説明

ソフトバッグ

【課題】表に返した後に、前・後面部側における一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣って各別に補強板を設置できるバッグ幅が変化可能なソフトバッグを提供すること。
【解決手段】前面部10、後面部11、両マチ部12,12’及び底面部13を有する上面部開閉式のソフトバッグであって、前・後面部10,11側における一方のマチ部12、底面部13及び他方のマチ部12’に倣ってそれぞれコ字状の生地(帯体20,袋体30)が逢着されていると共に、前記した各生地(帯体20,袋体30)にそれぞれ当該生地の断面形状と略同一の補強板21,31が着脱自在に取り付けられており、前・後面部相互を接近・離反させる態様で、両補強板21,31相互の重なりを維持しつつバッグ幅を変化させ得るようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上面部に開口部を有するソフトバッグ、特に、両マチ部及び底面部に補強板(芯材)を備えたソフトバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソフトバッグは、一般的にパイピンを介して生地を縫い合わせるようにして製造され、底面部の内面側には補強板を縫着してある(例えば、特許文献1。)。
【0003】
ここで、ソフトバッグを製造する場合には、バッグ本体を裏返しした状態でまとめ縫着し、最後に、表に返して仕上げをするが、補強板の底面部への縫着もまた裏返し状態のときに行われる。
【0004】
このソフトバッグでは、底面からの衝撃力に対して被収容物が補強板により保護され、都合がよい。
【0005】
しかしながら、上記ソフトバッグは、マチ部には補強板が縫着されていないのでマチ部(特に角の部分)からの衝撃力に対しては被収容物は保護されないという問題がある。
【0006】
そこで、補強板として、両マチ部と底面部とを覆う断面コ字状のものを使用することが考えられるが、前記補強板はバッグ本体を裏返しした状態で縫着しなければならないことから、前記補強板をバッグ本体に縫着するのは実質的に不可能である。
【特許文献1】特開平8−214926号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明では、表に返した後に、前・後面部側における一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣って補強板を設置できるソフトバッグを提供することを課題とする。
【0008】
また、表に返した後に、前・後面部側における一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣って各別に補強板を設置できるバッグ幅が変化可能なソフトバッグを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1記載の発明)
この発明は、前面部、後面部、両マチ部及び底面部を有する上面部開閉式のソフトバッグであって、一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣ってコ字状の生地が縫着されていると共に、前記生地の断面形状と略同一の補強板が、生地に対して着脱自在に取り付けられている。
(請求項2記載の発明)
この発明は、前面部、後面部、両マチ部及び底面部を有する上面部開閉式のソフトバッグであって、前・後面部側における一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣ってそれぞれコ字状の生地が逢着されていると共に、前記した各生地にそれぞれ当該生地の断面形状と略同一の補強板が着脱自在に取り付けられており、前・後面部相互を接近・離反させる態様で、両補強板相互の重なりを維持しつつバッグ幅を変化させ得るようにしてある。
【発明の効果】
【0010】
この発明のソフトバッグによると、表に返した後に、前・後面部側における一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣って補強板を設置できる。
【0011】
この発明のソフトバッグによると、表に返した後に、前・後面部側における一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣って各別に補強板を設置でき、バッグ幅が変化可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下にこの発明のソフトバッグを実施するための最良の形態としての実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1はこの発明の実施例のソフトバッグ1におけるマチ部12側から見た部分斜視図、図2は前記ソフトバッグ1における第1・第2補強構造体2,3の設置位置を示す斜視図、図3は前面部10と底面部13と袋体30とをパイピンP1を介して縫着一体化した状態を示す断面図、図4は後面部11と底面部13と帯体20とをパイピンP2を介して縫着一体化した状態を示す断面図、図5は前記第1補強構造体2の斜視図、図6は前記第1補強構造体2の分解図、図7は第2補強構造体3の外観斜視図、図8は第2補強構造体3の分解図を示している。
