説明

タグID制御システム、タグID制御方法およびプログラム

【課題】処理手段が対応する規格と異なる規格のタグIDを、処理手段が対応する規格のタグIDに変換することが可能なタグID制御システム、タグID制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】第1規格に対応する第1タグIDを用いて、第1規格を特定するための拡張情報と、第1規格と異なる第2規格に対応する第2タグIDとを格納するRFIDタグを管理する処理手段と接続するタグID制御システムは、前記拡張情報と、前記第2タグIDを前記第1タグIDに変換するための変換情報と、を関連づけて格納する格納手段と、前記RFIDタグから、前記拡張情報と前記第2タグIDとを読み出す読出手段と、前記読み出された拡張情報に関連する変換情報を前記格納手段から読み出し、当該変換情報を用いて、前記読み出された第2タグIDを前記第1タグIDに変換し、当該第1タグIDを前記処理手段に提供する変換手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグID制御システム、タグID制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)タグは、様々な用途で活用される。このため、RFIDタグについては、ISO15693、EPCglobal、ucodeなどの世界的な標準規格がある。また、RFIDタグに関して、独自のプロトコルおよびタグIDフォーマットを採用しているRFIDタグメーカもある。
【0003】
RFIDタグは、リーダーライタ(以下「RW」と称する。)と呼ばれる装置と、無線を用いて、データのやり取りを行うことができる。
【0004】
各々が異なる規格に対応するRFIDタグ同士では、通信周波数帯および通信距離などの物理特性や、通信速度、プロトコル、タグIDのフォーマットなどの論理特性が違っている。そのため、RFIDタグと通信を行い情報の読み書きを行うRWも、RFIDタグの規格ごとに存在する。
【0005】
なお、特許文献1には、共通の規格に対応しデータ構造の異なる複数のRFIDタグのそれぞれから目的のデータ項目を読み出すRWが記載されている。
【0006】
図12は、RFIDタグの特徴を示した説明図である。
【0007】
RFIDタグとRW間の通信には、無線技術が利用される。無線伝送は、基本的には、共有バス型の伝送方式である。このため、複数のRFIDタグとRWが通信する場合には、コリジョンが発生しやすい。そのため、RWは、RFIDタグと1対1で通信する。つまり、RWは、1つのRFIDタグと通信している間は、他のRFIDタグと通信できない。また、RFIDタグとRWの間で、全2重通信を行うことができない。
【0008】
特に、パッシブタイプのRFIDタグは、RWから電力を供給されるため、高速なデータ通信が難しい。ISO15693の場合、最大論理速度は26Kbpsである。しかしながら、この最大論理速度は伝送速度であるため、実際に伝達できるデータ量は、さらに少なくなる。そのため、RFIDタグとRW間の通信量を削減し、効率よくデータのやり取りをする必要がある。
【0009】
RFIDタグ自体を識別するために、タグIDが用いられる。タグIDとは、RFIDタグを個別に区別するための識別子である。RFIDタグには、そのRFIDタグが対応する規格にしたがって設定された一意のタグIDが割り当てられている。RFIDタグのデータの読み書きが行われる場合には、タグIDによりRFIDタグが指定される。
【0010】
RFIDタグのタグIDのフォーマットは、各規格によって既定されている。多くの規格では、タグIDは階層化されている。階層化されたタグIDの上位部分は、それぞれの規格によって決まっている。しかしながら、下位部分は、各RFIDタグを識別するための連番(シリアル番号)になっていることが多い。
【0011】
図13は、RFIDタグの各規格のタグIDのフォーマットの例を示した説明図である。
【0012】
例えば、ISO15693では、図13(a)に示すように、タグID長は64bitであり、先頭の8bitは'E0'であり、次の8bitはタグのベンダーコードになり、下位48bitがシリアル番号(連番)となっている。
【0013】
EPCglobalでは、図13(b)に示すように、タグ長としては、64、96、198など様々なbit長が既定されている。また、内部のデータ表現は、EPCglobal Tag Data Standardにて既定されていて、論理的な階層構成になっている。Domain Identifierについても、さらに階層化が既定されている。以下はSGTIN-96の例である。
【0014】
ucodeでは、図13(c)に示すように、タグ長は128bit単位に既定されている。タグIDは、論理的に階層化されている。タグIDについては、TLD codeおよびClass codeによって、様々なIDのフォーマットが既定できるようになっている。
【0015】
RFIDタグは、バーコードのように、一つの部品に貼り付けられ、複数の経路、会社またはシステムによって活用される。RFIDタグは、一度、品物に貼り付けられると、その品物を判定するために、何度も、様々な分野で使用される。
【0016】
図14は、複数の規格のいずれかに対応する複数のRFIDタグが、様々な会社で活用される例を示した説明図である。
【0017】
図14では、カミソリ製造会社102Aと浄水器製造会社102Bは、ISO15693に対応するRFIDタグを使って製品管理をしている。シャンプー製造会社102Cは、EPCglobalに対応するRFIDタグを使って製品を管理している。各製造会社102A〜102Cは、各販売チェーン102D〜102Eに製品を出荷する。
【0018】
この場合、例えば、販売チェーン102Eでは、ISO15693に対応するRFIDタグと、EPCglobalに対応するRFIDタグとが、混在する。よって、RFIDタグの複数の規格が、販売チェーン102Eのシステムに存在することになる。
【0019】
さらに、RFIDタグに関しては、現在、標準化がさらに進んでおり、新たな規格が更に追加されている。
【0020】
図15は、ペットフード製造会社102Fが、販売チェーン102Eに、新たにペットフードを出荷する例を示した説明図である。ペットフード製造会社102Fが、ucodeに対応するRFIDタグを利用していた場合、販売チェーン102Eでは、新たに、ucodeに対応するRFIDタグを扱う必要が出てくる。
【0021】
このようにRFIDタグに関して複数の規格が存在するため、RFIDタグを利用したシステムでは、様々な規格のRFIDタグが混在し、また、RFIDタグの規格は、さらに増える可能性がある。
【0022】
ユーザーが、同一の管理装置(例えば、アプリケーションにしたがって動作する処理装置)を用いて、ある規格に対応するRFIDタグを用いて物品を管理しながら、他の規格に対応するRFIDタグを用いて物品を管理しようとする場合、以下のような問題が発生する。
【0023】
第一の問題は、アプリケーションの作成、機能追加が難しいことである。その理由は、以下の通りである。
【0024】
RFIDタグのタグIDのフォーマットが規格ごとに違うため、アプリケーションが、複数規格のタグIDのフォーマットに対応しなければならない。なお、タグIDのフォーマット中には、シリアル番号以外に、会社を表すコードおよび製品の種類を表すコードが含まれている。このため、例えば、同じ会社でも、RFIDタグの規格が違う場合には、会社を表すコードとして、規格ごとに違うコードが割り当てられる。
【0025】
第二の問題は、例えば、第一の問題を回避するためにRFIDタグを1つの規格のRFIDタグに統一する場合は、コストがかかることである。その理由は、以下の通りである。
【0026】
RFIDタグをある規格に統一する場合、RFIDシステムのユーザーは、新しいRFIDタグをすべてのモノに付け直す必要と、新しい規格に対応したRWを購入する必要がある。また、古い規格のRFIDタグとRWは、使用できなくなる。
【0027】
第三の問題は、既存のアプリケーションを改造しないと、既存のアプリケーションが別の規格のRFIDタグを利用できないことである。その理由は、以下の通りである。
【0028】
規格ごとにRFIDタグのタグIDのコード体系がまったく違うため、RFIDシステムのユーザーは、違うコード体系を組み込んだアプリケーションを作成しなければならない。
【0029】
第四の問題は、RFIDタグが、複数の企業のそれぞれが有するシステムによって活用されている状況下で、異なる規格のRFIDタグが追加されると、複数の企業間でのシステム連携を再構成する必要が発生し、作業が煩雑になることである。
【0030】
次に、図14を用いて、課題の具体的な例を示す。
【0031】
図14において、カミソリ製造会社102Aおよびシャンプー製造会社102Cが、販売チェーン102Eに製品を出荷した場合を考える。
