説明

タラロマイセス・エマーソニイ酵素系

【課題】バイオマスからバイオエタノール構想で使用する、発酵性糖が豊富な「シロップ」を発生させるための最適化された酵素組成物、特に熱安定性酵素組成物を提供する。
【解決手段】好熱性であり、かつ熱安定性酵素をコード化するタラロマイセス・エマーソニイ株に関する。酵素は、55℃を超える温度で活性を保持する。これらの株及び酵素は、廃棄物減少から新規な食品成分生成及びバイオ燃料生成までの種々のプロセスに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タラロマイセス・エマーソニイ(Talaromyces emerson
ii)株、並びに環境及び廃棄物管理、化学及び生化学的生成及び加工、生物工学的プロ
セス、検査又は診断キット、プレバイオティクス及びシンバイオティクス、健康管理製品
、機能性及び新規食品及び飲料、界面活性剤生成、農業及び園芸用途で使用するための、
そこから単離可能な酵素及び酵素系に関する。
【背景技術】
【0002】
現在欧州は、毎年生成される20億トンの廃棄物によって、廃棄物管理の危機に直面し
ている。この廃棄物の多くは、有機であり、植物材料(バイオマス)に由来し、炭水化物
(糖類)が豊富であり、かつそれ故に、その構成糖類に分解される時に、貴重な資源とな
る。果物廃棄物のような他のタイプの廃棄物は、腐敗し、かつ環境危機をもたらす。この
廃棄物は、若干の価値をそこから引き出すために、ブタ飼料と一般的に組み合わされるが
、しかしながらそれは、低コスト廃棄物と考えられる。
【0003】
バイオマスは、極めて変化に富み、かつ変わりやすい原料となるが、地球上で最も再生
可能なエネルギー原料である。利用されるならば、それは、化石燃料の減少し続ける貯蔵
の持続可能な代替物を提供できるであろう。バイオマス中のエネルギー蓄積を使用可能な
エネルギー形状に変換することには、世界的な関心がある。主要な焦点は、輸送目的での
バイオエタノールのようなバイオ燃料の生成であったが、バイオ燃料生成中に発生する有
益な副産物(例えば、CO、リグニンの豊富な残渣、化学原料)の市場も、確認された
。現在米国において、約30億ガロンのエタノールが、主に輸送燃料部門での使用のため
に、毎年トウモロコシから生成される。これは、総自動車燃料消費量の約1%になるに過
ぎず、かつ2010年までに、バイオエタノール生成が7倍超に増加し、かつ木質残渣の
ような他のバイオマス基質を含むことが予測される。木質残渣が、一般的に「低木林」又
は下生えとみなされる、急速に再生可能な「廃棄物」源に由来するならば、加工費、生産
目標及び地域的な環境問題を満足させる点の両方で相当な価値を導き出せる。石油及び他
の化石燃料の、クリーンな、かつ環境にやさしい代替物としてのバイオエタノールの利点
は、明白である。主な自動車燃料としてのバイオエタノールの世界的な採用は、人口密度
の高い都市部の特徴である空気汚染問題の多くを相殺する。現代の自動車は、エタノール
/ガソリン混合物(「ガソホール」)で走るように容易に構成でき、かつ単独の燃料源と
して純粋なエタノールを利用できる新規なエンジンが、入手可能である。
【0004】
軟材種を含む植物バイオマスは、単純な、発酵性糖に酵素又は化学的手段によって分解
できる複合糖質(多糖類)が豊富である。例えば、ベイトウヒ及びマツのような軟材は、
約41〜43%のセルロース(β−1,4−結合グルコース単位のポリマー)、20〜3
0%のヘミセルロース(マンノース、ガラクトースキシロース及びアラビノース含有多糖
類の混合物)、及び25〜30%リグニン、高発熱量の非炭水化物ポリフェノールポリマ
ーを含有する(乾燥重量百分率)。従って、木質残渣の乾燥重量の約65〜70%は、バ
イオエタノールへの発酵用の糖の豊富な原料を提供するために使用できる複合糖質である

【0005】
菌類は、かかる材料を分解する最も重要な微生物生活形の一つである。タラロマイセス
・エマーソニイは、堆肥の山及び他の生態系分解バイオマスの豊富な材料中に自然に見出
される好熱性好気性菌である。熱安定性は、今日まで単離されたタラロマイセス・エマー
ソニイ酵素系の多くの特性である。植物材料の全部分を標的とできる「軟腐」種とみなさ
れるので、この真正子嚢菌は、セルロース分解、ヘミセルロース分解、ペクチン分解及び
デンプン分解酵素を含む包括的な炭水化物修飾酵素系、並びにオキシダーゼ/オキシドレ
ダクターゼ配列及びタンパク分解活性を生成する。それ故に、タラロマイセス・エマーソ
ニイは、その自然生息地において遭遇する複合増殖基質にアクセスできる。
【0006】
PCT公報WO01/70998号及びWO02/24926号には、タラロマイセス
・エマーソニイからのセルラーゼ、かつ特にはβ−グルカナーゼ及びキシラナーゼ活性を
有するセルラーゼの単離が開示されている。これらの酵素の短所は、それらが一つのタイ
プ(または、限定数)の基質成分しか標的とできないことである。それ故に、特定の基質
を代謝させるためには、その基質の構成要素を識別し、これらの構成要素を代謝させる適
切な酵素活性を有するポリペプチドを生成し、組換え技術のような日常的手法によって必
要量のポリペプチドを生成し、必要ならば、例えば酵素の熱安定性又はpH最適条件を変
更するためにポリペプチドを修飾し、ポリペプチドを発現し、かつその基質のその成分を
標的とするために、結果として生じた酵素を使用することが、必要である。これらは、非
常に時間がかかり、かつ高価な手法である。
【0007】
更に、これらの手法は、若干の酵素が二つ以上の活性を示すことができるか、又は他の
酵素と結合して使用される時に、修正された効率を有し得るという事実を考慮しない。そ
れ故に、これらの方法は、必要とされない酵素の過剰生産に繋がることがあり、それ故に
過剰支出及び時間費用にも繋がる。従って、タラロマイセス・エマーソニイから単離され
た酵素及び酵素系、並びに上述の短所を克服する、かかる酵素及び酵素系を単離する方法
が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、バイオマスからバイオエタノール構想で使用する、発酵性糖が豊富な
「シロップ」を発生させるための最適化された酵素組成物、特に熱安定性酵素組成物の開
発である。バイオエタノール生成のための標的バイオマス基質又は原料は、廃棄物の流れ
(例えば、VFCW及びOFMSW(収集廃棄物の植物性分画及び都市固形廃棄物の有機
分画)から、農作物(例えばトウモロコシ、テンサイ、草等)、木質バイオマスまで異な
り得るので、最大収率の発酵性糖を得るために、低い加工費で正しい酵素製剤を入手する
ことは、重要な課題である。長年にわたり、微生物発酵によるバイオエタノール生成前の
バイオマス変換に使用される酵素のコストは、主要なマイナス要因であった。それ故に、
これらの目的で低コストの酵素製剤を生成することが、目的である。
【0009】
本発明の酵素製剤は、好熱性の、一般的に安全とみなされる(GRAS)菌類源に由来
し、他方で商業的及び研究バイオエタノール用途で今日まで使用された菌類酵素は、主に
中温性源(例えばトリコデルマ種/グリオクラディウム種、アスペルギルス種及びペニシ
リウム種)からである。
【0010】
本発明の更なる目的は、高い反応温度で働く酵素製剤を提供することであり、すなわち
熱安定性酵素は、短い反応時間/酵素処理ステップを可能にし、加水分解物の同時殺菌を
可能にし、有意の全体的加水分解/糖化を引き起こし、酵素装填を減少させる可能性、及
び/又は酵素製剤を再利用する可能性を有し、その全ては、これらの酵素の使用に関連す
るコストを減少させることに役立ち得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、IMI393751の番号で、2005年11月22日にInternat
ional Mycological Institute(CABI Bioscie
nce UK)に寄託されたタラロマイセス・エマーソニイ株に関する。
【0012】
酵素源としてタラロマイセス・エマーソニイを使用する利点は、それが「一般的に安全
とみなされる」(GRAS)微生物であり、かつ食品、飲料、農業供給及び製薬部門にお
ける使用の長い歴史を有することである。
【0013】
タラロマイセス・エマーソニイのこの新規株の利点は、そこに由来する酵素が、54℃
〜85℃の間の温度で最適な活性を有し、若干の酵素は、95℃までの温度で活性を維持
することである。それ故にこれらの酵素は、高い加工温度が望ましいか、又は要求される
時でも、例えば65〜90℃の反応温度が、同時の高い反応速度、速い基質変換及び原料
の同時殺菌を促進する、生化学、生物薬剤、化学又はバイオ燃料生成のための糖分の高い
原料(エタノール及びメタン)の生成にも活性を保持し、このことは、保存及び輸送能力
を高める。その上、高温が、これらの酵素に使用できるので、各プロセスは、短い反応時
間を有し、従って時間及びコスト節約の両方がある。更なる利点は、温度が十分に高いな
らば、殺菌が起こり、かかる高温に耐えられないいかなる望ましくない微生物も殺すこと
である。その上、この株から精製された酵素は、長い保管寿命を有することが認められた

