説明

ゾル−ゲル法

大きいガラスモノリスを製造するためのゾル−ゲル法であって、この際、テトラアルコキシシランを熱分解法で製造されたシリカの分散液に添加し、かつSiO:TEOS比は2.6〜5.5:1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスモノリス製造のためのゾル−ゲル法に関する。
【0002】
ゾル−ゲル法は、多数の文献及び特許明細書中に報告されており、例えば"Journal of Non-Crystalline Solids",Vol.37,No.191 (1980)中にNogami et. al.,によって、"Journal of Non-Crystalline Solids" Vol.47 No.435 ( 1982)中にRavinorich et.al.によって、かつAngewandte Chemie 1998, 37, 22中にHuessing and Schubertによって記載されている。
【0003】
ゾル−ゲル技術に関して常に報告されている大きい利点は、この技術で高融点ガラスが比較的低い温度で合成できることである。一般に、1300℃を下回る温度が使用できる。従ってゾル−ゲルによるシリカガラス製造は、必要エネルギーが低いので、慣用法での製造よりも廉価にできた。しかしながら、シリカガラスがゾル−ゲルで製造される場合には、混在物及び欠陥がより頻繁に検出されうる。これらの混在物及び欠陥には次のものが包含される:
1)無機物、例えば材料及ゾル溶液中に混入されるダスト;
2)有機混在物の完全燃焼により形成される欠陥;
3)ゲル化の時点に生じるか又は焼結工程の間に形成される微小亀裂;
4)焼結又はゲル化工程の間に生じる気泡;
5)焼結工程の間に形成されるシリカ結晶。
【0004】
シリカ含有ゾルのpHを調節し、かつホルムアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−トリクロロアセタミド、N−(2−ヒドロキシエチル)トリフルオロニトリル、酢酸メチル及び特に炭酸プロピルから選択されるゲル化剤を添加することによって、少なくとも1kgの亀裂のないシリカ体を作成することは公知である(US 6209357)。
【0005】
更に、亀裂不含のモノリスの製造を良好にコントロールするための処方を調整することも公知であり、ここでは、特別に調整されたゲル微小構造を得ることが提案されており、この微小構造は、アルコール希釈剤(例えばエタノール)及び/又は1種以上の触媒(例えばHCl及びHF)の相対的濃度の調節によって提供されている(US 5264197)。
【0006】
更に、シリカゾルと粒径1〜10μを有するシリカとの混合(この際、シリカゾル/シリカ粉末比は1.2〜2.3である)によって、高収率で気泡不含のシリカガラスを製造することは公知である。得られたこのガラスは、高い粒子寸法の故に、認容しうる透明性を有しない(JP 2005255495A)。
【0007】
WO 01/53225(Yazaki)は、合成シリカガラス物品を製造するためのゾル−ゲル法を記載しており、ここでは、34〜40%もの高いシリカ負荷率を有するゾルが形成されている。
【0008】
この高い負荷率は、シリコンアルコキシド溶液中に水性コロイドシリカ懸濁液を導入し、かつこの混合物を一緒にゆっくり撹拌することによって達成されている。
【0009】
この例によれば、TEOSがシリカ/水ペーストに添加され、この際、SiO:TEOS比は0.4:1から5.0:1まで変動した。しかしながら、この比は、適切性を外れている、それというのも、その実施例4及び5(これらはSiO:TEOS比5.0又は0.4を示している)によれば、1:20より小さいか又は1:4より大きいTEOS:HOモル比が、所望の中程度の粒径に有害な作用を有するので、結果は失敗しているからである。
【0010】
このSiO:TEOSモル比は、YazakiのWO01/53225によれば適切である。
【0011】
更に、実施例1〜7中ではゾルのpH−値を変化えるために塩基が用いられていない。実施例8は、塩基アンモニア水を用いているが、SiO:TEOS比は1:1である。
【0012】
WO 02/074704A1(Yazaki)は、ゾル−ゲル法でシリカ製品を製造する方法を記載しており、この方法は次の工程から成っている:ヒュームドシリカ、水及び酸を混合してペーストを形成し、このペースト中にアルコキシシランを混入して液体を形成させ、塩基を添加し、このゾルをゲル化してゲルを形成させ、このゲルを臨界状態を下回っての乾燥法を用いて乾燥させて乾燥ゲルを形成させ、この乾燥ゲルを塩素ガス含有雰囲気中で加熱し、かつこの乾燥ゲルを塩素不含ガス中で加熱し、かつこのゲルを加熱してガラスを形成させる。
【0013】
この例によれば、SiO:TEOS比は、2.4:1及び2.0:1の値であると計算できる。
【0014】
EP 1700830A1は、次の工程からなる逆ゾル−ゲル法を用いる、モノリス、殊にガラスの製造法を記載している:
a)熱分解法で製造された金属及び/又はメタロイドの酸化物の分散により、水性又は水含有分散液を形成させ;
b)場合により添加の前に水によって加水分解されているこの分散液に、シリコンアルコキシドを添加する;
c)成分を混合して均一なコロイドゾルを形成させる:
d)場合により、このコロイドゾルから粗大内容物を除去する;
e)このコロイドゾルを型中でゲル化させる;
f)エーロゲル中に含まれている水を有機溶媒で置換する;
g)このエーロゲルを乾燥させる;
h)乾燥ゲルを熱処理する。
【0015】
このEP 1700830の実施例によれば、出発混合物は、2.0のSiO:TEOS比を有している。
【0016】
残念ながらこれらの全ての文献は、ゾル−ゲル法がかなり大きい寸法を有する目的物を製造するために使用される場合に確かな解決を提供していない。従って、大きい寸法を有するガラスモノリスを製造する問題はなお残ったままである。
【0017】
本発明の課題は、次の工程を特徴とする、ガラスモノリスを製造するためのゾル−ゲル法である:
− 熱分解法で製造されたシリカを、水に酸性pHで添加する;
− この分散されたシリカにシリコンアルコキシドを添加する、この際、シリカ/シリコンアルコキシドモル比は2.6〜5.5:1、有利には2.6〜4.95:1、殊に有利には3.8〜4.9:1である;
− pHを調節する;
− ゾル溶液を容器中に入れる;
− ゾルをゲル化して、湿潤ゲルにする;
− この湿潤ゲルを乾燥させる;
− この乾燥ゲルを焼結させてガラス物品を生じさせる。
【0018】
この発明は、亀裂不含で、ある場合にはエーロゲルとして長さ130cmを越えかつ直径16cm(円筒)及びガラスとして長さ70cmの寸法を有する、ゾル−ゲルベースのシリカ−含有の大きいモノリスに関する。このモノリスは亀裂がなく、190〜200nmでの満足しうる透過率を示す。
【0019】
大きく、ネット近似形の、亀裂不含のシリカ体を有している生成物の高収率製造は、水中のコロイドシリカのゾルからの注型によって具現化することができ、意図されている種類の共通の特色は、亀裂を有せず、代わりに、改良された収率及び低いコストの結果をもたらすことである。加えて、本発明の方法は、短い製造時間を得ることを可能とする。
【0020】
本発明によれば、改善されたゾル−ゲル法によって、少なくとも1kgのシリカ体を製造することが可能である。溶解されたシリカ少なくとも500ppmを有するシリカ分散液を製造し、この分散液のゲル化を誘発させ、かつこの分散液を乾燥させることによって、このゾル−ゲル体を形成させると、この物体は、乾燥時に迅速に最終強度を増し、例えば10質量%水損失で、湿潤ゲル強度を上まわる50倍の増加を示す。
【0021】
このゾル組成物の調製は、次に記載されるような方法で行われる:
A)熱分解法で製造された二酸化珪素を水又は水含有溶媒中に分散させて、水性又は水含有分散液を形成させる;
