説明

タバコ由来の成分および材料

本発明は、タバコ属の花由来の添加物を含む、喫煙物品または無煙タバコ組成物において使用するためのタバコ組成物を提供する。添加物は、微粒子形態またはタバコ属の花由来の花分離物の形態での、タバコ属の花またはその一部分であり得る。特定の実施形態において、花分離物は、タバコ属の花由来の抽出物の形態、または化学的に変化させた花分離物の形態であり、該化学変化は、酸/塩基反応、加水分解、熱処理、および酵素処理から選択される。本発明はまた、本明細書中に記載の花添加物を含む喫煙物品および無煙タバコ組成物、および、タバコ組成物へ添加するためのタバコ属の花由来の添加物を調製するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコから作り出した製品もしくはタバコ由来の製品、またはタバコを組み入れた製品に関し、ヒトが摂取することを目的とする。特に、タバコ属の植物もしくは植物の一部分から取得、または植物もしくは植物の一部分に由来する原料または成分に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコなどの一般的な喫煙物品は、実質的に円筒形の棒形状になった構造を有し、包装紙に包まれた、細かく刻んだタバコ(例えばカットフィラー形態)などの喫煙可能な材料を含む装填物、ロールまたはカラムを備え、これにより、いわゆる「タバコロッド」を形成する。通常、タバコはタバコロッドと端部同士が関連して配置された円筒形のフィルタエレメントを有する。一般的に、フィルタエレメントは、「プラグラップ」として知られる紙材料により覆われた可塑化酢酸セルローストゥを備える。特定のタバコは、複数のセグメントを有するフィルタエレメントを組み入れ、セグメントの一つは木炭粒子を含むことができる。一般的に、フィルタエレメントは、「チップペーパ」として知られる外接巻紙材料を使用してタバコロッドの一端へ付着される。また、例によっては、吸い込まれる主流煙を周囲空気で希釈させるためにチップ材料及びプラグラップに穴を開けることも好適になりつつある。タバコは、喫煙者により、その一端に点火してタバコロッドを燃やすことによって使用される。次に喫煙者は、紙巻きタバコの反対側の端部(例えば、フィルタ端部)を吸うことによって主流煙をその口内へ受け入れる。
【0003】
タバコの製造に使用されるタバコは、一般的に、ブレンドされた形態で使用される。例えば、俗に「アメリカンブレンド」と呼ばれる特定の一般的なタバコのブレンドは、熱風乾燥タバコ、バレータバコ、オリエンタルタバコ、そして多くの場合、再構成されたタバコや加工されたタバコの茎など、何かしら加工されたタバコの混合物を含む。特定のタバコブランドによる製造に使用されるタバコブレンドにおいて、各タバコの種類によって正確なタバコの量はブランド間で異なる。しかし、タバコブレンドの多くは、熱風乾燥タバコが比較的ブレンドの大部分を占め、オリエンタルタバコは比較的ブレンドの一部にすぎない。例えば、Tobacco Encyclopedia,Voges(Ed.)p.44−45(1984),Browne,The Design of Cigarettes,3rd Ed.,p.43(1990)、およびTobacco Production,Chemistry and Technology,Davisら、(Eds.)p.346(1999)を参照されたい。
【0004】
また、タバコはいわゆる「無煙」形態で楽しむことも可能である。特に一般的な無煙タバコ製品は、ある形態の加工タバコまたはタバコ含有製剤をユーザの口内に挿入することにより用いられる。様々な種類の無煙タバコ製品が、Schwartzらの米国特許第1,376,586号、Leviの米国特許第3,696,917号、Pittmanらの米国特許第4,513,756号、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,528,993号、Storyらの米国特許第4,624,269号、Townsendの米国特許第4,987,907号、Sprinkle,IIIらの米国特許第5,092,352号、およびWhiteらの米国特許第5,387,416号、並びにStricklandらの米国特許出願番号第2005/0244521号、およびKumarらの米国特許出願番号第2009/0293889号、並びに、ArnarpらのPCT国際公開第04/095959号、AtchleyらのPCT国際公開第05/063060号、EngstromのPCT国際公開第05/004480号、BjorkholmのPCT国際公開第05/016036号、およびQuinterらのPCT国際公開第05/041699号に説明されており、これらの各文献は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、無煙タバコ製剤、含有物、処理手順の種類がAtchleyらの米国特許第6,953,040、Atchleyらの米国特許第7,032,601号に説明されており、これらの各文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
ある種類の無煙タバコ製品は、「スナッフ」と呼ばれる。俗に「スヌース」と呼ばれる代表的な種類の湿性スナッフ製品は、ヨーロッパ、特にスウェーデンで、Swedish Match AB,Fiedler&Lundgren AB,Gustavus AB,Skandinavisk Tobakskompagni A/S、およびRocker Production ABなどの企業により、またはこれらの企業を介して製造されている。米国で入手可能なスヌース製品は、R.J.Reynolds Tobacco CompanyからCamel Snus Frost、Camel Snus Original及びCamel Snus Spiceの商品名で市販されている。また、例えば、Bryzgalovら、1N1800 Life Cycle Assessment,Comparative Life Cycle Assessment of General Loose and Portion Snus(2005)も参照されたい。さらに、スヌース製造に関する特定の品質基準は、いわゆるGothiaTek基準として構築されている。また、代表的な無煙タバコ製品がHouse of Oliver Twist A/SからOliver Twistの商品名で、U.S.Smokeless Tobacco Co.からCopenhagen,Skoal,SkoalDry,Rooster,Red Seal,Husky,およびRevelの商品名で、Philip Morris USAから「taboka」の商品名で、Conwood Company LLCからLevi Garrett,Peachy,Taylor’s Pride,Kodiak,Hawken Wintergreen,Grizzly,Dental,Kentucky King,およびMammoth Caveの商品名で、並びにR.J.Reynolds Tobacco CompanyからCamel Orbs,Camel Sticks,and Camel Stripsの商品名で市販されている。
【0006】
長年の間、タバコ製品で用いられるタバコ材料の全体的な特性または性質を変えるために、様々な処理方法や添加剤が提案されてきた。例えば、タバコ材料の化学的または感覚的な特性を変えるために、または有煙タバコの場合は、タバコ材料を含む喫煙物品から発生する主流煙の化学的または感覚的な特性を変えるために、添加剤または処理プロセスが用いられてきた。タバコ煙の感覚的な属性は、タバコの様々な成分に風味材料を組み入れることにより高めることができる。例示的な風味用添加剤は、メンソール、並びにピラジン、アミノ糖、およびアマドリ化合物などメイラード反応による生産物を含む。また、Leffingwellら、Tobacco Flavoring for Smoking Products,R.J. Reynolds TobaccoCompany (1972)を参照されたい。当該文献は参照により本明細書に組み込まれる。ある場合において、熱使用に関する処理プロセスにより、好適な色または視覚的特性、好適な感覚的特性、または好適な物理的性質または質感を加工タバコに与えることができる。風味豊かで香りのよい成分を調製するための様々なプロセスが、Rookerの米国特許第3,424,171号、Luttichの米国特許第3,476,118号、Osborne,Jr.らの米国特許第4,150,677号、Robertsらの米国特許第4,986,286号、Whiteらの米国特許第5,074,319号、Whiteらの米国特許第5,099,862号、Sensabaugh,Jr.の米国特許第5,235,992号、Raymondらの米国特許第5,301,694、Coleman,IIIらの米国特許第6,298,858号、Coleman,IIIらの米国特許第6,325,860号、Coleman,IIIらの米国特許第6,428,624号、Dubeらの米国特許第6,440,223号、Coleman,IIIの米国特許第6,499,489号、およびWhiteらの米国特許第6,591,841号、並びにColeman,IIIの米国特許出願第2004/0173228号、および2008年8月14日に出願されたColeman,IIIらの米国特許シリアル番号第12/191,751号に説明されており、これらの各文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
