説明

タッチスイッチ

【課題】簡単な構成で電極パターンに安価なカーボン等の導電性材料を用いることができるタッチスイッチを提供する。
【解決手段】キー部分が裏面側から照光される静電容量式のタッチスイッチであって、板状のベース部材1と、ベース部材1の一方の面のキー部分に対応する領域に、光が透過しない導電性を有する細線で形成された電極パターン2とを備える。上記電極パターン2の細線の幅は、ベース部材1の厚さよりも細く、かつ、電極パターン2の細線間の幅よりも狭い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチスイッチに関し、詳しくは、キー部分が裏面側から照光されるタッチスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量式のタッチスイッチとしては、キー部分が裏面側から照光されるものがある(例えば、特開2003−173238号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
このようなタッチスイッチでは、ガラス等の操作部に印刷されたキー部分を裏面側から照光するため、静電容量の変化を検知するための電極として、ITO(Indium-Tin-Oxide:錫添加酸化インジウム)からなる透明電極がガラスに形成されているので、非常にコストが高くつくという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−173238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、簡単な構成で電極パターンに安価なカーボン等の導電性材料を用いることができるタッチスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明のタッチスイッチは、
キー部分が裏面側から照光される静電容量式のタッチスイッチであって、
少なくとも透過光の一部が拡散する材料を含む板状のベース部材と、
上記ベース部材の一方の面の上記キー部分に対応する領域に、光が透過しない導電性を有する細線で形成された電極パターンと
を備え、
上記電極パターンの細線の幅は、上記ベース部材の厚さよりも細く、かつ、上記電極パターンの細線間の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、光源から出射された光が、電極パターンの細線間を通ってベース部材に入射すると、ベース部材内で入射光が拡散すると共に複雑に交差した後、ベース部材の表面側に出射する。このとき、電極パターンの細線の幅を、ベース部材の厚さよりも細く、かつ、電極パターンの細線間の幅よりも狭くしていることによって、キー部分に対応する電極パターンがベース部材の表側に見えなくなり、電極パターンに透明電極を用いる必要がなくなる。これにより、簡単な構成で電極パターンに安価なカーボン等の導電性材料を用いることができる。
【0008】
また、一実施形態のタッチスイッチでは、
上記ベース部材の裏面側から照光される上記キー部分において、上記キー部分に対応する上記電極パターンが上記ベース部材の表面側に投影されない。
【0009】
上記実施形態によれば、ベース部材の裏面側から照光されるキー部分において、キー部分に対応する電極パターンがベース部材の表側に投影されないので、キー部分に対応する電極パターンがベース部材の表側から確実に見えないようにできる。
【0010】
また、一実施形態のタッチスイッチでは、
上記ベース部材の表面側を覆うように配置され、上記キー部分に対応する領域に文字または絵のパターンが上記ベース部材に対向する面に印刷された板状の透光性部材を備えた。
【0011】
上記実施形態によれば、板状の透光性部材のベース部材に対向する面に、キー部分に対応する領域に文字または絵のパターンが印刷されていることによって、キー操作時にキー部分が裏面側から照光されると、文字または絵のパターンが浮き上がり、操作性が向上する。
【0012】
また、一実施形態のタッチスイッチでは、
上記ベース部材の表面側に、上記キー部分に対応する領域に文字または絵のパターンが印刷されている。
【0013】
上記実施形態によれば、ベース部材の表面側に、キー部分に対応する領域に文字または絵のパターンが印刷されていることによって、キー操作時にキー部分が裏面側から照光されると、文字または絵のパターンが浮き上がり、操作性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
以上より明らかなように、この発明のタッチスイッチによれば、簡単な構成で電極パターンに安価なカーボン等の導電性材料を用いることができるタッチスイッチを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1はこの発明の実施の一形態のタッチスイッチの断面模式図である。