【0014】
本発明によれば、セロビオヒドロラーゼI若しくはセロビオヒドロラーゼII又はその
混合物と、β−グルコシダーゼ1と、キシラナーゼと、エンド−β−(1,3)4−グル
カナーゼとを含む酵素系が、更に提供される。本発明は、コーヒー、茶、醸造及び飲料残
渣、果物及び果物の剥き皮/皮、植物の剥き皮、仕出し及び食品加工、葉/園芸廃棄物、
花屋の廃棄物、穀物及び穀物加工残渣、他の農業及び庭園廃棄物、パン製造及び店舗廃棄
物、紙製品、例えば光沢着色雑誌及び着色新聞印刷用紙、白黒新聞印刷用紙、白色、着色
及び再生紙、包装紙、紙袋、カード及びボール紙、紙コップ及び皿、ティッシュ、雑巾、
セロファン及びセロテープ(登録商標)、生分解性包装、セルロースが豊富な病院廃棄物
、例えば包帯、紙、雑巾、包帯、マスク、織物、例えばパジャマ及びタオル地を含む、陸
生及び海洋起源の未使用植物材料、及びその廃棄物の流れのような、植物又は植物由来材
料の生物変換のために、かつバイオ燃料(バイオエタノール及びバイオガス)の生成にお
けるその後の使用のためにこの酵素系を使用する方法も提供する。
【0015】
本発明は、セロビオヒドロラーゼI若しくはセロビオヒドロラーゼII又はその混合物
と、β−グルコシダーゼ1と、キシラナーゼと、エンド−β−(1,3)4−グルカナー
ゼとを含む酵素系に更に関する。本発明は、高価値製品、例えば食品等級成分、化粧品用
添加物、研究用オリゴ糖及びグリコペプチド、並びに機能グリコミクスを含む抗生物質、
抗生物質及び抗ウイルス剤、カロチノイド、抗酸化剤、溶媒及び他の化学物質及び生化学
物質を発生させるために、植物残渣からの単糖類の豊富な原料の生成においてこの酵素系
を使用する方法も提供する。
【0016】
本発明は、30〜90℃の増殖温度範囲を有し、30〜55℃の最適範囲で、かつ55
℃を超える温度で酵素を活発に生成するタラロマイセス・エマーソニイの好熱性株を提供
する。タラロマイセス・エマーソニイ株は、寄託番号IMI393751で寄託された。
本発明は、55℃を超える温度で活性を保持する株によって生成される酵素である、熱安
定性酵素を同様にコード化するその突然変異体に関する。酵素は、炭水化物修飾酵素、タ
ンパク分解酵素、オキシダーゼ及びオキシドレダクターゼからなる群から選択できる。
【0017】
本発明は、セロビオヒドロラーゼI若しくはセロビオヒドロラーゼII又はその混合物
と、β−グルコシダーゼ1と、キシラナーゼと、エンド−β−(1,3)4−グルカナー
ゼとを含む酵素組成物も提供する。酵素組成物は、0.5〜90%のセロビオヒドロラー
ゼI若しくはセロビオヒドロラーゼII又はその混合物と、0.1〜33%のβ−グルコ
シダーゼ1と、0.6〜89%のキシラナーゼと、0.4〜68%のエンド−β−(1,
3)4−グルカナーゼとを含むことができる。
【0018】
CBH I(10〜30%)と、CBH II(10〜15%)と、β−(1,3)4
−グルカナーゼ(20〜45%)と、β−グルコシダーゼ(2〜15%)と、キシラナー
ゼ(18〜55%)とを含む酵素系が、なおも更に提供される。組成物は、次の1種以上
を更に含むことができる:β−キシロシダーゼ、α−グルクロニダーゼ、エキソキシラナ
ーゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、ペクチン分解酵素、ヘミセルラーゼ、デンプン
修飾酵素、オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ;及びプロテアーゼ。
【0019】
本発明は、材木、木及び木由来製品の加工及び再利用においてこの酵素系を使用する方
法も提供する。この酵素系は、高度に木化された木質材料に対して効果的であり、かつ木
質残渣及び加工済み材料(例えば抽出物、樹脂、リグニン分解生成物、フルフラール及び
ヒドロキシフルフラール誘導体)中に存在する潜在的阻害分子に対して耐性を有する。
【0020】
本発明は、CBH I(15〜30%)と、CBH II(10〜40%)と、β(1
,3)4−グルカナーゼ(15〜40%)と、β−グルコシダーゼ(2〜15%)と、キ
シラナーゼ(15〜30%)と、1〜8%のβ−キシロシダーゼとを含む酵素系に、なお
も更に関する。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:エキソキシラナーゼ;
α−グルクロニダーゼ;α−L−アラビノフラノシダーゼ;ガラクトシダーゼ、ラムノガ
ラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、エキソガラクツロナーゼ及びガラクタナーゼを
含むペクチン分解酵素;デンプン修飾活性;ガラクトシダーゼを含む他のヘミセルラーゼ
;オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ;及びプロテアーゼ。本発明は
、織物加工及び再利用においてこの酵素系を使用する方法も提供する。
【0021】
CBH I(5〜55%)と、CBH II(8〜50%)と、β(1,3)4−グル
カナーゼ(10〜30%)と、β−グルコシダーゼ(0.5〜30%)と、キシラナーゼ
(5〜30%)と、β−キシロシダーゼ(0.1〜10%)とを含む酵素系が、更に提供
される。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−L−アラビノフラノシダ
ーゼ;α−グルクロニダーゼ;選択されたペクチン分解酵素、エステラーゼを含む他のヒ
ドロラーゼ;プロテアーゼ;及びオキシダーゼ。本発明は、紙廃棄物の糖化においてこの
酵素系を使用する方法も提供する。
【0022】
本発明は、CBH I(2〜10%)と、CBH II(2〜10%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(10〜45%)と、β−グルコシダーゼ(5〜10%)と、キシラ
ナーゼ(1〜30%)とを含む酵素系に、更に関する。組成物は、次の1種以上を更に含
むことができる:N−アセチルグルコサミニダーゼ;キチナーゼ;β(1,3)6−グル
カナーゼ;β−キシロシダーゼ;α−グルクロニダーゼ;α−L−アラビノフラノシダー
ゼ;ガラクトシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、エキソガラク
ツロナーゼ及びガラクタナーゼを含むペクチン分解酵素;デンプン修飾活性;ガラクトシ
ダーゼを含む他のヘミセルラーゼ;オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラー
ゼ;及びプロテアーゼ。本発明は、環境、医療及び建設部門(例えば乾腐の制御)、及び
パルプ製紙産業(例えばスライムコントロール)での抗菌、生体制御及びスライムコント
ロール戦略においてこの酵素系を使用する方法も提供する。
【0023】
CBH I(1〜20%)と、CBH II(1〜28%)と、β(1,3)4−グル
カナーゼ(15〜40%)と、β−グルコシダーゼ(2〜15%)と、キシラナーゼ(1
8〜55%)と、β−キシロシダーゼ(0.1〜10%)と、α−L−アラビノフラノシ
ダーゼ(0.5〜5.0%)とを含む酵素系が、なおも更に提供される。組成物は、次の
1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダーゼ;デンプン修飾活性;ガラクト
シダーゼを含む他のヘミセルラーゼ;オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラ
ーゼ;プロテアーゼ;エキソキシラナーゼ;ペクチン分解酵素、フェノール酸及びアセチ
ル(キシラン)エステラーゼを含む他のヒドロラーゼ;プロテアーゼ;及びリグニン修飾
オキシダーゼ活性。本発明は、園芸用途、例えば成長促進及び耐病性のための新規な、生
理活性化合物の生成においてこの酵素系を使用する方法も提供する。例えば、この系は、
生理活性フラボノイドグリコシドの放出、ペクチンの豊富な材料からのオリゴガラクツロ
ニド、キシログルカンからのキシログルコオリゴ糖、ガラクタンからのガラクトオリゴ糖
、植物キシランからの置換キシロオリゴ糖、又は菌類細胞壁β−グルカン、若しくは藻類
ラミナランからの1,3−グルコオリゴ糖(ラミナリオリゴ糖)の生成、植物における成
長促進、植物病原菌に対する植物防御応答メカニズムの活性化、及び疾患への抵抗力増加
に使用できる。なぜならば、これらのオリゴ糖(例えばラミナリオリゴ糖)の幾つかは、
抗菌性、抗細菌性、かつ抗線虫性である生理活性特性を開始及び伝達できるからである。
【0024】
本発明は、CBH I(5〜30%)と、CBH II(1〜15%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(10〜40%)と、β−グルコシダーゼ(2〜15%)と、キシラ
ナーゼ(18〜48%)と、0.1〜20%のβ−キシロシダーゼと、1〜10%のα−
グルクロニダーゼと、0.1〜5.0%のα−L−アラビノフラノシダーゼとを含む酵素
系に、なおも更に関する。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:エキソキシ
ラナーゼ;ガラクトシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、エキソ
ガラクツロナーゼ及びガラクタナーゼを含むペクチン分解酵素;デンプン修飾活性;ガラ
クトシダーゼを含む他のヘミセルラーゼ;オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエス
テラーゼ及びプロテアーゼ。本発明は、穀物ベースの飼料の消化率を強化するために動物
飼料生成においてこの酵素系を使用する方法も提供する。この系は、穀物ベースの飼料の
繊維成分をオリゴ糖及び単糖(monosaccharides)(単糖(simple
sugars))に分解させ、その幾つかは腸に吸収され、かつ代謝される。系は、プ
レバイオティック細菌の増殖を高める「プレバイオティック」オリゴ糖(例えば非セルロ
ース性穀物β−グルカンからの混合結合グルコオリゴ糖)も生成し、かつ抗酸化剤、例え
ばフェルラ酸を放出でき、かつ発癌性分子(例えばフェノール、アミン糖)を生成するこ
とが知られている腸ミクロフローラの種に対して抗細菌効果を有するオリゴ糖(穀物キシ
ランからの置換グルクロノ−キシロオリゴ糖)を生成できる。
【0025】
CBH I(0.5〜10%)と、CBH II(0.5〜10%)と、β(1,3)
4−グルカナーゼ(15〜43%)と、β−グルコシダーゼ(2〜10%)と、キシラナ
ーゼ(30〜88%)と、0.1〜2.0%のβ−キシロシダーゼと、0.1〜3.0%
のα−グルクロニダーゼと、0.1〜4.0%のα−L−アラビノフラノシダーゼとを含
む酵素系が、更に提供される。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:ペクチ
ン分解酵素;デンプン修飾活性;オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ
;プロテアーゼ。本発明は、改良された消化率及び低い非セルロース性β−グルカン含有
量を有する単胃動物のための低ペントース含有穀物ベースの飼料生成においてこの酵素系
を使用する方法も提供する。穀物からの非セルロース性β−グルカン及びアラビノキシラ
ンは、高い水結合能力を有し、かつ高粘性溶液を発生させる。単胃動物(例えばブタ及び
家禽)は、重要な栄養分の摂取及び生物学的利用能を低下させ、消化酵素の拡散を増加さ
せ、腸内容物の十分な混合を損ない、かつこれらの飼料に存在するタンパク及びデンプン
の分解に、物理的障壁の役割を果たすこれらの炭水化物を分解できない。全体として、こ
れらの多糖類は、低い増殖性能特性に繋がり得る。本発明における酵素系は、単胃動物に
よって不十分に代謝され、かつ栄養阻害効果を有することがあるペントース糖(アラビノ
ース及びキシロース)の放出なしに、幾つかが潜在的プロバイオティック特性を有する、
オリゴ糖(主にDP3−10)を生成するために穀物アラビノキシラン及び非セルロース
性β−グルカンの分解に触媒作用を及ぼすことができる。それ故に本発明は、飼料として
代替的穀物、例えばモロコシ及びトウモロコシを使用する方法を提供する。
【0026】
本発明は、CBH I(3〜15%)と、CBH II(3〜15%)と、(1,3)
4−グルカナーゼ(25〜45%)と、α−グルコシダーゼ(2〜15%)と、キシラナ
ーゼ(18〜55%)と、0.5〜7.0%のβ−キシロシダーゼと、0.5〜10%の
α−グルクロニダーゼと、0.1〜5.0%のα−L−アラビノフラノシダーゼとを含む
酵素系に、更に関する。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:エキソキシラ
ナーゼ;ガラクトシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、エキソガ
ラクツロナーゼ及びガラクタナーゼを含むペクチン分解酵素;デンプン修飾活性;ガラク
トシダーゼを含む他のヘミセルラーゼ;オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステ
ラーゼ;及びプロテアーゼ。本発明は、獣医学的及びヒトの健康管理において使用するた
めの生理活性能力を有する機能性飼料の生成においてこの酵素系を使用する方法も提供す
る。この系は、陸生及び海洋植物及び菌類からの免疫刺激β−グルコオリゴ糖、陸生及び
海洋植物からのプレバイオティック及び抗微生物特性を有するキシロオリゴ糖、甲殻類及
び菌類細胞壁からの増殖促進、抗微生物及び抗ウイルス能力を有するキトオリゴ糖、及び
抗酸化能力を有するフェノール化合物を含む、動物の健康管理(ペット及び大型動物)に
おいて使用するためのGRAS状態を有する原料から生理活性オリゴ糖を生成できる。
【0027】
CBH I(1〜15%)と、CBH II(1〜15%)と、β(1,3)4−グル
カナーゼ(10〜45%)と、α−グルコシダーゼ(2〜10%)と、キシラナーゼ(1
〜55%)と、0.5〜12%のβ−キシロシダーゼとを含む酵素系が、なおも更に提供
される。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダーゼ、α−
L−アラビノフラノシダーゼ;β(1,3)6−グルカナーゼ;N−アセチルグルコサミ
ニダーゼ;キチナーゼ、ガラクトシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナ
ーゼ、エキソガラクツロナーゼ及びガラクタナーゼを含むペクチン分解酵素;デンプン修
飾活性;ガラクトシダーゼを含む他のヘミセルラーゼ;オキシドレダクターゼ/オキシダ
ーゼ及びエステラーゼ;プロテアーゼ。本発明は、専門乳製品又は食餌性製品、例えば老
人及び小児の健康管理用の食品及び飲料製剤の生成においてこの酵素系を使用する方法も
提供する。例えば、この系は、プレバイオティクスが豊富な、老人及び小児の栄養のため
の消化されやすい食品の生成に、かつガラクトース血症を有する個人、又はラクトース不
耐性である人々のためのラクトースのない製品の生成にも使用できる。
【0028】
本発明は、CBH I(1〜10%)と、CBH II(5〜15%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(15〜40%)と、α−グルコシダーゼ(2〜30%)と、キシラ
ナーゼ(15〜55%)と、1〜12%のβ−キシロシダーゼと、1〜8%のα−グルク
ロニダーゼと、0.5〜5.0%のα−L−アラビノフラノシダーゼとを含む酵素系に、
なおも更に関する。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:ガラクトシダーゼ
、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、エキソガラクツロナーゼ及びガラク
タナーゼを含むペクチン分解酵素;デンプン修飾活性;ガラクトシダーゼを含む他のヘミ
セルラーゼ;オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ;プロテアーゼ。本
発明は、製パン及び製菓部門において、かつ新規な健康食品パン製品の形成においてこの
酵素系を使用する方法も提供する。選択された酵素系は、ライ麦、トウモロコシ及びモロ
コシのような新規な穀物/原料の利用に適する。酵素系は、膨化体積を増加させ、かつ穀
物小麦粉のアラビノキシラン成分を選択的に修飾することによって保管寿命を高め、プレ
バイオティック、かつ免疫刺激オリゴ糖を発生させ、かつ抗酸化分子(例えばフェルラ及
びクマル酸)の放出を実行し、かつパン及び菓子製品のきめ、香り及び知覚特性を修飾で
きる。
【0029】
CBH I(1〜20%)と、CBH II(1〜40%)と、β(1,3)4−グル
カナーゼ(15〜45%)と、α−グルコシダーゼ(2〜30%)と、キシラナーゼ(1
0〜55%)と、0.5〜10%のβ−キシロシダーゼと、0.1〜5%のα−L−アラ
ビノフラノシダーゼとを含む酵素系が、更に提供される。組成物は、次の1種以上を更に
含むことができる:β(1,3)6−グルカナーゼ;N−アセチルグルコサミニダーゼ;
キチナーゼ α−グルクロニダーゼ;ガラクトシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリ
ガラクツロナーゼ、エキソガラクツロナーゼ及びガラクタナーゼを含むペクチン分解酵素
;デンプン修飾活性;オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ;プロテア
ーゼ。本発明は、クエン酸、バニリン等を含む種々の製品に発酵できる単糖及び二糖を放
出し、果物/果肉(例えば、メロンを含む幾つかの果物中で発見されるグルコシル化芳香
族アルコール、並びにゲラニオール、リモネン等)からフレーバ複合糖質(芳香前駆体)
、うま味がある、苦い、及び甘い味覚を有するペプチド、フレーバ、香り又は知覚特性を
有するか、又はかかる生成物、例えばフラネオール、イチゴフレーバを有する分子に生体
内変換できるラムノースの前駆体である、甘味料(例えばフェニルアラニン)及びフェノ
ール分子(ケイ皮酸、フラボノイドグリコシド、例えばケルセチン−3−O−ラムノシド
)への変換のためのアミノ酸を放出することによって、食品産業でフレーバ、香り及び知
覚前駆体化合物の生成においてこの酵素系を使用する方法も提供する。更に、フラボノイ
ドグリコシドのようなこれらの分子の幾つかは、抗酸化及び抗微生物(抗原虫)活性を有
する。
【0030】
本発明は、CBH I(1〜15%)と、CBH II(1〜15%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(10〜45%)と、β−グルコシダーゼ(2〜30%)と、キシラ
ナーゼ(1〜55%)と、0.5〜12%のβ−キシロシダーゼとを含む酵素系に、更に
関する。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−L−アラビノフラノシダ
ーゼ;β(1,3)6−グルカナーゼ;N−アセチルグルコサミニダーゼ;キチナーゼ
α−グルクロニダーゼ;ガラクトシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナ
ーゼ、エキソガラクツロナーゼ及びガラクタナーゼを含むペクチン分解酵素;デンプン修
飾活性;ガラクトシダーゼを含む他のヘミセルラーゼ;オキシドレダクターゼ/オキシダ
ーゼ及びエステラーゼ;及びプロテアーゼ。本発明は、機能性食品の生成、具体的には強
化された健康促進特性を有する食品、例えば免疫刺激グルコオリゴ糖、キシロオリゴ糖、
大豆オリゴ糖、(アラビノ)ガラクトオリゴ糖、(ガラクト)及び/又は(グルコ)マン
ノオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖及びパラチノースオリゴ糖を豊富に
した食品を生成し、かつカロチノイド及びフェノール物質(ケイ皮酸、カテキン及びフラ
ボノイドグリコシド)のような抗酸化分子の放出を促進するするために、(陸生及び若干
、海洋の)植物炭水化物の修飾においてこの酵素系を使用する方法も提供する。
【0031】
CBH I(1〜15%)と、CBH II(1〜15%)と、β(1,3)4−グル
カナーゼ(10〜45%)と、β−グルコシダーゼ(1〜15%)と、キシラナーゼ(1
〜30%)と、0.5〜20%のβ−キシロシダーゼとを含む酵素系が、なおも更に提供
される。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−L−アラビノフラノシダ
ーゼ;β(1,3)6−グルカナーゼ;N−アセチルグルコサミニダーゼ;キチナーゼ;
α−グルクロニダーゼ;ガラクトシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナ
ーゼ、エキソガラクツロナーゼ及びガラクタナーゼを含むペクチン分解酵素;デンプン修
飾活性;オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ;プロテアーゼ。本発明
は、新規なデザイナー非アルコール及びアルコール飲料、果汁及び健康飲料の生成におい
てこの酵素系を使用する方法も提供する。この系は、改善された知覚的、抗酸化、免疫機
能増強、抗細菌、抗ウイルス能力を有する低カロリーの非アルコール及びアルコールビー
ル/ラガー、果汁及び健康飲料を生成するために、β(1,3)4−グルカン、ペクチン
質、アラビナン、キシラン、ラクトース、タンパク及びフェノール物質を修飾できる。例
えば、生理活性混合結合グルコオリゴ糖及びケイ皮酸(抗酸化剤)を含む、曇り(haz
e)形成を防ぐために低い残留β−グルカン含有量(但し、口あたり特性を提供するため
に十分なβ−グルカン)を有する「ライト」ビール、又はプレバイオティック効果を有す
るペクチン断片(オリゴ糖)、並びに抗酸化能力を提供するケイ皮酸及び選択されたフラ
ボノイドグリコシドが豊富な果汁。
【0032】
本発明は、酵素組成物CBH I(1〜25%)と、CBH II(1〜28%)と、
β(1,3)4−グルカナーゼ(18〜40%)と、β−グルコシダーゼ(2〜30%)
と、キシラナーゼ(15〜55%)と、β−キシロシダーゼ(0.7〜20%)とを提供
する。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダーゼ(1〜1
0%)、α−L−アラビノフラノシダーゼ(0.1〜5.0%)、1〜15%のエキソキ
シラナーゼ、5〜25%のペクチン分解酵素、2〜12%のデンプン修飾活性、2〜11
%のヘミセルラーゼ、1〜15%のオキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラー
ゼ、及び2〜15%のプロテアーゼ。組成物は、植物残渣からの単糖の豊富な原料の生成
において使用できる。
【0033】
本発明は、CBH I(12〜55%)と、CBH II(15〜30%)と、β(1
,3)4−グルカナーゼ(12〜26%)と、β−グルコシダーゼ(5〜12%)と、キ
シラナーゼ(5〜30%)と、β−キシロシダーゼ(0.1〜10%)と、α−L−アラ
ビノフラノシダーゼ(0.5〜3.0%)とを含む酵素組成物を提供する。組成物は、次
の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダーゼ、ペクチン分解酵素、フェノ
ール酸及びアセチル(キシラン)エステラーゼを含む他のヒドロラーゼ、プロテアーゼ及
びリグニン修飾オキシダーゼ活性、プロテアーゼ及びオキシダーゼ。組成物は、木、紙製
品及び紙の加工及び再利用に使用できる。
【0034】
本発明は、CBH I(3〜15%)と、CBH II(3〜15%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(15〜45%)と、β−グルコシダーゼ(1〜15%)と、キシラ
ナーゼ(16〜55%)と、β−キシロシダーゼ(0.5〜7%)とを含む酵素組成物を
提供する。組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダーゼ、α
−L−アラビノフラノシダーゼ、エキソキシラナーゼ、ペクチン分解酵素、デンプン修飾
活性を有する酵素、ヘミセルラーゼ、オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラ
ーゼ、及びプロテアーゼ。組成物は、(混合結合1,3(4)及び1,3(6)−グルコ
オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシログルコオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、分枝及び線状
キシロオリゴ糖、(ガラクト)グルコマンノオリゴ糖を含む)生理活性オリゴ糖、単糖が
豊富な陸生及び海洋植物、植物残渣、菌類及び廃棄物の流れ又は副産物からのグリコペプ
チド及びフラボノイドグリコシドのような生物薬剤の生成において使用できる。
【0035】
本発明は、CBH I(1〜20%)と、CBH II(1〜40%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(15〜45%)と、β−グルコシダーゼ(2〜12%)と、キシラ
ナーゼ(1〜35%)と、β−キシロシダーゼ(1〜5%)とを含む酵素組成物に更に関
する。酵素組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダーゼ、α
−L−アラビノフラノシダーゼ、エキソキシラナーゼ、ペクチン分解酵素、デンプン修飾
活性、ヘミセルラーゼ、オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ、及びプ
ロテアーゼ。組成物は、フラボノイド及びシアン発生性グリコシド、サポニン、オリゴ糖
及びフェノール類(フェルラ及びp−クマル酸、エピカテキン、カテキン、ピロガル酸等
を含む)を含む天然の抗細菌及び抗ウイルス活性を有する生体分子の生物学的利用能を増
加させるために使用できる。
【0036】
本発明は、CBH I(3〜15%)と、CBH II(3〜15%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(25〜45%)と、β−グルコシダーゼ(2〜15%)と、キシラ
ナーゼ(10〜30%)と、β−キシロシダーゼ(0.5〜8%)とを含む酵素組成物に
更に関する。酵素組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダー
ゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、エキソキシラナーゼ、ペクチン分解酵素、デンプ
ン修飾活性、ヘミセルラーゼ、オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ、
及びプロテアーゼ。組成物は、天然の抗酸化生体分子、例えば種々の果物及び液果を含む
全ての植物材料、残渣、廃棄物からのカロチノイド、リコペン、キサントフィル、アント
シアニン、フェノール類及びグリコシドの生物学的利用能を増加させるために使用できる

