説明

タイヤ案内部材

【課題】機械式駐車装置に入庫する車両を乗込場に乗り入れるとき、車両が乗込場の開口部の側壁に接触するのを防止して、立設部材から離れるような最適な位置に容易に進行させることができるタイヤ案内部材を提供する。
【解決手段】タイヤ案内5は、開口部に固着して配置し、地上面GLから上方に向けて左右に広がる方向に傾斜面6を備え、入口左右に寄りすぎる車両Cが傾斜面6に車両Cのタイヤ9を摺動させて、開口部の中央に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に入庫する車両を乗込場に乗り入れるとき、車両が乗込場の開口部の側壁に接触するのを防止して、立設部材から離れるような最適な位置に容易に進行させることができるようにすると共に、昇降空間の中央に誘導するタイヤ案内の部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタイヤ案内部材は、乗込場の入口の床面の左右に四角状のボックスを設置して、乗込む車両を運転者が中央に進行することができるように、導く目印になるようにしている。乗込場の入口は、左右に昇降リフトを昇降案内するガイドレールが立設してあり、車両が左右に寄りすぎると、タイヤが四角状のボックスにより規制されて接触を防いでいる。特許文献1の公報では、乗込場への正面図が記載され、入口に昇降リフトを昇降案内する左右のガイドレール間を広げる拡張アームが記載され、乗込場の正面のミラーに写る自車を見ながら中央に乗り入れている。前記四角状のボックスは、乗り入れをより正確に容易に行うため、左右の拡張アームの前に設置していた。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】 実用新案登録第3124780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一部の車両のタイヤには、幅が広く偏平率の低い、斬新なデザインのアルミ等のホイールに支持された車輪を装着している。この車両の運転者は、乗入れるために入口から左右に寄りすぎる進行とか、斜めの進行とか、運転未熟によるハンドル操作によるものとかであり、入口の床面の左右に設置されたタイヤ案内である四角状のボックスにタイヤを接触することがある。車輪は、その接触で高さ方向のタイヤとホイール間の距離が短い低偏平タイヤであるとき、タイヤ側面とホイール側面が高さ方向に、略平面状で四角状のボックスに接触して進行する為、ホイールに少々な擦り傷が付くことが有り、運転者の気分を害していた。
【0005】
本発明では、四角状のボックスの側面を傾斜面の台形として形成することで、低偏平タイヤでも、傾斜面にタイヤ部が先に接触してホイールとの間に間隙をつくり、ホイールの接触を防止することができるタイヤ案内部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明では、駐車場の入口の開口部に配置して、立設部材への接触を防止すると共に、昇降空間の中央に導くタイヤ案内であり、該タイヤ案内が、前記開口部の下部の左右に固着して配置し、地上面から上方に向けて左右に広がる方向に傾斜面を備る。
車両は、入口左右に寄り過ぎると、前記傾斜面に車両のタイヤが当接しても摺動させて、前記開口部の中央に導くように設けることができるタイヤ案内の構成とする。
【0007】
請求項2の発明では、 前記タイヤ案内の傾斜面は、半鉛直方向から傾斜を備える鉛直方向に近付けるまでとする構成とする。
請求項3の発明では、 前記タイヤ案内の高さは、車両の最低地上高までとする構成とする。
【0008】
請求項1の構成では、開口部の左右に寄りすぎると、傾斜面にタイヤが当接して摺動するので、開口部の中央に向けて導かれる作用がある。
請求項2の構成では、タイヤ案内の傾斜面にタイヤが接するとき、傾斜面をタイヤが滑り床面に戻る作用がある。
請求項3の構成では、タイヤ案内が車両のタイヤに接触するが、車体には接触しない作用がある。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、入庫する車両の車輪がタイヤ案内に接触しても、タイヤが接触して間隙を作り、ホイールとタイヤ案内の接触を避けることができ、ホイールを無傷にして入口を通過することができ、昇降空間の中央に乗り入れることができる効果がある。