【図2】図2は上記タッチスイッチのジグザグ状の電極パターンの平面図である。
【図3】図3は上記タッチスイッチの格子状の電極パターンの平面図である。
【図4】図4は上記タッチスイッチのベース部材に形成された文字の電極パターンを示す図である。
【図5】図5は上記タッチスイッチのベース部材に形成された文字の電極パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明のタッチスイッチを図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0017】
図1はこの発明の実施の一形態のタッチスイッチの断面模式図を示している。
【0018】
この実施の形態のタッチスイッチは、図1に示すように、光源の一例としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)5の光によって裏面側からキー部分が照光される静電容量式のタッチスイッチである。
【0019】
上記タッチスイッチは、板状のベース部材1と、ベース部材1の裏面側に、光が透過しない導電性を有する細線で形成された電極パターン2とを備えている。また、ベース部材1の裏面と反対側に、透光性部材の一例としてのガラスパネル3を配置し、そのガラスパネル3のベース部材1側に、キー部分の領域に文字または絵のパターンである印刷部4を印刷している。
【0020】
ここで、ベース部材1には、少なくとも透過光の一部が拡散する材料を含み、例えば、フェノール樹脂やガラスエポキシ樹脂などからなるプリント配線基板(基板厚さは例えば1.6mm)を用いている。また、電極パターン2は、銅またはカーボンなどの導電性を有する細線を用いている。
【0021】
図2は上記タッチスイッチのジグザグ状の電極パターン2の平面図を示している。
【0022】
図2に示す電極パターン2は、所定の間隔をあけて平行に配列された複数の第1直線部2aと、互いに隣接する第1直線部2aの一端と他端を交互に接続する複数の第2直線部2bとを有している。第1直線部2aと第2直線部2bの線幅W1は、同一でありかつベース部材1の厚さTよりも狭くなっている(W1<T)。また、長直線部2間の幅W2は、第1直線部2aと第2直線部2bの線幅W1よりも広くなっている(W1<W2)。
【0023】
ここで、例えば、Tは1.6mm、W1は1.0mm、W2は1.5mmである。
【0024】
図1,図2では、1つの電極パターン2を有するタッチスイッチについて説明したが、複数のキー部分に対応する複数の電極パターンを有するタッチスイッチでもよい。
【0025】
なお、電極パターン2の形態はこれに限らず、格子状、渦巻き状などの電極パターンでもよい。
【0026】
例えば、図3は上記タッチスイッチに用いられる格子状の電極パターンの平面図を示している。図3に示す電極パターン12は、所定の間隔をあけて平行に配列された複数の第1直線部12aと、その複数の第1直線部12aに直交しかつ所定の間隔をあけて平行に配列された複数の第2直線部12bとを有している。第1直線部12aと第2直線部12bの線幅W11は、同一でありかつベース部材1の厚さよりも狭くなっている(W11<T)。また、直線部12a間および第2直線部12b間の幅W12は、第1直線部12aと第2直線部12bの線幅W11よりも広くなっている(W11<W12)。
【0027】
ここで、例えば、Tは1.6mm、W11は1.0mm、W12は1.5mmである。
【0028】
上記構成のタッチスイッチでは、ガラスパネル3のキー部分に対応する箇所に指10を接触させると、そのキー部分に対応する電極パターン2の静電容量が変化し、その静電容量の変化を検出部(図示せず)により検出し、検出信号に基づいて制御部(図示せず)によりLED5の点灯/消灯を制御する。ここで、電極パターン2の静電容量とは、電極パターン2と基準電位との間の静電容量のことである。
【0029】
上記構成のタッチスイッチによれば、バックライトであるLED5から放射状に出射された光が、電極パターン2の細線間を通ってベース部材1に入射すると、ベース部材1内で入射光が拡散すると共に複雑に交差した後、ベース部材1の表側に出射する。このとき、電極パターン2の細線の幅を、ベース部材1の厚さよりも細く、かつ、電極パターン2の細線間の幅よりも狭くしていることによって、キー部分に対応する電極パターン2がベース部材1の表側に見えなくなり、電極パターン2に透明電極を用いる必要がなくなる。
【0030】
これにより、簡単な構成で電極パターン2に安価なカーボン等の導電性材料を用いることができる。この実施の形態のタッチスイッチでは、電極パターンにITOを用いた場合に比べてコストを1/2以下に低減することができる。
【0031】
また、ベース部材1の裏面側から照光されるキー部分において、キー部分に対応する電極パターン2がベース部材1の表側に投影されないようにすることによって、キー部分に対応する電極パターン2がベース部材1の表側から確実に見えないようにできる。