【0037】
本発明は、CBH I(1〜25%)と、CBH II(1〜40%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(15〜40%)と、β−グルコシダーゼ(2〜15%)と、キシラ
ナーゼ(18〜35%)と、β−キシロシダーゼ(0.5〜12%)とを含む酵素組成物
に更に関する。酵素組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダ
ーゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、ペクチン分解酵素、デンプン修飾活性、ヘミセ
ルラーゼ、オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ、及びプロテアーゼ。
組成物は、ペニシリウム種及びストレプトマイセス種を含む菌類及び細菌による抗生物質
の微生物生成で使用するために、未加工植物材料、植物残渣及び廃棄物からの原料の生成
のために使用できる。
【0038】
本発明は、CBH I(1〜30%)と、CBH II(1〜40%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(15〜40%)と、β−グルコシダーゼ(2〜15%)と、キシラ
ナーゼ(18〜35%)と、β−キシロシダーゼ(0.5〜8%)とを含む酵素組成物に
更に関する。酵素組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダー
ゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、ペクチン分解酵素、デンプン修飾活性、ヘミセル
ラーゼ、オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ、エキソキシラナーゼ、
及びプロテアーゼ。組成物は、クエン酸の微生物生成で使用するために、未加工植物材料
、植物残渣及び廃棄物からの原料の生成に使用できる。
【0039】
本発明は、CBH I(2〜15%)と、CBH II(2〜15%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(20〜45%)と、β−グルコシダーゼ(2〜25%)と、キシラ
ナーゼ(1〜30%)と、β−キシロシダーゼ(0.5〜8%)とを含む酵素組成物に更
に関する。酵素組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダーゼ
、α−L−アラビノフラノシダーゼ、ペクチン分解酵素、デンプン修飾活性、ヘミセルラ
ーゼ、オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ、エキソキシラナーゼ、及
びプロテアーゼ。組成物は、化粧品の調製で一般的に安全とみなされるプロセスによって
、藻類多糖類(例えばラミナラン及びフコイダン)及び植物抽出物に由来する添加物から
のオリゴ糖の生成において使用できる。
【0040】
本発明は、CBH I(3〜30%)と、CBH II(1〜10%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(10〜45%)と、β−グルコシダーゼ(2〜12%)と、キシラ
ナーゼ(1〜48%)と、β−キシロシダーゼ(0.1〜8%)とを含む酵素組成物に更
に関する。酵素組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダーゼ
、α−L−アラビノフラノシダーゼ、ペクチン分解酵素、デンプン修飾活性、ヘミセルラ
ーゼ、オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ、エキソキシラナーゼ、及
びプロテアーゼ。組成物は、バイオセンサ生成における研究試薬として、かつレセプタ−
リガンド相互作用を探査するための機能グリコミクスにおける、かつ酵素−基質特異性の
プロファイル作成のための基質ライブラリの生成におけるツールとして使用するために、
オリゴ糖及びグリコペプチドの生成に使用できる。
【0041】
本発明は、CBH I(5〜15%)と、CBH II(5〜30%)と、β(1,3
)4−グルカナーゼ(20〜45%)と、β−グルコシダーゼ(1〜12%)と、キシラ
ナーゼ(10〜30%)と、β−キシロシダーゼ(0.5〜8%)とを含む酵素組成物に
更に関する。酵素組成物は、次の1種以上を更に含むことができる:α−グルクロニダー
ゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、ペクチン分解酵素、デンプン修飾活性を有する酵
素、ヘミセルラーゼ、オキシドレダクターゼ/オキシダーゼ及びエステラーゼ、及びプロ
テアーゼ。組成物は、修飾セルロース及びβ−グルカン、セロオリゴ糖、修飾デンプン及
びマルトオリゴ糖、ラクツロース及びポリオール(例えばマンニトール、グルシトール又
はズルシトール、キシリトール、アラビトール)の生成のために使用できる。
【0042】
本発明は、バイオ燃料、及びバイオエタノール又はバイオガス、例えばメタン又は二酸
化炭素の生成における原料として上記方法のいずれかによって生成された基質の使用もま
た、そのプロセスによって生成される時はいつでも、提供する。バイオエタノール又はバ
イオガスを生成するためにこの酵素系を使用する利点は、これがほぼ価値のない廃棄製品
から、多くの産業で使用できる価値のある製品を生成する、費用効率が高い方法であるこ
とである。価値のある製品を生成することと同時に、廃棄物が減少し、それは次に、肯定
的な環境影響を有する。
【0043】
上記方法の全ては、本明細書に定義された酵素組成物によって、又は本明細書に記載さ
れた微生物株によって実施できる。
【0044】
本発明は、酵素組成物、及びケトミウム好熱菌及びサーモアスカス・オーランティアカ
スを含む他の菌類種から誘導された酵素を更に含む、それらを使用する方法も提供する。
【0045】
好ましくは、微生物株は、タラロマイセス・エマーソニイ、ケトミウム好熱菌及びサー
モアスカス・オーランティアカスの一種以上からなる群から選択される。
【0046】
更に好ましくは、微生菌株は、タラロマイセス・エマーソニイIMI393751又は
55℃以上の温度で活性が可能な酵素を同様に生成できるその突然変異体である。
【0047】
本発明によれば、標的基質を変換することに適した酵素系を得る方法が更に提供され、
方法は、標的基質の試料を得ること;微生物株の接種材料が、標的基質上で増殖し、かつ
酵素を分泌することを可能にすること;標的基質上での増殖中に分泌される酵素を回収す
ること;酵素活性及び酵素特性を決定すること;遺伝子発現プロファイルを構築すること
;酵素タンパクを識別し、かつタンパク発現プロファイルを構築すること;遺伝子発現を
タンパク発現プロファイルと比較すること;酵素を精製することを含む。酵素は、次に保
存できる。方法は、酵素を分析すること;及び/又は酵素系を設計することを更に含むこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】標的基質を変換することに適した酵素系を設計する方法のプロセス概略である。
【図2】リンゴ果肉/絞り滓のサーモザイム(thermozyme)処理によるバイオ燃料生成のための糖が豊富な原料の生成である。
【図3】紙コップ加水分解中に発生した生成物の薄層クロマトグラムである。
【図4】タラロマイセス・エマーソニイ紙コップが標的基質の広範囲な加水分解を示す酵素カクテルを誘発した、処理前(0時間)及び後(24時間)の紙コップの電子顕微鏡法である。
【図5】393751株及び野生型CBS549.92(以前はCBS814.70)株によるキシラナーゼ生成の比較である。
【図6】393751株及び野生型CBS549.92株によるグルカナーゼ生成の比較である。
【図7】393751株及び野生型CBS549.92株による(ガラクト)マンナナーゼ生成の比較である。
【図8】24時間後の、50℃で10種の酵素カクテルによって触媒作用を及ぼされた、殺菌されたセルロースの豊富な臨床廃棄物の体積減少である。
【図9】24時間後の、70℃で10種の酵素カクテルによって触媒作用を及ぼされた、STG殺菌されたセルロースの豊富な臨床廃棄物の体積減少である。
【図10】未処理のセルロースの豊富な廃棄物(A)及び酵素処理された廃棄物(B)である。
【図11】カクテル5(A)及びカクテル8(B)により24時間(水分60%)、70℃での殺菌されたセルロースの豊富な臨床廃棄物の処理によって得られた加水分解物上でのS.セレビジェーによるエタノール生成である。
【図12A】T.エマーソニイカクテル中のセルラーゼ活性に対するpHの効果である。
【図12B】T.エマーソニイカクテル中のキシラナーゼ活性に対するpHの効果である。
【図13】T.エマーソニイカクテル中のセルラーゼ活性に対する温度の効果である。
【図14】T.エマーソニイカクテル中のキシラナーゼ活性に対する温度の効果である。
【図15】様々なキシランに対する精製された新規キシラナーゼの活性である。OSX、オートスペルツキシラン(Oat Spelts Xylan)、WSX、麦わらキシラン、LWX、カラマツ材キシラン、BWX、カバ材キシラン、RM、ロディメナン(Rhodymenan)(赤色藻類の1,3;1,4−β−D−キシラン)。活性は、オートスペルツキシラン(100%)に対する%として表される。
【図16】様々なキシランに対する精製された(A)Xyn IV及び(B)Xyn VIの活性である。活性は、オートスペルツキシラン(100%)に対する%として表される。
【図17】様々なキシランに対する精製された(C)Xyn VII及び(D)Xyn VIIIの活性である。活性は、オートスペルツキシラン(100%)に対する%として表される。
【図18】様々なキシランに対する精製された(E)Xyn IX及び(F)Xyn Xの活性である。活性は、オートスペルツキシラン(100%)に対する%として表される。
【図19】様々なキシランに対する精製されたXyn XIの活性である。活性は、オートスペルツキシラン(100%)に対する%として表される。
【図20】種々の精製された多糖類に対する精製されたXyn XIIの相対活性率である。OSX、オートスペルツキシラン;BBG、オオムギβ−グルカン;LIC、リケナン;CMC、カルボキシメチルセルロース;LAM、ラミナリン;D1、デキストラン;D2、デキストリン;INU、イヌリン;ARA、アラビナン;GAL L、ガラクタン(ルピナス);GAL P、ガラクタン(ジャガイモ);RG、ラムノガラクツロナン;LWAG、カラマツ材アラビノガラクタン。
【図21】アリールβ−キシロシド及びアリールβ−グルコシドに対する精製されたXyn XIIの比活性である。
【図22】アッセイ基質としてのOSXに対するIMI393751及びCBS549.92によって表された選択されたキシラナーゼの比活性度の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、添付図面を参照して例としてのみ与えられるその実施態様の以下の記載から
、更に明瞭に理解されるであろう。
【0050】
図1を参照すると、標的基質を変換するための酵素系を設計するプロセス概略が提供さ
れる。ステップ1で、標的基質が得られる。ステップ2で、標的基質は、培養物を提供す
るために標的基質上で培養される微生物を接種される。微生物は、酵素を分泌し、かつこ
れらの酵素は、培養物の試料を得ることによってステップ3で回収される。培養試料は、
ステップ4で細胞分画及び培養濾液に分離される。細胞分画(mRNA)は、酵素活性及
び特性を決定するためにステップ5で分析される。ステップ6で、遺伝子発現プロファイ
ルは、ステップ5の分析に基づき構築される。ステップ7で、培養濾液は、タンパク活性
に関してスクリーニングされ、かつタンパク発現プロファイルは、ステップ8で構築され
る。ステップ9で、遺伝子及びタンパク発現プロファイルは、比較される。ステップ10
で、酵素は、精製される。酵素は、ステップ11で保存でき、かつステップ12で、酵素
は更に分析でき、かつ酵素系はステップ13で設計される。
【0051】
菌類が微生物として使用される時、基質が菌類の菌糸体を接種されるときにより良い結
果が得られることが発見された。この培養は、好ましくは発酵槽中で行われ、かつ反応条
件は、使用される微生物及び基質のタイプによって変化する。培養は、液体又は固体状態
の発酵の形状であっても良い。タラロマイセス・エマーソニイに関して、45〜65°の
範囲の培養温度が、好ましく、酵素は、85〜90℃まで最適に活性である。
【0052】
酵素は、液体発酵によって生成された酵素の場合に遠心分離を使用して、又は大きな培
養物に関して細胞分離システムを用いて、細胞外の培養濾液からの細胞(菌類)バイオマ
スの分離によって標的基質から回収される。酵素は、次に緩衝液の2つの容量中でバイオ
マスの公知の重量の均質化によって、細胞バイオマス分画から回収される。適切な緩衝液
は、50mMの酢酸アンモニウム、pH4.5〜6.0又は50mMのリン酸ナトリウム
、pH7.0〜8.0を含む。固体状態培養物の酵素の抽出のために、培養物は、室温で
140回転/分で2時間の振盪によって均質にされ、かつ抽出された0.01%(v/v
)のツイーン80を含む、10の容量の100mMのクエン酸リン酸緩衝液、pH5.0
と混合された。酵素の豊富な抽出物は、次に遠心分離によって回収される。
【0053】
ゲノム及びプロテオームレベルの両方で、酵素系の比較が行われる、すなわち遺伝子、
発現生成物(mRNA)及び識別されたタンパクが比較されることが必須である。これは
、mRNAレベルで発現されるが、タンパクレベルで機能タンパクに翻訳されない遺伝情
報が存在し得るという事実に起因する。転写、ゲノム及びプロテオミクス分析は、特定の
酵素の相対存在量を決定するために重要である。
【0054】
本発明の酵素の幾つかが単離された糸状菌株の単離集団は、2005年11月22日の
特許手続きの目的で、International Mycological Inst
itute(IMI)(CABI Bioscience UK),Bakeham L
ane,Englefield Green,Egham,Surrey TW20 9
TY,United Kingdomに寄託された−寄託番号IMI393751。酵素
の精製後、それらは、任意に保存できるか、又は直接分析でき、(a)一般的な触媒及び
機能特性における個別の熱安定性/熱活性に関する詳細な情報、(b)個別の、及び組み
合わせたそれらの作用様式及び触媒能力に関する詳細な情報、(c)相乗的な相互作用に
関する情報、(d)遺伝子のクローニングを援助する部分配列情報、及び(e)場合によ
り、三次元構造データの収集を容易にするために十分なタンパクの獲得を得る。これらの
酵素の分析は、これらの系の鍵酵素系及び最適収穫期を識別するために次に利用される。
系は、主要活動及び鍵酵素混合、性能特性及び標的用途の条件(実験室規模)のレベルに
関して最適化できる。
【実施例1】
【0055】
実施例1 T.エマーソニイ IMI393751、単離
収穫したて(〜200g)の清浄な草(芝生)の切取り及び他の混合植物バイオマスは
、堆肥化環境をシミュレーションするために閉容器に置かれ、かつ約2時間、65℃で、
一定温度のチャンバ内でインキュベートされた(基質の組み合わされた殺菌及び平衡化)
。湿度/含水率は、〜65〜70%に維持された。容器は、間隔を空けて、低パルスの湿
性の濾過された空気を提供する線を取り付けられた。2時間後、T.エマーソニイ(当初
はCBS814.70からの12年経った単離集団の研究所在庫)の胞子懸濁液(2%殺
菌水中で1×10の胞子)は、バイオマスの中心領域に接種するために使用された。温
度は、2日間65℃に維持され、かつその後、70℃の空気温度にチャンバ内で内部的に
到達するまで、24時間毎に2℃の間隔で上げられた。培養物は、培養純粋性を確実にす
るために、接種された「ホットスポット」又は中心領域の試料が無菌で除去され、かつ寒
天板(好熱性菌類用のエマーソン寒天培地)へ移され、かつ経代培養される前に更に7日
間増殖させられた。純粋性は、顕微鏡分析によって照合確認された。基本栄養分を含む液
体培地(Tuohy et al.,1992;Moloney et al.,198
3)及び2%(w/v)のグルコースは、36時間経った寒天板培養物から1cmの断
片の菌がいを接種された。液体培養物は、220回転/分の振盪で、(100mLの増殖
培地を含む)250mLのエルレンマイヤーフラスコ中で36時間、55℃で増殖させら
れた。菌糸体懸濁液のアリコート(2.0mL)は、36時間後で除去され、殺菌水によ
って無菌で洗浄され、無菌のペトリ皿(直径10mm)へ移され、かつ時限間隔(10〜
60秒)で紫外線によって照射された。殺菌寒天培地(2−デオキシグルコースのような
0.2%w/vの個別のカタボライトリプレッサを含むノーブル寒天)は、照射された菌
類の菌糸体の試料を接種された。同型培養物は、45及び58℃でインキュベートされた
。単一のコロニーは、慎重に選択され(ふんわりした白い外観)、サブローブドウ糖寒天
板へ無菌で移され、かつ更に幾つかの移送を介して精製された。株IMI393751は
、58℃でインキュベートされた板から取られた単離集団である。突然変異体は、強化さ
れた熱的安定性及び酵素生成に関して、親生物との比較研究において評価され、それは同
一増殖条件で、培養物外観、胞子形成能力(株IMI393751は、胞子形成をしない
)、好熱性及び安定性、酵素生成パターン、差別的な発現及び個別の酵素活性のレベルの
点で両方の株の間に明瞭な違いを明らかにした。
【0056】
CBS814.70及びIMI393751の間の生理的/菌類学的相違
様々な寒天培地上での増殖中の培養物の外観 − エマーソン寒天上で培養される時、
CBS814.70は、この種の典型的特徴を有し(Stolk & Samson,1
972)、すなわち淡いクリーム色/淡黄色で、(接種ゾーン周辺で)寒天表面近くに淡
い黄色がかった影を有し、それは培養物が成熟するにつれ、濃い暗い淡黄色の/赤褐色に
変わり、かつ多くの子嚢果の密度の高い菌がいから成る。対照的に、IMI393751
は、遙かに白く、かつ培養物は非常に「ふんわりした」外観を有する。
【0057】
胞子形成に関する相違 − CBS814.70は、分生子柄、子嚢及び子嚢胞子を生
成する、T.エマーソニイの胞子形成株である。分生子柄は、菌糸(色が淡黄色で、かつ
有隔性)上の垂直な分枝として現れる。子嚢、又は嚢を含む胞子は、形状が多少楕円体で
あり、かつ多くの場合鎖中に見出すことができる;子嚢胞子は、形状が平滑、かつ楕円形
である(電子顕微鏡写真で緑に見える)。対照的に、IMI393751菌糸体は、極め
て少ない古典的な分生子柄、子嚢及び子嚢胞子を生成する。CBS814.70と完全に
対照的に、IMI393751は、極端な、かつ全く特異的な条件で僅かな数の胞子を生
成するのみであるが、他方で株CBS814.70は、幾つかの異なる培地上に胞子を生
成する。
【0058】
好熱性及び最適増殖温度範囲に関する相違。CBS814.70は、35〜55℃の厳
格な増殖範囲を有し、より低いか、又は高い温度では増殖が僅かであり、かつ最適増殖範
囲が40〜45℃である。他方でIMI393751は、30〜65℃の広い増殖温度範
囲を有し、80℃、85℃、及び90℃まで良好な増殖であり、最適が48〜55℃であ
る。IMI393751は、>55℃で非常に良好に増殖し、かつ高レベルの菌類バイオ
マス(菌糸体)を生成し続け、かつ有意量の種々のタンパクを活発に分泌し続ける。
【0059】
高いpH値での増殖に関する相違。CBS814.70は、pH6〜6.5を超えるp
H値ではあまり増殖しない(実際に死滅し始める)(以前のデータ、Tuohy & C
oughlan,1992)が、他方でIMI393751は、pH9.0までのpH値
で、良好に増殖し、かつ相当レベルの酵素を分泌する。
【0060】
栄養限定/枯渇条件での増殖。IMI393751は、55日目まで栄養枯渇培養物中
で、良好に生存するが、他方でCBS814.70は、7日目以降、自己分解を受け、か
つ15日目後には、僅かな生存菌糸体/細胞が残る。IMI393751の55日経った
栄養枯渇液体培養物から収穫された菌糸体は、サブローブドウ糖寒天培地への移送によっ
て蘇生できたが、他方で(55日経った)CBS814.70株の菌糸体の残りは同じア
プローチによって復活できなかった。
【実施例2】
【0061】
実施例2:ヘミセルロース材料を変換するためのタラロマイセス・エマーソニイからの酵
素系。キシランの完全な加水分解は、キシラナーゼ、β−キシロシダーゼ、α−グルクロ
ニダーゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ及びエステラーゼの相乗作用を必要とする。
表1は、(廃棄物/残渣を含む)選択された標的基質の例、及びこの例で使用される炭素
源誘発%を示す。誘発%は、培地の容量あたりの炭素源の重量を指す(g/100ml)

【0062】
【表1】

【0063】
得られた結果に基づき、酵素系は、ヘミセルロース(キシラン)又はキシランが豊富な
木由来生成物、残渣又は廃棄物の分解のために、タラロマイセス・エマーソニイから精製
された酵素を使用して設計された。酵素系に存在する鍵酵素の相対量は、表2に表にする

【0064】
【表2】

【0065】
中心的活性の相対量、付帯的活性のプロファイル及び相対量は、標的基質の組成物に応
じて変化する。表3は、特異な用途のために設計されたタラロマイセス・エマーソニイか
らの酵素系を概説する。
【0066】
【表3】

【実施例3】
【0067】
実施例3:アラビノキシラン及びアセチル化ヘミセルロースが豊富な穀物、ビートパルプ
、及び(廃棄物を含む)他の材料を変換するためのタラロマイセス・エマーソニイからの
系。
表4は、アラビノキシラン及びアセチル化ヘミセルロースが豊富な穀物、ビートパルプ
、及び(廃棄物を含む)他の材料を変換するために設計されたタラロマイセス・エマーソ
ニイIMI393751及び2種の以前に特定された突然変異株からの設計された酵素系
中の様々な酵素活性の相対量を示す。
【0068】
【表4】

【実施例4】
【0069】
実施例4:茶の葉及びイナゴマメ粉末のような非セルロース材料を変換するためのタラロ
マイセス・エマーソニイからの系。モロコシ、トウモロコシ及びライ麦のような、醸造及
び動物飼料の潜在的候補を含む、種々の穀物残渣の選択的修飾及び分解の両方に重要な、
3種の新規なエンドグルカナーゼ(EG)の特徴付け。これら3種の酵素は、タラロマイ
セス・エマーソニイIMI393751から精製された。
【0070】
精製された酵素調製の総炭水化物含有量は、グルコース又はマンノース標準曲線(20
〜100μg.mL−1)を参照して、フェノール硫酸法によって決定された(Dubo
is et al.)。
【0071】
タンパク分離技術 順次ゲル濾過、イオン交換、疎水性相互作用及びレクチンアフィニテ
ィクロマトグラフィ及びクロマトフォーカシング(偽イオン交換)が、EG V、EG
VI及びEG VIIの高度に精製された調製を得るために必要とされた。クーマシーブ
ルー染色が後に続く非変性ゲル電気泳動及び等電点電気泳動は、当業者に知られた標準の
方法論によって実行され、かつ関連する参考文献を与える(例えばMurray et
al,2001;Tuohy & Coughlan,1992,Tuohy et a
l.2002;Maloney et al.2004)。初期の実験は、EG V−V
IIのpI値が<pH3.5であることを明らかにした。従って、0.025Mのピペラ
ジン−HCl、pH3.5によって前平衡化されたPBE94に対するクロマトフォーカ
シングは、EG V−VIIの正確なpI値を決定するために使用された。β−グルカナ
ーゼの溶出ピークに対応するpHは、pIであると決定された。0.01pH単位の差は
、各酵素の正確なpI値をこのように生じさせて検出できた。
【0072】
pH及び温度最適条件及び安定性 最適pH値は、一定イオン強度クエン酸リン酸緩衝液
中で、50℃で、2.5〜9.0の間のpH値で酵素活性を観察することによって決定さ
れた。EG V−VIIの活性に対するpHの効果を評価するために、各酵素の精製され
た試料は、50℃で、pH4.0、5.0及び6.0でインキュベートされた。アリコー
トは、0、1、2、3、6、9、12、24、36、48時間後に、かつ336時間(1
4日)まで除去され、100mMのNaOAc緩衝液、pH5.0(正常なアッセイpH
)中で適切に希釈され、標準アッセイ方法に従って残渣活性に関して検定された。各精製
酵素の安定性は、基質の不存在下で、50℃、60℃、70℃及び80℃で調査された。
EG V−VIIは、3種の酵素のいずれもセルロース(又は他の不溶性炭水化物)に吸
着されない(すなわちそれらは、炭水化物結合を含まなかった)ことにおいて、調節タン
パクでなかった。
【0073】
種々の多糖類及び合成グリコシドに関する基質特異性は、正常なβ−グルカナーゼアッ
セイ手順を使用して多種多様の炭水化物(BBG、リケナン、CMC、他の多糖類及び合
成グリコシド)に対する活性を測定することによって評価された。
【0074】
金属イオン、化学修飾試薬及び潜在的阻害剤の効果 1.0mMの最終アッセイ濃度での
一価、二価、重金属イオンの範囲は、化学物質によって酵素をインキュベートし、かつ次
に正常な酵素アッセイを実行することによって、EG V、EG VI及びEG VII
の活性に対するそれらの潜在的効果に関して調査された。最後に、精製酵素に対する二糖
類、ラクトン、フラバノイドグリコシドのようなグリコシドの阻害効果が、検査された。
各グリコシドの特定の濃度は、対照(グリコシド存在せず)との比較によって決定された
正常アッセイカクテル及び残渣活性中に含まれた。
【0075】
EG V、EG VI及びEG VIIの精製の要約及び収率(%)のような精製パラ
メータは、表5に与えられる。
【0076】
【表5】