B)1.5〜3.0又は1.9〜3.0又は2±0.5、有利には2.0〜2.5のpH−値に達するように酸を添加する;
C)前記のようなSiO:TEOSの比で、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を添加する;
D)このゾルを、水酸化アンモニウムを用いてpH4.2〜5.5、好ましくは4.5〜5.0まで滴定する;
E)こうして得られたゾルを型中に注入し、ここで、ゲル化を起こさせる;
F)ゲル細孔中の溶媒を、非プロトン性溶媒で置換する;
G)加圧室中でゲル化させる;
H)この加圧室中に不活性ガスフラキシングをする;
I)加圧室を、プログラムされた時間に渡り予定温度に達するまで、かつゲル溶媒の適切な限界値より低い圧力値に達するまで、かつその蒸発に達するまで、加熱する;
J)この加圧室を不活性ガスで洗浄することにより圧力降下させる;
K)乾燥されたゲルを冷却し、かつ加圧室からそれを排出させる;
L)乾燥されたゲルを、予め決められた温度での加熱によりシンセライズして、亀裂のないガラス質体を形成させる。
【0022】
最後の操作は、中の温度が第1工程でゆっくり900℃まで上昇される炉内で、O含有雰囲気中で行われる(か焼相)。この操作の後に又はこの間に、炉に塩素及び/又は塩素発生装置を供給する。この操作は、材料を純化し、処理された材料からのヒドロキシル基の除去を目的としている。この処理は、1000〜1250℃の温度で実施される。この相の後に温度を、不活性雰囲気下で実施されるガラス化相に達するために、1600℃まで高める。この処理の時間は、数分から数時間の間であることができる。
【0023】
操作A−Dは、容器から容器への溶液移動を避けるために、単一バッチ中で実施することができる。実際にここでは、分離された容器中でのSiOの前混合物を製造する必要がなく、かつ加水分解の間に生じるエタノールをUS6852300中に記載されているようなロータベーパー(Rotavapor)によって除去する必要がない。
【0024】
Aにおける分散液の製造は、公知方法で、熱分解法で製造された紛状二酸化珪素を分散媒、例えば水中に分散させ、かつこの混合物を適当な装置を用いて機械的に処理することによって実施することができる。
【0025】
好適な装置は:ウルトラ−トウラックス、湿式ジェットミル、ナノマイザー等である。
【0026】
分散液/ペーストの固体含有率は5〜80質量%であることができる。
【0027】
この分散液及び/又はペーストは、塩基、例えば、NHOH又は有機アミン又は4級アンモニウム化合物を含有することができる。
【0028】
熱分解法で製造されたシリカを、顆粒の形でこの加水分解生成物に添加することができる。特にDE19601415A1による二酸化珪素をベースとする顆粒を使用することができる。これら顆粒は、次の特徴的なデータを有する:
平均粒径: 25〜120μm
BET表面積: 40〜400m/g
細孔容積: 0.5〜2.5ml/g
細孔分布: 細孔なし<5nm
pH: 3.6〜8.5
突固め密度: 220〜700g/l 。
【0029】
これらは、熱分解法で製造された二酸化珪素を水中に分散させ、この分散液をスプレー乾燥させることによって製造されている。
【0030】
取り扱いを容易にすることに加えて、顆粒の使用は、低い包含空気量及びそれ故のより少ない気泡をゾル中へ導入し、その結果ゲル中へも導入する利点を有する。
【0031】
高い二酸化珪素濃度は、更に顆粒の使用によって達成することができる。結果として、収縮率は低く、かつ大きいガラス成分を、同じ設備を用いて製造することができる。
【0032】
熱分解法で製造されたシリカ(これは、加水分解生成物と一緒に導入される)の量は、20〜40質量%の程度のできるだけ高さであってよい。
【0033】
ガラスの製造の間の収縮率は、本発明によって製造されるべきゾル中の熱分解法により製造されたシリカの含分によって調節することができる。
【0034】
本発明によれば、有利に0.45〜0.55の収縮率を達成することができる。
【0035】
第1表による酸化物を、熱分解法で製造されたシリカとして使用することができる:
【表1】

1) DIN 66131に従う、
2) DIN ISO 787/XI、JIS K 5101/18に従う(非篩別)
3) DIN ISO 787/XI、ASTM D 1208、JIS K5101
/23 に従う、
4) DIN 55921、ASTM D 1208、JIS K 5101/23に従
う、
5) DIN ISO 787/IX、ASTM D 1208、JIS K 5101
/24に従う、
6) DIN ISO 787/XVIII、JIS K 5101/20に従う、
7) 105℃で2時間乾燥された物質に対する、
8) 1000℃で2時間強熱された物質に対する、
9) 水分に対する特別パッケージング保護、
10)HCl含分は、強熱時の損失の成分である。
【0036】
本発明の有利な形では、熱分解法で製造された二酸化珪素エーロジルOX50(これは同様に第1表中に挙げられている)を使用することができる。特に高いUV透過率が必要でない場合には、熱分解法で製造された二酸化珪素エーロジルOX50を使用することができる。
【0037】
更に、次の物理−化学的特性を有する、熱分解法で製造された二酸化珪素(これは、EP1182168A1により公知である)を、熱分解法で製造された金属及び/又はメタロィドの酸化物として使用することができる:
1.平均粒度(D50値) D50≧150nmを上回る
(動的光散乱、30質量%)
2.粘度(5rpm、30質量%) η≦100m.Pas
【数1】

4.BET表面積 30〜60m/g
5.突固め密度 TD=100〜160g/l
6.当初のpH≦4.5 。
【0038】
これらの物理−化学的特性は、次の測定法を用いて測定されている:
粒度
測定法:光子相関分光法(PCS)は、動的散乱光法であり、この方法で、約5nm〜5μmの範囲内の粒子を検出することができる。平均粒径に加えて、粒度分布も測定結果として計算することができる。
【0039】
光源: 650nmダイオードレーザー
形状180°ホモダイン散乱
サンプルの量: 2ml
ミー理論に従う分布の計算
手順:分散液(30モル%)2mlを、メスキュベット中に入れ、温度センサを挿入し、測定を開始する。この測定を室温で行う。
【0040】
粘度
測定法:標準回転スピンドルを備えている複合流特性を分析するためにプログラム可能なレオメータを利用できる。
【0041】
剪断速度: 5〜100rpm
測定温度: 室温(23℃)
分散液濃度: 30モル% 。
【0042】
手順:分散液500mlを600mlガラスビーカー中に導入し、室温で(試料測定を介する温度の統計的記録)、種々の剪断速度で分析する。
【0043】
BET: DIN 66131に従がう
突固め密度:DIN ISO 787/XI、K5101/18(非篩別)に従う
pH: DIN ISO 787/IX、ASTM D1280、JIS K510
1/24に従う。
【0044】
本発明により使用できる熱分解法で製造された二酸化珪素は、揮発性珪素化合物、例えば四塩化珪素又はトリクロロメチルシランを酸素含有ガス及び水素と共に混合し、かつこのガス混合物を炎内で燃焼させることによって製造することができる。
【0045】
本発明により使用できる熱分解法で製造された二酸化珪素は、本発明によるゾル−ゲル法で、水性及び/又は非水性溶媒中の分散液の形で有利に使用することができる。高いUV透過率を有しているガラスが製造されるべき場合に、これが有利に使用されうる。
【0046】
更に、ガラスの特別高い純度が要求される場合には、9ppmを下回る金属含分を特徴としている高純度の熱分解法で製造された二酸化珪素を、金属及び/又はメタロイドの酸化物として使用することができる。これは、ドイツ特許出願DE10342828.3(030103FH)中に記載されている。
【0047】
