説明

タイヤの圧力低下を検出するための方法および装置

本発明は、ビークルの車輪のタイヤの圧力を監視する方法に関し、本方法は、安価な構成要素を使用して圧力の低下を検出して、極めて堅牢な診断を生成するために、車輪速度を測定するステップ(Etp01)を含み、ステップ(Etp01)は、特に、左前方車輪の速度と右後方車輪の速度との第1の和、ならびに右前方車輪の速度と左後方車輪の速度との第2の和を計算するステップ(Etp02)、第1の和から第2の和を減算した値に相当する差を計算するステップ(Etp03)、および、差の絶対値をしきい値と比較して、しきい値よりも大きな絶対値がタイヤの1つに圧力低下が検出されることを示すステップ(Etp04)により行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の分野に関する。本発明はより詳細にはビークルのタイヤの圧力低下の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの圧力を確認するシステムは、たとえば圧力センサに基づき、各タイヤはタイヤの圧力を表すデータを生成する圧力センサを装備され、そのような情報は中央装置により収集され、処理される。圧力センサが、たとえばタイヤ圧バルブの場所に配置される。しかし、情報を回復し処理するための中央装置、および各車輪のための圧力センサを有する、ビークルのそのような装置は高価である。
【0003】
米国特許出願公開第2007/061100号明細書がWRA(wheel radius analysis、車輪半径分析)構成要素、およびWVA(wheel vibration analysis、車輪振動分析)構成要素の相互使用を教示している。これらの2つの構成要素は、車輪角速度センサにより生成される情報を受け取り、結合され、タイヤの圧力差を決定するための、車輪の直径および車輪の振動周波数に関するデータを生成する。しかし教示される方法は複雑であり、正確で、かつ圧力差の結果を得ることができるだけの十分な計算能力を有する電子的構成要素を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、一方ではより強い確固とした計算結果を、他方ではタイヤの圧力を監視するための費用がかからない電子システムを供給するために、計算方法、およびそれに対応するのに必要な電子システムを簡略化する必要がある。
【0005】
したがって、費用がかからない構成要素を使用し、極めて堅牢な診断を生成して、圧力低下を検出することができるようにする、タイヤの圧力を監視する方法を提案することにより、従来技術の欠点の1つまたは複数を克服することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、左前方車輪の速度、右前方車輪の速度、右後方車輪の速度、および左後方車輪の速度を含むビークルの車輪の回転速度を、速度センサを使用して測定するステップを含む、ビークルの車輪のタイヤの圧力を監視する方法であって、
−左前方車輪の速度と右後方車輪の速度との第1の和を計算して記憶し、かつ右前方車輪の速度と左後方車輪の速度との第2の和を計算して記憶するステップと、
−第1の和から第2の和を減算した値に相当する第1の差を計算して記憶するステップと、
−第1の差の絶対値を、記憶された第1の最大しきい値と比較し、第1の差の絶対値が第1のしきい値を上回った場合に、タイヤの1つに圧力の低下が示されるステップと
を含むことを特徴とする方法により達成される。
【0007】
別の具体的な特徴によれば、計算された和はそれぞれ、1/2の係数により重み付けされ、平均値に対応する。
【0008】
別の具体的な特徴によれば、第1の差の絶対値を第1のしきい値と比較するステップに続いて、第1の差の絶対値が第1のしきい値を上回った場合にタイヤの1つの圧力低下を示す警告信号を送信するステップを行なう。
【0009】
別の具体的な特徴によれば、方法は、
−ハンドル位置センサにより決定された、ビークルを誘導するためのハンドルの位置および速度が、ビークルがまっすぐ前方に誘導される安定した方向に対応することを確認するステップと、
−左前方車輪の速度と左後方車輪の速度との第3の和を計算して記憶し、かつ右前方車輪の速度と右後方車輪の速度との第4の和を計算して記憶するステップと、
−第3の和から第4の和を減算した差に相当する第2の差を計算して記憶するステップと
を含む。
【0010】
別の具体的な特徴によれば、方法は次に、第2の差の絶対値を、記憶された第2の最大しきい値と比較し、第2の差の絶対値が第2のしきい値を上回った場合に、ビークルがまっすぐ前方に誘導されているときのタイヤの1つの圧力低下の確認を表すステップを行う。
【0011】
別の具体的な特徴によれば、方法は、
