説明

ソールプレート

ソールプレート(101)は、金属層(102)、非強磁性層(104)、及び、金属層(102)と非強磁性層(104)との間に挟まれた強磁性層(103)を有する。ソールプレート(101)は、誘導加熱ベースのコードレスアイロン(100)において使用される。アイロンが置かれて充電されるスタンド(108)において位置決めされる誘導コイル(109)からの電磁界は、非強磁性層(104)を超えて通過し得、効率的に強磁性層(103)を加熱する。アイロンプレートを形成する非強磁性層(104)は、効果的にコードレスのアイロン掛けを行なうための優れた蒸気処理性能に対して金属層(102)まで均等な熱を伝達することを確実なものとする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソールプレートに係り、より特には、誘導ベースの(induction−based)コードレスアイロンにおいて使用されるソールプレートに係る。
【背景技術】
【0002】
コードレスアイロンは、アイロンがアイロン掛け動作段階中にコードで電源まで接続されることなく、アイロン掛けすることを可能にする。
【0003】
かかるアイロンの大半は、内部加熱素子を有する。コードレスアイロンは、アイロン掛けが行なわれていない際にアイロンを置くスタンドに位置付けられる電磁誘導コイル(電磁インダクションコイル)によって、必要なエネルギを受ける。誘導コイルは、アイロンを加熱し、それによってアイロン掛けの次の動作段階に必要であるエネルギは、アイロンにおいて蓄積される。
【0004】
アイロンにおいて使用可能であるエネルギは、ソールプレートを加熱するよう使用される。またアイロンが蒸気を生成するよう設計される場合、最大蒸気速度は、アイロンにおいて保存され得るエネルギの量によって決められる。典型的には、約15−20gm/分である蒸気速度において、エネルギの半分は、アイロン掛け工程に対して必要とされ、他の半分は、蒸気を生成するよう必要とされる。電磁誘導加熱装置において効率的に加熱され得る金属は、強磁性金属である。通常、かかる金属は、熱伝導に優れていない。このため、非均一な熱分配がもたらされる。更には、鉄及びステンレススチール等である金属は、高比重量を有するため、コードレスアイロンは重く且つ使用が困難にされる。更には、かかる金属は、ダイカストされ得ず、このことがソールプレート全体に対するスチールの使用を制限する。
【0005】
JP01313100(特許文献1)は、誘導ベース(インダクションベース)のコードレスアイロンを記載する。強磁性層は、アルミニウム等である優れた熱伝導率を有する物質を有して作られる層に対して接合される。これらの層はいずれも、共にアイロンのソールプレートを形成する。アイロンのハウジングから外方に向き且つ衣類と接触する強磁性層はまた、アイロンのアイロン掛けプレートを形成する。強磁性材料がアイロン掛けプレートに対して使用される際、アイロン掛けプレートは、金属層に対する不適切な熱伝達により、非常に熱くなる。これは、アイロンが充電するようスタンドに置かれる際に、アイロンに対して供給されるべき電力を制御するよう温度が測定される、コードレスアイロンの側部である。この側部が非均一な熱伝達により大変熱くなる際、電力は遮断され、ソールプレートの上方部分はより冷たくなる。かかる場合、アイロンに蓄積されるエネルギは、蒸気を生成するよう十分ではないことがあり得る。更には、アイロン掛けプレートが大変熱くなる際、アイロン掛けされる衣服は、限度を超える温度により焦げ付いてしまう。
【特許文献1】JP01313100