【0077】
収率、並びに最終比活性値は、EG V及びEG VIIに関して類似しており、他方
でEG VIは、低い収率で得られ、かつ高い比活性を有した。
【0078】
酵素均質性M及びpI値 シッフ試薬による陽性染色法(結果を示さず)は、全ての3
種の酵素が単一のサブユニット糖タンパクであることを示した。各酵素調製の均質性は、
IEFによって確認された。得られたpI値は、以下の通りであった:EG V、2.4
5;EG VI、3.00;EG VII、2.85。
【0079】
グリコシル化の証拠及びモル吸光係数の推定 総炭水化物含有量(w/w)は、EG V
、EG VI及びEG VIIに関してそれぞれ22.6±0.1%、14.7±0.1
%、及び65.9±0.04%であった。計算されたモル吸光係数(ε280)値(mo
l.l.cm−1)は、EG Vに関して1.04×10−5、EG VIに関して8.
80×10−6、及びEG VIIに関して7.05×10−6である。
【0080】
pH及び温度最適条件及び安定性 3種の酵素は、比較的広いpH範囲にわたって活性で
あったが、EG V、EG VI及びEG VIIに関してそれぞれ5.7、5.4及び
5.7の酸性pH最適値を示した。4.5のpH最適条件が、T.エマーソニイ粗抽出物
中でBBGアーゼ活性に関して得られた。約75%の最適活性は、pH3.0〜7.0(
EG V)、pH2.5〜7.5(EG VI)及びpH2.8〜7.5(EG VII
)の間で明白であった。
【0081】
BBGからの還元糖の放出、pH5.0で、10分にわたり、30〜90℃で。活性の最
適温度値が、EG V、EG VI及びEG VIIに関してそれぞれ78.0℃、78
.0℃及び76.0℃であった。アレニウスプロットから推定された活性化エネルギー(
)は、EG Vに関して21.2±0.05kJ.mol−1、EG VIに関して
23.5±0.02kJ.mol−1、及びEG VIIに関して26.7±0.05k
J.mol−1であった。
【0082】
酵素安定性に対するpHの効果は、pH5.0、pH5.5及びpH6.0で(50℃
及び70℃で)調査された。pH安定性は、1時間のインキュベーション期間にわたって
、pH4.0〜7.0の範囲で最大であり、際立った減少がpH<4.0かつ>7.0で
観察され、EG Vは、15日の期間にわたってpH5.0かつ50℃で活性を失わず、
他方でEG VI及びEG VIIは、最小限の活性を失った(それぞれ13.0%及び
11.5%)。しかしながら、70℃かつ同じpHで、EG V、EG VI及びEG
VIIは、60分の期間にわたって各試料中でそれぞれ42%、35%及び33%の元の
活性を失った。pH5.5(50℃)で、EG V、EG VI及びEG VIIは、1
5日の期間にわたって30%、22%及び8%のそれぞれの元の活性を失ったが、70℃
で、EG Vは、更に不安定化した(60分後に元の活性の58%減少)が、他方で60
分後のEG VI及びEG VIIの活性は、pH5.5かつ70℃でのインキュベーシ
ョン後に得られたそれに非常に類似していた。EG Vは、pH6.0かつ50℃で相当
に安定性が低く、15日目にその元の活性の63%を失った。EG VI及びEG VI
Iは、後者のpHで相当に安定性が高く、pH5.5で決定された安定性に類似したそれ
を有する(両方の酵素に関して30%の活性喪失)。インキュベーション温度を70℃に
上げることによって、EG Vの活性は、60分のインキュベーション期間にわたって(
pH6.0で)際立って減少し(65%)、他方でEG VIIは、著しく安定した状態
に留まり、22%の元の活性を失っただけである。半減期(T1/2)値は、pH5.0
かつ50℃で15日を超えたが、他方で70℃では、値は、67分(EG V)から>8
0分(EG VI及びEG VII)に及んだ。
【0083】
モジュール構造の証拠 EG V、EG VI及びEG VIIは、pH5.0かつ4℃
でAvicel(微結晶性セルロース)に弱く吸着した(8〜15%の吸着);しかしな
がら、この吸着範囲は、炭水化物結合モジュール(CBM)の存在を示さない。
【0084】
酵素活性に対する金属イオン、化学修飾剤及び潜在的な阻害剤の効果 EG V、EG
VI及びEG VIIの活性に対する一価、二価、及び多価カチオンの範囲の1mMの最
終濃度の効果が、調査された。活性は、対照(インキュベーション混合物中に金属イオン
が存在しない)に対する%として表された。一般的に、重金属イオンは、システイン、ヒ
スチジン、又はカルボキシル基と共有塩を形成することによって酵素を不活性化すると考
えられる。多数の金属イオン、例えばMg2+、Zn2+及びMo6+は、全ての3種の
酵素の活性を高め、かつAg、Fe2+及び特にHg2+のようなイオンは、EG V
−VIIの活性を際立って減少させたが、目立った酵素間の差は、他の金属イオンの効果
に関して観察された。Na及びKの塩化物は、各酵素の活性に効果を有さないか、又
は僅かに刺激し、例えばKは、EG VIIの活性を20%増加させたが、他方で、N
は、EG Vの活性を>39%強化した。Ba2+及びCa2+は、EG Vの活性
をそれぞれ16.5%及び21.5〜24.6%減少させたが、他方で両方のイオンは、
EG VIの活性を37.6%及び10%増加させた。Cd2+、Co2+及びCu2+
のような他の二価カチオンは、EG Vに対して目立った阻害効果を及ぼした(〜26.
5〜77.4%の活性喪失)。Hg2+による全ての3種の酵素の活性のほぼ完全な阻害
は、触媒作用に関与した必須チオール基の存在を示唆している。価数は、活性を調節する
ことが注目され、例えばFe3+は、全ての3種の酵素の活性に対するより強力な負の効
果を及ぼし(35.4〜88.0%の活性減少)、Fe2+がEG Vの活性を実際に2
0%強化し、EG VIIに対して最小限の効果を有し、かつEG VIの活性を38.
6%減少させたこととは対照的である(Fe3+は、EG VIの活性を53.6〜59
.3%減少させる)。対アニオン、すなわちCl対SO2−の性質は、特定のアニオ
ンの両方の塩が調査された場合に活性に対して深い効果を与えた。Ca2+及びFe3+
のSO2−塩は、対応するCl塩に関して観察された活性に対してEG VIIの活
性をそれぞれ〜2倍及び〜4.5倍に選択的に強化した。対照的に、Mg2+のSO
塩は、同じカチオンのCl塩に対して、EG V(54.2%)及びEG VI(5
0.1%)の活性を際立って減少させた。タンパク中のアミノ酸R群を修飾することが知
られている試薬の選択は、EG V、EG VI及びEG VIIに対するそれらの効果
に関して、基質の不存在下及び存在下の両方で検査がなされた(このように基質保護効果
が観察できた)(表6参照)。
【0085】
【表6】

【0086】
N−ブロモスクシンイミド(NBS)の強力な阻害効果は、結合及び/又は触媒作用に
おけるトリプトファンの関与を示唆する。しかしながら、もう1種のトリプトファン修飾
試薬のo−フタルジアルデヒドは、EG V、EG VI又はEG VIIの活性に対す
る正味の効果を有さず、それ故にNBSは、それにより副反応性を有することが知られて
いる他のアミノ酸残渣、例えばシステインを修飾し得た。更に、酵素不活性を防ぐための
基質がないことは、結合又は触媒作用におけるトリプトファンの直接的な役割を除外する
。システイン及びジチオトレイトール(DTT)は、両方とも不活性化を防ぐので、NB
Sの効果は、副反応、例えばシステインの酸化に起因し得る。スルフィドリル(sulp
hydryl)試薬ヨードアセトアミド、p−ヒドロキシ水銀安息香酸、及びN−エチル
マレイミドは、基質の存在又は不存在下で、ほとんど阻害を引き起こさず、このことは、
EG V、EG VI及びEG VIIが、必須チオール基を有さないことを示唆するよ
うに見える。しかしながら、システイン、DTT及びジチオエリトリトールは、全ての3
種の酵素、特にEG VI及びEG VIIを活性化し、そのことは、おそらく抽出及び
/又は酵素精製中に酸化したジスルフィドの還元を示唆でき、このように、全体として酵
素分子、又は酵素の活性部位領域の固有の立体配座を回復させる。強い還元剤である水素
化ホウ素ナトリウムは、基質の存在下で、3種の酵素(特にEG VI)を阻害する。対
照的に、過ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素及びチオグリコール酸のような強酸化剤の作用に
よる活性部位での他の反応基の酸化は、全ての3種の酵素の活性を著しく強化し、効果は
、基質の存在下で、過ヨウ素酸ナトリウム及びEG VIに関して最も明白である。カル
ボン酸修飾試薬であるウッドワード試薬Kは、EG V、EG VI及びEG VIIの
活性を強化し、基質の不存在下で非常に有効であった。
【0087】
一般的に、検査をした化合物のほんの数例を挙げると、m−フェニルフェノール、(−
)エピカテキン、(+)カテキン、o−クマル酸、カフェー酸、フェルラ酸、シリンガ酸
及びタンニン酸のようなフェノール物質は、そのタンパク沈殿機能のために強力な阻害剤
であるタンニン酸を除き、(基質の不存在下で)酵素活性に対する際立った阻害効果を有
しなかった。実際に、幾つかの化合物、例えばプロトカテク酸、シリンガ酸、カフェー酸
及びポリビニルアルコールは、全ての3種の酵素を際立って活性化した(結果は、基質の
不存在下、阻害剤による酵素のプレインキュベーション中に得られた)。しかしながら、
酵素及び基質によって共同インキュベートされた時、フェノール類の幾つかは、〜7〜3
2%の活性減少をもたらすことが注目された(基質は、タンニン酸の強力な効果から酵素
のいずれも保護しなかった)。
【0088】
一般的に、検査を受けた洗剤の大部分は、酵素活性喪失を引き起こさなかった。しかし
ながら、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、ツイーン20及びツイーン80は全
て、基質の添加に先立って酵素によってプレインキュベートされる時に、EG Vの活性
をそれぞれ47.7%、22.7%、12.7%及び30.8%減少させた。ツイーン8
0(34.2%の活性喪失)を除き、基質による同時インキュベーションは、全活性を回
復させた。基質、酵素及び洗剤(デオキシコール酸、CHAPS、タウロデオキシコール
酸及びケノデオキシコール酸)が同時にインキュベートされた時に、強化された活性が観
察され、例えばEG VIの活性は、基質及びデオキシコール酸の存在下で>2倍増加し
た。
【0089】
サリシン、エスクリン及びアルブチンのようなグリコシドは、二糖類メリビオース、マ
ルトース、ショ糖及びアルジトール、ソルビトールと同様に、EG V−VIIの活性に
対して明らかな効果を及ぼさなかった。しかしながら、50〜75mMからのセロビオー
スの濃度は、全ての3種の酵素、特に濃度>75mMでラクトースによっても阻害された
、EG Vを際立って阻害した。ラクトースはまた、〜120mMの濃度で、EG VI
及びEG VII BBGアーゼ活性の〜50%の阻害を行った。グルコノ−δ−ラクト
ン及びグルコヘプトノ−1,4−ラクトンも、遙かに高い濃度(50%阻害のために50
0〜>750mM)であるが、EG V−VIIを阻害する。
【0090】
基質特異性 T.エマーソニイの粗抽出物は、セルロース、CMC、BBG、ラミナラン
、リケナン、キシラン、ペクチン及び合成グリコシド誘導体のスペクトルを含む種々の多
糖類の加水分解に触媒作用を及ぼす。3種の精製酵素のいずれも、β−D−キシロピラノ
シド又はα−D−ガラクトピラノシドの4−ニトロフェニル誘導体に対して活性でなかっ
た(表7)。
【0091】
【表7】

【0092】
更にEG V、EG VI及びEG VIIは、濾紙、Avicel、ローカストビー
ンガムガラクトマンナンに対していかなる活性も示さず、かつ基質による延長したインキ
ュベーションでも、セロビオースの酸化に触媒作用を及ぼさなかった。結果は、対照(B
BGに対する活性が100%の値を割り当てられた)に対する活性%の点で表される。全
ての3種の酵素は、混合結合β−グルカン、BBG及びリケナンに対して最大活性を示し
、後者の基質に対して際立って多くの活性を示した。延長したインキュベーション期間で
、キシランに関して全ての3種の酵素によって示された微量の活性は、使用されたオート
スペルツキシラン調製が、僅かな汚染量のβ−グルカンを含んでいたことによって説明さ
れ得る。
【0093】
表された酵素の各々に関する同様の分析を行った後、酵素系は、茶の葉、イナゴマメ粉
末及び他の同様の材料のような非セルロース材料の分解のためにタラロマイセス・エマー
ソニイから精製された酵素を使用して設計された。
【0094】
表8は、この酵素系の様々な酵素活性の相対量の例を与える。
【0095】
【表8】

【実施例5】
【0096】
実施例5:セルロース、セルロースが豊富な廃棄物及びセロオリゴ糖を変換するためのT
.エマーソニイからの系
タラロマイセス・エマーソニイIMI393751は、基質としての種々の紙廃棄物及
び紙製品上で増殖された。分泌された酵素は、抽出され、かつ酵素発現は、プロテオーム
及びトランスクリプトーム分析によって、かつ機能アッセイの十分なスペクトルによって
観察及び定量化された。幾つかの紙廃棄物は、セルラーゼ(及び相補的活性、例えばコー
ト/仕上げ紙製品が使用されたデンプン−加水分解酵素)の優れた誘発物質であることが
判明した。様々な紙廃棄物/製品によって誘発された、相対量/タイプのセルラーゼ酵素
に対して、差は、明らかに明瞭であった。得られたデータは、セロビオヒドロラーゼI(
CBH I)及びセロビオヒドロラーゼII(CBH II)イソ酵素が、最も重要なセ
ルラーゼ活性であること、かつ標的基質中のセルロースのより完全な糖化/生物変換が望
まれる場合(例えばバイオ燃料生成のための単糖の豊富な原料の生成)に、β-グルコシ
ダーゼI(BG I)も、非常に重要であることを確認した。
【0097】
紙皿は、注目すべきレベルの濾紙(FP)分解活性(1573IU/g、但しIUは、
形成された生成物、μモル/反応時間、分/誘発基質、gを表す)、低いエンドセルラー
ゼレベル(27.5IU/g)及び低いβ−グルコシダーゼレベル(6.05IU/g)
を誘発した。トランスクリプトームレベルで、CBH Iは、最も豊富な/高度に発現さ
れたセルラーゼであり、機能レベルで補足された観察では、242.0IU/gのCBH
Iタイプの活性が検出された。紙コップ上での増殖中に生成された酵素は、著しく更に
外部作用的(exo−acting)であり、495.0IU/gのFP活性及び53.
9IU/gのβ−グルコシダーゼが検出された。後者の例において、遺伝子発現及び機能
アッセイは、CBH IIが、鍵セルラーゼであることを示した(CBH IIの転写及
び酵素レベルは、CBH I酵素の対応するレベルの〜2倍であった)。CBH IIは
再度、包装紙、段ボール紙、白色事務用紙によって誘発される鍵セルラーゼであった。(
例えば鍵外部(exo)又は副/付帯活性の増幅のための)個別の酵素系及びその組み合
わせは、多種多様なセルロースの豊富な未使用の、二次的及び廃棄物材料におけるセルロ
ース(及びヘミセルロース/他の炭水化物)変換のための有効なツールであることが示さ
れた。
【0098】
酵素は、従来の手順によって単離及び分析された(Walsh,(1997)and
et al,2002)。
【0099】
唯一の汚染活性として微量のキシラナーゼを含むCBH IAは、115〜170mM
の間のNaCl濃度で溶出した。分画52〜66は、貯留され、かつ100mMの酢酸ア
ンモニウム緩衝液、pH5.0の4回の変更に対して16時間透析され、かつp−アミノ
ベンジル−1−チオ−セロビオシドで置換されたCH−セファロース4Bのカラム(1.
4×11.3cm)でアフィニティクロマトグラフィを受けた。残留汚染キシラナーゼ活
性は、結合せず、かつ適用及び洗浄緩衝液中に溶出した。CBH IAは、100mMの
酢酸アンモニウム緩衝液、pH5.0中の0.1Mのラクトースを使用して溶出された。
分画13〜21は、貯留され、かつラクトースを除去するために蒸留水に対して透析され
、かつ使用されるまで4℃で保存された。
【0100】
アニオン交換ステップからのCBH IB(pH5.5でDE−52)は、100mM
酢酸アンモニア緩衝液、pH5.5に対して透析され、かつCBH IAに関してアフィ
ニティカラムに適用された。残留汚染活性、主にエンドグルカナーゼは、アフィニティマ
トリックスに結合せず、かつ洗浄液中に溶出した。CBH IBは、アフィニティ緩衝液
中の0.1Mのラクトースを使用して特に溶出された。分画43〜48は、貯留され、か
つラクトースを除去するために蒸留水に対して透析され、かつ更なる使用まで4℃で保存
された。
【0101】
上記分析に基づき、以下の酵素系が、紙廃棄物及び紙製品、並びにセロオリゴ糖を含む
他の廃棄物の分解のためにタラロマイセス・エマーソニイから精製された酵素を使用して
設計された。
【0102】
【表9】

【実施例6】
【0103】
実施例6:好熱性菌類種、ケトミウム好熱菌及びサーモアスカス・オーランティアカスか
らの系
T.エマーソニイIMI393751及び以前に知られた突然変異体から酵素系/サー
モザイム組成物の設計のために概説された戦略は、23を超える中温性及び好熱性菌類種
によって炭水化物修飾組成物を生成するように構成された。強力なヘミセルラーゼ(キシ
ラナーゼ、マンナナーゼ)及びペクチナーゼが豊富な酵素系のこれらの菌類種による生成
/誘発に特別な注意が払われた。
【0104】
ケトミウム好熱菌及びサーモアスカス・オーランティアカスは、以前に記載したように
、1〜6%の誘発炭素源を含むT.エマーソニイ栄養培地上で、液体発酵中で個別に培養
された(固体発酵による酵素生成も、調査された)。強力なマンナン分解酵素系は、コー
ヒー廃棄物上で96〜120時間のC.好熱菌の培養によって得られた。この系のこの組
成物は、特徴付けられ、かつ45〜60%のマンナン加水分解活性、0.7〜4.0%ペ
クチン修飾酵素、35.2〜52.0%のキシラン修飾活性を含むことが示され、残りは
、セルラーゼ活性に属すると考えられた(非常に低い又は微量のCBH及びβ−グルコシ
ダーゼが、認められた)。
【0105】
大豆ブラン上での同じ菌類の培養は、強力なキシラン分解酵素系をもたらした(70.
2〜86.5%の総活性が、キシラン修飾酵素に属すると考えられた);〜10.6〜2
8.0%及び〜8.6〜22.5%の残りの炭水化物修飾活性は、セルラーゼ、ペクチン
分解及び低レベルのマンナン分解酵素に属すると考えられた。
【0106】
同様に、強力なペクチン修飾酵素系が、ふすま及びビートパルプ(1:1)上のTh.
オーランティアカスの培養中に誘発され、>56.5〜80.0%の総炭水化物修飾活性
プロファイルが、ペクチン分解活性によって表された;この酵素系は、〜22.1〜40
.1%のキシラン修飾酵素も含み、残りは、主にセルラーゼ/β−グルカン修飾活性であ
った。対照的に、大豆ブラン上のTh.オーランティアカスの培養は、強力なキシラン分
解酵素系(>62.1〜85.8%)を誘発し、〜3.5〜11.0%のペクチン修飾酵
素によって補足され、残りの活性は、主にβ−グルカン修飾である。C.好熱菌とは対照
的に、Th.オーランティアカスは、いずれかの基質上の培養中に有意レベルのマンナン
分解酵素を作らなかった。
【0107】
これらの系は、単独で、及び相互に又は他の酵素系(例えばT.エマーソニイ)と組み
合わせて、広範囲の様々な農業、食品/野菜、飲料、木質/紙及び他の炭水化物の豊富な
未使用及び廃棄物材料の多大な糖化(糖放出)を行うことが示され、かつ専門のオリゴ糖
生成物又は広範囲な生物工学的用途(例えばバイオ燃料生成)のための、糖が豊富な原料
の生成に使用できる。
【実施例7】
【0108】
実施例7:バイオ燃料生成に使用される食品/飲料、紙及び木質廃棄物からの糖が豊富な
原料の生成のためのT.エマーソニイからの系。
(a)食品/飲料廃棄物の生物変換:リンゴ果肉/絞り滓
(果肉を取り去った)廃棄物リンゴ、リンゴ果肉及び絞り滓は、地域の果物供給業者、
食品加工、及びリンゴ汁(酒)/飲料製造販売店から得られた。T.エマーソニイは、(
固体及び液体発酵の両方によって)2〜6%のリンゴ果肉/絞り滓上で培養され、かつ高
レベルの炭水化物修飾酵素範囲が、測定された。この系は、高レベルのβ−グルカンヒド
ロラーゼ、主に非セルロースβ−グルカナーゼ(120時間の液体培養濾液中で〜27.
4%)、特に高レベルのα−アラビノフラノシダーゼ(総カルボヒドラーゼ活性の13.
3%)及びβ−ガラクトシダーゼ(22.6%)を有する相当量の鍵エキソ−グルコシダ
ーゼを特徴とした。追加のエステラーゼ、ペクチン及びキシラン修飾酵素も、検出された
(>7.2〜33.5%)。それ故に、上記分析を使用して、リンゴ廃棄物を分解するこ
とに適した酵素系を設計することが可能である。
【0109】
初期の研究は、3.6Kgの基質当たり2344nkatのキシラナーゼ、5472n
katの混合結合β−グルカナーゼ、及び8529nkatのリケナナーゼを含む酵素装
填を使用し、かつ70℃の反応温度が使用された。加水分解物の完全な殺菌は、70℃で
達成され、かつ加水分解物は、中温性及び好熱性上向流嫌気リアクタ(UAHR)に供給
するために使用された。糖原料の100%の利用が観察され、メタンが付随的に生成され
た(バイオガス流中で50〜70%)。その後の最適化研究が行われ、それは、約2/3
の元の酵素用量による24時間の期間の緩やかな撹拌(〜120回転/分)による80℃
でのインキュベーションが、単純な、発酵可能な糖への存在する炭水化物の〜87%の糖
化を達成することを証明した。
【0110】
この酵素系によって生成された糖は、バイオ燃料生成用の単糖の豊富な原料として使用
できる。
【0111】
(b)紙廃棄物:紙コップ及び紙製品の生物変換
T.エマーソニイは、液体発酵における種々の紙廃棄物上での補足なしに培養された(
実施例5参照)。紙コップは、非常に効果的なカルボヒドラーゼ誘発物質であり、高レベ
ルのキシラナーゼ及びデンプン分解酵素活性を有する強力な複数成分酵素カクテルをもた
らし、かつセルラーゼ活性のレベルが、従来の増殖基質に関して報告されるよりも高いこ
とが判明した。還元糖を効果的に放出し、かつ紙廃棄物の分解を行うこの酵素系の可能性
は、生化学検査及び走査電子顕微鏡法によって明瞭に説明された。走査電子顕微鏡法を使
用する、基質の完全性及び形態に関するサーモザイム処理の効果は、紙廃棄物変換のため
の強力な生物工学ツールとしてのこれらカクテルの可能性を確認する。SEMは、T.エ
マーソニイカクテルによるセルロースが豊富な基質の処理に続く、多大なセルロース繊維
分解(ある種の試料において繊維構造の完全な喪失)の明らかな証拠を提出した。
【0112】
紙コップ上の108時間の増殖後にT.エマーソニイによって生成された酵素カクテル
は、一連のセルロース、ヘミセルロース及びデンプン分解酵素を含み、かつこの複数成分
カクテルに対して行われた糖化研究は、従来のセルロース及び紙廃棄物基質からグルコー
ス及び他の還元糖を有効に放出するその能力を証明する。この酵素カクテルは、分析され
た全ての紙廃棄物及び従来のセルロース基質に対して活性であることが発見された。全て
の基質は、経時的に次第に分解されたが、異なる生分解可能性が、異なる基質組成物に応
答して示された。
【0113】
いかなる前処理前にも、生分解性包装は、酵素加水分解に対する最も強い可能性を示し
、その後にティッシュ紙、紙コップ及び段ボール紙が続いた。紙コップ誘発酵素系は、最
適に機能し、温度50℃、pH4.5、4mL/gの基質の酵素用量で、かつ37回転/
分の振盪中に紙廃棄物から最大の糖レベルを放出する。紙コップの均質化は、加水分解レ
ベルを2.3倍増加させた。これらの実験条件で(36FPUの酵素用量)(濾紙単位)
85%の全加水分解%が達成され、〜80%の還元糖を占めるグルコースが放出された。
グルコース及びキシロースは、放出された主要な生成物であった(図3参照)。しかしな
がら、9FPUに酵素用量を減少させることにより、〜76%の全体的加水分解が行われ
た。電子顕微鏡法は、このカクテルの優れた加水分解特性を証明した(図4)。
【0114】
熱処理は、同じ酵素系によるボール紙変換を、34%の係数だけ増加させ(〜88%の
放出された還元糖に基づく全体的炭水化物加水分解)、他方で熱処理及び均質化の両方の
組み合わせは、放出された還元糖を80%増加させ、1.47mg/mlのグルコース(
放出された全部の糖の31.7%)をもたらした。紙皿は、紙コップ誘発酵素カクテルに
よって急速に分解され、全部の糖の〜67%を占めるグルコースが放出された。
【0115】
紙及び食品廃棄物の酵素糖化は、順次加水分解及び糖化(SHF)、すなわちエタノー
ルを生成するための酵母発酵が続く酵素前処理と、原料が連続的に生成され、かつ酵母に
よって即時に発酵される同時加水分解及び糖化(SSF)とで調査された。酵素前処理反
応温度は、両方のプロセスにおいて異なり、すなわち加水分解物が発酵前に冷却されるの
でSHFで高く、かつSSFでは酵母増殖及び発酵のために周囲温度に近い温度である。
T.エマーソニイIMI393751酵素は、より効果的かつ高い反応速度であり、かつ
殺菌が達成される(かつ少ない酵素が必要とされる)が、T.エマーソニイ酵素は、25
〜37℃でなおも非常に良好に機能し、かつ他の菌類源からの商業的な酵素調製に十分匹
敵する。生成された糖が豊富な原料は、バイオ燃料(バイオエタノール及びバイオガス)
生成に適していることが発見された。
【0116】
(c)バイオエタノール生成のための軟材残渣の生物変換
一次及び二次供給源からの木質残渣及び廃棄物(例えば樹皮、間引き、並びに削り屑及
び鋸屑のような加工廃棄物)は、リグニン中に包まれる、ヘミセルロース(〜19〜28
%、かつ主にキシラン及びマンナンと、若干の他の多糖類)及びセルロース(〜39〜4
6%)のような複合炭水化物を含む65〜70%もの乾燥重量を有する広大な資源となる