−右前方車輪が、第1の差の正符号および第2の差の正符号と関連付けられ、
−右後方車輪が、第1の差の負符号および第2の差の正符号と関連付けられ、
−左後方車輪が、第1の差の正符号および第2の差の負符号と関連付けられ、
−左前方車輪が、第1の差の負符号および第2の差の負符号と関連付けられるように、車輪の各々を第1の差および第2の差の符号の固有の組合せと関連付ける記憶されたテーブルを使用して、タイヤに圧力低下がある車輪を決定するステップを含む。
【0012】
別の具体的な特徴によれば、各車輪が圧力センサを装備しており、方法は次に、その車輪の圧力センサを監視することにより決定される車輪の圧力低下を確認するステップを行う。
【0013】
圧力センサは、たとえばタイヤの圧力値または圧力低下のより正確な偶数の情報を得るため、あるいは2つのタイヤの圧力の差を得るために使用できる。
【0014】
別の具体的な特徴によれば、方法は、次に、決定された車輪の圧力低下を示す警告信号を送信するステップを行う。
【0015】
別の具体的な特徴によれば、方法は、前もって、ビークルの車輪の速度センサを較正するステップが行われる。
【0016】
本発明の別の目的が、安価な構成要素を使用して圧力低下を検出することができるようにし、かつ極めて堅牢な診断を生成する、タイヤの圧力を監視するための装置を提供することである。
【0017】
この目的は、左前方車輪の速度、右前方車輪の速度、右後方車輪の速度、および左後方車輪の速度を含む、ビークルの車輪の回転速度を測定する速度センサを含む、ビークルの車輪のタイヤの圧力を監視するための装置であって、
−左前方車輪の速度と右後方車輪の速度との第1の和を計算して記憶し、かつ右前方車輪の速度と左後方車輪の速度との第2の和を計算して記憶するためのモジュールと、
−第1の和から第2の和を減算した値に相当する第1の差を計算して記憶するためのモジュールと、
−第1の差の絶対値を、記憶された第1の最大しきい値と比較し、第1の差の絶対値が第1のしきい値を上回った場合にタイヤの1つに圧力低下を示すためのモジュールと
を含むことを特徴とする装置により達成される。
【0018】
別の具体的な特徴によれば、装置は、
−ハンドル位置センサにより決定された、ビークルを誘導するためのハンドルの位置および速度が、まっすぐ前方に誘導されるビークルの安定した方向に対応することを確認するためのモジュールと、
−左前方車輪の速度と左後方車輪の速度との第3の和を計算して記憶し、かつ右前方車輪の速度と右後方車輪の速度との第4の和を計算して記憶するためのモジュールと、
−第3の和から第4の和を減算した差に相当する第2の差を計算して記憶するためのモジュールと、
−右前方車輪が、第1の差の正符号および第2の差の正符号と関連付けられ、
−右後方車輪が、第1の差の負符号および第2の差の正符号と関連付けられ、
−左後方車輪が、第1の差の正符号および第2の差の負符号と関連付けられ、
−左前方車輪が、第1の差の負符号および第2の差の負符号と関連付けられるように、車輪の各々を第1の差および第2の差の符号の固有の組合せと関連付ける記憶されたテーブルを使用して、タイヤに圧力低下がある車輪を決定するためのモジュールと
を含む。
【0019】
本発明は、本発明の特徴および本発明の有利な点が限定しない例として示され、本明細書で以下に参照される図面を参照して示される説明を読むことでよりはっきりと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による測定される速度の組合せの図を表す。
【図2】本発明による方法を支援する例示的ハードウェアアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明による例示的監視方法を表す図である。
【図4】本発明による例示的監視方法を表す図である。
【図5】本発明による監視装置の例示的構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明が上述の図を参照して説明される。
自動車がたとえば、
−右前方車輪用回転速度センサ(AVD)、
−左前方車輪用回転速度センサ(AVG)、
−右後方車輪用回転速度センサ(ARD)、および
−左後方車輪用回転速度センサ(ARG)、を装備される。
【0022】
制限しない方法では、これらの回転速度センサは、ABSとも呼ばれるアンチロック・ブレーキ・システムの速度センサにより実現されることができる。各車輪について別のタイプの角速度センサも使用されることができる。
【0023】