【0032】
この場合、販売チェーン102Eでは、ISO15693に対応するRFIDタグと、EPCglobalに対応するRFIDタグが混在する。つまり、RFIDタグの複数の規格が、販売チェーン102Eのシステムに存在することになる。
【0033】
販売チェーン102Eは、ISO15693に対応するRFIDタグが貼り付けられた製品と、EPCglobalに対応するRFIDタグが貼り付けられた製品とを、管理する必要がある。
【0034】
このため、販売チェーン102Eでは、製品すなわちRFIDタグの取り扱いが複雑になる。具体的には、販売チェーン102Eは、カミソリとシャンプーについては、まったく違うフォーマットのタグIDを使用することになる。
【0035】
また、取り扱うRFIDタグの規格を統一化する場合、コストが増大する。
【0036】
販売チェーン102Eで、カミソリに、EPCgloablに対応するRFIDタグを貼りなおすことは可能だが、その分のコストが販売チェーン102Eで発生することになる。
【0037】
なお、カミソリ製造会社102Aが、ISO15693に対応するRFIDタグから、EPCgloabalに対応するRFIDタグに変えた場合、販売チェーン102Eでは問題は生じない。
【0038】
しかしながら、販売チェーン102DがISO15693に対応するタグを使用していた場合、カミソリ製造会社102Aは、販売チェーン102Dにカミソリを出荷できなくなる。また、カミソリ製造会社102Aは、既にあるISO15693に対応した設備を廃棄し、新たなEPCglobal用の設備を購入する必要がある。
【0039】
また、ISO15693に対応するRFIDタグを、単純にEPCglobalに対応するRFIDタグに変更した場合は、ISO15693に対応するRFIDタグを取り扱う複数の会社があると、それら複数の会社の製品を、EPCglobalに対応するRFIDタグを用いて区別することが困難になる。
【0040】
例えば、販売チェーン102Eが新たに浄水器を取り扱うことになった場合を考える。浄水器製造会社102BがISO15693に対応するRFIDタグを使用していた場合、単純にISO15693のタグをEPCglobalに変換した場合、販売チェーン102Eは、カミソリのRFIDタグとシャンプーのRFIDタグとを区別できなくなり、取り扱いが複雑になる。
【0041】
また、新たなRFIDタグの規格を追加することが難しい。
【0042】
図15に示したように、販売チェーン102Eが新たにペットフードを取り扱うことになった場合を用いて考える。ペットフード製造会社102Fは、ucodeに対応するRFIDタグでペットフードを管理していたとする。この場合、販売チェーン102Eは、さらに新しい規格ucodeに対応するRFIDタグのタグIDを取り扱うために、システムやアプリケーションを改造する必要が出てくる。
【0043】
また、SCM(サプライチェーンマネジメント)などで、製造会社と販売チェーンがモノの情報をやりとりする状況下で、RFIDタグの複数の規格が混在する場合、各会社のシステムの改造が必要になる。また、SCMの途中で流通業者が介在している場合は、もっと複雑な状態になる。
【0044】
特許文献2には、異なる規格のコードを使用できるICタグ(RFIDタグ)管理システムが記載されている。
【0045】
このICタグ管理システムでは、ICタグに、規格ごとに情報を格納するメモリ領域が設けられ、そのメモリ領域に、異なる規格のコードが記憶される。
【0046】
このため、このICタグ管理システムでは、1つのRFIDタグを、異なる規格のコードを用いて管理することが可能となる。このため、上記課題を解決することが可能になる。
【特許文献1】特開2004−21776号公報
【特許文献2】特開2005−346132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
特許文献2に記載のICタグ管理システムでは、ユーザーは、例えば、ある規格に対応するタグIDが書き込まれているRFIDタグに、他の規格に対応するタグIDを新たに書き込む場合、RFIDタグごとに、互いに異なるタグIDを書き込むという煩わしい作業を行わなければならない。
【0048】
例えば、ユーザーは、ある規格に対応するタグIDが既に書き込まれている10個のRFIDタグに対して、他の規格に対応しつつそれぞれ異なるタグIDを別々に書き込まなければならない。
【0049】
本発明の目的は、上述した課題を解決することが可能なタグID制御装置、タグID制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0050】
本発明のタグID制御装置は、第1規格に対応する第1タグIDを用いて、前記第1規格を特定するための拡張情報と、前記第1規格と異なる第2規格に対応する第2タグIDとを格納するRFIDタグを管理する処理手段と、接続するタグID制御システムであって、前記拡張情報と、前記第2タグIDを前記第1タグIDに変換するための変換情報と、を関連づけて格納する格納手段と、前記RFIDタグから、前記拡張情報と前記第2タグIDとを読み出す読出手段と、前記読み出された拡張情報に関連する変換情報を前記格納手段から読み出し、当該変換情報を用いて、前記読み出された第2タグIDを前記第1タグIDに変換し、当該第1タグIDを前記処理手段に提供する変換手段と、を含む。
【0051】
本発明のタグID制御方法は、第1規格に対応する第1タグIDを用いて、前記第1規格を特定するための拡張情報と、前記第1規格と異なる第2規格に対応する第2タグIDとを格納するRFIDタグを管理する処理手段と、接続するタグID制御システが行うタグID制御方法であって、前記第1規格を特定するための拡張情報と、前記第1規格と異なる第2規格に対応する第2タグIDを前記第1タグIDに変換するための変換情報と、を関連づけて格納手段に格納する格納ステップと、前記RFIDタグから、前記拡張情報と前記第2タグIDとを読み出す読出ステップと、前記読み出された拡張情報に関連する変換情報を前記格納手段から読み出し、当該変換情報を用いて、前記読み出された第2タグIDを前記第1タグIDに変換し、当該第1タグIDを前記処理手段に提供する変換ステップと、を含む。
【0052】
本発明のプログラムは、第1規格に対応する第1タグIDを用いて、前記第1規格を特定するための拡張情報と、前記第1規格と異なる第2規格に対応する第2タグIDとを格納するRFIDタグを管理する処理手段と、前記RFIDタグから前記拡張情報と前記第2タグIDとを読み出す読出手段と、に接続するコンピュータを、前記拡張情報と、前記第1規格以外の第2規格に対応する第2タグIDを前記第1タグIDに変換するための変換情報と、を関連づけて格納する格納手段、および、前記読出手段にて読み出された拡張情報に関連する変換情報を前記格納手段から読み出し、当該変換情報を用いて、前記読出手段にて読み出された第2タグIDを前記第1タグIDに変換し、当該第1タグIDを前記処理手段に提供する変換手段として機能させる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、RFIDタグに、変換先の規格を特定するための拡張情報と、タグIDとが格納されれば、処理手段が対応する規格と異なる規格のタグIDを、処理手段が対応する規格のタグIDに変換することが可能になる。このため、RFIDタグには、タグIDと、変換先の規格に応じた拡張情報を格納されればよく、例えば、個々のRFIDタグに、規格の異なる複数のタグIDを個別に登録するという煩わしい作業を不要にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0055】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のタグID制御システム1を示したブロック図である。
【0056】
本実施形態では、RFIDタグの規格AおよびB(以下、単に「規格A」、「規格B」と称する。)が混在している場合の例を示す。規格Aと規格Bとでは、それぞれ周波数帯やタグIDのフォーマットが別々に既定されており、互換性はない。なお、本実施形態では、規格Aが第2規格に対応し、規格Bが第1規格に対応する。
【0057】
図1において、タグID制御システム1は、RFIDタグ2および3と、処理部4と通信する。タグID制御システム1は、RW(リーダーライタ)5および6と、ミドルウェア7と、を含む。ミドルウェア7は、設定登録部8と、変換部9とを含む。変換部9は、RW制御部9aと、制御部9bとを含む。
【0058】
RFIDタグ2とRW5は、規格Aに対応し、RFID3とRW6は、規格Bに対応する。
【0059】
図2は、RFIDタグ2および3が有する格納領域(記憶手段)を示した説明図である。図2(a)は、RFIDタグ2の格納領域2aを示し、図2(b)は、RFIDタグ3の格納領域3aを示し、図2(c)は、格納領域2aおよび3aに格納される情報を示した図である。