(このソフトバッグ1の基本的構成について)
このソフトバッグ1は基本的には図1や図2に示すように、前面部10、後面部11、両マチ部12,12’、底面部13及び上面部14とから成り、前記上面部14が開閉できるようにしてある。
【0014】
ここで、このソフトバッグ1では、図2に示すように、両マチ部12,12’及び底面部13にかけて二つの断面横コ字状の第1・第2補強構造体2,3を設けてあり、第1補強構造体2に対して第2補強構造体3をバッグ幅方向に移動させることにより前面部10と後面部11との間のバッグ幅が変化し得るようにしてある。このため、マチ部12,12’を、厚手の強い生地15で構成した後面部11側のバッグ幅部分と、容易に折り畳みできる薄手の生地16で構成した前面部10側のバッグ幅部分とにより構成し、前記生地16を容易に折り畳むことができるものとすると共に、折り畳んだ状態をファスナー等で維持できるようにしてある。
(このソフトバッグ1を構成する各部材をパイピンPを介して縫着する構造について)
このソフトバッグ1は、図1や図2に示すように、前面部10と後面部11はパイピンP1,P2を介して両マチ部12,12’、底面部13及び上面部14と縫着されるように構成されているが、それ以外に図3に示す如くパイピンP1に第1補強構造体3を構成する袋体30(課題を解決するための手段の欄に記載の、一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣って縫着されたコ字状の生地)を、図4に示す如くパイピンP2に第1補強構造体2を構成する帯体20(課題を解決するための手段の欄に記載の、一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣って縫着されたコ字状の生地)を、それぞれ縫着している。また、図3に示す如く、上記前面部10、底面部13、袋体30及びパイピンP1の各端部は包皮生地40で覆ってあり、更に、図4に示す如く、上記後面部11、底面部13、帯体20及びパイピンP2の各端部は包皮生地41で覆ってある。なお、上記した袋体30、帯体20の各端部はマチ部12,12’においても縫着されている。
(第1・第2補強構造体2,3について)
第1・第2補強構造体2,3は、図2に示すように、一方のマチ部12、底面部13及び他方のマチ部12’に沿って延びる断面コ字状に形成されており、第1補強構造体2が第2補強構造体3内で重なり合うように配置させてある。
【0015】
第1補強構造体2は、図5や図6に示すように、帯体20と、外力を作用させない状態において断面コ字状である補強板21とから構成されている。
【0016】
前記帯体20は、薄い生地で構成されており、図2や図6に示すように、前面部10側の辺部外面側に所謂面ファスナー4の一方部40が取り付けられている。また、補強板21は弾性樹脂(例えば、ベルポーレン)により構成された薄板状のものであり、前面部10側の辺部外面側に前記ファスナー4の他方部41側が取り付けられている。
【0017】
ここで、この第1補強構造体2は、一方のマチ部12、底面部13及び他方のマチ部12’よりなる断面コ字状部と、断面コ字状の帯体20との間に、補強板21を差し込み、その後、図5に示すように、帯体20のファスナー4の一方部40を補強板21側に設けたファスナー4の他方部41側に折り返して、前記一方部40と他方部41とを接着状態にする。
【0018】
第2補強構造体3は、図7や図8に示すように、袋体30と、外力を作用させない状態において断面コ字状である補強板31とから構成されている。
【0019】
前記袋体30は、薄い生地で構成されており、図8に示すように、少なくとも一端部側に封止可能な開口を設けてある。なお、前記袋体30の端部を封止するための手段としては、第1補強構造体2と同様に面ファスナー4を使用している。また、補強板31は弾性樹脂(例えば、ベルポーレン)により構成された薄板状のものである。
【0020】
ここで、この第2補強構造体3は、バッグ内に設けられている袋体30の一端部を開口状態にした後に、前記開口から補強板31を弾性変形させながら挿入し、挿入完了後に袋体30の封止する。
(このソフトバッグ1の優れた点について)
