説明

ソフトウェア使用権管理方式

【課題】サーバにてソフトウェア使用権が管理されているシステムにおいて、クライアントがネットワークから切り離された場合でも、ソフトウェアの実行を可能とする使用権管理方式の提供。
【解決手段】クライアントマシンにソフトウェアを導入する際に、サーバに対し、使用権の確認を行うことにより、ソフトウェアを実行する際には、サーバへのアクセスが不要となるため、該クライアントはソフトウェア実行時に必ずしもネットワークと接続されている必要が無い。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ソフトウェアの使用権の管理方式に関し、特にクライアント・サーバ方式のシステムにおいて、クライアントに導入されるソフトウェアの使用権の管理方式に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のソフトウェア使用権管理方式は、ネットワーク上で使用されるソフトウェアの使用権を管理するために用いられている。
【0003】従来のソフトウェア使用権管理方式の一例として、例えば特開平7−200492号公報には、サーバクライアント構成のシステムにおいて、個々のクライアントにインストールされて使用されるソフトウェアであっても同時使用ランセンスの管理を自動的に行うことができるようにしたネットワーク上のソフトウェア使用権管理システムの構成が提案されている。この方式は、サーバが、クライアントで同時に実行されるソフトウェアの数を管理するものであり、クライアントは、ソフトウェアを実行する際に、サーバにその旨を要求し、その応答に基づいて、ソフトウェアの起動の可否を決定する。サーバは、クライアントからソフトウェアの起動の要求を受け取ると、その時点で残存しているソフトウェアの使用権数(ライセンス数)を取得し、現時点における利用者数(実行数)がそれに満たない場合に、クライアントでのソフトウェアの実行を許可するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の使用権管理方式は、ソフトウェアの実行の際に、クライアントがサーバと接続されている必要があるという、問題点を有している。
【0005】その理由は、クライアントはインストールされたソフトウェアの使用の可否について、ソフトウェアを起動する際に、サーバへその起動要求を通知し、サーバからのその反応を得ることで、判断する、構成とされている、ことによる。
【0006】したがって、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、クライアントをネットワークから切り離した場合でも、ソフトウェアの使用権管理をサーバで可能とするソフトウェア使用権管理方式を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の使用権管理方式は、クライアントにソフトウェアを導入する際に、サーバに対してその使用権の確認を行うようにしたものである。
【0008】本発明は、サーバ装置と1又は複数のクライアント装置とがネットワーク接続されてなるシステムにおけるソフトウェア使用権管理方式において、前記クライアント装置へのソフトウェアの導入に際して、前記サーバ装置へ使用権認証鍵の発行を要求し、前記クライアントは、前記サーバ装置から前記ソフトウェア使用権の認証を入手した際に該認証鍵を記憶して、前記ソフトウェアの導入を行い、前記クライアント装置において、前記ソフトウェアの実行に際しては、前記クライアント装置が記憶する前記認証鍵の認証を行ってその実行の可否を判定し、該判定結果に基づき前記ソフトウェアの起動が制御される、ことを特徴とする。
【0009】本発明は、好ましくは、サーバ装置と1又は複数のクライアント装置とがネットワーク接続されてなるシステムにおけるソフトウェア使用権管理方式において、前記クライアント装置へのソフトウェアの導入に際して、前記サーバ装置へ使用権認証用鍵の発行を要求すると共に、前記サーバ装置から発行された使用権認証用鍵を、前記クライアント装置の使用権認証用鍵記憶手段に格納してソフトウェア導入を行うように制御するソフトウェア導入手段と、前記クライアント装置に導入されたソフトウェアの実行に際して、前記クライアント装置の前記使用権認証用鍵記憶手段に格納されている使用権認証用鍵の認証を行い、その結果に基づいて、実行を行わせるソフトウェア実行手段と、前記クライアント装置に導入されたソフトウェアの削除に際して、前記使用権認証用鍵記憶手段に格納されている使用権認証用鍵を削除すると共に、前記サーバ装置に使用権認証用鍵を返却するソフトウェア削除手段と、前記サーバ装置において、前記クライアント装置からの使用権認証用鍵の発行および返却の要求に応じて、予め許諾された数分の使用権認証用鍵を格納される使用権認証用鍵表記憶手段の管理を行うソフトウェア使用権管理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について以下に説明する。