タイヤとホイールの位相合わせ装置及びその制御方法
【課題】 本発明は、空気未充填のタイヤとホイールのそれぞれの対応するマークを合わせるようにしたタイヤとホイールの位相合わせ装置を提供する。
【解決手段】 かゝる本発明は、空気未充填のタイヤとホイールが載置される昇降及び回転自在のホイールテーブル200と、小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブル300と、タイヤの下ビード部を押し上げるタイヤ下ビード押圧部400と、ホイールを固定するためのセンターコーンを有するホイール位置決め部500と、このホイール位置決め部500の部分に付設されて、ホイールにマウントされたタイヤの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラ600と、タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラ700と、これらの各当接及び回転ローラ600、700のなす外径のサイズを調整するサイズ調整機構800などを備えてなり、これにより、1台の装置で多サイズのタイヤやホイールに対応することができる。
【解決手段】 かゝる本発明は、空気未充填のタイヤとホイールが載置される昇降及び回転自在のホイールテーブル200と、小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブル300と、タイヤの下ビード部を押し上げるタイヤ下ビード押圧部400と、ホイールを固定するためのセンターコーンを有するホイール位置決め部500と、このホイール位置決め部500の部分に付設されて、ホイールにマウントされたタイヤの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラ600と、タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラ700と、これらの各当接及び回転ローラ600、700のなす外径のサイズを調整するサイズ調整機構800などを備えてなり、これにより、1台の装置で多サイズのタイヤやホイールに対応することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気未充填のタイヤとホイールのそれぞれの対応するマークを合わせるようにしたタイヤとホイールの位相合わせ装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤとホイールの位相合わせ装置に関しては、従来から種々の装置が既に提案されている。この種々の装置の場合、その性質上、搬送されてきた空気未充填のタイヤとホイールを所定の位置に保持し、位置決めした後、ホイールから一旦タイヤを離間させ、タイヤないしホイールをそれぞれ回転させて、対応するマークを合わせることが必要とされるため、これらの一連の工程部分を担う構成部分が組み合わされてなる。
【0003】
このような位相合わせ装置として、本出願人(後名称変更)も既に提案されている(特許文献1)。この装置の概略原理は、図16〜図19に示す如くである。
この装置では、図16に示すように、昇降及び回転自在とするホイールテーブル1の外周にタイヤの下ビード部を押し上げる筒型のタイヤ下ビード押圧部2があって、ホイールテーブル1の上方には、ホイールを固定するためのセンターコーンを有するホイール位置決め部3が昇降自在に垂下されている。このホイール位置決め部3の部分には、タイヤの上ビード部を押し下げる複数のタイヤ用当接ローラ4があって、各タイヤ用当接ローラ4のなす外径は、ホイール位置決め部3の部分などのサイズ調整機構5により、タイヤのサイズに対応するようになっている。
【0004】
そして、タイヤとホイールのマークの位相合わせ時には、図17に示すように、外部から搬入される空気未充填のタイヤTがマウントされたホイールWを、ホイールテーブル1に載置させ、この状態で、タイヤTの下ビード部を筒型のタイヤ下ビード押圧部2で押し上げる一方、タイヤTの上ビード部を複数のタイヤ用当接ローラ4で押し下げて、タイヤTをホイールWから切り離す(離間させる)。この後、ホイール側はホイールテーブル1の回転により回転させ、図18に示すように、タイヤ側はタイヤ下ビード押圧部2の回転により回転させる。この回転下で、CCDなどのカメラにより、タイヤとホイールのマークを検出して、位相合わせしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−278521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記図16〜図19の装置では、タイヤの下ビード部を押し上げる筒型のタイヤ下ビード押圧部2に対して、取り扱うタイヤ及びホイールの大きさが対応する範囲内であれば、特に問題はない。しかし、例えば、図19に示すように、もともとタイヤ下ビード押圧部2の大きさが、大径タイヤ用としてある場合、これで小径タイヤTs(タイヤ下ビード押圧部2の最適許容範囲に納まらないタイヤ)を取り扱うと、タイヤ下ビードが良好にホイールWから離間できないという問題があった。
つまり、タイヤ下ビード押圧部2の大きさが、大径タイヤのサイズに合わせてあるため、小径タイヤで、特に近年普及している偏平や超偏平タイヤの場合には、タイヤの外周付近の剛性の路面接地部に近い部分を押し上げることになり、タイヤ下ビードと離れた位置となる関係から、離間でき難くなるという問題である。
従って、この装置の場合、種々あるタイヤサイズに対して、3サイズ(3種類)のものに対応するのが限界であった。4サイズのものに対応するには、別のもう1台の同種装置を備えておく必要があり、結果としてコストアップ要因となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を改善すべくなされたもので、ホイールテーブルの外側に設けたアウターホイールテーブル、ホイール位置決め部側の付設しタイヤ用回転ローラ、少なくとも2台一組(回転減速用、マーク位置決め用)のマーク検出手段などの採用により、上記の問題点を改善するようにしたタイヤとホイールの位相合わせ装置及びその制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、マウント後の係合状態にあって空気未充填のタイヤとホイールのそれぞれの対応するマークを合わせるようにしたタイヤとホイールの位相合わせ装置であって、
機枠の下方から中間寄りに掛けて昇降及び回転自在に設置され、かつ外部から搬入される前記空気未充填のタイヤがマウントされたホイールが載置されるホイールテーブルと、
前記ホイールテーブルの外周に昇降自在に設置されて、前記ホイールにマウントされた小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブルと、
前記アウターホイールテーブルの外周に昇降自在及び回転可能に設置されて、前記ホイールにマウントされた大径タイヤの下ビード部を押し上げる大径タイヤビード押圧部と、
機枠の上端に昇降自在に設置され、前記ホイールテーブルに載置されたホイールのセンタ孔に挿入されて位置決めするためのホイール位置決め部と、
前記ホイール位置決め部に付設され、かつその複数個が前記タイヤ及びホイールの大きさに合わせて拡縮して、前記ホイールにマウントされたタイヤの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラと、
前記ホイール位置決め部に付設され、前記ホイールから切り離されたタイヤに当接して当該タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラと、
前記ホイールのマーク又は/及びタイヤのマークを検出するマーク検出手段とからなることを特徴とするタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0009】
請求項2記載の本発明は、前記タイヤ用当接ローラが複数個で、その複数個が前記タイヤ及びホイールの大きさに合わせて拡縮することを特徴する請求項1記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0010】
請求項3記載の本発明は、前記複数のタイヤ用当接ローラ及びタイヤ用回転ローラのなす外径の大きさを拡縮させるサイズ調整機構を、前記ホイール位置決め部に付設させてなることを特徴する請求項1又は2記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0011】
請求項4記載の本発明は、前記マーク検出手段が、前記サイズ調整機構に連動して移動できるようにしたことを特徴する請求項3記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0012】
請求項5記載の本発明は、前記マーク検出手段が、ホイール又は/及びタイヤのマーク位置の回転周方向に対して少なくとも2台設置されてなり、その回転前方側が回転減速用で、最後の回転後方側がマーク位置決め用であることを特徴する請求項3又は4記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0013】
請求項6記載の本発明は、前記請求項4記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、マーク検出手段がホイールのマーク又は/及びタイヤのマークを検出する迄は、ホイール用回転駆動源又はタイヤ用回転ローラの回転ローラ用回転駆動源によって、ホイールテーブル又はタイヤ用回転ローラを高速回転させる一方、ホイールのマーク又は/及びタイヤのマークが、前記回転減速用のマーク検出手段で検出されたら、対応するホイールテーブル又はタイヤ用回転ローラの回転を減速させ、この減速回転状態下で、前記マーク位置決め用のマーク検出手段で検出し、停止させることを特徴するタイヤとホイールの位相合わせ装置の制御方法にある。
【発明の効果】
【0014】