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電磁誘導によって効率的に加熱され得、且つ効率的なコードレス性能に対して熱を保持し得るソールプレートを与える、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、独立請求項の特徴によって達成される。本発明の更なる改善及び望ましい実施例は、従属請求項において概説される。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、金属層、非強磁性層、及び、該金属層と非強磁性層との間に挟まれた強磁性層を有するソールプレートが与えられる。誘導コイルは通常、スタンドにおいて与えられ、アイロンが置かれる際にコードレスアイロンを加熱するよう使用される。強磁性層は確実に、誘導コイルに対して最も近くにされず、非強磁性層に先行される。即ち、非強磁性層は、強磁性層と誘導コイルとの間にある。アイロン掛けプレートを形成する非強磁性層は、効率的にコードレスアイロン掛けをするための優れた蒸気処理性能に対して金属層までの均等な熱伝達を確実なものとする。非強磁性層が加熱されないため、アイロンは、効率的に充電され得、ソールプレートは更なるアイロン掛けに対して確実に充分に熱くなるようにされる。アイロンに蓄積されるエネルギは、蒸気を生成するよう充分である。アイロン掛けプレートが大変熱くならないため、アイロンを掛けられるべき衣服は、過度の温度によって焦げ付くことはない。強磁性材料は、誘導加熱可能な材料であり得る。強磁性層は、リベット打ち及び/又はろう着によって、並びに/あるいは層の間において金属ベースの高熱伝導性ペーストを有する拡散接合によって、接合される。かかる選択的な処理段階は、異なる金属を接合する充分実績のある方法である。更には、金属充填接着剤は、高い熱伝導率及び優れた熱接触を接合部に与える。
【0009】
本発明の特定の一実施例によれば、金属層は、少なくとも900J/kgKである比熱、及び少なくとも150W/mKである熱伝導率を有する。金属層の比熱は、所定の温度における熱運搬容量を増大させる。熱伝導率は、均等な熱分配を可能にし、高温点を回避する。また、蒸気チャンバまでの効率的な熱伝達が可能にされ、蒸気の吐出を避ける。この観点から、金属用がアルミニウム又はマグネシウムを有する、ことは有利である。かかる金属は、優れた熱伝導率と、優れた処理特性を有する優れた比熱とを組み合わせる。
【0010】
本発明の他の実施例によれば、非強磁性層は、略1表皮深さ(not more than one skin depth)である深さを有し、強磁性層は、表皮深さの3倍の深さを有する。層の厚さは、表皮深さを用いて定義付けられる。
【0011】
表皮深さは、次の式、
【数1】

で算出され得る。式中、δはメートル単位での表皮深さであり、ρはマイクロオームメートル単位での層の抵抗率であり、fはHz単位でのコイルにおける電流の周波数であり、μはヘンリー/メートル単位での層の絶対透磁率である。
【0012】
非強磁性層及び強磁性層の厚さは、誘導コイルからの電磁界が非強磁性層を超え得且つ強磁性層を効率的に加熱し得るよう、選択される。誘導コイルからの電磁界は、空間的に上方向に延在する。最も高い誘導加熱効率は、電界(field)の大半が強磁性層を通過させられる際に得られる。しかしながら、非強磁性層が誘導コイルと強磁性層との間にあるため、電界は、強磁性層を加熱し得る前にこの層を貫通しなければならない。故に、非強磁性層は、電界を完全には含み得ない。即ち、該層は電界が通過し得るようにすべきであり、電界は、その厚さを超えて延在し、上方の強磁性層に到達し得る。続いて強磁性層は、電界を略完全に含む。即ち、該層は、加熱効率を最大限にするよう電界の大半を通過させるか、あるいは電界を捕捉する(capture the field)。そのため、非強磁性層は薄くなければならず、強磁性層は厚くなければならない。かかる厚さは、略完全な電界が効率的な誘導加熱に対して必要である強磁性層を通過する、ことを確実なものとする。
【0013】
強磁性層及び非強磁性層に対して選択される厚さはまた、電磁界が非強磁性層及び強磁性層まで、前のアイロン掛けサイクル中にかかる層によって損失されたエネルギを回復させる率において、熱を伝達する、ことを確実なものとする。例えば、アイロン掛けプレートを形成する非強磁性層は、衣類に対してエネルギを損失し得、蒸気発生器と接触する金属層は、蒸気生成の工程においてエネルギを損失し得る。
【0014】