請求項2の発明では、傾斜角によりタイヤを滑らして、ホイールに接触するのを防止することができる効果がある。
請求項3の発明では、車体の最低高さより低いタイヤ案内とすることで、車体にキズ付けることなく車輪に当接して中央に向けて摺動させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 駐車場の入口の開口部を示す正面図。
【図2】 タイヤ案内と車両のタイヤの関係を示す入口の平面を示す説明図。
【図3】 タイヤ案内の一例を示す正面図。
【図4】 タイヤ案内の一例を示す平面図。
【図5】 タイヤ案内の誘導型を示す平面図。
【図6】 タイヤ案内の入口側前面から側面に備えた曲形を示す平面図。
【図7】 タイヤ案内の入口側全面に曲形を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、駐車場1の入口の開口部2に設置され、車両Cを乗込場Sの中央に進行するように車両Cの車輪11を規制するタイヤ案内5であり、特に低偏平のタイヤ9に対応するもので、前記車輪11がタイヤ案内5に当接しても、タイヤ9に接触させてホイール10との間隙をつくる形状にするもので、その一例を示して説明する。
【0012】
図1は、機械式立体駐車塔のフォーク式の駐車場1で説明するが、限定するものではなく、駐車場1の入口に備える中央に導くタイヤ案内5について、傾斜面と高さにより車輪11が当接したときも中央に導く形状にして、低偏平のタイヤ9に装着したホイール10の接触を避けることを目的にしている。
駐車場1は、中央に昇降空間Eを備え、昇降空間Eに隣接して複数階に駐車室を備え、駐車室に車両Cを搭載する横行トレイを配置し、前記昇降空間に昇降リフト3を上部の駆動部から索状体を介して吊下げて、地上面GLの位置に床面12を備えて地下にピットPを設け昇降リフト3を下降することができる。乗込場Sは、昇降空間Eの地上面GLに配置されて、開口部2を備え車両Cの出入口として、昇降リフト3と床面12とを一体に噛合わせた隙間がない安全な平面の車路18を形成している。
【0013】
乗込場Sは、昇降空間Eの地上面GL位置にあり、開口部2を備えて車両Cの出入口になり、昇降空間Eの四隅に立設部材のガイドレール4に案内される昇降リフト3が床面12に待機している。開口部2は、左右に溝型鋼等のガイドレール4が立設されて、そのガイドレール4間を通過して車両Cが中央の車路18に乗入れることで、車両Cの側面とガイドレール4とが接触することを防止して乗込場Sの中央に導く、タイヤ案内5を開口部2の左右の床面12に固定して設置している。
【0014】
ガイドレール4は、立設部材であり、入口の開口部2の左右に立設されて乗入れる車両Cの運転者が注意をするところである。昇降リフト3は、長手方向に角パイプの昇降部材13の端部をガイドレール4内に吊下げて支持し、この左右の昇降部材13から内側に櫛歯状にリフトフォーク15を突出させている。床面12は、昇降リフト3のフォーク間を覆うトレイフォーク16と、リフト隙間17を覆う縞鋼板で形成して、車両Cを走行可能な車路18を形成し、運転者とか乗客が安全に通行することができる人の通路19を形成している。
【0015】
図2は、乗込場Sのガイドレール4の近傍であり、開口部2から乗入れる車両Cの車輪11が記載されて、タイヤ案内5に規制されて中央に進行させるように当接する形状で、ホイール10にはタイヤ案内5から離れた位置することができ、リフトフォーク15とトレイフォーク16とが噛合う車路18に進行することができる。
ガイドレール4は、開口部2を広くするために、昇降リフト3の昇降部材13の端部に固着して吊下げられる部材の平面図がL字状の拡張アーム14を備え、車両Cを乗り入れやすくしている。床面12は、水平な平面であり、車輪11が昇降部材13上に進行させないように、手前位置にタイヤ案内5を設置することで、進行を阻止して、リフトフォーク15とトレイフォーク16とが噛合う車路18の位置に誘導する。
【0016】
タイヤ案内5は、平面図が面取り7をR50にした四辺形の正面断面図の傾斜面6を備えた台形型にして、高さを車両Cの最低地上高Lを100mmまでに業界規定して、傾斜面6の傾斜角を半鉛直方向の45度から傾斜を備えた鉛直方向に近い75度まで広がる角度にしている。傾斜面6は、入庫車両Cの車輪11が接触すると、タイヤ9が傾斜角に誘導されて開口部2の中央方向に導かれ、この傾斜角によりタイヤ9の当接でホイール10と傾斜面6に間隙ができ、非接触状態で通過することができる。