(1)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置によると、ホイールにマウントされた大径タイヤの下ビード部を押し上げる大径タイヤビード押圧部とは別に、ホイールテーブルの外周に、小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブルを設けてあるため、小径タイヤの位相合わせにも良好に対応することができる。
従って、大径タイヤビード押圧部とこの小径タイヤ用のアウターホイールテーブルの使い分けにより、1台の装置で、少なくとも4サイズ(例えば15〜19インチまでの4サイズ)のものに対応することができる。結果としてコストダウンが可能となる。勿論、小径タイヤに対して、アウターホイールテーブルがタイヤの下ビード部の最適押し上げ部分に対応することができるため、通常タイヤと同様、偏平や超偏平のものにも良好に対応できる。
【0015】
(2)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置によると、大径タイヤビード押圧部で支持されてホイールから切り離されたタイヤは、タイヤ用回転ローラにより、回転させられるため、安定かつ確実に回転させることができる。位相合わせ時、従来のように、大径タイヤビード押圧部の回動でタイヤを回転される場合、タイヤの自重で載るのみであるため、安定かつ確実な回転は困難であった。特にタイヤ側にホイールとのマウント用の潤滑剤などを塗布しているときには、この回転は困難であった。
【0016】
(3)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置によると、タイヤ用回転ローラを用いてタイヤを回転させるものであるため、タイヤサイズが変わっても、マークの付されているタイヤ部分の移動距離は、一定に保持することが容易にできる。つまり、タイヤ用回転ローラの単位時間当たりの回転数を一定とすれば、ローラの外周長さは一定であるため、タイヤ部分の移動距離は、タイヤサイズに関係なく、一定となる。
この結果、マークを検出しているCCDなどのカメラ、即ち、マーク検出手段側からみれば、タイヤ表面の移動速度が変化しないため、面倒な検出態様が求められることはない。
【0017】
(4)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、複数のタイヤ用当接ローラ及びタイヤ用回転ローラのサイズ調整機構を、前記ホイール位置決め部に付設させれば、装置の省スペース化が得られる。勿論、コストダウンにもなる。
【0018】
(5)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、マーク検出手段を、サイズ調整機構に連動して移動できるようにすれば、タイヤとホイールのサイズに合わせて駆動するマーク検出手段のための独自の機構が不要となるため、コストダウンが図られる。また、装置自体の省スペース化も得られる。
【0019】
(6)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、マーク検出手段を、ホイール又は/及びタイヤのマーク位置の回転周方向に対して、少なくとも2台設置し、その回転前方側を回転減速用とし、最後の回転後方側がマーク位置決め用とすれば、その使用により、迅速かつ正確なマークの位相合わせが可能となる。
【0020】
(7)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置の制御方法において、マーク検出手段を少なくとも2台設置し、その回転前方側を回転減速用とし、最後の回転後方側がマーク位置決め用として使用すれば、迅速かつ正確なマークの位相合わせの制御方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るタイヤとホイールの位相合わせ装置の概略原理の一例を示した説明図である。
【図2】図1の装置による大径タイヤの取り扱い状態を示した説明図である。
【図3】図1の装置による小径タイヤの取り扱い状態を示した説明図である。
【図4】本発明に係るタイヤとホイールの位相合わせ装置の一例を示した部分縦断正面図である。
【図5】図4の装置を示した縦断側面図である。
【図6】図4の装置のアウターホイールテーブルとタイヤ下ビード押圧部を示した拡大縦断正面図である。
【図7】図4の装置のアウターホイールテーブルを示した拡大縦断正面図である。
【図8】図4の装置のホイール位置決め部、タイヤ用当接ローラ、及びサイズ調整機構部分を示した拡大縦断正面図である。
【図9】図4の装置のホイール位置決め部、タイヤ用当接ローラ、及びサイズ調整機構部分を示した概略分解斜視図である。
【図10】図4の装置のホイール位置決め部、及びサイズ調整機構部分を示した拡大平面図である。
【図11】図4の装置のリニアベアリング、及び伸縮機構を示した概略分解斜視図である。
【図12】図4の装置のタイヤ用当接ローラの取り付け状態を示した概略分解斜視図である。
【図13】図4の装置のホイール位置決め部、タイヤ用当接ローラ、及びタイヤ用回転ローラなどの組み付け状態を示した概略斜視図である。
【図14】図4の装置のタイヤ用回転ローラ、及びその駆動源を示した概略分解斜視図である。
【図15】図4の装置におけるタイヤとホイールに対するマーク検出手段の配置関係をを示した拡大図である。
【図16】従来のタイヤとホイールの位相合わせ装置の概略原理を示した説明図である。
【図17】図16の装置による大径タイヤの下ビード部の押し上げ状態を示した説明図である。
【図18】図16の装置による大径タイヤの回転状態を示した説明図である。
【図19】図16の装置による小径タイヤの下ビード部の押し上げ状態を比較した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図3は、本発明に係るタイヤとホイールの位相合わせ装置における概略原理の一例を示したものである。この装置は、図1に示すように、マウント後の係合状態にあって空気未充填のタイヤとホイールが載置される昇降及び回転自在のホイールテーブル200、ホイールにマウントされた小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブル300、タイヤの下ビード部を押し上げる筒型などのタイヤ下ビード押圧部400、ホイールテーブル200の上方にあって、ホイールを固定するためのセンターコーンを有するホイール位置決め部500、このホイール位置決め部500の部分に付設されて、ホイールにマウントされたタイヤの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラ600、タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラ700、これらの各当接及び回転ローラ600、700のなす外径のサイズを調整するサイズ調整機構800などを備えてなる。
【0023】
そして、タイヤとホイールのマークの位相合わせ時には、外部から搬入される空気未充填のタイヤTがマウントされたホイールWを、ホイールテーブル200に載置させる。
このとき、対象のタイヤが「大径タイヤ」のときには、図2に示すように、タイヤ下ビード押圧部400で、タイヤTの下ビード部を押し上げる一方、タイヤTの上ビード部を、タイヤ用当接ローラ600で押し下げて、タイヤTをホイールWから離間させる。
この後、ホイール側はホイールテーブル200の回転により回転させ、タイヤ側はタイヤ用回転ローラ700の回転により回転させる。この回転下で、CCDなどのカメラにより、タイヤとホイールのマークを検出して、位相合わせを行う。
ここで、タイヤは、タイヤ用回転ローラ700の回転により回転させられるため、タイヤ部分の移動距離は、タイヤサイズに関係なく、一定となる。この結果、マークのスムーズな検出が可能となる。
【0024】
一方、対象のタイヤが「小径タイヤ」のときには、図3に示すように、アウターホイールテーブル300で、タイヤTの下ビード部を押し上げる一方、タイヤTの上ビード部をタイヤ用当接ローラ600で押し下げて、タイヤTをホイールWから離間させる。
なお、このとき、「大径タイヤ」で用いられたタイヤ下ビード押圧部400は、上昇せず、下降状態のままに維持される。この後は 上記「大径タイヤ」の場合と同様にして、タイヤとホイールのマークを検出して、位相合わせを行う。タイヤが、タイヤ用回転ローラ700の回転により回転させられる点も同じである。
ここで、タイヤTの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブル300は、「小径タイヤ」のときにのみ上昇するものである。タイヤ下ビード押圧部400の内側にあって、小径なため、「小径タイヤ」に対してスムーズに対応することができる。「大径タイヤ」の使用時には、ホイールテーブル200の一部をなし、省スペース化が図られている。
【0025】
次に、このような概略原理からなる、本発明に係るタイヤとホイールの位相合わせ装置を、図4〜図15で、より具体的に詳説する。
図中、100は矩形の適宜部分に立設された複数の立設柱体101と矩形の各側面の上下や中間部分に組み付けられた複数本の水平部材102からなる概略直方体形状の機枠、
200は機枠100の下方から中間寄りに掛けて昇降及び回転自在に設置され、かつ外部から搬入される前記空気未充填のタイヤTがマウントされたホイールWが載置されるホイールテーブル、300はホイールテーブル200の外周に昇降自在に設置されて、ホイールにマウントされた小径タイヤTの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブル、
400はアウターホイールテーブル300の外周に昇降自在及び回転可能に設置されて、ホイールWにマウントされた大径タイヤTの下ビード部を押し上げる大径タイヤビード押圧部、500は機枠100の上端に昇降自在に設置され、ホイールテーブルに載置されたホイールWのセンタ孔に挿入されて位置決めするためのホイール位置決め部、