【0032】
また、板状のガラスパネル3のベース部材1に対向する面に、キー部分に対応する領域に文字(または絵)のパターンが印刷されていることによって、キー操作時にキー部分が裏面側から照光されると、文字(または絵)のパターンが浮き上がり、操作性が向上する。
【0033】
なお、ベース部材1の表面側に、キー部分に対応する領域に文字または絵のパターンを印刷してもよく、この場合、キー操作時にキー部分が裏面側から照光されると、文字または絵のパターンが浮き上がり、操作性が向上する。
【0034】
また、図4,図5は上記タッチスイッチのベース部材に形成された文字の電極パターンを示しており、図4は黒丸の中に「1」の文字が記載された電極パターン22であり、図5は黒丸の中に「A」の文字が記載された電極パターン32である。
【0035】
この図4,図5では、光が透過しない導電性を有する細線で形成された電極パターンの代わりに、白抜き文字22a,32aを除く黒の部分を電極パターン22,32とする。なお、図4,図5では、図を見やすくするために丸形の中を網目状に示しているが、実際は白抜きの文字以外が導電性を有する材料(銅,カーボンなど)により黒く塗りつぶされている。
【0036】
これにより、白抜きされた文字は、裏面側から照光されることによって、文字が光って浮き上がり、きれいに点灯表示される。この場合も、簡単な構成で電極パターンに安価なカーボン等の導電性材料を用いることができるタッチスイッチを実現することができる。
【0037】
このような文字のパターンが形成された図4,図5に示す電極パターンと、図1〜図3に示す細線で形成された電極パターンとを組み合わせて、複数のキー部分を有するタッチスイッチを実現してもよい。
【0038】
なお、図4,図5では、黒丸の中に白抜きの文字が形成されたパターンを電極パターンとして用いたが、これに限らず、黒丸の代わりに黒く塗りつぶされた四角形や三角形などの中に文字や絵を記載してもよいし、黒く塗りつぶされた絵そのものを電極パターンとしてもよい。
【0039】
上記実施の形態では、キー部分のタッチ操作により点灯または消灯したが、これに限らず、点灯色が変化してもよいし、点滅してもよく、キーの機能に応じて適宜設定すればよい。また、光源は、LEDからの光を導光部材を介してベース部材の裏面を照光してもよい。
【0040】
また、上記実施の形態では、ベース部材1には、フェノール樹脂やガラスエポキシ樹脂などからなるプリント配線基板(基板厚さは例えば1.6mm)を用いたが、ベース部材の厚さは、1mm〜3mmが好ましい。ベース部材の厚さが1mm未満では、透過光が拡散したり複雑に交差したりすることが十分に行われなくなり、キー部分に対応する電極パターン2がベース部材1の表側に見えてしまう可能性がある。一方、ベース部材の厚さが3mmよりも厚くなると、ベース部材の材料の光透過性や周囲の明るさなどにも依存するが、透過光の光量が減少して、点灯したキー部分の視認性が悪くなる。
【0041】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…ベース部材
2,12…電極パターン
3…ガラスパネル
4…印刷部
5…LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー部分が裏面側から照光される静電容量式のタッチスイッチであって、
少なくとも透過光の一部が拡散する材料を含む板状のベース部材と、
上記ベース部材の一方の面の上記キー部分に対応する領域に、光が透過しない導電性を有する細線で形成された電極パターンと
を備え、
上記電極パターンの細線の幅は、上記ベース部材の厚さよりも細く、かつ、上記電極パターンの細線間の幅よりも狭いことを特徴とするタッチスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチスイッチにおいて、
上記ベース部材の裏面側から照光される上記キー部分において、上記キー部分に対応する上記電極パターンが上記ベース部材の表面側に投影されないことを特徴とするタッチスイッチ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタッチスイッチにおいて、
上記ベース部材の表面側を覆うように配置され、上記キー部分に対応する領域に文字または絵のパターンが上記ベース部材に対向する面に印刷された板状の透光性部材を備えたことを特徴とするタッチスイッチ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のタッチスイッチにおいて、
上記ベース部材の表面側に、上記キー部分に対応する領域に文字または絵のパターンが印刷されていることを特徴とするタッチスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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