説明

タワーボイラ

【課題】後部伝熱部を構成する節炭器における収熱効率を向上させることが可能であるタワーボイラを提供する。
【解決手段】火炉2と、この火炉2の上方に位置する流路10に配置される後部伝熱部を備えたタワーボイラ1において、流路10の下流側に続く流路を狭隘流路11として、この狭隘流路11に後部伝熱部を構成する節炭器8を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炉の上方に後部伝熱部が配置されるタワーボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記したタワーボイラとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
このタワーボイラは、火炉と、この火炉内に燃料を噴射して燃焼させるバーナと、このバーナから火炉内に燃料を噴射して燃焼させることで生じる燃焼ガスとの間で熱交換を行う後部伝熱部を備えており、この後部伝熱部は、主として一次過熱器,二次過熱器,最終過熱器,再熱器及び節炭器から成っている。
【0003】
このタワーボイラにおいて、火炉で生じた燃焼ガスが流れる流路は火炉の上方に連続しており、後部伝熱部はこの火炉の下流側に当たる火炉の上方の流路に配置される。そして、このタワーボイラでは、燃焼ガスを火炉上方の流路内の後部伝熱部へ流して熱交換させ、この熱交換後の排ガスをさらに下流側に配置した脱硝装置等の排煙処理装置へ流して窒素化合物等の灰成分を除去した後、大気に放出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-039507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示されたタワーボイラにおいて、後部伝熱部を構成する節炭器は、この後部伝熱部の最も下流側、すなわち、火炉からより離れた上方に配置されるが、この節炭器のガス通過断面積は、火炉や後部伝熱部の他の構成機器と同じである。
また、このタワーボイラにおいて、火炉から離れるにしたがって、すなわち、上方に進むにつれて、燃焼ガス温度が下がるので、ガス体積が小さくなって燃焼ガスの流速も低下する。
つまり、上記したタワーボイラでは、節炭器のガス通過断面積が火炉や後部伝熱部の他の構成機器と同じ程度に広く、そして、この節炭器を通過する燃焼ガスの流速が低いことから、節炭器における収熱効率が良くないという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0006】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、後部伝熱部を構成する節炭器における収熱効率を向上させることが可能であるタワーボイラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る発明は、火炉と、この火炉の上方に位置する上方流路に配置される後部伝熱部を備えたタワーボイラにおいて、前記上方流路の下流側に続く流路を前記上方流路よりも狭い狭隘流路として、この狭隘流路に前記後部伝熱部を構成する節炭器を配置した構成としたことを特徴としており、このタワーボイラの構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0008】
本発明に係るタワーボイラでは、後部伝熱部を構成する節炭器を狭隘流路に配置しているので、節炭器におけるガス通過断面積が、火炉や後部伝熱部の他の構成機器でのガス通過断面積よりも狭くなり、その結果、火炉から離れている狭隘流路において燃焼ガスの流速が低くなったとしても、効率良く収熱し得ることとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るタワーボイラでは、上記した構成としているので、後部伝熱部を構成する節炭器における収熱効率の向上を実現することができるという非常に優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るタワーボイラの一実施形態を示す側面方向からの概要構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るタワーボイラを図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るタワーボイラの一実施形態を示している。
【0012】
図1に示すように、このタワーボイラ1は、火炉2と、この火炉2内に燃料を噴射して燃焼させるバーナ3と、このバーナ3から火炉2内に燃料を噴射して燃焼させることで生じる燃焼ガスGとの間で熱交換を行う後部伝熱部を備えており、この後部伝熱部は、一次過熱器4,二次過熱器5,最終過熱器6,再熱器7及び節炭器8とから成っている。
【0013】
このタワーボイラ1において、火炉2で生じた燃焼ガスGが流れる流路は火炉2の上方に連続しており、後部伝熱部はこの火炉2の下流側に当たる上方流路10に配置される。 この場合、上方流路10の下流側に続く流路を幅寸法Waの上方流路10よりも狭い幅寸法Wbの狭隘流路11として形成してあり、この狭隘流路11に後部伝熱部を構成する節炭器8を配置している。
【0014】
このタワーボイラ1では、燃焼ガスGを火炉2に連続する上方流路10内の後部伝熱部、すなわち、二次過熱器5,最終過熱器6,再熱器7,一次過熱器4へ順次流して熱交換させるのに続いて、上方流路10に連続する狭隘流路11内の後部伝熱部を構成する節炭器8へ燃焼ガスGを流して熱交換させ、この熱交換後の排ガスEGをさらに下流側に配置した脱硝装置の脱硝触媒9や図示しない脱硫装置等の排煙処理装置へ流して窒素化合物等の灰成分を除去した後、大気に放出するようになっている。
【0015】
上記したように、この実施形態に係るタワーボイラ1では、上方流路10の下流側に連続する流路を幅寸法Waの上方流路10よりも狭い幅寸法Wbの狭隘流路11として形成したうえで、この狭隘流路11に後部伝熱部を構成する機器のうちの最も下流側に配置される節炭器8を設置しているので、この節炭器8におけるガス通過断面積が、火炉2や後部伝熱部の他の構成機器でのガス通過断面積よりも狭くなり、したがって、火炉2から離れている狭隘流路11において燃焼ガスGの流速を最適化でき、効率良く収熱し得ることとなる。
【0016】
本発明に係るタワーボイラの構成は、上記した実施形態に係るタワーボイラの構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0017】
1 タワーボイラ
2 火炉
4 一次過熱器(後部伝熱部)
5 二次過熱器(後部伝熱部)
6 最終過熱器(後部伝熱部)
7 再熱器(後部伝熱部)
8 節炭器(後部伝熱部)
10 上方流路
11 狭隘流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炉と、
この火炉の上方に位置する上方流路に配置される後部伝熱部を備えたタワーボイラにおいて、
前記上方流路の下流側に続く流路を前記上方流路よりも狭い狭隘流路として、この狭隘流路に前記後部伝熱部を構成する節炭器を配置した
ことを特徴とするタワーボイラ。

【図1】
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【公開番号】特開2012−241937(P2012−241937A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110297(P2011−110297)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)