速度センサは、たとえば各車輪の角速度を表すデータ(Vit_AVD、Vit_AVG、Vit_ARD、Vit_ARG)、または各車輪について決定された角距離を範囲に含む継続時間を表すデータを生成し、そのデータからたとえば車輪の回転速度が計算される。角速度センサは、たとえば計算するためおよびメモリ(MEM)に読み書きするための成分(P)を含むこれらのデータを処理するために、通信リンクを介してセンサが生成するデータを装置に送信する。車輪速度データは、たとえば車輪速度データを処理するための蓄積プログラムを実行するビークルのECU(エンジン制御ユニット)により処理されることができる。制限しない方法では、メモリ(MEM)はプログラム記憶領域、一時的計算データ記憶領域、および変数または結果を記憶するための領域を含む。
【0024】
活動モジュールがそれぞれ、たとえば記憶されたプログラムにより実現され、1つまたは複数の決定された機能を生み出すために処理構成要素により実行される。処理プログラムには、たとえば記憶テーブルを使用して処理中に連続して得られるすべての中間結果を記憶するために使用されることができる少なくとも1つのサブルーチンが提供されることが理解されよう。適切な情報(現在処理されているデータまたは信号の一部、前の操作の結果など)を回復するように構成される計算モジュールにより様々な計算アルゴリズムがそれぞれ使用される。
【0025】
タイヤの圧力を監視する装置が、たとえば車輪のタイヤの1つの圧力低下の検出を表すデータ(dep_diag)、またはタイヤに圧力低下がある決定された車輪の指示を表すデータ(design_R)を生成する。
【0026】
ここで、例示的監視方法が説明される。制限しない方法では、速度センサを較正するステップ(Etp00)が、たとえば速度測定ステップの前に実行される。速度センサを較正するためのモジュール(B01)が、たとえばこのステップ(Etp00)で速度センサ(AVD、AVG、ARD、ARG)を初期化する指令を送信する。実際には各車輪が、タイヤが新しく、同じ圧力まで膨らませられたとき、サイドウォールのサイズ、および各車輪の直径が同一のタイヤ取り付けを有する。較正ステップは、たとえばタイヤの摩耗、または前方車輪列と後方車輪列の圧力差を考慮することができるようにする。この較正作業は、たとえばビークルのタイヤの圧力を調整した後に、およびコンベヤベルト上にビークルを配置することにより、または直線移動中に初期化を開始することにより実行されることができる。タイヤの摩耗を考慮することにより、とりわけ圧力差を不正確に検出することができないようになる。
【0027】
センサが較正された後(Cond00)、たとえば、車輪速度、すなわちハンドルの速度およびハンドルの位置を得て記憶する次ステップ(Etp01)が実行される。速度センサにより生成されるデータ(Vit_AVD、Vit_AVG、Vit_ARD、Vit_ARG)が、たとえばメモリ内に記憶される、またはこれらの測定された速度を使用して平均速度を計算するモジュール(B02)に送信される。ハンドルの角度位置(Ang_vol)およびハンドルの角速度(Vit_vol)を表す、ハンドル用位置センサ(VOL1)により生成されるデータが、たとえばメモリ内に記憶される、またはハンドルの位置および速度を確認するためのモジュール(B05)に送信される。
【0028】
測定されたパラメータが記憶された後(Cond01)、たとえば、左前方車輪および右後方車輪の速度(Vit_AVG、Vit_ARD)の平均(MD1)を計算し、かつ右前方車輪および左後方車輪の速度(Vit_AVD、Vit_ARG)の平均(MD2)を計算する次ステップ(Etp02)が実行される。1/2で重み付けされた和に対応するこれらの平均は、とりわけ図1の略図で対角線として表される。たとえば、平均を計算するモジュール(B02)がこれらの平均を計算し、対角線でとられるこれらの平均を表すデータ(MD1、MD2)が、たとえばメモリ内に記憶される、または平均を処理するためのモジュール(B03)に送信される。たとえば、記憶されたデータ間の以下の等式が確認される。
MD1=(Vit_AVG+Vit_ARD)/2
MD2=(Vit_AVD+Vit_ARG)/2
【0029】
対角線でとられた平均が記憶された後(Cond02)、たとえば対角線でとられた平均間の差(ecart_diag)を計算するステップが実行される(Etp03)。平均の差を計算するためのモジュール(B03)が、たとえば第1の差(ecart_diag)に対応する、左前方車輪および右後方車輪の速度の平均(MD1)と、右前方車輪および左後方車輪の速度の平均(MD2)の減算を実行する。たとえば、記憶されたデータ間の以下の等式が確認される。
ecart_diag=MD1−MD2
【0030】
第1の計算された差を表す記憶されたデータは、第1の計算された差の絶対値および符号を現す。たとえば、第1の計算された差の符号を表す変数(sign_diag)が初期化される。
【0031】
