とするソファー。
【請求項2】
上記座部体の長手方向の両端には上面が水平面に形成された肘掛け体が設けられ、上記背部体を倒伏状態に保持したときにこの背部体の背面と上記肘掛け体の上面とがほぼ同じ平面上に位置することを特徴とする請求項1記載のソファー。
【請求項3】
上記背部体は、一側面が開口し内部を上記収容部とした箱状体と、この箱状体の他側面に添設されたクッション材とによって構成されていて、上記箱状体の収容部に上記マッサージユニットが着脱可能に収容保持されていることを特徴とする請求項1記載のソファー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−259637(P2008−259637A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104139(P2007−104139)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】