【0117】
T.エマーソニイIMI393751は、標的廃棄物の変換のための酵素の適切なプロ
ファイルを有する酵素系を生成するために、ベイトウヒ鋸屑及び灰削り屑(ash sh
aving)のような木質残渣上の液体又は固体状態発酵において増殖された。様々な反
応/前処理温度及び酵素用量が、調査された。評価された酵素系は、種々の基質上でのT
.エマーソニイの増殖中に得られたカクテルを含んだ。50℃、60℃、70℃及び80
℃の反応温度が、調査され、かつ多数の異なる基質、すなわち未処理及び前処理木質残渣
が使用された。酵素装填も調査され、初期研究は、60FPUで開始し、後に200FP
Uまで増加した(FPU:濾紙単位、全セルラーゼ活性の尺度)。
【0118】
【表10】

【0119】
理論エタノール収率に対する酵素用量の効果は、表11に示す。
【0120】
【表11】

【実施例8】
【0121】
実施例8:木質バイオマスの糖化
検査基質の調製 トウヒチップ(直径2〜10mm)は、2.5%w/wの水分の吸収率
まで20分間室温で、二酸化硫黄(3%w/vの水分)によって含浸された。SO処理
されたトウヒは、215℃で2〜5分間、蒸気によって処理された。ヘミセルラーゼ含有
量は、ほぼ完全に加水分解された;固体回収率は、開始原材料の60〜65%であった。
【0122】
酵素 MGBG酵素:MGBG1、MGBG2、MGBG3及びMGBG4と番号が付さ
れた。使用された商業的酵素は、T.reeseiからのCelluclast 2L及
びA.nigerからのNovozym 188であった(Novo Industri
A/S,Bagsvaerd,Denmark)。
【0123】
酵素加水分解の評価
標準的酵素加水分解は、〜130回転/分の撹拌によって、300mL、1L及び10
Lの反応槽中で37℃、50℃及び60℃で行われた。酵素用量は、緩衝化された基質溶
液中のセルロース1g当たり32FPUの各酵素調製であった(Gilleran,20
04)。反応緩衝液のpHは、MGBG酵素に関してpH5.0に、かつ商業的調製に関
してpH4.8に調節された。試料は、時限間隔を空けて除去され、かつ酵素作用は、各
反応混合物(及び対照)を10分間沸騰させることによって終了させられた。最低反応温
度(37〜50℃)で、2種の本発明の酵素調製が、商業的なCelluclast調製
と同じように性能を発揮し、かつ(ii)3種のMGBG酵素の性能は、商業的Cell
uclast(及びCelluclast/Novozymブレンド)と同じ範囲にある

【0124】
本発明の組成物を使用するグルコース収率は、最適化された商業的調製と同様であった
が、それらは、商業的酵素よりも高いレベルの追加の発酵可能な糖をもたらす。
【0125】
本発明の酵素調製は、全体的加水分解範囲、生成物収率及び酵素安定性の点で、高い反
応条件(60〜70℃)で商業的酵素/酵素ブレンドより性能が優れていた。低い酵素用
量が、同様の加水分解性能を達成するために高い反応温度で使用できた(酵素調製次第で
、商業的酵素装填の62.5〜78%のみが必要とされた)。それらはまた、蒸気前処理
された基質中に存在する阻害物質による影響が低く、かつ糖が豊富な加水分解物中で高濃
度のグルコース及びセロビオースであった。それらは、商業的酵素が、商業的酵素の最適
作用温度である50℃、72時間で達成するよりも大量の糖を60℃、24時間でもたら
す。
【0126】
酵素加水分解の鍵となる結果は、表12に示されるが、他方で検査された各商業的及び
本発明の酵素組成物の最適加水分解%のための最良の反応温度/反応時間の組み合わせは
、表13に与える。
【0127】
【表12】

【0128】
【表13】

【0129】
同時糖化及び発酵(SSF)
トウヒ加水分解物によるバッチSSF実験は、種々の酵素調製の性能を比較するために
行われた。発酵は、4%のトウヒ繊維濃度で行われ、前処理材料は、殺菌水によって所望
の濃度まで希釈された。pHは、2MのNaOHの添加によって5.0に維持された。発
酵温度は、37℃であり、かつ撹拌器速度は、500回転/分であった。反応培地は、窒
素(600ml/分)によって散布され、かつCO含有量が、ガス分析器によって測定
された。酵素調製は、25濾紙単位(FPU)/セルロース1gの装填で、発酵槽に直接
添加された。発酵培地には、栄養素が補足された:0.5g/lの(NHHPO
、0.025g/lのMgSO.7HO及び1.0g/lの酵母抽出物。添加された
酵母(パン酵母、サッカロマイセス・セレビジェー)細胞集団の濃度は、5g/lであり
、かつ全てのSSF実験は、72時間37℃で行われた。試料は、種々の時間間隔で引き
出され、5分間、14000gで、1.5mlの微小遠心管中で遠心分離され(Z160
M;Hemle Labortechnik,Germany)、上清は、次にHPLC
分析のために調製された。
【0130】
リグノセルロース材料の分解中に発生した加水分解の生成物は、HPLCによって分解
された。セロビオース、グルコース、キシロース、ガラクトース、マンノース、HMF及
びフルフラールは、85℃でポリマーカラム(Aminex HPX−87P)上で分離
され、移動相は、流量0.5ml/分のミリポア水であった。エタノール、グリセロール
及び酢酸塩の濃度は、60℃でAminex HPX−87Hカラムを使用し、屈折率検
出器を備えたShimadzu HPLCシステムを使用して決定された。移動相は、流
量0.5ml/分の5mMのH2SO水溶液であった。生成されたエタノールは、同様
に酵素結合アッセイ(r−Biopharm,Germany)を使用して決定された。
【0131】
酵母増殖は、2つの相で行われる。1モルのグルコースの嫌気性発酵は、1モルのエタ
ノール及び2モルの二酸化炭素をもたらすので、二酸化炭素は、エタノール発酵プロセス
の重要な副産物である。従って、出口ガス中の二酸化炭素濃度測定は、発酵速度の間接的
測定である。第1の増殖段階で、利用可能なグルコースは、消費され、かつエタノールが
、形成され、かつ存在するグルコースへの初期の速い応答は、CO発生の急上昇によっ
て示される。
【0132】
SSF中に得られた結果は、表3に与えられる。以前述べたように、各酵素調製のため
にSSFに取られた全体時間は、72時間であり、かつSSFに使用された温度は、37
℃であった。発酵効率は、実際の生成されたエタノール濃度(g/L)を、利用可能な基
質全部が、可溶性の発酵可能な糖に変換され、かつ糖全部が、エタノールに変換されたな
らば生成されたであろう全理論エタノール(g/L)で割り、かつ100を掛けることに
よって決定された。
【0133】
得られたデータに基づき、各酵素/SSFの組み合わせのエタノール収率は、エタノー
ル、L/乾燥トン、及び対応する米国の単位、エタノール、ガロン/乾燥米国トンで与え
られる。
【0134】
【表14】

【実施例9】
【0135】
実施例9 バイオエタノール生成の順次加水分解及び発酵(SHF)戦略における商業的
及びMGBG酵素の比較
順次加水分解及び発酵によって得られたバイオエタノール収率は、商業的及び本発明の
酵素調製に関して調査された。SSFの1つの利点は、プロセスが前処理ステップから生
じたモノマー糖の初期の高速発酵及び代謝からなることである。一旦グルコースが、添加
された加水分解酵素の作用によって基質から放出されると、発酵は速く、そのことはSS
Fにおいて遊離糖の濃度が、常に低い状態に留まることを意味する。SSFにおいて、発
酵速度は、酵素による基質変換速度の減少、又は酵母代謝阻害の、いずれかの律速である
方の結果、最終的に減少する。これらの実験において得られたデータは、表15に要約す
る。
【0136】
【表15】

【0137】
HPLC分析は、形成された主要な生成物が、単糖類(単一の糖)であり、非常に少量
の高オリゴマー(二糖類であり、加水分解物中に存在する主要な又は唯一の高鎖糖である
セロビオース)が形成されることを確認した。
【実施例10】
【0138】
実施例10 動物試料用途
各酵素組成物は、個別の標的用途において評価され、モデル研究は、振盪あり又はなし
で、pH2.5〜7.0かつ37〜85℃で50〜250mLの最終反応量中で5〜25
gの基質(穀物、穀粉、又は他の植物残渣)によって実験室規模で行われた。酵素性能は
、基質前処理、すなわち緩やかな蒸気前処理(105℃、8p.s.iで5分間)、乳鉢
及び乳棒を使用する研磨、Parvalux又はUltraturraxホモジナイザ中
の均質化あり及びなしで評価された。軟かい果物及び野菜組織/残渣に関して、基質は、
混合によって粗くばらされ、かつ前処理なしで、酵素によりインキュベートされた。基質
加水分解は、(i)放出された還元糖の測定及び個別の糖を検出及び定量化するアッセイ
、(ii)加水分解の糖生成物の確認TLC及びHPLC分析、(iii)残渣の重量/
体積減少の分析、(iv)酵素処理前後のセルロース、ヘミセルロース、デンプン及びペ
クチン含有量の比較、及び(v)紙及び木質廃棄物のような繊維性基質の走査電子顕微鏡
法(SEM)による基質分解の物理的分析によって観察された。
【0139】
【表16】

【0140】
【表17】

【0141】
例えば鍵オリゴ糖が豊富な飼料に関して
ガラクトオリゴ糖−MGBG16酵素カクテルが、最良である
グルコオリゴ糖−MGBG16及び22が、最良である
フラクトオリゴ糖−MGBG21カクテルが、最良である
【0142】
抗酸化剤が豊富な飼料調製に関して、処理に使用する最良のカクテルは、MGBG13
、16及び23上で調製されるものである。
【実施例11】
【0143】
実施例11:単胃動物の飼料用途:
研究は、未加工穀物分画(1〜5gのロット)により(140回転/分の振盪で)50
〜85℃の範囲にわたる温度で行われた。各酵素調製(基質1g当たり0.5IUの最大
用量)による基質中の炭水化物の加水分解は、放出された還元糖を定量化することによっ
て24時間にわたって観察され、試料中に形成された生成物は、定期的間隔を空けて反応
混合物から除去された。
【0144】
【表18】

【0145】
キシラン及び非セルロースβ−グルカン分画の有意の加水分解が、観察され、そのこと
は、加水分解のより長鎖のオリゴ糖生成物への培地形成を引き起こし、それは同様にプロ
バイオティック微生物のための適切な発酵基質であろう。
【0146】
バイオガス生成例
一方が37℃に維持され、かつ他方が55℃に維持された、2つの10L上向流嫌気ハ
イブリッドリアクタ(UAHR;Reynolds,1986)は、それぞれ中温性及び
好熱性細菌の個別の混合個体群によってバイオガス生成のために使用された。糖が豊富な
加水分解物は、汚泥床を通して汲み上げられ、かつ存在する微生物の群落によって分解さ
れた。リアクタ頂部の分離装置は、嫌気性消化中に取り外され得た何らかの汚泥粒子から
生成されたガスを分離するために使用された。両方のリアクタは、COD除去(APHA
,1992)、全炭水化物減少(Dubois法)、及びメタン生成の効率を観察するこ
とによって、650日の運転期間を通して連続的に評価された。糖代謝の指標である脂肪
酸生成、及びメタン生成は、ガスクロマトグラフィ(GC)によって観察された。
【0147】
バイオ燃料は、多数の原料から生成できる。それらの多くは、異なる酵素カクテルの使
用を必要とする。MGBG16は、嫌気性消化によるバイオガス生成の、以下に一覧で示
す食品及び野菜廃棄物からの原料生成のための最良のカクテルである。
【0148】
【表19】

【0149】
表18中のデータは、保持時間が通常9〜30日間の間である、文献中の報告とは対照
的に、3日間のみの保持時間で達成された。保持時間は、炭水化物原料の代謝及びバイオ
ガスの生成にかかった期間(又は誘導期)を示す。
【実施例12】
【0150】
実施例12 バイオエタノール生成
標準的な酵素加水分解は、〜130回転/分の撹拌によって300mL及び1Lの容器
中で、37℃、50℃及び60℃で行われた。酵素用量は、緩衝化基質溶液中で、セルロ
ース1グラム当たり32FPUの各酵素調製であった(Gilleran,(NUI,G
alway,Ph.D.Thesis,2004)に記載されたように、実験室規模の研
究において、総加工重量=100g)。反応緩衝液のpHは、pH5.0に調節された。
試料は、時限間隔を空けて除去され、かつ酵素作用は、10分間の沸騰によって終了した
。0〜72時間の期間にわたって以下のものが測定された:
・還元糖の放出及び個別の糖の検出及び定量化(g/Lで表される)
・加水分解の糖生成物のHPLC分析(生成物量は、g/Lで表される)
・残渣の重量/体積減少
・酵素処理前後でのセルロース繊維含有量
【0151】
酵素処理前後での基質完全性の走査電子顕微鏡法(SEM) 嫌気性細菌による糖代謝
中の鍵脂肪酸の生成、及びメタン生成は、ガスクロマトグラフィ(GC)によって観察さ
れた。酵母発酵によって生成されたバイオエタノールは、2つのアプローチ、エタノール
定量化のための酵素結合アッセイキット(r−Biopharm,Germany)を使
用して、かつ高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によっても測定された。
【0152】
ベイトウヒ加水分解物、紙廃棄物及び木質残渣(針葉樹残渣の混合物、主にベイトウヒ
)は、実験室規模の研究で検査された。SHF(順次加水分解及び発酵)、及びSSF(
同時糖化及び発酵)の2種のエタノール生成フォーマットが調査された。
【0153】
【表20】