600はホイール位置決め部500に付設され、かつその複数個がタイヤT及びホイールWの大きさに合わせて拡縮して、ホイールWにマウントされたタイヤTの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラ、700はホイール位置決め部500に付設され、かつその複数個がタイヤT及びホイールWの大きさに合わせて拡縮して、ホイールWから切り離されたタイヤTに当接して当該タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラ、
800は複数のタイヤ用当接ローラ600及びタイヤ用回転ローラ700のなす外径の大きさを拡縮させるサイズ調整機構、900はホイールWのマークやタイヤTのマークを検出するマーク検出手段である。
【0026】
上記ホイールテーブル200は、機枠100の下方から中間寄りの中央部分に昇降及び回転自在に設置され、この部分には、図5に示すように、機枠100の中間部分の水平方向に設けられた搬送コンベア108により、外部から搬送されてきた空気未充填のタイヤTがマウントされたホイールWが載置される。
【0027】
このホイールテーブル200のより具体的な構成は、その周縁部が円錐台形状で、この外周には、図6に示すように、この周縁部の円錐台形状から連続した円錐形状をなす筒型のアウターホイールテーブル300が設置されている。ホイールテーブル200全体の昇降は、図4に示すように、機枠100に設置されたシリンダなどの昇降機構110により、ホイールテーブル200が組み付けられたフレームユニット103が昇降することで行われる。
【0028】
ホイールテーブル200の回転は、図4に示す、これが連結されたセンターの中心軸201を、この軸下端に連結されたプーリ202、図5に示す、伝動チェンなどの伝動手段203を介して、電動モータなどの駆動源M1により行われる。
【0029】
アウターホイールテーブル300は、筒型の下端側が絞り込まれて縮径部301とし、この縮径部301が、図6〜図7に示すように、中心軸201に固着されたエア駆動式の昇降機構310を介して、回転可能に装着されている。即ち、昇降機構310の下端の固定部311が中心軸201に固着される一方、この固定部311に載る昇降機構310の可動部312は、外部の圧搾空気の供給・排出によって、拡縮するゴムなどの弾性体のダイヤフラム部313により、昇降される。この可動部312の外周と昇降機構310の下端の固定部311との間には、回転用のベアリング314が装着してあって、アウターホイールテーブル300側が回転可能となっている。昇降機構310の下端の固定部311とセンターの中心軸201との間には、クラッチ機構320が設けてある。このクラッチ機構320は、その構造は特に限定されないが、例えば、図7に示すように、クラッチ部材321の上端内側に設けた上下方向のギヤ溝(スプライン溝)321aが、中心軸201の外周に固着された外周部材の外側に設けた上下方向のギヤ溝(スプライン溝)との噛み合う構造としてある。これにより、昇降機構310の可動部312が上昇したとき、自動的に解除され、可動部312の下降すると、自動的に固定されるようになっている。
【0030】
従って、本装置が、「大径タイヤ」に対応するときには、昇降機構310を下降状態にして、アウターホイールテーブル300の上端の円錐形状部分を、ホイールテーブル200の上面の円錐台形状部分の傾斜面に合わせておく。このとき、クラッチ機構320は固定状態をとる。
【0031】
本装置が、「小径タイヤ」に対応するときには、昇降機構310を駆動させて、即ち、ダイヤフラム部313を拡張(膨張)させて、可動部312を上昇させる。このとき、クラッチ機構320は、自動的に解除される。
そうすると、アウターホイールテーブル300の上端の円錐形状部分は、ホイールテーブル200の上面から飛び出るため、タイヤTの下ビード部を押し上げることになる。
この状態では、昇降機構310の可動部312が回転フリーであるため、このタイヤTを、タイヤ用回転ローラ700で自在に回転させることができる。
【0032】
大径タイヤビード押圧部(ビード剥部)400は、筒型の下端側が絞り込まれて縮径部401とし、この縮径部401が、図6に示すように、中心軸201に固着されたエア駆動式の昇降機構410を介して、回転可能に装着されている。即ち、昇降機構410の下端の固定部411が中心軸201に固着される一方、この固定部411に載る昇降機構410の可動部412は、外部の圧搾空気の供給・排出によって、拡縮するゴムなどの弾性体のダイヤフラム部413により、昇降される。この可動部412の外周と昇降機構410の下端の固定部411との間には、回転用のベアリング414が装着してあって、大径タイヤビード押圧部400側が回転可能となっている。
【0033】
ホイール位置決め部500は、ホイールwを固定するためのセンターコーン501を有し、その昇降は、機枠100の上端側のフレームユニット104部分に固着されたシリンダなどの昇降機構120により行われる。即ち、ホイール位置決め部500の中心軸502が、昇降機構120の昇降ロッド(図示省略)に昇降可能に連結されている。
また、このフレームユニット104は、図4〜図5に示すように、立設柱体101の上端部に設けた昇降ガイド軸部105、105に昇降可能に装着された横フレーム部材106や縦フレーム部材107と一体化されている。そして、上端の水平部材102に設置されたシリンダなどの昇降機構130、130により、上記昇降機構120とは別に、昇降できるようにしてある。
【0034】
ホイール位置決め部500が取り付けられるフレームユニット104部分の下面側には、図8に示すように、複数ある各タイヤ用当接ローラ600や各タイヤ用回転ローラ700のなす外径の大きさを拡縮させるサイズ調整機構800を介して、これらの各ローラ600、700が配置されている。
【0035】
具体的には、図9に示すように、昇降機構120の昇降ロッドと連結されたホイール位置決め部500の中心軸502部分に対して、回動自在に装着させた下方の小径フランジ部材810と、この部材の少々上側に固着された矩形のフレーム板820が設けてある。
小径フランジ部材810の鍔部分には、複数(本例では7個)の小孔811が等間隔で設けてあって、これには、図10に示すように、複数のリンクバ830が回動自在に軸着させてある。なお、各リンクバ830のうち、図10中右下寄りの2個は、概略く字型として、隣接するバー間のスペースを広くして、マーク検出手段900である、CCDなどのカメラ用のスペースを確保している。
【0036】
一方、複数のリンクバ830の他端(外側)は、フレーム板820の底面側に、リンクバの数に対応して、その中心から放射状に取り付けられたリニアベアリング840のスライダ841に、矩形の受け金具842を介して、固着させてある。
この構造から、例えば図10中で、時計方向に小径フランジ部材810が回れば、図10中の破線で示すように、各リンクバ830の他端(外側)のなす外径の大きさは、縮小(縮径) することになる。逆の方向に回れば、拡張(拡径) することになる。
【0037】
この各リンクバ830のなす外径の拡縮は、図8、図10に示す、例えば2個のシリンダなどを連設させてなる伸縮機構850により行われる。この伸縮機構850は、フレーム板820の上面側に位置しているが、具体的には、図11に示すように、特殊な形状のアングル金具851を介して、持ち上げられる形で、リンクバ830のための受け金具842に取り付けられている。
【0038】
一方、この伸縮機構850の一方の伸縮ロッド850aは、継ぎ手部材852を介して、フレーム板820の上面側に固着された軸着ロッド853に軸着されている。この軸着ロッド853の固着は、その矩形の底板853a、矩形の補強用の受け金具854を介在させて補強してある。そして、受け金具854の伸縮機構本体側には、この伸縮機構本体の回り止め片855を設けてある。また、伸縮機構850の他方の伸縮ロッド850bは、アングル金具851の立設片部851aの係止穴851bに装着されている。
【0039】
この構造から、伸縮機構850の伸縮ロッド850a、850bを、例えば伸長させると、図8、図10において、ロッド全長が伸び、その応力が、アングル金具851、リニアベアリング840、1本のリンクバ830を介して、小径フランジ部材810に作用して、図10中、半時計方向に回る。この結果、図10中の実線で示すように、各リンクバ830の他端(外側)のなす外径の大きさは、拡張(拡径) する。
一方、伸縮機構850の伸縮ロッド850a、850bを、例えば収縮させると、図8、図10において、ロッド全長が縮み、その応力が、上記と同様にして、図10中、逆方向、即ち時計方向に回る。この結果、図10中の破線で示すように、各リンクバ830の他端(外側)のなす外径の大きさは、縮小(縮径) する。
このとき、伸縮機構850は2シリンダなどの連設構造であるため、微細なストロークに対応することができる。つまり、豊富なサイズ調整を可能とする優れたサイズ調整機構800が得られる。
【0040】
各リンクバ830の他端(外側)が軸着されたリニアベアリング840部分の受け金具842には、図12〜図13に示すように、複数の吊り部材610、620、630を介して、タイヤ用当接ローラ600が取り付けられている。具体的には、平板状の吊り部材610の下端部分にタイヤ用当接ローラ600が回転自在に軸着されている。
【0041】
さらに、各タイヤ用当接ローラ600の受け金具842取り付けられたブロック板状の吊り部材620には(ただし、概略く字型のリンクバ830部分は除く)、図14に示すように、特殊な形状のアングル吊り部材710を介して、タイヤ用回転ローラ700が取り付けられている。具体的には、アングル吊り部材710の垂下部の軸受け部711にベアリング712、712を介して、軸着されたシャフト軸713に固着させてある。
【0042】
このアングル吊り部材710の軸受け部711の上端面のU字型などの係止部710aには、電動モータなどの駆動源M2が設置させてある。そして、駆動源M2の回転軸とタイヤ用回転ローラ700のシャフト軸713に固着された各プーリ713、713には、伝動ベルトなどの伝動手段714が連携させてある。
従って、駆動源M2の駆動により、タイヤ用回転ローラ700は回転される。