また、無煙タバコの感覚的属性は、特定の風味材料を組み入れることにより高めることができる。例えば、Williamらの米国特許出願番号第2002/0162562号、Williamsの米国特許出願番号第2002/0162563号、Atchleyらの米国特許出願第2003/0070687号、Williamsの米国特許出願第2004/0020503号、Breslinらの米国特許出願第2005/0178398号、Stricklandらの米国特許出願第2005/0178398号、Holton,Jr.らの米国特許出願第2007/0062549号、Holton,Jr.らの米国特許出願第2007/0186941号、Stricklandらの米国特許出願第2007/0186942号、Dubeらの米国特許出願第2008/0029110号、Robinsonらの米国特許出願第2008/0029116号、Muaらの米国特許出願第2008/0029117号、Robinsonらの米国特許出願第2008/0173317号、およびNeilsenらの2008/0209586号を参照されたい。これらの各文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
喫煙物品および/または無煙タバコ製品の製造に有益なタバコ(並びにタバコ組成物およびタバコ製剤)の特性および性質を変えるための方法を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第1,376,586号明細書
【特許文献2】米国特許第3,696,917号明細書
【特許文献3】米国特許第4,513,756号明細書
【特許文献4】米国特許第4,528,993号明細書
【特許文献5】米国特許第4,624,269号明細書
【特許文献6】米国特許第4,987,907号明細書
【特許文献7】米国特許第5,092,352号明細書
【特許文献8】米国特許第5,387,416号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2005/0244521号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【特許文献11】国際公開第04/095959号
【特許文献12】国際公開第05/063060号
【特許文献13】国際公開第05/004480号
【特許文献14】国際公開第05/016036号
【特許文献15】国際公開第05/041699号
【特許文献16】米国特許第6,953,040号明細書
【特許文献17】米国特許第7,032,601号明細書
【特許文献18】米国特許第3,424,171号明細書
【特許文献19】米国特許第3,476,118号明細書
【特許文献20】米国特許第4,150,677号明細書
【特許文献21】米国特許第4,986,286号明細書
【特許文献22】米国特許第5,074,319号明細書
【特許文献23】米国特許第5,099,862号明細書
【特許文献24】米国特許第5,235,992号明細書
【特許文献25】米国特許第5,301,694号明細書
【特許文献26】米国特許第6,298,858号明細書
【特許文献27】米国特許第6,325,860号明細書
【特許文献28】米国特許第6,428,624号明細書
【特許文献29】米国特許第6,440,223号明細書
【特許文献30】米国特許第6,499,489号明細書
【特許文献31】米国特許第6,591,841号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2004/0173228号明細書
【特許文献33】米国特許出願第12/191,751号
【特許文献34】米国特許出願公開第2002/0162562号明細書
【特許文献35】米国特許出願公開第2002/0162563号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2003/0070687号明細書
【特許文献37】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【特許文献38】米国特許出願公開第2005/0178398号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第2007/0186941号明細書
【特許文献41】米国特許出願公開第2007/0186942号明細書
【特許文献42】米国特許出願公開第2008/0029110号明細書
【特許文献43】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【特許文献44】米国特許出願公開第2008/0029117号明細書
【特許文献45】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【特許文献46】米国特許出願公開第2008/0209586号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Tobacco Encyclopedia,Voges(Ed.)p.44−45(1984)
【非特許文献2】Browne,The Design of Cigarettes,3rd Ed.,p.43(1990)
【非特許文献3】Tobacco Production,Chemistry and Technology,Davisら、(Eds.)p.346(1999)
【非特許文献4】Bryzgalovら、1N1800 Life Cycle Assessment,Comparative Life Cycle Assessment of General Loose and Portion Snus(2005)
【非特許文献5】Leffingwellら、Tobacco Flavoring for Smoking Products,R.J. Reynolds TobaccoCompany (1972)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、喫煙物品および無煙タバコ製品など、様々なタバコ製品で利用されるタバコ組成物への取り入れに有益なタバコ属の植物から取り出された成分を含むタバコ属(例えばタバコ由来の材料)に由来する材料を提供する。また、本発明は、タバコ属(例えばタバコ材料)から成分を取り出す方法、および該成分と該成分を取り入れたタバコ材料を加工する方法を提供する。例えば、タバコ由来の材料は、タバコ植物(例えば葉、葉茎、根、または茎)の少なくとも一部分であるが、最も好ましくは、タバコの花の少なくとも一部分に分離プロセスを施すことにより調製することができ、このプロセスは、タバコ材料から好適な成分を取り出すために、複数の逐次的な抽出ステップを含むことができる。
【0012】
本発明のニコチニア由来(例えば、タバコ由来)の材料を使用することにより、実質的にタバコ材料、または略全体的にタバコ材料に由来する喫煙物品用のタバコ組成物または無煙のタバコ組成物を調製することができる。例えば、タバコ組成物は、ある形態のタバコ、並びに、(乾燥重量ベースで)タバコ組成物の少なくとも約80重量パーセント、より一般的には少なくとも約90重量パーセント、またはさらに少なくとも約95重量パーセントがタバコ由来の材料から成るように、少なくとも1つのタバコ由来の材料を組み入れることができる。
【0013】
一態様では、本発明は、タバコ属の花(例えばバージニアタバコ、バレータバコまたはニコチニア・アラタ(N.alata))に由来する添加剤を含む喫煙物品で使用するタバコ組成物または無煙タバコ組成物を提供する。添加剤は、微粒子形態もしくはタバコ属の花に由来する花の分離物の形態になったタバコ属の花またはその一部分にすることができる。特定の実施形態では、花の分離物は、タバコ属の花から抽出された形態、または化学的に形質転換された花の分離物の形態であり、例示的な化学変化とは、酸塩基反応、加水分解、熱処理酵素処理、およびそのようなステップの組み合わせを含む。一般的に、化学変化の結果、好適な感覚的特性(例えば芳香的または風味的化合物)を有する特定の化合物量の増加など、タバコ分離物の化学組成が変化する。
【0014】
一実施形態では、花の分離物は、酵素的に処理したタバコ属の花から抽出された形態である。例示的な溶剤は、へプタンおよびヘキサンなどの炭化水素を含む。
【0015】