本発明の更に他の実施例によれば、非強磁性層は、少なくとも0.4マイクロオームメートルである電気抵抗率、及び少なくとも1である比透磁率を有する。非強磁性層は望ましくは、典型的な周波数における電磁誘導による効率的な加熱が確実なものとされるよう、抵抗率及び比透磁率を有する。抵抗率がより高いほど、加熱効率はよりよくなる。非強磁性層の比透磁率は、望ましくは、基本的に非磁性であることを示す1である。非強磁性層はまた、アイロン掛けの動作段階に対して必要とされる熱を保持するべきである。セラミック又は高温プラスチックは、非金属であるため優れた熱絶縁体であり、非強磁性層として使用され得る。非強磁性層は、強磁性層の周囲にシートを強制的に巻き付けることによって強磁性層に対して接合される。リベット打ち等である他の機械的方法も使用され得る。絶縁ペースト又は低熱伝導性ペーストは、強磁性層と非強磁性層との間に位置付けられ、ソールプレートの保温性を高める。シリコンベース又はエポキシベースのペーストは、絶縁ペーストとして使用される。
【0015】
更に他の実施例によれば、強磁性層及び非強磁性層は、クラッド金属のシートにおいて有される。ソールプレートは、リベット打ち及び/又はろう着によって、並びに/あるいはシートと層との間において金属ベースの高熱伝導性ペーストを有する拡散接合によって、市販されているクラッド金属のシートを金属層に対して接合して作られる。クラッド金属は、容易に入手可能である誘導最適化された市販のクラッド金属である。
【0016】
更に他の一実施例によれば、クラッド金属は、2つのアルミニウム層の間に挟まれる。上方のアルミニウム層は、金属層と優れた一体的接着を可能とする。これは、同様の材料の凝集力によるものであり、また同程度の熱膨張計数によるものでもある。衣類に向かって面する下方アルミニウム層は、非常に薄い層であり、その厚さはミクロンのオーダである。該層は、大変薄いため、金属層への熱伝達又はソールプレートの保温特性のいずれにも影響を及さない。
【0017】
更に他の実施例によれば、アイロンの動作段階中に衣類と接触する下方のアルミニウム層は、装飾的コーティングを与えられる。このアルミニウム層は、装飾コーティングの適用を可能にする。
【0018】
特定の一実施例によれば、装飾的コーティングは、PTFE又はゾルゲル層である。薄いアルミニウム層の上方のこのコーティングは、衣類にわたってアイロンが滑るようにされ得、アイロンの外観を向上させる。
【0019】
他の実施例によれば、金属ベースの熱伝導性ペーストは、金属層と強磁性層との間に位置付けられる。このペーストは、強磁性層が金属層との大変優れた接触を有する、ことを確実なものとする。
【0020】
他の実施例によれば、絶縁ペーストは、強磁性層と非強磁性層との間に位置付けられる。熱の不良伝導体であるかかるペーストは、熱損失を低減させ、ソールプレートの保温性を高める。絶縁ペーストがシリコンベース又はエポキシベースのペーストを有する、ことは有利である。
【0021】
更なる一実施例において、本発明に従ったソールプレートは、コードレスアイロンにおいて有される。
【0022】
更に他の一実施例において、コードレスアイロンは、蒸気の生成を制御するよう制御手段を備えられる。エネルギがコードレスアイロンにおいて大変重要であるため、蒸気は、アイロンが充電するようスタンドに戻される際には生成され得ない。これは、蒸気処理の機能が要求にのみ応じるものであること、あるいはアイロンの動作に基づくものであること、を示す。これは、アイロンがスタンドにある間蒸気生成によるエネルギの損失がなく、スタンドに有る間のアイロンの充電は効率的である。蒸気は、ユーザが蒸気トリガボタンを押し下げる際にのみ生成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
多種の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の説明から明確に理解される。
【0024】
図面を参照し、コードレスアイロンの実施例がこれより説明される。
【0025】
図1において図示されるのは、複数の層を有して作られるソールプレート101を有するコードレスアイロン100である。金属層は参照符号102、非強磁性層は104、金属層102と非強磁性層104との間に挟まれる誘導加熱可能な強磁性層は103で示される。金属ベースの高熱伝導性ペースト105は、金属層102と強磁性層103との間に位置付けられる。絶縁ペースト106は、強磁性層103と非強磁性層104との間に位置付けられる。アイロンはまた、蒸気トリガ107を備えられる。図1はまた、誘導コイル109を有するスタンド108を示す。