第1の差が記憶された後(Cond03)、たとえば、第1の差の絶対値を第1の最大しきい値(seuil_diag)と比較する次ステップ(Etp04)が、記憶された最大しきい値(seuil_diag、seuil_cot)と差を比較するためのモジュール(B04)により実行される。このモジュール(B04)は、たとえば第1の差(ecart_diag)の絶対値を計算し、この絶対値を第1の決定されたしきい値(seuil_diag)と比較して、対角線でとられた平均での差しきい値の超過を表す変数(dep_diag)を更新する。この変数は、たとえばしきい値が超過されない場合、ゼロにセットされる、または最大しきい値が超過された値に対応する非ゼロ値にセットされる。
【0032】
(Cond041)第1の差(ecart_diag)の絶対値が第1のしきい値(seuil_diag)よりも大きい場合、たとえば空気が抜けたタイヤを示す警告信号を送信する次ステップ(Etp05)が警告管理モジュール、または別の決定されたアドレスに送信される。この状態は、たとえば対角線でとられた平均での差についてしきい値が超過されたことを表す出力変数(dep_diag)の非ゼロ値に対応し、たとえばこの変数(dep_diag)の値が読み出され、有利なことに、検出された欠陥の強さまたは激しさを表す。
【0033】
(Cond042)第1の差(ecart_diag)の絶対値が第1のしきい値(seuil_diag)以下である場合、たとえばタイヤの釣り合いに関係する成功確認(successful check)信号を送信する次ステップ(Etp06)が実行される。
【0034】
したがって、システムは、第1の差の絶対値を第1の最大しきい値と比較するステップ(Etp04)の終わりから、圧力低下またはパンクが4つのタイヤの1つで起きたかどうか決定する。システムは、たとえば運転手のダッシュボード上に示される警告信号を送信することができる。有利なことに、これらのステップ(Etp00、Etp01、Etp02、Etp03、Etp04、Etp05、Etp06)は、たとえば利用できるメモリ資源を節約し、かつプログラムをインストールするのに必要とされる資源を限定するために、ECU(エンジン制御ユニット)だけでプログラムされることができる。対角線対でとられる車輪速度の平均の差の計算は、実際にはタイヤの1つに圧力不足があるかどうかを独力で決定することができるようにする。対角線でとられた速度についてのこれらの平均、または等価な重み付けされた和は、有利なことに計算されることができ、ビークルが直線にいる、またはカーブ上にいるときに相変わらず正しい。対角線での速度の計算は曲がった軌跡で相変わらず正しいが、制限しない方法では、これらの平均は、タイヤスリップによるどんな測定誤差も避けるために、ビークルが直線にいるときに計算されることができる。圧力低下が全くないとき、対角線でとられた速度の平均は、実際には軌跡とは無関係に公差の許容範囲内まで同じである。
【0035】
制限しない方法では、(Cond05)検出された圧力低下を示す警告信号が検出された後、ビークルの安定した完全に直線方向に対応するハンドルの位置および速度を確認する次ステップ(Etp06)が確認される。ハンドルの位置を表すデータ(Ang_vol)が、たとえばまっすぐなハンドルに対応する公差の許容範囲内までの値の範囲に対してハンドルの位置を確認するためのモジュール(B05)により処理される。データ(Vit_vol)が、たとえばゼロハンドル速度に対応する値の範囲に従って公差の許容範囲内まで処理される。たとえば、それぞれの測定されたパラメータが、関連する試験範囲内におさまるとき、成功確認が示される。位置確認処理作業が満足された場合、モジュール(B05)が、たとえば出力変数(cond1)を「1」にセットし、そうでない場合「0」にセットする。
【0036】
右速度の平均と左平均の第2の差は、実際には自動車が車輪加速、またはロック、または遠心力型の力による圧力差を避けるために、直線にいるときに計算される。運転手により握られるハンドルの位置を監視する位置センサ(VOL1)が、自動車が実際に直線にあることを確認することができるようにする。較正は、たとえば2つの検出機能の感度を調節するために使用される。別の自動車安定センサも使用されることができる。
【0037】
制限しない方法では、ハンドルの安定した位置、および完全に直線位置にあることを確認するためのモジュールも、測定された速度に従って出力変数(cond1)を決定することができる。たとえば、回転した位置、またはビークルの方向転換の位置が、第2の差が第3の重要な決定されたしきい値を超過することにより検出されることができる。確認はまた、ハンドル位置センサを使用する必要なくタイヤのたわみを考慮するために、変速装置出力での総体速度と対角および側面の平均との比較からなることがあり、総体速度はより大きいとして監視されなければならない。総体速度はまた、ABSセンサに由来する情報から再構成されることができ、最も確かな値が望ましい。