ここで、上述したように、CCDなどのマーク検出手段900のスペースが必要とされる、概略く字型のリンクバ830部分には、駆動源M2のスペースが確保し難いため、本例では、駆動源の設置を省略してあるが、これに限定されない。より小型で高性能の駆動源を採用すれば、解消することが可能である。
【0043】
このようにしてなる、サイズ調整機構800を含めた、各タイヤ用当接ローラ600及びタイヤ用回転ローラ700の部分の昇降は、上記したホイール位置決め部500の昇降用の昇降機構120により行われる。このとき、この昇降の微調整などは、上記した昇降機構130、130により、フレームユニット104を昇降させて行うことができる。
【0044】
タイヤT及びホイールWのマークを検出するCCDなどのマーク検出手段900は、図4、図10、図15に示すように、タイヤ用の2個の検出部911、912とホイールWの2個の検出部921、922の2セットからなる。例えば、図10中、それぞれのセットのタイヤTやホイールWの回転方向の前方に位置する検出部911、921は、回転減速用で、後方に位置する検出部912、922は、マーク位置決め用である。なお、回転減速用の検出部は2以上増設することもできる。
【0045】
これらのマーク検出手段900の各検出部911、912、921、922は、上述した、サイズ調整機構800の構成部分の一部に取り付けてあって、タイヤTやホイールWのサイズに合わせて、タイヤ用当接ローラ600やタイヤ用回転ローラ700のなす外径の大きさが拡縮すると、それに連動して所定の位置に移動するようになっている。
そして、図15に示すように、タイヤTのマークMtとホイールWのマークMwを、上方からモニタしている。このとき、タイヤTやホイールWのマーク面を照明するため、図15に示す如く、マーク検出手段900の近傍にライトなどの照明手段930、930を設けるとよい。照明によって、マーク検出手段900の検出能を高めることができる。
【0046】
次に、このような構造からなる本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置における作用について説明する。
【0047】
先ず、「大径タイヤ」の場合(上記図2に対応する場合)には、ホイールテーブル200に載置された空気未充填のタイヤTとホイールWに対応して、ホイール位置決め部500を昇降機構120により降下させる。そして、センターコーン501をホイールWのセンタ孔に挿入させて、位置決めして固定する。
【0048】
この状態で、タイヤ下ビード押圧部400を、エア駆動式の昇降機構410の駆動により、上昇させて、タイヤの下ビード部を押し上げる。これにより、タイヤの下ビード部は、ホイールWから離間される。
【0049】
これと同時に、上記のように、ホイール位置決め部500が降下すると、タイヤ用当接ローラ600やタイヤ用回転ローラ700も降下するため、タイヤの上ビード部は、複数のタイヤ用当接ローラ600に押し下げられる。これにより、タイヤの上ビード部は、ホイールWから離間される。また、複数のタイヤ用回転ローラ700は、タイヤの外側寄り(ショルダ部分)に当接される。
【0050】
次に、ホイールテーブル200の駆動源M1と各タイヤ用回転ローラ700の駆動源M2を駆動させて、タイヤTとホイールWを、例えば同方向に、所定の速度(マーク検出手段900の回転減速用の検出部911、921が検出できる速度)で回転させる。
そして、それぞれの回転減速用の検出部911、921が、タイヤTのマークMtやホイールWのマークMwを検出したら、各駆動源M1、M2の回転数を減速させる。
【0051】
この減速後、マーク検出手段900のマーク位置決め用の検出部912、922が、タイヤTのマークMtやホイールWのマークMwを検出したら、各駆動源M1、M2の回転を停止させる。マーク検出手段900の各検出部911、912、921、922は、タイヤTやホイールWの中心線上の同一の位置に設置してあるため、原理的には、この停止により、両マークMt、マークMwはマッチング(一致)される。
両マークMt、マークMw部分は、停止もマーク位置決め用の検出部912、922でモニタしてあるため、多少のずれや誤差は、例えば装置制御用のコントローラ(図示省略)に補正プログラムを格納しておいて、このプログラム制御で対応することができる。例えば、いずれか一方の駆動源M1、M2を少々駆動させて微調整すればよい。
【0052】
この前段階の減速制御の採用により、即ち、本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置の制御方法により、マーク位置決め用の検出部912、922側の負担が少なくて済み、より正確なマッチングが得られる。マッチングミスも起こり難く、一組のタイヤTとホイールWの回転からマッチングまでの時間は、約3秒程度で、迅速な作業性が得られる。
【0053】
また、ここで、タイヤTは、タイヤ用回転ローラ700により回転させられるため、タイヤのサイズが変わっても、マークMtの付されているタイヤ部分の移動距離は、一定に保持される。つまり、タイヤ用回転ローラ700のローラ径は一定であるから、その単位時間当たりの回転数を一定とすれば、ローラの外周長さは一定となる。このため、タイヤ部分の移動距離は、タイヤサイズに関係なく、一定となる。
従って、タイヤT側のマークMtを検出するマーク検出手段900にあっては、タイヤサイズに関係なく、同一の検出態様で済む。なお、ホイールW側にあっては、タイヤのサイズに対応させて、ホイールテーブル200の回転数を制御するものとする。
【0054】
次に、「小径タイヤ」の場合(上記図3に対応する場合)には、上記と同様、ホイールテーブル200に載置された空気未充填のタイヤTとホイールWに対応して、ホイール位置決め部500を昇降機構120により降下させる。そして、センターコーン501をホイールWのセンタ孔に挿入させて、位置決めして固定する。
【0055】
この状態で、アウターホイールテーブル300を、エア駆動式の昇降機構310の駆動により、上昇させて、タイヤの下ビード部を押し上げる。これにより、タイヤの下ビード部は、ホイールWから離間される。このとき、アウターホイールテーブル300のクラッチ機構320は自動的に解除される。なお、この際、タイヤ下ビード押圧部400は、下降状態のままとしておく。
【0056】
この後の動作や作用は、上述した、「大径タイヤ」の場合と同様である。勿論、マーク検出手段900における、タイヤTのマークMtやホイールWのマークMwのマッチングも同様に行われる。
【0057】
なお、以上の説明では、マーク検出手段900を、タイヤTのマークMt及びホイールWのマークMwの両方に対して、それぞれ2台一組としたが、本発明はこれに限定されない。タイヤTやホイールWのいずれか一方、又は両方を1台のマーク位置決め用のマーク検出手段で対応することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 機枠
200 ホイールテーブル
300 アウターホイールテーブル
400 タイヤ下ビード押圧部
500 ホイール位置決め部
600 タイヤ用当接ローラ
700 タイヤ用回転ローラ
800 サイズ調整機構
900 マーク検出手段
W ホイール
T タイヤ
M1 、M2 駆動源
Mt タイヤのマーク
Mw ホイールのマーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気未充填のタイヤとホイールのそれぞれの対応するマークを合わせるようにしたタイヤとホイールの位相合わせ装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤとホイールの位相合わせ装置に関しては、従来から種々の装置が既に提案されている。この種々の装置の場合、その性質上、搬送されてきた空気未充填のタイヤとホイールを所定の位置に保持し、位置決めした後、ホイールから一旦タイヤを離間させ、タイヤないしホイールをそれぞれ回転させて、対応するマークを合わせることが必要とされるため、これらの一連の工程部分を担う構成部分が組み合わされてなる。
【0003】
このような位相合わせ装置として、本出願人(後名称変更)も既に提案されている(特許文献1)。この装置の概略原理は、図16〜図19に示す如くである。
この装置では、図16に示すように、昇降及び回転自在とするホイールテーブル1の外周にタイヤの下ビード部を押し上げる筒型のタイヤ下ビード押圧部2があって、ホイールテーブル1の上方には、ホイールを固定するためのセンターコーンを有するホイール位置決め部3が昇降自在に垂下されている。このホイール位置決め部3の部分には、タイヤの上ビード部を押し下げる複数のタイヤ用当接ローラ4があって、各タイヤ用当接ローラ4のなす外径は、ホイール位置決め部3の部分などのサイズ調整機構5により、タイヤのサイズに対応するようになっている。
【0004】
そして、タイヤとホイールのマークの位相合わせ時には、図17に示すように、外部から搬入される空気未充填のタイヤTがマウントされたホイールWを、ホイールテーブル1に載置させ、この状態で、タイヤTの下ビード部を筒型のタイヤ下ビード押圧部2で押し上げる一方、タイヤTの上ビード部を複数のタイヤ用当接ローラ4で押し下げて、タイヤTをホイールWから切り離す(離間させる)。この後、ホイール側はホイールテーブル1の回転により回転させ、図18に示すように、タイヤ側はタイヤ下ビード押圧部2の回転により回転させる。この回転下で、CCDなどのカメラにより、タイヤとホイールのマークを検出して、位相合わせしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−278521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記図16〜図19の装置では、タイヤの下ビード部を押し上げる筒型のタイヤ下ビード押圧部2に対して、取り扱うタイヤ及びホイールの大きさが対応する範囲内であれば、特に問題はない。しかし、例えば、図19に示すように、もともとタイヤ下ビード押圧部2の大きさが、大径タイヤ用としてある場合、これで小径タイヤTs(タイヤ下ビード押圧部2の最適許容範囲に納まらないタイヤ)を取り扱うと、タイヤ下ビードが良好にホイールWから離間できないという問題があった。
