説明

タイムスタンプ

【課題】小型化したタイムスタンプにおいてタイムカードの挿入を容易にする。
【解決手段】タイムスタンプ11は、設置状態においてタイムカード挿入スロット14にタイムカード15が挿入され、挿入されたタイムカード15に時刻情報を印字する装置である。タイムカード挿入スロット14は、設置面21を基準として、正面からの背面に向かって下方へ8°から10°程度傾斜して形成されている。また、タイムスタンプ11は、壁面に取り付けられるための取り付け部17を備え、タイムカード挿入スロット14はタイムスタンプ11の背面に直交する方向に設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイムスタンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上面にタイムカード挿入口を備え、タイムカードを上方から挿入するタイプのタイムレコーダが開示されている。しかし、この種のタイムスタンプは、タイムカードを上方から挿入する構造のため、高い場所に設置するとタイムカードの挿入に支障をきたす等、設置場所に制限があり、また、装置も大型化してしまうという問題がある。
【0003】
一方、特許文献2には、正面または側面側からタイムカードを挿入するタイプのタイムスタンプが開示されている。この構成によるタイムスタンプの場合、印字ヘッドや印字ヘッドの送り機構が上方に位置し、タイムカード挿入スロットはその下方に位置するレイアウトになるのが自然である。
【0004】
【特許文献1】実開平5−4284号公報
【特許文献2】特開平9−62883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示されている構成のタイムスタンプの高さを低く構成しようとすると、タイムカードが挿入しにくくなる。具体的には、タイムカード挿入スロットが下側にあるので、タイムスタンプの高さを低くするとタイムカード挿入スロットの位置も低くならざるを得ず、従ってタイムカード挿入スロットが認識しづらくなる。それに加えて、タイムカードを挿入するためにはタイムカードを指で把持する必要があるが、タイムカード挿入スロットとタイムカードが置かれている机上との間の距離が小さいと指が邪魔になってタイムカードを挿入しづらくなる。これを防ぐためには、タイムカード挿入スロットを上方に移動させればよいが、タイムカード挿入スロットを上方に移動させた分、印字ヘッドや印字ヘッド送り機構も上方に移動するため、小型化が達成できなくなる。印字ヘッドや印字ヘッド送り機構を反転させると、タイムカード挿入スロットは一番上に配置することができるが、このような配置にするとタイムカードの印字面まで反転してしまうので、印字面を目視することができなくなるなど作業性が悪くなる。
【0006】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、小型化したタイムスタンプにおいてタイムカードの挿入を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るタイムスタンプは、
設置状態においてタイムカード挿入スロットにタイムカードが挿入され、挿入されたタイムカードに時刻情報を印字するタイムスタンプであって、
前記タイムカード挿入スロットが、設置面を基準として、奥側に向かって下方へ傾斜して形成されていることを特徴とする。
【0008】
例えば、前記タイムカード挿入スロットが、前記タイムスタンプの下面に対して、5°以上30°以下の角度で傾斜して形成される。
【0009】
例えば、前記タイムカード挿入スロットが、前記タイムスタンプの下面に対して、8°以上10°以下の角度で傾斜して形成される。
【0010】
また、前記タイムスタンプの背面に、壁面に取り付けられるための取り付け部を備え、前記タイムカード挿入スロットが、前記タイムスタンプの背面に直交する方向に延在するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タイムカード挿入スロットのタイムカードを挿入する側が持ち上がっているため挿入スロットの位置を認識することが容易になり、タイムカードを挿入しやすくなる。次に、タイムカード挿入スロットは奥側になるにつれて下方へ傾斜して形成されているため、タイムカードを挿入スロットに挿入すると、タイムカードは挿入スロット奥側に向かって傾斜するように挿入される。すなわち、タイムカードの挿入スロット口側の端部は挿入スロット奥側の端部よりも上部に位置する。この傾斜角の分だけ、机等の台と指との距離が離れるので、タイムカードを挿入しやすくなる。特にタイムカードを挿入スロットに挿入しようとする際には、タイムカードの幅の分だけ机上と台との距離が、さらに離れることになるので、指との間に十分なクリアランスを確保することができ、タイムカードが挿入しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態に係るタイムスタンプ11について図面を参照しつつ説明する。
