説明

タンク内洗浄機の作動確認装置

【目的】 タンク内洗浄機の作動の確認を、タンク外部で行なえるようにした作動確認装置を提供する。
【構成】 タンク内洗浄機10の洗浄液供給管5に4個のコイル15a等を取付ける一方垂直部7aに水平回転円盤4を介して磁石13を取付けて、タンク内洗浄機10の垂直部7aが洗浄液12の圧力を受けて回転駆動される水車11により水平回転されたときに、コイル15a等に起電力を発生させ、その起電力を防爆ケーブル3を介して上甲板20上の起電力検出器1に伝えて起電力を検出し、検出器1で起電力を検出して得られる垂直部7aの回転数と予め検定されている垂直部7aの回転数とを比較することにより、タンク内洗浄機の作動確認をタンク外部で行なえるようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばタンカーの貨油槽のようなタンク内に設置されて、同タンク内の洗浄を行なうタンク内洗浄機の作動を確認するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、タンカーの貨油槽(タンク)には、内部を洗浄するためにタンク内洗浄機が取付けられている。この洗浄機は、回転しながら洗浄液(例えば、水,油,化学液体)をタンクの内壁面に噴射可能なノズルをそなえている。そして、ノズルから洗浄液が噴射されているかどうかの確認を、従来は、洗浄液がタンクの周壁に当たる音(衝突音)を聴き取ることによって、行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、タンク内洗浄機の作動確認を、従来は洗浄液がタンク周壁に当たる音を聴き取ることによって行なっているため、大型タンクの場合、あるいは二重型タンクの下部タンクの場合には、洗浄液のタンク内壁への衝突音の聴き取りが困難であるという問題点がある。またタンク内に複数台の洗浄機が取付けられている場合、個々の洗浄機の作動を正確に確認することが不可能であるなどの問題点もある。本発明は、上述の問題点の解決をはかろうとするもので、タンク内洗浄機が、同洗浄機に供給される洗浄液の圧力で回転駆動される特性を有する点に着目し、同洗浄機の回転状況を同洗浄機に取付けられた検知手段で検知するとともに、その検知信号をタンク外部の検出器に伝えて、タンク内洗浄機の作動状態の確認をタンク外部で行なえるようにした、タンク内洗浄機の作動確認装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のタンク内洗浄機の作動確認装置は、タンクの内部に設置されたタンク内洗浄機の作動確認装置において、起電力式回転検知器と、上記タンクの外部に取付けられて上記回転検知器で発生した起電力を検出可能な起電力検出器と、同起電力検出器と上記回転検知器とを接続可能なケーブルとをそなえ、上記回転検知器が、上記タンク内洗浄機の回転部材または固定部材のいずれか一方の部材に取付けられたコイルと、他方の部材に上記コイルと対向して取付けられた永久磁石とで構成されていることを特徴としている。
【0005】また同請求項2に記載のタンク内洗浄機の作動確認装置は、タンクの内部に設置されたタンク内洗浄機の作動確認装置において、回転検知器と、上記タンクの外部に取付けられて上記回転検知器で得られた回転情報を伝達される検出器とをそなえ、上記回転検知器が、上記タンク内洗浄機の本体に水平方向回転を可能に取付けられた垂直部の水平回転検知のための第1検知部と、上記垂直部に垂直方向回転を可能に取付けられたノズル部の垂直回転検知のための第2検知部とで構成され、上記第1および第2の検知部が、回転情報伝達手段としてのケーブルを介して上記検出器に各別に接続されていることを特徴としている。
【0006】
【作用】上述の本発明の請求項1に記載のタンク内洗浄機の作動確認装置では、タンク内洗浄機の作動時に、コイルと永久磁石との間に相対変位が生じ、これによりコイルの磁束密度が変化してコイルに起電力が発生する。そしてこの起電力をタンクの外部に取付けられた起電力検出器で検出して、タンク内洗浄機の回転情報が得られる。また同請求項2に記載のタンク内洗浄機の作動確認装置では、タンク内洗浄機の垂直部およびノズル部の各水平回転および垂直回転が、それぞれ第1および第2の検知部で検知される。そして各検知部で検知された回転情報により、タンクの外部に取付けられた検出器においてタンク内洗浄機の垂直部およびノズル部の回転情報が得られる。
