説明

ソフト系ファーネスカーボンブラック及びこれを含むゴム組成物

【課題】ゴムなどに配合したとき、従来のFEF級カーボンブラックと比較して機械的特性、及び押出特性等のゴム物性を維持しながら耐屈曲亀裂成長性を向上させることが出来るファーネスカーボンブラック及び、該カーボンブラックを配合したゴム組成物の提供。
【解決手段】窒素吸着比表面積(NSA)が32〜50m/g、ジブチルフタレート吸収量(DBPA)が100〜130mL/100gの基本的特性を有するソフト系ファーネスカーボンブラックにおいて、NSAとヨウ素吸着量(IA)の比(NSA/IA)が0.9〜1.0であり、、トルエン着色透過度が90%以上であり、発生水素量が2000〜2550ppmで且つ下記式(1)を満たすソフト系ファーネスカーボンブラック。
発生水素量(ppm)≦2850−10×NSA … (1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムなどに配合した場合に、良好な押出特性を維持しながら耐屈曲亀裂成長性を向上させることが出来るソフト系ファーネスカーボンブラック及び、該カーボンブラックを配合したゴム組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンブラックは、その主たる用途であるゴムへの特性、即ち加工性と補強性により分類されており、主なソフト系カーボンブラックとしては、半袖強性ファーネスカーボンブラック(Semi Reinforcing Furnace:SRF)、汎用ファーネスカーボンブラック(General Purpose Furnace:GPF)、良押出性ファーネスカーボンブラック(Fast Extruding Furnace:FEF)などがある。
上記の「ソフト系」という名称表現は、ゴム配合時において軟らかいゴム組成物を与えることから生じたものであり、作業性が良い、発熱が少ない、多量配合ができるなどの特徴を有し、タイヤカーカス用、チューブ用、ベルト、シート材、ウェザ−ストリップなどのゴム部材の充填補強剤として広く利用されている。
ところで、カーボンブラックの基本的特性としては、ヨウ素吸着量や窒素吸着比表面積などで評価される比表面積及びカーボンブラック粒子のつながりによる高次構造(ストラクチャー)があることは周知である。しかしなから、カーボンブラックのゴムに対する付与特性の評価は、上記二つの特性だけでは不可能であることが広く認識されるようになってきており、これらの特性だけで配合したゴム特性を制御することは困難である。
【0003】
このような状況に鑑み、本出願人は、先願(特許文献1参照)において、ヨウ素吸着量(IA)が35〜50mg/gであり、ジブチルフタレート吸収量(DBPA)が120mL/100gを超え140mL/100g未満の範囲内にあり、△DBPA(DBPA−24M4DBPA)が40mL/100gを超え50mL/100g未満の範囲内にあり、かつ、遠心沈降分析によるカーボンブラックアゲリケードのストークス相当径の最多頻度値(Dst)が、
Dst≧{(DBPA)−(IA)1/2+80
の関係を満足することを特徴とする発明を開示し、ゴム組成物における分散性を著しく改良すると共に、ゴム組成物に対して優れた反発弾性と圧縮永久歪み特性を付与するソフト系ファーネスカーボンブラックを提供した。
【0004】
しかし、最近ではゴム組成物に配合するカーボンブラックにおける顧客の要求性能、特に引張強さや弾性率などの機械的特性に関する要求は更に増大しており、その代表例として自動車の車内空間のシール材料として使用されるゴム部材に対する性能向上がある。
雨、風、埃などの種々の環境条件下で高速走行する自動車には、車室や客室へ雨や埃が入り込まないように機密性を保持するための様々なゴム組成物が使用されており、例えば窓ガラスを車体に密着させるウェザーストリップやドアシール部材、回転するエンジンやトランスミッション空間内に充填されたオイル成分の漏出を防止するオイルシール、ブレーキピストンでの油の漏出を防ぐブレーキキャップなどのゴム部材が使用されているが、これらのゴム組成物は過酷な環境で使用されるため、耐候性、耐油性、耐摩耗性、耐久性等が要求される。その中でも繰り返し入力に対するゴム組成物の耐久性が高いことは、自動車の寿命や安全性を高める上で非常に重要である。
