説明

ソーラーセルを有するメンブレン

障壁層(2)と、少なくとも一つのソーラーセル(3)を有しているメンブレン(1)において、当該少なくとも一つのソーラーセル(3)の側面(4)と底面(5)は前記障壁層(2)に囲まれている。またメンブレン(1)は、前記ソーラーセル(3)の前記上面(6)が前記障壁層によって包囲されており、それによって前記ソーラーセル(3)の前記側面(4)および前記底面(5)が、前記ソーラーセル(3)の前記上面(6)にある液体に対して保護されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書き部に記載の、障壁層とソーラーセルとを含むメンブレンに関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤を介してソーラーセルを屋根用シートに貼付することが知られている。しかしながらこのような種類の固定の不利点は、ソーラーセルが特に機械的応力ゆえに屋根用シートから剥がれるとともに、屋根用シートとの間に空洞が形成され得ることである。それに続いて当該空洞に水分が入り込むと、取り分け接着剤の損傷によって、ソーラーセルと屋根用シートとの結合に対して特に不利な影響が及ぼされるとともに、剥離がさらに促進される。
【0003】
上記の応力は特に、ソーラーセルと屋根用シートが、特に当該二つの層の線熱膨張率が異なるために、水平方向および垂直方向に互いにずれることによって規定されている。このような応力は特に強い日射によって加熱されるとき、あるいは外部温度が低いとき、あるいは風の吸引力による負荷を受けるときに生じる。
【0004】
さらに、接着剤が気候および紫外線などの外部影響に曝されているという状況は、接着剤が当該外部影響によって時とともに損傷を受ける結果を招き、それによって前記結合はさらに弱化させられる。
【0005】
さらなる問題は、ソーラーセルがたとえば接着によって障壁層に貼付されること、従って露出されることである。これによってソーラーセルと、当該ソーラーセルの電気的接続のための手段とは機械的応力に高い程度で曝され、当該機械的応力はメンブレンの製造、搬送、取り付け、または使用の際に損傷につながりかねない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】レンプ(Roempp)著,「ヒェミーレキシコン(Chemie Lexikon),CD−ROM版ヴァージョン1.0,ゲオルク・ティーメ・フェアラーク(Georg Thieme Verlag),シュトゥットガルト
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は前記の種類のメンブレンを改良し、それによって、屋根用シートに設けられたソーラーセルの剥離と、その結果としての空洞部の形成と、それに続く水分の浸入とを最小化し、機械的応力に対するソーラーセルのより良好な保護を確実にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、本発明により請求項1に記載の特徴によって達成される。
【0009】
本発明の核心はすなわち、障壁層と、少なくとも一つのソーラーセルを有しているメンブレンにおいて、当該少なくとも一つのソーラーセルの側面と底面が前記障壁層に囲まれていることである。従って当該少なくとも一つのソーラーセルは前記障壁層に埋め込まれており、当該障壁層はこれによってソーラーセルを部分的に封入するものとして用いられている。この点は、ソーラーセルの側面と底面であって、典型的に特に液体による損傷を受けやすい側面と底面が、当該液体による損傷から保護されているという点で有利である。従ってソーラーセルの側面の少なくとも75%、特に90%が障壁層に囲まれていると有利である。ソーラーセルの側面が完全に障壁層に囲まれているのが特に好適である。さらに障壁層の材料が封入体として用いられているため、特定の場合には接着剤を用いないで済ますこともできる。それにもかかわらず、ソーラーセルと障壁層との結合を安定させるために接着剤が必要であると思われる場合、当該接着剤は障壁層の材料によって液体に対して露出されることから保護されるか、あるいはおよび、当該障壁層の材料によって気候、紫外線、および特に液体などの外的影響による損傷から保護される。これによって、例えば付加的なフィルムまたはシーリング材を用いて縁部を密閉することなどによる、コストのかさむソーラーセルの封入方法は不要となる。
【0010】