つまり、タイヤ下ビード押圧部2の大きさが、大径タイヤのサイズに合わせてあるため、小径タイヤで、特に近年普及している偏平や超偏平タイヤの場合には、タイヤの外周付近の剛性の路面接地部に近い部分を押し上げることになり、タイヤ下ビードと離れた位置となる関係から、離間でき難くなるという問題である。
従って、この装置の場合、種々あるタイヤサイズに対して、3サイズ(3種類)のものに対応するのが限界であった。4サイズのものに対応するには、別のもう1台の同種装置を備えておく必要があり、結果としてコストアップ要因となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を改善すべくなされたもので、ホイールテーブルの外側に設けたアウターホイールテーブル、ホイール位置決め部側の付設しタイヤ用回転ローラ、少なくとも2台一組(回転減速用、マーク位置決め用)のマーク検出手段などの採用により、上記の問題点を改善するようにしたタイヤとホイールの位相合わせ装置及びその制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、マウント後の係合状態にあって空気未充填のタイヤとホイールのそれぞれの対応するマークを合わせるようにしたタイヤとホイールの位相合わせ装置であって、
機枠の下方から中間寄りに掛けて昇降及び回転自在に設置され、かつ外部から搬入される前記空気未充填のタイヤがマウントされたホイールが載置されるホイールテーブルと、
前記ホイールテーブルの外周に昇降自在に設置されて、前記ホイールにマウントされた小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブルと、
前記アウターホイールテーブルの外周に昇降自在及び回転可能に設置されて、前記ホイールにマウントされた大径タイヤの下ビード部を押し上げる大径タイヤビード押圧部と、
機枠の上端に昇降自在に設置され、前記ホイールテーブルに載置されたホイールのセンタ孔に挿入されて位置決めするためのホイール位置決め部と、
前記ホイール位置決め部に付設され、かつその複数個が前記タイヤ及びホイールの大きさに合わせて拡縮して、前記ホイールにマウントされたタイヤの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラと、
前記ホイール位置決め部に付設され、前記ホイールから切り離されたタイヤに当接して当該タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラと、
前記ホイールのマーク又は/及びタイヤのマークを検出するマーク検出手段とからなることを特徴とするタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0009】
請求項2記載の本発明は、前記タイヤ用当接ローラが複数個で、その複数個が前記タイヤ及びホイールの大きさに合わせて拡縮することを特徴する請求項1記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0010】
請求項3記載の本発明は、前記複数のタイヤ用当接ローラ及びタイヤ用回転ローラのなす外径の大きさを拡縮させるサイズ調整機構を、前記ホイール位置決め部に付設させてなることを特徴する請求項1又は2記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0011】
請求項4記載の本発明は、前記マーク検出手段が、前記サイズ調整機構に連動して移動できるようにしたことを特徴する請求項3記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0012】
請求項5記載の本発明は、前記マーク検出手段が、ホイール又は/及びタイヤのマーク位置の回転周方向に対して少なくとも2台設置されてなり、その回転前方側が回転減速用で、最後の回転後方側がマーク位置決め用であることを特徴する請求項3又は4記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置にある。
【0013】
請求項6記載の本発明は、前記請求項4記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、マーク検出手段がホイールのマーク又は/及びタイヤのマークを検出する迄は、ホイール用回転駆動源又はタイヤ用回転ローラの回転ローラ用回転駆動源によって、ホイールテーブル又はタイヤ用回転ローラを高速回転させる一方、ホイールのマーク又は/及びタイヤのマークが、前記回転減速用のマーク検出手段で検出されたら、対応するホイールテーブル又はタイヤ用回転ローラの回転を減速させ、この減速回転状態下で、前記マーク位置決め用のマーク検出手段で検出し、停止させることを特徴するタイヤとホイールの位相合わせ装置の制御方法にある。
【発明の効果】
【0014】
(1)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置によると、ホイールにマウントされた大径タイヤの下ビード部を押し上げる大径タイヤビード押圧部とは別に、ホイールテーブルの外周に、小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブルを設けてあるため、小径タイヤの位相合わせにも良好に対応することができる。
従って、大径タイヤビード押圧部とこの小径タイヤ用のアウターホイールテーブルの使い分けにより、1台の装置で、少なくとも4サイズ(例えば15〜19インチまでの4サイズ)のものに対応することができる。結果としてコストダウンが可能となる。勿論、小径タイヤに対して、アウターホイールテーブルがタイヤの下ビード部の最適押し上げ部分に対応することができるため、通常タイヤと同様、偏平や超偏平のものにも良好に対応できる。
【0015】
(2)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置によると、大径タイヤビード押圧部で支持されてホイールから切り離されたタイヤは、タイヤ用回転ローラにより、回転させられるため、安定かつ確実に回転させることができる。位相合わせ時、従来のように、大径タイヤビード押圧部の回動でタイヤを回転される場合、タイヤの自重で載るのみであるため、安定かつ確実な回転は困難であった。特にタイヤ側にホイールとのマウント用の潤滑剤などを塗布しているときには、この回転は困難であった。
【0016】
(3)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置によると、タイヤ用回転ローラを用いてタイヤを回転させるものであるため、タイヤサイズが変わっても、マークの付されているタイヤ部分の移動距離は、一定に保持することが容易にできる。つまり、タイヤ用回転ローラの単位時間当たりの回転数を一定とすれば、ローラの外周長さは一定であるため、タイヤ部分の移動距離は、タイヤサイズに関係なく、一定となる。
この結果、マークを検出しているCCDなどのカメラ、即ち、マーク検出手段側からみれば、タイヤ表面の移動速度が変化しないため、面倒な検出態様が求められることはない。
【0017】
(4)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、複数のタイヤ用当接ローラ及びタイヤ用回転ローラのサイズ調整機構を、前記ホイール位置決め部に付設させれば、装置の省スペース化が得られる。勿論、コストダウンにもなる。
【0018】
(5)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、マーク検出手段を、サイズ調整機構に連動して移動できるようにすれば、タイヤとホイールのサイズに合わせて駆動するマーク検出手段のための独自の機構が不要となるため、コストダウンが図られる。また、装置自体の省スペース化も得られる。
【0019】
(6)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、マーク検出手段を、ホイール又は/及びタイヤのマーク位置の回転周方向に対して、少なくとも2台設置し、その回転前方側を回転減速用とし、最後の回転後方側がマーク位置決め用とすれば、その使用により、迅速かつ正確なマークの位相合わせが可能となる。
【0020】
(7)本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置の制御方法において、マーク検出手段を少なくとも2台設置し、その回転前方側を回転減速用とし、最後の回転後方側がマーク位置決め用として使用すれば、迅速かつ正確なマークの位相合わせの制御方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るタイヤとホイールの位相合わせ装置の概略原理の一例を示した説明図である。
【図2】図1の装置による大径タイヤの取り扱い状態を示した説明図である。
【図3】図1の装置による小径タイヤの取り扱い状態を示した説明図である。
【図4】本発明に係るタイヤとホイールの位相合わせ装置の一例を示した部分縦断正面図である。
【図5】図4の装置を示した縦断側面図である。
【図6】図4の装置のアウターホイールテーブルとタイヤ下ビード押圧部を示した拡大縦断正面図である。
【図7】図4の装置のアウターホイールテーブルを示した拡大縦断正面図である。
【図8】図4の装置のホイール位置決め部、タイヤ用当接ローラ、及びサイズ調整機構部分を示した拡大縦断正面図である。
【図9】図4の装置のホイール位置決め部、タイヤ用当接ローラ、及びサイズ調整機構部分を示した概略分解斜視図である。
【図10】図4の装置のホイール位置決め部、及びサイズ調整機構部分を示した拡大平面図である。
【図11】図4の装置のリニアベアリング、及び伸縮機構を示した概略分解斜視図である。
【図12】図4の装置のタイヤ用当接ローラの取り付け状態を示した概略分解斜視図である。