【0154】
【表21】

【0155】
【表22】

【0156】
【表23】

【0157】
【表24】

【0158】
【表25】

【0159】
【表26】

【0160】
【表27】

【0161】
【表28】

【0162】
【表29】

【0163】
【表30】

【0164】
【表31】

【0165】
【表32】

【0166】
【表33】

【0167】
【表34】

【0168】
【表35】

【0169】
以上に一覧にした幾つかのカクテルは、広範囲な他の用途における用途を有する。これ
らの用途において、カクテル使用における鍵となる差は、(a)各処理で使用される酵素
用量、又は量、及び(b)インキュベーションの持続時間にある。例えば、MGBG18
は、ある種の廃棄物の流れの処理、並びに栄養補給用途に非常に好適である。「廃棄物」
処理/糖化ステップにおいて、高い用量の酵素が、使用され、かつ反応時間は、〜18〜
24時間(〜25〜32濾紙単位)である。最終的な目標は、発酵可能な単糖類への標的
残渣の広範囲の分解を達成することである。対照的に、生理活性オリゴ糖(グルコオリゴ
糖及びキシロオリゴ糖のいずれか)の生成が必要である場合、かつ/又はパンへの組織変
更、低い酵素濃度が必要であり、かつ所望の終点に達するために、修飾(又は反応)時間
が1時間以下(最大2時間)かかり得る。
【0170】
標的基質は、本来セルロースが豊富な場合、酵素濃度は、「濾紙単位又はFPU」に基
づいた。生理活性オリゴ糖(例えば非セルロースβ−グルコオリゴ糖)が、生成される場
合、酵素濃度は、標的基質の分画(例えば菌類又は藻類源からの非セルロース、混合結合
β1,3;1,4−グルカン又はβ−1,3;1,6−グルカン)に必要とされる主要活
性に基づく。
【実施例13】
【0171】
実施例13 液体発酵中のT.エマーソニイ株による酵素生成
検査されたタラロマイセス・エマーソニイ株は:
IMI(Imperial Mycological Institute(CABI
Bioscience))393751(特許株)、IMI393753(CBS(Ce
ntraal Bureau voor Schimmelcultures)180.
68)、IMI393755(CBS355.92)、IMI393756(CBS39
3.64)、IMI393757(CBS394.64)、IMI393758(CBS
395.64)、IMI393759(CBS397.64)、IMI393760(C
BS472.92)、IMI393752(CBS549.92)、IMI393761
(CBS759.71)である。
【0172】
液体発酵;個別のT.エマーソニイの同型液体培地は、pH非制御条件で、Molone
y et al、(1983)及びTuohy & Coughlan(1992)によ
って記載された培地中で、45℃で増殖した。選択された4種の炭素源は:グルコース(
単糖類)、オートスペルツキシラン(アラビノグルクロノキシラン)、イナゴマメ粉末及
び1:1の茶の葉/紙皿混合物(〜15〜20秒、ブレンダ中で断片化され、培養物上清
は、回収され(Tuohy & Coughlan、1992;Murray et a
l,2002)、かつ細胞外酵素生成を分析するために使用された)。
【0173】
酵素アッセイ;酵素活性は、誘発炭素源1グラム当たりの国際酵素単位(IU)で表され
た。1つの単位IUは、1分当たり1ミクロモルの生成物(還元糖、4−ニトロフェノー
ル等)を放出する。全てのエキソグリコシダーゼ及びエンドヒドロラーゼ酵素アッセイは
、以前に記載されたように行われた(Tuohy & Coughlan、1992;T
uohy et al,1994、2002;Murray et al,2002;G
illeran,2004)。特に言及しない限り、全ての初期活性測定は、50℃かつ
pH5.0で行われた。エキソグリコシダーゼ活性には、β−グルコシダーゼ、α−グル
コシダーゼ、β−キシロシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−マンノシダーゼ、β−フ
コシダーゼ、α−アラビノフラノシダーゼ、N−アセチルグルコサミニダーゼ、α−ラム
ノピラノシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、α−フコシダーゼ、α−アラビノピラノシダ
ーゼ、α−マンノシダーゼ及びα−キシロシダーゼを含んだ。α−グルクロニダーゼ活性
は、基質として還元アルドウロン酸(aldouronic acids)混合物を使用
して(Megazyme International Ltd)還元糖法によって検定
された。この基質は、還元アルドトリオウロン、アルドテトラウロン及びアルドペンタウ
ロン酸を、40:40:20のおおよその比で含んだ。活性は、5mg/mlのストック
のこの混合物によってpH5.0で測定された。30分間のインキュベーション期間中に
解放された還元性基は、DNS法によって検出された。若干の酵素試料は、アルドウロン
酸からキシロース残渣を解放できた相当のβキシロシダーゼ活性を含むので、アッセイは
、繰り返され、かつキシロースは、β−キシロシダーゼ活性を阻害するために、反応混合
物中に含まれた。
【0174】
追加の外部作用的キシラン分解酵素、例えば:α−アラビノキシラン・アラビノフラノ
ヒドロラーゼ(酵素結合アッセイを使用して、麦かんアラビノキシランからのアラビノー
スの放出が測定された)、アセチルエステラーゼ(4−ニトロフェニル及び4−メチルウ
ンベリフェリルアセテート基質を使用する)、アセチルキシランエステラーゼ活性(アセ
チル化ブナ材キシランからの酢酸塩の放出を観察する)、フェルラ酸エステラーゼ(分光
光度及びHPLCアッセイ法)が、同様に測定された。
【0175】
エンドヒドロラーゼ活性には:β−D−(1,3;1,4)−グルカナーゼ(アッセイ
基質としてオオムギ(BBG)又はリケナンからのβ−グルカン)、キシログルカナーゼ
(タマリンドキシログルカン)、ラミナリナーゼ(ラミナリア・ディギタータからのラミ
ナラン)、エンド−1,4−グルカナーゼ、(CMCアーゼと呼ばれる)、商業的基質カ
ルボキシメチルセルロースに対する活性に基づき、β−マンナナーゼ(カロブ・ガラクト
マンナン)ペクチナーゼ、及びポリガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ(大豆ラ
ムノガラクツロナン)、ガラクタナーゼ(基質としてルピナス及びジャガイモペクチンガ
ラクタン)、アラビナナーゼ(テンサイアラビナン)、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、
及びデキストリナーゼを含んだ。
【0176】
温度/pH最適条件及び安定性;活性のための最適温度は、通常のアッセイ緩衝液(10
0mM NaOAc、5.0)中で、30〜100℃の範囲にわたる温度増加で、適切な
標準アッセイを行うことによって決定された。温度によるpHの変化は、考慮に入れられ
た。pH最適条件は、以下の緩衝液pH2.2〜7.6を使用して決定された:マッキル
ベンタイプ一定イオン強度クエン酸リン酸緩衝液;pH7〜pH10トリス−HCl緩衝
液。全ての緩衝液は、pHに拘わらず、KClに対する同じイオン強度に調節された。
【0177】
温度及びpH安定性は、以前に記載されたように決定された(Tuohy et al
.,1993;Gilleran,2004;Braet,2005)。
【0178】
タンパク決定;酵素試料(未加工培養試料)中のタンパク濃度は、標準としてBSA分画
Vを使用して(Murray et al.,2001)Lowry法のBensado
unとWeinsteinの修正によって推定された(Bensadoun and W
einstein,1976;Lowry et al.,1951)。
【0179】
電気泳動及び酵素電気泳動法;培養濾液中に存在するタンパクのプロファイルを決定する
ために、各試料の公知の体積は、凍結乾燥によって凝縮され、かつ未変性及び/又は復元
SDS−PAGE又は等電点電気泳動法(IEF;Tuohy & Coughlan,
1992)によって分析された。復元SDS−PAGEゲル及びIEFゲル中のエンドグ
リカナーゼ活性帯は、MacKenzieとWilliamsのゲルオーバレイ技術(1
984)の修正を使用して識別された(Tuohy & Coughlan,1992)
。エキソグリコシダーゼ活性を検出するために、ゲルは、適切な4−メチルウンベリフェ
リルグリコシド誘導体の50〜100μMの溶液中で即時にインキュベートされた(2〜
30分の反応期間)。酵素活性帯は、Fluor−S(商標)Multimager(B
ioRad)を使用して紫外線で可視化された。
【0180】
結果:
株の液体培養は、様々な期間に行われた独立した実験において少なくとも3回繰り返さ
れた。(各株/炭素源の組み合わせに関して)複製フラスコから採取された(120時間
)培養濾液は、酵素活性に関して検定された;複数の複製が、酵素希釈の範囲で検定され
た。その上、結果は、アッセイ測定内及び間で、かつ体積の独立の検査で実証された。培
養物の外観及び増殖パターンの点で、培養物間には、明瞭な差があった。例えば、IMI
393751株は、グルコース上で急速に極めて密度の高い、糸状培養物をもたらしたが
、他方で、幾つかの他の株(例えばCBS180.68、CBS355.92、CBS3
93.64、CBS395.64、CBS397.64、CBS549.92及びCBS
759.71)は、限られた増殖及び不定型の形態を示した。すなわち、正常な糸状増殖
がなく、かつ粘液性に見える、限られた培養集団が形成された。株CBS394.64は
、低い菌糸体バイオマスをもたらしたが、糸状培養物として増殖し、他方でCBS472
.92は、同一の増殖条件で、ペレットの形態を取った。以前の研究は、細胞外エキソグ
ルコシダーゼ及びエンドグリカナーゼ活性が、大部分の炭素源上でT.エマーソニイの増
殖中に有意量で存在することを示したので、120時間の増殖時点が選択された(pH非
制御状態で、鍵となる活性の「最高及び最低に達すること」が観察された。しかしながら
、最大活性は、一般的に発酵サイクルの終わりに向かって検出される)。
【0181】
グルコースの使用は、多くの株に関して120時間まで約15〜25%のみであった。
株CSB394.64は、培地中でグルコースを〜50〜55%使用し、他方で(ペレッ
トの形態を示した)CBS472.92は、〜20〜25%、使用した。対照的に培地中
の〜95%のグルコースが、72時間まで本発明の株(IMI393751)によって使
用され、かつ120時間の採取時点でグルコースは培地中に検出されなかった。
【0182】
表31A〜Dは、株による選択されたエキソグリコシダーゼの生成を示す。結果が明ら
かにするように、明瞭な区別が、エキソグリコシダーゼの生成に関して、本発明の株及び
他のT.エマーソニイ株の間に見られた。
【0183】
グルコースは、T.エマーソニイ株によってエキソグリコシダーゼ生成を完全に抑制し
ない(表31A)。株393751は、他の株よりも著しく高いレベルのβーグルコシダ
ーゼ(BGアーゼ)、及びグルコース上の増殖中に、2番目に高いレベルのN−アセチル
グルコサミニダーゼ(NAGアーゼ)を生成する。393751株に関して得られた生成
パターンは、CBS549.92(以前はCBS814.70)株のそれと際立った対照
をなす。後者の株により幾つかのエキソグリコシダーゼ活性を生成することは、グルコー
スにより抑制されるように見える。培地中の残留グルコースが、存在するBGアーゼ及び
/又はNAGアーゼを阻害する場合、エキソグリコシダーゼ活性レベルが、透析されない
、及び透析された培養濾液中で測定されたことに注目すべきである(透析された試料にお
いて、類似したパターンに注目された)。
【0184】
イナゴマメは、株により細胞外グリコシダーゼの差別的な生成を誘発した(表31B)
。株CBS394.64は、α−アラビノフラノシダーゼを別として、比較的エキソグリ
コシダーゼ活性を生成しない。低レベルの全てのエキソグリコシダーゼは、株CBS39
3.64、CBS395.64及びCBS549.92によって生成された。39375
1株は、有意レベルの広い範囲のエキソグリコシダーゼを生成した(幾つかの活性の最高
レベル、例えばペクチン修飾エキソグリコシダーゼβ−フコシダーゼ)。
【0185】
T.エマーソニイ株によるエンドグリカナーゼ生成
A.キシラナーゼ生成:植物バイオマス及び非デンプン多糖類が豊富な廃棄物残渣の変換
に必要とされた、主要なタイプのエンドヒドロラーゼ活性の2つは、グルカナーゼ及びキ
シラナーゼである。検定された全ての高分子グリカン分解活性の中で、グルカナーゼ及び
キシラナーゼは、存在する優勢なグリカナーゼ活性であった。
【0186】
表32A〜Dは、同じ炭素源上での全ての株によるキシラナーゼ生成のための値を示す
。以前の研究により、野生型(CBS814.70)及び他の突然変異体株が、複数のエ
ンドキシラナーゼとの複合キシラン分解酵素系を生成することが示された(Tuohy
et al.,1993;1994)。幾つかの単離されたキシラナーゼは、様々なタイ
プのキシラン、例えばアラビノキシラン、アラビノグルクロノキシラン、グルクロノンキ
シラン、(本発明の株からの酵素に関して、以前の結果及び継続中の結果から)非置換キ
シランに対してより置換されたキシランに対して選択的特異性を示す。結果が示すように
、グルコースは、全てのT.エマーソニイ株においてキシラナーゼ発現の強い抑制因子で
ある。オートスペルツアラビノキシラン(OSX)に対して活性であるキシラナーゼ活性
の有意のレベルが、393751株によって発現される。この成分は、ライムギ又はコム
ギアラビノキシランに対して活性ではない。
【0187】
主にガラクトマンナンが豊富な(若干のキシランを含む)イナゴマメは、393751
株による全てのキシラン基質に対する非常に高レベルのキシラナーゼ活性の強力な誘発物
質である。強力なキシラナーゼ活性の誘発物質としてのイナゴマメの役割は、その組成の
知識に基づき、予期されない。(120時間後)多数のCBS株に得られた培養物の外観
は、著しく異なり、かつ明瞭な形態的な差が393751及びCBS549.92株の間
に観察され、すなわちIMI393751に関して密度の濃い菌糸体(糸状)増殖、及び
CBS549.92に関して粘液性に見える、限られた(非糸状)培養集団が観察された
。表31Bに示すように、キシラナーゼレベルは、393751株に関して他のいずれよ
りも著しく高い。393751株と対照的に、イナゴマメは、CBS394.64、CB
S395.64、及びCBS549.92株において、キシラナーゼの非常に弱い誘発物
質である。イナゴマメにより誘発されたキシラナーゼ活性のタイプにおいて、もう1つの
際立った差が見られる。393751株において、強力な活性は、全てのキシランに対し
て生成される。他の株において、一般的にライムギ及びコムギアラビノキシランに対する
非常に僅かな活性が生成される。393751株以外の2つのみの株が、これらのキシラ
ン、すなわちCBS472.92及びCBS759.71の両方に対して相当なレベルの
活性を生成する。393751株培養濾液の酵素電気泳動像分析は、単離された新規な二
官能キシラナーゼを含む高レベルの複数のキシラナーゼ活性帯を明らかにした。
【0188】
茶の葉/紙皿(TL/PPL)混合物は、393751株中のキシラナーゼ活性の強力
な誘発物質であることも証明され(表32C)、かつこの混合物は、他の株でキシラナー
ゼ発現を誘発したが、レベルは著しく低かった。イナゴマメに関して観察されたように、
強力な活性が、全てのキシランに対して393751株によって生成され、ライムギアラ
ビノキシラン(RyeAX)に対するほぼ1.8倍高い活性が、得られ、かつOSX及び
カバ材キシランに対する活性は低かった。このことは、TL/PPL及びイナゴマメ誘発
物質による個別のキシラナーゼの差別的発現を示唆し、そのことは、酵素電気泳動像分析
によってその後裏付けられた。TL/PPLは、多成分キシラン分解酵素系、並びに39
3751株中で、他の株中でなく相補的エステラーゼ及びオキシダーゼ/ペルオキシダー
ゼ活性も誘発する。これらの相補的活性は、鍵バイオマス分解用途に関して最適化された
酵素カクテル中の多糖類ヒドロラーゼの有効性を強化する(例えば穀類、植物廃棄物、木
質残渣、紙製品)。イナゴマメと比較して、TL/PPLは、全ての株により高いキシラ
ナーゼ生成を誘発する(特にアラビノキシランに対する活性)が、レベルは393751
株よりも遙かに低い。OSXは、菌類中のキシラナーゼの公知の誘発物質であり、かつ全
ての株による酵素生成を誘発したが、最も顕著な誘発は、393751株によった。しか
しながら393751株と対照的にOSXのみが、高いキシラナーゼ活性を誘発し、かつ
TL/PPLは、472.92株によるキシラナーゼ生成の低い誘発物質であった。OS
X上の酵素生成のパターンは、イナゴマメ及びTL/PPLに関して得られたそれとは異
なる。全体として、OSX上のキシラナーゼ生成の結果は、393751株が、未加工基
質を非常に速く、かつキシラナーゼの可溶性誘発物質を発生させるために有効に、代謝で
きることを示唆している。より複雑な未加工基質中のヘミセルロースは、この株に更に近
付きやすい。結果は、かかる複雑な基質上の393751株によって生成された酵素のカ
クテルが、複雑な未加工植物材料及び残渣の加水分解により適していることも示唆してい
る。今日まで調査されたモデル研究及び応用(例えば、木質バイオマス変換、炭水化物の
豊富な食品及び野菜廃棄物及びOFMSW及び穀物の糖化)は、これらのカクテルの能力
を確認した。
【0189】
最後に、図5は、全ての4種の炭素源上での393751株及び親株CBS549.9
2(同様にCBS814.70)による様々なアッセイ基質(例えば、OSX、Rye
AX等)に対して活性のキシラナーゼの生成を比較し、かつ対照させている。
【0190】
B.グルカナーゼ及びマンナナーゼ生成:以前の研究により、野生型(CBS814.7
0)及び他の突然変異体株が、セルラーゼ及び一連の非セルロース分解β−グルカン修飾
活性を含む複合グルカン分解酵素系を生成することが示された(Murray et a
l,2001,2004;Tuohy et al,2002;McCarthy et
al,2003,2005)。キシラン分解系に関して注目したように、炭素源に応じ
て複数のエンドグルカナーゼが生成される。単離されたβ−グルカナーゼの幾つかは、様
々なタイプのβ−グルカンに対して選択的特異性を示す。
【0191】
表7A〜Dは、修飾された商業的β−1,4−グルカンCMC(Sigma Aldr
ich)、オオムギからのβ−1,3;1,4−グルカン(BBG;Megazyme)
、及び地衣類セトラリア・イスランディカ(Cetraria islandica)(
リケナン;Sigma Aldrich)、タマリンドからのキシログルカン(β−1,
4−グルカンバックボーン;Megazyme)、及びイナゴマメからのガラクトマンナ
ン(Megazyme)に対する活性を示す。非セルロースβーグルカンは、多数の植物
残渣、特に穀物に由来するものの非デンプン多糖成分中に有意な濃度で存在する。表7A
〜Dは、株中のそれぞれの活性の差別的な誘発を示し、誘発パターンは、より複雑な(未
加工)炭素源上で完全に異なる。
【0192】
グルコースは、ほぼ全ての株においてグルカナーゼ及びマンナナーゼ生成の強力な抑制
因子である(表33A)。全ての試料に関して、活性は、透析及び非透析試料に対して測
定された。結果が明らかにするように、イナゴマメは、検査された全ての株の最高レベル
である、393751株中で(BBG及びリケナンに対する)高レベルのβ−1,3;1
,4−グルカナーゼの強力な誘発物質である(表33B)。393751株によって生成
された(CMCに対する)β−1,4−グルカナーゼのレベルは、BBGに対する活性よ
りも〜10倍低かった(CMCアーゼのレベルは、他の株と比較した場合、この株に関し
て高かった)。低いキシログルカナーゼが検出されたとしても、393751株に得られ
たレベルが最高であった。酵素電気泳動像分析は、エンドグルカナーゼ成分のタイプ、グ
ルカナーゼ成分のそれぞれのT.エマーソニイ培養濾液中の発現パターン及び相対的発現
レベルが、際立って異なることを確認した。低レベルの(ガラクト)マンナナーゼは、イ
ナゴマメの増殖中に全ての株によって生成された。
【0193】
TL/PPL混合物は、393751株によるβ−1,3,1,4−グルカナーゼ(B
BGアーゼ及びリケナナーゼの両方)及び(ガラクト)マンナナーゼの更に強力な誘発物
質であった(表33C)。全体として、これらの結果は、T.エマーソニイ株によるβ−
グルカナーゼ生成が同等でないことを強調し、かつ393751株が、様々なβ−グルカ
ナーゼ活性の優れた源であり、かつTL/PPL混合物は、これらの活性の強力なカクテ
ルを誘発することを確認する。
【0194】
OSX(表33D)は、予期したように、イナゴマメ又はTL/PPLよりも遙かに低
いレベルのβ−グルカナーゼを誘発した。酵素生成パターンは、393751及びCBS
549.92株に関して異なる。表33Dにおいて、β−1,4−グルカナーゼレベル(
カルボキシメチルセルラーゼ活性)は、(誘発物質としてOSXに対して)393751
株よりも2倍高いレベルで生成したCBS397.64を除き、大部分の株よりも低く、
かつ4種の株(すなわち、CBS393.64、CBS394.64、CBS395.6
4及びCBS549.92)の培養濾液中で検出されなかった。有意な(ガラクト)マン
ナナーゼ活性が、(誘発物質としてのTL/PPLによるよりも低い)393751株及
びCBS472.92によってOSXの増殖中に生成された。図6及び7は、39375
1及びCBS814.70株によって概説された実験条件でのグルカナーゼ及びマンナナ
ーゼ生成を比較し、かつ対照させる。
【0195】
結論として、結果は、以下のことを示す:
393751株は、非常に重要な酵素活性の範囲の高レベルの強力な生成物質であり、
393751株は、2つの鍵となる脱重合ヘミセルラーゼ活性に関して、低コスト誘発物
質(イナゴマメ及びTL/PPL)上で、非常に高レベルのキシラナーゼ及びβ−1,3
;1,4−グルカナーゼの両方を生成する唯一のT.エマーソニイ株であり、かつ最高の
活性レベルが、未加工炭素源上で得られ、それ故に393751株が、強力な一連の酵素
カクテルの費用効率の良い源であることを証明する。
【0196】
【表36】