【0005】
一般にゴムの屈曲に対する耐性の評価は、ゴム試験片に切り傷を付け、繰り返し屈曲変形を与えたときの切り傷の成長度合いで評価する。この切り傷の成長度合いを低下させる場合には、一般的に粒子径の大きなカーボンブラックを用いる方法とストラクチャーが小さなカーボンブラックを用いる方法が提案されている。
特許文献2ではカーボンブラック凝集体の形態制御を行い、ストラクチャー、粒子径、及び凝集体径に関して一定の関係式で規定するという対策を試みており、特許文献3ではカーボンブラック凝集体の分布制御による対策が試みられている。また、カーボンブラック凝集体の形態制御によらない対策として、特許文献4では天然ゴム中のタンパク分を分離することにより、窒素含有量を制御して耐屈曲亀裂成長性を改良する試みも行われている。
しかし、これらの従来手法におけるカーボンブラック凝集体の形態制御、特に粒子径の増加とストラクチャーの減少といった対策を講じた場合、ゴム物性への影響だけでなく、未加硫ゴムの押出し特性にも変化を及ぼす。その結果、ゴム特性として好適な要求特性から乖離し、作業性を低下させる傾向がある為、押出し特性を保ちつつ、耐屈曲亀裂成長性を改良すること、即ち、より小さな屈曲亀裂成長度合いとすることは困難であった。
【0006】
また、特許文献5には、下記のような構成の、自動車ウェザーストリップやガラスランなどの機能性ゴム部品として好適なゴム配合用カーボンブラックが開示されている。
「窒素吸着比表面積(NSA)が15〜30m/g、DBP吸収量が100〜135cm/100gであって、下記(1)式、及び(2)式の関係を充足することを特徴とする機能性ゴム部品配合用カーボンブラック。
(1)460−10.5×NSA≧Dst
(2)2900≧H
但し、NSAは窒素吸着比表面積(m/g)、Dstはカーボンブラックアグリゲートのストークス相当径分布のモード径(nm)、Hはカーボンブラック1g当たりの水素含有量(μg/g)である。」
しかし、この発明は、本発明とはNSAの範囲が相違しており、従って、本発明において要求されるカーボンブラック配合ゴム組成物の機械的特性、特に引張強さにおいて大きな低下がみられるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−227375号公報
【特許文献2】特開平10−28771号公報
【特許文献3】特開2001−191720号公報
【特許文献4】特開2008−144074号公報
【特許文献5】特開2008−101152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ゴムなどに配合したとき、従来のFEF級カーボンブラックと比較して機械的特性、及び押出特性等のゴム物性を維持しながら耐屈曲亀裂成長性を向上させることが出来るソフト系ファーネスカーボンブラック、及び該カーボンブラックを配合したゴム組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、次の1)〜2)の発明によって解決される。
1) 窒素吸着比表面積(NSA)が32〜50m/g、ジブチルフタレート吸収量(DBPA)が100〜130mL/100gの基本的特性を有するソフト系ファーネスカーボンブラックにおいて、NSAとヨウ素吸着量(IA)の比(NSA/IA)が0.9〜1.0であり、トルエン着色透過度が90%以上であり、発生水素量が2000〜2550ppmで且つ下記式(1)を満たすことを特徴とするソフト系ファーネスカーボンブラック。
発生水素量(ppm)≦2850−10×NSA … (1)
2) ゴム成分と、1)記載のソフト系ファーネスカーボンブラックを含むことを特徴とするゴム組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゴムなどに配合したとき、従来のFEFと比較して機械的特性、及び押出特性等のゴム物性を維持しながら耐屈曲亀裂成長性を向上させることが出来るソフト系ファーネスカーボンブラック及び、該カーボンブラックを配合したゴム組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のカーボンブラックを製造するのに好適な製造炉の一例を示す縦断面図である。