(1) このソフトバッグ1は従来のものと相違する部分を有しているが、その相違部分は第1補強構造体2を構成する帯体20、及び第2補強構造体3を構成する袋体30を、パイピンPやマチ部12,12’に縫着するだけであるから、従来の製造方法と同様に、バッグ本体を裏返しした状態でまとめ縫着できる。なお、補強板21,31はバッグ本体を表に返した後に、帯体20及び袋体30にセッティングする。
(2) 補強板21を帯体20にセッティングし、補強板31を袋体30にセッティングした状態では、前記補強板21,31はマチ部12,12’及び底面部13に至るので、マチ部12,12’及び底面部13に作用する衝撃力に対して被収容物が保護されることになる。
(3) このソフトバッグ1は、第1補強構造体2に対する第2補強構造体3の位置を、図2の状態から図9の状態に移動させると符号16で示すマチ部の幅が小さくでき、バッグ全体の幅を小さくできる。逆に第2補強構造体3を図9の状態から図2の状態に移動させると符号16で示すマチ部の幅が大きくでき、バッグ全体の幅を大きくできる。
(4) 上記(1) 〜(3) から明らかなように、バッグ本体を裏返しした状態でまとめ縫着する従来の方法で製造でき、マチ部及び底面に作用する衝撃力に対して被収容物が保護され、更に、バッグ幅を容易に変え得るソフトバッグ1が提供できた。
(他の実施の形態)
(1) 上記実施例1では、バッグ幅を容易に変え得るものとするため、第1・第2補強構造体2,3を設けるようにしてあるが、(このソフトバッグ1の優れた点について)欄の(1)(2)のみの効果を有するだけでよい場合には、第1補強構造体2又は第2補強構造体3の一方のみを、設けるようにすればよい。
(2) 上記実施例1では、バッグ幅を容易に変え得るものとするため、第1・第2補強構造体2,3を設けるようにしてあるが、第1・第2補強構造体2,3にかえて二つの第1補強構造体2又は、二つの第2補強構造体3としてもよい。
(3) 第1・第2補強構造体2,3は、一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣って縫着されたコ字状の生地に、当該生地と略同一の断面形状の合成樹脂を着脱自在に取り付けるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施例のソフトバッグにおけるマチ部側から見た状態の部分斜視図。
【図2】前記ソフトバッグにおける第1・第2補強構造体の設置位置を示す斜視図。
【図3】前面部と底面部と袋体とをパイピンで縫着した状態を示す断面図。
【図4】後面部と底面部と帯体とをパイピンで縫着した状態を示す断面図。
【図5】前記第1補強構造体の斜視図。
【図6】前記第1補強構造体の分解図。
【図7】第2補強構造体の外観斜視図。
【図8】第2補強構造体の分解図。
【図9】第1補強構造体に対する第2補強構造体3の位置を変化させバッグ本体の幅を小さくした状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0022】
1 ソフトバッグ
10 前面部
11 後面部
12 マチ部
12’ マチ部
13 底面部
14 上面部
2 第1補強構造体
20 帯体
21 補強板
3 第2補強構造体
30 袋体
31 補強板
P1 パイピン
P2 パイピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面部、後面部、両マチ部及び底面部を有する上面部開閉式のソフトバッグであって、一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣ってコ字状の生地が縫着されていると共に、前記生地の断面形状と略同一の補強板が、生地に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とするソフトバッグ。
【請求項2】
前面部、後面部、両マチ部及び底面部を有する上面部開閉式のソフトバッグであって、前・後面部側における一方のマチ部、底面部及び他方のマチ部に倣ってそれぞれコ字状の生地が逢着されていると共に、前記した各生地にそれぞれ当該生地の断面形状と略同一の補強板が着脱自在に取り付けられており、前・後面部相互を接近・離反させる態様で、両補強板相互の重なりを維持しつつバッグ幅を変化させ得るようにしてあることを特徴とするソフトバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−525(P2007−525A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186750(P2005−186750)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000102304)エース株式会社 (2)