【0060】
格納領域2aには、図2(a)に示すように、ID格納部2a1と、ユーザーエリア2a2が設けられている。
【0061】
ID格納部2a1には、規格AにしたがってRFIDタグ2に割り当てられているタグID(XXXX0001)が格納されている。ユーザーエリア2a2には、拡張情報Bが格納されている。拡張情報Bは、規格Bを特定するための情報である。ユーザーエリア2a2は、ユーザーがRWを使って自由にデータを読み書きできる領域である。なお、RFIDタグ2のタグID(XXXX0001)は、第2タグIDの一例である。
【0062】
格納領域3aには、図2(b)に示すように、ID格納部3a1と、ユーザーエリア3a2が設けられている。
【0063】
ID格納部3a1には、規格BにしたがってRFIDタグ3に割り当てられているタグID(YYYY0002)が格納されている。ユーザーエリア3a2には、拡張情報Aが格納されている。拡張情報Aは、規格Aを特定するための情報である。ユーザーエリア3a2は、ユーザーがRWを使って自由にデータを読み書きできる領域である。なお、RFIDタグ3のタグID(YYYY0002)は、第1タグIDの一例である。
【0064】
通常、RFIDタグの規格は、国際標準で決まっていて、それぞれID部(タグID)の長さやフォーマットが違う。
【0065】
ID部の上位部分は、規格によって既定されている。ID部の上位部分には、Headerや会社ごとの固定パターンが割り当てられている。ID部の下位部分には、個別のRFIDタグを識別するための連番(シリアル番号)が割り当てられている。
【0066】
図1に戻って、処理部4は、一般的に処理手段と呼ぶことができる。
【0067】
処理部4は、アプリケーション(プログラム)4aにしたがって動作する。アプリケーション4aは、規格Bに対応するアプリケーション(プログラム)とする。このため、処理部4は、例えば、規格Bに対応するタグIDを用いてRFIDタグを管理・指定する。処理部4は、ミドルウェア7に接続され、RW5または6と、ミドルウェア7とを介して、RFIDタグ2または3の情報を取得する。
【0068】
RW5は、一般的に読出手段と呼ぶことができる。RW5は、RFIDタグ2と通信し、ID格納部2a1内のタグIDと、ユーザーエリア2a2内の情報(拡張情報B)とを読み書きできる。
【0069】
RW6は、一般的にタグID読出手段と呼ぶことができる。RW6は、RFIDタグ3と通信し、ID格納部3a1内のタグIDと、ユーザーエリア3a2内の情報(拡張情報A)とを読み書きできる。
【0070】
ミドルウェア7は、RW5および6を制御することにより、RFIDタグ2および3から情報を読み出したり、RFIDタグ2および3に情報を書き込んだりでき、また、RFIDタグ2および3からの情報を、アプリケーション4aに通知(提供)できる装置である。
【0071】
ミドルウェア7は、例えば、ハードディスクやメモリ等の記録媒体を備えたコンピュータによって実現される。ハードディスクまたはメモリは、一般的に、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体と呼ぶことができる。この場合、ミドルウェア(コンピュータ)7は、例えば、記録媒体に記録されたプログラムを読み取り実行することによって、設定登録部8、および、変換部9(RW制御部9aおよび制御部9b)として機能する。
【0072】
設定登録部8は、一般的に格納手段と呼ぶことができる。
【0073】
設定登録部8は、少なくとも、アプリケーション4aに対応する規格Bを特定するための拡張情報Bと、規格Aに対応するタグID(第2タグID)を規格Bに対応するタグID(第1タグID)に変換するための変換情報と、を関連づけて格納する。
【0074】
図3は、設定登録部8の一例を示した説明図である。
【0075】
図3において、設定登録部8は、アプリケーション情報格納部8aと、RW情報格納部8bと、情報格納部8cと、を含む。
【0076】
アプリケーション情報格納部8aには、アプリケーションごとに、アプリケーション名と、そのアプリケーションが対応する規格名とが、関連づけて格納される。
【0077】
RW情報格納部8bには、RWごとに、RW名と、そのRWが対応する規格名とが、関連づけて格納される。
【0078】
情報格納部8cには、拡張情報ごとに、拡張情報名と、拡張規格名と、プレフィックスデータと、IDパターンとが、関連づけて格納される。プレフィックスデータとIDパターンとは、変換情報に含まれる。なお、プレフィックスデータは、関連する拡張規格に応じた付加情報である。また、IDパターンは、タグID内のシリアル番号を指定するための指定情報である。
【0079】
なお、情報格納部8c内の拡張情報は、RFIDタグのユーザーエリアに登録してあるデータを指す。拡張規格とは、拡張情報が拡張すべきRFIDタグの規格を表す。プレフィックスデータは、拡張するタグIDのプレフィックスを表す。IDパターンは、使用する元のタグIDからの取り出すパターンを表す。
【0080】
図1に戻って、変換部9は、一般的に変換手段と呼ぶことができる。
【0081】
変換部9は、例えば、RW5がRFIDタグ2から読み出した拡張情報に関連する変換情報(プレフィックスデータとIDパターン)を、設定登録部8から読み出す。変換部9は、RW5がRFIDタグ2から読み出したタグIDを、その読み出された変換情報を用いて、規格Bに対応するタグIDに変換し、そのタグIDを処理部4(アプリケーション4a)に提供する。
【0082】
例えば、変換部9は、RFIDタグ2のタグIDから、変換情報内のIDパターンにて指定されたシリアル番号を取り出し、そのシリアル番号に、変換情報内のプレフィックスデータを付加することによって、RFIDタグ2のタグIDを規格Bに対応するタグIDに変換する。
【0083】
RW制御部9aは、RWを制御し、RWを介して、RFIDタグの情報を取得することができる。また、RW制御部9aは、各RWの情報を設定登録部8から読み出して、RWの情報をRFIDタグの情報に付加することもできる。
【0084】
制御部9bは、アプリケーションごとに、RFIDタグの情報を制御する。例えば、アプリケーションごとに、複数の制御部9bがミドルウェア7内に保持されてもよい。本実施形態では、制御部9bは、処理部4内のアプリケーション(アプリケーション4a)用に動作する。
【0085】
次に、動作の概要を説明する。
【0086】
このシステムの場合、RW5は、RFIDタグ2を検出すると、RFIDタグ2からタグID(XXXX0001)と拡張情報Bを読み取る。続いて、RW5は、RFIDタグ2のタグID(XXXX0001)と拡張情報Bをミドルウェア7に通知する。
【0087】
ミドルウェア7では、RW制御部9aは、RFIDタグ2のタグID(XXXX0001)と拡張情報BをRW5から受け付けると、設定登録部8を参照し、RW5が規格Aに対応することを認識する。その後、RW制御部9aは、RFIDタグ2のタグID(XXXX0001)と、拡張情報Bと、規格Aを示す規格情報(RW5が対応する規格)とを、制御部9bに通知する。
【0088】
制御部9bは、RFIDタグ2に関する情報(タグID=XXXX0001、拡張情報=拡張情報B、規格情報=規格A)を受け取ると、設定登録部8を参照して、RFIDタグ2に関する情報を解析する。
【0089】
アプリケーション4aは規格Bに対応しており、RFIDタグ2に関する情報は規格Aに対応している。このため、制御部9bは、アプリケーション4aにRFIDタグ2に関する情報をそのまま渡すことはできない。
【0090】
この場合、制御部9aは、設定登録部8内の拡張情報を検索する。
【0091】
設定登録部8には、拡張情報Bに関連する情報が登録されているので、制御部9bは、拡張情報Bに関連する情報を用いて、RFIDタグ2のタグIDを、規格Bに対応するタグIDへ拡張(変換)する。
【0092】
本実施形態の場合、制御部9bは、まず、拡張情報Bに関連するIDパターンに基づいて、タグID(XXXX0001)から下位16bitの部分を取り出す。次に、制御部9bは、その下位16bitの部分に、拡張情報Bに関連するプレフィックスデータ(YYYYZZ)を付けて、新しいタグID(YYYYZZ0001)を生成する。
【0093】
制御部9bは、この新しいタグID(YYYYZZ0001)が規格Bに準拠したタグIDであることをチェックする。例えば、制御部9bは、規格Bに準拠したタグIDのフォーマットを予め格納しておき、新しいタグID(YYYYZZ0001)が、規格Bに準拠したタグIDのフォーマットに対応しているかチェックする。
【0094】
制御部9bは、新しいタグID(YYYYZZ0001)が規格Bに準拠したタグIDである場合、新しいタグID(YYYYZZ0001)をアプリケーション4aに通知する。
【0095】