【図13】図4の装置のホイール位置決め部、タイヤ用当接ローラ、及びタイヤ用回転ローラなどの組み付け状態を示した概略斜視図である。
【図14】図4の装置のタイヤ用回転ローラ、及びその駆動源を示した概略分解斜視図である。
【図15】図4の装置におけるタイヤとホイールに対するマーク検出手段の配置関係をを示した拡大図である。
【図16】従来のタイヤとホイールの位相合わせ装置の概略原理を示した説明図である。
【図17】図16の装置による大径タイヤの下ビード部の押し上げ状態を示した説明図である。
【図18】図16の装置による大径タイヤの回転状態を示した説明図である。
【図19】図16の装置による小径タイヤの下ビード部の押し上げ状態を比較した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図3は、本発明に係るタイヤとホイールの位相合わせ装置における概略原理の一例を示したものである。この装置は、図1に示すように、マウント後の係合状態にあって空気未充填のタイヤとホイールが載置される昇降及び回転自在のホイールテーブル200、ホイールにマウントされた小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブル300、タイヤの下ビード部を押し上げる筒型などのタイヤ下ビード押圧部400、ホイールテーブル200の上方にあって、ホイールを固定するためのセンターコーンを有するホイール位置決め部500、このホイール位置決め部500の部分に付設されて、ホイールにマウントされたタイヤの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラ600、タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラ700、これらの各当接及び回転ローラ600、700のなす外径のサイズを調整するサイズ調整機構800などを備えてなる。
【0023】
そして、タイヤとホイールのマークの位相合わせ時には、外部から搬入される空気未充填のタイヤTがマウントされたホイールWを、ホイールテーブル200に載置させる。
このとき、対象のタイヤが「大径タイヤ」のときには、図2に示すように、タイヤ下ビード押圧部400で、タイヤTの下ビード部を押し上げる一方、タイヤTの上ビード部を、タイヤ用当接ローラ600で押し下げて、タイヤTをホイールWから離間させる。
この後、ホイール側はホイールテーブル200の回転により回転させ、タイヤ側はタイヤ用回転ローラ700の回転により回転させる。この回転下で、CCDなどのカメラにより、タイヤとホイールのマークを検出して、位相合わせを行う。
ここで、タイヤは、タイヤ用回転ローラ700の回転により回転させられるため、タイヤ部分の移動距離は、タイヤサイズに関係なく、一定となる。この結果、マークのスムーズな検出が可能となる。
【0024】
一方、対象のタイヤが「小径タイヤ」のときには、図3に示すように、アウターホイールテーブル300で、タイヤTの下ビード部を押し上げる一方、タイヤTの上ビード部をタイヤ用当接ローラ600で押し下げて、タイヤTをホイールWから離間させる。
なお、このとき、「大径タイヤ」で用いられたタイヤ下ビード押圧部400は、上昇せず、下降状態のままに維持される。この後は 上記「大径タイヤ」の場合と同様にして、タイヤとホイールのマークを検出して、位相合わせを行う。タイヤが、タイヤ用回転ローラ700の回転により回転させられる点も同じである。
ここで、タイヤTの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブル300は、「小径タイヤ」のときにのみ上昇するものである。タイヤ下ビード押圧部400の内側にあって、小径なため、「小径タイヤ」に対してスムーズに対応することができる。「大径タイヤ」の使用時には、ホイールテーブル200の一部をなし、省スペース化が図られている。
【0025】
次に、このような概略原理からなる、本発明に係るタイヤとホイールの位相合わせ装置を、図4〜図15で、より具体的に詳説する。
図中、100は矩形の適宜部分に立設された複数の立設柱体101と矩形の各側面の上下や中間部分に組み付けられた複数本の水平部材102からなる概略直方体形状の機枠、
200は機枠100の下方から中間寄りに掛けて昇降及び回転自在に設置され、かつ外部から搬入される前記空気未充填のタイヤTがマウントされたホイールWが載置されるホイールテーブル、300はホイールテーブル200の外周に昇降自在に設置されて、ホイールにマウントされた小径タイヤTの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブル、
400はアウターホイールテーブル300の外周に昇降自在及び回転可能に設置されて、ホイールWにマウントされた大径タイヤTの下ビード部を押し上げる大径タイヤビード押圧部、500は機枠100の上端に昇降自在に設置され、ホイールテーブルに載置されたホイールWのセンタ孔に挿入されて位置決めするためのホイール位置決め部、
600はホイール位置決め部500に付設され、かつその複数個がタイヤT及びホイールWの大きさに合わせて拡縮して、ホイールWにマウントされたタイヤTの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラ、700はホイール位置決め部500に付設され、かつその複数個がタイヤT及びホイールWの大きさに合わせて拡縮して、ホイールWから切り離されたタイヤTに当接して当該タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラ、
800は複数のタイヤ用当接ローラ600及びタイヤ用回転ローラ700のなす外径の大きさを拡縮させるサイズ調整機構、900はホイールWのマークやタイヤTのマークを検出するマーク検出手段である。
【0026】
上記ホイールテーブル200は、機枠100の下方から中間寄りの中央部分に昇降及び回転自在に設置され、この部分には、図5に示すように、機枠100の中間部分の水平方向に設けられた搬送コンベア108により、外部から搬送されてきた空気未充填のタイヤTがマウントされたホイールWが載置される。
【0027】
このホイールテーブル200のより具体的な構成は、その周縁部が円錐台形状で、この外周には、図6に示すように、この周縁部の円錐台形状から連続した円錐形状をなす筒型のアウターホイールテーブル300が設置されている。ホイールテーブル200全体の昇降は、図4に示すように、機枠100に設置されたシリンダなどの昇降機構110により、ホイールテーブル200が組み付けられたフレームユニット103が昇降することで行われる。
【0028】
ホイールテーブル200の回転は、図4に示す、これが連結されたセンターの中心軸201を、この軸下端に連結されたプーリ202、図5に示す、伝動チェンなどの伝動手段203を介して、電動モータなどの駆動源M1により行われる。
【0029】
アウターホイールテーブル300は、筒型の下端側が絞り込まれて縮径部301とし、この縮径部301が、図6〜図7に示すように、中心軸201に固着されたエア駆動式の昇降機構310を介して、回転可能に装着されている。即ち、昇降機構310の下端の固定部311が中心軸201に固着される一方、この固定部311に載る昇降機構310の可動部312は、外部の圧搾空気の供給・排出によって、拡縮するゴムなどの弾性体のダイヤフラム部313により、昇降される。この可動部312の外周と昇降機構310の下端の固定部311との間には、回転用のベアリング314が装着してあって、アウターホイールテーブル300側が回転可能となっている。昇降機構310の下端の固定部311とセンターの中心軸201との間には、クラッチ機構320が設けてある。このクラッチ機構320は、その構造は特に限定されないが、例えば、図7に示すように、クラッチ部材321の上端内側に設けた上下方向のギヤ溝(スプライン溝)321aが、中心軸201の外周に固着された外周部材の外側に設けた上下方向のギヤ溝(スプライン溝)との噛み合う構造としてある。これにより、昇降機構310の可動部312が上昇したとき、自動的に解除され、可動部312の下降すると、自動的に固定されるようになっている。
【0030】
従って、本装置が、「大径タイヤ」に対応するときには、昇降機構310を下降状態にして、アウターホイールテーブル300の上端の円錐形状部分を、ホイールテーブル200の上面の円錐台形状部分の傾斜面に合わせておく。このとき、クラッチ機構320は固定状態をとる。
【0031】
本装置が、「小径タイヤ」に対応するときには、昇降機構310を駆動させて、即ち、ダイヤフラム部313を拡張(膨張)させて、可動部312を上昇させる。このとき、クラッチ機構320は、自動的に解除される。
そうすると、アウターホイールテーブル300の上端の円錐形状部分は、ホイールテーブル200の上面から飛び出るため、タイヤTの下ビード部を押し上げることになる。
この状態では、昇降機構310の可動部312が回転フリーであるため、このタイヤTを、タイヤ用回転ローラ700で自在に回転させることができる。
【0032】
大径タイヤビード押圧部(ビード剥部)400は、筒型の下端側が絞り込まれて縮径部401とし、この縮径部401が、図6に示すように、中心軸201に固着されたエア駆動式の昇降機構410を介して、回転可能に装着されている。即ち、昇降機構410の下端の固定部411が中心軸201に固着される一方、この固定部411に載る昇降機構410の可動部412は、外部の圧搾空気の供給・排出によって、拡縮するゴムなどの弾性体のダイヤフラム部413により、昇降される。この可動部412の外周と昇降機構410の下端の固定部411との間には、回転用のベアリング414が装着してあって、大径タイヤビード押圧部400側が回転可能となっている。
【0033】
ホイール位置決め部500は、ホイールwを固定するためのセンターコーン501を有し、その昇降は、機枠100の上端側のフレームユニット104部分に固着されたシリンダなどの昇降機構120により行われる。即ち、ホイール位置決め部500の中心軸502が、昇降機構120の昇降ロッド(図示省略)に昇降可能に連結されている。