一般的に、タバコ分離物は、タバコ分離物が添加されるタバコ組成物の感覚的特性を高めるために有益な一つ以上の化合物を含む。例示的な化合物は、ヘプタノール、メチルオクタノエート、2−メチルプロピオン酸、2−メチル酪酸、4−ケトイソホロン、4−メチルペンタン酸、ヘキサン酸、ベンジルアルコール、リナロール、フェネチルアルコール、ドセシルアシレート(docecylacylate)、ネロリドール、オクタン酸、オイゲノール、メトキシオイゲノール、5−アセトキシメチル−2−フルフラール、ファルネサール、1−ヘキサデカン、1−オクタデセン、フィトール、アセトバニロン、桂皮アルデヒド、シンナミルアルコール、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、リノレン酸、メチルベンゾエート、サリチルアルデヒド、ベンジルサルチレート、センブレンジオール、イソホロン、オキシメス、ソラベチボン、ツンベルゴール、バニリン、ドデシルアクリレート(docecylacrylate)、センブレノール、ベンズアルデヒド、安息香酸ベンジル、スカラル(scaral)、アセトフェノンオキシム、カリオフィレン、およびアリストロンを含む。
【0016】
また、本発明は、本明細書で記載した花添加剤を含む喫煙物品および無煙タバコ組成物を提供する。例えば、本発明は、添加剤がタバコのストリップに適用されるケーシング製剤もしくはドップドレッシング製剤の形態、または添加剤が再構成されたタバコ材料に添加されているタバコ組成物を提供することもできる。本発明の花添加剤を組み入れた喫煙物品または無煙タバコ組成物は、一般的に、喫煙物品または無煙タバコ製品中のタバコ材料の総乾燥重量に基づいて花添加剤の約5ppmから5重量パーセントの花添加剤を含む。
【0017】
別の態様では、本発明は、タバコ組成物に添加するためにタバコ属の花に由来する添加剤を調製する方法を提供する。該方法は、i)収穫した花またはその一部分を採ることと、ii)微粒子の花の材料を形成するために収穫した花またはその一部分を細分化すること、または溶剤、抽出、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、再結晶、溶剤−溶剤分配、またはそれらの組み合わせを収穫した花またはその一部分に施し、収穫した花から花の分離物を分離することの少なくとも一方により収穫した花またはその一部分を加工することと、iii)喫煙物品での使用に適合したタバコ組成物または無煙タバコ組成物にステップiiで作り出した微粒子の花の材料または花の分離物を添加することとを含む。
【0018】
さらに別の実施形態では、本発明は、タバコ組成物に添加するためにタバコ属の花に由来する添加物を調製する方法を提供する。該方法は、タバコ属の花から花の分離物を分離することを含み、該分離ステップは、一つ以上の以下のステップ、i)生花を取り巻くヘッドスペースから気相成分を収集するステップと、ii)溶剤抽出、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、再結晶、溶剤−溶剤分配、またはそれらの組み合わせを収穫した花またはその一部分に施すことにより、収穫した花の成分を取り出すステップとを含む。
【0019】
例示的な分離ステップは、有機溶剤を使用して収穫した花またはその一部分を溶媒抽出すること、または酵素的に処理した花の材料を形成するために収穫した花またはその一部分に酵素処理を施し、次いでタバコ分離物を形成するために酵素的に処理した花の材料に溶剤抽出を施すことを含む。一実施形態では、分離ステップは、凍結した花の材料を形成するために、収穫した花またはその一部分を凍結するステップと、凍結した花を微粒子形状に加工するステップと、微粒子の花の材料を化学的に変化させるために、微粒子の花の材料に酵素処理を施すステップと、タバコ分離物を作り出すために、有機溶剤を用いて微粒子の花の材料を抽出することとを含む。例示的な酵素処理は、グリコシダーゼまたはグルコシダーゼを用いた処理を含む。
【0020】
さらなる実施形態では、花の分離物は、花の分離物を提供するために適合した分離ステップを行う前に、収穫した花を前処理してグリコシド結合した化合物を放出することにより調製される。例えば、タバコ花の材料は、酵素処理(例えばグリコシダーゼまたはグルコシダーゼ)を用いて前処理することができ、または、酸もしくは塩基の加水分解を施し、その後、溶媒抽出を施すことができる。前処理は、花、少なくとも一部がグリコサイドの形態の花に存在する特定の好適な化合物の抽出を高める。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、以下で本発明をより十分に記載する。本発明は、多くの異なる形態に具体化され得るが、本明細書で説明する実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、完全かつ完璧であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。本明細書および請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明白に指示しない限り、複数の指示対象を含む。「乾燥重量パーセント」または「乾燥重量ベース」に対する言及は、乾燥含有物(すなわち水分以外の全ての含有物)をベースとした重量をいう。
【0022】
タバコ属の植物の選出は多種多様とすることができ、詳細には、タバコの種類またはタバコが異なってよい。採用できるタバコは、熱風乾燥もしくはバージニア(例えばK326)、バレー、日干し乾燥(例えば、カテリーニタバコ、プレリップ(Prelip)タバコ、コモティニタバコ、シャンティタバコ、およびヤンボルタバコを含むインドのクルヌールタバコ、およびオリエンタルタバコ)、メリーランドタバコ、暗色タバコ、暗色火力乾燥タバコ(例えば、パサンダタバコ、キューバノタバコ、ジャテンタバコ、およびブズーキタバコ)、自然乾燥(例えば、ノースウィスコンシンおよびガルパオタバコ)、インディアン・風乾燥、レッドルシアンタバコ、およびラスティカタバコ、また他の様々な珍しいタバコまたは特殊なタバコを含む。様々な種類のタバコ、株栽培、および株収穫の説明は、Tobbaco Production,Chemistry and Technology,Davisら、(Eds.)(1999)に説明されており、これらの各内容は参照により本明細書に組み込まれる。様々な種類の代表的なタバコ属の植物は、Goodspeed,The Genus Nicotiana,(Chonica Botanica)(1954)、Sensabaugh,Jrらの米国特許第4,660,577号、Whiteらの米国特許第5,387,416号、およびLawsonらの米国特許第7,025,066号、Lawrence,Jr.の米国特許出願番号第2006/0037623号、およびMarshallらの米国特許出願番号第2008/0245377号に説明されており、これらの各文献は参照により本明細書に組み込まれる。特定の対象は、N.alata,N.arentsii,N.excelsior,N.forgetiana,N.glauca,N.glutinosa,N.gossei,N.kawakamii,N.knightiana,N.langsdorffi,N.otophora,N.setchelli,N.sylvestris,N.tomentosa,N.tomentosiformis,N.undulata,およびN.x sanderaeである。また、特定の対象は、N.africana,N.amplexicaulis,N.benavidesii,N.bonariensis,N.debneyi,N.longiflora,N.maritina,N.megalosiphon,N.occidentalis,N.paniculata,N.plumbaginifolia,N.raimondii,N.rosulata,N.rustica,N.simulans,N.stocktonii,N.suaveolens,N.tabacum,N.umbratica,N.velutina,およびN.wigandioidesである。タバコ属の他の植物は、N.acaulis,N.acuminata,N.attenuata,N.benthamiana,N.cavicola,N.clevelandii,N.cordifolia,N.corymbosa,N.fragrans,N.goodspeedii,N.linearis,N.miersii,N.nudicaulis,N.obtusifolia,N.occidentalis subsp.Hersperis,N.pauciflora,N.petunioides,N.quadrivalvis,N.repanda,N.rotundifolia,N.solanifolia,およびN.spegazziniiを含む。
【0023】