【0038】
したがって、ビークルが直線で前方に進んでいる位置、あるいはビークルが超過圧力またはあるタイヤの圧力低下を伴う位置にいない位置を確認することは、圧力低下監視機能の確固さをさらに強化することができるようにする。
【0039】
(Cond06)ビークルの安定したまっすぐ前方の位置を確認した後、右にきられた車輪の速度(Vit_AVD、Vit_ARD)の平均(MCD)、および左にきられた車輪の速度(Vit_AVG、Vit_ARG)の平均(MCG)を計算する次ステップ(Etp07)が、たとえば平均を計算するためのモジュール(B02)により実行される。たとえば、記憶されたデータ間の以下の等式が確認される。
MCD=(Vit_AVD+Vit_ARD)/2
MCG=(Vit_AVG+Vit_ARG)/2
【0040】
(Cond07)これらの平均が記憶された後、右にきられた車輪の速度(Vit_AVD、Vit_ARD)の平均(MCD)と左にきられた車輪の速度(Vit_AVG、Vit_ARG)の平均(MCG)の第2の差(ecart_cot)を計算する次ステップ(Etp08)が、たとえば平均間の差を計算するためのモジュール(B03)により実行される。モジュール(B03)は、たとえば左にきられた速度の平均から右にきられた速度の平均を減算する計算を実行する。たとえば、記憶されたデータ間の以下の等式が確認される。
ecart_cot=MCG−MCD
【0041】
この差データ(ecart_cot)はとりわけ正または負の符号、および絶対値に対応する。この差の符号に対応する変数(sign_cot)が、たとえば初期化される、または更新される。
【0042】
(Cond08)第2の差(ecart_cot)が記憶された後、たとえば第2の差と記憶された第2の最大しきい値(seuil_cot)の間の比較の次ステップ(Etp09)が、差に関連する最大しきい値と差を比較するためのモジュール(B04)により実行される。第2の差の絶対値は、たとえばしきい値が超過されたかどうかを決定するために、関連する最大しきい値(seuil_cot)と比較される。変数(dep_cot)が、たとえばしきい値が超過されていない場合に「0」にセットされ、第2の最大しきい値を上回った場合に超過の激しさに対応する非ゼロ値にセットされる。
【0043】
(Cond092)超過が全く検出されず、かつ超過が前に検出され、かつ曲がらない軌跡が確認された場合、たとえば続いて起こるエラーが検出されたステップ(Etp11)が速度センサの較正のステップ(Etp00)へのスキップをもたらす。
【0044】
(Cond091)超過が検出された場合、4つの車輪の中から圧力低下がある車輪を決定する次ステップ(Etp10)が実行される。この決定は、たとえば各車輪(r_AVD、r_ARD、r_ARG、r_AVG)と前に計算された2つの差の符号の固有の組合せ、すなわち
−対角線でとられた速度の平均での第1の差(ecart_diag)の符号(sign_diag)、および
−右側または左側でとられた速度の平均での第2の差(ecart_cot)の符号(sign_cot)を関連付ける記憶されたテーブルを使用して実行される。
【0045】
図5に表されるように、右前方車輪(r_AVD)が、たとえば第1の差(ecart_diag)の正符号(pos)、および第2の差(ecart_cot)の正符号(pos)と関連付けられる。右後方車輪(r_ARD)が、たとえば第1の差(ecart_diag)の負符号(neg)、および第2の差(ecart_cot)の正符号(pos)と関連付けられる。左後方車輪(r_ARG)が、たとえば第1の差(ecart_diag)の正符号(pos)、および第2の差(ecart_cot)の負符号(neg)と関連付けられる。左前方車輪(r_AVG)が、たとえば第1の差(ecart_diag)の負符号(neg)、および第2の差(ecart_cot)の負符号(neg)と関連付けられる。
【0046】
表は、たとえば圧力低下がある車輪を指定するためのモジュール(B06)により記憶される。このモジュール(B06)は、たとえば出力変数(design_R)を車輪の1つに対応する値に、または指定条件が満たされない場合にはゼロにセットする。制限しない方法では、たとえば、圧力低下がある車輪を指定するためのモジュール(B06)は、たとえば記憶されたテーブルを読み出す前に予備試験を実行する。この予備試験は、たとえばハンドル位置変数およびしきい値超過変数がすべて非ゼロであることを確認することを伴い、そうでない場合、出力変数(design_R)をゼロにセットする。指定条件が満足された場合、圧力低下がある車輪が、表を読み出すことにより、および計算された差の符号を検査することにより決定され、次に、出力変数(design_R)が表内の車輪を指定する変数(r_AVD、r_ARD、r_ARG、r_AVG)の1つをとる。