本発明の有利な1態様では、熱分解法で製造された高純度の二酸化珪素は、次の金属の含有率で特徴付けることができる:
【表2】

【0048】
従って、全金属含分は、3252ppb(〜3.2ppm)又はそれを下回ることができる。
【0049】
本発明のもう一つの有利な態様で、熱分解法で製造された高純度の二酸化珪素は、次の金属含分で特徴付けることができる:
【表3】

【0050】
従って、全金属含分は、1033ppb(〜1.33ppm)又はそれを下回ることができる。
【0051】
本発明によって使用されうる熱分解法で製造された高純度の二酸化珪素の製造は、四塩化珪素を、炎内での高熱加水分解を用いる自体公知の方法により、かつここで30ppbを下まわる金属含分を有する四塩化珪素を用いて二酸化珪素に変換することによって実施することができる。
【0052】
本発明の有利な1態様では、四塩化珪素に加えて次の金属含分を有している四塩化珪素を使用することができる:
Al 1 ppb を下回る
B 3 ppb を下回る
Ca 5 ppb を下回る
Co 0.1ppb を下回る
Cr 0.2ppb を下回る
Cu 0.1ppb を下回る
Fe 0.5ppb を下回る
K 1 ppb を下回る
Mg 1 ppb を下回る
Mn 0.1ppb を下回る
Mo 0.2ppb を下回る
Na 1 ppb を下回る
Ni 0.2ppb を下回る
Ti 0.5ppb を下回る
Zn 1 ppb を下回る
Zr 0.5ppb を下回る 。
【0053】
低い金属含有率を有する四塩化珪素は、DE10030251に従って又はDE10030252に従って製造することができる。
【0054】
水素と酸素との混合物と反応される四塩化珪素から出発する熱分解法二酸化珪素を製造するための主な方法は、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie,4th edition ,Volume 21,page 464 et seq,(1982) から公知である。
【0055】
本発明による二酸化珪素の金属含有率は、ppm範囲及びこれを下回っている(ppb範囲)。
【0056】
本発明によって使用できる、熱分解法で製造された二酸化珪素は、優れた光学特性を有する特殊ガラスの製造のために優れて好適である。本発明による二酸化珪素を用いて製造されたガラスは、低いUV領域で特に低い吸収性を有している。
【0057】
本発明によって使用できる、熱分解法で製造された二酸化珪素は、例えば第1表に記載の組成を有しているSiCl500kg/hを約90℃で蒸気化し、かつこれを公知構造のバーナーの中心管中に移行させることによって製造することができる。付加的に、この管中に、水素190Nm/h及び酸素含有率35容量%を有している空気326Nm/hを導入する。このガス混合物に点火し、かつ水冷バーナーの火炎管中で燃焼させる。ケーキングを避けるために、中心ジェットを包囲しているジャケットジェット中に、付加的に水素15Nm/hを導入する。通常、組成の空気250Nm/hを更に付加的に、この火炎管中に導入した。反応ガスが冷却した後に、熱分解法二酸化珪素粉末から、フィルター及び/又はサイクロンを用いて塩酸含有ガスを分離除去する。この熱分解法二酸化珪素粉末を、それから付着している塩化水素酸を除くために、脱酸装置中で水蒸気及び空気で処理する。
【0058】
金属含分が、第2表中に再現されている。
【0059】
【表4】

【0060】
【表5】

【0061】
WO2004/054929から公知の熱分解法で製造された二酸化珪素粉末は、次のデータ:
− BET表面積 30〜90m/g、
− DBP数 80以下、
− 平均凝集体面積 25000nmより小さい、
− 平均凝集体円周 1000nmを下回る、凝集体の少なくとも70%は1300
nmを下回る円周を有している
を有し、更に本発明により、熱分解法で製造された金属及び/又はメタロイドの酸化物として使用することができる。
【0062】
好ましい1実施態様によれば、BET表面積は35〜75m/gであることができる。40〜60m/gの値が特に有利である。BET表面積は、DIN66131に従って測定されている。
【0063】
有利な1実施態様では、DBP数は、60〜80であることができる。DBP吸収で、DBP測定装置の回転パドルの吸収力又はトルク(Nm)が、DBPの規定量に加えて、滴定に匹敵する方法で測定される。ここで、本発明により使用できる二酸化珪素に関して、DBPの特別な添加時の引き続く低下を伴い、鋭い明白な最大が結果として生じる。
【0064】
もう一つの有利な態様で、本発明により使用できる二酸化珪素粉末は、20000nmを越えない平均凝集体面積を有することができる。15000〜20000nmの平均凝集体面積が特別有利でありうる。この凝集体面積は、例えば、TEM像の画像分析により測定することができる。本発明の関係で、凝集体とは、融合されている類似の構造及び寸法の1次粒子を意味していると理解されるべきであり、その表面積は、個々の単離された1次粒子のそれの合計を下回っている。1次粒子とは、反応時に最初に形成され、一緒に成長して反応の更なる工程で凝集体を形成することのできる粒子を意味すると理解される。
【0065】
もう一つの有利な態様では、本発明により使用できる二酸化珪素粉末は、1000nmを下回る平均凝集体円周を有することができる。600〜1000nmの平均凝集体円周が特別有利である。この凝集体円周は、同様にTEM像の画像分析によって測定できる。
【0066】
凝集体の少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%が1300nmを下回る円周を有している態様が有利でありうる。
【0067】
有利な1態様で、本発明により使用できる二酸化珪素粉末は、水性分散液中で、90質量%までの充填度を想定することができる。20〜40質量%の範囲が特別有利でありうる。
【0068】
水性分散液中の最大充填度の測定は、更なる添加剤を用いずに、この粉末をディソルバーの使用によって少量ずつ水中に導入することによって実施される。この最大充填度は、増加された攪拌機出力の代わりに、更なる粉末がもはやこの分散液中に吸収されない場合に、即ち粉末が分散液の表面上に乾燥して残るか又は分散液が固体になるか又は分散液が塊を形成し始める時点に達成される。
【0069】
本発明により使用できる二酸化珪素粉末は、更に5回転/分の剪断速度で30質量%水性分散液に対して100mPasを下回る粘度を有することができる。特に有利な態様では、この粘度は50mPasを下回ることができる。
【0070】
本発明により使用できる二酸化珪素粉末のpHは、4%水性分散液中で測定されて、3.8〜5であることができる。
【0071】
本発明により使用できるに二酸化珪素粉末は、水性分散液の形で使用することができる。
【0072】
本発明により使用できる水性分散液は、5〜80質量%の二酸化珪素粉末の含有率を有することができる。20〜40質量%の二酸化珪素粉末の含有率を有する分散液が特別有利でありうる。この分散液は、比較的低い構造で高い安定性を有している。約30質量%の分散液は、非常に特別有利でありうる。
【0073】
有利な1態様で、本発明により使用できる二酸化珪素粉末30質量%を有している水性分散液は、50rpmの剪断速度で150mPasを下回る粘度を有することができる。80mPasを下回る範囲が特別有利でありうる。
【0074】
本発明により使用できる水性分散液は、有利に200nmを下回る二酸化珪素粉末の凝集体の平均粒度を有することができる。特別な用途のためには、150nmを下回る値が特別有利でありうる。
【0075】
本発明により使用できる分散液を、塩基又はカチオンポリマー又はアルミニウム塩又はカチオンポリマーとアルミニウム塩又は酸との混合物の添加によって安定化させることができる。
【0076】