ソーラーセルはこれにより、好適に上記のやり方で障壁層に囲まれている。なぜならソーラーセルは障壁層に埋め込まれているからである。従って好適にソーラーセルの上面は一般的に、障壁層の表面と同一平面上に設けられている。この点は、ソーラーセルの上面が障壁層の表面と同一平面上に設けられていることによって、ソーラーセルが、メンブレンの製造、搬送、取り付け、または使用の際に生じ得る機械的応力に曝されることが少なくなるという意味で有利である。メンブレンの表面に例えば、ソーラーセルを汚れから保護するためのカバー層が設けられる場合、当該カバー層を例えば減圧積層法によってメンブレンと結合する際、大きな力が生じる。当該力に対して、障壁層に埋め込まれているソーラーセルが曝される程度は、古典的な接着を介してメンブレンに貼付されたソーラーセルに比べてはるかに小さい。
【0011】
ソーラーセルの上面の部分が付加的に障壁層に包囲されていると特に好適である。なぜなら、それによってソーラーセルの側面および底面の封入と保護とが、より効果的に形成されるからである。
【0012】
ソーラーセルの側面の少なくとも一つ、または、底面と、障壁層との間に隙間が形成されていると、さらに有利である。このような隙間には、例えばソーラーセルの電気的接続のための手段が設けられ、それによって上記の機械的応力および/または水分から保護され得る。さらにこのような隙間は、ソーラーセルと障壁層の材料の線熱膨張率が異なるために生じ得る応力を調整するために役立つ。
【0013】
本発明のさらなる有利な構成は下位請求項に記載されている。本発明のさらなる態様はさらなる独立請求項の対象となっている。
【0014】
本発明の実施の形態を、図面に基づいて以下により詳しく説明する。異なる図面において同一の構成要素には同一の参照番号が付されている。図に示すのは以下の通りである。図面には、本発明を直接的に理解するための基本的な構成要素のみが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るメンブレンの断面を示す図である。
【図2】本発明に係るメンブレンの断面を示す図である。
【図3】本発明に係るメンブレンの断面を示す図である。
【図4】本発明に係るメンブレンの断面を示す図である。
【図5】本発明に係るメンブレンの断面を示す図である。
【図6】本発明に係るメンブレンの平面を示す図である。
【図7】凹部を有する障壁層の断面を示す図である。
【図8】凹部を有する障壁層の断面を示す図である。
【図9】凹部を有する障壁層の断面を示す図である。
【図10】凹部を有する障壁層を斜視的に示す図である。
【図11】凹部を有する障壁層の平面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には障壁層2と、少なくとも一つのソーラーセル3を有しているメンブレン1が示されており、当該少なくとも一つのソーラーセルの側面4と当該少なくとも一つのソーラーセルの底面5は前記障壁層2に囲まれている。
【0017】
ソーラーセル3の側面4および/または底面5は前記障壁層2と直接的に結合されていてよい。「直接的に結合されている」というのは、二つの材料の間にさらなる層または物質が存在せず、当該二つの材料が互いに直接的に結合されているか、もしくは互いに接着しているという意味である。これは例えば図1に示されている。
【0018】
ソーラーセル3の側面4および/または底面5は障壁層2に概ね固定的に設けられていてよい。これは特に、メンブレンの製造時に側面4および底面5と、障壁層とが、熱作用によって、圧力によって、物理吸収によって、あるいは他のあらゆる物理的な力の作用によって、互いに直接的に結合されることによって成立し得る。この点は特に、障壁層と、ソーラーセル3の側面4および底面5とを接着剤を用いて化学的に結合することが不要であるという有利点を有しており、これはメンブレン1の製造コストに対して有利に作用する。
【0019】
しかしながら、例えば図2に示されているように、接着層11を介して側面4および/または底面5を障壁層と結合することも可能である。このような接着剤は好ましくは障壁層の材料に類似した線熱膨張率を有している。
【0020】
このような接着層11において用いられる接着剤は例えば感圧接着剤および/またはホットメルト接着剤であってよい。当該接着剤は障壁層2に対するソーラーセル3の面の良好な結合と良好な接着とを保証する。
【0021】
感圧接着剤およびホットメルト接着剤は当業者に一般に知られており、非特許文献1に記載されている。
【0022】
このような接着剤は好ましくは、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、オレフィンベースの架橋性かつ熱可塑性のエラストマー、アクリレート化合物、ウレタンポリマー、シランを末端基とするポリマーから成るグループから選択される接着剤である。
【0023】