【0007】
【実施例】以下、図面により本発明の実施例を説明する。図1,図2は本発明の第1実施例としてのタンク内洗浄機の作動確認装置を示すもので図1は模式側断面図、図2は回転検知器の斜視図である。図3〜図5は本発明の第2実施例としてのタンク内洗浄機の作動確認装置を示すもので図3は模式側断面図、図4は垂直部の水平回転の検知部の斜視図、図5はノズル部の垂直回転の検知部の斜視図である。
【0008】まず、第1実施例について説明する。この実施例のタンク内洗浄機の作動確認装置は、図1に示すように、タンカーの上甲板20上に設置された起電力検出器1と、固定型タンク内洗浄機10に取付けられて永久磁石とコイルとで構成された起電力式回転検知器2と、この回転検知器2で発生した起電力を起電力検出器1に伝えるための防爆性ケーブル3とで構成されている。
【0009】固定型タンク内洗浄機10としては公知の構造のものが用いられており、タンク内に垂直状に立設された洗浄液供給管5と、この洗浄液供給管5の内部にベアリング6を介して水平回転を可能に取付けられ、垂直部7aおよび同垂直部7aに連設された水平部7bからなる頭部7と、水平部7bにベアリング8を介して垂直回転を可能に取付けられたノズル部9とで構成されるとともに、洗浄液供給管5内に洗浄水12の水圧を受けて回転駆動される水車11が取付けられていて、この水車11により、歯車機構(図示せず)を介して頭部7の水平回転およびノズル部9の垂直回転がそれぞれ行なわれるようになっている。なお、一般的に、固定型タンク内洗浄機10は貨油槽の船底に取付けられており、頭部7は緩速回転(1回/毎分)であるが、ノズル部9は高速回転である。
【0010】起電力式回転検知器2は、洗浄液供給管5の上端外周部にケーシング14を介して等間隔に取付けられた4個のコイル15a,15b,15c,15dと、垂直部7aに取付けられた水平回転円盤4上でコイル15a〜15dに対向する位置に取付けられた1個の永久磁石13とで構成されている。なお各コイル15a〜15dと起電力検出器1とが防爆性ケーブル3を介して別々に接続されている。上述の構成において、タンク内洗浄機10に洗浄液12が供給されると水車11が回転し、これにより垂直部7aおよびノズル部9がそれぞれ水平方向および垂直方向に回転する。
【0011】これにより、永久磁石13が水平回転円盤4と共に水平回転し、4個のコイル15a〜15dの磁束密度が変化してコイル15a〜15dに起電力を発生させる。そしてこの起電力が起電力検出器1に送られる。起電力検出器1において、起電力の検出により得られる垂直部7aの回転数が予め検定されている回転数と比較されて、タンク内洗浄機10の作動確認が行なわれる。なお、コイル15a〜15dの各コイルの巻数を変えておくことにより、ノズル9の向きを起電力検出器1で検出することが可能となる。また、起電力検出器1で得られた信号を、ケーブル1aにより操舵室のモニタリングシステム(図示せず)に転送することにより、操舵室で複数のタンク内洗浄機の作動確認を同時に行なうことも可能となる。
【0012】次に第2実施例を説明する。この実施例のタンク内洗浄機の作動確認装置では、図3に示すように、タンク内洗浄機10の頭部7における垂直部7aの水平回転の検知部2Aとノズル部9の垂直回転の検知部2Bとによりタンク内洗浄機の作動確認が行なわれるようになっている。垂直部7aの水平回転の検知部2Aは、洗浄液供給管5の内面に4個のリードスイッチ18a,18b,18c,18dが等間隔に取付けられる一方、垂直部7aの下端部にリードスイッチ18a〜18dと対向して1個の永久磁石13が取付けられて、構成されている(図4参照)。
【0013】ノズル部9の垂直回転の検知部2Bは、ノズル部9のボス9aの外周に2個の永久磁石17a,17bが等間隔で取付けられる一方、洗浄液供給管5の上端部にリング部材4が取付けられ、このリング部材4の上縁面に永久磁石17a,17bと対向して4個のリードスイッチ16a,16b,16c,16dが等間隔に取付けられて、構成されている(図5参照)。そして、各リードスイッチ18a〜18dおよび16a〜16dが、別個の防爆性ケーブル3により、別々に検出器1Aに接続されている。上述の構成において、タンク内洗浄機10に洗浄液12が供給されると水車11が回転し、これにより垂直部7aおよびノズル部9がそれぞれ水平方向および垂直方向に回転する。