使用できる塩基は、アンモニア、水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、1級、2級又は3級の有機アミンである。
【0077】
分散液へのシリコンアルコキシドの添加
テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラメチルシリケート(TMOS)、メチルトリエチルオルトシリケート(MTEOS)等の所望のシリコンアルコキシドがアルコキシドとして使用することができる。特に、TEOS(テトラエトキシシラン)を使用することができる。
【0078】
更なるアルコキシドは、ダイナシル40であってよい。
【0079】
場合による加水分解を、エトキシシランを希酸で処理することにより開始させることができ、加水分解生成物が形成される。
【0080】
アルコキシド又はダイナシル40の加水分解は、有利に21〜25℃及び1.5〜3のpHの範囲で実施されるが、これらの範囲は、約30リットルの量の加水分解反応が4時間以内に達成される条件まで広げることができ、ここでは、10ミクロンメッシュを詰まらせるのに充分大きいオリゴマーSiO凝集体を生じる副重縮合反応はない。TEOS/水モル比は、TEOSの場合には完全な加水分解反応をするか、又はダイナシル40の場合には、(ポリ)珪酸の最終形成を完結するために充分であるべきである。
【0081】
加水分解を引き起こすためにいくつかの酸を使用することができ:無機酸:HCl、HNO、HSO、HFが文献中に公知である。通常、強酸のpHは2である。
【0082】
有機酸は次のものである:クエン酸、マロン酸、蓚酸、コハク酸(この最後の酸の加水分解反応は、促進のために超音波の使用が必要である)。酒石酸も使用されたが、滴定の後に形成される塩は可溶性ではなく、結晶がゲル中に存在していた。更なる研究は、この困難を克服できることを示していた。他の有機酸の使用は除外されるべきではない。このような酸の使用の利点は、生じるゲルが不錆鋼の型から容易に離れることである。
【0083】
加水分解生成物は、フィルターを通過することができる。
【0084】
このフィルターは、1〜12マイクロメータ、好ましくは9〜11マイクロメータの孔直径を有することができる。加水分解の後に、形成されたアルコールを、減圧条件下に水溶液(加水分解生成物)から除去することができる。
【0085】
均一コロイドゾルを形成するための成分の混合
アルコキシド又は場合による加水分解生成物と熱分解法で製造された金属及び/又はメタロイドの酸化物との混合は、先ず酸化物懸濁液又は分散液を混合容器中に導入し、かつアルコキシド又は加水分解生成物を良好に撹拌しながら添加して、多すぎる凝集体を形成せず、有利には凝集体を全く形成しないので次の工程に進むことができるように、均一に分散された液体及び安定なコロイド懸濁液を得させることができる。
【0086】
酸化物へのアルコキシドの添加を実施する温度は、30℃、有利には10〜25℃の範囲内であることができる。
【0087】
混合装置は、ウルトラ−トウラックスタイプの装置であることが有利であり、その結果として、ゲル中の破壊は有利に減少される。
【0088】
コロイドゾルは、加水分解生成物と熱分解法で製造された金属及び/又はメタロイドの酸化物との混合によって得られる。加水分解物と熱分解法で製造された金属及び/又はメタロイドの酸化物との混合は、有利に、均一分散液又は均一ゾルが得られるように実施されるべきである。
【0089】
コロイドゾルからの粗大内容物の場合による除去
遠心分離が、次の目的のために場合により実施される:
− より均一なゲル化法及び次の工程のためにより良好な特徴を有しているゲルを生じさせることのできる、より均一なゾルを得る、
− ゾル中に存在する、ゲル中の不純物を高めさせうる粒子を分離する、
− 温度又はシリカ濃度又は他の理由、例えばこの方法の先行工程の間に起こる物理的又は化学的変動(緩慢な重縮合)により触発される局所的ゲル化により形成された凝集体を除去する。
【0090】
遠心分離時間及び遠心分離力場の条件は、15質量%より多い材料は除去されない、有利には5質量%より多くは除去されないようにすべきである。
【0091】
このコロイドゾルは、不所望の粗大粒子を含有することがあり得、これはガラス体中に不均一性をもたらすことができる。これらの不均一性は、特にガラスが光伝導繊維の製造のために使用されるべき場合にトラブルを起こさせる。
【0092】
コロイドゾルからの粗大含分の除去は、このコロイドゾルの遠心分離によって実施することができる。より大きい又は高い比重を有する粒子が、この遠心分離によって分離除去される。
【0093】
このコロイドゾルからの光学的繊維の製造のための素材板が形成されるべき場合には、この遠心分離工程は有利でありうる。
【0094】
アルコキシドの加水分解の後及び/又は熱分解法で製造された酸化物の添加の後に、アルコキシドの加水分解の間に形成されたアルコール、例えばエタノールを、この溶液又は混合物から蒸発除去することができる。
【0095】
エタノール蒸発は、この方法の残りの所望の特性、例えば迅速溶媒−置換性を有するゲルを生じるゲル化条件を達成するために行われる。この蒸発は、その間に重縮合反応が促進されないような方法で行われる。回転蒸発器中で行われる場合に、その真空は、この蒸発器が最早その上で作用できない帯域中に液体を運ぶことができるような沸騰を生じさせる程高くてはならず、かつ蒸発の目的のために実際的でない程小さくてはならない。最初の指示として、この蒸発は、溶液中のシリカの濃度が蒸発時に溶液中に自然に形成される詰まり物又は凝集体が形成されないように充分低く留まることを条件として、溶液中のアルコール(エタノール)濃度が10質量%を下回る時点まで行うことができる。詰まり物又はフレークの形で凝集体が形成される場合には、これらを濾過又は遠心分離により除去できることを条件として、更なる蒸発を実施することができる。
【0096】
生じるコロイドゾルの型中でのゲル化
ゲル化の始動は、温度を上昇させるか又はpHを高めることによって行うことができる。達成されるべき温度及びpHは、振動レオメータで測定されるこのゾル状ゲルの粘弾性応答関数の実部が、数分から20時間を超えない時間の間に、少なくとも10-2Paを下回る値から500Paを上回る、有利には10000Paを上回る値まで変化するように選択され、ここで、生じる試料はゲルであると考えることができる。
【0097】
コロイドゾルのゲル化は、pHのシフトにより開始させることができる。ここで、このpHは、塩基の添加によってシフトさせることができる。
【0098】
本発明の有利な1態様では、アンモニア水溶液をこのコロイドゾルに添加することができる。この添加は滴加により実施することができる。4.2〜5.5のpHに達する場合に、これを終了することができる。
【0099】
塩基を、コロイドゾル中の塩基の分散の局所的な不均一性が避けられるように、常に撹拌しながら添加することができる。この塩基の分散の不均一性は、局所的に激しすぎるゲル化の作用を有し、従ってゾル又はゲルの均一性を損なうことがありうる。従って、塩基の添加時のこの酸の局所的濃度が、局所的ゲル化を生じさせる程充分長くは続かないことが有利でありうる。
【0100】
本発明の有利な1態様では、塩基としてウロトロピン(ヘキサメチレンテトラミン)を使用することができる。この塩基の添加の間中、コロイドゾル中で25±1℃の温度を保持することができる。塩基の添加のこのパラメータが保持されると、数時間のゲル化相を確立することができる。このゲル化相は、型の外でのこのゾルの時期早尚の凝固を防止するために必要でありうる。
【0101】
塩基により誘発されるゲル化相の間に、このコロイドゾルを、モノリスの最終形状を決定する型中に導入することができる。
【0102】
この型の充填時間の間中、25±2℃の温度を保持することができる。更に充填は、気泡が形成されないように実施すべきである。
【0103】