【図2】図1の先頭部を示す部分拡大図である。
【0012】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明ではカーボンブラックの表面性状を表す指標として発生水素量、トルエン着色透過度及びNSA/IAを用いる。
カーボンブラックに含まれる炭素以外の構成成分の一つとして水素があり、カーボンブラックを高温加熱したときに発生する水素の量は、配合成分であるゴムとの相互作用の強さに影響を与える重要な要素と考えられている。発生水素量が少ないほど、お互いの相互作用は減少し(一般的に、カーボンブラックの表面活性が低下と表現される)、この為にカーボンブラックに拘束されるゴム成分が減りゴム配合物の柔軟性が増加して、結果的に耐屈曲亀裂成長性が向上する。しかしながら、発生水素量(表面活性)が過度に減少すると、機械的特性、特に引張強さが大きく低下するため、機能性ゴム部材として好適な性能を満足させることができない。
本発明者は、これらのゴム特性をバランスよく両立させること、即ち機械的特性を維持しながら耐屈曲亀裂成長性を向上させることの出来る発生水素量の範囲について検討した結果、2000〜2550ppmの範囲とすると共に、下記式(1)を満たす必要があることを見出した。
発生水素量(ppm)≦2850−10×NSA … (1)
【0013】
また、トルエン着色透過度は90%以上とする必要があり、好ましくは93%以上である。トルエン着色透過度が90%を下回ると、カーボンブラック表面に付着する未分解原料油によるゴム配合物の汚染を回避することが困難となる。なお、このトルエン着色透過度の数値は、後述するようにトルエンのブランク値を100%としたときの指数表示であるから、最大値は100%となる。
もう一つの表面性状を示す指標であるNSA/IAの数値は、何れもカーボンブラックの表面積を評価する方法であるNSAとIAの測定値の比であり、前述のトルエン着色透過度とも関連を有している。
SA/IA値が1.0を越えるとカーボンブラックの表面活性は大きいと考えられ、引張り強さの向上は見られるものの、耐屈曲亀裂成長性が低下し、良好なバランスは維持できなくなる。また、トルエン着色透過度が大きく低下して、タール分によるゴム表面への染み出し(ブリード)の発生も見られるようになる。
逆に、NSA/IA値が0.9よりも小さくなると、カーボンブラックとゴム成分との相互作用が減少し、この為に機械的特性、特に引張強さが低下するので好ましくない。従って、本発明におけるNSA/IAの範囲は、0.9〜1.0とする必要があるが、0.93〜0.98の範囲であれば、さらに効果的に特性を向上させることが出来る。
本発明ではカーボンブラックの基本特性の一つであるNSAが32〜50m/gのものを用いる。NSAが32m/g未満では、ムーニー粘度や引張強さが低下するため、本発明の目的を達成することが困難となる。
また、同じく基本特性の一つであるDBPAが100〜130mL/100gのものを用いる。DBPAが100mL/100g未満では、ムーニー粘度やモジュラスが低下し、さらにダイスウェルが大きくなるので、本発明の目的を達成することが困難となる。
【0014】
また、上記ソフト系ファーネスカーボンブラックをゴムに配合することにより、従来のFEF級カーボンブラックと同等の加硫ゴム物性、特に押出特性を満足し、さらに耐屈曲亀裂成長性を向上させたゴム組成物を得ることができる。
本発明の対象となるゴムとしては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどが挙げられる。これらのゴムは単独で用いても任意に組み合わせてブレンドゴムとして用いてもよい。
【実施例】
【0015】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
【0016】
実施例1〜5、比較例1〜7
[製造例]
特開平7−316460号公報に記載された図1及び図2に示す構造のオイルファーネス炉を用いて、表2に示した実施例及び比較例のFEF級カーボンブラックを製造した。製造に用いた原料油の性状は表1に示す通りである。
【表1】