また、出庫時でも、タイヤ案内5に接触しても、面取り7と傾斜面6があるため、前述したようにホイール10と傾斜面6とに間隙ができて非接触状態にすることができるため、ホイール10に擦り傷・打ち傷等を付けることがない。
【0017】
図3は、タイヤ案内5の正面断面図であり、高さを車両Cの最低地上高Lを最高の高さにして、それ以下の最高100mmまでとして、傾斜角度を半鉛直方向の45度から傾斜を備える鉛直方向に近付けた75度までにしている。車輪11は、入庫するときに、開口部2の左右に寄りすぎると、タイヤ案内5に接触して、傾斜面6にタイヤ9が当接するがホイール10とに間隙ができ、擦り傷・打ち傷等が付く事故の発生がなくなる。さらに、タイヤ案内を跨ぐように近付けても車両Cの最低地上高Lよりさらに低い位置にあるので、車体に接触することがない。
【0018】
図4は、二面を備えたタイヤ案内5であり、第一傾斜面6aを開口部2から進行する方向の側面に備え、入口側に引き込むような広がりを付けた第二傾斜面6bを備え、入庫車両Cが開口部2の左右側に寄りすぎたとき、車輪11が第一傾斜面6aに当接して内側方向に誘導されて、第二傾斜面6bに当接することで、より中央方向へ誘導される。
【0019】
図5は、開口部2の左右から内側に向けた一面の傾斜面6であり、開口部の左右に寄りすぎたとき、車輪11を傾斜面6に沿って中央に誘導され、車両Cを中央に進行させることができ、全体が丸みを備えた面取り7のR50に形成している。
【0020】
図6は、開口部2の左右から内側に向けた一面の曲面8であり、寄りすぎたとき傾斜面6により誘導されて、中央に進行することになる。傾斜面6は、車輪11がタイヤ案内5に接触して進行するとき、曲面8にタイヤ9が当接する面が点接触の小さい衝撃になるが、平面では当接する面が線接触で点接触よりも接地面が多くなり、大きな衝撃を受けることになる。
図7は、半円形型であり、このタイヤ案内5は、入口方向から乗込む時も、出口として乗出す時も、車輪11を中央向け導くため、立設部材に接触することなく、ホイール10との接触もなく安全に安心して通行することができる。
【0021】
産業上の利用可能性として、本発明のタイヤ案内は、車両を自動車の車輪での構成であるが、車両を自転車・バイク等の二輪車を駐車する乗込み口に採用しても、同様な作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 駐車場
2 開口部
3 昇降リフト
4 ガイドレール
5 タイヤ案内
6 傾斜面
7 面取り
8 曲面
9 タイヤ
10 ホイール
11 車輪
12 床面
13 昇降部材
14 拡張アーム
15 リフトフォーク
16 トレイフォーク
17 リフト隙間
18 車路
19 人の通路
20 壁面
GL 地上面
S 乗込場
C 車両
E 昇降空間
L 最低地上高
P ピット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の入口の開口部に配置して立設部材への接触を防止するタイヤ案内において、
前記タイヤ案内は、前記開口部の下部の左右に固着して配置し、地上面から上方に向けて左右に広がる方向に傾斜面を備え、
乗込む車両が入口左右に寄りすぎるとき、前記傾斜面に該車両のタイヤを摺動させて、前記開口部の中央に該車両を導くことを特徴とするタイヤ案内部材。
【請求項2】
前記タイヤ案内の傾斜面は、半鉛直方向から傾斜を備える鉛直方向に近付ける角度にすることを特徴とする請求項1記載のタイヤ案内部材。
【請求項3】
前記タイヤ案内の高さは、車両の最低地上高までとすることを特徴とする請求項1記載のタイヤ案内部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−96222(P2013−96222A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251090(P2011−251090)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000237835)富士変速機株式会社 (76)