型自体は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート又はポリ塩化ビニルから製造されていてよい。キセロゲルまでの乾燥が望ましい場合には、グラファイト、炭化珪素、炭化チタン、炭化タングステン及びこれらの混合物からなる群から選択される多孔質材料を使用することができる。更なる材料は、次のものであってもよい:種々のプラスチックス、ガラス、金属、繊維ガラス、コーテッド金属、セラミック及び木材。
【0104】
プラスチックは、次のものであってよい:ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、弗素含有プラスチック、例えばTEFLON(登録商標)及びシリコーンゴム。
【0105】
型の表面は平滑であるべきである。型がガラスから製造されている場合には、このガラス表面を処理剤、例えばアルコール又は長鎖有機酸で処理することが有利である。
【0106】
長鎖有機酸として、例えばウンデカノイック酸を使用することができる。
【0107】
これらの処理剤は、アセトン、エタノール又は他の証明されている薬剤と混合して希釈されていてもよい。
【0108】
生じるアクアゲル中に含有されている水の有機溶媒での場合による置換
水は高すぎる臨界点を有するので、ゲル化されるゾル中の水の置換が必要である。乾燥相の温度で、水は、錆保護鋼及びゾルのSiO構造に対して共に攻撃的でありうる。
【0109】
溶媒での水の置換の間に、この溶媒を置換法により添加することができ、この置換法は、ゾル/ゲル内部の水が、乾燥相中のゲルを損傷しないレベルまで完全に減少された時点に終了される。
【0110】
使用できる溶媒は、ケトン、アルコール、アセテート及びアルカンである。水と混和可能である溶媒を使用する場合が有利でありうる。アセトンが特に有利に使用されうる。
【0111】
エーロゲル中に含有されている水の有機溶媒での置換が、約4のpH値で実施される場合が有利でありうる。この方法により、なお完全に縮合されていないSiOオリゴマーの洗浄除去及びひど過ぎる収縮を妨げることができる。
【0112】
本発明の1態様を、水とアセトンとの混合物中のアセトンの低い濃度で開始させることができる。
【0113】
アセトンの含有率は30%を越えるべきではない。
【0114】
水とアセトンとの混合物の水含有率は、この置換法の間中、不意にゼロになる傾向を有すべきではない。しかしながら、退出するアセトン/水混合物の水含有率が約2%を下回ったら直ちに、この置換を無水アセトンを用いて継続することができる。
【0115】
アセトンで水を置換するための方法は、特有の容器中で実施することができる。一連の複数の容器を直列に配置して、水とアセトンとの混合物を連続的に結合された容器を通過させることも可能である。
【0116】
この操作法のもう一つの態様では、ゲル化を始動させるために使用されるゲル中と同じpH及び温度で、水の最初のフラックスを有することが有利である。次いで、洗浄水のpHをゆっくり7にする。この任意の処置は、ゲル中に取り込まれていた水から、塩(もし除かれない場合には、これは固化の間の核化中心の原因となり、結晶化を起こさせ、結果として生じる物質は均一性ではない)又は最終ガラス中の不純物の原因となりうる他の化合物を取り除くことである。
慣用の方法は、水をアセトン/水溶液(そのアセトン濃度を時間に伴い増加し続ける)で置換することで開始している。この溶媒置換を行う方法は、2群に分類することができる。これらの処置は、水の特別な濃縮が達成され、残りの期間の後にこれが著しく変化しない場合に停止する。
【0117】
実施することのできる置換には、いくつかの方法、即ち連続的フラックス又は充填−排出−処置がある。
【0118】
連続的フラックス
溶媒の連続的フラックスは、ゲルを洗浄する。このフラックスの速度は、形状及び寸法の関数である。フラックス中のアセトン濃度は時間に応じて増加する。通常は、多くの試料が直列に接続される。このフラックス値は、試料の寸法及び形と関連して選択される。基準は、このフラックスが、この処置を非実用的にするほど非常に長い時間を持続するほど小さくはないが、多くの溶媒を消費するほど早くなくすべきでもあることにある。実際の流れでは、数ml/hから開始して、フラックスが試料を"洗浄した"後に出口側の水濃度が増加している場合には、数十又は数百ml/hまで増加させることができる。温度は、溶媒中に過剰のガス形成を誘起させ、殊に細孔を形成するほど高くてはならず、かつ溶媒移行プロセスを緩慢化するほど低くてはならい。実際に、この温度範囲は、室温で開始する処置によって選択され、水濃度の変化の割合が一桁以上の大きさだけ低下する場合に、それを増加することによって至適化される。このことは、この方法の後者の工程で、水濃度が少なくとも50容量%を下回る場合に起こる。
【0119】
流体の充填−排出
試料を含有している容器に、所定アセトン濃度で溶媒を充填し、そこで放置し、次いで飽和雰囲気下に空にする。次いでこれらの容器に、高いアセトン濃度で他の溶液を再充填する。この処置を数回繰り返す。変化の頻度を選択する基準は、少ない頻度変化を行うことが有利であるが、新たな浴と実際のアセトン濃度測定との間の濃度の差をできるだけ高くすべき事実によって与えられる。これは、高すぎる差がゲルを損傷しうる張力を誘起できる事実と矛盾しないはずである。実際には、20%の差が好適であるが、40%も充分であった。処理温度を選択する基準は、先に記載されているものに類似している。
【0120】
停止信号−水含有率
通常引き続く処置は、乾燥工程を行う前にゲル中に残っている水濃度が、ゲル亀裂を避けるために0.5%に近くすべきであることを見越している。しかしながら、大きい試料(直径160mmのゲル管)は、2〜4%範囲の水濃度でも亀裂しないことが観察されている。この発見における系統的かつ統計的に重要な実験は、なお実施されるべきである。溶媒置換時間の約1/3は、水濃度を数%から0.5%の設定点まで低めることに費やされると云うべきである。
【0121】
更に、ゲル内の水濃度の分布は全く不均一であることが認められている(ゲル体の表面中とゲル体の内部中で測定された濃度の間の差は、試料寸法及び特別な処置に依存して約1桁の大きさ)。この発見は、より均一な分布を有していることが低濃度の水を有することと同様に重要でありうることを示している。従って、ゲル中の4%以上の高い水濃度を有している実際の試料中で、試料内部の水濃度の均一化を許容する時間が充分残っている場合には、乾燥工程に進むことが好適でありうる。これを達成するためには、流過の必要はない。処理温度を選択する基準は、先に記載されていることに類似している。
【0122】
本発明の有利な1態様では、水とアセトンとの混合物中に存在するゲル/ゾル粒子を除去するために、個々の容器の間で精製工程を実施することができる。この精製工程は、フィルターを用いて実施することができる。
【0123】
アクアゲルの乾燥
得られたアクアゲルの乾燥は、オートクレーブ中で実施することができる。乾燥条件、例えば圧力及び温度は、超臨界又は下−臨界値のどちらに調節することもできる。
【0124】
この処置目的は、ゲル中の張力を導入/増加すること(これはこの工程又は引続く工程で乾燥されたゲル又はガラス中のいずれ中でも亀裂又は破壊を発生させることができる)なしに、ゲルを乾燥させることである。試料を、圧力及び/又は温度に耐えることができる閉鎖容器、通常はオートクレーブ中に導入する。場合によってはゲル細孔中に存在すると同じ特性の溶媒の所定量をこの容器中に添加する。この量は、操作の最大温度が達成される場合に閉鎖容器内部に所望圧力を得るように選択される。
【0125】
圧力は、先ず化学的に不活性のガスを導入することにより増加される。経済的理由から窒素が使用される。達成されるべき圧力は、ゲル中の溶媒の臨界圧を上回る又は下回ることのできる所望の最大全圧の関数である。これは、この方法の終わりに亀裂することなしに完全なゲルを得るために充分高くすべきである。この値は通常、2又は3〜数十バールとすべきであり、場合によってはゲル中の溶媒の臨界圧を下回っている。