一方、RW6が、RFIDタグ3を検出すると、RFIDタグ3からタグID(YYYYYY0002)と拡張情報Aを読み取る。続いて、RW6は、RFIDタグ3のタグID(YYYYYY0002)と拡張情報Aをミドルウェア7に通知する。
【0096】
ミドルウェア7では、RW制御部9aは、RFIDタグ3のタグID(YYYYYY0002)と拡張情報AをRW6から受け付けると、設定登録部8を参照し、RW6が規格Bに対応することを認識する。その後、RW制御部9aは、RFIDタグ3のタグID(YYYYYY0002)と、拡張情報A、規格Bを示す規格情報(RW6が対応する規格)とを、制御部9bに通知する。
【0097】
制御部9bは、RFIDタグ3に関する情報(タグID=YYYYYY0002、拡張情報=拡張情報A、規格情報=規格B)を受け取ると、設定登録部8を参照して、RFIDタグ3に関する情報を解析する。
【0098】
アプリケーション4aとRFIDタグ3の情報は、共に規格Bに対応している。このため、制御部9aは、アプリケーション4aにRFIDタグ3のタグID(YYYYYY0002)をそのまま通知する。
【0099】
これにより、RFIDタグ2が検出されたときは、タグID(YYYYZZ0001)が通知され、RFIDタグ3が検出されたときは、タグID(YYYYYY0002)が通知される。
【0100】
次に、動作を詳細に説明する。
【0101】
本実施形態では、事前に、アプリケーション4aが対応しているRFIDタグの規格Bに関する情報を、設定登録部8内のアプリケーション情報格納部8aに登録しておく。
【0102】
また、RW5は規格Aに対応していること、RW6は規格Bに対応していることを、設定登録部8内のRW情報格納部8bに登録しておく。
【0103】
さらに、拡張情報Aについての情報(規格=規格A、プレフィックスデータ=XXXZ、IDパターン=下位16bit)と、拡張情報Bについての情報(規格=規格B、プレフィックスデータ=YYYYZZ、IDパターン=下位16bit)とが、事前に、設定登録部8内の情報格納部8cに登録される。
【0104】
図4は、本実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図1〜4を参照して、本実施形態の動作について詳細に説明する。
【0105】
例えば、RW5によってRFIDタグ2が検出されたときは、RW5は、RFIDタグ2からタグID(XXXX0001)と拡張情報Bを読み取って、タグID(XXXX0001)と拡張情報Bを、RW制御部9aに通知する(ステップ1)。
【0106】
RW制御部9aは、RW5からRFIDタグ2の情報が通知されたので、設定登録部8からRW5の情報(規格A)を読み出し、規格Aに対応していることを示す規格情報を、タグID(XXXX0001)と拡張情報Bと共に、制御部9bに通知する(ステップ2)。
【0107】
制御部9bは、通知されてきたRFIDタグ2の規格情報と、設定登録部8から読み出したアプリケーション4aの規格情報と比較する(ステップ3)。
【0108】
本実施形態では、RFIDタグ2の規格情報は規格Aであり、アプリケーション4aの規格と違うので、処理はステップ5へ進む。
【0109】
制御部9bは、通知されてきたRFIDタグ2の拡張情報が、設定登録部8の中に登録されているか検索する(ステップ5)。
【0110】
本実施形態では、拡張情報Bが設定登録部8にあるので、制御部9bは、拡張情報Bに関連するデータを設定登録部8から取得する(ステップ6)。
【0111】
制御部9bは、設定登録部8から取得したデータを用いて、タグIDの拡張を行う。制御部9bは、まず、RFIDタグ2のタグID(XXXX0001)の一部(シリアル番号)を、拡張情報Bに関連するIDパターン=下位16bitを使って取り出し、その取り出されたデータ(シリアル番号)を、拡張情報Bに関連するプレフィックスデータ=YYYYZZと合成し、新しいタグID(YYYYZZ0001)を作成する(ステップ7)。
【0112】
制御部9bは、この新しいタグID(YYYYZZ0001)が規格Bに準拠しているか確認する(ステップ8)。
【0113】
新しいタグIDのフォーマットが規格Bに準拠している場合は、制御部9bは、新しいタグIDを、アプリケーション4aに通知する(ステップ4)。この場合、新しく作成したタグID(YYYYZZ0001)は規格Bに準拠しているので、制御部9bは、アプリケーション4aにタグID(YYYYZZ0001)を通知する(ステップ4)。
【0114】
一方、新しいタグIDのフォーマットが規格Bに準拠していない場合は、制御部9bは、新しいタグIDを廃棄して、この処理を終了する(ステップ9)。
【0115】
次に、RW6でRFIDタグ3が検出された場合は、RW6は、RFIDタグ3からタグID(YYYYYY0002)と拡張情報Aを読み取って、タグID(YYYYYY0002)と拡張情報AをRW制御部9aに通知する(ステップ1)。
【0116】
RW制御部9aは、RW6からRFIDタグ3の情報が通知されたので、設定登録部8からRW6の情報を読み出し、規格Bに対応していることを示す規格情報を、タグID(YYYYYY0002)と拡張情報Aと共に、制御部9bに通知する(ステップ2)。
【0117】
制御部9bは、通知されてきたRFIDタグ3の規格情報と、設定登録部8から読み出したアプリケーション4aの規格情報と比較する(ステップ3)。
【0118】
本実施形態では、RFIDタグ3の規格情報は規格Bなので、アプリケーション4aの規格と一致するため、処理はステップ4へ進む。
【0119】
そして、制御部9bは、タグID(YYYYYY0002)をアプリケーション4aに通知し(ステップ4)、この処理を終了する(ステップ9)。
【0120】
このようにして、ミドルウェア7がタグIDを拡張することにより、RFIDタグ2が検出された場合は、タグID(YYYYZZ0001)がアプリケーション4aに通知され、RFIDタグ3が検出された場合は、タグID(YYYYYY0002)がアプリケーション4aに通知される。
【0121】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0122】
第一の効果は、アプリケーションが使用したいRFIDタグの規格を指定することが可能になることである。
【0123】
ミドルウェア7は、アプリケーションごとに指定された規格のタグIDをアプリケーションに通知するので、アプリケーションは複数の規格に対応する必要がない。そのため、RFIDタグの複数の規格が混在しても、各タグIDをアプリケーションが必要とするタグID形式に統一できるためアプリケーションの開発が簡単になる。
【0124】
第二の効果は、新しいRFIDタグの規格を追加した場合でも、拡張情報の追加で対応できるので、既存のアプリケーションの改造を行わなくてもよいことである。
【0125】
第三の効果は、既存のRFIDタグとRWを使って実現できるため、RFIDタグやRWなどのHWの変更、機能追加などの必要がなく、コストが削減できることである。このため、例えば、規格BのRFIDタグを再度、貼らなくてもよい。
【0126】
第四の効果は、タグIDの一部と拡張情報のみで、別の規格のタグIDを生成できるため、データと通信の量と時間が短くできることである。
【0127】
なぜなら、規格ごとにID情報をRFIDタグのデータ部(記憶部)に登録しておく場合、全てのタグIDの情報をデータ部に格納しておく必要がある。そのため、データ部に必要な容量が大きくなり、RWとRFIDタグの通信する量と時間が多くなる。本実施形態では、タグIDと短い拡張情報のみからタグIDを生成しているため、データと通信の量と時間を短くできる。
【0128】
本実施形態によれば、変換部9は、例えば、RW5がRFIDタグ2から読み出した拡張情報に関連する変換情報(プレフィックスデータとIDパターン)を、設定登録部8から読み出す。変換部9は、RW5がRFIDタグ2から読み出したタグIDを、その読み出された変換情報を用いて、規格Bに対応するタグIDに変換し、そのタグIDを処理部4(アプリケーション4a)に提供する。
【0129】
このため、RFIDタグに、変換先の規格を特定するための拡張情報と、タグIDとが格納されれば、処理手段が対応する規格と異なる規格のタグIDを、処理手段が対応する規格のタグIDに変換することが可能になる。
【0130】
したがって、複数の規格が混在しても、処理手段に提供するタグID形式を統一することが可能になり、かつ、RFIDタグには、タグIDと、変換先の規格に応じた拡張情報を格納されればよく、例えば、個々のRFIDタグに規格の異なる複数のタグIDを登録するという煩わしい作業を不要にできる。
【0131】
例えば、規格Aに対応する10個のRFIDタグを、規格Bに拡張する場合、10個のRFIDタグのすべてに、規格Bを特定するための拡張情報を登録すればよい。よって、規格Aに対応する10個のRFIDタグに、互いに異なる規格BのタグIDを設定する場合に比べて、登録処理の簡略化を図ることが可能になる。