この実施の形態にかかるタイムスタンプ(装置)11は、図1に示すように、印字ヘッド12と、印字ヘッド送り機構13とを筐体内に備える。
タイムスタンプ11は、台(又は脚部)18を有し、ほぼ水平な設置面21上に設置されるように設計されている。
【0013】
タイムスタンプ11の正面部には、タイムカード挿入スロット14が形成されている。
【0014】
図2に示すように、タイムスタンプ11の正面側(図2における左側)から、タイムカード挿入スロット14にタイムカード15が挿入される。挿入されたタイムカード15は、マイクロスイッチ16によって検出される。マイクロスイッチ16の検出に応答して、モータ等から構成される印字ヘッド送り機構13が印字ヘッド12の位置を調節し、続いて、印字ヘッド12がタイムカード15に時刻情報等を印字する。
【0015】
タイムカード挿入スロット14は、挿入方向、即ち、タイムスタンプ11の背面側(図2における右側)に向かって、下方へ傾斜している。具体的には、図3に示すように、タイムカード挿入スロット14の前端部においてタイムカード挿入スロット14と設置面との距離D1は約33mmであり、この位置から、タイムスタンプ11の奥側(タイムカードを挿入していく方向)に約8°の傾斜角θで形成されている。タイムカード15は、タイムカード挿入スロット14に挿入する際には、10cm程度突出した状態にある。このため、タイムカード15の突出分と傾斜角θとの関係により指(手)と設置面とが離れ、その距離D2は、47mm程度となる。この様な構造により、タイムカード15のタイムカード挿入スロット14への挿入が、さらに容易になる。
【0016】
一方、タイムスタンプ11の背面には、フックなどの壁面への取り付け部17が形成されており、図4に例示するように、鉛直方向に伸びる壁面に取り付けられるように構成されている。
【0017】
本実施形態においてタイムスタンプ11の背面が、台18の下面に対し垂直に形成されているとすると、タイムスタンプ11を鉛直な壁面に取付けた際には、タイムカード挿入スロット14が上方に持ち上がるため、タイムスタンプ11の取付け位置によっては、タイムカード15をタイムカードスロット14に挿入するのが困難になる。このため、タイムスタンプ11の取付け位置が制約される。
【0018】
そこで本実施形態は、タイムスタンプ11を鉛直な壁面に取付けた際にも、タイムカード15を容易に挿入できるような構成上の工夫を施した。
【0019】
タイムスタンプ11の背面(壁面に当接する面)は、台18の下面に約8°で傾いており、タイムカード挿入スロット14にほぼ垂直に形成されている。このため、図4に示すように、タイムスタンプ11を鉛直な壁面に取り付けた際には、背面が壁面に沿い、タイムカード挿入スロット14は、水平に配置される。
【0020】
一般に、タイムスタンプ11を壁面に設置する際には、ある程度の高さに設置される。このため、タイムカード挿入スロット14がタイムスタンプ11の下側に配置されていても指(手)と設置面に触れる事態が発生せず、タイムカード挿入スロット14にタイムカード15を容易に挿入することができる。さらに、タイムカードスロット14が上方に持ち上がっている場合に比べて取付け位置の自由度が高い。
【0021】
タイムスタンプを壁面に取り付ける方法はフックの他、磁石や接着材などによるものでも良い。
【0022】
上記構成によればタイムカード挿入スロット14をタイムスタンプ11の下端部に配置しても、タイムカード挿入スロット14を8°傾けて形成しているので、タイムスタンプ11を設置面21上に載置して使用する場合には、タイムカード挿入スロット14が下端部に形成されているにもかかわらず、タイムカード15を扱うための空間を広く取ることができる。従って、タイムカード15の取りまわしが楽になり、手や指の設置面21への干渉を防止できるので、タイムカード15をタイムカード挿入スロット14へ挿入することが容易になる。また、タイムカード挿入スロット14の上方に印字ヘッド12及び印字ヘッド送り機構13を配置することが可能である。そのため、タイムカード挿入スロット14が単に水平に配置されている場合に比べて、より下側にタイムカード挿入スロット14を配置できる。従って、装置を小型化できる。