タバコ属は、遺伝子組み換えまたは異種交配方法を使用して得ることができる(例えば、タバコ植物は遺伝子操作または異種交配して製品の成分、特性または属性を増減することができる)。例えば、植物の遺伝子組み換えの種類は、Fitzmauriceらの米国特許第5,539,093号、Wahabらの米国特許第5,668,295号、Fitzmauriceらの米国特許第5,705,624号、Weiglの米国特許第5,844,119、Dominguezらの米国特許第6,730,832号、Liuらの7,173,170号、Colliverらの米国特許第7,208,659号、およびBenningらの米国特許第7,230,160号、並びにConklingらの米国特許出願番号第2006/0236434号、並びにNielsenらのPCT国際公開第2008/103935号を参照されたい。
【0024】
無煙および有煙タバコ製品の調製のために、収穫したタバコ属の植物に乾燥プロセスを施すことが一般的である。様々な種類のタバコに対する様々な種類の乾燥プロセスの説明がTobacco Production,Chemistry and Technology,Davisら、(Eds.)(1999)に説明されている。熱風乾燥タバコを乾燥する例示的な方法および条件は、Nestorら、Beitrage Tabakforsch.Int.,20 467−475(2003)、およびPeeleの米国特許第6,895,974号に説明されており、これらの各内容は参照により本明細書に組み込まれる。タバコを風乾燥する代表的な方法および条件は、Rotonら、Beitrage Tabakforsch. Int.,21,305−320(2005)、およびStaafら、Beitrage Tabakforsch.Int.,21,321−330(2005)に説明されており、これらの各内容は参照により本明細書に組み込まれる。特定の種類のタバコは、熱乾燥または日干し乾燥など代替的な種類の乾燥プロセスを施すことができる。好ましくは、乾燥される収穫されたタバコは、次いで熟成される。
【0025】
タバコ属の植物の少なくとも一部分(例えば、タバコの一部の少なくとも一部分)は、未成熟な形態で用いることができる。すなわち、植物または該植物の少なくとも或る一部分は、成熟または熟成したと通常みなされる段階に至る前に収穫することができる。そのようなものとしては、例えば、タバコはタバコ植物が発芽の段階、葉の形成を始めた段階、開花を始めた段階等の際に収穫することができる。
【0026】
タバコ属の植物の少なくとも一部分(例えば、タバコの一部の少なくとも一部分)は、成熟した形態で用いることができる。すなわち、植物または植物の少なくとも或る一部分は、植物(または植物の一部分)が熟成したか、熟成を過ぎたか、または成熟を過ぎたと慣例的にみなされるときに収穫することができる。そのようなものとしては、例えば、従来から農家に用いられているタバコ収穫方法を使用することにより、オリエンタルタバコ植物を収穫でき、バレータバコ植物を収穫でき、またはバージニアタバコの葉を葉柄の位置で収穫または採取することができる。
【0027】
収穫された後、タバコ属の植物またはその一部分の植物は、緑色形態で使用することができる(例えば、タバコは何ら乾燥プロセスを施すことなく使用することができる)。例えば、緑色形態のタバコは凍結、凍結乾燥、放射線照射、黄色化、乾燥、加熱(例えば、ロースト、フライ、またはボイル)することができ、または後に使用するため保存または後使用用の処理を施すことができる。そのようなタバコは、熟成環境に置くこともできる。
【0028】
本発明によれば、タバコ製品は、ある形態になった、少なくとも一つのタバコ属の植物の花と組み合わせられるタバコを組み入れる。すなわち、タバコ製品の一部分は、花の一部もしくは花のピース、または加工された花もしくはその成分を組み入れた加工材料など、ある形態になったタバコ属の花から構成することができる。タバコ製品の少なくとも一部分は、(例えば抽出、蒸留または他の種類の処理方法によって)花から取り出した含有物など、花の成分から構成することができる。タバコ製品の少なくとも一部分は、花を化学反応にさらした後、または花から収集した成分を化学反応(例えば酸塩基反応環境または酵素処理)にさらした後に収集された成分など、花に由来する成分から構成することができる。
【0029】
花は、タバコ属の植物の特徴的な生殖構造(例えば、種を産出する構造)を示す。例えば、タバコの花は、タバコ植物の花の特徴を示す。様々な種類の代表的なタバコ属の花が、Schiltzら、Les Plantes du G.Nicotiana en Collection a L’Institut du Tabac de Bergerac,2nd Ed.(Seita)(1991)に示されている。
【0030】
タバコ属は、タバコが生み出す花の種類のために選択することができる。例えば、植物は、植物が比較的大きなサイズの花、数多くの花、好適な特定の成分を比較的高いレベルで組み入れた花などを生み出すことを踏まえて選択することができる。
【0031】
タバコ属の植物は、農学的環境下で栽培して花の発育を促進させることができる。タバコ植物は温室、栽培箱、もしくは現場の戸外で栽培、または水耕で栽培することができる。
【0032】
花は、タバコ属の植物から収穫される。花が収穫される方法は異ならせることができる。慣例的に、花の収穫は「摘み取る」という。そのようなものとして、植物のレストから花をつなげる茎または柄をカットまたは断つことにより花は植物のレストから取り出される。代替的に、花の成分は、生花が入っている栽培箱のヘッドスペースから気相成分を捕獲するなど、生花(すなわち、植物から取り出されたり積み出されたりしなかった花)の付近にあるヘッドスペースから気相成分を収集することにより取り出すことができる。
【0033】
花の様々な部分または一部分を用いることができる。例えば、実質的に花の全て(例えば、花全体)を収穫し、そのまま用いることができる。代替的に、様々な部分または種類の花を収穫、または収穫した後でさらに使用するため分離することができる。例えば、花弁花冠筒、花冠、花托、葯、花糸、柱頭、雄蕊、花柱、雌蕊、小花柄、子房、およびそれらの様々な組み合わせを、追加使用または処理するために取り出すことができる。
【0034】
花のライフサイクルにおける収穫時期は異ならせることができる。例えば、つぼみの形状のとき、開花前に閉じているとき、開花中、開花の完了の後に花を収穫することができる。収穫の時期は、花から取り出した特定の好適な化合物の収穫に影響を与え、植物の生涯が終わりに近づく成長シーズンの最後に収穫するのは好適でない。
【0035】
花は、一日のうちで異なる時間帯に収穫することができる。例えば、花は朝の時間帯、昼の時間帯(すなわち、日照時間中)、または夜の時間帯(すなわり、暗くなったとき)に収穫することができる。花は、乾燥しているとき、または濡れているとき(例えば、雨またはかんがいを受けた後)に収穫することができる。
【0036】
花を収穫したあとの加工は異ならせることができる。収穫後、花またはその一部分は、緑色の形態で使用することができる(例えば、何ら乾燥プロセスを施すことなく使用することができる)。例えば、花は、大幅な保存環境、処理環境、または加工環境に置くことなく使用することができる。特定の状況では、実質的に収穫直後の新鮮な花を使用することが好適である。代替的に、例えば、緑色の形態の花は、後に使用するため、冷凍もしくは凍結、凍結乾燥、放射線照射、黄色化、乾燥(例えば、風乾燥方法または熱適用を用いた方法を使用して)乾燥、加熱、または加熱(例えば、ロースト、フライ、ボイル)、または後に使用するため保存もしくは後使用用の処理を施すことができる。
【0037】
収穫した花は、物理的に加工することができる。花は、個々の部分またはピースに分離することができる(例えば、残っている花の一部分から花弁を取り出すことができる)。花またはその一部は、部分またはピースにさらに細かく分けることができる(例えば、花はみじん切り、カット、粉末化、粉砕、挽く、挽いて粉末化して、フィラー類のピース、顆粒、微粒子、または微細な粉末として特徴を有することができるピースまたは部分にすることができる)。花またはその一部は、(例えば、押圧、またはローラー処理を施すことにより)外力または圧力を施すことができる。そのようなプロセス条件が実行されると、花は自然な水分含量(例えば、収穫直後の水分含量)、花に水分を加えることにより実現される水分含量、または花を乾燥させた結果得られる水分含量に近い水分含量を有することができる。例えば、粉砕、挽く、挽いて粉末化した花のピースは、約25重量パーセント未満、時には約20重量パーセント未満、および、しばしば約15重量パーセント未満の水分含有量を有することができる。そのようなものとして、花の部分またはピースは、タバコ製品の成分として使用するか、さらに加工することができる。
【0038】