【0014】垂直部7aおよびノズル部9の上記の各回転により、リードスイッチ18a〜18dおよび16a〜16dがそれぞれ永久磁石13および17a,17bに反応し、各リードスイッチ18a〜18dおよび16a〜16dはON,OFF状態を繰り返すことになるそしてこれが、防爆性ケーブル3を介して検出器1に垂直部7aおよびノズル部9の回転情報として伝えられる。そしてこの回転情報から得られるる垂直部7aおよびノズル部9の回転数が、検出器1Aにおいて予め検定されている垂直部7aおよびノズル部9の各回転数と比較されて、タンク内洗浄機の作動が正常か否かの判断が行なわれる。
【0015】また、リードスイッチ18a〜18dのうちのいずれか1つのリードスイッチがONしてから、次の位置のリードスイッチがONするまでの間、検出器1A上の当該リードスイッチに対応する表示素子の表示がキープできるように、タイマーを検出器1Aに組込んでおくと、ノズル部9の向きを検出することが可能となる。なお、リードスイッチ16a〜16dについても、このようなタイマーを検出器1Aに組込んでおくと、ノズル部9の洗浄液噴出方向を検出することが可能となる。また、検出器1Aをケーブル1aを介して操舵室のモニタリングシステム(図示せず)に接続することにより、複数のタンク内洗浄機の作動確認を、同時に行なうことが可能となる。
【0016】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のタンク内洗浄機の作動確認装置によれば、次のような効果ないし利点が得られる。
(1) タンクの内部に取付けられたタンク内洗浄機の作動の確認を、タンクの外部において行なうことができる。
(2) タンク内洗浄機の作動の確認を、各タンク内洗浄機ごとに行なうことができるため、1基のタンク内に複数台のタンク内洗浄機が取付けられている場合に、有利である。
(3) タンク内洗浄機の垂直部およびノズル部の各水平回転および垂直回転を別々に行なうことができ、タンク内洗浄機の緻密な作動確認が可能となる。なおこれが1台ごとに行なえることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としてのタンク内洗浄機の作動確認装置の模式側断面図。
【図2】同回転検知器の斜視図。
【図3】本発明の第2実施例としてのタンク内洗浄機の作動確認装置の模式側断面図。
【図4】同垂直部の水平回転の検知部の斜視図。
【図5】同ノズル部の垂直回転の検知部の斜視図。
【符号の説明】
1 起電力検出器
1A 検出器
2 起電力式回転検知器
2A 水平回転の検知部
2B 垂直回転の検知部
3 防爆性ケーブル
4 水平回転円盤
5 洗浄液供給管
7 頭部
7a 垂直部
7b 水平部
9 ノズル部
10 タンク内洗浄機
11 水車
12 洗浄液
13 永久磁石
15a〜15d コイル
16a〜16b リードスイッチ
17a,17b 永久磁石
18a〜18d リードスイッチ
20 上甲板

【特許請求の範囲】
【請求項1】 タンクの内部に設置されたタンク内洗浄機の作動確認装置において、起電力式回転検知器と、上記タンクの外部に取付けられて上記回転検知器で発生した起電力を検出可能な起電力検出器と、同起電力検出器と上記回転検知器とを接続可能なケーブルとをそなえ、上記回転検知器が、上記タンク内洗浄機の回転部材または固定部材のいずれか一方の部材に取付けられたコイルと、他方の部材に上記コイルと対向して取付けられた永久磁石とで構成されていることを特徴とする、タンク内洗浄機の作動確認装置。
【請求項2】 タンクの内部に設置されたタンク内洗浄機の作動確認装置において、回転検知器と、上記タンクの外部に取付けられて上記回転検知器で得られた回転情報を伝達される検出器とをそなえ、上記回転検知器が、上記タンク内洗浄機の本体に水平方向回転を可能に取付けられた垂直部の水平回転検知のための第1検知部と、上記垂直部に垂直方向回転を可能に取付けられたノズル部の垂直回転検知のための第2検知部とで構成され、上記第1および第2の検知部が、回転情報伝達手段としてのケーブルを介して上記検出器に各別に接続されていることを特徴とする、タンク内洗浄機の作動確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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