【0047】
(Cond10)圧力低下がある車輪が決定された後、たとえば、圧力低下がある車輪を指定する警告信号を送信する次ステップ(Etp12)が実行される。
【0048】
別の例示的実施形態によれば、速度平均を計算するステップ(Etp07、Etp02)が同時に実行されることができる。差を計算するステップ(Etp08、Etp03)も同時に実行されることができ、差の最大しきい値と差を比較するステップ(Etp09、Etp04)も同時に実行されることができる。
【0049】
制限しない方法では、ゼロまたは非常に低いビークル速度の場合に計算を無効にするために、速度センサにより生成されるビークルの速度を表す変数が、たとえばモジュールの1つまたは複数により考慮されることができる。
【0050】
制限しない方法では、計算された差によるしきい値超過の検出が、たとえば警告状態への切り換えを引き起こす。警告状態は、たとえば検出または警告が消えた後に、決められた時間遅延が経過したときに取り消される。時間遅延の期間は、たとえば検出された欠陥の激しさに応じて初期化される。欠陥が消えるまで、関連する時間遅延がたとえば再初期化され、警告状態が維持される。次に、たとえば、欠陥が消え、かつ時間遅延が経過したとき、警告状態は取り消される。
【0051】
制限しない方法では、並行して動作するシステムを検証するために、タイヤの圧力を直接測定する方法、または圧力差を間接的に推測する複雑で扱いにくい方法と共に、圧力低下を検出する方法も並行して使用されることができる。
【0052】
本発明は、特許請求される本発明の範囲を逸脱することなく多数の別の特定の形態の実施形態を考慮に入れていることが当業者には明らかであるはずである。その結果、本実施形態は例示的として考えられるべきであるが、添付の請求項の範囲により規定される分野の範囲内で変更されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルの車輪のタイヤの圧力を監視する方法であって、左前方車輪の速度、右前方車輪の速度、右後方車輪の速度、および左後方の速度を含むビークルの車輪の回転速度を、速度センサを使用して測定するステップ(Etp01)を含み、
−左前方車輪の速度(Vit_AVG)と右後方車輪の速度(Vit_ARD)との第1の和(MD1)を計算して記憶し、かつ右前方車輪の速度(Vit_AVD)と左後方車輪の速度(Vit_ARG)との第2の和(MD2)を計算して記憶するステップ(Etp02)と、
−第2の和(MD2)から第1の和(MD1)を減算した値に相当する第1の差(ecart_diag)を計算して記憶するステップ(Etp03)と、
−第1の差(ecart_diag)の絶対値を、記憶された第1の最大しきい値(seuil_diag)と比較し、第1の差(ecart_diag)の絶対値が第1のしきい値を上回った場合にタイヤの1つに圧力低下が示されるステップ(Etp04)と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
計算された和の各々を係数1/2で重み付けして、平均値に対応させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の差(ecart_diag)の絶対値を第1の最大しきい値(seuil_diag)と比較するステップ(Etp04)の後で、第1の差(ecart_diag)の絶対値が第1のしきい値を上回った場合には、タイヤの1つに圧力低下を示す警告信号を送信するステップ(Etp05)を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
−ハンドル位置センサ(VOL1)により決定される、ビークルを誘導するためのハンドルの位置(Ang_vol)および速度(Vit_vol)が、ビークルがまっすぐ前方に誘導される安定した方向に対応することを確認するステップ(Etp06)と、
−左前方車輪の速度(Vit_AVG)と左後方車輪の速度(Vit_ARG)との第3の和(MCG)を計算して記憶し、かつ右前方車輪の速度(Vit_AVD)および右後方車輪の速度(Vit_ARD)の第4の和(MCD)を計算して記憶するステップ(Etp07)と、
−第4の和(MCD)から第3の和(MCG)を減算した値に相当する第2の差(ecart_cot)を計算して記憶するステップ(Etp08)と
を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
続いて、第2の差の絶対値を、記憶された第2の最大しきい値(seuil_cot)と比較し、第2の差の絶対値が第2のしきい値を上回った場合に、ビークルがまっすぐ前方に誘導されるときにタイヤの1つに圧力低下が確実に示されるステップ(Etp09)を行うことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