また、このフレームユニット104は、図4〜図5に示すように、立設柱体101の上端部に設けた昇降ガイド軸部105、105に昇降可能に装着された横フレーム部材106や縦フレーム部材107と一体化されている。そして、上端の水平部材102に設置されたシリンダなどの昇降機構130、130により、上記昇降機構120とは別に、昇降できるようにしてある。
【0034】
ホイール位置決め部500が取り付けられるフレームユニット104部分の下面側には、図8に示すように、複数ある各タイヤ用当接ローラ600や各タイヤ用回転ローラ700のなす外径の大きさを拡縮させるサイズ調整機構800を介して、これらの各ローラ600、700が配置されている。
【0035】
具体的には、図9に示すように、昇降機構120の昇降ロッドと連結されたホイール位置決め部500の中心軸502部分に対して、回動自在に装着させた下方の小径フランジ部材810と、この部材の少々上側に固着された矩形のフレーム板820が設けてある。
小径フランジ部材810の鍔部分には、複数(本例では7個)の小孔811が等間隔で設けてあって、これには、図10に示すように、複数のリンクバ830が回動自在に軸着させてある。なお、各リンクバ830のうち、図10中右下寄りの2個は、概略く字型として、隣接するバー間のスペースを広くして、マーク検出手段900である、CCDなどのカメラ用のスペースを確保している。
【0036】
一方、複数のリンクバ830の他端(外側)は、フレーム板820の底面側に、リンクバの数に対応して、その中心から放射状に取り付けられたリニアベアリング840のスライダ841に、矩形の受け金具842を介して、固着させてある。
この構造から、例えば図10中で、時計方向に小径フランジ部材810が回れば、図10中の破線で示すように、各リンクバ830の他端(外側)のなす外径の大きさは、縮小(縮径) することになる。逆の方向に回れば、拡張(拡径) することになる。
【0037】
この各リンクバ830のなす外径の拡縮は、図8、図10に示す、例えば2個のシリンダなどを連設させてなる伸縮機構850により行われる。この伸縮機構850は、フレーム板820の上面側に位置しているが、具体的には、図11に示すように、特殊な形状のアングル金具851を介して、持ち上げられる形で、リンクバ830のための受け金具842に取り付けられている。
【0038】
一方、この伸縮機構850の一方の伸縮ロッド850aは、継ぎ手部材852を介して、フレーム板820の上面側に固着された軸着ロッド853に軸着されている。この軸着ロッド853の固着は、その矩形の底板853a、矩形の補強用の受け金具854を介在させて補強してある。そして、受け金具854の伸縮機構本体側には、この伸縮機構本体の回り止め片855を設けてある。また、伸縮機構850の他方の伸縮ロッド850bは、アングル金具851の立設片部851aの係止穴851bに装着されている。
【0039】
この構造から、伸縮機構850の伸縮ロッド850a、850bを、例えば伸長させると、図8、図10において、ロッド全長が伸び、その応力が、アングル金具851、リニアベアリング840、1本のリンクバ830を介して、小径フランジ部材810に作用して、図10中、半時計方向に回る。この結果、図10中の実線で示すように、各リンクバ830の他端(外側)のなす外径の大きさは、拡張(拡径) する。
一方、伸縮機構850の伸縮ロッド850a、850bを、例えば収縮させると、図8、図10において、ロッド全長が縮み、その応力が、上記と同様にして、図10中、逆方向、即ち時計方向に回る。この結果、図10中の破線で示すように、各リンクバ830の他端(外側)のなす外径の大きさは、縮小(縮径) する。
このとき、伸縮機構850は2シリンダなどの連設構造であるため、微細なストロークに対応することができる。つまり、豊富なサイズ調整を可能とする優れたサイズ調整機構800が得られる。
【0040】
各リンクバ830の他端(外側)が軸着されたリニアベアリング840部分の受け金具842には、図12〜図13に示すように、複数の吊り部材610、620、630を介して、タイヤ用当接ローラ600が取り付けられている。具体的には、平板状の吊り部材610の下端部分にタイヤ用当接ローラ600が回転自在に軸着されている。
【0041】
さらに、各タイヤ用当接ローラ600の受け金具842取り付けられたブロック板状の吊り部材620には(ただし、概略く字型のリンクバ830部分は除く)、図14に示すように、特殊な形状のアングル吊り部材710を介して、タイヤ用回転ローラ700が取り付けられている。具体的には、アングル吊り部材710の垂下部の軸受け部711にベアリング712、712を介して、軸着されたシャフト軸713に固着させてある。
【0042】
このアングル吊り部材710の軸受け部711の上端面のU字型などの係止部710aには、電動モータなどの駆動源M2が設置させてある。そして、駆動源M2の回転軸とタイヤ用回転ローラ700のシャフト軸713に固着された各プーリ713、713には、伝動ベルトなどの伝動手段714が連携させてある。
従って、駆動源M2の駆動により、タイヤ用回転ローラ700は回転される。
ここで、上述したように、CCDなどのマーク検出手段900のスペースが必要とされる、概略く字型のリンクバ830部分には、駆動源M2のスペースが確保し難いため、本例では、駆動源の設置を省略してあるが、これに限定されない。より小型で高性能の駆動源を採用すれば、解消することが可能である。
【0043】
このようにしてなる、サイズ調整機構800を含めた、各タイヤ用当接ローラ600及びタイヤ用回転ローラ700の部分の昇降は、上記したホイール位置決め部500の昇降用の昇降機構120により行われる。このとき、この昇降の微調整などは、上記した昇降機構130、130により、フレームユニット104を昇降させて行うことができる。
【0044】
タイヤT及びホイールWのマークを検出するCCDなどのマーク検出手段900は、図4、図10、図15に示すように、タイヤ用の2個の検出部911、912とホイールWの2個の検出部921、922の2セットからなる。例えば、図10中、それぞれのセットのタイヤTやホイールWの回転方向の前方に位置する検出部911、921は、回転減速用で、後方に位置する検出部912、922は、マーク位置決め用である。なお、回転減速用の検出部は2以上増設することもできる。
【0045】
これらのマーク検出手段900の各検出部911、912、921、922は、上述した、サイズ調整機構800の構成部分の一部に取り付けてあって、タイヤTやホイールWのサイズに合わせて、タイヤ用当接ローラ600やタイヤ用回転ローラ700のなす外径の大きさが拡縮すると、それに連動して所定の位置に移動するようになっている。
そして、図15に示すように、タイヤTのマークMtとホイールWのマークMwを、上方からモニタしている。このとき、タイヤTやホイールWのマーク面を照明するため、図15に示す如く、マーク検出手段900の近傍にライトなどの照明手段930、930を設けるとよい。照明によって、マーク検出手段900の検出能を高めることができる。
【0046】
次に、このような構造からなる本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置における作用について説明する。
【0047】
先ず、「大径タイヤ」の場合(上記図2に対応する場合)には、ホイールテーブル200に載置された空気未充填のタイヤTとホイールWに対応して、ホイール位置決め部500を昇降機構120により降下させる。そして、センターコーン501をホイールWのセンタ孔に挿入させて、位置決めして固定する。
【0048】
この状態で、タイヤ下ビード押圧部400を、エア駆動式の昇降機構410の駆動により、上昇させて、タイヤの下ビード部を押し上げる。これにより、タイヤの下ビード部は、ホイールWから離間される。
【0049】
これと同時に、上記のように、ホイール位置決め部500が降下すると、タイヤ用当接ローラ600やタイヤ用回転ローラ700も降下するため、タイヤの上ビード部は、複数のタイヤ用当接ローラ600に押し下げられる。これにより、タイヤの上ビード部は、ホイールWから離間される。また、複数のタイヤ用回転ローラ700は、タイヤの外側寄り(ショルダ部分)に当接される。
【0050】
次に、ホイールテーブル200の駆動源M1と各タイヤ用回転ローラ700の駆動源M2を駆動させて、タイヤTとホイールWを、例えば同方向に、所定の速度(マーク検出手段900の回転減速用の検出部911、921が検出できる速度)で回転させる。
そして、それぞれの回転減速用の検出部911、921が、タイヤTのマークMtやホイールWのマークMwを検出したら、各駆動源M1、M2の回転数を減速させる。
【0051】
この減速後、マーク検出手段900のマーク位置決め用の検出部912、922が、タイヤTのマークMtやホイールWのマークMwを検出したら、各駆動源M1、M2の回転を停止させる。マーク検出手段900の各検出部911、912、921、922は、タイヤTやホイールWの中心線上の同一の位置に設置してあるため、原理的には、この停止により、両マークMt、マークMwはマッチング(一致)される。
両マークMt、マークMw部分は、停止もマーク位置決め用の検出部912、922でモニタしてあるため、多少のずれや誤差は、例えば装置制御用のコントローラ(図示省略)に補正プログラムを格納しておいて、このプログラム制御で対応することができる。例えば、いずれか一方の駆動源M1、M2を少々駆動させて微調整すればよい。
【0052】
この前段階の減速制御の採用により、即ち、本発明のタイヤとホイールの位相合わせ装置の制御方法により、マーク位置決め用の検出部912、922側の負担が少なくて済み、より正確なマッチングが得られる。マッチングミスも起こり難く、一組のタイヤTとホイールWの回転からマッチングまでの時間は、約3秒程度で、迅速な作業性が得られる。
【0053】