【0026】
本発明の一実施例によれば、ソールプレート101は、高比熱で高熱伝導性の金属層102と高抵抗性の非強磁性層104との間において強磁性層103を挟むことによって作られる。強磁性材料は、SS430等である適切なグレードのステンレススチール等である誘導加熱可能の材料であり得る。使用される金属層102は、少なくとも900Jkg/Kである比熱及び少なくとも150W/mKである熱伝導率を有する材料を有して作られる。より低い熱伝導率を有する金属層は、横方向における均等な熱分配を妨げ、それによって高温点がもたらされる。該層はまた、蒸気チャンバに対する熱伝達を妨げ、粗悪な蒸気生成又は蒸気吐出(スピッティング)を引き起こす。金属層の低い比熱は、所定の温度において熱運搬容量を大幅に低減させる。アルミニウム及びマグネシウムは、高熱伝導率及び高比熱を有する金属であり、金属層として使用され得る。更には、かかる金属は、ダイカスト等である大量生産をより容易にする。強磁性層103は、リベット打ち及び/又はろう着によって、並びに/あるいは層の間において金属ベースの高熱伝導性ペースト105を有する拡散接合によって、接合される。このペーストは、強磁性層103が金属層102と大変優れた熱接触を有する、ことを確実なものとする。AREMCO社からのPyro−Duct(登録商標)597−A及び597−C、又はPyro−Duct(登録商標)598−A及び598−Cは、かかるペーストの複数の例である。これらは、1000−1700°Fの温度範囲における接着剤又はコーティングとして使用される電気的及び熱的に導電性である銀充填又はニッケル充填ペーストである。
【0027】
非強磁性層104は望ましくは、少なくとも0.4マイクロオームメートルである抵抗率、及び少なくとも1である比透磁率を有する。この抵抗率の値は、典型的な周波数における電磁誘導による効率的な加熱を確実なものとする。SS304等であるオーステナイトスチール、又はチタン、又は高温プラスチック、及びセラミックは、非強磁性層を作るよう使用される。非強磁性層104は、強磁性層の周囲全てにシートを強制的に巻き付けることによって、強磁性層103に対して接合される。リベット打ち等である他の機械的方法も使用され得る。絶縁ペースト又は低熱伝導性ペースト106は、強磁性層と非強磁性層との間において位置付けられる。シリコンベース又はエポキシベースのペーストは、絶縁ペーストとして使用される。Durapot(登録商標)866は、熱的及び電気的に絶縁する合成物であり、絶縁ペーストの一例である。かかるペーストは、ソールプレートの保温性を高める。
【0028】
誘導コイル109は、通常スタンド108において与えられ、アイロンが静置される際にコードレスアイロンを加熱するよう使用される。非強磁性層104は、強磁性層103と誘導コイル109との間にある。言い換えれば、非強磁性層104は、最も下方の層を形成し、誘導コイル109と接触する。また、該層は、アイロン掛けプレートを形成する。これによって、優れた蒸気処理性能及びより優れた保温性に関して、金属層102へのより優れた熱伝達が可能となる。セラミック又は高温プラスチックは、非金属であるため優れた熱絶縁体であり、上述された通り非強磁性層として使用され得る。保温性は更に、強磁性層と非強磁性層との間において絶縁ペーストを位置付けることによって改善され得る。
【0029】
強磁性層の厚さは、電界全体を捕捉する(capture the full field)よう、3表皮深さより大きくなければならない。非強磁性層は、電界貫通を可能とするよう、設計周波数(design frequency)において1表皮深さより薄くなければならない。
【0030】
図2は、ソールプレート201を有するコードレスアイロンを示す。ソールプレートは、複数の層を有して作られる。金属層は参照符号202、クラッド金属シートは参照符号203として図示される。クラッド金属シートは、強磁性層204及び非強磁性層205を有する。金属ベースの高熱伝導性ペースト206は、金属層202とクラッド金属シート203との間に配置される。蒸気トリガ207は、コードレスアイロン200上に与えられる。