【0132】
本実施形態では、変換部9は、RFIDタグ2のタグIDから、変換情報内のIDパターンにて指定されたシリアル番号を取り出し、そのシリアル番号に、変換情報内のプレフィックスデータを付加することによって、RFIDタグ2のタグIDを規格Bに対応するタグIDに変換する。
【0133】
この場合、例えば、複数の規格間で共通のシリアル番号を使用することが可能になる。
【0134】
本実施形態では、変換部9は、さらに、処理部4と同じ規格に対応するRFIDタグから読み出されたタグIDを処理部4に提供する。
【0135】
この場合、RFIDタグに関する複数の規格が混在しても、アプリケーションに、アプリケーションが必要な形式のタグIDを効率よく提供することが可能になる。
【0136】
(実施形態の拡張)
第1実施形態では、規格が2つの場合を説明したが、規格の数に制限はない。
【0137】
第1実施形態では、RWを2つ利用したが、RWの数に制限はない。また、複数のRFIDタグの規格に対応したマルチ対応RWが読出手段およびタグID読出手段として使用された場合は、RWが一台でもよい。具体的には、第1実施形態の場合、規格AおよびBのRFIDタグに対応したマルチ対応RWが用いられれば、RWは一台でもよい。
【0138】
RFIDタグのユーザーエリアに複数の規格に対応する複数の拡張情報が格納されれば、一つの物理的なRFIDタグから複数のタグIDを生成することができる。また、データ部にヘッダ情報をいれることにより、拡張情報の数や規格の種類などをユーザーエリアに格納してもよい。
【0139】
例えば、ユーザーエリアに拡張情報数、拡張情報A、拡張情報Bと入れておく[02 0A 0B]。両方の拡張情報を用いて、1つのRFIDタグを2つの別のRFIDタグとみなしてもよい。
【0140】
第1実施形態では、RFIDタグ3のユーザーエリア3a2に拡張情報を入れた。しかしながら、アプリケーションが一つだけの場合は、そのアプリケーションに対応したRFIDタグでは無理に拡張情報を入れる必要がない。RWもアプリケーションに対応した規格の場合は、ユーザーエリアを読む必要がない。第1実施形態では、RFIDタグ3のユーザーエリア3a2には拡張情報はなしで、RW6もユーザーエリアを読まなくても、同等の動作が可能である。
【0141】
第1実施形態では、アプリケーションが一つだったが、制御部9bをアプリケーションごとに増やすことにより、複数のアプリケーションに対応することが可能になる。
【0142】
第1実施形態では、アプリケーションごとに一つの規格の場合を示したが、制御部9bを増やすことにより、一つのアプリケーションに、複数の規格のタグIDを通知してもよい。
【0143】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態の第1使用例である。図5は、第2実施形態のタグID制御システムを示したブロック図である。なお、図5において、図1および図14に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
【0144】
本実施形態では、図14に示した販売チェーン102Eが各製造会社102A〜102Cより製品を入荷し、販売チェーン102Eのシステムが、EPCglobal対応のタグIDを用いて、統一的に品物を管理するパターンを示す。
【0145】
カミソリ製造会社システム102A1、シャンプー製造会社システム102C1、浄水器製造会社システム102B1は、それぞれの製造会社の企業システムである。
【0146】
カミソリ製造会社システム102A1、浄水器製造会社システム102B1は、ISO15693に対応したRFIDタグを用いたシステムである。シャンプー製造会社システム102Cは、EPCglobalに対応したRFIDタグを用いたシステムである。
【0147】
RW102A2、102C2および102B2は、それぞれの製造会社の設備であり、RFIDタグのタグIDの読み取りとユーザーエリアの読み書きが可能である。RW102A2および102B2は、ISO15693に対応し、RW102C2は、EPCglobalに対応しているとする。
【0148】
カミソリ製造会社102Aでは、カミソリ102A3にISO15693のRFIDタグ102A4を貼り付けて、カミソリ102A3の管理を行っている。
【0149】
シャンプー製造会社102Cでは、シャンプー102C3にEPClogbalのRFIDタグ102C4を貼り付けて、シャンプー102C3の管理を行っている。
【0150】
浄水器製造会社102Bでは、浄水器102B3にISO15693のRFIDタグ102B4を貼り付けて、浄水器102B3の管理を行っている。
【0151】
図6は、RFIDタグ102A4、102C4および102B4が有する格納領域(記憶手段)を示した説明図である。
【0152】
図6(a)は、RFIDタグ102A4の格納領域(記憶手段)102A4aを示した説明図である。
【0153】
図6(b)は、RFIDタグ102C4の格納領域102C4aを示した説明図である。
【0154】
図6(c)は、RFIDタグ102B4の格納領域102B4aを示した説明図である。
【0155】
図6(d)は、格納領域102A4a、102C4aおよび102B4aに格納される情報を示した図である。
【0156】
格納領域102A4aには、図6(a)に示すように、ID格納部102A4a1と、ユーザーエリア102A4a2が設けられている。
【0157】
ID格納部102A4a1には、ISO15693に対応するタグID(E0010001)が登録されている。ユーザーエリア102A4a2には、1バイトの拡張情報A(0x0A)が出荷時に製造会社によって書き込まれている。ユーザーエリア102A4a2は、ユーザーがRWを使って自由にデータを読み書きできる領域である。
【0158】
格納領域102C4aには、図6(b)に示すように、ID格納部102C4a1と、ユーザーエリア102C4a2が設けられている。
【0159】
ID格納部102C4a1には、EPCglobalに対応するタグID(3000.02.0002)が登録されている。ユーザーエリア102C4a2には、1バイトの拡張情報B(0x0B)が出荷時に製造会社によって書き込まれている。ユーザーエリア102C4a2は、ユーザーがRWを使って自由にデータを読み書きできる領域である。
【0160】
格納領域102B4aには、図6(c)に示すように、ID格納部102B4a1と、ユーザーエリア102B4a2が設けられている。
【0161】
ID格納部102B4a1には、ISO15693に対応するタグID(E0010003)が登録されている。ユーザーエリア102B4a2には、1バイトの拡張情報C(0x0C)が出荷時に製造会社によって書き込まれている。 ユーザーエリア102B4a2は、ユーザーがRWを使って自由にデータを読み書きできる領域である。
【0162】
ミドルウェア7は、マルチ対応RW10を制御し、様々な規格のRFIDタグのタグIDとユーザーエリアの情報を取得できる。
【0163】
マルチ対応RW10は、RFIDタグの複数の規格に対応し、様々な規格のRFIDタグのタグIDの読み取りとユーザーエリアの読み書きが可能である。
【0164】
また、RW10は、読み取ったRFIDタグの情報と、規格の情報を通知する機能を有する。本実施形態では、RW10は、ISO15693とEPCglobalに対応し、RFIDタグ102A4、102C4、102B4と電波で通信することが可能である。
【0165】
図5に戻って、ミドルウェア7は、図1に示したミドルウェア7と同様であり、設定登録部8と、RW制御部9aと、制御部9bとを含む。
【0166】
図7は、本実施形態の設定登録部8の一例を示した説明図である。
【0167】
図7において、設定登録部8は、アプリケーション情報格納部8aと、RW情報格納部8bと、情報格納部8cと、を含む。なお、アプリケーション情報格納部8aと、RW情報格納部8bと、情報格納部8cについては、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0168】
制御部9bは、設定登録部8内のデータを参照し、RW10から通知されてくるRFIDタグのデータを制御する。RW制御部9aは、RW10を制御し、RFIDタグの情報を読み取ることができる。また、RW制御部9aは、マルチ対応RW10から、規格情報を受け取ることもできる。
【0169】
次に、動作の概要を説明する。
【0170】
本実施形態では、製造会社が、ユーザーエリアに事前に拡張情報を書き込んで出荷する。本実施形態では、RFIDタグ102A4には拡張情報A、RFIDタグ102C4には拡張情報B、RFIDタグ102B4には拡張情報Cを書き込んでおく。
【0171】
販売チェーン102Eでは、ミドルウェア7にて制御されたマルチRW10が、入荷した品物のRFIDタグから、タグIDとユーザーエリアの拡張情報を読み取る。