好適なアクリレート化合物は、特にアクリル単量体、特にアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルをベースとするアクリレート化合物である。
【0024】
「ウレタンポリマー」という概念は、いわゆるジイソシアネート重付加法によって製造される全てのポリマーを含む。これは、ウレタン基をほとんど含まないか、あるいは全く含まないポリマーをも含んでいる。ウレタンポリマーの例はポリエーテル・ウレタン、ポリエステル・ウレタン、ポリエーテル・ポリウレア、ポリウレア、ポリエステル・ポリウレア、ポリイソシアヌレート、ポリカルボジイミドである。
【0025】
好適な接着剤は、合衆国所在のSika Corporationのもとで、SikaLastomer(登録商標)−68という商標名で入手可能である。
【0026】
例えば障壁層2のコロナ処理、フッ化処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理によって、障壁層に対する接着層11の接着は向上させられ得る。
【0027】
ソーラーセル3の上面6の部分が付加的に障壁層に包囲されていると、特に図3において示されるように、上面の前記の部分が障壁層と直接的に結合されている場合は有利である。これにより、ソーラーセルの側面および底面の封入と保護とが、より効果的に形成される。ソーラーセル3の上面6の1−3%が障壁層に包囲されているのが好ましい。
【0028】
さらに、ソーラーセル3の上面6が障壁層によって包囲されており、それによってソーラーセル3の側面4および底面5が、ソーラーセル3の上面6にある液体に対して保護されていると有利である。これは好ましくは障壁層が側面4および底面5と良好に接触していること、および/または障壁層が上面6と良好に接触していることによって保証され、それによって、接触面に沿って水分が浸入する可能性が防止される。
【0029】
さらに、側面4のうちの少なくとも一つおよび/または底面5と、障壁層2との間に、例えば図4に示されているように、隙間7が形成されていると有利である。当該隙間は全ての側から障壁層またはソーラーセルに包囲されており、好ましくは、例えばソーラーセルと障壁層とが互いに水平方向および垂直方向にずれることによる応力であって、特に二つの層の線熱膨張率が異なることにより規定される応力を調整するための大きさを有している。
【0030】
取り分けこのような機械的応力は、メンブレン、特にソーラーセルが、日射が強いときに加熱されることによって、あるいは外部温度が低いときに生じる。隙間7を介してこのような応力を分断することは、障壁層2からのソーラーセル4の剥離またはソーラーセルの損傷が防止されるという意味で有利である。
【0031】
さらに、このような隙間7には、例えば図5に示されているように、電気的接続のための手段9が設けられ得る。当該電気的接続のための手段はこれにより、取り分け機械的応力および/または水分から保護される。
【0032】
図5からさらに、ソーラーセル3の上面6に付加的にカバー層8が設けられていてもよいことが分かる。当該カバー層は、図5に示されているように、少なくとも一つのソーラーセルが設けられている障壁層の面全体をカバーするか、あるいは、概ねソーラーセルの上面6に限定され得る。
【0033】
カバー層8は典型的にプラスチックから成る層であって、通常のソーラーセルのスペクトル領域における透過率が高いことを特徴とする層である。
【0034】
カバー層の材料の透過率は、カバー層の厚さが0.1mmである場合に測定すると、300−1300nmのスペクトルにおいて好ましくは85%より大きく、特に90%より大きく、特に好ましくは93%より大きい。
【0035】
カバー層のための好適な材料は、例えばDuPont CorporationによりTefzel(登録商標)という商標名で販売されているような、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体のようなフッ素重合体か、あるいは、DuPont CorporationによりTedlar(登録商標)という商標名で販売されているポリビニリデンフルオライドである。
【0036】
このようなカバー層は、当該カバー層がソーラーセルを損傷、汚れおよび液体の浸入から保護することができるという意味において有利である。カバー層は典型的に0.01−0.1mm、好ましくは0.02−0.05mmの厚さを有している。
【0037】
障壁層2は、液体圧が高いときも十分な不浸透性を保証する全ての材料から成り得る。
【0038】