【0023】
なお、上記実施の形態では、タイムカード挿入スロット14の傾斜角θを8°としたが、これに限定されるものではない。しかし、傾斜角θが小さすぎると、手が設置面に接触したりして、好ましくなく、一方、傾斜角θが大きすぎると、タイムカードが挿入しにくく、また、装置が大型化してしまう。また、傾斜角θが大きすぎると、印字ヘッドを持ち上げる方向に移動する場合の負荷が大きくなり、これに対応するため大きなモータ出力が求められ、モータサイズが大型化するので、これも装置の大型化をまねく。このため、タイムカード挿入スロット14の傾斜角θは、前記タイムスタンプの下面(設置面21)に対して、5°以上30°以下とすることが望ましい。さらに好ましくは、タイムカード挿入スロット14は、タイムスタンプ11の下面(設置面21)に対して、8°以上10°以下とすることが望ましい。この場合、タイムスタンプ11の背面(壁面に設置した際に、壁面に当接する面)は、壁面に設置された際にほぼ水平となるように、傾斜角θに応じた角度で傾斜するように形成されることが望ましい。
【0024】
また、タイムカード15の取り回しの観点からは、タイムカード15の先端と設置面21との距離D2は、35mm以上、望ましくは、45mm以上とすることが望ましい。
【0025】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態においては、タイムカード挿入スロット14をタイムスタンプ11の正面に形成したが、右側面又は左側面に形成し、タイムカード15を、右側面から左方向に、又は、左側面から右方向に、挿入するように構成してもよい。
【0026】
また、タイムスタンプ11を設置する手法等は、任意であり、台18に代えて脚を設けたり、壁面への取り付け部17に代えて壁に設置されたフックに係合する穴などを形成してもよい。
また、タイムカードの挿入を認識する方法は、マイクロスイッチ16の他、光センサなどによるものでも良い。
印字ヘッド12、印字ヘッド送り機構13の構成などは任意である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係るタイムスタンプの机上使用時の側面図である。
【図2】タイムカードが挿入された状態でのタイムスタンプの側面図である。
【図3】タイムスタンプの筐体下部の拡大図である
【図4】壁面に取り付けられた状態でのタイムスタンプの側面図である。
【符号の説明】
【0028】
11 タイムスタンプ
12 印字ヘッド
13 印字ヘッド送り機構
14 タイムカード挿入スロット
15 タイムカード
16 マイクロスイッチ
17 壁面への取り付け部
18 台
21 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイムカード挿入スロットにタイムカードが挿入され、挿入されたタイムカードに時刻情報を印字するタイムスタンプであって、
前記タイムカード挿入スロットが、設置面を基準として、奥側に向かって下方へ傾斜して形成されていることを特徴とするタイムスタンプ。
【請求項2】
前記タイムカード挿入スロットが、前記タイムスタンプの下面に対して、5°以上30°以下の角度で傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイムスタンプ。
【請求項3】
前記タイムカード挿入スロットが、前記タイムスタンプの下面に対して、8°以上10°以下の角度で傾斜して形成されていることを特徴とする請求項2に記載のタイムスタンプ。
【請求項4】
前記タイムスタンプの背面に、壁面に取り付けられるための取り付け部を備え、
前記タイムカード挿入スロットが、前記タイムスタンプの背面に直交する方向に延在することを特徴とする請求項1に記載のタイムスタンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−92264(P2010−92264A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261567(P2008−261567)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】