【0031】
他の実施例によれば、ソールプレート201は、リベット打ち及び/又はろう着によって、並びに/あるいはシートと層との間において金属ベースの高熱伝導性ペースト206を有する拡散接合によって、接合される。クラッド金属203は、ALCOR(登録商標)7Ply等である容易に入手可能な、誘導最適化された市販のクラッド金属である。該金属は、非強磁性材料の耐性及び外観を強磁性材料に組み合わせる。ALCOR(登録商標)7は、誘導ベースの加熱に適切である特性の組合せを提供する。ALCOR(登録商標)7の磁性又は誘導特性は、この非強磁性の外層の下方における特別な強磁性層から得られる。
【0032】
図3は、ソールプレート301を有するコードレスアイロン300を示す。ソールプレートは複数の層を有して作られる。金属層は参照符号302、クラッド金属シートは参照符号305、として図示される。クラッド金属シート303は、アルミニウム層304、強磁性層305、非強磁性層306、及びPTFEのコーティング又はゾルゲル層308を可能にする非常に薄いアルミニウム層307を有する。金属ベースの高熱伝導性ペースト309は、金属層とクラッド金属のシートとの間に置かれる。蒸気トリガ310は、アイロン上に与えられる。
【0033】
更なる一実施例によれば、ソールプレート301は、リベット打ち及び/又はろう着によって、並びに/あるいはシートと層との間において金属ベースの高熱伝導性ペースト309を有する拡散接合によって、クラッド金属シート303を金属層302に対して接合することによって作られる。この実施例において、第2の実施例において記載されたクラッド金属シートALCOR(登録商標)7は、2つのアルミニウム層間に挟まれる。金属層に対面するアルミニウム層304は、同様の材料の凝集力によるものであり、また同程度の熱膨張計数により、優れた一体的接着を可能にする。衣類に対面する非常に薄いアルミニウム層307は、PTFEのコーティング又はゾルゲル層308がその上方に適用され得るようにし、滑り及び外観の特性が得られる。
【0034】
図4は、コードレスアイロン401及びスタンド403を有するアイロンシステムを示す。コードレスアイロン401は、上述された図面のいずれかにおいて示されるソールプレート402を有する。アイロンは、水タンク404を有する。スタンド403は、誘導コイル405、水貯蔵タンク406、及び補給ボタン407を備えられる。
【0035】
水貯蔵タンク406は、スタンド403において与えられ得、アイロン401内部のより小さなタンク404は、補給ボタン407を使用して補給され得る。これは、手動又は自動の水供給システムであり得る。
【0036】
更には、コードレスアイロンにおいてエネルギが大変重要であるため、蒸気機能は、アイロンが充電のためにスタンドに戻される際にはスイッチをオフにされ得る。これは、蒸気処理の機能が、要求にのみ応じるものであること、又はアイロンの動作に基づくものであること、を意味する。これは、アイロンがスタンドにある間の蒸気生成によるエネルギの損失がないこと、スタンドにある間のアイロンの充電が効率的であること、を確実なものとする。蒸気は、選択された実施例に依存してアイロン上に与えられる蒸気トリガボタン107又は207又は310をユーザが押し下げる際にのみ、生成される。蒸気生成は、配水ポイントの機械的制御、又は脱気穴の機械的制御によって、あるいは電気ハンドセンサと組み合わされた電気的制御(例えばポンプを有して使用される)によって、達成される。電気ハンドセンサは、アイロンハンドル上の手を感知し、ポンピングを開始するようポンプをトリガする。
【0037】
コードレスアイロンの性能は、ソールプレートの増大する重量を有して向上する。しかしながら、大変重いアイロンは、ユーザにとって不便である。800−1000gの範囲の重量を有するソールプレートは、スタンドから離れてのより長い自発性(autonomy)を可能にするため、理想的である。
【0038】