本発明は、その好ましい実施の形態において、サーバマシン(図1の2)と1又は複数のクライアントマシン(図1の3)とがネットワーク(図1の1)に接続されてなるクライアントサーバシステムにおけるソフトウェア使用権管理方式において、クライアントマシンは、ソフトウェアの導入に際して、サーバマシンへ使用権認証用鍵の発行を要求すると共に、サーバマシンから発行された使用権認証用鍵を、クライアントマシンの使用権認証用鍵記憶手段(図1の34)に格納し、ソフトウェア導入を行うように制御するソフトウェア導入手段(図1の31)を備え、更に、クライアントマシンに導入されたソフトウェアの実行に際しては、クライアントマシンの使用権認証用鍵記憶手段(図1の34)に格納されている使用権認証用鍵の認証を行い、その結果に基づいて、実行を行わせるソフトウェア実行手段(図1R>1の32)を備える。
【0011】また、本発明は、その好ましい実施の形態において、クライアントマシンは、クライアントマシンに導入されたソフトウェアの削除に際して、使用権認証用鍵記憶手段に格納されている使用権認証用鍵を削除すると共に、サーバマシンに使用権認証用鍵を返却するソフトウェア削除手段(図1の33)を備えている。
【0012】そして、本発明は、その好ましい実施の形態において、サーバマシンは、クライアントマシンからの使用権認証用鍵の発行および返却の要求に応じて、予め許諾された数分の使用権認証用鍵を格納される使用権認証用鍵表記憶手段(図1の22)の管理を行うソフトウェア使用権管理手段(図1の21)を備えている。
【0013】本発明の実施の形態によるソフトウェア使用権管理方式によれば、クライアントに導入されたソフトウェアを実行する際には、サーバへアクセスする必要はないため、クライアントはネットワークと接続されている必要も無い。
【0014】
【実施例】上記した本発明の実施の形態について更に詳細に説明すべく、本発明の実施例について図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0015】図1は、本発明の一実施例の構成を示す図である。図1を参照すると、本実施例は、サーバマシン2と、クライアントマシン3と、これらが接続されたネットワーク1と、を含む。
【0016】サーバマシン2は、ソフトウェア使用権管理手段21と、使用権認証用鍵記憶手段22と、を備えている。ソフトウェア使用権認証用鍵表記憶手段22には、予め許諾されている使用権の数の使用権認証用鍵と、その使用状態を示す情報と、が表として記憶されている。
【0017】クライアントマシン3は、ソフトウェア導入手段31と、ソフトウェア実行手段32と、ソフトウェア削除手段33と、使用権認証用鍵記憶手段34と、を備えている。
【0018】図2、及び図3は、本発明の一実施例の動作シーケンスを説明するための図であり、図2は、クライアントマシンにおけるソフトウェア導入、図3はクライアントマシンにおけるソフトウェア削除の動作を説明するための図である。
【0019】まず図1及び図2を参照して、本発明の一実施例におけるクライアントマインへのソフトウェア導入について説明する。
【0020】クライアントマシン3へのソフトウェア導入に際し、サーバマシン2のソフトウェア使用権管理手段21は、クライアントマシン3からの使用権認証用鍵の発行要求(ステップS11)に対して、使用権認証用鍵表記憶手段22を参照して(ステップS12)、状態が「未使用」の使用権認証用鍵があれば、使用権認証用鍵表記憶手段22の該当する使用権認証用鍵の状態を「使用」に変更し(ステップS13)、該当する使用権認証用鍵をクライアントマシン3に発行する(ステップS14)。
【0021】一方、サーバマシン2の使用権認証用鍵表記憶手段22において、未使用の使用権認証用鍵が無ければ、その旨をクライアントマシン3へ通知する(ステップS18)。この通知を受けたクライアントマシン3は、ソフトウェアの導入を中止する(ステップS19)。
【0022】クライアントマシン3は、サーバマシン2から使用権認証用鍵を入手すると(ステップS15)、クライアントマシン3の使用権認証用鍵記憶手段34へ使用権認証用鍵を記憶し(ステップS16)、ソフトウェアの導入を完了する(ステップS17)。
【0023】次に図1及び図3を参照して、本発明の一実施例におけるクライアントマインへのソフトウェアの削除について説明する。