このように障壁層2が水圧と天候に対して高い耐久性を有しているとともに、引き裂き試験および穿孔試験において良好な数値を示すと有利である。この点は特に建築現場において機械的応力を受ける場合に有利である。さらに、持続的な機械的応力、例えば風に対する耐久性を有することは有利である。
【0039】
障壁層は典型的に以下のものを有している。
・EN12691:2005に定める衝撃負荷に対する抵抗が500mmより大きく、特に500−1000mmである。これはメンブレンが、下地に貼付される間および下地に貼付された後に、例えば点検のための歩行による機械的応力による穿孔に対して保護されているという意味において有利である。500mmより小さい数値の場合、メンブレンは典型的に十分な保護を提供しない。
【0040】
・24時間0.1barにおいてEN1928Bに定める防水性を有する。これはメンブレンがこれによって、典型的に地上工事において生じる応力に耐えられるという意味において有利である。古典的な屋根への応用においては、0.1barより大きい水圧が様々に生じる。0.1barよりも小さい数値の場合、障壁層の保護機能は保証されていない。
【0041】
・柔軟性。これにより、発生する熱機械的応力を満たすことができる。障壁層は好ましくは、2から150MPaのずれ弾性率(ねじり振り子を用いて測定)を特徴とする。
【0042】
障壁層2が熱可塑性コーティング、好ましくは熱可塑性のポリオレフィンまたはポリ塩化ビニル(PVC)から成る層、特にポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)、特に好ましくはポリプロピレンから成る層を有していると特に有利である。これによって、環境の影響に対する高い耐性が得られる。
【0043】
障壁層2は好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、クロロスルホン化ポリエチレン、オレフィンベースの熱可塑性エラストマー(TPE−O,TPO)、エチレン・プロピレン・ジエン・ゴム(EPDM)、ポリイソブチレン(PIB)およびこれらの混合物から成るグループからの材料から選択される。
【0044】
障壁層2は0.5−8mm、好ましくは1.5−5mm、特に1.2−2mmの厚さを有し得る。
【0045】
本願明細書において「ソーラーセル」という概念は、個々のソーラーセルユニットも、電気的および/または機械的に互いに接続された多数のソーラーセルユニットも意味する。このようなソーラーセルユニットは例えば日本所在のクリーンベンチャー21、日本所在の富士電機、合衆国所在のUnited Solar Ovonic LLC、オランダ所在のHelianthos BV、合衆国所在のAscent Solarのものが市販されている。
上記のソーラーセルユニットは典型的にプラスチックまたは金属からなる柔軟な支持体を有しており、典型的にプラスチック層に包囲されており、当該プラスチック層はソーラーセルユニットを水分から保護している。
【0046】
ソーラーセルの厚さが障壁層2の厚さの30−50%であると、さらに有利である。これによって取り分け、障壁層によってソーラーセルを機械的応力から保護することが保証される。
【0047】
図6には本発明に係るメンブレンの好適な実施の形態が示されている。障壁層2は熱可塑性のポリオレフィンまたはポリ塩化ビニル(PVC)から成る層から成り、1.2−2mmの厚さを有している。ソーラーセル3は0.2−0.5mmの厚さを有している。保護層は0.05−0.02mmの厚さを有するTefzel(登録商標)から成る。当該メンブレンは好ましくは柔軟なメンブレンであって、10−100cmの曲げ半径で巻くことを可能にする。当該メンブレンは好ましくは、長さ110cm、幅110cm、厚さ2−3mmの大きさを有する屋根用シートであって、6×20のソーラーセルユニットから成るソーラーセルを有しており、ソーラーセルユニット同士の間の隙間は接着剤またはシーリング剤で充填されている。当該メンブレンは好ましくは、ソーラーセルの側方に当該メンブレンの外縁から測定して5−15cmの縁部領域を有するように形成されている。これは屋根用シートを互いに結合するために有利である。
【0048】
本発明はさらなる態様において、上記のようなやり方でメンブレン1を製造するための方法に関する。当該方法においてソーラーセル3は障壁層2の凹部10に装入される。
【0049】