【0017】
実施例及び比較例のカーボンブラックの製造条件を表2に示す。

【表2】

【0018】
なお、各実施例及び比較例のカーボンブラックにおける物理化学特性の制御は、表2に示す各種条件(原料油供給量、燃料供給量、導入空気量、温度、圧力など)を変更することにより行った。また、発生水素量は次のようにして調整した。
[発生水素量の調整]
可燃性流体導入室及び反応室に導入する空気の温度を高くし、原料油導入時点での温度を上昇させて原料油の分解を促進させること、及び急冷部までの距離を長くしてカーボンブラック表面の未分解油分を揮発させることにより行った。
【0019】
表2に示す製造条件により得られたカーボンブラックの物理化学特性を表3に示す。
なお、対照例は一般的なFEF級カーボンブラック(旭#60G:旭カーボン株式会社製)である。

【表3】

【0020】
<各特性の測定>
カーボンブラックの物理化学特性の測定方法は次のとおりである。
(1)DBP吸収量(DBPA)
JIS K6217−4:2008に記載の方法により測定した、100g当たりに吸収されるDBPの容積(mL/100g)を示した。
(2)窒素吸着比表面積(NSA)
JIS K6217−2:2008に記載の方法により測定した、単位重量当たりに吸着される窒素表面積(m/g)を示した。
(3)ヨウ素吸着量(IA)
JIS K6217−1:2008に記載の方法により測定した、単位重量当たりに吸着されるヨウ素量(mg/g)を示した。
(4)トルエン着色透過度
JIS K6218−4:2005に記載の方法による、カーボンブラックから抽出される物質によってトルエンが着色される程度を、トルエンのブランク値を100とした透過度(%)で示した。
(5)発生水素量(H)
吸着成分を除去するため、予め真空乾燥により125℃で4時間脱気乾燥したカーボンブラック20mgを錫カプセルに入れ、高感度水素分析装置(堀場製作所社製のEMGA−621W、TCD検出器使用)を用いて、黒鉛ルツボ内において1980℃で70秒間熱分解させた。次いで、発生したガスを、一定流量(400mL/分)のキャリアガス(不活性アルゴンガス)により、高温酸化剤、常温酸化剤、脱二酸化炭素剤、乾燥剤に通した後、カラムで分離した。このようにして得られた水素ガスの発生水素量(ppm)を、ガスクロマトグラフ検出器(熱伝導度法)で定量した。
【0021】
<ゴム配合特性>
表3に示したカーボンブラックとEPDM(エチレンプロピレンゴム)を、他の添加剤と共に、表4に示した割合で配合してゴム組成物とし、各種ゴム特性を測定した。
結果を表5に纏めて示す。
【表4】

表4中の*1〜*6の詳細は次のとおりである。
*1 商品名:三井エプタロイPX−049PE〔三井化学株式会社製〕
*2 商品名:PW−380〔出光興産株式会社製〕
*3 商品名:ノクセラーM〔大内新興化学工業株式会社製〕
*4 商品名:ノクセラーTT〔大内新興化学工業株式会社製〕
*5 商品名:ノクセラーTRA〔大内新興化学工業株式会社製〕
*6 商品名:ノクセラーBZ〔大内新興化学工業株式会社製〕
【0022】
【表5】