【0024】クライアントマシン3からのソフトウェアの削除に際して、クライアントマシン3からの使用権認証用鍵の返却要求(ステップS21)に対して、サーバマシン2は使用権認証用鍵表記憶手段22を参照し(ステップS22)、返却された使用権認証用鍵の使用状態を確認した上で、問題が無ければ、返却された使用権認証用鍵の状態を「未使用」に変更し(ステップS23)、使用権認証用鍵の引取をクライアントマシン3へ通知する(ステップS24)。
【0025】一方、ステップS22において、問題があれば、引取拒否をクライアントマシン3へ通知する(ステップS28)。
【0026】クライアントマシン3は、サーバマシン2から使用権認証用鍵の引取通知を入手すると(ステップS25)、使用権認証用鍵記憶手段34から使用権認証用鍵を削除し(ステップS26)、ソフトウェアの削除を完了する(ステップS27)。
【0027】またクライアントマシン3は、サーバマシン2から使用権認証用鍵の引取通知を入手すると、ソフトウェアの削除を中止する(ステップS29)。
【0028】図4は、本発明の一実施例におけるクラアントマシン上でのソフトウェア実行の処理フローを説明するための図である。図1及び図4を参照して、本発明の一実施例におけるソフトウェア実行の動作について以下に説明する。
【0029】また、クライアントマシン3のソフトウェア実行手段32は、クライアントマシン3に導入されたソフトウェアを実行する際に、使用権認証用鍵記憶手段34に記憶されている使用権認証用鍵についての認証を行い(ステップS41)、正当性が確認されれば、ソフトウェアを実行する(ステップS42)。一方、ステップS41において、正当性が確認されない場合、ソフトウェアの実行を中断する(ステップS43)。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、クライアントマシンで実行するソフトウェアの実行の際に、ソフトウェアの使用権の認証のためのサーバへのアクセスを不要とする、という効果を奏するものであり、これにより、クライアントマシンをネットワークから切り離した環境においても、ソフトウェアの実行が可能となる。
【0031】その理由は、本発明においては、ソフトウェアの使用権の認証を、ソフトウェアの導入時に行うようにしたことにより、サーバマシンへのアクセスを導入時のみに限ることができる、ためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ネットワーク
2 サーバマシン
3 クライアントマシン

【特許請求の範囲】
【請求項1】サーバ装置と1又は複数のクライアント装置とがネットワーク接続されてなるシステムにおけるソフトウェア使用権管理方式において、前記クライアント装置へのソフトウェアの導入に際して、前記サーバ装置へ使用権認証鍵の発行を要求し、前記クライアントは、前記サーバ装置から前記ソフトウェア使用権の認証鍵を入手した際に該認証鍵を記憶して、前記ソフトウェアの導入を行い、前記クライアント装置において、前記ソフトウェアの実行に際しては、前記クライアント装置が記憶する前記認証鍵の認証を行ってその実行の可否を判定し、該判定結果に基づき前記ソフトウェアの起動/中段が制御される、ことを特徴とするソフトウェア使用権管理方式。
【請求項2】サーバ装置と1又は複数のクライアント装置とがネットワーク接続されてなるシステムにおけるソフトウェア使用権管理方式において、前記クライアント装置へのソフトウェアの導入に際して、前記サーバ装置へ使用権認証用鍵の発行を要求すると共に、前記サーバ装置から発行された使用権認証用鍵を、前記クライアント装置の使用権認証用鍵記憶手段に格納してソフトウェア導入を行うように制御するソフトウェア導入手段と、前記クライアント装置に導入されたソフトウェアの実行に際して、前記クライアント装置の前記使用権認証用鍵記憶手段に格納されている使用権認証用鍵の認証を行い、その結果に基づいて、実行を行わせるソフトウェア実行手段と、前記クライアント装置に導入されたソフトウェアの削除に際して、前記使用権認証用鍵記憶手段に格納されている使用権認証用鍵を削除すると共に、前記サーバ装置に使用権認証用鍵を返却するソフトウェア削除手段と、前記サーバ装置において、前記クライアント装置からの使用権認証用鍵の発行および返却の要求に応じて、予め許諾された数分の使用権認証用鍵を格納される使用権認証用鍵表記憶手段の管理を行うソフトウェア使用権管理手段と、を備えたことを特徴とするソフトウェア使用権管理方式。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平10−133868
【公開日】平成10年(1998)5月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−301342
【出願日】平成8年(1996)10月25日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)