凹部10を有する障壁層2はあらゆる方法で、特に当業者が通常用いる機械で製造され得る。障壁層は単独の方法プロセスにおいて、例えば押出し成形であって、当該押出し成形において凹部は押出し成形された障壁層内にノズルの形態に基づいてすでに設けられている押出し成形によって連続的製品として、および/または複数の方法プロセスにおいて、例えばカレンダー加工または押出し加工に続いてエンボス加工を行うことによって製造され得る。押出し成形装置またはカレンダー加工装置における材料温度は、好ましくは押出し成形および/またはカレンダー加工の間、100℃−210℃の領域、好ましくは130℃−200℃、特に170℃−200℃であってよい。凹部10を有する障壁層2は好ましくは、押出し成形法および/またはエンボス加工法で製造される。
【0050】
ソーラーセル3が互いに電気的および/または機械的に、例えば超音波溶接によって接合された多数のソーラーセルユニットの複合体である場合、当該ソーラーセルユニット同士の間の隙間が接着剤またはシーリング剤で充填されるとさらに有利であり得る。これによって、ソーラーセルの表面が凹所であって、当該凹所に水、特に雨水が堆積しかねない凹所を有さないという有利点がもたらされる。この点はさらにソーラーセルの安定性に寄与するとともに、機械的応力の均一な伝達を可能にする。これはソーラーセル3を凹部10に装入するために有利であるとともに、さらにメンブレンの製造、搬送、取り付け、および使用の際の機械的応力に対して有利である。
【0051】
前記の充填は好ましくはソーラーセル3を凹部10に装入する前に行われる。接着剤またはシーリング剤を用いて行う前記の充填は好ましくは、スクリーン印刷接着によって行われ、このときソーラーセルユニット同士の間の隙間はスクリーン印刷マスクを用いて接着剤またはシーリング剤で充填され、続いて当該接着剤またはシーリング剤は紫外線によって硬化させられる。当該接着剤またはシーリング剤は好ましくは1成分形の紫外線硬化型アクリル系接着剤/シーリング剤またはアクリル系ハイブリッド接着剤/シーリング剤である。
【0052】
ソーラーセル3を障壁層2の凹部10に装入した後、ソーラーセルは好ましくは障壁層と、特に障壁層の加熱および/または塑性加工、特に圧延によって、形状接続的に接合される。
【0053】
図7,8および9には、凹部を有している可能な障壁層が示されている。これらの障壁層は好ましくは凹部10に隣接して、障壁層の材料から成る突出部12を有している。図7はエンボス加工によって製造された可能な障壁層を示しており、突出部12はエンボス加工の間に障壁層の材料が押しのけられた結果、生じたものである。図8および9は、押し出し成形によって製造される可能な障壁層を示しており、突出部12はノズルの形状の結果、生じたものである。このような突出部は以下のような意味で有利である。すなわち、これによってソーラーセル3を凹部10に装入した後、障壁層の加熱および/または塑性加工によって、特に凹部が加熱および/または塑性加工され、それによって、特に加熱および/または塑性加工の後にソーラーセルの上面の部分が突出部によって包囲されている場合は、良好なカプセル封入と、ソーラーセルと障壁層との良好な接触とが保証される。塑性加工された凹部は従って、シーリング縁および引張応力保護装置として作用し得る。
【0054】
さらに図9では、特に押し出し成形法において、凹部10がアンダーカット部13を有し得ることが明らかである。当該アンダーカット部はソーラーセルの装入後、隙間として作用し得る。押し出し成形法において製造された障壁層の前面側および背面側の縁のシールは、好ましくは接着、圧締めまたは溶接によって、5−15cmの長さの縁部材を用いて行われる。当該縁部材は障壁層と同じ幅および厚さおよび幾何形状と、同一の材料とを有している。
【0055】
図10は障壁層の断面を斜視的に示す図である。当該障壁層の凹部と、当該凹部から生じている突出部12はエンボス加工法によって製造されたものである。図10はさらに連結溝14を示しており、当該連結溝は二つの凹部を互いに連通させる。このような連結溝内に例えば電気的な接続のための手段が設けられ得、連結溝に沿って設けられている突出部を塑性加工することによって、例えば個々の凹部に設けられたソーラーセルを互いに接続する、電気的接続のための手段はカプセル封入され得る。図11は図10に示す障壁層の平面を示す図である。
【0056】
メンブレンがさらにカバー層8を有している場合、当該カバー層は、ソーラーセル3を障壁層の凹部10に装入した後に貼付され得る。当該貼付は例えばカレンダー加工、貼り合わせ加工、または真空積層法によって行われ得る。
【0057】
本発明が図に示されるとともに詳細に説明されている実施の形態に限定されないことは自明である。
【符号の説明】
【0058】
1 メンブレン
2 障壁層
3 ソーラーセル
4 ソーラーセルの側面
5 ソーラーセルの底面
6 ソーラーセルの上面
7 隙間
8 カバー層
9 電気的接続のための手段
10 凹部
11 接着層
12 突出部
13 アンダーカット部
14 連結溝
【図1)】