収穫した花は、他の種類のプロセス条件を施すことができる。例えば、花の成分は、各々分離することができ、または個々の化合物の化学薬品クラスまたは混合物に断片化することができる。一般的な分離プロセスは、一つ以上の処理ステップ(例えば、極性溶剤、有機溶剤、または超臨界流体を使用した溶媒抽出)、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、再結晶、および/または溶剤-溶剤分配を含めることができる。例示的な抽出および分離溶剤または担体は、水、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)、炭化水素(例えば、へプタンおよびヘキサン)、ジエチルエーテル、塩化メチレン、および超臨界二酸化炭素を含む。タバコ属から成分を抽出するために有益な例示的方法は、Fioreらの米国特許第4,144,895号、Osborne,Jr.らの米国特許第4,150,677号、Reidの米国特許第4,267,847号、Wildmanらの米国特許第4,289,147号、Brummerらの米国特許第4,351,346号、Brummerらの米国特許第4,359,059号、Mullerの米国特許第4,506,682号、Keritsisの米国特許第4,589,428号、Sogaらの米国特許第4,605,016号、Pouloseらの米国特許第4,716,911号、Niven,Jr.らの米国特許第4,727,889号、Bernasekらの米国特許第4,887,618号、Clappらの米国特許第4,941,484号、Faggらの米国特許第4,967,771号、Robertsらの米国特許第4,986,286号、Faggらの米国特許第5,005,593号、Grubbsらの米国特許第5,018,540号、Whiteらの米国特許第5,060,669号、Faggの米国特許第5,065,775号、Whiteらの米国特許第5,074,319号、Whiteらの米国特許第5,099,862号、Whiteらの米国特許第5,121,757号、Faggの米国特許第5,131,414号、Munozらの米国特許第5,131,415号、Faggの米国特許第5,148,819号、Kramerの米国特許第5,197,494号、Smithらの米国特許第5,230,354号、Faggの米国特許第5,234,008号、Smithの米国特許第5,243,999号、Raymondらの米国特許第5,301,694号、Gonzalez−Parraらの米国特許第5,318,050号、Teagueの米国特許第5,343,879号、Newtonの米国特許第5,360,022号、Clappらの米国特許第5,435,325号、Brinkleyらの米国特許第5,445,169号、Lauterbachの米国特許第6,131,584号、Kierulffらの米国特許第6,298,859号、Muaらの米国特許第6,772,767号、およびThompsonの米国特許第7,337,782号に説明されており、全ての文献は参照により本明細書に組み込まれる。また、分離方法の種類は、Brandtら、LC−GC Europe,p.2−5(March,2002)、およびWellings,A Practical Handbook of Preparative HPLC(2006)に説明されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。さらに、花またはその成分は、以下に列挙する文献に説明される種類の処理を施すことができる;Ishikawaら、Chem.Pharm.Bull.,50,501−507(2002);Tienpontら、Anal.Bioanal.Chem.,373,46−55(2002);Ochiai,Gerstel Solutions Worldwide,6,17−19(2006);Coleman,IIIら、J.Sci.Food and Agric.,84, 1223−1228 (2004);Coleman,IIIら、J.Sci.Food and Agric.,85,2645−2654(2005);Pawliszyn,ed.,Applications of Solid Phase Microextraction,RSC Chromatography Monographs,(Royal Society of Chemistry,UK) (1999);Sahraouiら、J.Chrom.,1210,229−233(2008);並びにRaymondらの第5,301,694号、に説明されており、これらの各文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
花の成分または、花の一部分を分離することが可能である。本明細書において使用するように、「分離した成分」または「花分離物」は、タバコ属の植物の花から分離した、化合物または化合物の混合物である。分離した成分は、単一の化合物、類似化合物の同族混合物(例えば風味化合物の異性体)または、非類似化合物の異種混合物(例えば、異なる型の様々な化合物の複合混合物で、好ましくは所望の官能属性を有する)であり得る。
【0040】
複数の連続した分離プロセスは、所望の方法で花分離物を精製し、洗練するために用いることができる。例えば、タバコ属の花の溶媒抽出は、特定の風味化合物または芳香的化合物などの、特定の好ましい化合物の相対量を増加させることによってなど、抽出物の化学組成を変更するために、更なる分離ステップに供することができる。一実施形態において、花抽出物は、分子蒸留を用いて処理され、分子蒸留は、典型的に約0.01トル未満の圧力での真空蒸留を含む。
【0041】
花分離物内に存在し得る成分の型の例は、テルペン、セスキ−テルペン、ジテルペン、エステル(例えば、テルペノイドエステル、および脂肪酸エステル)、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、ラクトン、無水物、フェノールキノン、エーテル、ニトリル、アミン、アミド、イミド、ニトロアルカン、ニトロフェノール、ニトロアレーン、窒素含有複素環、ラクタム、オキサゾール、アザ−アレーン、硫黄含有化合物、アルカノイド(例えば、ニコチン)、およびそれらの誘導体を含む。用い得る代表的な化合物の追加の例は、LipowiczによるPCT国際公開第WO2007/012980号において、天然タール希釈剤として説明され、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0042】
花の成分は、それらの成分(花の一部分の形態として、または分離された成分の形態として、にかかわらず)が化学変化を受けられるような条件に付すことができる。例えば、花から分離された花分離物は、化学変化または他の成分と混合されるように処理され得る。化学変化または花分離物の変化は、それらの花分離物の特定の化学的および物理的特性(例えば、それらの分離物の感覚属性)を変化させることができる。例示的な化学変化プロセスは、酸/塩基反応、加水分解、過熱(例えば、花分離物を、少なくとも約50℃、または少なくとも約75℃、または少なくとも約90℃の温度などの高温に曝すという熱的処理)、および酵素処理(例えばグリコシダーゼまたはグルコシダーゼ)などによって実行することが可能であり、花分離物の成分は、エステル化、エステル交換反応、異性体転換、アセタール形成、アセタール分解、糖反応反転等を受け得る。花分離物と混合することができる更なる成分の典型的な型は、香料、充填剤、結合剤、pH調節剤、緩衝剤、着色剤、崩壊助剤、酸化防止剤、湿潤剤および防腐剤を含む。
【0043】
花および花分離物の成分は、タバコ組成物、特に、喫煙物品または無煙タバコ製品へ組み込まれるタバコ組成物の添加物として有用である。タバコ組成物への花分離物の添加は、花分離物の特性およびタバコ組成物の型によって、タバコ組成物を様々な方法で促進することが可能である。典型的な花分離物は、タバコ製品へ風味および/または香りを提供するのに役立つ(例えば、タバコ組成物またはタバコ組成物由来の煙の感覚的特性を変化させる組成物)。
【0044】
独特の味と香りの特性を有する種々の化合物は、タバコ属の植物の花から分離することができる。特定のそれらの化合物は、温度、湿度、気圧の通常の周囲条件下で揮発性であると考えることができる。好ましい化合物は、比較的低濃度で正の感覚属性を示す。例えば、適切な花は、4−ケトイソホロン、フィトール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、リナロール、様々なセンブレノール異性体、様々なセンブレンジオール、イソホロン、メチルベンゾエート、サリチルアルデヒド、ベンジルサリチレート、メトキシオイゲノール、ツンベルゴール、様々なカルボン酸、様々なオキシム、ベンズアルデヒド、安息香酸ベンジル、スカラル(scaral)、アセトフェノン、カリオフィレン、シンナムアルデヒド、シンナミルアルコール、様々なシクロヘキサン−ブタノン異性体、ソラベチボン、ファルネサール、ファルネソール、などのような化合物を提供することができる。更なる典型的な化合物は、1,8−シネオール、シス−3−ヘキセン−1−オール、サリチル酸メチル、b−イオノン、アセトバニロン、b−ダマスコン、b−ダマセノン、ジヒドロアクチニジオリド、バニリルアセトン、スクラレオリド、スクラレオール、cis−アビエノール、センブレン異性体、センブラトリエンジオール異性体(例えば、α−センブラトリエンジオール、β−センブラトリエンジオール)、メガスティグマトリエノン(megastigmatrienone)、ノルソラナジオン、ソラノン、カリオフィレンオキシド、イオノール誘導体などを含む。