【0172】
ミドルウェア7は、読み取ったタグIDと拡張情報を用いて、タグIDを拡張して、販売チェーンシステム11に通知する。なお、販売チェーンシステム11は、一般的に処理手段と呼ぶことができ、図1に示した処理部4に対応する。
【0173】
例えば、カミソリ102A3が入荷した場合、ミドルウェア7にて制御されたマルチ対応RW10は、カミソリ102A3のRFIDタグ102A4から、タグID(E0010001) と拡張情報A(0x0A)を読み取る。RW10は、タグID(E0010001) と拡張情報A(0x0A)を、RFIDタグ102A4の規格情報ISO15693と共に、ミドルウェア7に通知する。
【0174】
ミドルウェア7では、制御部9bは、拡張情報A(0x0A)を用いて、設定登録部8から、拡張情報A(0x0A)に関連する情報(プレフィックスデータとIDパターン)を読み取り、その情報とタグID(E0010001)とに基づいて、タグID(E0010001)を新たなタグIDに拡張(変換)する。
【0175】
カミソリ102A3の場合、拡張情報A(0x0A)なので、制御部9bは、プレフィックスデータ(3000.01)とタグIDの下位16bit部分(0001)を用いて、拡張したタグID(3000.01.0001)を生成し、そのタグID(3000.01.0001)を、販売チェーンシステム11に通知する。
【0176】
シャンプー102C3が入荷されてきたときは、マルチ対応RW10は、シャンプー102C3のタグID(3000.02.0002)と規格情報(EPCglobal)をミドルウェア7に通知する。
【0177】
ミドルウェア7では、通知されてきた規格情報が、販売チェーンシステム11が必要としている規格と同じなので、制御部9bは、そのままタグID(3000.02.0002)を販売チェーンシステム11に通知する。
【0178】
浄水器102B3が入荷されてきたときは、マルチ対応RW10が、浄水器102B3のRFIDタグ102B4のタグID(E0010003)と拡張情報C(0x0C)を読み取って、タグID(E0010003)と拡張情報C(0x0C)を、RFIDタグの規格情報(ISO15693)と共に、ミドルウェア7に通知する。
【0179】
ミドルウェア7は、カミソリ102A3と同様に、拡張情報C(0x0C)にて特定されるプレフィックスデータ(3000.03)と下位16bit部分(0001)を用いて、拡張したタグID(3000.03.0001)を生成し、拡張したタグID(3000.03.0001)を販売チェーンシステム11に通知する。
【0180】
以上、ミドルウェア7が、タグIDを自動的に拡張することにより、販売チェーンシステム11は、RFIDタグの規格にかかわらず、ミドルウェア7から通知されたタグIDを、全て同じEPCglobalのタグIDフォーマットとして、取り扱うことができる。
【0181】
次に、動作を詳細に説明する。
【0182】
本実施形態は、販売チェーンシステム11が、EPCglobalのRFIDタグ規格に対応するタグIDを要求し、ミドルウェア7が、RW10が読み出したタグIDを、EPCglobalのRFIDタグ規格に対応するように統一するパターンである。
【0183】
このため、設定登録部8には、アプリケーションである販売チェーンシステム11はEPCglobalのRFIDタグの規格を使用することと、拡張情報Aと拡張情報Cに関するデータが、事前に登録される。
【0184】
拡張情報Aに関連する情報としては、拡張規格=EPCglobal、プレフィックスデータ=3000.01、IDパターン=下位16bitが、事前に登録される。
【0185】
拡張情報Cに関連する情報としては、拡張規格=EPCglobal、プレフィックスデータ=3000.03、IDパターン=下位16bitが、事前に登録される。
【0186】
また、RFIDタグ102A4、102C4、102B4には、各製造業者が拡張情報A、B、Bを事前に書き込んでおく。
【0187】
ミドルウェア7は、RW10を制御し、RFIDタグの規格がISO15693だった場合には、タグIDとユーザーエリアの情報を読み取るようにRW10を設定しておく。また、ミドルウェア7は、RFIDタグの規格がEPCglobalだった場合には、タグIDの情報を読み取るようにRW10を設定しておく。また、RW10は、読み取ったRFIDタグが対応する規格を、タグIDと拡張情報と共に、ミドルウェア7に通知するように設定される。
【0188】
次に、図4を参照して、販売チェーン102Eにて、カミソリ102A3が検出されたときの具体的な動作を説明する。
【0189】
RW10が、カミソリ102A3のRFIDタグ102A4を検出した場合、RW10は、RFIDタグ102A4から、タグID(E0010001)と拡張情報A(0x0A)を読み込む(ステップ1)。
【0190】
RW10は、タグID(E0010001)と拡張情報A(0x0A)を、RFIDタグ102A4の規格情報ISO15693と共に、ミドルウェア7に通知する(ステップ2)。
【0191】
ミドルウェア7では、RW制御部9aは、RW10から、タグID(E0010001)と、拡張情報A(0x0A)と、RFIDタグ102A4の規格情報ISO15693を受け取ると、設定登録部8からRW10の規格を読み取る。なお、本実施形態では、RW10はマルチ対応なので、RW制御部9aは、RW10から受け取った規格情報を、タグID(E0010001)と拡張情報A(0x0A)と共に、制御部9bに渡す。制御部9bは、RFIDタグの規格情報と販売チェーンシステム11のアプリケーションの対応規格が同じか確認する(ステップ3)。
【0192】
通知されてきた規格情報が販売チェーンシステム11のアプリケーションの対応規格と同じだった場合は、制御部9bは、タグID(E0010001)をそのまま販売チェーンシステム11のアプリケーションへ通知する(ステップ4)。
【0193】
本実施形態では、EPCglobalのタグIDが必要だが、RFIDタグ102A4の規格情報はISO15693なので、処理はステップ5へ進む。
【0194】
制御部9bは、設定登録部8に登録されている拡張情報を検索する(ステップ5)。本実施形態では、RFIDタグ102A4の拡張情報は拡張情報Aであり、拡張情報Aは設定登録部8に存在するため、処理はステップ6へ進む。なお、登録されていない場合は、処理は、ステップ9へ進み終了する。
【0195】
制御部9bは、設定登録部8から、拡張情報Aに関連するデータ(拡張規格=EPCglobal、プレフィックスデータ=3000.01、IDパターン=下位16bit)を取得する(ステップ6)。
【0196】
制御部9bは、取得したデータを用いて、RFIDタグ102A4のタグIDを拡張する。具体的には、制御部9bは、IDパターン=下位16bitに基づいて、タグID(E0010001)から、0001を取り出す。そして、制御部9bは、0001をプレフィックスデータ=3000.01と結合して、新しいタグID(3000.01.0001)を生成する(ステップ7)。
【0197】
制御部9bは、新しいタグIDがRFIDタグの規格に一致しているか確認する(ステップ7)。本実施形態の場合、制御部9bは、生成した新しいタグID(3000.01.0001)が拡張規格であるEPCglobalに対応しているかチェックする。新しいタグIDのフォーマットが正しい場合には、処理は、ステップ4に進み、制御部9bは、そのタグIDを販売チェーンシステム11に通知する。一方、タグIDのフォーマットが正しくない場合は、処理は、ステップ9に進み終了する。
【0198】
次に、販売チェーン102Eにてシャンプー102C3が検出されたときの動作を説明する。
【0199】
RW10が、シャンプー102C3のRFIDタグ102C4を検出した場合、RW10は、RFIDタグ102C4から、タグID(3000.02.0002)の読み込みを行う(ステップ1)。
【0200】
RW10は、タグID(3000.02.0002)を、RFIDタグ102C4の規格情報EPCglobalと共に、ミドルウェア7に通知する(ステップ2)。
【0201】
ミドルウェア7では、RW制御部9aは、RW10から、タグID(3000.02.0002)と、RFIDタグ102C4の規格情報EPCglobalを受け取ると、タグID(3000.02.0002)と、RFIDタグ102C4の規格情報EPCglobalを制御部9bに渡す。制御部9bは、RFIDタグの規格情報と販売チェーンシステム11のアプリケーションの対応規格が同じか確認する(ステップ3)。本実施形態では、RFIDタグ102C4の規格情報はEPCglobalなので、処理はステップ4へ進み、制御部9bは、タグID(3000.02.0002)を販売チェーンシステム11に通知する。
【0202】
次に、販売チェーン102Eにて浄水器102B3が検出されたときの動作を説明する。
【0203】