【0023】
表5中の※1〜※3の詳細は次のとおりである。
※1 試験片加硫条件:150℃×15分
※2 試験片加硫条件:150℃×20分
※3 押出1ヶ月後の未加硫試料表面のブリードの有無
また、表5中の各特性は以下の方法で測定した。
・ムーニー粘度(ML1+4’)…JIS K6300−1:2001に記載の方法
・スコーチタイム(t5)…JIS K6300−1:2001に記載の方法
・硬さ …JIS K6253:2007に記載の方法
・200%モジュラス…JIS K6251:2010に記載の方法
・引張強さ…JIS K6251:2010に記載の方法により、ダンベル状1号形
試験片を用いて引張特性を測定
・切断時伸び…JIS K6251:2010に記載の方法により、ダンベル状1号
形試験片を用いて測定
・反発弾性…JIS K6255:1996に記載の方法により、リュプケ式測定装
置を用いて測定
・屈曲亀裂成長…JIS K6260:2010に記載のデマッチャ屈曲試験機と
試験片を用い、500回の屈曲後の亀裂の長さ(mm)を測定
・押出特性…ASTM D2230−96:(2007)記載の方法により、
スクリュー回転数20rpmで押出作業を行い、単位時間当たりの
押出物の長さ(cm/min)を測定
・ブリードの有無…押出特性で用いた試験片を室温で1ヶ月間放置し、表面のブリー
ドの有無を目視で観察
【0024】
表5のゴム特性の結果から、本発明のカーボンブラックの効果について説明する。
(i)未加硫物性について
実施例、比較例、対照例の全てで同等の物性を示した。このことから、本発明のソフト系ファーネスカーボンブラック配合物は、一般的なFEF級カーボンブラック配合時と比較して、加工性能において同等であることが分かった。
【0025】
(ii)加硫物性について
(a)耐屈曲破壊特性(屈曲亀裂成長)について
発生水素量が本発明の範囲を上回る比較例2〜4、7及び対照例は、500回屈曲後に断裂した。一方、発生水素量が請求項1の範囲内である実施例1〜5及び比較例1、5は、断裂せず耐屈曲破壊特性の向上効果が見られた。さらに、比較例1以外は破断時の伸びが大きくなり、耐屈曲破壊特性の向上も見られた。
(b)その他の加硫物性について
SA及びDBPAが請求項1の範囲内である実施例1〜5は、対照例と同等の物性を示したが、NSAが請求項1の範囲を下回り、DBPAが請求項1の範囲を上回る比較例1は、伸びの低下が見られた。またNSAが請求項1の範囲を上回り、DBPAが請求項1の範囲を下回る比較例5は、モジュラスの低下が見られた。また、発生水素量が請求項1の範囲を下回る比較例6は、モジュラスが低下するとともに、引張強度の低下が見られた。
【0026】
(iii)押出特性について
(c)押出長さについて実施例、比較例及び対照例の全てで物性値に大きな差異は認められなかった。
(d)ダイスウェルについて
DBPAが請求項1の範囲内である実施例1〜5は、対照例と同等の物性を示したが、DBPAが請求項1の範囲を下回る比較例5は、ダイスウェル値が大きくなった。
【0027】
(iv)ブリードについて
トルエン着色透過度が請求項1の範囲を下回る比較例7は、押出試料表面上に未熱分解タール分の染み出し(ステイニング)が発生し、ブリードとして観察された。
(v)まとめ
上記(i)〜(iv)から、本発明のソフト系ファーネスカーボンブラックを配合したゴム組成物は、従来のFEF級カーボンブラック配合物と比較して、加工性能、補強性能及び押出特性を維持したまま、耐屈曲破壊特性を向上させることができるという特徴を持つことが明らかであり、本発明のカーボンブラックの有効性を示している。
【符号の説明】
【0028】
1 原料油噴霧ノズル
2 可燃性流体導入室
3 酸素含有ガス導入管
4 酸素含有ガス導入用円筒
5 整流板
7 燃料油噴霧装置
8 収れん室
9 バーナータイル
10 原料油噴霧装置
11 原料油導入室
12 反応室
13 反応室継続兼急冷室
14 収れん帯域を定める部材
15 酸素含有ガス導入管
a 急冷水圧入噴霧装置
b 急冷水圧入噴霧装置
c 急冷水圧入噴霧装置
d 急冷水圧入噴霧装置
e 急冷水圧入噴霧装置
f 急冷水圧入噴霧装置
g 急冷水圧入噴霧装置
h 急冷水圧入噴霧装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素吸着比表面積(NSA)が32〜50m/g、ジブチルフタレート吸収量(DBPA)が100〜130mL/100gの基本的特性を有するソフト系ファーネスカーボンブラックにおいて、NSAとヨウ素吸着量(IA)の比(NSA/IA)が0.9〜1.0であり、トルエン着色透過度が90%以上であり、発生水素量が2000〜2550ppmで且つ下記式(1)を満たすことを特徴とするソフト系ファーネスカーボンブラック。
発生水素量(ppm)≦2850−10×NSA … (1)
【請求項2】
ゴム成分と、請求項1記載のソフト系ファーネスカーボンブラックを含むことを特徴とするゴム組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−197348(P2012−197348A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62155(P2011−62155)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000116747)旭カーボン株式会社 (19)
【Fターム(参考)】