【0126】
圧力が一旦高められると、温度は、容器中に存在する圧力に対して、ゲル中に取り込まれていた溶媒の沸点を上回る値まで上昇される。ゲル中の溶媒の臨界温度の範囲内の温度に達することが推奨されているが、当初の湿潤ゲルの状態:
− 水濃度均一性
− ゲル中の残留水濃度
− 湿潤ゲル中の低い張力
− 湿潤ゲルシリカネットワークの強度
が好適である場合には、達成されるべき温度は臨界温度よりも数K度低くてもよく、生じる乾燥ゲルは亀裂しないことも明らかになっている。
【0127】
次いで、試料をそれらの熱力学的条件で2〜3分間放置し、次いでこの圧力を放圧する。この放圧の速度を、全体の方法時間を減少するためには充分早いが、乾燥ゲル(エーロゲル)内の強すぎる圧力勾配に基づきこのゲルが亀裂するほど早くはないように選択する。
【0128】
慣用の条件は、次のように図示される:

【0129】
湿潤ゲル中の溶媒は、オートクレーブ中での化学反応を受けて高分子量の有機成分(黒/褐色タール)を形成し、これが乾燥されたゲルの内部に残留することもありうることが認められている。実施されるべきか焼の量及び炉内でのこのような反応により放出されるエネルギーの量及び引き続くか焼の間の熱処理で形成されるガス(CO、CO、HO)の量を減少させるためには、このような成分の量を最小化することが有利である。達成される最大温度を250℃より数℃だけ下回る温度にすることが、このような成分を著しく減少させうることが観察された。
【0130】
圧力が大気圧まで低下された後に、吸収された有機ガス(残留溶媒及び場合による前のサイクルの間にオートクレーブ中に形成された反応生成物)をできるだけ多く除去するために真空を適用し、引き続き窒素で洗浄する。この洗浄処置を数回繰り返す。20℃/hを越える加熱速度での急速な処置及び14時間の全時間も適用されたが、収率の決定のために充分な統計はない。乾燥されたゲルはエーロゲルと称される。
【0131】
乾燥されたエーロゲルの熱処理
この方法は、通常3工程に分けられる。
【0132】
1.酸素含有雰囲気中でのか焼。試料を炉内に入れる。真空を適用し、引き続き酸素雰囲気を適用する。燃焼生成物(これはエーロゲル形成の結果として生じるゲル/エーロゲル内に圧力を生じさせることができる)による過剰のガス発生を避けるような充分緩慢な速度で、温度を800℃まで上昇させる。真空/酸素の数サイクルを適用する。
【0133】
2.脱水/精製。塩素含有雰囲気中、800℃で実施(HCl及び/又はSOCl、キャリアガスとしてのHeを、He:HCl約10:1の濃度で使用)。このサイクルを、最大80mmガラス管を得るために数日続ける。
【0134】
3.固化。He+場合による少量の酸素中で、1300℃を上回り1450℃を下回る温度で実施。
【0135】
これらの方法を、特許出願No.2001A000006明細書中に記載のように、ガラス体中の気泡形成、特に光学繊維の引き伸ばしの間の高温気泡を避ける(減少する)ために、熱処理の間の真空の使用により実施する。
【0136】
この方法は、更に次のように実施することができる:
試料が入れられている炉内で真空を形成させる。次いで室温で、混合気体O/HClを導入する。この割合は、先ず有機物のか焼を開始するために充分である酸素が存在するが、同時に始めからエーロゲル細孔中に導入されたHClを有するように選択されている。次いで、温度を数段階で800℃を下回る温度まで上昇させ、この中間温度で真空を適用し、次いで、濃度上昇性HClを有するO/HCl混合ガスを導入する。温度が約800℃に達した場合の最後の雰囲気は、純粋なHClである。
【0137】
この時点までのサイクルの全体の時間は、試料寸法と炉加熱速度に依存して、2、3〜数時間である。エーロゲルが熱処理される炉室が冷帯域又はHOが存在する他の帯域を有する場合には、水と反応して低温で凝固しないガスを生じる物質、例えばSOClを導入する。この最後の場合には、不所望の反応の発生を避けるために、温度を600℃を下回るまで、有利には450℃を下回るまで低下させる。この炉室を再び真空により浄化し、次いで、エーロゲルを固化させてガラスにするために、He雰囲気+場合による酸素中で、1300℃を上回るまで温度を上昇させる。
【0138】
このサイクルの全体の時間は、試料の寸法(大きい場合は長い)及び炉特性に依存して、21〜28時間である。更に、クーリングダウン/ヒーティングアップ時間等の炉の特性を改良し、かつ水を凝縮することのできる冷却帯域の減少によって、全体の滞留時間を更に減少させることができた。
【0139】
ガラス特性のいくつかの特徴的変化を得るために、前記の処理手段を更に変えることができる。固化を達成するまで加熱する前の800℃での酸素の使用及び/又は固化の間のHe/O雰囲気の使用は、次の材料特性を変えることができることが観察された:
より高い粘度
より低い屈折率
引伸ばしの間のより良好な挙動。
【0140】
これらの結果は、800℃での塩素化剤としてのSOClの使用が、より小さい光分散性を有するガラス物質を生じさせることができることを示している。
【0141】
乾燥されたエーロゲルのこの熱処理を、多孔質エーロゲル物体から焼結ガラス体を製造するために実施する。この熱処理は、次の4工程から成っていることができる:
A.か焼による、エーロゲルに付着している残留溶媒含分の除去、
B.エーロゲルの精製、
C.エーロゲルの固化によりガラス体を取得、
D.ガラス体の冷却。
【0142】
この熱処理は、分離ガス雰囲気下に実施することができ、このガス雰囲気が熱処理のこの工程の特別な目的を補助することができる。
【0143】
有機溶媒を除去する作用を意図している工程A)によるか焼は、550℃〜800℃の温度で酸素雰囲気下に実施することができる。このか焼工程は、最早CO又はCOの放出が検知できない時点に終了させることができる。
【0144】
工程B)によるエーロゲルの精製は、塩素化剤を使用することにより行うことができる。従って、例えばHCl、Cl、SOCl及び他のものをこの塩素化剤として使用することができる。
【0145】
適切な場合には、希ガス、例えばヘリウムを、付加的にキャリアガスとして使用することができる。
【0146】
適切な場合には、製造されるべきガラス体がIR透過性を有すべき場合には、無水雰囲気中でこの精製を実施することによって、このエーロゲルの完全脱水を達成することができる。
【0147】
本発明の有利な1態様では、この精製を、200〜600℃の温度で、SOClの使用によって実施することができる。ガラスのより高度な純度及び特にUV範囲でのより高い透過率は、出発物質として熱分解法で製造された二酸化珪素エーロジル(登録商標)VP EG−50が使用される場合に得ることができる。
【0148】
ガラス体を得るための工程C)に従うエーロゲルの固化は、希ガス雰囲気下で、例えば酸素と混合されたヘリウムを用いて実施することができ、酸素濃度は2〜5%であることが可能である。この固化は、600〜1400℃の温度で実施することができる。
【0149】
加熱相の間に、エーロゲル中に含有されている気泡を除去するために真空を適用することができる。この加熱相は、600〜800℃の温度範囲内であるのが特に好適である。
【0150】
実際の固化相は、600〜800℃から1300〜1400℃の温度まで加熱上昇させて開始させることができ、次いでこの温度範囲を充分な期間保持することが可能である。
【0151】
生じるガラス体の工程D)に従う冷却は、1400から900℃までの範囲で、5℃/minまで、有利には4〜1℃/minの速度で実施することができる。
【0152】
本発明により使用することのできる熱分解法で製造された二酸化珪素は、優れた光学特性を有する特殊ガラスの製造のために極めて好適である。本発明による二酸化珪素を用いて製造されたこのガラスは、特に低UV領域で特に低い吸収を有する。