誘導コイルの出力は、望ましくは高くあるべきであり、エネルギは、短い充電サイクルにおいて誘導コイルからアイロンまで効率的に伝達され、ソールプレートの温度は、長期にわたるアイロンの自発性に対して回復される。誘導コイルの出力は、1000−3000Wの範囲であり得る。
【0039】
上述の実施例において記載されたソールプレートは、誘導ベースの加熱を使用するいかなる機器においても使用され得る。ソールプレートは、蒸気生成機能を有するアイロン又は該機能を有さないアイロンにおいて使用され、コード付きアイロンにおいても使用され得る。また、ソールプレートは、蒸気がアイロンと蒸気を生成するボイラーシステムとを接続するホースを介してアイロンまで供給されるシステムアイロンに対して適用可能であるが、ソールプレートは、スタンドに置かれる際に誘導コイルによって加熱される。
【0040】
上述されたもの以外の同様のもの及び修正はまた、添付の請求項において定義付けられる本発明の範囲から逸脱することなく用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】コードレスアイロンにおいて使用される、本発明に従ったソールプレートの第1の実施例を図示する。
【図2】コードレスアイロンにおいて使用される、本発明に従ったソールプレートの第2の実施例を図示する。
【図3】コードレスアイロンにおいて使用される、本発明に従ったソールプレートの第3の実施例を図示する。
【図4】コードレスアイロン、水補充装置、及び誘導コイルを有するベース部を有する、アイロンシステムを図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソールプレートであって、
金属層と、
非強磁性層と、
前記金属層と前記非強磁性層との間に挟まれた、強磁性層と、
を有するソールプレート。
【請求項2】
前記金属層は、少なくとも900J/kgKである比熱と、少なくとも150W/mKである熱伝導率とを有する、
請求項1記載のソールプレート。
【請求項3】
前記非強磁性層は、略1表皮深さである厚さを有し、前記強磁性層は、表皮深さの少なくとも3倍の深さを有する、
請求項1記載のソールプレート。
【請求項4】
前記非強磁性層は、少なくとも0.4マイクロオームメートルである電気抵抗と、少なくとも1である比透磁率とを有する、
請求項1記載のソールプレート。
【請求項5】
前記強磁性層及び前記非強磁性層は、クラッド金属シートにおいて有される、
請求項1記載のソールプレート。
【請求項6】
前記クラッド金属は、2つのアルミニウム層の間に挟まれる、
請求項5記載のソールプレート。
【請求項7】
前記アルミニウム層のうち一方は、アイロン掛けの動作段階中に衣類と接触し、装飾的なコーティングを与えられる、
請求項6記載のソールプレート。
【請求項8】
前記装飾的コーティングは、PTFE又はゾルゲルである、
請求項7記載のソールプレート。
【請求項9】
金属ベースである熱伝導性ペーストは、前記金属層と前記強磁性層との間に位置付けられる、
請求項1記載のソールプレート。
【請求項10】
前記金属ベースペーストは、金属を充填されたエポキシベースのペーストである、
請求項9記載のソールプレート。
【請求項11】
絶縁ペーストは、前記強磁性層と前記非強磁性層との間に位置付けられる、
請求項1記載のソールプレート。
【請求項12】
前記絶縁ペーストは、シリコンベース又はエポキシベースのペーストである、
請求項11記載のソールプレート。
【請求項13】
請求項1記載のソールプレートを有する、コードレスアイロン。
【請求項14】
制御手段は、蒸気生成を制御するよう与えられる、
請求項13記載のコードレスアイロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−537209(P2009−537209A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510606(P2009−510606)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051870
【国際公開番号】WO2007/135631
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】