RW10が、浄水器102B3のRFIDタグ102B4を検出した場合、RW10は、RFIDタグ102B4から、タグID(E0010003)と拡張情報A(0x0C)を読み込む(ステップ1)。
【0204】
RW10は、タグID(E0010003)と拡張情報A(0x0C)を、RFIDタグ102B4の規格情報ISO15693と共に、ミドルウェア7に通知する(ステップ2)。
【0205】
ミドルウェア7では、RW制御部9aは、RW10から、タグID(E0010003)と拡張情報A(0x0C)とRFIDタグ102B4の規格情報ISO15693を受け取ると、カミソリと同様の処理をして、制御部9bに、タグID(E0010003)と、拡張情報A(0x0C)と、RFIDタグ102B4の規格情報ISO15693とを渡す。制御部9bは、RFIDタグの規格情報と販売チェーンシステム11のアプリケーションの対応規格が同じか確認する(ステップ3)。本実施形態では、RFIDタグ102B4の規格情報はISO15693なので、処理はステップ5へ進む。
【0206】
制御部9bは、設定登録部8に登録されている拡張情報を検索する(ステップ5)。本実施形態では、RFIDタグ102B4の拡張情報は拡張情報Cであり、拡張情報Cは設定登録部8に存在するため、処理はステップ6へ進む。
【0207】
制御部9bは、設定登録部8から、拡張情報Cに関連するデータ(拡張規格=EPCglobal、プレフィックスデータ=3000.03、IDパターン=下位16bit)を取得する(ステップ6)。
【0208】
制御部9bは、取得したデータを用いて、RFIDタグ102B4のタグIDを拡張する。具体的には、制御部9bは、IDパターン=下位16bitに基づいて、タグID(E0010003)から、0003を取り出す。そして、制御部9bは、0003をプレフィックスデータ=3000.03と結合して、新しいタグID(3000.03.0003)を生成する(ステップ7)。
【0209】
制御部9bは、新しいタグIDがRFIDタグの規格に一致しているか確認する(ステップ7)。本実施形態の場合、制御部9bは、生成した新しいタグID(3000.03.0003)が拡張規格であるEPCglobalに対応しているかチェックする。新しいタグIDのフォーマットが正しい場合には、処理は、ステップ4に進み、制御部9bは、タグID(3000.03.0003)を販売チェーンシステム11に通知する。
【0210】
これらの動作をRFIDタグごとに行うことにより、複数のRFIDタグが混在していても、統一したRFIDタグとして、品物を認識することが可能になる。
【0211】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0212】
第2実施形態では、第1実施形態が奏する効果に加えて、マルチ対応RWを用いることによって、1台のRWで、第1実施形態と同様のタグIDの拡張ができる。このため、構成の簡略化を図りながら、アプリケーションで使用するRFIDタグの規格を統一できる。また、新しい規格を追加する場合もアプリケーションの変更の必要がない。
【0213】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態の第2使用例である。
【0214】
図8は、製造会社と販売チェーンの途中に流通会社102Fが入り、様々なRFIDタグが付いた品物が流通する状況を表した説明図である。ここでSCMを構成するために、流通会社の情報を販売チェーン102Eが把握することを考える。なお、図8において、図5に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
【0215】
図9は、流通会社102Fの概要を示したブロック図である。なお、図8において、図5および図8に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
【0216】
図9において、流通会社102Fは、流通会社システム11Aを企業システムとして使用している。流通会社システム11Aは、ISO15693に対応するRFIDタグのタグIDを用いて品物を管理している。ここに、ミドルウェア7とマルチ対応RW10が導入される。販売チェーンシステム11は、ネットワーク(Network)12を介して、ミドルウェア7と接続されている。
【0217】
ミドルウェア7は、制御部9b1および9b2と、設定登録部8と、RW制御部9aとを含む。本実施形態では、通知するアプリケーションは2つなので、設定登録部8内のアプリケーション情報格納部8aには、販売チェーンシステム11と流通会社システム11Aのそれぞれのアプリケーションの規格を示す情報を登録しておく。本実施形態では、それぞれの対応規格をEPCglobal、ISO15693と登録する。
【0218】
また、販売チェーンシステム用の制御部9b1と、流通会社システム11Aの制御部9b2は、設定登録部8内のデータを参照できるようになっている。また、拡張情報として、拡張情報Bに関しても設定登録部8に追加で登録しておく(図10参照)。
【0219】
なお、図11は、RFIDタグ102A4、102C4および102B4が有する格納領域(記憶手段)を示した説明図である。本実施形態では、各格納領域に格納される情報は、図6に示したものと同一とする。
【0220】
次に、図4および図9を参照して、動作を説明する。
【0221】
以下では、流通会社102Fに各製造会社から品物が入荷した状況を考える。
【0222】
例えば、 RW10が、カミソリ102A3のRFIDタグ102A4を検出した場合、RW10は、RFIDタグ102A4から、タグID(E0010001)と拡張情報A(0x0A)を読み込む(ステップ1)。
【0223】
RW10は、タグID(E0010001)と拡張情報A(0x0A)を、RFIDタグ102A4の規格情報ISO15693と共に、ミドルウェア7に通知する(ステップ2)。
【0224】
ミドルウェア7では、RW制御部9aは、RW10から、タグID(E0010001)と、拡張情報A(0x0A)と、RFIDタグ102A4の規格情報ISO15693を受け取ると、RW10から受け取った規格情報を、タグID(E0010001)と拡張情報A(0x0A)と共に、制御部9b1および9b2に渡す。制御部9b1および9b2は、ステップ3以降の動作をそれぞれ独立して行う。
【0225】
制御部9b1に通知されたRFIDタグ102A4の情報については、第2実施形態と同様の処理が行われ、新しいタグID(3000.01.0001)が生成され、販売チェーンシステム11に通知される。
【0226】
制御部9b2は、RFIDタグの規格情報を比較し、流通会社システム11Aで対応しているRFIDタグの規格がISO15693なので、そのままのタグID(E0010001)を流通会社システム11Aに通知する(ステップ4)。
【0227】
RW10が、シャンプー102C3のRFIDタグ102C4を検出した場合、RW10は、RFIDタグ102C4から、タグID(3000.02.0002)の読み込みを行う(ステップ1)。
【0228】
RW10は、タグID(3000.02.0002)を、RFIDタグ102C4の規格情報EPCglobalと共に、ミドルウェア7に通知する(ステップ2)。
【0229】
ミドルウェア7では、RW制御部9aは、RW10から、タグID(3000.02.0002)と、RFIDタグ102C4の規格情報EPCglobalを受け取ると、タグID(3000.02.0002)と、RFIDタグ102C4の規格情報EPCglobalを制御部9b1および9b2に渡す。
【0230】
制御部9b1は、販売チェーンシステム11の対応規格がEPCglobalなので、そのままのタグID(3000.02.0002)を販売チェーンシステム11に通知する。
【0231】
制御部9b2では、流通会社システム11Aの対応規格がISO15693なので、ステップ5に進む。
【0232】
制御部9b2は、設定登録部8から拡張情報B(0x0B)の情報を検索し(ステップ5)、設定登録部8にある拡張情報Bのデータを取得する(ステップ6)。
【0233】
制御部9b2は、取得したデータを使用して、上述したようにRFIDタグ102C4のタグIDを拡張する。本実施形態では、制御部9b2は、プレフィックスデータ(E002)を用いて、新しいタグID(E0020002)に拡張する(ステップ7)。
【0234】
制御部9b2は、その新しいタグID(E0020002)がISO15693の規格にあっているかチェックして(ステップ8)、問題がない場合は、流通会社システム11AにタグID(E0020002)を通知する。
【0235】
このようにして、流通会社システム11AにはISO15693のタグIDの規格に準拠したタグID(E0010001)、タグID(E0020002)が通知され、販売チェーンシステム11にはEPCglobalのタグIDの規格に準拠したタグID(3000.01.0001)、タグID(3000.02.0002)が通知される。