【0153】
理論と結びつけられることを望んではいないが、ガラスの品質(例えば透過率値)の良好な結果及び大きい寸法を有するガラスの高収率を得る理由は、TEOS濃度との関係で、この系への好適な量のシリカを添加する事実に起因しており、その分枝及び重縮合率を良好にコントロールすることが可能である。これが、3次元的固体中に殆ど張力をもたらさない元のアクアゲルのより温和な組織を生じさせることができたと考えられる。
【0154】
例1(比較例)
HCl(0.01N)12.357リットルに、ウルトラ−トウラックスミキサーを用いる強力撹拌下に、コロイドシリカ粉末(Degussa AGのAerosil EG 50)5.19kgを添加する。この分散液を反応器に移し、ここに、激しい撹拌下にテトラエチルオルトシリケート(TEOS)9.12リットルを添加する。この場合に、ヒュームドシリカ/TEOSモル比は2である。
【0155】
約60分後に、この分散液に水酸化アンモニウムの溶液(0.1N)を、撹拌下に約4.91のpHに達するまで滴加する。
【0156】
このコロイド溶液を、5.2cmの直径を有する種々のガラス円筒容器中に110cmの高さまで注入し、次いでこれを閉じる。
【0157】
約12時間後に水中での洗浄を開始する。数回洗浄の後に得られるゲルを水中のアセトン約10質量%の混合物で洗浄する。引き続き、洗浄に使用される引き続く混合物中のアセトン濃度を徐々に高め、最終洗浄のために無水アセトンが使用されるようになるまで上昇させる。
【0158】
次いで、試料をオートクレーブ中、250℃の温度及び59バールで乾燥させる。次いで、このオートクレーブを、室温下に50バールの圧力まで窒素で加圧する。このオートクレーブの加熱を開始し、250℃に達するまで加熱する。温度値上昇に伴い、オートクレーブ内の圧力が60バールまで上昇するから、このような圧力値をベントバルブ上の作用によって一定に保持する。ベントバルブ上の作用で温度をなお250℃で一定に保持しながら、オートクレーブ内の圧力を、4バール/hの速度で常圧まで低下させる。こうしてオートクレーブ内に含有されていた溶媒が除去される。オートクレーブを窒素の緩慢流で約15分間洗浄し、かつ/又は真空を用いることによって、この様な溶媒の最後の痕跡量は除去される。
【0159】
エーロゲルと称される乾燥ゲルが得られるから、これを、酸化性雰囲気中で800℃の温度でか焼させる。
【0160】
この加熱の間に、この処理から生じるオートクレーブ中の残留有機生成物は燃焼される。
【0161】
シリカエーロゲルのディスクを、か焼の後に、800℃の温度で、かつ30分の時間に渡り、塩素2%を含有しているヘリウム流に露呈させて、存在するシラノール群を除去し;このエーロゲルディスクを、最後にヘリウム雰囲気中、1400℃の温度に1時間に渡り加熱すると、シリカは完全な高密度化を達成する。このサイクルの終わりに、全てのガラスは破壊された。
【0162】
例2(比較例)
HCl(0.01N)12.5リットルに、ウルトラ−トウラックスミキサーを用いる強力撹拌下に、コロイドシリカ粉末(Degussa AGのAerosil EG 50)5.28kgを添加する。この分散液を反応器に移し、ここに、激しい撹拌下にテトラエチルオルトシリケート(TEOS)7.121リットルを添加する。シリカ/TEOSのモル比は2.58である。
【0163】
約60分後に、この分散液に、水酸化アンモニウムの溶液(0.1N)を、撹拌下に約4.85のpHに達するまで滴加する。
【0164】
このコロイド溶液を、5.2cmの直径を有する種々のガラス円筒容器中に110cmの高さまで注入し、次いでこれを閉じる。
【0165】
約12時間後に水中での洗浄を開始する。数回洗浄の後に、得られるゲルを水中のアセトン約10質量%の混合物で洗浄する。引き続き、洗浄のために使用される混合物中のアセトン濃度を徐々に高め、最終洗浄のために無水アセトンが使用されるまで上昇させる。
【0166】
次いで、試料をオートクレーブ中、250℃の温度及び59バールで乾燥させる。次いで、このオートクレーブを、室温下に50バールの圧力まで窒素で加圧する。このオートクレーブの加熱を開始し、250℃に達するまで加熱する。温度値上昇に伴い、オートクレーブ内の圧力は60バールまで上昇するから、このような圧力値をベントバルブ上の作用によって一定に保持する。ベントバルブ上の作用により温度をなお250℃で一定に保持しながら、次いでオートクレーブ内の圧力を、4バール/hの速度で常圧まで低下させる。こうしてオートクレーブ内に含有されていた溶媒は除去される。オートクレーブを窒素の緩慢流で約15分間洗浄し、及び/又は真空を用いることによって、この様な溶媒の最後の痕跡量は除去される。
【0167】
エーロゲルと称される乾燥ゲルが得られるから、これを、酸化性雰囲気中で800℃の温度でか焼させる。
【0168】
この加熱の間に、この処理から生じているオートクレーブ中の残留有機生成物は燃焼される。
【0169】
シリカエーロゲルのディスクを、か焼の後に、800℃の温度で、かつ30分の時間に渡り、塩素2%を含有しているヘリウム流に露呈させて、存在するシラノール群を除去し;このエーロゲルディスクを最後にヘリウム雰囲気中で、1400℃の温度に1時間に渡り加熱すると、シリカは完全な高密度化を達成する。冷却後にこのディスクは、所望の最終寸法(直径2.6cm及び高さ55.0cm)に達し、当初型で測定された当初エーロゲルの形に対して相似比を保持している。このサイクルの後に、このガラスの全てのガラスは破壊された。
【0170】
例3(本発明による)
HCl(0.01N)21リットルに、ウルトラ−トウラックスミキサーを用いる強力撹拌下に、コロイドシリカ粉末(Degussa AGのAerosil EG 50)9.0kgを添加する。この分散液を反応器に移し、ここに、激しい撹拌下にテトラエチルオルトシリケート(TEOS)8.0921リットルを添加する。シリカ/TEOSのモル比は3.85である。
【0171】
約60分後に、この分散液に、水酸化アンモニウムの溶液(0.1N)を、撹拌下に約5のpHに達するまで滴加する。
【0172】
このコロイド溶液を、5.2cmの直径を有する種々のガラス円筒容器中に110cmの高さまで注入し、次いでこれを閉じる。
【0173】
約12時間後に水での洗浄を開始する。数回洗浄の後に、得られるゲルを水中のアセトン約10質量%の混合物で洗浄する。引き続き、洗浄のために使用される引き続く混合物中のアセトン濃度を徐々に高め、最終洗浄のために無水アセトンが使用されるまで上昇させる。
【0174】
次いで、試料をオートクレーブ中、250℃の温度及び59バールで乾燥させる。次いで、このオートクレーブを、室温下に、50バールの圧力まで窒素で加圧する。このオートクレーブの加熱を開始し、250℃に達するまで加熱する。温度値上昇に伴い、オートクレーブ内の圧力は60バールまで上昇するから、このような圧力値をベントバルブ上の作用によって一定に保持する。ベントバルブ上の作用により、温度をなお250℃で一定に保持しながら、次いでオートクレーブ内の圧力を、4バール/hの速度で常圧まで低下させる。こうしてオートクレーブ内に含有されていた溶媒は除去される。オートクレーブを窒素の緩慢流で約15分間洗浄し、及び/又は真空を用いることによって、このような溶媒の最後の痕跡量は除去される。
【0175】
エーロゲルと称される乾燥ゲルが得られるから、これを、酸化性雰囲気中で800℃の温度でか焼させる。
【0176】
この加熱の間に、この処理に由来しているオートクレーブ中の残留有機生成物は燃焼される。
【0177】
シリカエーロゲルのディスクを、か焼の後に、800℃の温度で、かつ30分の時間に渡り、塩素2%を含有しているヘリウム流に露呈させて、存在するシラノール群を除去し;このエーロゲルディスクを最後にヘリウム雰囲気中で、1400℃の温度に1時間に渡り加熱すると、シリカは完全な高密度化を達成する。冷却後にこのディスクは、所望の最終寸法(直径2.6cm及び高さ55.0cm)に達し、当初型で測定された当初エーロゲルの形に対して相似比を保持している。このサイクルの後に全てのガラスは破壊されなかった。