【0197】
【表37】

【0198】
【表38】

【0199】
【表39】

【実施例14】
【0200】
実施例14:バイオエネルギー生成能力を有するT.エマーソニイIMI393751か
らのサーモザイム
目的は、殺菌したセルロースが豊富な臨床廃棄物の生分解性成分を減少させ、従って埋
め立てる廃棄物の量を減少させ、かつ酵素処理後に糖が豊富な液体排出物を回収し、かつ
バイオ燃料の形状でエネルギーを回収することであった。
【0201】
廃棄物の流れは、高率のセルロース(>50%)を含み、かつ主に紙、ティッシュ、医
療消毒綿及び綿が豊富な包帯及び布、脱脂綿等であった。廃棄物の流れ中の主な「繊維」
は、セルロースであるが、多くの製品は、多糖類コーティング、結合剤及び充填剤によっ
て「仕上げられて」おり、従って付属的酵素(すなわち、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ
及びデンプン分解酵素)の混合物は、セルロースの接近容易性を強化し、かつ単純な可溶
性糖(例えばグルコース、ガラクトース、キシロース等)への廃棄物還元又は変換を改良
することが必要である。
【0202】
実験アプローチ:
393751株に由来する10種のサーモザイムカクテルの各々におけるエンドヒドロ
ラーゼ及びエキソグリコシダーゼ酵素活性のプロファイルは、決定された(Tuohy
& Coughlan 1992;Tuohy et al,1993,1994,20
02;Murray et al,2001,2004)。表34は、カクテルの選択に
おいて決定された鍵となる活性の相対レベルを要約する。酵素調製は、異なる濃度で10
0gのバッチのSTG処理されたセルロースが豊富な廃棄物に、50℃かつ70℃で添加
され、かつ24〜48時間、インキュベートされた(50〜60%の水分レベルで)。糖
が豊富な溶液(及びセルロースが豊富な材料、例えばティッシュ等)の試料は、48時間
にわたって定期的に除去され、かつTuohy et al,1993,1994,20
02;Murray et al,2001,2004,Gilleran(2004)
and Braet(2005)に記載されたように、(i)重量及び体積減少、(ii
)回収された糖が豊富な溶液の体積、(iii)放出された還元糖、(iv)(走査電子
顕微鏡法を使用する)酵素処理後の基質の物理的構造、(v)TLCによって放出された
糖の定性分析、(vi)HPLC、GC−MS及びESI−Q−TOF−MSによって生
成された糖の定量分析、(vii)発酵微生物に潜在的に有害な物質(バイオエネルギー
生成)、(viii)加水分解物の無菌性、(ix)バイオエタノール生成、及び(x)
バイオガス生成に関して分析された。
【0203】
結果:
A.重量及び体積減少、回収された糖が豊富な溶液の体積、放出された還元糖
酵素処理前及び後の重量は、記録され、かつ全ての酵素調製に関して記録された体積の減
少推定がなされた。同じ反応パラメータ(酵素装填、60%の含水量、及び24時間の反
応時間)を使用して、50℃で得られた体積減少データ及び還元糖は、図8に示される。
【0204】
要約すると、60%の水分で24時間70℃は、全てのカクテルの体積減少の点で最良
の結果をもたらした。6つの選択されたカクテルによる(かつ複製検査による)繰り返し
た研究において、体積減少は、カクテルに応じて常に〜60〜75%の間であった(図9
参照)。放出された還元糖は、存在するセルロースの変換、又は加水分解%に変換された
が、それは初期の殺菌された廃棄物中に存在するセルロースが豊富な分画の66〜82%
の間であった。60〜75体積%の減少が、実験室の検査で得られた。
【0205】
100gのバッチ当たり、約70〜100mLの添加水分(HO)が、最終含水量を
50〜60%にするために添加された。酵素加水分解後の液体回収量は、69〜105m
Lに及んだ。実験は、75〜85℃の反応温度及び異なるpH値でも遂行された。70℃
超では、全体的加水分解における限界に近い増加(〜2〜5.5%)が注目され、70℃
で得られた値と比較した時、かつpH3.5〜4.0が最適なレベルの加水分解をもたら
したが、値は、HOを使用して得られたよりも有意に大きくなかった(<5%)。
【0206】
B.基質完全性の物理的喪失、発生した糖生成物及び各タイプの糖の相対量 SEMは、
セルロース繊維構造の有意な喪失を明らかにした(図10B)。
【0207】
加水分解生成物:TLCによる定性分析;HPLCによる定量分析
放出された糖の>76〜92%は、7つの最良のカクテルにおいて、単糖類であり、か
つこれは、グルコースから主になり、若干のガラクトース、マンノース及びキシロースが
あった。例えば、0.2〜0.55g/mLに及ぶ糖レベル、及びHPLCによって決定
された単糖類濃度範囲は、以下の通りである(サーモザイムカクテル及び廃棄物バッチに
左右される):
グルコース:43〜70%;マンノース:5〜15%;ガラクトース4〜10%;キシロ
ース:20〜30%;セロビオース:4〜12%、及び高オリゴ糖:5〜26%。
【0208】
C.発酵前及び後の発酵微生物に潜在的に有害な物質のスクリーニング(バイオエネルギ
ー生成)、加水分解物の無菌性分析、並びにバイオエタノール及びバイオガス生成
回収された液体分画は、バイオエタノールへの糖が豊富な加水分解物の発酵のためにス
クリーニングされた酵母種に有害であるように見えなかった、すなわちS.セレビジェー
(パン酵母)、パキソレン・タンノフィルス(Pachysolen tannophi
lus)、ピキア種、カンジダ・シェハーテ(Candida shehatae)、及
びクルベロマイセス・マルクシアヌス(Kluveromyces marxianus
)の増殖を妨げなかった。その上、(酵素結合アッセイキットを使用する)エタノール生
成物の分析は、酵母がエタノールを生成していることを示した。
【0209】
(適切な寒天培地を含む)寒天板は、糖の豊富な溶液及び残渣廃棄物の試料を接種され
、(微生物に関して)勧奨される条件でインキュベートされ、かつ群体(細菌及び酵母)
の存在及び径方向の増殖(糸状菌類)に関して分析された。微生物の増殖は、70℃の酵
素処理からの糖の豊富な溶液及び廃棄物の試料を接種された皿では起こらず、すなわち廃
棄物加水分解物の微生物損傷(及び糖喪失)は、起こらなかった。
【0210】
バイオエタノール生成
様々な酵母種、例えばサッカロマイセス・セレビジェー、パキソレン・タンノフィルス
、ピキア種、カンジダ・シェハーテ及びクルベロマイセス・マルクシアヌス(及び株)に
よる糖の豊富な原料からのバイオエタノール生成が、評価された。測定された評価項目は
、糖の酵母増殖(及び酵母バイオマス)の使用、COの発生、及び生成されたエタノー
ルを含んだ。2つの70℃の酵素消化物(図8のカクテル5及び8によって発生した加水
分解物)は、1L実験室規模の培養物中の全ての酵母種のバイオエタノール生成の検査原
料として選択された。
【0211】
図11A及びBは、S.セレビジェーによって得られたエタノール生成プロファイルを
示す。サーモザイムカクテル8が、加水分解物中により単糖を僅かにもたらしたものの、
エタノール収率は、両方の原料に関して同様である。しかしながら、カクテル8からの消
化物は、サーモザイムカクテル5により発生したものよりも高いペントース(S.セレビ
ジェーによって発酵されていない)を含む。サームザイムカクテル5消化物は、酵母によ
って容易に代謝される若干のセロビオース(及び少量のセロビオオリゴ糖)を含んでいる

【0212】
【表40】

【0213】
潜在的有害発酵終了生成物の分析
技術範囲(HPLC、MS)、特にGC−MSが、潜在的有害発酵終了生成物の存在を
決定するために使用された。ほぼ完全な糖の使用が、(ペントース糖(キシロース、アラ
ビノース)が豊富な消化物を除き)S.セレビジェーに関して達成され、かつ正常な発酵
終了生成物、すなわちグリセロール、酢酸塩及び微量の副産物(溶媒)が、検出された。
【0214】
バイオガス生成
大きなバッチのカクテル5及び8消化物は、中温性及び好熱性上向流嫌気ハイブリッド
リアクタ(UAHR)嫌気ダイジェスタに供給するために調製された。両方のリアクタの
流入液及び流出液の全炭水化物レベルは、測定された(Dubois et al.19
56;Laboratory protocol)。流入液及び流出液試料中に存在する
還元糖が、決定された(Tuohy et al,1994)。化学的酸素要求量(CO
D)を決定するために、知られた量の加水分解物が、重クロム酸カリウム(触媒として硫
酸銀を有する濃硫酸)を使用して2時間にわたって酸化された(国際検査法;実験室手順
)。残りの重クロム酸塩は、硫酸第一鉄アンモニウムの標準化された溶液による滴定によ
って決定された。COD及び炭水化物除去効率は、試験中に測定された(毎日の試料)。
汚泥の特異的メタン生成活性(SMA)は、圧力変換技術を使用して分析された(Col
leran and Pistilli,1994;Coates et al.199
6)。汚泥の試料は、出口を通して汚泥床から除去され、かつ検査は、(中温性リアクタ
の汚泥のための)37℃か、(好熱性リアクタの汚泥のための)55℃で行われた。
【0215】
酵素的に発生した消化物中に存在する糖は、中温性(37℃)及び高温性(55℃)U
AHRの両方で、細菌によって急速に代謝され、すなわち4.5g COD/m/日の
装填速度で、非最適化条件で、95〜97%炭水化物還元であった。得られたバイオガス
流中のメタンレベルは、55〜61%の間であり、かつ全ての糖を代謝し、かつ最大メタ
ンレベルに達するためにかかった推定保持時間(日数)は、〜3.0〜4.0日であった
。流出液のpHは、観察され、かついずれのリアクタからの流出液のpHにも目立つ変化
はなかった。
【0216】
C.セルロースが豊富な臨床廃棄物の流れの処理のためのサーモザイム系の最適化
ゲノミクス及び機能的プロテオミクスの組み合わせが、全ての鍵酵素成分の最適レベル
を有するような酵素カクテルを得るために(初期実験において使用された10種のカクテ
ルからの情報に基づき)使用するための最適増殖条件及び基質を識別するために、使用さ
れた。2つの誘発物質の組み合わせが選択された:使用済み茶の葉及び廃棄物紙ざらの1
:1の混合物、並びにモロコシ及び糖液のないビートパルプの1:1混合物である。上記
の使用された10種のカクテルから選択された追加のブレンドが、同じく調製された。新
規なカクテル及びブレンドは、成分酵素、並びに商業的セルロース、ヘミセルロース、及
び殺菌されたセルロースが豊富な廃棄物の、単純な発酵可能な糖への広範囲な変換に触媒
作用を及ぼすその能力に関して特徴付けされた。最大酵素反応性のための最適pH及び温
度、最適化された酵素系及びブレンドされたカクテルの熱安定性、並びに反応最終製品、
単糖、又は潜在的有害分子(フェノール化合物/ベンゼン誘導体)による潜在的阻害が、
決定された。
【0217】
温度最適条件:75〜80℃、酵素調製/ブレンドに応じて、>70〜85%の活性が、
85℃で残る(酵素活性は、90〜95℃でも検出された)。
【0218】
熱安定性:50℃で24時間後に本当の活性喪失はなく、同じ温度で1週間後に<5〜1
0%の活性喪失があった。
【0219】
70℃で、<2〜20%の活性喪失が最初の24時間にあり、<10%の更なる活性喪
失がその後5日間にわたってあった。
【0220】
pH最適条件:酵素は、pH4〜5の間で最も活性であったが、>60%の活性がpH3
.0及びpH6.8で観察され、全ての酵素は、pH7.0でも活性を示した。酵素調製
は、pH3.5〜6.0の間で最も安定していた(4〜50℃、1週間の期間にわたって
)。
【0221】
高濃度のグルコース及び他の単糖類が存在した時、単糖類への反応/基質変換速度は、
減少したか、横這い状態に達したが、酵素調製は、(100mMまでの)高濃度の単糖類
(グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース)の存在下でなおも非常に活性
であった。その上、フェノール化合物/ベンゼン誘導体は、カクテルの全体的な活性を減
少させたが、検査で使用された濃度は、廃棄物中に存在する可能性があるものよりも著し
く高かった。それにもかかわらず、ある種のカクテル及び最適化された酵素カクテルは、
これらの化合物の存在下で有意な活性(>50〜70%)を示した。
【0222】
全体として、〜65〜75%の加水分解値を達成するために必要とされる各酵素の濃度
は、驚くほど低く(9〜16セルラーゼ単位/10gの廃棄物)、かつカクテル/ブレン
ド次第であるが、高い用量(60セルラーゼ単位まで)は、最終的加水分解度を際立って
増加させなかった。酵素処理の100及び10Kgのバッチへの規模拡大により、同様の
最終的加水分解度、並びに同様のプロファイル及び糖生成物濃度がもたらされた。最適化
カクテルに関して得られた最良の体積減少値は、73〜80%であり、他方でセルロース
分画の単糖への変換のための対応する加水分解%値は、72〜81%であった。2つの最
適化されたブレンドは、体積減少及びセルロース加水分解の点で同様の終点をもたらした
。得られたエタノール収率は、S.セレビジェーに関して195〜210L/トンであり
、かつP.タンノフィルスに関して215〜220L/トンであった。おおよそ80〜8
5%のバイオエタノールが、蒸留によって回収されるが、これは改善され得る。
【実施例15】
【0223】
実施例15:糖が豊富な原料を生成するためのT.エマーソニイIMI393751から
、セルロースが豊富な紙及びティッシュ廃棄物からのサーモザイム
酵素活性測定:
未加工酵素調製は、内部作用酵素のための10〜30mg/mLの濃度の関連する基質
、「フィルタペパラーゼ(filter paperase)」(一般的セルラーゼ)の
ための50mgの濾紙/反応体積1mL、又は1mMの適切な4−ニトロフェニル−グリ
コシド誘導体を使用して、様々なリグノセルロース加水分解酵素活性の範囲に関して分析
された(Tuohy et al.,2002;Murray et al.,2001
)。アッセイは、3つの複製を作成して実行された。全ての結果は、異なる未加工酵素調
製を使用する2つの同一の実験を示す。
【0224】
活性及び安定性のためのpH及び温度要件:
酵素活性及び安定性のためのpH及び温度要件は、通常のアッセイ手続きを使用して、
2.6〜7.6の範囲にわたって、かつ30〜90℃の範囲の温度にわたって評価された

【0225】
モデル規模の加水分解研究:
5〜60FPU(又は必要であれば2〜20キシラナーゼ単位)を含む個別の酵素のア
リコートは、1gの標的基質によって、適切なpH及び反応温度で24時間までインキュ
ベートされた。試料は、時限間隔を空けて除去され、かつ糖含有量(還元糖)及び組成物
が分析された。
【0226】
調査されたセルロースが豊富な基質:混合ティッシュ及びトイレットペーパー、事務用紙
廃棄物、包装紙、混合新聞印刷用紙。
【0227】
結果の要約:サーモザイムカクテルは、炭水化物基質の広いスペクトルに対して高い活性
を示し、かつそれ故にT.エマーソニイIMI393751による酵素生成物の複雑さ及
び効率を反映する。特定のサーモザイムの生成は、誘発基質の組成及び変動を反映する(
表35)
【0228】
【表41】

【0229】
サーモザイムカクテル中のセルラーゼは、pH4.0付近(図12A)、かつ70℃〜
80℃の間(図13)で最も活性であった。各酵素調製中のセルラーゼ成分は、広いpH
範囲にわたって活性である(<pH2.6〜>pH6.5)。同じカクテル中に存在する
キシラナーゼ活性は、pH4.0〜5.0(図12B)かつ75〜85℃の間(図14)
で最も活性であった。しかしながらカクテル中のキシラナーゼ活性は、広いpH範囲にわ
たって活性であり(<pH2.6〜>pH7.0)、他方で同様の活性レベルが90℃及
び50℃で観察された。
【0230】
(表35に一覧にされた)MGBGカクテルの幾つかの熱安定性は、50℃及び70℃
での長い半減期に反映され、すなわち緩衝液(pH5.0)のみでのインキュベーション
後、50℃ではエンドキシラナーゼ又はエンドセルラーゼ活性は、事実上喪失がないか、
又は最小限である。全てのカクテルは、未加工酵素調製であり、かつ安定剤又はエンハン
サは、添加されなかった。カクテル2、5、6及び8に存在するキシラナーゼ活性は、7
0℃で特に安定していた(25時間後に〜<2〜20%のみのキシラナーゼ活性喪失)。
例えば、70℃でのカクテル2のt1/2値は、>6日であった。カクテル3及び4、か
つそれ程でないにせよカクテル7の70℃での安定性は、高レベルのエコリジン(eqo
lisin)プロテアーゼの存在のために低い(2時間、12時間及び25時間のt1/
2値)。基質(すなわち未加工廃棄物)の存在下で、全ての3種のカクテルの安定性は、
際立って高く、すなわち(22時間、46時間及び72時間のt1/2値)である。セル
ロース及びヘミセルロース基質に対するMGBGカクテルの一般的性能は、非常に高かっ
た(表36)。反応温度が50℃から70℃に上昇するにつれ、加水分解レベルは、著し
く上昇した(表37)。高い反応温度(例えば70℃)で、加水分解%は、18時間で達
成され、かつ50℃で24時間後に得られた加水分解%と同様であるか、場合によりそれ
よりも高かった(表37)。この発見は、低い温度で活性であろう中温性生体からの酵素
と比較したサーモザイムの利点を強調する。
【0231】
【表42】

【0232】
【表43】

【0233】
TLCによって分析されたセルロース及びヘミセルロースの経時的加水分解の生成物は
、MGBGサーモザイムの高い変換効率を確認した。多糖類基質は、当初オリゴ糖に、か
つ最終的にグルコースに分解され、それはほぼ唯一の加水分解生成物であったが、他方で
セルロースが豊富な廃棄物、例えばティッシュペーパに存在するセルロースは、同様にグ
ルコースにほぼ完全に加水分解された。
【0234】
バイオエタノールをベースとする産業にとってのこれらの結果の意味は、重要であり、
かつT.エマーソニイサーモザイム系の能力を示す。
【実施例16】
【0235】
実施例16:バイオエタノール生成のための糖の豊富な加水分解物へのビートパルプの生
物変換
8つのサーモザイムカクテルが、当初の範囲の20のカクテルから選択された。393
751株に由来する8つの酵素カクテルの各々におけるエンドヒドロラーゼ及びエキソグ
リコシダーゼ酵素活性のプロファイルは、決定された(Tuohy & Coughla
n,1992,Tuohy et al.,1993,1994,2002;Murra
y et al,2001,2004)。
【0236】
酵素調製は、様々な濃度又は用量で、異なる抽出方法を使用して調製された1gのバッ
チのテンサイ分画と組み合わされた。分画は、以下の通りである:
A.テンサイ頂部及び茎(乾燥重量1g/総容量10ml)
B.テンサイ果肉(乾燥重量1g/総容量10ml)
C.テンサイ果実(乾燥重量1g)
D.テンサイ皮(乾燥重量1g)
【0237】
テンサイ分画A〜Dは、ワーリングブレンダ(2×30秒のバースト)中で均質化され
た。酵素のアリコート、すなわち2ml及び5mlの酵素溶液(1〜8)が、(水道水、
pH7.2)による10mlの最終的な総反応容量に添加され、かつ当初63℃でインキ
ュベートされた。反応温度(75℃)、pH(pH4.0)を最適化し、かつインキュベ
ーション時間(16時間)を減少させるために、更なる実験が、行われた。試料は、16
〜48時間のインキュベーションにわたって、時限間隔を空けて取られ、遠心分離され、
かつ酵素活性は、100℃で10分間沸騰させることによって終了させられた。上清分画
は、放出された還元糖に関して分析された。
【0238】
放出された糖のタイプの定性分析が、TLCによって分析され、かつ生成された糖の定
量分析が、HPLCによって決定された。糖が豊富な原料は、バイオエタノール生成に関
して評価された(Tuohy et al,1993,1994,2002;Murra
y et al,2001,2004;Gilleran,2004;Braet,20
05)。
【0239】
結果:
最適な反応条件は、75℃かつpH4.0であった。表38は、最適な条件で16時間
後に放出された還元糖を示す。インキュベーションを48時間に増加させると、皮及び果
実分画の場合に加水分解%が上昇した。酵素装填条件の最適化は、表39に示した収率で
、インキュベーション時間を半分(すなわち24時間)に減少させることを可能にした。
【0240】
【表44】

【0241】
【表45】

【0242】
加水分解を行うための酵素カクテルの開発及び最適化は、(当初の実験に使用された8
つのカクテルからの情報に基づき)ゲノミクス及び機能的プロテオミクスの組み合わせを
使用して行われた。2つのカクテルが生成され、MGBG SB#1及びMGBG SB
#2とラベルが付けられた。2つの最適化されたカクテルによる全テンサイ植物及び全果
実成分の加水分解は、以前の実験からのカクテル3及び5と比較された。反応は、2つの
新規なカクテルに関して最適な条件、すなわち71℃かつpH4.5で行われた。表40
は、基質(すなわち全テンサイ植物又は全果実成分)1g当たり各反応で含まれる酵素の
相対レベルを与える。表41及び42は、得られた加水分解の結果を要約する。
【0243】
【表46】

【0244】
最適化されたカクテル、並びにカクテル3及び5の間の主な差は、相対量の鍵となる活
性、特にエキソグルコシダーゼにある。
【0245】
【表47】

【0246】
【表48】

【0247】
両方の新規なカクテルは、植物全体から高レベルの還元糖を放出した。放出された還元
糖の内、ほぼ88〜90%は、単糖類であり、その約43〜67%がグルコースであった