また、ここで、タイヤTは、タイヤ用回転ローラ700により回転させられるため、タイヤのサイズが変わっても、マークMtの付されているタイヤ部分の移動距離は、一定に保持される。つまり、タイヤ用回転ローラ700のローラ径は一定であるから、その単位時間当たりの回転数を一定とすれば、ローラの外周長さは一定となる。このため、タイヤ部分の移動距離は、タイヤサイズに関係なく、一定となる。
従って、タイヤT側のマークMtを検出するマーク検出手段900にあっては、タイヤサイズに関係なく、同一の検出態様で済む。なお、ホイールW側にあっては、タイヤのサイズに対応させて、ホイールテーブル200の回転数を制御するものとする。
【0054】
次に、「小径タイヤ」の場合(上記図3に対応する場合)には、上記と同様、ホイールテーブル200に載置された空気未充填のタイヤTとホイールWに対応して、ホイール位置決め部500を昇降機構120により降下させる。そして、センターコーン501をホイールWのセンタ孔に挿入させて、位置決めして固定する。
【0055】
この状態で、アウターホイールテーブル300を、エア駆動式の昇降機構310の駆動により、上昇させて、タイヤの下ビード部を押し上げる。これにより、タイヤの下ビード部は、ホイールWから離間される。このとき、アウターホイールテーブル300のクラッチ機構320は自動的に解除される。なお、この際、タイヤ下ビード押圧部400は、下降状態のままとしておく。
【0056】
この後の動作や作用は、上述した、「大径タイヤ」の場合と同様である。勿論、マーク検出手段900における、タイヤTのマークMtやホイールWのマークMwのマッチングも同様に行われる。
【0057】
なお、以上の説明では、マーク検出手段900を、タイヤTのマークMt及びホイールWのマークMwの両方に対して、それぞれ2台一組としたが、本発明はこれに限定されない。タイヤTやホイールWのいずれか一方、又は両方を1台のマーク位置決め用のマーク検出手段で対応することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 機枠
200 ホイールテーブル
300 アウターホイールテーブル
400 タイヤ下ビード押圧部
500 ホイール位置決め部
600 タイヤ用当接ローラ
700 タイヤ用回転ローラ
800 サイズ調整機構
900 マーク検出手段
W ホイール
T タイヤ
M1 、M2 駆動源
Mt タイヤのマーク
Mw ホイールのマーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウント後の係合状態にあって空気未充填のタイヤとホイールのそれぞれの対応するマークを合わせるようにしたタイヤとホイールの位相合わせ装置であって、
機枠の下方から中間寄りに掛けて昇降及び回転自在に設置され、かつ外部から搬入される前記空気未充填のタイヤがマウントされたホイールが載置されるホイールテーブルと、
前記ホイールテーブルの外周に昇降自在に設置されて、前記ホイールにマウントされた小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブルと、
前記アウターホイールテーブルの外周に昇降自在及び回転可能に設置されて、前記ホイールにマウントされた大径タイヤの下ビード部を押し上げる大径タイヤビード押圧部と、
機枠の上端に昇降自在に設置され、前記ホイールテーブルに載置されたホイールのセンタ孔に挿入されて位置決めするためのホイール位置決め部と、
前記ホイール位置決め部に付設され、前記ホイールにマウントされたタイヤの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラと、
前記ホイール位置決め部に付設され、かつその複数個が前記タイヤ及びホイールの大きさに合わせて拡縮して、前記ホイールから切り離されたタイヤに当接して当該タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラと、
前記ホイールのマーク又は/及びタイヤのマークを検出するマーク検出手段とからなることを特徴とするタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項2】
前記タイヤ用当接ローラが複数個で、その複数個が前記タイヤ及びホイールの大きさに合わせて拡縮することを特徴する請求項1記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項3】
前記複数のタイヤ用当接ローラ及びタイヤ用回転ローラのなす外径の大きさを拡縮させるサイズ調整機構を、前記ホイール位置決め部に付設させてなることを特徴する請求項1又は2記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項4】
前記マーク検出手段が、前記サイズ調整機構に連動して移動できるようにしたことを特徴する請求項3記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項5】
前記マーク検出手段が、ホイール又は/及びタイヤのマーク位置の回転周方向に対して少なくとも2台設置されてなり、その回転前方側が回転減速用で、最後の回転後方側がマーク位置決め用であることを特徴する請求項3又は4記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項6】
前記請求項4記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、
マーク検出手段がホイールのマーク又は/及びタイヤのマークを検出する迄は、ホイール用回転駆動源又はタイヤ用回転ローラの回転ローラ用回転駆動源によって、ホイールテーブル又はタイヤ用回転ローラを高速回転させる一方、ホイールのマーク又は/及びタイヤのマークが、前記回転減速用のマーク検出手段で検出されたら、対応するホイールテーブル又はタイヤ用回転ローラの回転を減速させ、この減速回転状態下で、前記マーク位置決め用のマーク検出手段で検出し、停止させることを特徴するタイヤとホイールの位相合わせ装置の制御方法。
【請求項1】
マウント後の係合状態にあって空気未充填のタイヤとホイールのそれぞれの対応するマークを合わせるようにしたタイヤとホイールの位相合わせ装置であって、
機枠の下方から中間寄りに掛けて昇降及び回転自在に設置され、かつ外部から搬入される前記空気未充填のタイヤがマウントされたホイールが載置されるホイールテーブルと、
前記ホイールテーブルの外周に昇降自在に設置されて、前記ホイールにマウントされた小径タイヤの下ビード部を押し上げるアウターホイールテーブルと、
前記アウターホイールテーブルの外周に昇降自在及び回転可能に設置されて、前記ホイールにマウントされた大径タイヤの下ビード部を押し上げる大径タイヤビード押圧部と、
機枠の上端に昇降自在に設置され、前記ホイールテーブルに載置されたホイールのセンタ孔に挿入されて位置決めするためのホイール位置決め部と、
前記ホイール位置決め部に付設され、前記ホイールにマウントされたタイヤの上ビード部を押し下げるタイヤ用当接ローラと、
前記ホイール位置決め部に付設され、かつその複数個が前記タイヤ及びホイールの大きさに合わせて拡縮して、前記ホイールから切り離されたタイヤに当接して当該タイヤを回転させるタイヤ用回転ローラと、
前記ホイールのマーク又は/及びタイヤのマークを検出するマーク検出手段とからなることを特徴とするタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項2】
前記タイヤ用当接ローラが複数個で、その複数個が前記タイヤ及びホイールの大きさに合わせて拡縮することを特徴する請求項1記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項3】
前記複数のタイヤ用当接ローラ及びタイヤ用回転ローラのなす外径の大きさを拡縮させるサイズ調整機構を、前記ホイール位置決め部に付設させてなることを特徴する請求項1又は2記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項4】
前記マーク検出手段が、前記サイズ調整機構に連動して移動できるようにしたことを特徴する請求項3記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項5】
前記マーク検出手段が、ホイール又は/及びタイヤのマーク位置の回転周方向に対して少なくとも2台設置されてなり、その回転前方側が回転減速用で、最後の回転後方側がマーク位置決め用であることを特徴する請求項3又は4記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置。
【請求項6】
前記請求項4記載のタイヤとホイールの位相合わせ装置において、
マーク検出手段がホイールのマーク又は/及びタイヤのマークを検出する迄は、ホイール用回転駆動源又はタイヤ用回転ローラの回転ローラ用回転駆動源によって、ホイールテーブル又はタイヤ用回転ローラを高速回転させる一方、ホイールのマーク又は/及びタイヤのマークが、前記回転減速用のマーク検出手段で検出されたら、対応するホイールテーブル又はタイヤ用回転ローラの回転を減速させ、この減速回転状態下で、前記マーク位置決め用のマーク検出手段で検出し、停止させることを特徴するタイヤとホイールの位相合わせ装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−11702(P2011−11702A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159676(P2009−159676)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000226600)株式会社アルティア (48)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000226600)株式会社アルティア (48)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
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