【0178】
例4(本発明による)
HCl(0.01N)11.27リットルに、ウルトラ−トウラックスミキサーを用いる強力撹拌下に、コロイドシリカ粉末(Degussa AGのAerosil EG 50)7.44kgを添加する。この分散液を反応器に移し、ここに、激しい撹拌下にテトラエチルオルトシリケート(TEOS)5.18リットルを添加する。シリカ/TEOSのモル比は4.95である。
【0179】
約60分後に、この分散液に、水酸化アンモニウムの溶液(0.1N)を、撹拌下にpHが約5に達するまで滴加する。
【0180】
このコロイド溶液を、5.2cmの直径を有する種々のガラス円筒容器中に110cmの高さまで注入し、次いでこれを閉じる。
【0181】
約12時間後に水での洗浄を開始する。数回洗浄の後に、得られるゲルを水中のアセトン約10質量%の混合物で洗浄する。引き続き、洗浄のために使用される引き続く混合物中のアセトン濃度を徐々に高め、最終洗浄のために無水アセトンが使用されるまで上昇させる。
【0182】
次いで、試料をオートクレーブ中、250℃の温度及び59バールで乾燥させる。次いで、このオートクレーブを、室温下に、50バールの圧力まで窒素で加圧する。このオートクレーブの加熱を開始させ、250℃に達するまで加熱する。温度値上昇に伴い、オートクレーブ内の圧力は60バールまで上昇するから、この圧力値をベントバルブ上での作用によって一定に保持する。ベントバルブ上の作用により、温度をなお250℃で一定に保持しながら、次いでオートクレーブ内の圧力を、4バール/hの速度で常圧まで低下させる。こうしてオートクレーブ内に含有されていた溶媒は除去される。オートクレーブを窒素の緩慢流で約15分間洗浄し、及び/又は真空を用いることによって、このような溶媒の最後の痕跡量は除去される。
【0183】
エーロゲルと称される乾燥ゲルが得られるから、これを、酸化性雰囲気中で800℃の温度でか焼させる。
【0184】
この加熱の間に、この処理に由来しているオートクレーブ中での残留有機生成物が燃焼される。
【0185】
シリカエーロゲルのディスクを、か焼の後に、800℃の温度で、かつ30分の時間に渡り、塩素2%を含有しているヘリウム流に露呈させて、存在するシラノール群を除去し;このエーロゲルディスクを最後にヘリウム雰囲気中で、1400℃の温度に1時間に渡り加熱すると、シリカは完全な高密度化を達成する。冷却後にこのディスクは、所望の最終寸法(直径2.6cm及び高さ55.0cm)に達し、当初型で測定された当初エーロゲルの形に対して相似比を保持している。このサイクルの後に全てのガラスは破壊されなかった。
【0186】
本発明の範囲内で、シリカ/TEOSモル比を1〜5の所望の範囲の値に調整することができるが、発明者は、意外にも2.45より高い比が、大きい目的物を得るための変化を著しく改善することを発見した。他の場合に同様に、190nmでの散乱及び透過率は、この比が2.58より大きい場合には良好であるが、254nmでの透過率はシリカ/TEOSモル比により影響されないらしいことも観察されている。
【0187】
結果が第1表中に記載されている。
【0188】
【表6】

【0189】
この方法の効果の表現において、破壊されなかったガラスの収得を評価するために、詳細な試験を実施しており、得られた結果のいくつかが第2表中に報告されている。
【0190】
【表7】

【0191】
これらの結果は、シリカ/TEOSモル比が、製造されたガラスの品質及びこの方法の収率の双方をに高めることを明らかに示している。更にモル比が2.60より高い場合には、これらの効果が多大に改良されている。
【0192】
更に本発明者は、この新規方法を、ある種の非常に挑戦的な条件で試験することを望んだ。当業者の間では(例えばUS特許7026362参照)、形成されたゾルの長時間加熱が、製造されたガラスの品質及び破壊されなかったガラスに関する収率に有害な作用を有しうることも周知である。この理由から、次の実験を設定した:例3に記載の手順に従って、シリカ/TEOSモル比3.85を特徴としているゾルを製造した。このゾルが製造された後に、これを他のバッチに移し、かつ非常にゆっくり撹拌しながら、100℃まで加熱し、この温度を4時間保持し、次いでこの混合物を非常にゆっくり冷却させ、次いで前記の型中に注入した。
【0193】
前記のガラスを製造する方法の終わりに、発明者は意外にも、全てのガラスは破壊されなかったが、この同じ方法をシリカ/TEOSモル比が2.6より下回っている処方で用いられている場合には、目的物は全く製造されなかったことを発見した。このことは、ゾルが受ける処理にも関わらず、本発明は有効であることを意味している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスモノリスを製造するためのゾル−ゲル法において、
− 熱分解法で製造されたシリカを、水に酸性pHで添加する工程;
− この分散されたシリカに、シリコンアルコキシドを添加する工程(この際、シリカ/シリコンアルコキシドモル比は2.5〜5の比である);
− pHを調整する工程;
− このゾル溶液を容器中に入れる工程;
− このゾルをゲル化して湿潤ゲルにする工程;
− この湿潤ゲルを乾燥させる工程;
− 乾燥ゲルを焼結させてガラス物品を得る工程
から成っていることを特徴とする、ゾル−ゲル法。
【請求項2】
シリコンアルコキシドは、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)からなっている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコンアルコキシドは、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)からなっている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
シリコンアルコキシドは、メチルトリエチルオルトシリケート(MTEOS)からなっている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
pHは、1.5〜3.0の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
pHを、4.2〜5.5、より好ましくは4.5〜5の範囲に調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶媒を蒸発させない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程A〜Dを、単一バッチ中で実施する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2010−502554(P2010−502554A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527095(P2009−527095)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058625
【国際公開番号】WO2008/028797
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(501094502)デグサ ノヴァラ テクノロジー ソチエタ ペル アツィオーニ (15)
【氏名又は名称原語表記】Degussa Novara Technology S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Pisacane 7/B, I−20016 Pero (MI), Italy
【Fターム(参考)】