【0248】
バイオエタノールへの発酵
研究は、植物全体及びテンサイ加水分解物からのバイオエタノールの生成を調査するた
めに行われた。植物全体の加水分解物中に存在する、90%を超えるグルコースは、S.
セレビジェーによってバイオエタノールに変換された(40g/Lの発酵可能な糖から、
約9.0g/Lのエタノールが得られた)。他の酵母種、例えば、パキソレン・タンノフ
ィルスが、バイオエタノールの生成(嫌気性条件)に関して調査された。後者の酵母は、
繰り返された発酵(>92〜95%の代謝)において放出されたグルコース及びペントー
ス糖(キシロース及びアラビノース)を使用した。しかしながら、エタノール収率は、S
.セレビジェーによるよりも僅かに低かった(40g/Lの発酵可能な糖から約6.7g
/Lのエタノールが得られた。
【0249】
新規なカクテルの選択された生化学特性
温度最適条件:75〜80℃、カクテル次第で、>75〜87%の活性が85℃で残って
いる。
【0250】
熱安定性:50℃で24時間後に本当の活性喪失はなく、50℃で3週間後に<10%の
喪失があった。71℃では、最初の24時間に〜4〜9%の活性喪失、5日にわたって5
〜7%未満の更なる喪失。
【0251】
pH最適条件及び安定性:両方のカクテルは、pH4.5で最も活性が高かったが、>5
5%の活性が、pH<2.6で、かつ>50〜60%が、pH6.8で観察され;両方の
酵素は、有意の(>48〜58%)の活性をpH7.0で示した。酵素調製は、pH3.
5〜6.0の間で最も安定していた(4〜50℃、1ヶ月にわたって)。
【実施例17】
【0252】
実施例17:タラロマイセス・エマーソニイIMI393751によって生成された新規
な二官能キシラナーゼの識別及び選択された特性
タラロマイセス・エマーソニイは、適切な炭素源上で増殖した場合、14〜20の別個
のエンドキシラナーゼ成分を分泌する。これらのエンドキシラナーゼの13種が、均質に
精製され、かつ触媒特性に関して特徴付けられた。精製されたエンドキシラナーゼの分子
量は、30〜130kDaの間で変動する。キシラナーゼ及びグルカナーゼ発現は、同じ
栄養培地及び炭素誘発物質上で同一条件で増殖した10種のT.エマーソニイ株の間で等
しくない。新しい低分子量のキシラナーゼが識別され、キシラン分解系T.エマーソニイ
IMI393751株からのXyn XII(17.5kDa)である。20kDa以下
のM値を有するキシラナーゼの分泌は、多数の他の細菌及び菌類種において、報告され
たが、T.エマーソニイに関して、これの前には報告されていない。
【0253】
酵素精製及び特徴付け
T.エマーソニイIMI393751は、120時間、45℃、210回転/分で(あ
るいは、固体(静的)発酵で11日間、33%の基質、67%の水分、45℃で)コムギ
ブラン及びビートパルプの1:1の混合物上で増殖した。未加工及び分割された酵素試料
のキシラナーゼ及びタンパク含有量は、以前に記載されたように分析された(Tuohy
& Coughlan,1992;Tuohy et al,1993,1994;M
urray et al,2001)。未加工酵素抽出物は、以前に記載されたように採
取された(Tuohy & Coughlan,1992)。H1P 10−43中空繊
維透析器を備えたAmicon DC2システムを使用する限外濾過は、高分子量キシラ
ナーゼ(濃縮水)から新規なキシラナーゼ(透過分画)を分離するために使用された。X
yn XIIは、(NHSO(0〜90%遮断)による沈殿又は「塩析」、Se
phacryl S−200 SFでのゲル透過クロマトグラフィ(GPC)(溶出液と
して100mMのNaOAc緩衝液、pH5.0)、Whatman DE−52でのイ
オン交換クロマトグラフィ(IEC)(30mMのNaOAc緩衝液、pH5.0によっ
て平衡化される;キシラナーゼは、線形緩衝化された0.0〜0.3MのNaCl勾配の
適用によって溶出された)を含む分画技術の組み合わせを使用して均質に精製され、その
後にPhenyl Sepharose CL−4Bでの疎水性相互作用クロマトグラフ
ィ(HIC)(30mMのNaOc緩衝液、pH5.0中で15%(NHSO
よって平衡化される)が続いた。HICに先立ち、キシラナーゼ試料は、15%(w/v
)の最終濃度に(NHSOによって塩浴された。緩衝塩及び(NHSO
は、Sephadex G−25(図示せず)への試料の適用によって除去された。最後
に、キシラナーゼが豊富な分画は、pH7.0で、DE−52の第2アニオン交換カラム
への適用、それに続くSephacryl S−100 HRでのゲル透過クロマトグラ
フィ(平衡化及び灌漑緩衝液として使用される100mMのNaOAc緩衝液、pH5.
0)、及び50mMのNHOAc緩衝液、pH5.5で前平衡化されたDEAE−Se
pharoseでの最終分画ステップ(キシラナーゼを溶出するために使用される0.0
〜0.2MのNaCl勾配)によって更に分画された。貯留された酵素は、Sephad
ex G−25又はBioGel P−6への適用によって脱塩され、かつ電気泳動分析
の前に凍結乾燥された。
【0254】
新しい二官能キシラナーゼの選択された特性
選択された物理化学的特性
新しい酵素の純度は、Laemmli法に従って、15%(アクリルアミド/ビスアク
リルアミド)ゲル中でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって確認された。S
DS−PAGEは、17.5kDaの推定されたMに対応した銀染色上の単一のタンパ
ク帯を明らかにした。更に、Xyn XIIのpH5.0のpI値に対応する単一のタン
パク帯が、IEF上で得られた。OSXのXyn XII触媒による分解に最適な温度は
、75℃であると決定され、活性の最適pHは、pH4.0〜4.5であった。しかしな
がら、pH3.0での10分間のインキュベーション期間中に25〜81%の間のそれぞ
れの元の活性を失ったXyn I−XIと異なり、Xyn XIIは、酸に対して著しく
安定しており、かつ延長されたインキュベーションでも、pH3.0で91%を超えるそ
の元の活性を保持した。
【0255】
選択された触媒特性
Xyn XIIの適切に希釈されたアリコートは、(全て1.0%(w/v)濃度で)
種々のキシラン、β−グルカン、ペクチンポリマー及びフルクタンを含む一連の多糖類に
よってインキュベートされた。延長された30分間のインキュベーション期間中に放出さ
れた還元糖は、上記のように定量化された。アリールグリコシド(1.0mM)に対する
活性は、微量検定法を使用して決定された(Murray et al.,2001)。
速度定数を決定するため予備研究は、通常のアッセイ条件で[基質]キシランを、0.2
〜25mg/mlの間で変化させることによって行われた。
【0256】
図15に示す結果は、様々なキシランに対する新規なキシラナーゼ(Xyn XII)
の相対反応性を示す。この酵素は、紅藻類ダルスからのロディメナンとして知られている
混合結合の非置換キシラン(1,3;1,4−β−D−キシラン)上で非常に活性である
。対照的に、2種の穀物アラビノキシラン、すなわちOSX及びWSXの内、酵素は、よ
り置換されたWSXに対して最も大きな活性を示した。反応性の全体的なパターンは:R
M>WSX>LWX>OSX>BWXであった。図16〜19が示すように、多数の他の
キシラナーゼ(Xyn IVからXyn XI)の基質の優先傾向は、Xyn XIIと
は極めて異なっている。
【0257】
Xyn IVに関して、OSX>RM>WSX>LWX>>>BWXである(図16A
)。Xyn VIの反応性の順は、OSX>LWX>RM≧BWX>WSXであり(図1
6B)、他方でXyn VIIによって示されるそれは、RM>LWX>WSX≧BWX
>>OSX(図17C)である。Xyn VIIIの反応性は、RM>BWX>WSX>
>LWX>OSXであり(図17D)、かつXyn IXは、RM>LWX>BWX≧0
SX>WSXであった(図18E)。最後に、Xyn Xは、次の優先傾向RM>>BW
X〜WSX>OSX>>>LWXを示し(図18F)、かつXyn XIは、RM≧LW
X>WSX>BWX≧OSXを示した(図19)。更に、キシランのみに対して厳格に活
性であったXyn I−XIとは異なり、新しい二官能キシラナーゼ(Xyn XII)
は、オオムギからの混合結合β−グルカン(1,3;1,4−β−D−グルカン)に対し
て実質的な活性、すなわち通常のアッセイ基質のOSXに関して観察されるものに対して
55%を超える活性を示した(図20)。Xyn I−XIと対照的に、新しい二官能キ
シラーゼは、アリール−β−キシロシド4−ニトロフェニルβ−D−キシロシド(4NP
X)及びクロロニトロフェニルβ−D−キシロシド(CNPX)に対して活性を示し、後
者の基質に対してのほうが活性が高かった(図21)。この発見は、クロロ部分の電子求
引性効果を反映するかもしれず、クロロニトロフェニル基をより良好な「脱離基」にする
。しかしながら、T.エマーソニイのCBS814.70株からの他の新規なエンドキシ
ラナーゼ(Tuohy et al.,1993;異なって発現されるが、株IMI39
3751によっても生成される)は、CNPXに対して有意に活性であり、かつ4NPX
に対してほとんど活性を示さない。この現象は、これらの酵素の部分的な「外部」作用特
性を反映し、かつXyn XIIの同様な特性も反映するかもしれない。その上、低活性
は、4NPβ−グルコシド及びCNP−β−セロビオシドに対して観察されたが、それは
意外でない。なぜなら、Xyn XIIが、1,3;1,4−β−D−グルカンに対して
活性であり、かつそれがアリールβ−キシロシドに対して観察されるように若干の外部作
用特性を持つならば、アリールβ−グルコシドに対して対応する活性を有することが予想
され得るからである。反応性は、他のいかなるα又はβ結合アリールグリコシドに対して
も観察されなかった。
【0258】
このように、「インビボで」この新規な二官能キシラナーゼは、例えば穀物及び他の植
物、植物残渣及び廃棄物中で混合結合グルカンを分解することによって、植物細胞壁ヘミ
セルロースへのアクセスを提供することにおいて、T.エマーソニイIMI393751
に非常に重要な役割を果たし得る。
【実施例18】
【0259】
実施例18:T.エマーソニイ株による、鍵となるヒドロラーゼ及び他の付属酵素の発現

同じ炭素源上の鍵酵素の発現は異なる
T.エマーソニイIMI393751及び他の株によって生成されたキシラナーゼの数
、タイプ及び相対存在量は、異なる。先に示したように、培養濾液中の酵素レベルは、際
立って異なり、かつT.エマーソニイ株が、異なるレベルの同じキシラナーゼを生成する
か、又は異なるイソ型を発現することを示唆している。この点を説明するために、ゲルS
DS−PAGE電気泳動及びIEFによる酵素電気泳動染色(Tuohy & Coug
hlan(1992)によって記載されたように、復元される)は、IMI393751
及びCBS549.92株培養濾液によって行われた。これらの研究は、(i)異なるキ
シラナーゼが発現され、かつ(ii)発現されたキシラナーゼイソ型の数が際立って異な
ることを確認した。
【0260】
イナゴマメに対するキシラナーゼ発現に関して得られた結果は、以下の通り要約する:
キシラナーゼイソ型が検出された(イソ型−pI及びMの参考にはTuohy et
al.,(1994)参照)
IMI393751:Xyn IV、Xyn V、Xyn VI、Xyn IX及びXy
n XI、Xyl I(β−キシロシダーゼ)及びXyl II
CBS549.92:Xyn II、Xyn VII(注:Xyn VIIは、先行する
特許で公開された配列と等しい(GenBank Accession Number
AX403831)、及び非常に低い量のXyl I(β−キシロシダーゼ)。
その上、IMI393751は、茶の葉/紙皿上で(及び茶の葉のみの上で)の増殖中に
Xyn XIIを生成する唯一の株である。
【0261】
異なる炭素源上の発現パターンは異なる
異なる炭素源上のキシラナーゼ発現パターンは、等しくない、すなわち
IMI393751:
炭素源としてのグルコース:Xyn I、Xyn VIII、少量のXyn XI、かつ
β−キシロシダーゼは、なし
イナゴマメ:Xyn IV、Xyn V、Xyn VI、Xyn IX及びXyn XI
、Xyl I(β−キシロシダーゼ)及びXyl II
TL/PPL:Xyn III、Xyn V、Xyn IX、Xyn X、Xyn XI
I、Xyl I及びXyl II
CBS549.92:
グルコース:Xyn IVと等しいかもしれない、低レベルの成分、かつβ−キシロシダ
ーゼは、なし
イナゴマメ:Xyn II、Xyn VII及び非常に低い量のXyl I(β−キシロ
シダーゼ)
TL/PPL:Xyn I、Xyn VII及びXyn IXと類似したタンパク、若干
のXyl I
【0262】
その上、発現の差の他の明瞭な例、例えばXyl I発現が、観察された。Xyl I
は、グルコース上での増殖中、IMI393751、CBS549.92、CBS180
.68、CBS393.64、CBS394.64、又はCBS397.64によって発
現されない。対照的に、同一条件で、Xyl Iは、CBS355.92、CBS395
.64、CBS472.92及びCBS759.71によって発現される。
【0263】
同様にイナゴマメに関して、Xyl Iは、CBS394.64を除き、際立って異な
るレベルである、全ての株によって発現される。Xyl Iはまた、TL/PPL上の増
殖中にCBS180.68及びCBS394.64を除き、全ての株によって発現された
。炭素源としてのOSX上で、Xyl Iは、CBS180.68及びCBS394.6
4によって発現されなかったが、CBS393.64(低レベル)及び他の全ての株によ
って発現された。全体としてXyl I発現レベルの際立った差及び発現パターンが、全
ての誘発基質の間で注目された(すなわち最高又は最低量のXyl Iを発現する株)。
【0264】
異なる株によって生成された相同体の特異的活性の差
様々な株が、上記のような鍵となるキシラナーゼの発現に対して比較された。しかしな
がら、その上IMI393751及びCBS549.92の誘発された培養物中に存在す
るキシラナーゼは分画され、かつ精製キシラナーゼ成分の特異的活性が比較された。第1
の場合に、IMI393751のみが、Xyn XIIを生成するように見える。更に、
特異的活性が比較される時(アッセイ基質としてのOSXの結果は、以下に示す)、個別
の酵素の特異的活性の若干の差が、明瞭に観察される(図22)。
【0265】
様々な炭素源上の増殖中のT.エマーソニイIMI393751による新規成分の生成
T.エマーソニイIMI393751は、一連の炭素源上で培養され、かつSDS−P
AGE及びIEFを復元すること、それに続く、以上で概説した酵素電気泳動染色によっ
てプロファイルが作成される。以下は、得られた結果の幾つかの実例である。
(i)誘発物質として茶の葉:Xyn III、Xyn V、Xyn IX、若干Xyn
X、及びXyn XII;Xyl I及びXyl II
(ii)イナゴマメ:Xyn IV、Xyn V、Xyn VI、Xyn IX及びXy
n XI、Xyl I(β−キシロシダーゼ)及びXyl II
(iii)ライムギフレーク:Xyn IV、Xyn V、Xyn VI、Xyn IX
、pI6.5の特別に新規な「キシラナーゼ」成分により;Xyl I(β−キシロシダ
ーゼ)及びXyl II
(iv)小売りの小麦粉:Xyn III、Xyn VI、Xyn VIII、Xyn
IX、Xyn X、Xyl I(β−キシロシダーゼ)及びXyl II、pI5.8の
追加の新規な「キシラナーゼ」成分による
(v)モロコシ:Xyn I、Xyn VIII、Xyn IX、Xyn X、Xyn
XI、若干Xyl I(β−キシロシダーゼ)及びXyl II
(vi)キシロース:Xyn I及びXyn VIII、Xyl I
(vii)グルコース:Xyn I、Xyn VIII、より少量のXyn XI、かつ
ββ−キシロシダーゼは、なし
【実施例19】
【0266】
実施例19:T.エマーソニイ株による他の付属酵素の差別的発現
グルタチオンペルオキシダーゼ
培養濾液試料(非濃縮及び濃縮試料)は、7.5%の未変性PAGEゲル上を動かされ
、50℃で還元グルタチオン中に浸漬され、その後に0.002%のHによるイン
キュベーションが続いた。ゲルは、次に1%の塩化第二鉄/1%のフェリシアン化カリウ
ムによって染色された。酵素電気泳動染色はまた、培養濾液上で酵素アッセイにより補足
された。
【0267】
IMI393751は、細胞外グルタチオンペルオキシダーゼ(M〜45kDa)を
生成し、差別的発現は、多数の炭素誘発物質上で観察される(番号1〜18は、異なる誘
発物質を表す)。対照的に、他のT.エマーソニイ株のいずれに関しても細胞外活性は、
濃縮された試料中でも観察されなかった。株IMI393751は、TL/PPLの増殖
中に有意なレベルの細胞外グルタチオンペルオキシダーゼも生成する。
【0268】
カタラーゼ
培養濾液試料(非濃縮及び濃縮試料)は、7.5%の未変性PAGEゲル上を動かされ
、その後に3%のHによるインキュベーションが続いた。ゲルは、次に1%の塩化
第二鉄/1%のフェリシアン化カリウムによって染色された(カタラーゼ帯は、濃い黄色
の帯として現れる)。酵素電気泳動染色はまた、標準的な公開された方法を使用して、培
養濾液上で酵素アッセイにより補足された。
【0269】
IMI393751は、細胞外カタラーゼ(M〜230kDa)を生成し、差別的発
現は、多数の炭素誘発物質上で観察される(番号1〜18は、異なる誘発物質を表す)。
対照的に、他のT.エマーソニイ株のいずれに関しても細胞外活性は、濃縮された試料中
でも観察されなかった。
【0270】
IMI393751の培養濾液中でのこれらの酵素活性の存在は、基質の構造に影響を
及ぼすことにおいて潜在的に重要であるが、鍵となるヒドロラーゼ活性、例えばキシラナ
ーゼ又はグルカナーゼを酸化し得るいかなる化合物を除去することにおいても潜在的に重
要である。
【実施例20】
【0271】
実施例20:様々な固体の(寒天)培地上の10種のT.エマーソニイ株の表現型の比較
B.寒天培地
1.サブローブドウ糖寒天(Oxoid Ltd.,UK)
2.ジャガイモマルトース寒天(Oxoid Ltd.,UK)
3.ツァペック・ドックス(Oxoid Ltd.,UK;pH調節されず)
4.コーンミール寒天(Oxoid Ltd.,UK)
5.麦芽エキス寒天(Oxoid Ltd.,UK)
6.栄養寒天(Difco Ltd.,UK)
7.エマーソン寒天(酵母カリウム溶性デンプン;YpSs)
以下の成分が、1Lの蒸留HOに添加された:
15.0gの可溶性デンプン(Sigma−Aldrich,Dublin,Irel
and)
4.0gの酵母抽出物(Oxoid Ltd.,UK)
1.0gのリン酸二水素カリウム(KHPO
0.5gの硫酸マグネシウム七水和物(MgSO.7HO)
20.0gの寒天No.1(Oxoid Ltd.,UK)
8.酵母グルコース寒天(YGA)
以下の成分が、1Lの蒸留HOに添加された:
20.0gのグルコース(Sigma−Aldrich,Dublin,Irelan
d)
10.0gの酵母抽出物(Oxoid Ltd.,UK)
15.0gの寒天No.1(Oxoid Ltd.,UK)
【0272】
寒天板(各タイプの寒天)は、10種の異なるT.エマーソニイ株を接種された。一つ
のバッチの板は、45℃で、かつ第2は、55℃でインキュベートされた(含水量は、〜
20〜30%であった)。培養物は、毎日確認され、かつ以下の結果が記録された:
(a)培養物直径の測定(キャリパを使用)
(b)7.0Mピクセルのデジタルカメラを使用して写真記録
(c)可視的な表現型の変化/差を記録する
(d)胞子形成の表示(顕微鏡分析)又は他の方法で
【0273】
結果:
様々な寒天培地上でのT.エマーソニイ株の培養は、以下の事項に関して393751
株と、他の9種の株の間の明瞭な差を明らかにした:
表43及び44:45℃での増殖速度及び範囲の要約−2日目及び5日目に行われた培養
物直径の測定
表45:55℃での増殖速度−5日目に行われた培養物直径の測定
表46:可視的な表現型の変化及び胞子形成の証拠の要約。
重要な観察結果1:多くのIMI/CBS株は、多色培養物をもたらした。しかしながら
、これらの培養物の純度が、確認された。色/顔料が生成され、かつ生成パターンは、ペ
ニシリウムの多くの種、例えばP.ピノフィルム(pinophilum)に特有のもの
である。
重要な観察結果2:表20に示すように、393751株と、その他の間には胞子形成の
点で明瞭な差が存在する。
【0274】
【表49】

【0275】
【表50】

【0276】
【表51】

【0277】
【表52】

【0278】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
17.5kDaの分子量と、4〜4.5のpH最適条件とを有し、pH3.0で91%の活性を保持し、かつ混合結合D−キシラン及び混合結合D−グルカンの両方に対する分解活性を有するキシラナーゼ。
【請求項2】
アリール−β−キシロシドに対する活性も有する請求項1に記載のキシラナーゼ。
【請求項3】
寄託番号IMI393751を有するタラロマイセス・エマーソニイ株か、又はそれに実質的に類似した株又はその突然変異体に由来する請求項1又は2に記載のキシラナーゼ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【図8】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−99335(P2013−99335A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−278204(P2012−278204)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2008−553883(P2008−553883)の分割
【原出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(501442932)ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ガルウェイ (6)
【Fターム(参考)】