それらの型の化合物のそれぞれは、比較的純粋な形態で分離することができる。例えば、RagusoらのPhytochemistry,63,265−284(2003)and Bauer et al.,Common Fragrance and Flavor Materials,Preparation,Properties and Uses,VCH,Federal Republic of Germany(1985)を参照されたい。更に、独特の味および香り特性を有する化合物は、グリコシド結合化合物の形態のように、化学的に結合し得る。件の多くの他の化合物は、ベンズアルデヒドとして、4−ケトイソホロン、酢酸ベンジル、1,8−シネオール、リナロール、ゲラニオール、オイゲノール、ネロリドール、センブレンジオール、テルピネオール、メガスティグマトリエノン(megastigmatrienone)ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、エチルアセトフェノン、および本明細書中に記載のほかの化合物などの、グリコシドの形態でタバコ内に存在し得る。例えば、SnookらのPhytochemistry,31,1639−1647(1992);Loughrin et al.,Phytochemistry,31,1537−1540(1992);Kodama et al.,Agric.Biol.Chem.,45,941−944(1981);Matsumura et al.,Chem.Pharm.Bull.,50,66−72(2002);and Ishikawa et al.,Chem.Pharm.Bull.,50,501−507(2002)参照されたい。
【0045】
風味的化合物または芳香的化合物などの所望の化合物といった、グリコシド結合化合物は、グリコシドの形態で存在しており、溶媒抽出において、タバコの花から取り出すのは困難であり得る。この理由によって、件の化合物の放出および分離は、適応したプロセスを使用したタバコの花の前処理によって、付加された糖分子(例えばグルコース)から所望の化合物の放出を促進することが可能であり、それによって、所望の化合物を花からより効果的に抽出することを可能にしている。グルコキシド結合を切断に適応した任意のプロセスを使用し得た。一実施形態において、実施例2に記載のように、酵素処理(例えば、グリコシダーゼまたはグルコシダーゼ)を、特定の化合物の抽出を増加させるために、タバコの花からグリコシドを放出するために使用することができる。別の実施例において、実施例3に記載のように、酸または塩基加水分解を、特定の風味化合物の収率を増加させるために、タバコの花からグリコシドを放出するために使用することができる。酸または塩基加水分解は、典型的に、水の存在下における、強酸(例えば、塩酸または硫酸)または強塩基(例えば、水酸化ナトリウム)を用いたタバコの花の処理を伴う。Synthesis and Characterization of Glycosides, Brito−Arias, Springer, pages 304−313 (2007)参照のこと。所望の場合、グリコシドを放出するために、花全体を前処理するというよりもむしろ、前処理の前に、例えば植物バイオマスからの高不溶性物質を除去することにより、グリコシドを濃縮するために、花材料をまず分離工程に供することもできる。
【0046】
花分離物の形態は、変化し得る。典型的に、花分離物は固体、液体、半固体、またはゲル形態である。花分離物は、濃縮、無水、水無しの形態で、使用され得る。花分離物の固体形態は、噴霧乾燥形態および凍結乾燥形態を含む。花分離物の液体形態は、水または有機溶媒キャリア内に含まれる。
【0047】
花、処理した花および花分離物は、様々な形態で採用され得る。収穫された花または花分離物は、処理したタバコの成分として採用され得る。一つの点において、花またはその成分は、タバコのストリップへの適用のための包装剤形内に採用し得るか(例えば、Shelarの米国特許第4,819,668号公報に記載の作法や方法を使用し、これは参照により本明細書中に組み込まれる)または、トップドレッシング剤形中に採用し得る。また、花またはその成分は、再構成されたタバコ材料の成分として採用され得る(例えば、Sohnによる米国特許第5,143,097号、Brinkleyらの米国特許第5,159,942号、Jakobによる米国特許第5,598,868号、Youngらの米国特許第5,725,844号、Gellatlyらの米国特許第5,724,998号、およびKumarによる米国特許第6,216,706号に一般的に記載のタバコの再構成工程の型を使用し、それらは参照によって本明細書中に組み込まれる)。花、またはその成分はまた、タバコフィルターにも組み込まれ得る(例えば、フィルタプラグ、プラグラップ、またはティッピング紙)か、または、タバコの包装紙、好ましくは内側表面上に、タバコの製造工程の間に組み込まれ得る。
【0048】
タバコの花、処理された花および花分離物は、喫煙物品に組み込むことができる。代表的なタバコのブレンド、非タバコ成分、およびそれらから製造された代表的なタバコは、Lawsonらの米国特許第4,836,224号、Perfettiらの米国特許第4,924,888号、Brownらの米国特許第5,056,537号、Gentryによる米国特許第5,220,930号、Blakleyらの米国特許第5,360,023号、Shaferらの米国特許出願2002/0000234号、およびPCT国際公開第WO02/37990号に記載されている。それらのタバコ材料はまた、Sensabaughによる米国特許第4,793,365号、Clearmanらの米国特許第4,917,128号、Brooksらの米国特許第4,947,874号、Korteによる米国特許第4,961,438号、Lawrenceらの米国特許第4,920,990号、Clearmanらの米国特許第5,033,483号、Gentryらの米国特許第5,074,321号、Drewettらの米国特許第5,105,835号、Riggsらの米国特許第5,178,167号、Clearmanらの米国特許第5,183,062号、Shannonらの米国特許第5,211,684号、Deeviらの米国特許第5,247,949号、Riggsらの米国特許第5,551,451号、Banerjeeらの米国特許第5,285,798号、Farrierらの米国特許第5,593,782号、Bensalemらの米国特許第5,595,577号、Countsらの米国特許第5,816,263号、Barnesらの米国特許第5,819,751号、Bevenらの米国特許第6,095,153号、Nicholsらの米国特許第6,311,694号、Nicholsらの第6,367,481号、Robinsonらの米国特許出願公開第2008/0092912号、およびPCT国際公開第WO97/48294号、およびPCT国際公開第WO98/16125号に記載されている、それらの型のタバコの製造について採用され得る。また、Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco,R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)and Inhalation Toxicology,12:5,p.1−58(2000)に記載の、商業的に市販されている型のタバコも参照されたい。
【0049】
タバコの花、処理された花および花分離物は、束ねられていない湿った嗅ぎタバコ、束ねられていない乾いた嗅ぎタバコ、噛みタバコ、ペレット化したタバコピース(例えば、錠剤、タブレット、球、コイン、ビーズ、3次元の楕円形、または豆状の形態)などの、無煙タバコ製品へ組み込むことができ、タバコのストリップ、ピース、ロッド、シリンダ、スティック、細かく砕かれた粉、微細に分割または粉砕凝集された粉末ピースまたは成分、フレーク状ピース、成型され処理されたタバコピース、タバコ含有ガムピース、テープ状フィルムのロール、容易に水に溶解するかまたは水に分散するフィルムまたはストリップ(例えば、Chanらの米国特許出願公開第2006/0198873号)、または、外殻(例えば、自然状態で、透明、無色、半透明、または高度に着色し得る、柔軟なまたは硬い外殻)を有するカプセル状のもの、および、タバコまたはタバコ風味を有する内側領域(例えば、幾つかのタバコの形態を取り込んだ、ニュートン流体またはチキソトロピー性流体)などの、無煙タバコ製品へ組み込まれ得る。無煙タバコ製品の様々な型は、Schwartzによる米国特許第1,376,586号、Leviによる米国特許第3,696,917号、Pittmanらの米国特許第4,513,756号、Sensabaugh.Jr.