【図2)】

【図3)】

【図4)】

【図5)】

【図6)】

【図7)】

【図8)】

【図9)】

【図10)】

【図11)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
障壁層(2)と、少なくとも一つのソーラーセル(3)を有しているメンブレン(1)であって、当該少なくとも一つのソーラーセル(3)の側面(4)と底面(5)は前記障壁層(2)に包囲されている、メンブレン。
【請求項2】
前記ソーラーセル(3)の上面(6)の部分が付加的に前記障壁層に包囲されていることを特徴とする請求項1に記載のメンブレン(1)。
【請求項3】
前記ソーラーセル(3)の前記上面(6)の1−3%が前記障壁層に包囲されていることを特徴とする請求項2に記載のメンブレン(1)。
【請求項4】
前記ソーラーセル(3)の前記上面(6)が前記障壁層によって包囲されており、それによって前記ソーラーセル(3)の前記側面(4)および前記底面(5)が、前記ソーラーセル(3)の前記上面(6)にある液体に対して保護されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のメンブレン(1)。
【請求項5】
前記ソーラーセルの前記側面(4)のうちの一つまたは前記底面(5)と、前記障壁層(2)との間に、隙間(7)が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のメンブレン(1)。
【請求項6】
前記隙間(7)内に、電気的接続のための手段(9)が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のメンブレン(1)。
【請求項7】
前記ソーラーセル(3)の厚さが前記障壁層(2)の厚さの30−50%であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のメンブレン(1)。
【請求項8】
前記ソーラーセル(3)の前記上面(6)に付加的にカバー層(8)が貼付されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のメンブレン(1)。
【請求項9】
前記カバー層(8)の材料の透過率は、カバー層の厚さが0.1mmである場合に測定すると、300−1300nmのスペクトルにおいて85%より大きいことを特徴とする請求項8に記載のメンブレン(1)。
【請求項10】
前記障壁層(2)が熱可塑性コーティング、好ましくは熱可塑性のポリオレフィンまたはポリ塩化ビニル(PVC)から成る層、特にポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)から成る層を有していることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のメンブレン(1)。
【請求項11】
前記障壁層(2)は0.5−8mm、好ましくは1.5−5mm、特に1.2−2mmの厚さを有していることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のメンブレン(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の防水性のメンブレン(1)を製造するための方法であって、障壁層(2)の凹部(10)にソーラーセル(3)が装入されることを特徴とする方法。
【請求項13】
凹部(10)を有する前記障壁層(2)は、押出し成形法および/またはエンボス加工法で製造されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ソーラーセル(3)を前記障壁層(2)の前記凹部(10)に装入した後、当該ソーラーセルは前記障壁層と、特に当該障壁層の加熱および/または塑性加工によって、形状接続的に接合されることを特徴とする請求項12または13のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2013−519999(P2013−519999A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552379(P2012−552379)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051883
【国際公開番号】WO2011/098480
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】