【0236】
複数のアプリケーションが複数のRFIDタグ規格を利用したい場合も、アプリケーションごとにタグIDをそれぞれの規格に拡張して、通知することができる。
【0237】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0238】
第一に、アプリケーションごとに通知するRFIDタグの規格を指定できるので、複数のアプリケーションがあった場合でもタグIDの拡張ができ、それぞれのアプリケーションを変更しなくてもよい。また、一つの物理的なRFIDタグ内のタグIDを、それぞれのアプリケーションのために拡張して通知することができる。
【0239】
第二に、拡張情報を連携する会社で設定すれば、複雑な企業間連携システムを構築する必要がなく、独自のシステムを運用できる。
【0240】
上記各実施形態によれば、既存のRFIDタグやRWを変更することなく、RFIDタグのタグIDの下位のシリアル番号部分と、読み書き可能なデータ部に短bit長である拡張情報を用いて、プレフィックスデータを圧縮し、効率的に一つの物理RFIDタグを別の規格のタグIDに拡張することにより、アプリケーションごとに指定されたタグIDを通知することができる。よって、既存のアプリケーションに修正、変更を加えることがなく、新たなRFIDタグ規格を取り扱うことが可能になる。
【0241】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1】本発明の第1実施形態のタグID制御システム1を示したブロック図である。
【図2】RFIDタグ2および3が有する格納領域(記憶手段)を示した説明図である。
【図3】設定登録部8の一例を示した説明図である。
【図4】動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】第2実施形態のタグID制御システムを示したブロック図である。
【図6】RFIDタグ102A4、102C4および102B4が有する格納領域(記憶手段)を示した説明図である。
【図7】設定登録部8の一例を示した説明図である。
【図8】製造会社と販売チェーンの途中に流通会社102Fが入り、様々なRFIDタグが付いた品物が流通する状況を表した説明図である。
【図9】流通会社102Fの概要を示したブロック図である。
【図10】設定登録部8の一例を示した説明図である。
【図11】RFIDタグ102A4、102C4および102B4が有する格納領域(記憶手段)を示した説明図である。
【図12】RFIDタグの特徴を示した説明図である。
【図13】RFIDタグの各規格のタグIDのフォーマットの例を示した説明図である。
【図14】複数の規格のいずれかに対応する複数のRFIDタグが、様々な会社で活用される例を示した説明図である。
【図15】ペットフード製造会社102Fが、販売チェーン102Eに、新たにペットフードを出荷する例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0243】
1 タグID制御システム
2、3 RFIDタグ
4 処理部
4a アプリケーション
5、6 RW
7 ミドルウェア
8 設定登録部
9 変換部
9a RW制御部
9b、9b1、9b2 制御部
10 マルチ対応RW
11 販売チャーンシステム
11A 流通会社システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1規格に対応する第1タグIDを用いて、前記第1規格を特定するための拡張情報と、前記第1規格と異なる第2規格に対応する第2タグIDとを格納するRFIDタグを管理する処理手段と接続するタグID制御システムであって、
前記拡張情報と、前記第2タグIDを前記第1タグIDに変換するための変換情報と、を関連づけて格納する格納手段と、
前記RFIDタグから、前記拡張情報と前記第2タグIDとを読み出す読出手段と、
前記読み出された拡張情報に関連する変換情報を前記格納手段から読み出し、当該変換情報を用いて、前記読み出された第2タグIDを前記第1タグIDに変換し、当該第1タグIDを前記処理手段に提供する変換手段と、を含むタグID制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のタグID制御システムにおいて、
前記第2タグIDは、シリアル番号を含み、
前記変換情報は、前記第1規格に応じた付加情報と、前記第2タグID内のシリアル番号を指定するための指定情報と、を含み、
前記変換手段は、前記読み出された第2タグIDから、前記指定情報にて指定されたシリアル番号を取り出し、当該シリアル番号に前記付加情報を付加することによって、当該第2タグIDを前記第1タグIDに変換する、タグID制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタグID制御システムにおいて、
前記第1タグIDを格納するRFIDタグから、当該第1タグIDを読み出すタグID読出手段をさらに有し、
前記変換手段は、前記読み出された第1タグIDを、前記処理手段に提供する、タグID制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載のタグ制御システムにおいて、
前記読出手段は、前記タグID読出手段を兼ねる、タグID制御システム。
【請求項5】
第1規格に対応する第1タグIDを用いて、前記第1規格を特定するための拡張情報と、前記第1規格と異なる第2規格に対応する第2タグIDとを格納するRFIDタグを管理する処理手段と、接続するタグID制御システが行うタグID制御方法であって、
前記第1規格を特定するための拡張情報と、前記第1規格と異なる第2規格に対応する第2タグIDを前記第1タグIDに変換するための変換情報と、を関連づけて格納手段に格納する格納ステップと、
前記RFIDタグから、前記拡張情報と前記第2タグIDとを読み出す読出ステップと、
前記読み出された拡張情報に関連する変換情報を前記格納手段から読み出し、当該変換情報を用いて、前記読み出された第2タグIDを前記第1タグIDに変換し、当該第1タグIDを前記処理手段に提供する変換ステップと、を含むタグID制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のタグID制御方法において、
前記第2タグIDは、シリアル番号を含み、
前記変換情報は、前記第1規格に応じた付加情報と、前記第2タグID内のシリアル番号を指定するための指定情報と、を含み、
前記変換ステップでは、前記読み出された第2タグIDから、前記指定情報にて指定されたシリアル番号を取り出し、当該シリアル番号に前記付加情報を付加することによって、当該第2タグIDを前記第1タグIDに変換する、タグID制御方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載のタグID制御方法において、
前記第1タグIDを格納するRFIDタグから、当該第1タグIDを読み出すタグID読出ステップをさらに有し、
前記変換ステップでは、前記読み出された第1タグIDを、前記処理手段に提供する、タグID制御方法。
【請求項8】
第1規格に対応する第1タグIDを用いて、前記第1規格を特定するための拡張情報と、前記第1規格と異なる第2規格に対応する第2タグIDとを格納するRFIDタグを管理する処理手段と、前記RFIDタグから前記拡張情報と前記第2タグIDとを読み出す読出手段と、に接続するコンピュータを、
前記拡張情報と、前記第1規格以外の第2規格に対応する第2タグIDを前記第1タグIDに変換するための変換情報と、を関連づけて格納する格納手段、および、
前記読出手段にて読み出された拡張情報に関連する変換情報を前記格納手段から読み出し、当該変換情報を用いて、前記読出手段にて読み出された第2タグIDを前記第1タグIDに変換し、当該第1タグIDを前記処理手段に提供する変換手段として機能させるプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記第2タグIDは、シリアル番号を含み、
前記変換情報は、前記第1規格に応じた付加情報と、前記第2タグID内のシリアル番号を指定するための指定情報と、を含み、
前記変換手段は、前記読み出された第2タグIDから、前記指定情報にて指定されたシリアル番号を取り出し、当該シリアル番号に前記付加情報を付加することによって、当該第2タグIDを前記第1タグIDに変換する、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−187270(P2009−187270A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26337(P2008−26337)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】