らの米国特許第4,528,993号、Storyらの米国特許第4,624,269号、Townsendによる米国特許第4,987,907号、Sprinkle.IIIらの米国特許第5,092,352号、および、Whiteらの米国特許第5,387,416号、並びに、Stricklandらの米国特許出願公開第2005/0244521号、およびEngstromらの米国特許出願公開第2008/0196730号、並びに、ArnarpらのPCT国際公開第WO04/095959号、AtchleyらのPCT国際公開第WO05/063060号、BjorkholmによるPCT国際公開第WO05/016036号、QuinterらのPCT国際公開第WO05/041699号公報に記載されており、それらは参照により本明細書中に組み込まれる。また、Atchleyらの米国特許第6,953,040号、およびAtchleyらの米国特許第7,032,601号、Williamsによる米国特許出願公開第2002/0162562号、Williamsらの米国特許出願公開第2002/0162563号、Atchleyらの米国特許出願公開第2003/0070687号、Williamsによる米国特許出願公開第2004/0020503号、Breslinらの米国特許出願公開第2005/0178398号、Stricklandらの米国特許出願公開2006/0191548号、Holton.Jr.らの米国特許出願公開第2007/0062549号、Holton.Jr.らの米国特許出願公開第2007/0186941号、Stricklandらの米国特許出願公開第2007/0186942号、Dubeらの米国特許出願公開第2008/0029110号、Robinsonらの米国特許出願公開第2008/0029116号、Muraらの米国特許出願公開第2008/0029117号、Robinsonらの米国特許出願公開第2008/0173317号、およびNeilsenらの米国特許出願公開第2008/0209586号に記載されており、それらが参照により本明細書中に組み込まれている、無煙タバコの配合、材料、加工方法の種類も、参照されたい。
【0050】
タバコ組成物へ添加された、もしくはそうでなければ、タバコ組成物、またはタバコ製品へ組み込まれた花または花分離物の量は、花成分の所望の機能、その成分の化学構造、および花成分が添加されたタバコ組成物の型により得る。タバコ組成物へ添加される量は、変化し得るが、典型的には、花または花分離物を添加したタバコ組成物の全乾燥重量に基づいて約5重量%を超えない。花が喫煙物品へ採用される場合、花の量は、典型的に、喫煙物品内のタバコ材料の全乾燥重量に基づいて、少なくとも約5ppm、一般的には少なくとも約10ppm、およびしばしば、少なくとも約100ppmであるが、典型的には、喫煙物品内のタバコ材料の全乾燥重量に基づいて、約5%未満、一般的には2%未満、およびしばしば1%未満であろう。花が無煙タバコ製品へ採用される場合、花の量は、典型的に、無煙タバコ製品内のタバコ材料の全乾燥重量に基づいて、典型的には少なくとも約5ppm、一般的には少なくとも約10ppm、およびしばしば、少なくとも約100ppmであるが、無煙タバコ製品内のタバコ材料の全乾燥重量に基づいて、典型的には約5%未満、一般的には約2%未満、およびしばしば約1%未満であろう。
【0051】
本発明の一態様は、完全に以下の実施例により示され、本発明の特定の態様を説明するために記載され、且つ、それらに限定するものとして解釈するものではない。
【実施例】
【0052】
[実施例1]
昼間照明16時間および夜間照明8時間の体制下で生育チャンバ内で生育した、生きているハナタバコの花を、夜間照明を表す時に(即ち、おおよそ午後10時に)採取する。それらの花は、混合物を準備するために、直ちに有機溶媒に接触させる。つまり、約5〜6個の摘みたての花を抽出容器内の約50mLのヘプタンと混合し、そしてそのようにして、全部で8つのほぼ同一の成分を含む抽出容器を準備する。
【0053】
各混合物を、速やかに抽出条件に供する。つまり、各抽出容器を、約69℃に設定し得るマイクロ波加速抽出システム(例えば、CEM Corp.MARSX社のMARSX Model No.907600)を使用して、約20分間処理する。そのようにして、花の様々な成分を、花から抽出し、ヘプタン中に溶解または分散させる。
【0054】
抽出容器を約2時間以上かけて、10℃未満まで冷却する。その後、約40℃でヘプタンを、ロータリーエバポレーション技法と乾燥した窒素のストリームを使用してサンプルから除去し、約2mLの最終容積を得る。得られた濁った抽出物を、次に、0.45μMワットマンPTFEオートバイアルでろ過し、少量の乾燥硫酸ナトリウムを、残留水を除去するために収集された抽出液に添加する。得られた透明な、僅かに黄緑色の抽出物を、次に、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)技法を用いて分析する。
【0055】
GC/MS分析技法を用いてピークとして同定される、抽出した花の成分は、様々なワックス(例えば、長鎖炭化水素)、カルボン酸およびカルボン酸エステルや、様々な官能属性を有する他の成分を含む。それらの成分は、メチルオクタノエート、2−メチルプロピオン酸、2−メチル酪酸、4−ケトイソホロン、4−メチルペンタン酸、ヘキサン酸、フェネチルアルコール、ドセシルアシレート(docecylacylate)、ネロリドール、オクタン酸、オイゲノール、5−アセトキシメチル−2−フルフラール、ファルネソール異性体、1−ヘキサデカン、1−オクタデカン、フィトール、アセトバニリン、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、リノレン酸、バニリン、ドセシルアクリレート(docecylacrylate)、およびアリストロンを含む。
【0056】
[実施例2]
昼間照明16時間および夜間照明8時間の体制下で生育チャンバ内で生育した、生きているハナタバコの花を、採取する。それらの花は、ただちに液化窒素内で凍結し、その後取り除き、液化窒素に曝しながらすり鉢とすりこぎで、粉砕して粉状態にする。湿潤重量に基づいて約20g〜約32gの得られた粉砕された花を、アーモンド由来のβ−グルコキシダーゼ(≧2ユニット/mg)を用いて、酵素処理に供する。懸濁液を48時間45℃の水浴内へ配置し、その後ヘキサン抽出を行う。ヘキサンは、約2.0mLまで蒸発させる。ヘキサン抽出物は、次に、GS−MSによって分析する。
【0057】
ベンズアルデヒド、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ベンジルアセテート、リナロールが抽出物の成分として同定され、抽出物内のそれらの化合物は、酵素処理に供していない同様の抽出と比較して、より高いレベルである。花の酵素処理は、特定の所望の風味化合物または芳香的化合物の放出を促進し得、その結果、より生産性のある溶媒抽出工程となる。前述のように、まず花を酵素処理に供し、その後、得られた物質を溶媒で処理することによって、より多くの特定の化合物が得られた。
【0058】
[実施例3]
生きているハナタバコの花を採取し、直ちに、または4℃で冷蔵庫内に貯蔵した後次の日に以下に説明するように処理を行うか、もしくは、花を更なる処理に供する前に凍結乾燥を行う。花原料の3つの型のそれぞれは、2または3つの、以下の処理群;水(対照)、2.5Nまたは5NのHCl、および3NのNaOHに分ける。凍結乾燥させた花をすり砕き、そして、2.5gの砕いた花材料を、水または2.5NのHCLを加えたマイクロ派抽出容器へ添加する。容器内の材料は、室温で30分間インキュベートする。直ちにまたは次の日に処理した花について、5つのまるごとの花を、1mLの水、5NのHCl、またはNaOHを入れたマイクロ派抽出容器内へ配置し、室温で30分間インキュベートする。全ての処理群についてのインキュベート期間は以下の通りであり、50mLのヘキサンおよびカーボン攪拌棒を各容器に加え、容器を密閉し、容器をマイクロ派内で69℃で20分間加熱する(設定温度へのランプアップ期間は10分)。その後、サンプルを1時間フリーザ内で冷却する。ヘキサンを、各容器内で約2.0mLまで蒸発させる。ヘキサン抽出を次にGC−MSで分析する。
【0059】
酸または塩基を用いた花の前処理は、対照サンプルと比較して、フェニルアルコール、ベンジルアルコール、ユイゲノール、4−ケトイソホロンおよびメガスティグマトリエノンを含む、特定の所望の化合物の抽出率を増加させる。この結果は、特定の所望の化合物がタバコの花内において、酸または塩基の加水分解などの前処理によって、グリコシド結合の破壊無しに容易に溶媒内に抽出されない、グリコシドの形態で存在していることを示唆している。収穫と同じ日における新鮮な花の処理は、凍結乾燥させたサンプルまたは、翌日に処理したサンプルと比較して、特定の所望の化合物の濃度がより高く抽出されるという結果となる。
【0060】