右前方車輪(r_AVD)が、第1の差の正符号(pos)、および第2の差の正符号(pos)と関連付けられ、
右後方車輪(r_ARD)が、第1の差の負符号(neg)、および第2の差の正符号(pos)と関連付けられ、
左後方車輪(r_ARG)が、第1の差の正符号(pos)、および第2の差の負符号(neg)と関連付けられ、
左前方車輪(r_AVG)が、第1の差の負符号(neg)、および第2の差の負符号(neg)と関連付けられるように、車輪の各々を第1の差および第2の差の符号の固有の組合せと関連付ける記憶されたテーブルを使用して、タイヤに圧力低下がある車輪を決定するステップ(Etp10)を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
各車輪が圧力センサを装備しており、方法が次に、車輪の圧力センサを監視することにより決定される当該車輪の圧力低下を確認するステップを行うことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
次に、決定された車輪の圧力低下を示す警告信号を送信するステップ(Etp12)を行うことを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
ビークルの車輪の速度センサを較正するステップ(Etp00)を先に行うことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
左前方車輪の速度、右前方車輪の速度、右後方車輪の速度、および左後方車輪の速度を含むビークルの車輪の回転速度を測定する速度センサを備えた、ビークルの車輪のタイヤの圧力を監視するための装置であって、
−左前方車輪の速度(Vit_AVG)と右後方車輪の速度(Vit_ARD)との第1の和(MD1)を計算して記憶し、かつ右前方車輪の速度(Vit_AVD)と左後方車輪の速度(Vit_ARG)との第2の和(MD2)を計算して記憶するためのモジュール(B02)と、
−第1の和(MD1)から第2の和(MD2)を減算した値に相当する第1の差(ecart_diag)を計算して記憶するためのモジュール(B03)と、
−第1の差(ecart_diag)の絶対値を、記憶された第1の最大しきい値(seuil_diag)と比較して、第1の差の絶対値第1がしきい値を上回った場合にタイヤの1つに圧力の低下が示されるモジュール(B04)と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
−ハンドル位置センサ(VOL1)により決定された、ビークルを誘導するためのハンドルの位置(Ang_vol)および速度(Vit_vol)が、ビークルがまっすぐ前方に誘導されている安定した方向に対応することを確認するためのモジュール(B05)と、
−左前方車輪の速度(Vit_AVG)と左後方車輪の速度(Vit_ARG)との第3の和(MCG)を計算して記憶し、かつ右前方車輪の速度(Vit_AVD)と右後方車輪の速度(Vit_ARD)との第4の和(MCD)を計算して記憶するためのモジュール(B02)と、
−第3の和(MCG)から第4の和(MCD)を減算した値に相当する第2の差(ecart_cot)を計算して記憶するためのモジュール(B03)と、
−右前方車輪(r_AVD)が、第1の差の正符号(pos)、および第2の差の正符号(pos)と関連付けられ、
−右後方車輪(r_ARD)が、第1の差の負符号(neg)、および第2の差の正符号(pos)と関連付けられ、
−左後方車輪(r_ARG)が、第1の差の正符号(pos)、および第2の差の負符号(neg)と関連付けられ、
−左前方車輪(r_AVG)が、第1の差の負符号(neg)、および第2の差の負符号(neg)と関連付けられるように、
−車輪の各々を第1の差および第2の差の符号の固有の組合せと関連付ける記憶されたテーブルを使用して、タイヤに圧力低下がある車輪を決定するためのモジュール(B06)と
を含むことを特徴とする、請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−526560(P2011−526560A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515539(P2011−515539)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051126
【国際公開番号】WO2010/004153
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)