本発明の多くの変化形および他の実施例を当業者は想到するであろうし、それに対して、本発明は、上記の記述において存在する教示の利益を有する。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されず、且つ、修正形および他の実施形態が、添付の請求項の範囲内に含まれることを意図することが、理解されるべきである。特定の用語が本明細書中に採用されているが、それらは、一般的な説明の意味で使用されるものであり、何ら制限することを目的としていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ属の花由来の添加物を含む喫煙物品または無煙タバコ組成物において使用するためのタバコ組成物であって、前記添加物が、粒子形態の前記ニコチン属の花またはその一部分分であるか、または、前記添加物が前記ニコチン属の花由来の花分離物の形態であり、前記花分離物は、任意に化学的に変化した花分離物であってよく、前記化学的変化が、酸/塩基反応、加水分解、熱処理、酵素処理、およびそれらの組み合わせから選択される、タバコ組成物。
【請求項2】
前記タバコ組成物が、前記タバコ属の花を酵素処理した抽出物の形態の花分離物を含む、請求項1に記載のタバコ組成物。
【請求項3】
前記酵素処理した花は、グリコシダーゼまたはグルコシダーゼを用いて処理した花である、請求項2に記載のタバコ組成物。
【請求項4】
前記タバコ組成物は、化学的に変化された花分離物の形態の花分離物を含み、前記化学的変化は、酸/塩基反応、加水分解、熱処理、酵素処理およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のタバコ組成物。
【請求項5】
前記化学的に変化された花分離物は、エステル化、エステル交換反応、異性体変換、アセタール形成、アセタール分解、糖反応反転から選択された反応に供された花分離物である、請求項4に記載のタバコ組成物。
【請求項6】
タバコ属の花由来の前記添加剤が、香料、充填剤、結合剤、pH調節剤、緩衝剤、着色剤、崩壊助剤、酸化防止剤、湿潤剤、防腐剤から選択された、一つ以上の添加成分と混合される、請求項1に記載のタバコ組成物。
【請求項7】
前記タバコ属が、バージニアタバコ、バーレー種タバコ、またはニコチニア・アラタ(N.alata)である、請求項1に記載のタバコ組成物。
【請求項8】
前記タバコ組成物が、テルペン、セスキ−テルペン、ジテルペン、テルペノイドエステル、脂肪酸エステル、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、ラクトン、無水物、フェノールキノン、エーテル、ニトリル、アミン、アミド、イミド、ニトロアルカン、ニトロフェノール、ニトロアレーン、窒素含有複素環、ラクタム、オキサゾール、アザ−アレーン、硫黄含有化合物、アルカロイド、色素顔料、脂質およびそれらの誘導体から成る群から選択される、一つ以上の化合物を含む花分離物を含む、請求項1に記載のタバコ組成物。
【請求項9】
前記タバコが、ヘプタノール、メチルオクタノエート、2−メチルプロピオン酸、2−メチル酪酸、4−ケトイソホロン、4−メチルペンタン酸、ヘキサン酸、ベンジルアルコール、リナロール、フェネチルアルコール、ドセシルアシレート(docecylacylate)、ネロリドール、オクタン酸、オイゲノール、メトキシオイゲノール、5−アセトキシメチル2−フルフラール、ファルネサール、ファルネソール、1−ヘキサデカン、1−オクタデセン、フィトール、アセトバニリン、シンナムアルデヒド、シンナミルアルコール、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、リノレン酸、メチルベンゾ、サリチルアルデヒド、サリチル酸ベンジル、センブレンジオール、イソホロン、オキシム、ソラベチボン、ツンベルゴール、バニリン、ドセシルアクリレート(docecylacrylate)、センブレノール、ベンズアルデヒド、安息香酸ベンジル、スカラル(scaral)、アセトフェノン、カリオフィレン、シクロヘキセン−ブタノン異性体、およびアリストロンから成る群から選択された一つ以上の化合物を含む、花分離物を含む、請求項1に記載のタバコ組成物。
【請求項10】
前記タバコ組成物が、液状、噴霧乾燥、凍結乾燥形態の花分離物を含む、請求項1に記載のタバコ組成物。
【請求項11】
前記添加物が、ケース製剤、または、タバコに適用されるトップドレッシング製剤、または再構成タバコ材料のための添加物の形態である、請求項1に記載のタバコ組成物。
【請求項12】
喫煙物品または無煙たばこ製品の形態のタバコ製品であって、請求項1〜11のうちの任意の1項に記載のタバコ組成物を含む、タバコ製品。
【請求項13】
前記タバコ組成物中の前記添加物の量が、前記タバコ物品または無煙タバコ製品における前記タバコ材料の前記総乾燥重量に基づき、約5ppm〜約5重量%の間である、請求項12に記載の喫煙物質。
【請求項14】
タバコ組成物に添加するためのタバコ属の花由来の添加物を調製するための方法であって、前記方法は、
i)収穫した花またはその一部分を収得することと、
ii)微粒子の花材料を形成するために、前記収穫した花またはその一部分を分割すること、もしくは、前記収穫した花またはその一部分を溶媒抽出、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、再結晶、溶媒−溶媒パーティショニングへ供することによって前記収穫した花から花分離物を分離すること、もしくはそれらの組合せの内の、少なくとも一つによって、処理すること、および
iii)喫煙物品または無煙タバコ組成物において使用するのに適応したタバコ組成物へ、ステップiiにおいて製造した前記微粒子花材料または花分離物を添加すること、
とを含む、方法。
【請求項15】
前記分離するステップが、前記収穫した花またはその一部分を、有機溶媒を用いた溶媒抽出を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記花分離物が、酸/塩基反応、加水分解、熱処理、酵素処理、またはそれらの組み合わせによって、化学的に変換される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記分離ステップが、前記収穫した花またはその一部分を、前記収穫した花またはその一部分由来の風味的または芳香的化合物の放出を促進させるために、酵素処理へ供することと、タバコ分離物を形成するために、前記酵素処理した花材料を溶媒抽出に供することとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記酵素処理が、グリコシダーゼまたはグルコシダーゼを用いて前記収穫した花またはその一部分を処理することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分離するステップが、前記収穫した花またはその一部分を、凍結花材料を形成するために凍結させることと、前記凍結した花を微粒子の形態に処理することと、前記微粒子形態の花材料を化学的に変化させるために酵素処理に供することと、前記微粒子形態の花材料を、タバコ分離物を製造するために有機溶媒を用いて抽出することとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記分離するステップが、前記収穫した花またはその一部分を、その中のグリコシド結合化合物の少なくとも一部を放出するための処理のために、処理をすることと、その後に、タバコ分離物を生成するために、溶媒を用いて前記処理した花材料を抽出することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
グリコシド結合した化合物の少なくとも一部を放出するための前記処理が、酵素処理、酸加水分解、または塩基加水分解である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記タバコ属がバージニアタバコ、バーレー種タバコ、またはN.alataである、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
タバコ組成物へ添加するための前記タバコ属の花由来の添加物を調製するための方法であって、前記方法が、前記タバコ属の花由来の花分離物を分離することを含み、前記分離ステップが、生きている花を囲む上部空間からの蒸気層成分を収集することと、を含む、方法。
【請求項24】
喫煙物品または無煙タバコ組成物における使用に適応させたタバコ組成物へ、前記花分離物を添加するステップを更に含む、請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2013−516989(P2013−516989A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549058(P2012−549058)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2011/021072
【国際公開番号】WO2011/088171
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(594112886)アール・ジエイ・レイノルズ・タバコ・カンパニー (14)
【Fターム(参考)】